JP5114049B2 - 銅砒素化合物からの砒素液の製法 - Google Patents

銅砒素化合物からの砒素液の製法 Download PDF

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Description

本発明は、砒素を含有する銅砒素化合物含有物質から砒素を水中に浸出させて砒素含有液を作る方法に関する。
非鉄製錬においては、各種製錬中間物が発生し、また様々な形態の製錬原料となり得るものが存在する。これらの製錬中間物や製錬原料には有価金属が含まれているが、一方で砒素などの環境上好ましくない元素が含まれている。特許文献1には、硫化物形態の砒素含有物質から砒素を浸出させ、分離回収する方法が開示されている。この方法は、アルカリを添加してpH調整した水溶液中で砒素含有物質の酸化反応を進行させ、砒素を液中に浸出させるものである。このとき、pHを5〜8に調整することにより硫黄の浸出が効果的に抑制される。したがって特許文献1の方法は、砒素の硫化物を処理する方法としては有用である。
特開昭54−160590号公報
産業界で発生する砒素含有物質は、硫化物形態のものばかりではない。銅と砒素が金属間化合物形態で「銅砒素化合物」を形成しているものも多く存在する。そのような銅砒素化合物の代表例として砒化銅Cu3Asが挙げられる。ところが、このような銅砒素化合物の場合、アルカリを添加せずに酸化反応によって砒素を水中に浸出させることは極めて困難である。砒素だけでなく銅もイオンとなり、砒酸銅として砒素は沈殿してしまうからである。特許文献1のようにアルカリを添加した場合でも、pH5〜8という中性域で銅砒素化合物から砒素のみを液中に溶解させることができるかどうか、定かではない。アルカリを添加すると後々の工程においてそのアルカリを除去しなければならない場合、さらにアルカリ除去等の処理が必要となり工程が助長さてしまう。
一方、産業界から発生する砒素含有物質中の砒素を、嵩の少ない安定な結晶質化合物の形で固定化し、廃棄や保管に役立てようという研究も行われている。本出願人は、砒素含有液から砒素が極めて溶出しにくいスコロダイト型の鉄砒素化合物を合成する有益な手法を開発し、特願2006−321575号などに開示した。このような砒素の固定化技術を有効に活用するためには、金属間化合物形態の「銅砒素化合物」を主体とする砒素含有物質に適用可能な、砒素の溶解技術の確立が強く求められる。
本発明はこのような現状に鑑み、金属間化合物形態の「銅砒素化合物」を含有する物質から、特殊な薬品などを使用することなく砒素を銅と分離して水中に直接浸出させる砒素液の製法を提供しようというものである。
発明者らは詳細な検討の結果、銅砒素化合物から砒素を水中に浸出させることは、当該水中に単体硫黄あるいはS2-イオン供給物質を存在させたときに可能になることを見出した。すなわち本発明では、銅砒素化合物含有物質が水中に懸濁しているスラリーに酸化剤を添加して撹拌し、単体硫黄存在下またはS2-イオン存在下でアルカリを添加せずに銅の硫化を伴う砒素の浸出反応を進行させ、反応後、スラリーを固液分離して后液を回収する砒素液の製法が提供される。「銅砒素化合物含有物質が水中に懸濁しているスラリー」は、銅砒素化合物含有物質を水中に有するスラリーである。S2-イオン供給物質としては硫化亜鉛(ZnS)を使用することができる。硫黄の供給量は、銅砒素化合物含有物質中の銅の量に対して1当量以上とすることが望ましい。酸化剤としては酸素を含むガス(例えば純酸素)が使用できる。
金属間化合物形態の「銅砒素化合物」は、硫化物形態のものと並んで、鉱工業界で多く発生しているが、従来、その砒素を簡便な方法で浸出させる手法は確立されていなかった。本発明によれば、そのような銅砒素化合物から、工業現場で多量に発生する単体硫黄含有物質や、亜鉛精鉱(ZnS)を利用し、また、酸化剤としても特殊な薬品ではなく酸素含有ガスを使用するという簡便な手法により、砒素を水中に浸出させることが可能になった。得られた砒素液は、砒素が極めて溶出しにくいスコロダイト型の鉄砒素化合物の合成に利用でき、砒素の埋立廃棄処分に資することができる。亜砒酸の製造や、高純度砒素の製造にも利用できる。
