JP5113869B2 - 液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に係り、特に、電圧無印加時に液晶分子が垂直配向している状態を利用する液晶表示装置及びその製造方法に関する。
従来、アクティブマトリクス型の液晶表示装置(LCD)としては、正の誘電率異方性を持つ液晶材料を基板面に水平に、かつ対向する基板間で90度ツイストするように配向させたTNモードの液晶表示装置が広く用いられている。しかし、このTNモードは視角特性が悪いという問題を有しており、視角特性を改善すべく種々の検討が行われている。
これに代わる方式として、負の誘電率異方性を持つ液晶材料を垂直配向させ、かつ基板表面に設けた突起やスリットにより電圧印加時の液晶分子の傾斜方向を規制するMVA(Multi−domain Vertical Alignment)方式が開発され、視角特性を大幅に改善することに成功している。
MVA方式の液晶表示装置を図1及び図2を用いて説明する。図1はMVA方式の液晶表示装置の概念を示す斜視図である。図2はMVA方式の液晶表示装置を基板面法線方向に見た画素7上の液晶分子の配向方向を示す概念図である。
図1に示すように、MVA方式の液晶表示装置では、2枚のガラス基板21、22の間で誘電率異方性が負の液晶材料(液晶分子)5が垂直配向されている。一方のガラス基板21には、不図示のTFTに接続された画素電極が形成されており、他方のガラス基板22側には対向電極が形成されている。そして、画素電極上および対向電極上に、それぞれ突起61、62が交互に形成されている。不図示の画素電極及び対向電極、及び突起61、62上には不図示の垂直配向膜が形成されている。
TFTがオフ状態で液晶分子5に電圧が印加されない場合には、図1(a)に示すように、液晶分子5は基板界面と垂直な方向に配向されている。そして、TFTをオン状態にした場合には、液晶材料5に電界がかかり、突起61、62の形成構造によって液晶分子5の傾斜方向が規制される。これにより液晶分子5は図1(b)に示すように、一画素内において複数の方向に配向する。例えば、図2のように突起61、62が形成されている場合には、液晶分子5はA、B、CおよびDの方向にそれぞれ配向する。このようにMVA方式の液晶表示装置では、TFTをオン状態にした際に液晶分子5が複数の方向に配向されるので、良好な視角特性を得ることができる。
上記MVA方式では、垂直配向膜は液晶分子5の傾斜方向を規制する訳ではない。従って、TNを代表とする水平配向方式では必須のラビング等の配向処理工程を必要としない。これは、ラビング処理時に生じる静電気やゴミの問題を無くし、配向処理後の洗浄工程が不要であるというプロセス上の利点を有する。また、プレティルトのばらつきによる表示むらの問題等もないので、プロセスの簡便化、歩留まりの向上により、低コスト化が可能という利点もある。
特開平11−95221号公報 特開平5−232465号公報 特開平8−338993号公報 特開平08−036186号公報
このようにMVA方式は種々の利点を有するが、さらに現状の垂直配向膜の形成工程を省くことができれば、さらなるプロセスの簡便化、歩留まりの向上、及び低コスト化が可能になる。また、近年のLCDの大型化に対応してますます大型化するマザーガラスに垂直配向膜を形成する必要があるが、現状の配向膜印刷装置では対応し切れなくなる可能性があるという問題が生じている。
また、現状の垂直配向膜の形成方法では、垂直配向領域内に白線と呼ばれる水平配向ドメインが残ってしまう現象が存在している。この白線を減少もしくはゼロにしてコントラストの低下を抑制する必要が生じている。
本発明の目的は、現状の垂直配向膜の形成工程を省略してコストダウンを実現できる液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、マザーガラスが大型化しても容易に垂直配向膜を形成できる液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、白線を減少させてコントラスト低下を抑制することができる液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
上記目的は、基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置において、
前記液晶材料は、
化学式13
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Rはステロイド骨格を有する有機基を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記モノマー材料を含んだ系からなる紫外線硬化物が前記基板界面に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置によって達成される。
以上の通り、本発明によれば、現状の垂直配向膜の形成工程を省略してコストダウンを実現できる。
また、本発明によれば、マザーガラスが大型化しても容易に垂直配向膜を形成できる。
さらに、本発明によれば、白線を減少させてコントラスト低下を抑制することができる。
MVA方式の液晶表示装置の概略構成を示す斜視図である。 MVA方式の液晶表示装置の概略構成を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法の基本原理1を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法の基本原理2を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置の液晶材料に混入するステロイド骨格を有する単官能モノマー材料の例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置の液晶材料に混入する環構造を有する二官能モノマー材料の例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置の液晶材料に混入するモノマー材料の混合比による電圧保持率と配向状態の変化を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置の液晶材料に混入するステロイド骨格を有する二価の有機基の例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置の液晶材料に混入するモノマー材料の混合比による電圧保持率と配向状態の変化を示す図である。 本発明の第2の実施の形態による液晶表示装置の液晶材料に混入する単官能モノマー材料の例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態による液晶表示装置の液晶材料に混入する環構造を有するモノマー材料の例を示す図である。 垂直配向領域内に白線となる水平配向ドメインが生じている現象を示す図である。 本発明の第2の実施の形態による液晶表示装置の液晶材料に混入する単官能モノマー材料の例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態による液晶表示装置の液晶材料に混入するモノマー材料の混合比による電圧保持率と配向状態の変化を示す図である。 本発明の第3の実施の形態における液晶表示装置の製造方法により、垂直配向領域内に白線として視認される水平配向ドメインが減少されること示す図である。 本発明の第3の実施の形態における液晶表示装置の製造方法において、照射量と電圧保持率の関係を示す図である。 従来のLCD製造プロセスを簡単に示す図である。 配向制御層を液晶注入後に形成する方法の概略を示す図である。 15型のアクティブマトリクスLCDの液晶表示パネルを点灯した際に確認される表示むらを示す図である。 液晶注入口での正常部と異常部について、ストレージ駆動した電圧透過率(階調透過率)特性を比較したグラフである。 透明電極を有する基板を一対に貼合せた電圧保持率評価用の大型パネル(15型相当)を用いて液晶注入口での表示むらの問題点を示す図である。 本発明の第4の実施の形態における液晶セルへのUV照射工程と電圧保持率の関係を示す図である。 液晶材料中に配向補助材の構成物質を混合させて、その添加物が液晶比抵抗を低下させていることを説明する図である。 本発明の第4の実施の形態における液晶セルにおいて、二官能モノマーの量等を変化させ、液晶注入口近傍の光照射量に対する電圧保持率の変化を調べた結果を示している。 本発明の第4の実施の形態における液晶セルにおいて、二官能モノマーの量等を変化させ、表示領域中央部での光照射量に対する電圧保持率の変化を調べた結果を示している。 本発明の第4の実施の形態における液晶セルにおいて、図23に示した二官能モノマーBを増量させた場合と、単官能モノマーDの純度を高くした場合の液晶セルの液晶注入口部での電圧保持率を比較したグラフである。 本発明の第4の実施の形態における液晶セルにおいて、図23に示した二官能モノマーBを増量させた場合と、単官能モノマーDの純度を高くした場合の液晶セルの表示領域中央部での電圧保持率を比較したグラフである。 本発明の第4の実施の形態における液晶セルにおいて、図23に示した二官能モノマーBを増量させた場合であって、重合開始剤の有無による液晶セルの液晶注入口部での電圧保持率の相違を示す図である。 本発明の第4の実施の形態における液晶セルにおいて、図23に示した二官能モノマーBを増量させた場合であって、重合開始剤の有無による液晶セルの表示領域中央部での光照射量に対する電圧保持率の変化を調べた結果を示している。 本発明の第4の実施の形態における液晶セルにおいて、液晶セルの注入口部における単官能モノマー純度と電圧保持率の関係を調べた結果を示す図である。 本発明の第4の実施の形態における液晶セルにおいて、二官能モノマーBの添加量を2.4倍にした以外は図30と同様の条件で単官能モノマーDの純度の相違による照射エネルギーと電圧保持率との関係を調べた結果を示す図である。 本発明の第4の実施の形態における液晶セルにおいて、横軸に単官能モノマーDの純度(GC%)をとり、縦軸に電圧保持率(%)をとったグラフである。 本発明の第4の実施の形態で使用するのに好適な液晶パネルの断面を示している。 本発明の第4の実施の形態で使用するのに好適な液晶パネルの断面を示している。 本発明の第4の実施の形態で使用するのに好適な滴下注入法による液晶表示パネルの製造工程を示す図である。 本発明の第4の実施の形態で使用するのに好適な滴下注入法において、同一の混合液晶ではなく2種類以上の混合液晶を滴下して液晶パネルを作製することを説明する図である。
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法について図3乃至図9を用いて説明する。本実施の形態では、垂直配向膜を塗布形成していない2枚の基板を対向させ、その間に液晶材料を挟持する。液晶材料には、液晶分子のダイレクタ方向を規制することが可能な分子構造を有し、かつその骨格の片側に光反応基を有するモノマー材料が混入されている。基板間に液晶材料を挟持した後、紫外線を照射してモノマー材料が硬化した紫外線硬化物(ポリマー)を基板界面に形成する。ここで、液晶分子のダイレクタ方向を規制することが可能な分子構造としてはアルキル鎖が一般的である。また、光反応基とは、アクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、アリル基等、不飽和二重結合を有し紫外線照射により別の分子と重合可能である骨格部を指す。
