JP5114603B1 - 廃タイヤ切断方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小さいパワーで、小さな構造で、時間を掛けずに安全に大きな廃タイヤを切断する。
【解決手段】廃タイヤ切断方法は、内周部分にビードワイヤーXA2が埋め込まれた廃タイヤXA1を外周より順次切断して複数の断片にする。この廃タイヤ切断方法は、ビードワイヤーXA2よりも半径方向外側の部分に切断刃YA1を廃タイヤの幅方向に進退させて当該廃タイヤXA1を切断する切断ステップと、切断刃YA1の退避時に、廃タイヤXA1を切断する位置が当該廃タイヤXA1の周方向に移動するように、廃タイヤXA1を回転させる廃タイヤ回転ステップと、を備え、切断ステップ及び廃タイヤ回転ステップを順次繰り返す。
【選択図】図5

Description

本発明は、超大型建機用等における使用済みの廃タイヤを切断して複数の断片にする廃タイヤ切断方法及び装置に関する。
廃タイヤを粉砕してタイヤチップにし、これをボイラー等で燃焼させる処理方法がある。廃タイヤを粉砕する場合、廃タイヤを粉砕可能な大きさに予め分割しておく必要がある。このため、廃タイヤ切断装置において、前処理として、廃タイヤを周方向に分割したり一定の方向にスライスするように分割したりする(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2010−036121号公報(段落[0016]及び図4参照) 特開2008−290208号公報(段落[0004]及び図7参照)
廃タイヤは、大きく分けて、外周部分の接地面(トレッド)と一対の環状側壁部(サイドウォール)からなり、一対の環状側壁部の内周部分には、それぞれ、2,3本のビードワイヤーの束(鋼線束)が埋め込まれている。このため、特許文献1,2の方法で分割する場合、廃タイヤをビードワイヤーの束ごと切断することとなり、大きなパワーを必要とする。特に、超大型建機用等の大きな廃タイヤ程、ビードワイヤーの束は太く、必要とするパワーは大きくなる。
大きなパワーで切断するには、廃タイヤ切断装置の強度を高めておく必要がある。このため、装置全体が大型化・重量化する。結果、装置の動作が遅くなり、切断作業に時間が掛かる。
そして、ビードワイヤーの束を切断するので、切断刃が傷みやすい。このため、切断刃を頻繁に交換する必要がある。切断刃を交換するには、切断作業を中断する必要があり、余計な時間が掛かる。
また、ビードワイヤーの切断時に、その勢いや反動によって廃タイヤが飛び跳ねることがあり、作業が危険である。
さらに、大きな廃タイヤを分割する場合には、一旦分割した断片を繰り返し分割しなければ、小さく分割できない。このため、その都度、時間とパワーを食い、危険が伴う。また、分割を繰り返した断片は不揃いとなるので、自動化して分割することが難しい。結果、切断作業に時間が掛かる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、時間を掛けずに安全に廃タイヤを切断できる廃タイヤ切断装置を提供することを目的とする。
(1)本発明は、内周部分にビードワイヤーが埋め込まれた廃タイヤを外周寄り順次切断して複数の断片にする廃タイヤ切断方法であって、前記ビードワイヤーよりも半径方向外側の部分に切断刃を前記廃タイヤの幅方向に進退させて該廃タイヤを切断する切断ステップと、前記切断刃の退避時に、前記廃タイヤを切断する位置が該廃タイヤの周方向に移動するように、前記廃タイヤ又は前記切断刃を相対回転させる相対回転ステップと、を備え、前記切断ステップ及び前記相対回転ステップを順次繰り返すことを特徴とする、廃タイヤ切断方法である。
本発明によれば、ビードワイヤーを避けて廃タイヤを切断するので、大きなパワーで切断する必要がなく、音、振動が低減される。このため、装置を大型化・重量化して強度を高める必要はない。結果、動作が遅くなることはなく、切断作業に時間が掛かることはない。
