JP3879326B2 - 液晶装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置及びその製造方法並びにそれを用いた電子機器に係わり、特に、液晶層が挟持された一対の基板の液晶層側の面にそれぞれ形成した第一の配向層の液晶層側の面に上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体を塗布した後、上記第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態を維持したまま高分子前駆体を重合、硬化し、第二の配向層を形成することにより、液晶分子に対する配向規制力が光劣化により変動するのを防止あるいは緩和して液晶分子の配向状態の長期耐光信頼性を向上できる液晶装置及びその製造方法並びにそれを用いた電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶装置を用いた電子機器の一種に投射型液晶プロジェクタが知られている。
【0003】
一般に投射型液晶プロジェクタには、光源と、この光源からの光を変調する液晶ライトバルブと、この液晶光変調装置により変調された光を投射する投射レンズが備えられている。このような投射型液晶プロジェクタに備えられる液晶ライトバルブとしては、TN(Twisted Nematic)モードが一般的に採用されており、また最近では高速応答が得られる点でECB(Electrically Controlled Birefringence)モードあるいは強誘電・反強誘電モード等の液晶装置の採用が検討されている。また一方では高いコントラストが得られる点でいわゆる垂直配向ECBモード等の垂直配向モードの液晶装置の採用が検討され、既に一部で実用化されている。
【0004】
上記のような液晶装置においては、一対の基板間に液晶層を介在させ、その両基板の液晶層側の面に配向膜を形成すると共にラビング処理を施していわゆるプレチルトを付け、それによって電圧印加時の液晶分子の傾き方向を制御するのが一般的である。
【0005】
また、プレチルトを付けるための従来のその他の配向処理技術としては、斜法蒸着法(特公昭63−32162号)がある。
【0006】
ところで、近年、投射型液晶プロジェクタの高性能化に伴い、透過率あるいは反射率がより高く、かつ耐光信頼性がより高い液晶ライトバルブが要望されている。また、液晶ライトバルブは、素子耐圧と省電力の観点から低駆動電圧で動作するものが望ましいとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の配向処理技術では、配向膜の耐光性が不十分であるために、液晶分子に対する配向規制力が変化する光劣化が起こり、液晶配向状態が乱れ、明るい表示が得られなくなるなどの表示不良が起こることがあり、また、斜法蒸着法においては、プレチルトの均一性、配向処理の量産性を実現することが極めて難しいという問題があった。
【0008】
そこで、このような問題を解決するために特開平6−347795号に記載の配向処理技術が考えられている。この配向処理技術は、一対の基板の液晶層側の面に先に述べた従来の配向処理技術と同様にして形成した第一の配向層をそれぞれ設け、ついで上記一対の基板の間の液晶層中に予め混合しておいたビフェニルメタクリレート等の高分子前駆体に紫外線や熱を照射し、重合させることにより、上記第一の配向層上に第二の配向層を形成する方法である。しかしながらこの配向処理技術では、液晶層中に未反応の高分子前駆体等の不純物が残ったり、紫外線や熱により液晶層の液晶分子がダメージを受けて、表示状態に悪影響を及ぼしてしまう等の不具合があった。また、第二の配向層の液晶層側の面には、著しい凸凹が形成されているため、表面平坦度が悪く、上記の凸凹に起因する不要散乱が起こり易いという問題や、第二の配向層の膜厚を薄く制御することが困難であるために駆動電圧が上がってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、不要散乱がなく、駆動電圧を上げることなく、液晶分子に対する配向規制力が変化するのを防止あるいは緩和して液晶分子の配向状態の長期耐光信頼性を向上でき、しかも液晶層中に未反応の高分子前駆体等の不純物が残ることや高分子前駆体を重合させる際の紫外線等により液晶分子がダメージを受けるのを改善して、表示性能を向上できる液晶装置及びその製造方法並びにそれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は以下の構成としたものである。