図3に本実施の形態の基本原理1を示す。液晶注入直後には、図3(a)に示すように、アルキル鎖等の疎水性骨格2aと骨格の片側に光反応基2bを有する単官能モノマー2とを混合している液晶分子5は水平配向している。基板22表面には何も形成されていない。そこに、紫外線を照射することにより、図3(b)に示すように、液晶分子5のダイレクタ方向を規制する基が、界面に対し液晶分子5を垂直配向させるように、基板22表面にポリマー膜4が形成される。従来からある高分子分散液晶(PDLC)と呼ばれるものとは異なり、液晶層全体に渡ってポリマーを形成するのではなく、配向膜のように基板22表面に形成された薄膜状のポリマー(樹脂)膜4により配向制御を行う。ここで、単官能モノマー2のみでポリマーを形成した場合には、ポリマーは図3(b)に示すように直列した構造になり、ポリマー膜4は、当該ポリマーが物理的に堆積し絡み合った樹脂膜となる。
図4に本実施の形態の基本原理2を示す。図4(a)に示すように、単官能モノマー2だけでなく、アルキル鎖等の疎水性骨格3aと骨格の両側に光反応基3b、3bを有する二官能モノマー3、若しくはそれ以上の光反応基(官能基)を有する多官能モノマーを用いた場合には、図4(b)に示すように化学的に立体的な網目状のポリマー膜4が形成される。この場合の方が、より強固で信頼性の高いポリマー膜4が得られる。
ところで、液晶分子を垂直に立たせるために、通常のアルキル鎖Cn2n+1に光官能基を1つ付与しただけの単官能アルキルモノマーを用いた場合、その垂直配向性はそれほど高くはなく、二官能モノマーの混合割合を減らし難いという問題点がある。これはC12(ラウリル)〜C18(ステアリル)までアルキル鎖を振っても配向に違いは殆ど見られない。上記のような単純なアルキル鎖は屈曲性が高く、アルキル鎖を長くしていくと垂直配向性への寄与が低くなるためだと考えられる。
鋭意試行の結果、形成する紫外線硬化樹脂の成分として、ステロイド骨格を有する材料を用いることで、垂直配向規制力を向上させることが可能であることを見出した。ここで、ステロイド骨格を有する基の中でも、特に図5(a)〜(d)に示すような有機基群が好ましい。このようなステロイド骨格を有する材料を用いることで、モル比にして半分程度の量の添加においても、単純なアルキルモノマーよりも優れた垂直配向性を得ることが可能となる。
次に、液晶表示装置としての信頼性を保つためには、液晶内に不純物イオンを放出しないようにすることが必要不可欠である。そのために、環構造を少なくとも1つ有し、末端にアクリレート基もしくはメタクリレート基を有する二官能以上の材料を混合した系で紫外線硬化樹脂を形成する。鋭意試行の結果、このような材料を用いることにより、重合開始剤を添加することなく、残存モノマーの少ない樹脂膜の形成が可能であることを見出した。特に、図6(a)〜(d)に示すような、環構造とアクリレート基もしくはメタクリレート基の間にスペーサが入らないものが好ましい。もしくは入ったとしても、−CH2−1つ程度がよい。
上述の二官能もしくはそれ以上の多官能モノマーの混合比率を大きくしていくと、未反応のモノマーの残存率が低下していくため、それに従い電圧保持率などの電気的特性が向上する。しかし、あるレベルを超えて比率を大きくしていくと、垂直配向が得られなくなってしまう。この問題を解決するために、図5に示したステロイド骨格を有する二官能モノマーを用いる。二官能全て、もしくは一部を上記ステロイド骨格を有する二官能モノマーに置き換えることで、電気的特性と垂直配向性が高いレベルでバランスの取れた樹脂膜、さらには優れた液晶表示装置の実現が可能となる。
以下、具体的に参考例及び比較例を用いて詳細に説明する。
参考例1−1]
図5に示すようなステロイド骨格を有し、図中のOH基をアクリレート基に置き換えた構造のモノマーを作製した。そして、メルク社製のネガ型液晶Aに当該モノマーを1.3×10−4mol/g溶かし、次に、図6に示すような環構造を有する二官能モノマーを10分の1の量に当たる1.3×10−5mol/gだけ液晶材料に溶かし、その混合液晶を評価セルに注入、封止をした。評価セルにはITO(インジウム・ティン・オキサイド)を電極として形成したガラス基板2枚を用い、セル厚4.25μmとなるように貼り合わせた。基板には配向膜を形成せず、表面に紫外線を1500mJ照射したものを用いた。
作製直後の評価セルの配向状態を観察したところ、流動性配向が見られ、水平配向と垂直配向が混在した状態であった。その後、評価セルを90℃、30分アニール処理し、冷却後、無偏光の紫外線を9000mJ照射した。配向を観察した結果、評価セルの全領域で完全な垂直配向が得られた。
[比較例1−1]
参考例1−1と同様の実験を、ステロイド骨格を持たないモノマー材料、ラウリルアクリレートCH=CHCOOC1225を用いて行った。
その結果、紫外線照射前後でほとんど配向に変化が見られず、良好な垂直配向を得ることができなかった。徐々に添加量を増やしていったところ、約2倍の2.4〜2.5×10-4mol/gの添加(二官能モノマーは比率10分の1固定で2.4×10-5mol/g溶かしてある)で、同程度の垂直配向が得られた。また、同じ実験をステアリルアクリレートCH2=CHCOOC1837を用いて行ってみたが、ラウリルアクリレートと明確な差は見られなかった。
[比較例1−2]
比較例1−1と同様の実験を、図6に示すような環構造を有する二官能モノマーの代わりに、環構造を持たないモノマーHDDAを用い、同じく1.3×10-5mol/gだけ液晶材料に溶かし、その混合液晶で評価セルを作製した。
その結果、比較例1−1と同様、紫外線照射前後でほとんど配向に変化が見られず、さらに紫外線を9000mJ照射しても参考例1−1のように垂直配向が得られることはなかった。そこで、重合開始剤としてIrg651を液晶に対して0.2wt%添加し、紫外線照射を行ったところ、全体に垂直配向を得ることができた。しかし、電圧保持率を測定したところ、注入口際を中心に大幅な電圧保持率低下が見られた。
[比較例1−3]
比較例1−1と同様の実験を、図6に示すような環構造を1つ以上有する二官能モノマーで、環構造とアクリレート基もしくはメタクリレート基との間にCH2を付与し(図6(c)に対する図6(d)の関係)、反応性の違いを見た。ここで、CH2の個数は1、2、4、6と振り、混合比および、添加モル量は全く同じとした。
その結果、環構造の個数や環と環を繋ぐ構造といったものにほとんど関係なく、CH2が2つ入ると紫外線照射前後の変化が急速に見られなくなり、CH2が4つと6つ入ったものではどれだけあてても紫外線照射後に垂直配向が得られることはなかった。
参考例1−2]
メルク社製のネガ型液晶Aにラウリルアクリレート2.4×10−4mol/gと図6に示すような環構造を有する二官能モノマーを液晶材料に溶かし、その混合液晶を評価セルに注入、封止をした。ここで、評価セルは二官能モノマーのラウリルアクリレートに対するモル比を振って作製した。その他の作製条件は参考例1−1に準じ、評価セルにはITOを電極として形成したガラス基板2枚を用い、セル厚4.25μmとなるように貼り合わせた。基板には配向膜を形成せず、表面に紫外線を1500mJ/cm照射したものを用いた。
紫外線を9000mJ/cm2照射後における、保持期間を1.67sとした場合の電圧保持率比および垂直配向性の評価結果を図7に示す。図7の横軸はC12対二官能モノマーの混合比を表し、縦軸は保持率比を表している。ここで、保持率比1.0は飽和したときの保持率の値としている。また、図中の横方向矢印における○印は垂直配向が得られる混合比領域を表し、△印は部分的に水平配向が残る混合比領域を表し、×印は水平配向のままの状態となる混合比領域を表している。図7に示したように、電圧保持率は二官能モノマーの比率を増やしていくと次第に上昇し、どの材料を用いてもおよそ7:1〜6:1でほぼ飽和した。しかし、逆に垂直配向性は次第に低下していき、10:1を下回るころから垂直になりきらない領域が発生し始めた。そして、保持率的に最良となる条件では垂直配向が得られないという相反する結果であった。
次に、二官能モノマーの添加量の半分を図8(a)〜(d)に示すようなステロイド骨格を有し、図中のOH基をアクリレート基にした構造の二官能モノマーに置き換え、同様の実験を行った。その結果を図9に示す。図9の横軸はC12対二官能モノマーの混合比を表し、縦軸は保持率比を表している。また、図中の横方向矢印における○印は垂直配向が得られる混合比領域を表し、△印は部分的に水平配向が残る混合比領域を表し、×印は水平配向のままの状態となる混合比領域を表している。図9に示すように、電圧保持率の変化する過程に大きな変化は見られなかったが、垂直配向を実現できる範囲が拡大され、今まで実現し得なかった電圧保持率と垂直配向の高いレベルでの両立を達成することができた。
以上のように、本実施の形態を用いることにより、液晶表示装置、特にMVA方式に代表される垂直配向型において、配向膜形成工程が不要となるため、大幅なコストダウンが実現可能となる。
さらに、従来方式の配向膜印刷装置では対応し切れない超大型のマザーガラスにおいても、その大きさに影響受けることなく、容易に液晶配向制御層を形成可能となる。また、凹凸の大きな基板や、曲面の基板といった印刷が困難な基板を用いた液晶表示装置の実現も可能となる。
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法について図10乃至図14を用いて説明する。上述のように、液晶分子を垂直に立たせるために通常のアルキル鎖Cn2n+1に光官能基を1つ付与しただけの単官能アルキルモノマーではその垂直配向性はそれほど高くはない。
鋭意試行の結果、形成する紫外線硬化樹脂の成分として、通常のアルキル鎖の間に環構造を導入したような材料系を用いることで、垂直配向規制力を向上させることが可能であることを見出した。さらに具体的には、液晶材料が、化学式14
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Aはベンゼン環もしくはシクロヘキサン環を示し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、aは0もしくは1を示し、mは0〜10の整数、nは0〜2の整数を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、又は、化学式15
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Aはベンゼン環もしくはシクロヘキサン環を示し、R1は炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、R2はCH3またはフッ素原子を示し、aは0もしくは1を示し、mは0〜10の整数、nは0〜2の整数を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、基板間に当該液晶材料を挟持してから、紫外線を照射してモノマー材料を硬化して基板界面に紫外線硬化物を形成する。
このとき、垂直配向能の観点からはn=0の方が好ましく、添加モル比に対する垂直配向能という点では良好な結果が得られる。ただし、可溶性が若干低下してしまう。また、分子量を下げるという点からはa=0の方が望ましく、その場合にはm=0とし、反応基とベンゼン環が直結した構造を取ることができる。これらは混合させる液晶との相性によって使い分けることで、より優れた効果を出すことができる。