本発明の砒素液を得るための代表的なフローを図1に示す。
鉱工業で発生する砒素含有固体物質には様々な形態のものが存在する。代表的なものとして、硫化物形態の化合物(As23、CuSなど)を主体としたものや、銅と砒素の金属間化合物(Cu3Asなど)を主体としたものが挙げられる。本発明では被処理材(原料物質)として後者の銅砒素化合物を主体としたものを対象としている。
砒素含有化合物から砒素を直接水中に浸出させるには、酸化剤を添加して酸化反応を進行させる必要がある。もし硫化物形態の砒素含有物質を対象とするならば、ある条件下で酸化剤を作用させることにより砒素を水中に浸出させることができる。しかし、金属間化合物である銅砒素化合物の場合、酸性領域下で酸化剤を作用させると、通常、砒素は銅とともに沈殿してしまう。その反応は下記(1)式、(2)式のようなものである。
Cu3As+8(O) → 3Cu2++2AsO4 3- → 2Cu3(AsO42 ……(1)
2Cu3As+11(O)+3H2O → 6CuO+2H3AsO4 → 2Cu3(AsO42+3H2O ……(2)
つまり、銅が銅イオンとなり、砒素が砒素イオンとなって、砒酸銅Cu3(AsO42が生成し、沈殿してしまう。
発明者らは詳細な検討の結果、銅砒素化合物に、単体硫黄(元素性の硫黄)またはS2-イオン存在下で酸化剤を作用させたとき、砒素を水中に浸出させる(溶解させる)ことができることを見出した。ポイントは、砒素の酸化溶解反応と、銅の硫化反応が同時に起きるようにすることにある。例えば、単体硫黄存在下での反応としては下記(3)式のようなものが想定される。
2Cu3As+6S+5(O)+3H2O → 3CuS+2H3AsO4 ……(3)
つまり、酸化剤と硫化剤を作用させ、砒素の酸化浸出(溶解)と銅の硫化を同時に進行させる。銅は硫化銅となって結果的に浸出されない。
銅を硫化させるための硫黄としては、単体硫黄(元素性の硫黄)が好適に採用される。形状は特に限定されないが、粉状の方がハンドリング性、反応性の両面において適している。元素性の硫黄は、通常、クラウス反応と呼ばれる反応で生成される。石油化学工業では原油を石油に精製する過程において、このような元素性の硫黄が大量に発生する。このため安価であり、単体硫黄を用いることでコストを低減できる。
その他に、S2-イオン供給源として亜鉛精鉱(ZnS)を使用することができる。添加される酸化剤によってZnSから亜鉛が浸出され、S2-形態の硫黄が液中に存在するようになる。S2-の存在下でも銅の硫化反応を起こすことが可能である。もちろんS2-形態を持つという意味ではNaSHやNa2Sも利用できるが、薬剤費の上昇が懸念される。
液中に存在させる硫黄の量は、被処理材である銅砒素化合物中に含まれる銅に対して1当量以上とすることが好ましい。ただしあまり多量に添加する必要はなく、通常、銅に対して1〜3当量程度の硫黄存在下において良好な結果が得られる。
なお、アルカリが入った水を用いた場合、エレメンタル・サルファー(元素性の硫黄)の酸化反応が下記(4)式のように進んでしまう。
S+3(O)+H2O → H2SO4 ……(4)
また、アルカリが存在するがゆえに中和反応が起こる。
2SO4+2NaOH → Na2SO4+2H2O ……(5)
したがって、アルカリを添加した水の場合、硫黄の酸化が促進され、かつ中和されるため、硫黄の資源化が困難になる。この点、水だけ、つまり酸性側だけで砒素の浸出反応を進行させる場合は、H2SO4の生成が最小限に抑制される。また、H2SO4が生成してもNaOHによって消費されないので、(4)式の反応が進みにくくなる。つまり硫黄が浸出されないようになる。このように、アルカリを添加しない場合のメリットは大きい。
一方、仮に硫酸を添加した場合を想定すると、これも良くない。なぜならば硫酸が存在することで、銅の酸化反応が進みやすくなるからである。これは、下記(6)式の反応式やPourbaixの電位−pHダイヤグラムからわかるとおりである。
CuS+1.5O2+H2SO4 → CuSO4+H2O+SO2 ……(6)