すなわち本発明による液晶装置は、液晶層が挟持された一対の基板の液晶層側の面に前記液晶層の液晶分子を配向させるための配向処理がそれぞれ施されてなる液晶装置であって、前記一対の基板の液晶層側の面に配向状態を規制するための配向処理が施された第一の配向層がそれぞれ形成され、これら第一の配向層のうち少なくとも一方の第一の配向層の液晶層側の面に前記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体を塗布、硬化してなる第二の配向層が形成され、該第二の配向層は前記第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態を有するものであり、前記第二の配向層の表面は、前記高分子前駆体を重合させたポリマーからなる複数の粒子状の凸部又は線状の凸部を有しており、この第二の配向層の平均表面粗さ(Ra)は100nm以下であり、第二の配向層の厚みは、500nm以下であることを特徴とする。
【0011】
このような液晶装置では、使用状態によって、上記第一の配向層に配向規制状態が変化するような光劣化が起こったとしても、上記第一の配向層の液晶層側の面上に形成された第二の配向層は上記第一の配向層よりも耐光性が高いので、光劣化が起こらず、この第二の配向層が有する、上記第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態は変化せず、安定しており、この第二の配向層の安定した配向状態によって液晶層の液晶分子の配向状態を規制できるので、液晶分子の配向状態の長期耐光信頼性を向上でき、表示特性が劣化するのを防止あるいは緩和できる。また、この第二の配向層は、上記第一の配向層の液晶層側の面上に液晶性を有する高分子前駆体を予め塗布、硬化させてなるものであるので、上記液晶層中に未反応の高分子前駆体等の不純物が残ることや高分子前駆体を重合させる際の紫外線等により液晶分子がダメージを受けるのを改善でき、良好な表示状態が得られる。
【0012】
また、上記の第二の配向層の厚みを薄く制御することで、駆動電圧の上昇を抑制できる。
【0013】
また、上記の第二の配向層の表面は、液晶層中に高分子前駆体を分散させ、重合させて形成した従来の第二の配向膜と比べて平坦性が良好であるので、凹凸に起因する不要散乱を回避できる。
【0014】
従って、上記のような構成とすることにより、不要散乱がなく、駆動電圧を上げることなく、液晶分子の配向状態の長期耐光信頼性を向上でき、表示性能を向上できる液晶装置とすることができる。
【0015】
上記の液晶装置においては、上記第二の配向層の厚みを500nm以下とすることが駆動電圧上昇を抑えられる点で望ましく、より望ましくは5乃至50nmとすることが液晶層にかかる電圧の降下が少なくて済み、また良好な配向安定性を得ることが出来る。
【0016】
第二の配向層の厚みが500nmを超えると、駆動電圧が上昇してしまい好ましくなく、5nm未満であると、第二の配向層を設ける作用効果が低下してしまう。
【0017】
上記の液晶装置においては、上記第二の配向層の表面は、凸部を有しており、この第二の配向層の平均表面粗さ(Ra)は100nm以下とすることが表面の平坦性を向上でき、凹凸による不要散乱の防止効果が優れる点で望ましく、より望ましくは、10乃至40nmとすることにより、凹凸による不要散乱の防止効果が得られ、かつ充分な配向規制力を得ることができる。
【0018】
第二の配向層の厚みと平均表面粗さ(Ra)は、液晶性を有する高分子前駆体を第一の配向層の液晶層側の面にスピンコート法やフレキソ印刷法等を用いて塗布するときの塗布厚等をコントロールすることにより容易に制御することができる。
【0019】
本発明の液晶装置の製造方法は、液晶層が挟持された一対の基板の液晶層側の面に前記液晶層の液晶分子を配向させるための配向処理がそれぞれ施されてなる液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板の液晶層側の面に配向方向を規制する配向処理が施された第一の配向層をそれぞれ形成し、これら第一の配向層のうち少なくとも一方の第一の配向層の液晶層側の面上に前記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体を塗布した後、前記第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態を維持したまま高分子前駆体を重合、硬化することで、表面に前記高分子前駆体の重合物に起因する複数の粒子状又は線状の凸部が形成され、当該表面の平均表面粗さが100nm以下であって厚さが500nm以下の第二の配向層を形成することを特徴とする。