上記のモノマーを利用する上で、最大の問題は可溶性にある。どんなに垂直配向能が高い材料であっても、用いる母液晶に垂直配向を実現できる必要量が溶けないようでは意味を持たない。鋭意試行により、R1における炭素原子数と整数nの和が20以下でないと、良好な垂直配向を実現できる樹脂膜が形成されないことが分かった。また、R1における炭素原子数と整数nの和が5未満では、従来のアルキルモノマーに対する優位性が損なわれてしまうことも分かった。以上、モノマー材料の構成条件として、R1における炭素原子数と整数nの和は5以上20以下である必要があるが、その中でも特にR1が炭素数6〜12程度のアルキル基もしくはそれと同等の長さを有するアルコキシル基であることが望ましい。
さらに、式中のR2として、CH3またはフッ素原子を導入してもよく、これにより垂直配向能や可溶性を向上させることができる。図10(a)〜(d)に本実施の形態における単官能モノマー材料の例を示す。このような材料を用いることで、モル比にして半分程度の量の添加においても、単純なアルキルモノマーよりも優れた垂直配向性を得ることが可能となる。
次に、液晶表示装置としての信頼性を保つためには、液晶内に不純物イオンを放出しないようにすることが必要不可欠である。そのために、環構造を少なくとも1つ有し、末端にアクリレート基もしくはメタクリレート基を有する二官能以上の材料を混合した系で、紫外線硬化樹脂を形成する。鋭意試行の結果、このような材料を用いることにより、重合開始剤を添加することなく、残存モノマーの少ない樹脂膜の形成が可能であることを見出した。特に、図11(a)〜(d)に示すような、環構造とアクリレート基もしくはメタクリレート基の間にスペーサが入らないものが好ましい。もしくは入ったとしても、−CH2−1つ程度がよい。
上述の二官能もしくはそれ以上のモノマーの混合比率を大きくしていくと、未反応のモノマーの残存率が低下していくため、それに従い電圧保持率などの電気的特性が向上する。しかし、あるレベルを超えて比率を大きくしていくと、従来のアルキルモノマーでは垂直配向が得られなくなってしまう。しかし、本実施の形態で示す単官能モノマーを用いることにより、この問題を解決し、電気的特性と垂直配向性が高いレベルでバランスの取れた樹脂膜、しいては優れた液晶表示装置の実現が可能となる。
以下、具体的に実施例及び比較例を用いて詳細に説明する。
[実施例2−1]
図10に示すようなアルキル鎖の間に環構造を有する構造のモノマーを作製した。そして、メルク社製のネガ型液晶Aに1.3×10-4mol/g溶かし、次に、図11に示すような環構造を有する二官能モノマーを10分の1の量に当たる1.3×10-5mol/gを液晶Aに溶かし、その混合液晶を評価セルに注入、封止をした。評価セルにはITOを電極として形成したガラス基板2枚を用い、セル厚4.25μmとなるように貼り合わせた。基板には配向膜を形成せず、表面に紫外線を1500mJ/cm2照射したものを用いた。
作製直後の評価セルの配向状態を観察したところ、流動性配向が見られ、水平配向と垂直配向が混在した状態であった。その後、評価セルを90℃、30分アニール処理し、冷却後、無偏光の紫外線を9000mJ/cm2照射した。配向を観察した結果、評価セルの全領域で完全な垂直配向が得られた。図12は、垂直配向領域内に白線となる水平配向ドメインが生じている現象を示している。図12(b)に示すように、初期の垂直配向状態において白い線状の欠陥が部分的に観察される場所があったが、その個所に圧力を加えると完全に消え、その後元に戻ることはなかった。
[比較例2−1]
実施例2−1と同様の実験を、アルキル鎖の間に環構造を持たない通常のアルキルモノマー材料、ラウリルアクリレートCH2=CHCOOC1225を用いて行った。
その結果、紫外線照射前後でほとんど配向に変化が見られず、良好な垂直配向を得ることができなかった。徐々に添加量を増やしていったところ、約2倍の2.4〜2.5×10-4mol/gの添加(二官能モノマーは比率10分の1固定で2.4×10-5mol/g溶かしてある)で、垂直配向状態が得られた。しかし、図12(a)に示すように、垂直配向状態において白い線状の欠陥が多く見られた。そのため、コントラストが低く、黒表示をした場合にざらつきが目立つって見えた。また、その個所に圧力を加えてもあまり消えることはなかった。同じ実験をステアリルアクリレートCH2=CHCOOC1837を用いて行ってみたが、ラウリルアクリレートと明確な差は見られなかった。
[比較例2−2]
比較例2−1と同様の実験を、図11に示すような環構造を有する二官能モノマーの代わりに、環構造を持たないモノマーHDDAを用い、同じく1.3×10-5mol/g溶かし、その混合液晶で評価セルを作製した。
その結果、比較例2−1と同様、紫外線照射前後であまり配向に変化が見られず、さらに紫外線を9000mJ照射しても実施例2−1のように完全な垂直配向が得られることはなかった。そこで、重合開始剤としてIrg651を液晶に対して0.2wt%添加し、紫外線照射を行ったところ、全体に垂直配向を得ることができた。しかし、電圧保持率を測定したところ、注入口際を中心に大幅な保持率低下が見られた。
[実施例2−2]
アルキル骨格部の長さを変えた材料を用いて、可溶性と垂直配向性の評価を行った。図13に用いた材料の例を示す。まず、図13(a)に示す材料を用いたところ、液晶中に1.5wt%は溶けたが、1.8wt%では真空注入中の工程で析出を起こした。可溶した1.5wt%の条件でセルを作製し、紫外線照射後の配向状態を観察したところ、照射前とあまり違いが見られなかった。このときの前出式中のR1における炭素原子数と整数mの和は25であった。
次に、アルキル骨格部を短くしていき、可溶性を見ていった。その結果、R1における炭素原子数と整数mの和が20になる程度で2.5wt%以上溶けるようになった。分子量として約20%低減されているので、2倍以上のモル量を可溶させることができるようになった。
その材料を用いて実施例2−1と同様に、メルク社製のネガ型液晶Aに1.3×10-4mol/g溶かし、次に、図11に示すような環構造を有する二官能モノマーを10分の1の量に当たる1.3×10-5mol/g溶かし、その混合液晶を用いてセルを作製した。紫外線照射後の配向を観察した結果、評価セルの全領域で完全な垂直配向が得られていることを確認した。
さらに、図13(b)、(c)に示すように、モノマーのアルキル骨格部の長さを短くしていったところ、垂直配向はするものの、図12(a)に示したような白線が多く見られるようになり、通常のアルキルモノマーに対する優位性が損なわれていく現象が確認された。そのときのR1における炭素原子数と整数mの和は3ないし4程度であった。それ以上短くしていくと、他の骨格部に依存することなく、完全な垂直配向が得られなくなった。
[実施例2−3]
メルク社製のネガ型液晶Aにラウリルアクリレート2.4×10-4mol/gと図11に示すような環構造を有する二官能モノマーを溶かし、その混合液晶を評価セルに注入、封止をした。ここで、評価セルは二官能モノマーのラウリルアクリレートに対するモル比を振って作製した。その他の作製条件は実施例2−1に準じ、評価セルにはITOを電極として形成したガラス基板2枚を用い、セル厚4.25μmとなるように貼り合わせた。基板には配向膜を形成せず、表面に紫外線を1500mJ/cm2照射したものを用いた。
紫外線を9000mJ/cm2照射後における、保持期間を1.67sとした場合の電圧保持率比および垂直配向性の評価結果は第1の実施の形態の図7と同様であった。ここで、保持率比1.0は飽和したときの保持率の値としている。図に示したように、電圧保持率は二官能モノマーの比率を増やしていくと次第に上昇し、どの材料を用いてもおよそ7:1〜6:1でほぼ飽和した。しかし、逆に垂直配向性は次第に低下していき、10:1を下回るころから垂直になりきらない領域が発生し始めた。そして、保持率的に最良となる条件では垂直配向が得られないという相反する結果であった。
次に、図10に示すようなアルキル鎖の間に環構造を有する構造のモノマーに置き換え、同様の実験を行った。その結果を図14に示す。図14の横軸は本実施形態のモノマー材料対二官能モノマーの混合比を表し、縦軸は保持率比を表している。また、図中の横方向矢印における○印は垂直配向が得られる混合比領域を表し、△印は部分的に水平配向が残る混合比領域を表し、×印は水平配向のままの状態となる混合比領域を表している。図14に示すように、電圧保持率の変化する過程に大きな変化は見られなかったが、垂直配向を実現出来る範囲が拡大され、今まで実現し得なかった電圧保持率と垂直配向の高いレベルでの両立を達成することができた。
以上のように、本実施の形態を用いることにより、液晶表示装置、特にMVA方式に代表される垂直配向型において、配向膜形成工程が不要となるため、大幅なコストダウンが実現可能となる。
さらに、従来方式の配向膜印刷装置では対応し切れない超大型のマザーガラスにおいても、その大きさに影響受けることなく、容易に液晶配向制御層を形成可能となる。また、凹凸の大きな基板や、曲面の基板といった印刷が困難な基板を用いた液晶表示装置の実現も可能となる。
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法について図15及び図16を用いて説明する。本実施の形態では、垂直配向にならず水平配向のままのドメインで視認される白線(図15参照)を従来の製造方法より減少または完全に押さえ込む方法について説明する。従来、重合性材料を含む液晶層が挟持された液晶パネルに光照射を行い、樹脂膜を形成する過程において、白線発生を押さえ込むことは困難であった。これは、光照射により重合性材料を含む系が反応して垂直配向となる際に、水平から起き上がる液晶分子のティルトが隣り合う領域で大きく異なり水平配向領域が取り残されてしまうために生じる。
鋭意試行の結果、重合性材料を含む系が反応する際に、液晶パネル内で均一な反応、すなわち垂直配向となりつつある領域間でのティルト差を小さくし、取り残される水平配向領域をなくすようにすれば、白線を従来の製造方法より減少または完全に押さえ込むことが可能であることを見出した。本実施の形態の液晶表示装置の製造方法を用いることで、白線によるコントラストの低下を抑えて優れた液晶表示装置の実現が可能となる。
以下、具体的に参考例及び比較例を用いて詳細に説明する。
参考例3−1]
CHの個数が11〜18個のアルキル鎖にアクリルレート基を有する単官能モノマーと、環構造を有するジアクリレート系の二官能モノマーと、開始剤とをメルク社製のネガ型液晶Aに溶かし、配向膜を形成せずに表面にエキシマUV処理を施した基板を用い、セル厚4.25μmとなるように貼り合わせて15型の実パネルを作成した。作製直後の液晶パネルの配向状態を観察したところ、流動性配向が見られ、水平配向と垂直配向が混在した状態であった。その後、液晶パネルを90℃、30分アニール処理し、冷却後、無偏光の紫外線を9000mJ/cm照射した。配向を観察した結果、液晶パネルの全領域で垂直配向が得られた。
図15に、作製したパネルの光源の違いによる白線発生状況を示す。図15(a)には平行光照射、図15(b)には拡散光照射した白線発生状況を示す。図5(b)に示すように拡散光照射では白線発生の少なく、表示むらの少ない液晶パネルを作成することができた。
参考例3−2]
参考例3−1と同様の実験において、光照射をスキャニング照射で行った。15型の実パネルではスキャニング照射を行う前は照度分布において、最大30%照射強度が異なっていたが、スキャニング照射では10%以下となった。スキャニング照射により白線発生を抑えて表示むらの少ない液晶パネルを作成することができた。
参考例3−3]