そして、ビードワイヤーを避けて廃タイヤを切断するので、切断刃が傷むことを防止できる。このため、切断刃を頻繁に交換する必要はない。このため、切断作業を中断して切断刃を交換する必要性は低く、余計な時間は掛からない。
さらに、切断ステップ及び相対回転ステップを順次繰り返すことで、自動化して分割することが可能となり、廃タイヤの外周部分を小さい断片に順次分割できる。結果、切断作業の時間を短縮できる。
(2)本発明はまた、前記切断ステップに先立って前記廃タイヤの前記内周部分を支持する支持ステップ、を備えることを特徴とする、上記(1)に記載の廃タイヤ切断方法である。
仮に、廃タイヤを支持していない場合には、切断の勢いやその反動によって廃タイヤが飛び跳ねることが考えられ、作業が危険であるが、本発明は、廃タイヤを内周部分で支持して切断するので、そのような危険性はない。
(3)本発明はまた、前記切断ステップ及び前記相対回転ステップを順次繰り返すことで前記廃タイヤにおける外周部分の設置面が除去されて一対の環状側壁部に分断された後に、前記一対の環状側壁部を束ねてから前記内周部分を支持し直す再支持ステップ、を備えることを特徴とする、上記(2)に記載の廃タイヤ切断方法である。
(4)本発明はまた、前記切断刃の退避時に、前記廃タイヤを切断する位置が前記ビードワイヤーよりも半径方向外側であって、該ビードワイヤーに近付くように、前記廃タイヤ又は前記切断刃を相対移動させる相対移動ステップ、を備えることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の廃タイヤ切断方法である。
(5)本発明はまた、前記相対移動ステップの後に前記切断ステップ及び前記相対回転ステップを順次繰り返した後であって、前記切断刃の退避時に、前記廃タイヤにおける外周部分の接地面が除去された一対の環状側壁部の外周縁に切削刃を進出させると共に、前記一対の環状側壁部又は前記切削刃を相対回転させて該一対の環状側壁部を切削する切削ステップ、を備えることを特徴とする、上記(4)に記載の廃タイヤ切断方法である。
(6)本発明はまた、前記切断刃を、前記廃タイヤの半径方向に直交する方向に沿って配置することを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の廃タイヤ切断方法である。
(7)本発明はまた、内周部分にビードワイヤーが埋め込まれた廃タイヤを外周より順次切断して複数の断片にする廃タイヤ切断装置であって、前記ビードワイヤーよりも半径方向外側の部分に切断刃を前記廃タイヤの幅方向に進退させて該廃タイヤを切断する切断刃駆動機構と、前記切断刃の退避時に、前記廃タイヤを切断する位置が該廃タイヤの周方向に移動するように、前記廃タイヤ又は前記切断刃を相対回転させる相対回転機構と、を備え、前記切断刃駆動機構及び前記相対回転機構は、順次交互に駆動することを特徴とする、廃タイヤ切断装置である。
(8)本発明はまた、前記廃タイヤの前記内周部分を支持する廃タイヤ支持機構、を備えることを特徴とする、上記(7)に記載の廃タイヤ切断装置である。
(9)本発明はまた、前記切断刃の退避時に、前記廃タイヤを切断する位置が前記ビードワイヤーよりも半径方向外側であって、該ビードワイヤーに近付くように、前記廃タイヤ又は前記切断刃を相対移動させる相対移動機構、を備えることを特徴とする、上記(7)又は(8)に記載の廃タイヤ切断装置である。
(10)本発明はまた、前記切断刃駆動機構は、前記切断刃を、前記廃タイヤの半径方向に直交する方向に沿って配置することを特徴とする、上記(7)〜(9)のいずれかに記載の廃タイヤ切断装置である。
本発明の上記(1)〜(6)に記載の廃タイヤ切断方法、並びに上記(7)〜(10)に記載の廃タイヤ切断装置によれば、時間を掛けずに安全に廃タイヤを切断できる。