【0020】
このような液晶装置の製造方法によれば、上記の液晶性(配向性)を有する高分子前駆体を用いるので、該高分子前駆体を上記第一の配向層の液晶層側の面に薄く塗布することにより、上記液晶性を有する高分子前駆体が第一の配向層に施された配向規制処理により配向し、この配向状態を維持したまま重合、硬化すると、第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態を有する第二の配向層を形成することができる。
【0021】
また、一対の基板上に形成された第一の配向層の液晶層側の面に高分子前駆体を塗布して、予め、高分子化を行うので、液晶層中に未反応の高分子前駆体等の不純物が残ることがなく、また、光や熱により液晶層の液晶分子がダメージを受けることもなく、表示状態に悪影響を及ぼすことがない。
【0022】
上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体としては、それ自身が液晶相を持つものを用いることができ、第二の配向層の形成時は、上記基板上に形成した第一の配向層の液晶層側の面上にそのままスピンコート等で塗布後、第一の配向層に施された配向規制処理により配向状態を維持したまま光または熱の照射により重合して高分子化され、硬化する。
【0023】
上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体であって、それ自身が液晶相を持つものとしては、液晶性の紫外線硬化型モノマーあるいは液晶性の紫外線硬化型オリゴマー(液晶性の紫外線硬化型モノマーの重合体)を用いることができ、第二の配向層の形成時は、上記基板上に形成した第一の配向層の液晶層側の面上にそのままスピンコート等で塗布後、第一の配向層に施された配向規制処理により配向状態を維持したまま紫外線の照射により重合して高分子化され、硬化する。
【0024】
また、本発明の液晶装置の製造方法は、液晶層が挟持された一対の基板の液晶層側の面に前記液晶層の液晶分子を配向させるための配向処理がそれぞれ施されてなる液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板の液晶層側の面に配向方向を規制する配向処理が施された第一の配向層をそれぞれ形成し、これら第一の配向層のうち少なくとも一方の第一の配向層の液晶層側の面上に前記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体と液晶との混合物を塗布した後、前記第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態を維持したまま高分子前駆体を重合、硬化し、前記高分子前駆体に添加した液晶を除去して、表面に前記高分子前駆体の重合物に起因する複数の粒子状又は線状の凸部が形成され、当該表面の平均粗さが100nm以下であって厚さが500nm以下の第二の配向層を形成することを特徴とするものであってもよい。
【0025】
このような液晶装置の製造方法によれば、上記液晶性を有する高分子前駆体と液晶との混合物は、液晶性を有しているので、上記混合物を上記第一の配向層の液晶層側の面に薄く塗布することにより、上記混合物中の液晶が第一の配向層に施された配向規制処理により配向し、この配向状態を維持したまま上記高分子前駆体を重合、硬化すると、第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態を有する第二の配向層を形成することができる。
【0026】
上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体としては、それ自身は液晶相は持たず、かつ、液晶と混合してもその液晶相を崩さないものを用いることができ、第二の配向層の形成時は、上記基板上に形成した第一の配向層の液晶層側の面上に液晶と混合してスピンコート等で塗布後、上記混合物中の液晶が第一の配向層に施された配向規制処理により配向し、この配向状態を維持したまま上記高分子前駆体を光または熱の照射により重合して高分子化され、硬化する。そして、上記高分子前駆体に添加された液晶を、エタノール等で洗い流すことにより除去し、乾燥することにより第二の配向層が得られる。