参考例3−1と同様の実験を行い、照射量と電圧保持率の関係を調べた。図16に得られた照射量と保持率の関係を示す。図16の横軸は照射量を表し、横軸は電圧保持率を表している。図16に示すように信頼性においては8000mJ/cm〜30000mJ/cmの照射量が適しており、それ以下またはそれ以上の照射は信頼性が低い。特に、照射量は9000mJ/cmが望ましい。また、可視光封止剤を用いることにより、注入口近辺での信頼性低下を防ぐことができた。また、200nm〜330nmの波長を200nm〜800nmの波長領域の強度の0〜20%以下で照射することにより、重合性材料を含む液晶分子の破壊からなる信頼性の低下を防ぐことができた。さらに、初めに強度の弱い光照射を行い、2回目以降強度の強い光照射を行う多段階照射でも同様に信頼性の低下を防ぐことができた。
参考例3−4]
参考例3−1と同様の実験を行い、表面にプラズマ処理を施したものを用いた。表面改質処理を行われていない基板と比較すると、表示むらの少ない液晶パネルを作成することができた。また、同様に、前記重合性材料を含む液晶の注入時に、電圧印加または加熱をして基板表面へのモノマーの吸着を妨げ、モノマーの濃度分布を少なくすることにより、表示むらの少ない液晶パネルを作成することができた。
参考例3−5]
参考例3−1と同様の実験を行い、水平配向性スペーサを用いた。水平配向性スペーサを用いた液晶パネルでは白線の発生が見られなかった。さらに水平配向性スペーサの表面貼力は40dyn/cm以上であることが望ましい。また、参考例3−1と同様の実験でプレス処理を行うと白線を減少させることができた。
以上のように、本実施の形態を用いることにより、液晶表示装置、特にMVA方式に代表される垂直配向型において、配向膜形成工程が不要となるため、大幅なコストダウンが実現可能となる。
さらに、従来方式の配向膜印刷装置では対応しきれない超大型のマザーガラスにおいても、その大きさに影響受けることなく、容易に液晶配向制御層を形成可能となる。また、凹凸の大きな基板や、曲面の基板といった印刷が困難な基板を用いた液晶表示装置の実現も可能となる。
〔第4の実施の形態〕
本発明の第4の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法について図17乃至図36を用いて説明する。図17は、従来のLCD製造プロセスを簡単に示している。従来のTN方式及びMVA方式では共に、図17(a)に示すようなガラスやプラスチック等の透明基板21上に配向膜30を形成する(図17(b))。必要に応じ、図17(c)に示すように、布等を巻き付けたローラで配向膜30上を擦るラビング処理を施す。次いで、同様の処理を施した透明基板22を透明基板21と対向させて(図17(d))、基板周囲に塗布したシール材31で貼り合わせる。次に、シール材31を一部開口した液晶注入口から液晶5を注入する(図17(e))。液晶注入口を塞いで液晶パネルが完成する(図17(f))。液晶注入は上記のような真空注入に代えて滴下注入法を用いることも可能である。
図17に示す方法は、液晶5を注入する前に配向膜30を形成しているが、上記実施の形態に示したように、配向制御機能を有する層を液晶注入後に形成する液晶表示パネルが考案されている。図18は、配向制御層を液晶注入後に形成する方法の概略を示している。まず、配向膜30を塗布していない2枚の基板21、22を所定のセルギャップが得られるようにして貼り合わせる(図18(a))。次に、図18(b)に示すように、液晶材料5と紫外線硬化型のモノマーやオリゴマー等(以下、モノマーと総称する)の配向制御用材料との混合液晶5’を注入し、図18(c)に示すように、液晶を含む層内で配向制御層30’を形成して、液晶分子5を垂直配向させる。配向制御層30’の形成工程をより詳細に図18(b−1)〜図18(b−3)を用いて説明する。なお、いずれの図も基板21近傍を示している。図18(b−1)に示すように、基板面に向かってUV光を照射する。これにより、図18(b−2)に示すように、混合液晶5’の基板21界面のモノマーMが重合してポリマーP1化する。さらにUV照射を続けることにより、図18(b−3)に示すように、基板界面のポリマーP1から垂直配向するポリマーP2が形成され、ポリマーP1及びP2が垂直配向制御層として機能して液晶分子5が垂直配向する。
ところで、上記提案された技術は主に液晶配向に関しており、液晶セルの電気的特性に関しては言及していない。一般に、TFT(薄膜トランジスタ)等のスイッチング素子を備えたアクティブマトリクス型LCDでは、その原理から液晶セルにおいて高い電圧保持率が要求される。従来の提案された技術では、電圧保持率が高く維持されず、表示むらが発生するという問題を有している。
図19は、15型のアクティブマトリクスLCDの液晶表示パネル10を点灯した際に確認される表示むら16を示している。例えば、中間調表示をしたときに、シール材12を開口した液晶注入口14領域が、注入口14を起点として中央部より暗く見えるという表示むら16が生じる。図20は、正常部と異常部について、ストレージ駆動した電圧透過率(階調透過率)特性を比較したグラフである。正常部(◆印を結んだ線)に対して、薄い表示むらが生じている異常部(■印を結んだ線)は、電圧透過率特性が高電圧側にシフトし、さらに、濃い表示むらが生じている異常部(▲印を結んだ線)ではさらに高電圧側にシフトしているのが分かる。これは、表示むらの生じる位置では液晶の電圧保持率が低下することを示している。むらが濃い部分ほど電圧保持率の低下が大きい。本実施の形態では、液晶分子を垂直配向させつつ、液晶の電圧保持率を高めることを目的とする。
図21は、TFT基板やCF基板ではなく、透明電極を有する基板を一対に貼合せた電圧保持率評価用の大型パネル(15型相当)を用いて問題点を示した図である。X方向に形成された複数の線状電極a−1〜a−nを有する基板Aと、Y方向に形成された複数の線状電極b−1〜b−nを有する基板Bとが対向して貼り合わされ線状電極aとb同士がマトリクス状に配置された液晶セルについて電圧保持率を測定した結果を示している。図21(a)は、後述する重合開始剤Gをモノマー材料Dに対して50重量%(全体に対して1重量%)混入した液晶材料に300mJ/cm2の照射エネルギーでUVを照射した後の液晶層の電圧保持率(VHR;%)を示している。図21(b)は、後述する重合開始剤Gをモノマー材料Dに対して2.5重量%(全体に対して0.05重量%)混入した液晶材料に300mJ/cm2の照射エネルギーでUVを照射した後の液晶層の電圧保持率(VHR;%)を示している。いずれの図からも、注入口付近(X方向のa−4及びY方向のb−1の交差位置近傍)において電圧保持率が低いことが分かる。
図22は、本実施の形態による液晶セルへのUV照射工程と電圧保持率の関係を示している。図の横軸は照射エネルギー(J)を表し、縦軸は電圧保持率(%)を示している。使用した液晶材料は、液晶A(98重量%)、単官能モノマーD(1.825重量%)(未精製91.7%)、二官能モノマーB(0.125重量%)、開始剤G(0.05重量%)の混合液である。照射するUVの強度は、0.5mW/cm2である。図22に示すように、液晶セルに照射する光(ここでは紫外線)の照射エネルギーに対して電圧保持率は変化する。図中○印を結ぶ線は注入口側の電圧保持率の照射エネルギーの変化に対する変化を示し、図中◆印を結ぶ線はセル中央部の電圧保持率の照射エネルギーに対する変化を示している。
また、図22は、液晶セル内に存在する配向補助材のモノマーが未反応もしくは反応が不十分であると電圧保持率が低下することも示している。残存するモノマーの量は、液晶セルを分解して基板面から液晶を有機溶材などで回収して、ガスクロマトグラフによる分析で容易に解析することができる。図22下方の3本の直線に示すように、第1反応段階では二官能モノマーが消費されて残存しなくなり、第2反応段階で重合開始剤が消費されて残存しなくなる。電圧保持率が低下した液晶セルでは、配向補助材のうち単官能モノマーが多く残存しており、この未反応モノマーを反応させることが課題である。照射エネルギーを大きくすれば未反応モノマーの反応は促進するが、残存率は0(ゼロ)にはならない。配向補助材の反応の問題とは別に、液晶材料自身の光照射劣化も生じてくるため、その照射は必要範囲で行うことが求められる。
図23は、液晶材料中に配向補助材の構成物質を混合させて、その添加物が液晶比抵抗を低下させていることを説明する図である。横軸は、液晶材料A、モノマーB、C、D、E及び重合開始剤F、G等の種々の条件を変えた材料を示している。縦軸は、比抵抗(Ωcm)を対数表示している。図23に示すように、加熱なしの液晶Aは1.67×1014Ωcmの比抵抗を有している。液晶Aは、90℃、20分の加熱処理により、4.25×1013Ωcmに比抵抗が低下する。図23に示す各材料を液晶Aに添加した比抵抗は、液晶Aへの添加量1%で90℃、20分の加熱処理後の値である。
図23に示すように、二官能モノマーB(M=294、固体、純度99.8%)及びC(M=366以上、固体)の添加では比抵抗の低下は少ないのに対して、単官能モノマーD(M=240、液体、純度91.8%)及びE(M=324、液体、純度99.2%)の添加では低下が大きくなることが分かる。電圧保持率を高めるためには、比抵抗の高い液晶材料を注入することが必要であることは公知である。よって、混合液晶中の単官能モノマーの未反応物を消失させることが必要となる。
また、電圧保持率に関し、モノマー純度も大きく影響する。純度の低いモノマーは不純物を多く含み、それが原因で電圧保持率が大きく低下してしまう。なお、モノマーの純度等は、本例では、通常行われているガスクロマトグラフによるGC(%)で表している。
また、光照射量大のみによる電圧保持率の改善には限界がある。反応過程の分析から、従来の条件では二官能モノマーが先に消費され、単官能モノマーに対して二官能モノマーが不足していることが判明した。二官能モノマーを増量して光を十分に照射することが、単官能モノマーの残存率を低減させるには非常に効果が大であることが分かった。
このように、単官能モノマーを効率よく反応(消費)させるには、二官能モノマーの役割が非常に大きいことが分かった。図24乃至図29は、二官能モノマーの量を変化させ、光照射量に対する電圧保持率の変化を調べた結果を示している。各図とも横軸は照射エネルギー(J/cm2)を表し、縦軸は電圧保持率(%)を表している。
図24は、図23に示した二官能モノマーBを増量させた場合の液晶セルの液晶注入口部での効果を示している。図中▲印を結んだ線は、図23に示す液晶Aに単官能モノマーD及び、二官能モノマーB通常量と重合開始剤G(M=256、固体、純度99.8%)を混入した液晶材料を用いた従来の結果を示しており、イオン密度は300〜500pC/cm2となっている。一方、○印を結んだ線は、二官能モノマーBを増量した結果を示しており、電圧保持率が96.8%と大幅に改善されていることが分かる。イオン密度は50〜90pC/cm2となっている。図25は、図24と同様であるが、液晶セルの中央部の結果を示している。図中▲印を結んだ線は、イオン密度が120〜180pC/cm2となっている。一方、○印を結んだ線は、電圧保持率が98.1%に改善され、イオン密度は30〜60pC/cm2となっている。このようにセル中央部でも二官能モノマーBが多いほうが良好な電圧保持率が得られている。さらに二官能モノマーBを増量させることにより、液晶注入口部と中央部とでの電圧保持率の差を小さくすることもできる。
図26は、図23に示した二官能モノマーBを増量させた場合と、単官能モノマーDの純度を高くした場合の液晶セルの液晶注入口部での電圧保持率を比較したグラフである。図中◆印を結んだ線は、図23に示す液晶Aに純度を97.7%に高めた単官能モノマーD及び、二官能モノマーB通常量と重合開始剤Gを混入した液晶材料を用いた結果を示している。一方、○印を結んだ線は、純度91.8%の単官能モノマーD及び、増量した二官能モノマーBと、重合開始剤Gとを混入した液晶材料を用いた結果を示しており、単官能モノマーの純度を上げるより二官能モノマーの量を増加させるほうが電圧保持率が大幅に改善されていることが分かる。図27は、図26と同様であるが、液晶セルの中央部の結果を示している。セル中央部でも二官能モノマーBが多いほうが良好な電圧保持率が得られている。