本発明に係る廃タイヤ切断装置の側面図である。 廃タイヤ切断装置の上面図である。 廃タイヤ支持機構の動作を説明する断面図であり、(A)は廃タイヤの支持を解除した状態を示し、(B)は廃タイヤを支持した状態を示し、(C)は接地面が除去されて一対の環状側壁部となった廃タイヤを支持した状態を示す。 (A)は切断刃の上面図であり、(B)は切断刃の正面図であり、(C)は切断刃の側面図である。 (A)〜(J)は廃タイヤ切断装置による切断手順を説明する廃タイヤの上面図である。 (A)はゴム分離機の正面図であり、(A)はゴム分離機の側面図である。 (A)はゴム分離機としての機能を兼ね備えた形態の廃タイヤ切断装置の側面図であり、(B)は同廃タイヤ切断装置の上面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る廃タイヤ切断装置について詳細に説明する。
まず、図1〜図4を用いて、廃タイヤ切断装置1の構成について説明する。図1は、廃タイヤ切断装置1の側面図である。図2は、廃タイヤ切断装置1の上面図である。図3は、廃タイヤ支持機構12の動作を説明する断面図である。図3(A)は、廃タイヤXA1の支持を解除した状態を示す。図3(B)は、廃タイヤXA1を支持した状態を示す。図3(C)は、接地面が除去されて一対の状側壁部となった廃タイヤXA1を支持した状態を示す。図4(A)は、切断刃YA1の上面図である。図4(B)は、切断刃YA1の正面図である。図4(C)は、切断刃YA1の側面図である。なお、各図において、図面の簡略化のため、一部の構成の図示を適宜省略する。例えば、図2は、支柱11の上半分を省略して示している。
図1〜図4に示される廃タイヤ切断装置1は、超大型建機(例えば、100トン積載ダンプ)の廃タイヤXA1、すなわち、大型(例えば、直径が1m以上で4.2m以下)の廃タイヤXA1を粉砕してタイヤチップにするラインにおいて、搬送コンベア2、クラッシャ(破砕機)3、ゴム分離機4(図6参照)等と共に使用される。この廃タイヤ切断装置1は、廃タイヤXA1を、クラッシャ3で粉砕可能な大きさに切断刃YA1で予め切断する。切断刃YA1は、先端が尖った板状を呈する。廃タイヤ切断装置1で切断された廃タイヤXA1は、搬送コンベア2によってクラッシャ3に供給され、クラッシャ3で粉砕されてタイヤチップとなる。なお、大型の廃タイヤXA1の直径は、日本で使用されるもので2.4m程度のものがあり、米国で使用されるもので4m程度のものがある。
廃タイヤXA1は、配合剤(例えば、カーボンブラック)を混合したゴムを主な原材料として構成される。また、図3(A)〜図3(B)に示されるように、廃タイヤXA1は、大きく分けて、外周部分の接地面(トレッド)XA1aと、一対の環状側壁部(サイドウォール)XA1bと、からなる。一対の環状側壁部XA1bの内周部分には、それぞれ、2〜3本のビードワイヤーXA2が束ねられて環状となるように埋め込まれている。
図1及び図2に示されるように、廃タイヤ切断装置1は、廃タイヤXA1が横倒しの状態で置かれるテーブル10と、廃タイヤXA1を切断する切断刃YA1が取り付けられる支柱11と、を備え、正面視で逆L字型を呈する。テーブル10と支柱11は、互いに折り畳むことが可能となっている。また、廃タイヤ切断装置1は、比較的小型で軽量である。
このため、コンパクトにまとめてトラックに積み込むことができる。これにより、廃タイヤ切断装置1を必要とする現場に移動し、当該現場で処理することができる。また、テーブル10を支柱11に向けて立て掛けるように折り畳むことで、テーブル10内の構造についてメンテナンスをすることができる。
廃タイヤ切断装置1は、テーブル10及び支柱11の他に、廃タイヤXA1をテーブル10上で支持する廃タイヤ支持機構12と、廃タイヤXA1をテーブル10上で移動させる廃タイヤ移動機構13と、廃タイヤXA1をテーブル10上で回転させる廃タイヤ回転機構14と、切断刃YA1を廃タイヤXA1に向けて当該廃タイヤXA1の幅方向に進退させる切断刃駆動機構15と、切断刃YA1を一方の面の側(図1における右側)から支持する切断刃支持機構16と、切削刃YA2を廃タイヤXA1に近付ける切削刃駆動機構17と、制御ユニット(図示省略)と、を備えている。