【0027】
上記の液晶装置の製造方法において、上記液晶性を有する高分子前駆体に、光吸収剤、脱励起剤、抗酸化剤のうちから選択される一種または二種以上の添加剤を添加することもできる。上記高分子前駆体に上記添加剤を添加することにより、さらに耐光性を向上できる。
【0028】
上記のような添加剤の添加量は、上記高分子前駆体の0.1乃至10重量%程度とすることが望ましい。
【0029】
上記の液晶装置の製造方法において、上記第一の配向層のうち少なくとも一方の第一の配向層の液晶層側の面に上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体または該高分子前駆体と液晶との混合物を塗布する際、硬化後の第二の配向層の厚みが500nm以下となるように塗布することが、駆動電圧上昇を抑えることができる点で望ましい。
【0030】
上記第二の配向層の表面は、凸部を有しており、この第二の配向層の平均表面粗さ(Ra)は100nm以下であることが、不要散乱を抑えることができる点で望ましい。
【0031】
さらに本発明の電子機器は、上記のいずれかに記載の液晶装置を備えたこと、もしくは上記のような製造方法によって製造された液晶装置を備えたことを特徴とする。
【0032】
このような電子機器によれば、不要散乱がなく、駆動電圧を上げることなく、液晶分子に対する配向規制力が変化するのを防止あるいは緩和して液晶分子の配向状態の長期耐光信頼性が改善され、しかも液晶層中に未反応の高分子前駆体等の不純物が残ることや高分子前駆体を重合させる際の紫外線等により液晶分子がダメージを受けるのを改善して、表示性能を向上した液晶装置が備えられているので、上記液晶分子の配向状態の乱れに起因するコントラストの低下等が起こることがなく、高コントラストで、表示性能および耐久性や安定性がよい電子機器を提供できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による液晶装置及びその製造方法並びにそれを用いた電子機器を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は本発明による液晶装置の第1実施形態を示す概略構成の縦断面図、図2はその一部の拡大縦断面図である。この第1実施形態の液晶装置は、垂直配向モードのものである。
【0035】
図において、1,2はガラス等よりなる上下一対の基板で、その両基板1、2間には液晶層3が介在されている。4は上記液晶層3の周縁部に設けたシール部材、5は上側偏向板、6は下側偏光板である。
【0036】
上記両基板1,2の液晶層3側の面には、図2に示すようにITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極7,8が設けられ、更にその透明電極7,8の液晶層3側には第一の配向層として垂直配向膜9,10が設けられ、さらにこれら垂直配向膜9,10の液晶層3側に第二の配向層11,12が設けられている。
【0037】
垂直配向膜9,10は、電圧無印加状態では、液晶層3内の液晶分子3aが図2に示すように基板1,2に対して略垂直に配向し、充分な電圧印加状態では、図3に示すように液晶層3内の液晶分子3aが基板1,2と略平行な方向に配向するように液晶分子3aの配向状態を規制するための配向処理が施されている。このような第一の配向層9,10の厚みは、例えば50nm程度とされる。
【0038】
第二の配向層11,12は、上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ、液晶性を有する高分子前駆体を塗布、硬化してなるものである。また、これら第二の配向層11,12は、垂直配向膜9,10に施された配向規制処理による配向状態を有している。
【0039】
このような第二の配向層11,12の厚みは、第一の配向層の厚みより薄い方が垂直配向膜9,10に施された配向規制処理による良好な配向状態を得ることができる点で望ましい。
【0040】
さらに、第二の配向層11,12の厚みは、それぞれ、500nm以下とすることが駆動電圧上昇を抑えられる点で望ましく、より望ましくは5nm以上500nm以下とすることが駆動電圧上昇を抑えられ、また、第二の配向層の作用効果を十分発揮でき、さらに望ましくは5乃至50nmとすることが液晶層3にかかる電圧の降下が少なくて済む。