図28は、図23に示した二官能モノマーBを増量させた場合であって、重合開始剤の有無による電圧保持率の相違を示している。図中×印を結んだ線は、図23に示す液晶Aに単官能モノマーD及び、増量させた二官能モノマーBと重合開始剤なしの液晶材料を用いた結果を示している。重合開始剤なしの場合は照射エネルギーが3J以上で液晶分子が垂直配向する。また、照射エネルギーが9Jで電圧保持率は97.5%が得られる。また、イオン密度は22〜30pC/cm2となっている。一方、○印を結んだ線は、液晶Aに単官能モノマーD及び、増量した二官能モノマーBと、重合開始剤Gとを混入した液晶材料を用いた結果を示しており、図中×印を結んだ線と大差なく、重合開始剤の有無は電圧保持率にあまり寄与していないことが分かる。重合開始剤ありの場合のイオン密度は500〜90pC/cm2となっている。図29は、液晶セルの中央部の結果を示しており、図28と同様の結果が得られている。重合開始剤なしの場合は照射エネルギーが3J以上で液晶分子が垂直配向する。また、照射エネルギーが9Jで電圧保持率は98.7%が得られる。また、イオン密度は10〜30pC/cm2となっている。一方、○印を結んだ線は、イオン密度は30〜70pC/cm2となっている。
図30乃至図32はいずれも、液晶セルの注入口部における単官能モノマー純度と電圧保持率の関係を調べた結果である。本実施の形態で使用した単官能モノマーは、アクリル酸系の液体であり、その純度は最高で99.4%であった。純度が高いものほど電圧保持率は高くでき、注入口むらを解消するには、その純度が98.5%以上のものが適していることが判明した。電圧保持率を高く、イオン密度を小さくする上では、混合液晶(配向補助材)中の重合開始剤が0%である方が好ましかった。
垂直配向後のパネルの内部に、混合液晶中の単官能モノマーは未反応で残存したものが存在しても、二官能モノマーや重合開始剤は未反応で残存したものが存在しない場合において、電圧保持率は高くなった。そのとき、単官能モノマーの未反応率(パネル内液晶層における単官能モノマーの残存量/混合液晶中への単官能モノマーの添加量)が5%から50%となるまで、反応が進むことが必要であった。
図30は、図23に示した単官能モノマーDの純度を変えて照射エネルギーと電圧保持率との関係を調べた結果を示している。図中○印を結んだ線は、純度99.4%の単官能モノマーDである。▲印を結んだ線は、純度98.8%の単官能モノマーDである。■印を結んだ線は、純度97.7%の単官能モノマーDである。◇印を結んだ線は、純度94.4%の単官能モノマーDである。×印を結んだ線は、純度91.7%の単官能モノマーDである。いずれも二官能モノマーBを従来提案の1倍量添加し重合開始剤Gも添加している。図30の例は、50℃、1.67秒の雰囲気で照射エネルギー密度は0.5mW/cm2である。照射エネルギー6J/cm2において、純度94.4%以上の単官能モノマーDでは、電圧保持率が86〜88%で、イオン密度は、228〜224pC/cm2であった。一方、純度91.7%の単官能モノマーDは、電圧保持率が37%で、イオン密度は、1370pC/cm2であった。図30から、電圧保持率は単官能モノマーDの純度が高いほど優れていることが分かる。
図31は、二官能モノマーBの添加量を2.4倍にした以外は図30と同様の条件で単官能モノマーDの純度の相違による照射エネルギーと電圧保持率との関係を調べた結果を示している。図中○印、▲印、■印、◇印、×印をそれぞれ結んだ線は、図30と同一純度の単官能モノマーDを示している。いずれも二官能モノマーBを図30の2.4倍量添加し重合開始剤Gも添加している。照射エネルギー6J/cm2において、純度94.4%以上の単官能モノマーDでは、電圧保持率が95〜97%で、イオン密度は、61〜84pC/cm2であった。一方、純度91.7%の単官能モノマーDは、電圧保持率が84%で、イオン密度は、416pC/cm2向上した。図31からも、電圧保持率は単官能モノマーDの純度が高いほど優れていることが分かる。また、図31から、注入口部では、特に、二官能モノマーBを増加させると共に高純度の単官能モノマーDを用いることが好ましいことが分かる。
図32は、横軸に単官能モノマーDの純度(GC%)をとり、縦軸に電圧保持率(%)をとったグラフである。純度が94.4%〜99.4%まではほぼリニアな変化を示していると共に、電圧保持率の変化は97.2%〜97.5%程度であった。
図33は、本実施の形態で使用するのに好適な液晶パネルの断面を示している。図33に示す液晶パネルは、TFT等のアクティブ素子33及び画素電極34と共に、カラーフィルタ層32が一方の基板21に形成され、対向する他方の基板22にはそれらが形成されておらず対向電極35だけが形成され、少なくとも表示領域には遮光層が形成されていない。基板21と基板22を所定のセルギャップで貼り合せてモノマーを混合した液晶5を封止すると、バスラインやBM(ブラックマトリクス)層などの遮光物がないので基板22側からUV光を効率よくモノマー混合の液晶5に照射することができる。
図34も本例で使用するのに好適な液晶パネルの断面を示している。図34に示す液晶パネルは、TFT等のアクティブ素子33及び画素電極34と共に、カラーフィルタ層32が一方の基板21に形成されている。対向する他方の基板22はプラスチック材あるいはフィルム材で形成されており、基板22上には対向電極35だけが形成されている。
基板21と基板22を所定のセルギャップで貼り合せてモノマーを混合した液晶5を封止すると、バスラインなどの遮光物がないので基板22側から光を効率よくモノマー混合の液晶5に照射することができる。このとき、混合液晶5が重合開始剤を含んでいる場合は、重合開始剤が可視光領域での吸光性が高いものを使用することが有効である。プラスチック基板やフィルム基板の劣化防止のため、紫外線を照射するのは好ましくないので、混合液晶5に基板22側から可視光を照射すると、混合液晶5に光を効率よく照射することが可能となる。
本実施の形態による液晶パネルは、少なくとも一方の基板に混合液晶を滴下した後、他方の基板を貼り合せる、いわゆる滴下注入法により作製することも適している。滴下注入法による液晶表示パネルの製造工程について図35を用いて簡単に説明する。まず、図35(a)に示すように、例えば、TFT等のスイッチング素子やカラーフィルタが形成されたアレイ基板21の基板面上の複数箇所に、図示しない液晶滴下注入装置から液晶206を滴下する。次いで、表示領域内に共通(コモン)電極が形成され、表示領域外周囲に紫外線(UV)照射で硬化するUVシール剤202が塗布された対向基板22を位置合わせしてアレイ基板21に貼り付ける。この工程は真空中で行われる。次いで、貼り合わせた基板を大気中に戻すと図35(b)に示すように、貼り合わされたアレイ基板21と対向基板22間の液晶206が大気圧により拡散する。次に、図35(c)に示すように、シール剤202の塗布領域に沿う移動方向211でUV光源208を移動させながらUV光をシール剤202に照射し、シール剤202を硬化させる。
この滴下注入法は、従来のパネルの製造に広く用いられてきた真空注入法と比較して、第1に液晶材料の使用量を大幅に低減できること、第2に液晶注入時間を短縮できること等から、パネル製造のコストを低減したり量産性を向上させたりする可能性を有しているため、パネル製造工程での適用が強く望まれている。また、図19に示すようなシール材12を開口した液晶注入口14が不要になるという利点も有している。
この滴下注入法を用いれば、同一の混合液晶ではなく2種類以上の混合液晶を滴下して液晶パネルを作製することが可能となる。例えば、図36(a)に示すように、滴下する混合液晶が、配向補助材を含んでいない液晶材料単独の液晶Lca、液晶材料と単官能モノマーとの混合液晶Lcb、液晶材料と二官能モノマーとの混合液晶Lcc、液晶材料と単官能モノマーと二官能モノマーとの混合液晶Lcd、液晶材料と重合開始剤との混合液晶Lce等であり、このうち少なくとも2種類以上を滴下して作製すると信頼性が高い液晶パネルを作製できる。
また、図36(b)に示すように、液晶材料Lcだけが入ったディスペンサ(不図示)で液晶材料Lcを基板21上に滴下(第1滴下)し、次いでモノマー材αだけが入ったディスペンサ(不図示)で当該モノマー材αを基板21上の液晶材料Lc上に滴下(第2滴下)して、両者を混合するようにしてもよい。
また、図36(c)に示すように、基板21には液晶材料Lcだけあるいは液晶材料Lcとモノマー材αとの混合液を滴下し、対向基板22には、別のモノマー材βやγを滴下しておいて、両基板21、22を貼り合わせることにより種々の混合液晶を作製するようにしてもよい。
以下、具体的に参考例及び比較例を用いて詳細に説明する。
参考例4−1]
透明電極(ITO)がパターニングされた一対のガラス基板を各々洗浄した。一方のガラス基板にスペーサ4.0μm(積水化学製)を散布し、他方のガラス基板には熱硬化性シール(三井東圧製)をディスペンサにより塗布形成し、これら基板を貼り合わせて空セルを作製した。液晶A(メルク製、Δε=−3.8)と樹脂を重量比98:2で混合した。樹脂は、単官能モノマーD(和光純薬製)と、二官能モノマーB(メルク製)を重量比15:1で混合したものである。重合開始剤Gは、単官能モノマーと二官能モノマーの総量に対して2.5%の重量混合比とした。
このように調製した混合液晶を、上記空セルへ真空注入法により充填した後、可視光硬化性樹脂により注入口を封止した。この液晶セルに対して、紫外線(UV)を0.5mW/cm2の強度で照射した。照射エネルギーに対する残存性と電圧保持率の関係は、図22の通りである。各々の必要な照射エネルギーで処理して電圧保持率を測定し、その液晶セルについて分解、回収液晶のガスクロマトグラフ分析で各材料の残存率を求めた。照射エネルギーが大きいほど各材料の残存率は低減するが、15J/cm2の照射エネルギーでも単官能モノマーは10%程度残っていた。この残存率が大きく低減する範囲では、電圧保持率の上昇も大きい。しかし、残存率の変化が小さくなると、保持率の上昇も伸び悩んだ。
なお、電圧保持率の測定は、東陽テクニカ製のVHR−1を使用しており、測定温度は50℃、保持時間は1.67sの条件で行った。
参考例4−2]
液晶Aに配向補助材の各成分を添加した混合液晶について、比抵抗を調べた結果が図23である。液晶Aは、参考例4−1で使用したものと同一である。無添加の場合は、加熱前で1014レベルの高い比抵抗を有する。これを加熱処理すると、1013レベルまで低下した。この低下は、配向補助材を混合しない、通常の液晶材料と同レベルの傾向にある。二官能モノマーB、Cを添加した混合液晶AB、混合液晶ACでは1013レベルであったのに対して、単官能モノマーD、Eを添加した混合液晶AD、混合液晶AEでは1011レベルまで比抵抗は低下した。
参考例4−3]