このように、アルカリや酸を添加しないような、水のみの浸出が再資源化にはもっとも適している。
上記(3)式のような反応により砒素を水中に浸出させるには、酸化剤の添加が必要である。一般に酸化剤としては、硝酸(HNO3)、王水(HCl+HNO3)、HCl+Br2、HCl+KClO3などの酸化性の酸が挙げられる。ただし、酸化作用が強すぎると、添加した硫黄まで酸化させてしまうことになるので好ましくない。砒素以外に水銀などが微量ながら浸出されてしまう可能性もある。特に水銀は排出規制がμg/Lオーダーとなるため、できる限り浸出させないようにすることが好ましい。固体・液体の酸化剤を添加するという手段をとった場合、添加量を厳密に調整しなければならず、もし局所的にでも入れすぎてしまった場合は、硫黄の酸化や、好ましくない不純物(水銀等)の浸出を招く可能性がある。この点、ガスを使用すると、ガス導入量によって添加量を微調整できるので、不純物を浸出させてしまう可能性が低くなる。
このようなことから、本発明では酸素含有ガスを酸化剤として使用することが適している。具体的には、酸素ガス(純酸素)や、純酸素を空気で稀釈したガスなどを、被処理材である銅砒素化合物含有物質が混合された水中に吹き込む手法が好適に採用できる。密閉容器の場合は液面と接する気相部に吹き込むようにしてもよい。酸素供給源としてオゾン(O3)、過酸化水素(H22)、二酸化マンガン(MnO2)なども併用できるが、薬品コストがかかり、また酸素ガスだけで砒素の浸出が可能であるので、これらは特に使用する必要はない。なお、酸素ガスの温度は、液温管理に影響を与えない範囲であることが望ましい。
アルカリを添加せずに水だけで銅砒素化合物含有物質から砒素を浸出させる反応(例えば前記(3)式)を進行させるには、酸素ガスの添加と並んで、撹拌が重要である。液中にガスを吹き込む添加方法の場合はバブリングが生じるが、それだけでは不十分であり、機械的な強撹拌が望まれる。例えば、スラリーを収容した容器内で、当該スラリー中の懸濁粒子をほぼ均一に分散させることのできるサイズの回転翼を使用して強撹拌することが望ましい。
被処理材である砒素含有硫化物と、水との混合割合は、硫黄を添加した状態において機械的な強撹拌によりスラリーが十分に流動するように調整する必要がある。例えば、水1L(リットル)と混合する銅砒素化合物含有物質の粉体の量(乾量基準)を700g以下(すなわち700g/L以下)とすることが望ましい。ただし生産性の観点から、100g/L以上の混合量を確保することが有利である。
砒素の浸出反応および銅の硫化反応を同時に進行させるときの液温は60℃以上とすればよい。100℃以上でも反応は進むが、オートクレーブなどの耐圧容器にコストがかかるため経済性を勘案して決定される。反応をより速く進行させるためには90℃以上、オープン系では90〜100℃とすることが好ましい。また、スラリー液面に接する気相部における酸素分圧については、特に高める必要はなく、大気開放の状態(オープン系)で行うことができる。ただし、オートクレーブのような密閉容器を用いると、設備コストは増大するが、酸化剤として添加する酸素ガスの使用量を節約するうえでは有利となる。すなわち、オープン系では液中に添加した酸素ガスの大部分は系外に逃げてしまうのに対し、液相部と気相部を有する密閉容器内で反応させる場合は、気相部のゲージ圧をモニターすることによって、酸化反応で消費されるに足る量の酸素だけを供給することが可能である。
砒素の浸出反応を進行させるのに必要となる酸化力は、酸化還元電位(ORP)を測定することによって評価される。ORPは、学術文献では標準水素電極で標記されるのが一般的であるが、この電極は白金電極と水素ガスを使って構成されるものであるので、危険を伴い、装置も複雑となる。そこで、ここでは測定装置が普及しているAg/AgCl電極を用いて測定されるORPの値を採用している。できるだけ砒素だけを選択的に浸出させるためには、反応後スラリーのORPが200mV以上となる条件で反応させることが望ましく、250mV以上となる条件がより好ましい。pHについては、反応後スラリーのpHが2.5以下となる条件で反応させることが望ましい。