【0041】
第二の配向層11,12の表面は、多数の粒子状の凸部あるいは線状の凸部を有しており、これら凸部は、上記高分子前駆体が重合して得られたポリマーから構成されている。第二の配向層11,12の平均表面粗さ(Ra)は、表面の平坦性を向上でき、凹凸による不要散乱の防止効果が優れる点で、100nm程度以下、より望ましくは10乃至40nmとなっている。例えば、第二の配向層11,12の表面に形成される凸部が粒子状である場合の凸部の平均粒子径は、40nm程度以下となっており、また、第二の配向層11,12の表面に形成される凸部が線状である場合の凸部の幅(短手方向の長さ)の平均値は、30nm程度以下となっている。
【0042】
第二の配向層11,12の厚みと平均表面粗さは、液晶性を有する高分子前駆体を垂直配向膜9,10の液晶層側の面に後述のスピンコート法やフレキソ印刷法等を用いて塗布するときの塗布厚等をコントロールすることにより容易に制御することができる。
【0043】
垂直配向モードの場合、液晶層3に用いる液晶としては、垂直配向し得るものであれば材質等は適宜であるが、本実施形態においては負の誘電率異方性を有する液晶が用いられ、電圧無印加状態(液晶層への印加電圧が液晶のしきい値電圧以下の状態)では、液晶層3内の液晶分子3aが図2に示すように基板1,2に対して略垂直に配向し、充分な電圧印加状態(液晶層への印加電圧が液晶の飽和電圧以上の状態)では、図3に示すように液晶層3内の液晶分子3aが基板1,2と略平行な方向に配向するように構成されている。
【0044】
また、液晶層3内の液晶分子3aは、垂直配向膜9,10および第二の配向層11,12によって、基板の垂線Lに対して所定のチルト角θ(例えば、1乃至5度程度)だけ傾斜したプレチルト状態が維持されるように構成されている。
【0045】
上記の構成において、上記の偏光板5,6の偏向軸を、例えば図3の状態における液晶分子3aの長軸方向に対してそれぞれ約45度の角度に傾斜させ、かつ両偏光板5,6を互いにクロスニコルの状態に配置すれば、図2の状態において上側偏向板5から液晶層3内に入った光は、そのまま下側偏光板6に入射して該偏向板を透過することなく黒(暗)表示が得られ、図3の状態においては上側偏向板5から液晶層3内に入った光は、液晶層3のリターデーションをあらかじめ調整しておくことにより、楕円偏向しながら下側偏光板6の偏向軸と略平行な方向に偏向して該偏向板6を透過して白(明)表示が得られる。
【0046】
その際、上記垂直配向膜9,10と第二の配向層11,12によって、電圧無印加時は液晶層3内の液晶分子3aを、上記のプレチルト状態に良好かつ安定に維持させることができると共に、充分な電圧印加時は液晶層内の液晶分子を上記のプレチルト方向に向かって良好に水平配向させることが可能となり、コントラスト等の表示特性のよい垂直配向モードの液晶装置が得られる。
【0047】
このような液晶装置では、使用状態によって、垂直配向膜9,10に配向規制状態が変化するような光劣化が起こったとしても、垂直配向膜9,10の液晶層3側の面上に形成された第二の配向層11,12は垂直配向膜9,10よりも耐光性が高いので、光劣化が起こらず、この第二の配向層11,12が有する、垂直配向膜9,10に施された配向規制処理による配向状態は変化せず、安定しており、この第二の配向層11,12の配向状態によって液晶層3の液晶分子3aの配向状態を規制できるので、駆動電圧を上げることなく、液晶分子3aの配向状態の長期耐光信頼性を向上でき、表示特性を向上できる。
【0048】
また、この第二の配向層11,12は、垂直配向膜9,10の液晶層3側の面上に液晶性を有する高分子前駆体を予め塗布、硬化させてなるものであるので、液晶層3中に未反応の高分子前駆体等の不純物が残ることや高分子前駆体を重合させる際の紫外線や熱等により液晶分子3aがダメージを受けるのを改善でき、良好な表示状態が得られる。
【0049】
また、第二の配向層11,12の厚みを薄くすることで、駆動電圧の上昇を抑制できる。
【0050】
また、第二の配向層11,12の表面は、液晶層中に高分子前駆体を分散させ、重合させて形成した従来の第二の配向膜と比べて表面の平均粗さが小さく、平坦性を良好とすることができ、凹凸に起因する不要散乱を回避できる。
【0051】