参考例4−1と同様に空セルを作製した。参考例4−1の混合液晶と混合比が異なる混合液晶を用意した。混合液晶は、液晶A(メルク製、Δε=−3.8)と樹脂を重量比98:2で混合した。樹脂は、単官能モノマーD(和光純薬製)と、二官能モノマーB(メルク製)を重量比15:2.4で混合したものである。重合開始剤Gは、単官能モノマー二官能モノマーの総量に対して2.5%の重量混合比とした。このようにして調製した混合液晶を、参考例4−1と同様に充填、封止した。この液晶セルに対して、紫外線(UV)を0.5mW/cmの強度で照射した。照射エネルギーに対する電圧保持率の関係について、参考例4−1の結果と比較したが図24乃至図29である。液晶セルの中央部・注入口部ともに電圧保持率を高めることができた。注入口部において、参考例4−1の混合液晶では電圧保持率が70%レベルであったものが、本参考例の混合液晶では電圧保持率が97%レベルに改善した。イオン密度についても差があり、300〜500pC/cmであったのを50〜90pC/cmまで低減できた。
参考例4−4]
参考例4−1と同様に空セルを作製した。参考例4−3と異なる混合液晶を用意した。本参考例の混合液晶は、参考例4−3の混合液晶から重合開始剤Gを除いた構成である。このようにして調製した重合開始剤Gなしの混合液晶について、参考例4−3と同様に調べた結果が図28及び図29である。液晶セルの中央部・注入口部ともに、参考例4−3よりもさらに電圧保持率を高めることができた。注入口部、中央部ともに電圧保持率が98%レベルにできた。イオン密度も、参考例4−3から半減以下にできた。
参考例4−5]
参考例4−1に基づく混合液晶及び参考例4−3に基づく混合液晶を用意した。両液晶ともに、液晶A(メルク製、Δε=−3.8)と樹脂を重量比98:2で混合した。単官能モノマーDと、二官能モノマーBの重量比は、参考例4−1及び参考例4−3と同様であり、重合開始剤Gも総量に対して2.5%の重量混合比とした。ここで、単官能モノマーDについては、その純度が異なるもので調べた。すなわち、単官能モノマーD1(純度91.7%)、単官能モノマーD2(純度94.4%)、単官能モノマーD3(純度97.7%)、単官能モノマーD4(純度98.8%)、単官能モノマーD5(純度99.4%)を使用した。参考例4−3と同様に電圧保持率を比較したところ、図30、31、32の通り、モノマー純度が高いほど電圧保持率が高くできることが判明した。
〔第5の実施の形態〕
本発明の第5の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法について説明する。近年、アクティブマトリックス型液晶表示装置において、軽量、薄型、低消費電力化が実現できる反射型液晶表示装置が注目されており、例えば、上記の特許文献2や特許文献3がある。これらは何れもTN液晶を用いた方式であり、配向膜をラビング処理することで液晶をツイスト配向させている。しかしながら例えば上記特許文献2に開示している方式等では反射画素電極に凹凸を形成するためラビングによる配向制御が困難になるという問題が生じている。
本実施の形態は、上記問題の解決及びプロセスの簡略化を実現し、製造コストの削減と製造歩留まりの向上を目的とする。その手法としては、ラビング処理や他の配向処理(UV照射等)を用いることなしに、液晶の配向を制御するようにする。従来、配向処理を行わない水平配向膜にポジ型液晶(正の誘電率異方性を有する液晶)を注入することにより、プロセスの簡略化を実現する方式が上記特許文献4等で開示されている。しかし、これらの方式においては、液晶−等方相転移温度以上で液晶材料を基板間に注入する工程と、注入完了後、等方相から液晶相への相転移時に10℃/秒以上の速度で急冷却するなど、従来からの注入方式と異なる製造工程上の制約が必要となる。さらに、水平配向においては、液晶のプレティルト角が低いため、上記特許文献2に開示されている凹凸電極における配向安定性はラビング方式よりも悪くなる。
これに対し、本実施の形態では、垂直配向膜の物性を制御することにより、従来の注入と同じく室温注入においてラビング等の配向手段を必要としない液晶表示装置を実現する。さらに、この方式を用いることにより、透過型液晶表示装置はもちろん、凹凸形状の反射電極を有する反射型液晶表示装置または反射透過型液晶表示装置に適用することで配向性に何ら問題が発生しない方式である。
具体的な手法としては、VA型における当社独自の配向制御方式であるMVA方式液晶表示装置において、通常プロセスにおいては、TFT、CF基板に印刷法又はスピンコート方式を用いてポリアミック酸又はポリイミドを主成分とする垂直配向膜を形成し、プリベイク、ポストベイクと二段の焼成工程を経ることで配向膜を形成する必要がある。これに対して、本実施の形態においては、CF、TFT基板に配向膜を形成することなしに、液晶層に一種類以上の官能基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを混在させ、UV光(電磁波)を用いることで、反応(ポリマー化、架橋化)させることで垂直配向を実現する方式であり、液晶パネルの信頼性、製造コスト、製造タクトタイムを大幅に向上することが可能な技術である。
本実施の形態は、透過型、反射型、あるいは半透過型LCDに適用可能である。また、液晶層のモードとしてはTN型、VA(MVA)型、HAN(Hybrid Aligned Nematic)型、IPS(In−Plane Switching)型等のあらゆるモードで効果が得られる。
本実施の形態を使用することで、低コスト、高歩留まりで、信頼性の高い液晶表示装置が実現できる。以下、具体的に参考例を用いて詳細に説明する。
参考例5−1]
カイラル材を添加した負の誘電率異方性を有するn型カイラルネマチック液晶にUV硬化型アクリレートモノマー、メタクリレートモノマーを混合(反応速度を向上する場合重合開始剤も添加)した液晶を配向膜を形成していないMVA方式のTFT、CF(カラーフィルタ)基板で形成した空セルに注入し、CF基板側からUV光を照射することで基板と液晶界面に垂直配向を誘発するポリマー膜を形成し、垂直配向を実現した。
このとき、基板面の表面エネルギーをUV光の照射(好ましくは波長360nm以下のUV光)、熱処理、化学的処理(NMP等有機溶剤で処理)にすることで垂直配向能をさらに制御可能である。また、液晶に混入するカイラル材においても傾向があり、d/p(ここで、pはカイラルピッチ、dはセルギャップ)は0.9、0.18、3.5どの条件でも十分な配向性が実現できる。
参考例5−2]
TFT基板上に凹凸反射電極を形成した反射型液晶表示装置、又は一部に透過領域を設けた反射透過液晶表示装置にカイラル材を添加した負の誘電率異方性を有するn型カイラルネマチック液晶にUV硬化型アクリレートモノマー、メタクリレートモノマーを混合(反応速度を向上する場合重合開始剤も添加)した液晶を配向膜を形成していないTFT、CF基板で形成した空セルに注入し、CF基板側からUV光を照射することで基板と液晶界面に垂直配向を誘発するポリマー膜を形成し、垂直配向を形成し、このパネルを円偏光板で挟み込むことにより、反射型または反射透過型液晶表示装置を実現できる。
参考例5−3]
RGB三原色カラーフィルタを用いたカラー表示方式において、RGB副画素のうち少なくとも1種類の副画素のセル厚が異なるマルチギャップ技術と参考例5−1又は5−2を組み合わせて液晶表示装置が実現できる。この場合、液晶層のリタデーションΔnd(Δnは液晶層の複屈折率、dはセルギャップ)は150nm以上500nm以下であることが好ましい。
以上説明した第1の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法は、以下のようにまとめられる。
(付記1)
基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置において、
前記液晶材料は、
化学式16
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Rはステロイド骨格を有する有機基を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記モノマー材料を含んだ系からなる紫外線硬化物が前記基板界面に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記2)
基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置において、
前記液晶材料は、
化学式17
Figure 0005113869
(ここで、X1およびX2はアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Rはステロイド骨格を有する2価の有機基を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記モノマー材料を含んだ系からなる紫外線硬化物が前記基板界面に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記3)
基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置において、
前記液晶材料は、
化学式18
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Rはステロイド骨格を有する有機基を示す)
及び、化学式19
Figure 0005113869
(ここで、X1およびX2はアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、R1はステロイド骨格を有する2価の有機基を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記モノマー材料を含んだ系からなる紫外線硬化物が前記基板界面に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記4)
基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置の製造方法において、
前記液晶材料は、
化学式20
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Rはステロイド骨格を有する有機基を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記基板間に前記液晶材料を挟持してから、紫外線を照射して前記モノマー材料を硬化して前記基板界面に紫外線硬化物を形成すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記5)
基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置の製造方法において、
前記液晶材料は、
化学式21
Figure 0005113869
(ここで、X1およびX2はアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Rはステロイド骨格を有する2価の有機基を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記基板間に前記液晶材料を挟持してから、紫外線を照射して前記モノマー材料を硬化して前記基板界面に紫外線硬化物を形成すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記6)
基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置の製造方法において、
前記液晶材料は、
化学式22
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Rはステロイド骨格を有する有機基を示す)
及び、化学式23
Figure 0005113869