廃タイヤ切断装置1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。すなわち、廃タイヤ切断装置1の各部は、制御ユニットの制御下において動作して、その動作状況が制御ユニットによって管理される。
制御ユニットは、CPU、RAM、及びROM等から構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
図1〜図3に示される廃タイヤ支持機構12は、テーブル10上に横倒しの状態で置かれた廃タイヤXA1の内周部分を支持する。具体的に、廃タイヤ支持機構12は、テーブル10上に突出する複数の可動爪19を備えている。
これら複数の可動爪19は、廃タイヤXA1の内周部分に沿って並ぶように配置され、互いに近付いて廃タイヤXA1から離れた中心寄りの位置(図3(A)参照)と、互いに遠退いて廃タイヤXA1を支持する位置(図3(B)及び図3(C)参照)と、の間で可動する。複数の可動爪19は、図3(A)に示される互いに近付いて廃タイヤXA1から離れた中心寄りの位置で、廃タイヤXA1の支持を解除する。そして、複数の可動爪19は、図3(B)及び図3(C)に示される互いに遠退いた位置で、廃タイヤXA1を支持する。
廃タイヤXA1は、図3(B)に示されるように、下方に位置する一方の環状側壁部XA1bの内周部分で支持される。ただし、後述する切断作業によって接地面XA1bが除去された廃タイヤXA1は、図3(C)に示されるように、一対の環状側壁部XA1bを束ねた後に、その内周部分で支持される。
そして、複数の可動爪19は、廃タイヤ移動機構13によってテーブル10上を移動させられる。すなわち、複数の可動爪19が廃タイヤXA1を支持している場合には、当該廃タイヤXA1は、複数の可動爪19と共に、廃タイヤ移動機構13によってテーブル10上を移動させられる。
また、複数の可動爪19は、廃タイヤ回転機構14によって鉛直軸回りに回転させられる。すなわち、複数の可動爪19が廃タイヤXA1を支持している場合には、当該廃タイヤXA1は、複数の可動爪19と共に、廃タイヤ回転機構14によってテーブル10上を鉛直軸回りに回転させられる。
図1及び図2に示される廃タイヤ移動機構13は、廃タイヤ支持機構12によって支持された廃タイヤXA1を、テーブル10上で、切断刃YA1に向けて進退する方向(図1及び図2における左右方向)に移動させる。具体的に、廃タイヤ移動機構13は、動力源となる油圧シリンダー20を備えている。
廃タイヤ回転機構14は、廃タイヤ支持機構12によって支持された廃タイヤXA1を、テーブル10上で、鉛直軸回りに回転させる。具体的に、廃タイヤ回転機構14は、動力源となるモーター21を備えている。
図1に示される切断刃駆動機構15は、切断刃YA1を、廃タイヤXA1の半径方向に直交する方向に沿って配置する。そして、切断刃駆動機構15は、切断刃YA1を鉛直方向(廃タイヤXA1の幅方向)に進退させて廃タイヤXA1を切断する。具体的に、切断刃駆動機構15は、動力源となる油圧シリンダー22と、この油圧シリンダー22の先端で切断刃YA1を保持する保持部23と、を備えている。油圧シリンダー22は、支柱11の上部から突出したオーバーハング部分11aに対し、水平軸回りに回動可能に取り付けられている。動力源となる油圧シリンダー22がオーバーハング部分11aに取り付けられているので、廃タイヤXA1が支柱11などに突き当たることはない。すなわち、図2に一点鎖線で示すように、大きなサイズの廃タイヤXA1を切断する場合であっても、切断する位置に配置する際に、廃タイヤXA1が支柱11などに突き当たることはない。このため、大きなサイズの廃タイヤXA1を切断することができる。保持部23は、切断刃YA1を下に向けて保持する。