従って、上記のような構成とすることにより、不要散乱がなく、駆動電圧を上げることなく、液晶分子の配向状態の長期耐光信頼性を向上でき、表示性能を向上できる液晶装置とすることができる。
【0052】
次に、上記のような液晶装置の製造方法、特に第二の配向層11,12の形成方法の例について説明する。
【0053】
まず、一対の基板1,2の液晶層3側の面に透明電極7,8を設け、更にその透明電極7,8の液晶層3側にそれぞれポリイミド系樹脂をフレキソ印刷法等により塗布、焼成した後、それらの表面にラビング処理を施して垂直配向膜9,10を形成する。なお、ここでの垂直配向膜9,10は、斜法蒸着法によっても形成することができる。
【0054】
次に、上記のようにして形成した垂直配向膜9,10の液晶層3側の面上に第二の配向膜11,12を形成するが、その際に、上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体を用いる。
【0055】
ここで用いる高分子前駆体としては、それ自身が液晶相を持つものを用いることができ、例えば液晶性の紫外線硬化型モノマーあるいはそれらのオリゴマーを用いることができる。具体的には例えば下記表1または表2に記載した大日本インキ化学工業株式会社製のUVキュアラブル液晶を1種もしくは複数種組み合わせて使用することができる。
【0056】
【表1】
Figure 0003879326
【0057】
【表2】
Figure 0003879326
【0058】
また上記表1および表2以外にも例えば下記〔化1〕の一般式(A)で表される高分子前駆体を1種もしくは複数種組み合わせて使用することもできる。
【0059】
【化1】
Figure 0003879326
【0060】
なお上記式中、Y1 およびY2 は、メタクリレート基、アクリレート基、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フッ素原子、シアノ基のいずれかを示すが、Y1 およびY2 の少なくとも一方はメタクリレート基またはアクリレート基のいずれかを示し、A1 は存在せずその両側のベンゼン環同士が単結合で直結しているか、またはA1 は下記〔化2〕の一般式(B)乃至(E)のいずれかの基または酸素原子、あるいは硫黄原子のいずれかを示し、A1 の両側のベンゼン環の水素原子はすべて水素原子であるか、または少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子によって置換されているものであってもよい。
【0061】
【化2】
Figure 0003879326
【0062】
本発明に用いられる高分子前駆体としては、上記以外にもそれ自身が液晶相を持つものであるか、またはそれ自身は液晶相は持たないが、液晶と混合してもその液晶相を崩さないものを用いることができ、これらの高分子前駆体を総称して液晶性を有する高分子前駆体と呼んでいる。
【0063】
そして、上記のような高分子前駆体を用意したならば、垂直配向膜9,10の液晶層3側の面上に、上記高分子前駆体をスピンコート法やフレキソ印刷法等により塗布する。すると、上記高分子前駆体は、液晶性(配向性)を有しているので、該高分子前駆体を垂直配向膜9,10の液晶層3側の面にそれぞれ薄く塗布することにより、上記高分子前駆体は垂直配向膜9,10に施された配向規制処理により配向する。
【0064】
ここで上記高分子前駆体を塗布する際、硬化後の第二の配向層11,12の厚みがそれぞれ500nm以下となるように塗布することが、駆動電圧上昇を抑えることができる点で望ましい。
【0065】
ついで、垂直配向膜9,10に施された配向規制処理による配向状態を維持したまま高分子前駆体に紫外線(UV)を照射することにより、重合、硬化させると、垂直配向膜9,10に施された配向規制処理による配向状態を有する第二の配向層11,12を形成できる。
【0066】
ここでの紫外線(UV)の照射量としては、例えば300〜400nm程度の紫外線を5〜15mW/cm2 程度の強度で、真空中で10分間程度照射すればよい。その紫外線照射によって上記高分子前駆体が重合して高分子化され、硬化して第二の配向層11,12が形成されるものである。
【0067】
上記高分子前駆体には、光吸収剤、脱励起剤、抗酸化剤のうちから選択される一種または二種以上の添加剤を添加してもよい。
【0068】