(ここで、X1およびX2はアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、R1はステロイド骨格を有する2価の有機基を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記基板間に前記液晶材料を挟持してから、紫外線を照射して前記モノマー材料を硬化して前記基板界面に紫外線硬化物を形成すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記7)
付記4乃至6のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記液晶材料は、環構造を少なくとも1つ有し、末端にアクリレート基もしくはメタクリレート基を有する二官能以上の材料が混合されていること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
以上説明した第2の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法は、以下のようにまとめられる。
(付記8)
基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置において、
前記液晶材料は、
化学式24
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Aはベンゼン環もしくはシクロヘキサン環を示し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、aは0もしくは1を示し、mは0〜10の整数、nは0〜2の整数を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記モノマー材料を含んだ系からなる紫外線硬化物が前記基板界面に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記9)
基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置において、
前記液晶材料は、
化学式25
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Aはベンゼン環もしくはシクロヘキサン環を示し、R1は炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、R2はCH3またはフッ素原子を示し、aは0もしくは1を示し、mは0〜10の整数、nは0〜2の整数を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記モノマー材料を含んだ系からなる紫外線硬化物が前記基板界面に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記10)
基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置の製造方法において、
前記液晶材料は、
化学式26
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Aはベンゼン環もしくはシクロヘキサン環を示し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、aは0もしくは1を示し、mは0〜10の整数、nは0〜2の整数を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記基板間に前記液晶材料を挟持してから、紫外線を照射して前記モノマー材料を硬化して前記基板界面に紫外線硬化物を形成すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記11)
基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置の製造方法において、
前記液晶材料は、
化学式27
Figure 0005113869
(ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Aはベンゼン環もしくはシクロヘキサン環を示し、R1は炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、R2はCH3またはフッ素原子を示し、aは0もしくは1を示し、mは0〜10の整数、nは0〜2の整数を示す)
の構造を有するモノマー材料を含み、
前記基板間に前記液晶材料を挟持してから、紫外線を照射して前記モノマー材料を硬化して前記基板界面に紫外線硬化物を形成すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記12)
付記10又は11に記載の液晶表示装置の製造方法において、
n=0であること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記13)
付記10乃至12のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
a=0であること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記14)
付記10乃至13のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
1における炭素原子数と整数mの和が5以上20以下であること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記15)
付記10乃至14のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記液晶材料は、環構造を少なくとも1つ有し、末端にアクリレート基もしくはメタクリレート基を有する二官能以上の材料が混合されていること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記16)
付記1乃至3、又は、付記8又は9のいずれかに記載の液晶表示装置において、
前記液晶材料は、負の誘電率異方性を有し、
配向規制用の構造物が形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
以上説明した第3の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法は、以下のようにまとめられる。
(付記17)
重合性材料を含む液晶材料を基板間に挟持し、
前記基板間に拡散光を照射して配向制御膜を形成すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記18)
重合性材料を含む液晶材料を基板間に挟持し、
前記基板間にスキャニング照射を行い配向制御膜を形成すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記19)
重合性材料を含む液晶材料を基板間に挟持し、
前記基板間に拡散光をスキャニング照射して配向制御膜を形成すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記20)
付記17乃至19のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記配向制御膜形成時の光照射量は、8000mJ/cm2〜30000mJ/cm2であること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記21)
付記17乃至20のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記配向制御膜形成時に照射強度を変えて多段階照射をすること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記22)
付記17乃至21のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記配向制御膜形成時の光照射は、波長200nm〜800nmの光の強度に対して波長200nm〜330nmの光の強度を0〜20%の範囲で照射すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記23)
付記17乃至22のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記液晶材料の注入前の少なくとも一方の前記基板表面に、表面改質処理としてプラズマ処理またはエキシマUV処理を施すこと
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記24)
付記17乃至23のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記液晶材料を前記基板間に注入する際に、前記基板に形成された電極に電圧を印加し、又は前記基板を加熱して前記基板表面に前記重合性材料が吸着するのを妨げること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記25)
付記17乃至24のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記基板間に水平配向性スペーサを配置すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記26)
付記25記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記水平配向性スペーサの表面貼力が40dyn/cm以上であること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記27)
付記17乃至26のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
可視光封止材を用いること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記28)
付記17乃至27のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
光照射前又は光照射後に前記基板をプレス処理すること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
以上説明した第4の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法は、以下のようにまとめられる。
(付記29)
一対の基板間に液晶材料を封止する液晶表示装置において、
前記液晶材料は、
誘電率異方性が負であるフッ素系の液晶と、
液晶分子を垂直配向させるための配向補助材とを含み、
前記配向補助材は、
アクリル酸系又はメタクリル酸系で、重量混合比が15:1〜5:1の範囲の単官能モノマー及び多官能モノマーと、
前記単官能モノマーと前記多官能モノマーの総量に対して2%以下の重量混合比の重合開始剤とを含み、
前記液晶材料と前記配向補助材との重量混合比は、99:1〜90:10であること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記30)
付記29記載の液晶表示装置において、
前記配向補助材は、光硬化性を有していること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記31)
付記30記載の液晶表示装置において、
前記配向補助材は、波長約365nmの光で照射エネルギーが6J/cm2から50J/cm2で硬化されること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記32)