図1、図4(B)及び図4(C)に示されるように、切断刃YA1は、テーブル10の端縁部分に取り付けられた固定刃10aと平行となるように鉛直方向に進退する。この切断刃YA1は、固定刃10aと対になって廃タイヤXA1を切断する。図4(C)に示されるように、切断刃YA1の下端縁は斜めに傾斜しており、廃タイヤXA1及び固定刃10aに対して徐々に作用する。すなわち、切断刃YA1は、固定刃10aと対になってハサミのように機能する。
図1及び図2に示される切断刃支持機構16は、切断刃YA1と共に昇降することで、当該切断刃YA1を常時支持する。具体的に、切断刃支持機構16は、支柱11に固定された一対のレール34と、これら一対のレール34の間に配置された昇降スライダー35と、昇降スライダー35から切断刃YA1に向けて延設された一対のアーム36と、を備えている。
図2に示される切削刃駆動機構17は、横倒し状態の廃タイヤXA1の側方に切削刃YA2を進出させて、その後の廃タイヤ回転機構14による廃タイヤXA1の回転により、当該廃タイヤXA1を切断する(図5(H)〜図5(J)参照)。具体的に、切削刃駆動機構17は、動力源となる油圧シリンダー24を備えている。
次に、図5を用いて、廃タイヤ切断装置1による廃タイヤXA1を切断する流れについて説明する。図5(A)〜図5(J)は、廃タイヤ切断装置1による切断手順を説明する廃タイヤXA1の上面図である。
クレーン等の重機を操作して、廃タイヤXA1の中心に可動爪19が位置するように、当該廃タイヤXA1をテーブル10上に横倒し状態にする。そして、廃タイヤ支持機構12によって、廃タイヤXA1を支持する。これにより、常に廃タイヤXA1の中心位置を一定にしながら切断作業を行うことができる。また、廃タイヤ移動機構13によって、廃タイヤXA1を切断刃YA1の下方に移動させる(図5(A)参照)。
さらに、切断刃駆動機構15によって、切断刃YA1を駆動して廃タイヤXA1におけるビードワイヤーXA2よりも半径方向外側の部分を切断する(図5(B)参照)。なお、断片がクラッシャ3で粉砕可能な寸法となるように適宜切断することが好ましい。
その後、切断刃YA1の退避時に、廃タイヤ回転機構14によって、廃タイヤXA1を所定角度(本実施形態では、60度)回転させる。そして、切断刃駆動機構15によって、切断刃YA1を駆動して廃タイヤXA1におけるビードワイヤーXA2よりも半径方向外側の部分を切断する(図5(C)参照)。
また、廃タイヤ回転機構14による廃タイヤXA1の回転と、切断刃駆動機構15による廃タイヤXA1の切断と、を一周繰り返す。これにより、廃タイヤXA1の外周部分である接地面XA1aを除去する(図5(D)参照)。
結果、廃タイヤXA1は、上下に配置される一対の環状側壁部XA1bになる。上方に配置される環状側壁部XA1bは、落下して、下方に配置される環状側壁部XA1bに重なって束になる。その後、廃タイヤXA1支持機構によって、束になった一対の環状側壁部XA1bを、支持し直す。これにより、切断刃YA1のストロークを小さくすることができ、切断作業を短時間で行うことができる。
そして、切断刃YA1の退避時に、廃タイヤ回転機構14によって、廃タイヤXA1を所定角度(本実施形態では、30度)回転させると共に、廃タイヤ移動機構13によって、廃タイヤXA1を切断刃YA1寄りに移動する。すなわち、廃タイヤXA1を切断する位置がビードワイヤーXA2よりも半径方向外側であって、当該ビードワイヤーXA2に近付くように移動する。これにより、廃タイヤXA1における外周側で突出した部分を、切断刃YA1の下方に移動させる。また、切断刃駆動機構15によって、切断刃YA1を駆動して廃タイヤXA1を切断する(図5(E)参照)。