上記光吸収剤としては、光吸収帯域が270乃至450nmに存在するものが用いられ、具体的には、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン、セラミック粒子などを使用できる。
【0069】
上記脱励起剤としては、ビフェニル、カルバゾール、ベンゾフェノンなどが用いられる。
【0070】
上記抗酸化剤としては、ヒドロキノン、2,5−ジ−tert.−ブチルヒドロキノン、フェノール類、リン化合物、硫黄化合物などが用いられる。
【0071】
このような添加剤を上記高分子前駆体に添加すると、さらに耐光性を向上させることができる。
【0072】
上記のような添加剤の添加量は、上記高分子前駆体の0.1乃至10重量%程度とすることが望ましい。
【0073】
本実施形態の液晶装置の製造方法では、上記の液晶性(配向性)を有する高分子前駆体を用いるので、該高分子前駆体を垂直配向膜9,10の液晶層3側の面に薄く塗布することにより、上記液晶性を有する高分子前駆体が垂直配向膜9,10に施された配向規制処理により配向し、この配向状態を維持したまま重合、硬化すると、第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態を有する第二の配向層を形成することができる。
【0074】
また、一対の基板1,2上に形成された垂直配向膜9,10の液晶層3側の面に高分子前駆体を塗布して、予め、高分子化を行うので、液晶層3中に未反応の高分子前駆体等の不純物が残ることがなく、また、高分子前駆体を重合するための光や熱により液晶層3の液晶分子がダメージを受けることもなく、表示状態に悪影響を及ぼすことがない。
【0075】
なお、上記実施形態においては、液晶性の高分子前駆体として液晶性の紫外線硬化型のモノマーあるいはそれらのオリゴマーを用いる場合について説明したが、例えば熱硬化型のモノマーを使用することもできる。具体的には例えば下記〔化3〕に示すようなエポキシ基を持つ化合物(例えば、Epon 828, MK-107, EGDE)とアルコール(例えば、Capcure 3-800)またはアミン(例えば4-(ω-アミノアルコキシ)-4'-シアノビフェニル)の混合モノマーを使用することができる。このような熱硬化型のモノマーを使用する場合、熱硬化型のモノマーを重合、硬化するために加熱するが、その際の加熱温度は例えばEpon 828とCapcure 3-800では60℃において3時間程度加熱すればよい。
【0076】
【化3】
Figure 0003879326
【0077】
また上記のようにして形成された第二の配向層11,12の液晶層3側の平均表面粗さ(表面平坦度)は、用いる液晶性を有する高分子前駆体の材料、UV照射条件(温度、強度)、加熱条件(温度、時間)により変更可能であり、例えば上記高分子前駆体を重合して得られたポリマーが線状になることもあるし、粒子状になることもある。
【0078】
また、上記の実施形態の液晶装置の製造方法においては、液晶性を有する高分子前駆体としてそれ自身が液晶相を持つものを用いて第二の配向層を形成する場合について説明したが、液晶性を有する高分子前駆体として、それ自身は液晶相は持たないが、液晶と混合してもその液晶相を崩さないものを用いる場合の第二の配向層の形成方法は、垂直配向膜9,10の液晶層3側の面上に上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体としてそれ自身は液晶相は持たないが、液晶と混合してもその液晶相を崩さないものと、液晶との混合物を塗布した後、垂直配向膜9,10に施された配向規制処理による配向状態を維持したまま上記高分子前駆体を重合、硬化した後、上記高分子前駆体に添加した液晶をエタノール等で洗い流して除去した後、乾燥する以外は、先に述べた製造例と同様にして第二の配向層を形成できる。
【0079】
ここで上記高分子前駆体に添加する液晶としては、液晶層3に用いたものと同様の液晶で、この高分子前駆体と混合しても液晶相を崩さないものや、垂直配向モードにおいて一般的に用いられる負の誘電率異方性を有するネマティック液晶などでは、具体的にはメルク社製MLC2039などを用いることができる。
【0080】
上記高分子前駆体と液晶との混合物を塗布する際、硬化後の第二の配向層の厚みが500nm以下となるように塗布することが、駆動電圧上昇を抑えることができる点で望ましい。
【0081】