付記30記載の液晶表示装置において、
前記配向補助材は、少なくとも照射初期の強度が30mW/cm2以下で硬化されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記33)
付記29記載の液晶表示装置において、
前記単官能モノマーは、常温常圧において液体であること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記34)
付記29記載の液晶表示装置において、
前記単官能モノマー及び多官能モノマーの純度は98.5%以上であること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記35)
付記29乃至34のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記重合開始剤の量が0%であること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記36)
付記29乃至35のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記混合液晶中に前記単官能モノマーの未反応残存物が存在し、且つ前記多官能モノマー及び前記重合開始剤の未反応残存物が10%以下であること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記37)
付記36記載の液晶表示装置において、
前記単官能モノマーの未反応率が50%以下であること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記38)
付記29乃至37のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記一対の基板のうち、一方の基板はアクティブ素子及びカラーフィルタ層を有し、他方の基板は少なくとも表示領域に遮光物が形成されていないこと
を特徴とする液晶表示装置。
(付記39)
付記38記載の液晶表示装置において、
前記他方の基板は、前記配向補助材の硬化用の被光照射面となること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記40)
付記29乃至38のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記重合開始剤は可視光領域で吸光性を有すること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記41)
付記29乃至40のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記混合液晶は滴下注入法により注入されており、前記一対の基板間に前記混合液晶を封止するシール材には、液晶注入口が設けられていないこと
を特徴とする液晶表示装置。
(付記42)
一対の基板間に液晶材料を封止する液晶表示装置の製造方法において、
前記液晶材料は、
誘電率異方性が負であるフッ素系の液晶と配向補助材とを含み、
前記配向補助材は、
アクリル酸系又はメタクリル酸系で、重量混合比が15:1〜5:1の範囲の単官能モノマー及び多官能モノマーと、
前記単官能モノマーと前記多官能モノマーの総量に対して2%以下の重量混合比の重合開始剤とを含み、
前記液晶材料と前記配向補助材との重量混合比は、99:1〜90:10であり
前記配向補助材を前記基板界面で硬化させて液晶分子を垂直配向させること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記43)
付記42記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記混合液晶は、滴下注入法により注入されること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記44)
付記41又は43に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記滴下注入法で滴下される前記混合液晶は、前記基板上の滴下位置により異なる材料が用いられること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
(付記45)
付記44記載の液晶表示装置の製造方法において、
滴下する前記混合液晶が、前記配向補助材を含まない液晶材料単独と、前記液晶材料と前記単官能モノマーとの混合液晶、前記液晶材料と前記二官能モノマーとの混合液晶、前記液晶材料と前記単官能モノマーと前記二官能モノマーとの混合液晶、及び前記液晶材料と前記重合開始剤との混合液晶の組のうち少なくとも2組以上が滴下されて作製されること
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
以上説明した第5の実施の形態による液晶表示装置及びその製造方法は、以下のようにまとめられる。
(付記46)
一対の基板間に封止された誘電率異方性が負のカイラルネマチック液晶と、
電圧無印加時に液晶分子長軸方向が少なくとも一方の基板面に対して略垂直になるように、前記液晶層に混在させた少なくとも1種類以上の官能基を有するモノマー、オリゴマー、又はポリマーに電磁波を照射して反応させて形成した配向制御部と
を有することを特徴とする液晶表示装置。
(付記47)
付記46記載の液晶表示装置において、
前記一対の基板の一方に反射電極が形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記48)
付記46又は47に記載された液晶表示装置において、
前記一対の基板の両側に直線偏光子又は円偏光子の一方を配置し、又は、一方側に前記直線偏光子を配置し、他方側に前記円偏光子を配置すること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記49)
付記46乃至48のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
R、G、Bのカラーフィルタのいずれかが形成された3つの副画素のうち、少なくともいずれかの前記副画素のセル厚が他と異なること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記50)
付記46乃至49のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記液晶の複屈折Δnと液晶層厚さdの積Δndが150nm以上500nm以下であること
を特徴とする液晶表示装置。
2 単官能モノマー
2a、3a 疎水性骨格
2b、3b 光反応基
4 ポリマー膜
5 液晶材料
10 液晶パネル
12 シール材
14 液晶注入口
16 表示むら(注入口むら)
21、22 ガラス基板
30、30’ 配向膜
31 シール材
32 カラーフィルタ
33 アクティブ素子
34 画素電極
35 対向電極
61、62 突起

Claims (9)

  1. 一対の基板と、
    前記基板間に挟持された液晶層と、
    前記基板界面に形成された重合性硬化物とを有し、
    前記液晶層は液晶材料を含んでおり、
    前記重合性硬化物は、前記液晶材料に溶解させた単官能モノマーと二官能以上のモノマーとを重合することにより形成されており、
    前記単官能モノマーは、化学式9
    Figure 0005113869

    (ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Aはベンゼン環もしくはシクロヘキサン環を示し、R は炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、aは0もしくは1を示し、mは0〜10の整数、nは0〜2の整数を示す)
    の構造を有していること
    を特徴とする液晶表示装置。
  2. 請求項1記載の液晶表示装置において、
    前記単官能モノマーは、化学式10
    Figure 0005113869

    (ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Aはベンゼン環もしくはシクロヘキサン環を示し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、RはCHまたはフッ素原子を示し、aは0もしくは1を示し、mは0〜10の整数、nは0〜2の整数を示す)
    の構造を有していること
    を特徴とする液晶表示装置。
  3. 請求項1又は2に記載の液晶表示装置において、
    前記mは1〜10の整数であること
    を特徴とする液晶表示装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の液晶表示装置において、
    前記重合性硬化物は、前記基板上に直接形成されていること
    を特徴とする液晶表示装置。
  5. 請求項1から4までのいずれか一項に記載の液晶表示装置において、
    前記一対の基板には、配向膜が塗布形成されていないこと
    を特徴とする液晶表示装置。
  6. 基板間に液晶材料を挟持した液晶表示装置の製造方法において、
    前記液晶材料は、単官能モノマーと二官能以上のモノマーとを含み、
    前記単官能モノマーは、化学式11
    Figure 0005113869

    (ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Aはベンゼン環もしくはシクロヘキサン環を示し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、aは0もしくは1を示し、mは0〜10の整数、nは0〜2の整数を示す)
    の構造を有し
    前記基板間に前記液晶材料を挟持してから、紫外線を照射して前記単官能モノマー及び前記二官能以上のモノマーを硬化して前記基板界面に紫外線硬化物を形成すること
    を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  7. 請求項6記載の液晶表示装置の製造方法において、
    前記単官能モノマーは、化学式12
    Figure 0005113869

    (ここで、Xはアクリレート基もしくはメタクリレート基を示し、Aはベンゼン環もしくはシクロヘキサン環を示し、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、RはCHまたはフッ素原子を示し、aは0もしくは1を示し、mは0〜10の整数、nは0〜2の整数を示す)
    の構造を有すること
    を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の液晶表示装置の製造方法において、
    前記mは1〜10の整数であること
    を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  9. 請求項6から8までのいずれか一項に記載の液晶表示装置の製造方法において、
    前記基板間に前記液晶材料を挟持する工程では、前記基板として、配向膜を形成していない基板を用いること
    を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
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