反応時間は、吹き込む酸素ガスの量、撹拌の強度、温度などによって多少変動するが、1時間程度で反応をほとんど終了させることができる。本発明で対象とする金属間化合物形態の砒素含有物質は、硫化物形態のものより容易に酸化されやすいと推測される。
砒素の浸出反応を終えた「反応後スラリー」は、固液分離される。固液分離は、フィルタープレス、遠心分離、デカンター、ベルトフィルターなど一般的なろ過手段のどれであっても適用は可能である。ろ過性、脱水性、洗浄性を勘案して機器および条件が決定される。ここで、液温はろ過性を良好にするため高いほど良いが、70℃を超えるとろ過機器の材質選定に制約が生じるので注意を要する。例えばフィルタープレスのろ板材にポリプロピレンを用いると、スタンダードなものでは70℃までの耐熱性しかない。
固液分離された固形分は、有価な銅、硫黄などを含む化合物であるといえるので、例えば銅製錬の工程においては自溶炉、反射炉へ直接投入してアノードを作成し、硫酸を製造するために利用できる。一方、固液分離された后液(浸出液)は、砒素を含んだ液である。その他の不純物は基本的に少ない。この砒素液は、例えば本出願人が特願2006−321575号等で提案した鉄砒素化合物の合成に利用できる。この鉄砒素化合物は、砒素が極めて溶出しにくく嵩の小さいスコロダイト型の結晶であり、砒素の固定化および廃棄に極めて有用である。また本発明で得られた砒素液は、還元・冷却晶析させることで亜砒酸の製造に利用できる他、更なる高純度化プロセスを経て、高純度砒素を作ることにも利用できる。
《比較例1》
出発原料(被処理材)として表1に示す組成の銅砒素化合物含有物質を用意した。これを用いて、酸素ガスだけで(すなわち硫黄を添加しないで)水中への砒素の浸出を試みた。
600mLの水をビーカーに入れ、これに上記出発原料120gを混合することにより反応前スラリーを得た。反応前スラリーにおける銅砒素化合物含有物質の液中含有量は200g/Lに相当する。撹拌装置として2段ディスクタービン撹拌機と4枚の邪魔板をセットし、蓋をして、回転数600rpmで強撹拌した。そして液温が95℃になるように加温した。所定の温度になったところで、酸素ガス(純度99%)を0.3L/minの流量で液中に導入した。液温を上記に維持しながら撹拌と酸素の導入を4時間行った。撹拌操作終了後のスラリーを加圧ろ過器にて固液分離した。ろ過は、1ミクロンのPTFEメンブランフィルターを用い、0.4MPaの加圧で行った。固液分離した后液の液性としてpHおよびORP(酸化還元電位:Ag/AgCl電極)を測定した。
后液の組成分析を実施した。
分析は、塩酸酸性の液にして、ICPにて行った。すなわち、すなわち、后液をホールピペットで2mL採取して100mLのメスフラスコに入れ、試薬特級の塩酸(33%の品位)を8mL添加した後100mLに希釈した。ICPの分析感度を超えた場合は、更に10〜200倍に希釈してICP分析を実施した。水銀については還元気化原子吸光法によってμg/Lオーダーで分析した。
次に、単純に水で希釈して、イオンクロマトグラフィーによる分析を実施した。イオンクロマトグラフィーでは、分析できる元素(イオン)が限られている。ここでは塩素イオン(Cl)と硫酸イオン(SO4)を対象とした。分析機器は東亜ディケーケー(株)製のイオン分析計(IA−100)を使用した。500倍から50000倍に希釈して、溶離液と共に展開してクロマトグラムを得て分析するというものである。pH、ORPの結果を表2に、ICP分析結果を表3に、后液の水で希釈してイオンクロマトグラフィーにかけた分析結果を表4に示す(後述の各例において同じ)。また、これらの分析結果および投入した原料の量と品位から計算される浸出率(溶解率)を算出し、その結果を表5、表6に示す(後述の各例において同じ)。なお、浸出率の値は、計算上、100%を少し超える値として求まることがあるが、それらについても100%と表示してある(以下の各例において同じ)。