さらに、切断刃YA1の退避時に、廃タイヤ回転機構14によって、廃タイヤXA1を所定角度(本実施形態では、60度)回転させる。その後、切断刃駆動機構15によって、切断刃YA1を駆動して廃タイヤXA1を切断する(図5(F)参照)。
そして、廃タイヤ回転機構14による廃タイヤXA1の回転と、切断刃駆動機構15による廃タイヤXA1の切断と、を一周繰り返す(図5(G)参照)。
また、切断刃YA1の退避時に、廃タイヤ回転機構14によって、廃タイヤXA1を所定角度(本実施形態では、30度)回転させると共に、切削刃駆動機構17を駆動させる。これにより、切削刃YA2が、横倒し状態の廃タイヤXA1の側方に進出する(図5(H)参照)。
さらに、廃タイヤ回転機構14によって、廃タイヤXA1を回転させる。これにより、廃タイヤXA1における外周側で突出した部分が切断される(図5(I)参照)。このまま、廃タイヤXA1を少なくとも一周回転させる。これにより、廃タイヤXA1における外周部分から突出した部分が全て除去され、最終的にビードワイヤーXA2が露出する(図5(J)参照)。
廃タイヤ支持機構12による廃タイヤXA1の支持が解除された後に、ビードワイヤーXA2を廃タイヤ切断装置1から取り外す。そして、後で詳述するゴム分離機4において、ビードワイヤーXA2の周囲に巻き付いた布(ゴムが浸み込んだ布)を完全に分離する。
次に、図6を用いて、ゴム分離機4の構成について説明する。図6(A)は、ゴム分離機4の正面図である。図6(B)は、ゴム分離機4の側面図である。
図6(A)及び図6(B)に示されるゴム分離機4は、ビードワイヤーXA2の周囲に巻き付いた布を、削り刃YA3で削ぎ落とす。
具体的に、ゴム分離機4は、支持ローラ27と、駆動プーリー28と、モーター29と、削り刃支持機構30と、テンション調整機構31と、等を備えている。
支持ローラ27及び駆動プーリー28には、ビードワイヤーXA2が引っ掛けられる。すなわち、支持ローラ27及び駆動プーリー28は、自身に引っ掛けられたビードワイヤーXA2を支持する。駆動プーリー28は、モーター29の回転軸に取り付けられている。これにより、駆動プーリー28は、モーター29の回転によって回転し、ビードワイヤーXA2を循環するように走行させる。モーター29は、駆動プーリー28を回転させる動力源となる。削り刃支持機構30は、削り刃YA3がビードワイヤーXA2に当たるように、当該削り刃YA3を支持する。この削り刃支持機構30は、削り刃YA3を支持する位置が調整できるように構成されている。削り刃YA3は、ビードワイヤーXA2の走行方向に沿って支持される。テンション調整機構31は、ビードワイヤーXA2のテンションを調整する。具体的に、テンション調整機構31は、専用のローラ32と、このローラ32をビードワイヤーXA1に向けて進退させる油圧シリンダー33と、からなる。
このように、廃タイヤ切断装置1によれば、ビードワイヤーXA2を避けて廃タイヤXA1を切断するので、大きなパワーで切断する必要がなく、音、振動が低減される。このため、装置を大型化・重量化して強度を高める必要はない。結果、動作が遅くなることはなく、切断作業に時間が掛かることはない。
そして、ビードワイヤーXA2を避けて廃タイヤXA1を切断するので、切断刃YA1が傷むことを防止できる。このため、切断刃YA1を頻繁に交換する必要はない。このため、切断作業を中断して切断刃YA1を交換する必要性は低く、余計な時間は掛からない。
仮に、廃タイヤXA1を支持していない場合には、切断の勢いやその反動によって廃タイヤXA1が飛び跳ねることが考えられ、作業が危険であるが、廃タイヤ切断装置1では、廃タイヤXA1を内周部分で支持して切断するので、そのような危険性はない。
さらに、切断ステップ及び廃タイヤ回転ステップを順次繰り返すことで、自動化して分割することが可能となり、廃タイヤXA1の外周部分を小さい断片に順次分割できる。結果、切断作業の時間を短縮できる。