比較例1の結果から、酸素の供給と強撹拌だけでは、金属間化合物形態の砒化銅を主成分とした砒素含有物質から、砒素の浸出液(銅がほとんど浸出していないもの)を得ることは困難であることがわかる。砒素の浸出率は8.5%と低く、一方で銅は15%近くも浸出している。硫黄は100%浸出している。硫黄は単純に酸化して硫酸になるならば、ガス中でSO2−SO3となって製品の硫酸になる方が、有益である。ここでの反応のように希釈な液として硫酸が作られても、あまり有益とは言えない。
《実施例1》
比較例1と同様の操作を実施した。ただし、ここでは前記銅砒素化合物含有物質の他、試薬の単体硫黄(和光純薬工業社製)を混合して反応前スラリーを得た。反応前スラリー中の砒素含有物質の量は比較例1と同様200g/Lに相当する(以下の各実施例において同じ)。また、単体硫黄の添加量は、液中に混合された砒素含有物質中の銅の含有量に対して1当量になる量とした。つまり、単体硫黄の添加量は、200(g/L)×0.6(液量)×37.14%(銅品位)/63.546×32×1=22.44gである。その他の条件は比較例1と同じである。
《実施例2》
実施例1と同様の操作を実施した。ただし、ここでは、試薬の単体硫黄(和光純薬工業社製)の添加量は、液中に混合された砒素含有物質中の銅の含有量に対して2当量になる量とした。つまり、単体硫黄の添加量は、200(g/L)×0.6(液量)×37.14%(銅品位)/63.546×32×2=44.88gである。その他の条件は実施例1と同じである。
《実施例3》
実施例1と同様の操作を実施した。ただし、ここでは、試薬の単体硫黄(和光純薬工業社製)の添加量は、液中に混合された砒素含有物質中の銅の含有量に対して3当量になる量とした。つまり、単体硫黄の添加量は、200(g/L)×0.6(液量)×37.14%(銅品位)/63.546×32×3=67.32gである。その他の条件は実施例1と同じである。
実施例1〜3の結果から、金属間化合物形態の砒化銅を主成分とした砒素含有物質は、単体硫黄を存在させた水中で強撹拌しながら酸素を作用させると、砒素が水中に高い浸出率で浸出され、砒素液の原料として利用できることが確認された。銅砒素化合物中の銅は浸出残渣に固定して回収できる。硫黄についてもほとんど全てが残渣中に固定化できていることがわかる。
《実施例4》
実施例1と同様の操作を実施した。ただし、ここでは、単体硫黄に替えて、試薬の硫化亜鉛ZnS(和光純薬工業社製)を使用した。硫化亜鉛の添加量は、液中に混合された砒素含有物質中の銅の含有量に対してSが2当量になる量とした。つまり、硫化亜鉛の添加量は、200(g/L)×0.6(液量)×37.14%(銅品位)/63.546×97.37×2=136.58gである。その他の条件は実施例1と同じである。
実施例4の結果から、硫黄源として硫化亜鉛を使用することによっても、金属間化合物形態の砒化銅を主成分とした砒素含有物質から砒素を水中に浸出させることが可能であることがわかる。その浸出率は単体硫黄を使用した場合よりも低いが、浸出液中への銅の溶解が極めて低減されるという特長がある。最適条件の探求により砒素の浸出率は改善可能であると考えられる。
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本発明の砒素液の製法についての代表的なフローを示した図。

Claims (5)

  1. 銅砒素化合物含有物質が水中に懸濁しているスラリーに酸化剤を添加して撹拌し、単体硫黄存在下でアルカリを添加せずに銅の硫化を伴う砒素の浸出反応を進行させ、反応後、スラリーを固液分離して后液を回収する砒素液の製法。
  2. 銅砒素化合物含有物質が水中に懸濁しているスラリーに酸化剤を添加して撹拌し、S2-イオン存在下でアルカリを添加せずに銅の硫化を伴う砒素の浸出反応を進行させ、反応後、スラリーを固液分離して后液を回収する砒素液の製法。
  3. 前記S2-イオン供給物質として硫化亜鉛(ZnS)を使用する請求項2に記載の砒素液の製法。
  4. 銅砒素化合物含有物質中の銅の量に対して1当量以上の硫黄を供給する請求項1〜のいずれかに記載の砒素液の製法。
  5. 酸化剤が酸素を含むガスである請求項1〜のいずれかに記載の砒素液の製法。
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