従来の廃タイヤ処理では、ビードワイヤーごと廃タイヤを切断していた。このため、廃タイヤを切断した断片(タイヤチップ)には、ビードワイヤーの破片が混入したままであった。そして、タイヤチップは、ビードワイヤーの破片ごと処理されており、ビードワイヤーを鉄くずとして回収することは難しかった。一方、ゴム分離機4によれば、ビードワイヤーXA2を切断することなく、当該ビードワイヤーXA2の周囲に巻き付いた布を完全に削ぎ落とすことができる。これにより、ビードワイヤーXA2とタイヤチップを別々に分離できる。結果、ビードワイヤーXA2を鉄くずとして回収できる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
すなわち、上記実施形態において、各構成の位置、大きさ、形状、材質、向き、数量などは適宜変更できる。
あるいは、上記実施形態において、廃タイヤ切断装置1は、超大型建機の廃タイヤXA1、すなわち、大型の廃タイヤXA1を粉砕してタイヤチップにするラインで使用されるが、本発明の廃タイヤ切断装置は、切断する廃タイヤXA1の大きさが限定されるものではなく、乗用自動車用の廃タイヤXA1、すなわち、小型の廃タイヤを粉砕してタイヤチップにするラインで使用されるものであってもよい。
あるいは、上記実施形態では、廃タイヤ移動機構13を備えているが、本発明は、切断刃YA1の退避時に、廃タイヤXA1を切断する位置がビードワイヤーXA2寄りに移動するように、廃タイヤXA1又は切断刃YA1を相対移動させる相対移動機構を備えていればよい。すなわち、上記実施形態において、廃タイヤ移動機構13に代えて、切断刃YA1の退避時に、廃タイヤXA1を切断する位置がビードワイヤーXA2寄りに移動するように、切断刃YA1を移動させる刃移動機構を備えるようにしてもよい。
あるいは、上記実施形態では、廃タイヤ回転機構14を備えているが、本発明は、切断刃YA1の退避時に、廃タイヤXA1を切断する位置が当該廃タイヤXA1の周方向に移動するように、廃タイヤXA1又は切断刃YA1を相対回転させる相対回転機構を備えていればよい。すなわち、上記実施形態において、廃タイヤ回転機構14に代えて、切断刃YA1の退避時に、廃タイヤXA1を切断する位置が当該廃タイヤXA1の周方向に移動するように、切断刃YA1を回転させる刃回転機構を備えているようにしてもよい。
あるいは、上記実施形態において、廃タイヤXA1をテーブル10上に横倒し状態にするために操作されるクレーン等の重機は、廃タイヤ切断装置1と一体型のものであってもよい。
あるいは、上記実施形態において、廃タイヤ切断装置1にゴム分離機4の機能を兼ね備えさせてもよい。具体的に、ゴム分離機としての機能を兼ね備えた形態の廃タイヤ切断装置5の構成を説明する。図7(A)は、ゴム分離機としての機能を兼ね備えた形態の廃タイヤ切断装置5の側面図である。図7(B)は、ゴム分離機としての機能を兼ね備えた形態の廃タイヤ切断装置5の側面図である。なお、廃タイヤ切断装置5の特徴部分のみを説明し、廃タイヤ切断装置1と同様の構成、作用及び効果についての説明は適宜省略する。
図7(A)及び図7(B)に示される廃タイヤ切断装置5は、廃タイヤ切断装置1の機能に加え、ビードワイヤーXA2の周囲に巻き付いた布を、削り刃YA3で削ぎ落とす機能を備えている。
具体的に、廃タイヤ切断装置5は、支持プーリー51と、廃タイヤ支持機構12と、削り刃支持機構52と、テンション調整機構53と、等を備えている。
支持プーリー51及び廃タイヤ支持機構16の可動爪19には、ビードワイヤーXA2が引っ掛けられる。すなわち、支持プーリー51及び可動爪19は、自身に引っ掛けられたビードワイヤーXA2を支持する。可動爪19は、モーター21の回転によって回転し、ビードワイヤーXA2を循環するように走行させる。削り刃支持機構52は、削り刃支持機構30と同様の構成であり、削り刃YA3がビードワイヤーXA2に当たるように、当該削り刃YA3を支持する。テンション調整機構53は、テンション調整機構31と同様の構成であって、専用のローラ54及びシリンダー55からなり、ビードワイヤーXA2のテンションを調整する。
1 廃タイヤ切断装置
13 廃タイヤ移動機構(相対移動機構)
14 廃タイヤ回転機構(相対回転機構)
15 切断刃駆動機構
XA1 廃タイヤ
XA1a 接地面(トレッド)
XA1b 環状側壁部(サイドウォール)
XA2 ビードワイヤー
YA1 切断刃
YA2 切削刃

Claims (10)

  1. 内周部分にビードワイヤーが埋め込まれた廃タイヤを外周より順次切断して複数の断片にする廃タイヤ切断方法であって、
    前記ビードワイヤーよりも半径方向外側の部分に切断刃を前記廃タイヤの幅方向に進退させて該廃タイヤを切断する切断ステップと、
    前記切断刃の退避時に、前記廃タイヤを切断する位置が該廃タイヤの周方向に移動するように、前記廃タイヤ又は前記切断刃を相対回転させる相対回転ステップと、を備え、
    前記切断ステップ及び前記相対回転ステップを順次繰り返すことを特徴とする、
    廃タイヤ切断方法。
  2. 前記切断ステップに先立って前記廃タイヤの前記内周部分を支持する支持ステップ、を備えることを特徴とする、
    請求項1に記載の廃タイヤ切断方法。
  3. 前記切断ステップ及び前記相対回転ステップを順次繰り返すことで前記廃タイヤにおける外周部分の設置面が除去されて一対の環状側壁部に分断された後に、前記一対の環状側壁部を束ねてから前記内周部分を支持し直す再支持ステップ、を備えることを特徴とする、
    請求項2に記載の廃タイヤ切断方法。
  4. 前記切断刃の退避時に、前記廃タイヤを切断する位置が前記ビードワイヤーよりも半径方向外側であって、該ビードワイヤーに近付くように、前記廃タイヤ又は前記切断刃を相対移動させる相対移動ステップ、を備えることを特徴とする、
    請求項1〜3のいずれかに記載の廃タイヤ切断方法。
  5. 前記相対移動ステップの後に前記切断ステップ及び前記相対回転ステップを順次繰り返した後であって、前記切断刃の退避時に、前記廃タイヤにおける外周部分の接地面が除去された一対の環状側壁部の外周縁に切削刃を進出させると共に、前記一対の環状側壁部又は前記切削刃を相対回転させて該一対の環状側壁部を切削する切削ステップ、を備えることを特徴とする、
    請求項4に記載の廃タイヤ切断方法。
  6. 前記切断刃を、前記廃タイヤの半径方向に直交する方向に沿って配置することを特徴とする、
    請求項1〜5のいずれかに記載の廃タイヤ切断方法。
  7. 内周部分にビードワイヤーが埋め込まれた廃タイヤを外周より順次切断して複数の断片にする廃タイヤ切断装置であって、
    前記ビードワイヤーよりも半径方向外側の部分に切断刃を前記廃タイヤの幅方向に進退させて該廃タイヤを切断する切断刃駆動機構と、
    前記切断刃の退避時に、前記廃タイヤを切断する位置が該廃タイヤの周方向に移動するように、前記廃タイヤ又は前記切断刃を相対回転させる相対回転機構と、を備え
    前記切断刃駆動機構及び前記相対回転機構は、順次交互に駆動することを特徴とする、
    廃タイヤ切断装置。
  8. 前記廃タイヤの前記内周部分を支持する廃タイヤ支持機構、を備えることを特徴とする、
    請求項7に記載の廃タイヤ切断装置。
  9. 前記切断刃の退避時に、前記廃タイヤを切断する位置が前記ビードワイヤーよりも半径方向外側であって、該ビードワイヤーに近付くように、前記廃タイヤ又は前記切断刃を相対移動させる相対移動機構、を備えることを特徴とする、
    請求項7又は8に記載の廃タイヤ切断装置。
  10. 前記切断刃駆動機構は、前記切断刃を、前記廃タイヤの半径方向に直交する方向に沿って配置することを特徴とする、
    請求項7〜9のいずれかに記載の廃タイヤ切断装置。
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