このような液晶装置の製造方法によれば、上記液晶性を有する高分子前駆体と液晶との混合物は、液晶性を有しているので、上記混合物を垂直配向膜9,10の液晶層3側の面に薄く塗布することにより、上記混合物中の液晶が垂直配向膜9,10に施された配向規制処理により配向し、この配向状態を維持したまま上記高分子前駆体を重合、硬化すると、垂直配向膜9,10に施された配向規制処理による配向状態を有する第二の配向層を形成することができる。
【0082】
上記液晶性を有する高分子前駆体として、それ自身は液晶相は持たず、かつ、液晶と混合してもその液晶相を崩さないものを用いる場合、第二の配向層の形成時は、この高分子前駆体と液晶とを混合し、この混合物を垂直配向膜9,10の液晶層3側の面上にスピンコート等で塗布すると、上記混合物中の液晶が垂直配向膜9,10に施された配向規制処理により配向し、この配向状態を維持したまま上記高分子前駆体を光または熱の照射により重合して高分子化され、硬化する。そして、上記高分子前駆体に添加された液晶は、エタノール等で洗い流すことにより除去できる。
【0083】
なお上記実施形態においては、透明電極を両基板1,2側に対向させて設けると共に、負の誘電率異方性を有する液晶を用いたが、電極を一方の基板側に横方向に並べて設けると共に、正の誘電率異方性を有する液晶を用いた垂直配向モードの液晶装置にも適用できる。また電極構造は単純マトリックス型やセグメント型その他適宜であり、さらにTFT(Thin Film Transistor)素子やMIM(Metal Insulator Metal)素子等のアクティブ素子を用いたものにも適用可能である。
【0084】
(第2実施形態)
図4は本発明による液晶装置の第2実施形態の一部の拡大断面図である。この第2実施形態の液晶装置は、本発明を通常のSTN型液晶装置に適用した例を示す。
【0085】
この第2実施形態の液晶装置が、図1乃至図3に示した第1実施形態の液晶装置と異なるところは、液晶層3の液晶として、SS5004(チッソ社製)にカイラル成分としてCB15(メルク社製)を、液晶の螺旋ピッチが液晶層3の厚さの4/3倍になるように混合したものが用いられ、第一の配向層9a,10aとして水平配向処理が施され、電圧無印加状態では液晶層3内の液晶分子3bが図4に示すように270度ツイストするように液晶分子3bの配向状態を規制するための配向処理が施されたものが用いられ、第二の配向層11a,12aは、第一の配向層9a,10aの液晶層3側の面に上記第1実施形態で用いたものと同様の上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ、液晶性を有する高分子前駆体を塗布、硬化してなるものが用いられ、また、これら第二の配向層11a、12aは、第一の配向層9a,10aに施された配向規制処理による配向状態を有している点である。
【0086】
液晶層3内の液晶分子3bは、第一の配向層9a,10aおよび第二の配向層11a,12aによって、基板の垂線に対して所定のチルト角(例えば、20度程度)だけ傾斜したプレチルト状態が維持されるように構成されている。
【0087】
(第3実施形態)
図5は本発明による液晶装置の第3実施形態の一部の拡大断面図である。この第3実施形態の液晶装置は、本発明を通常のTN型液晶装置に適用した例を示す。
【0088】
この第3実施形態の液晶装置が、図1乃至図3に示した第1実施形態の液晶装置と異なるところは、液晶層3の液晶として、SS5004(チッソ社製)にカイラル成分としてCB15(メルク社製)を、液晶の螺旋ピッチが液晶層3の厚さの4倍以上になるように混合したものが用いられ、第一の配向層9b,10bとして水平配向処理が施され、電圧無印加状態では液晶層3内の液晶分子3cが図5に示すように90度ツイストするように液晶分子3cの配向状態を規制するための配向処理が施されたものが用いられ、第二の配向層11b,12bは、第一の配向層9b,10bの液晶層3側の面に上記第1実施形態で用いたものと同様の上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ、液晶性を有する高分子前駆体を塗布、硬化してなるものが用いられ、また、これら第二の配向層11b、12bは、第一の配向層9b,10bに施された配向規制処理による配向状態を有している点である。
【0089】
なお、本実施形態において液晶層3中に、2色性色素を混合することにより、電界印加で透明、無電界印加で色素の着色となり、表示のために偏光板を必要としない液晶装置を作製できる。
【0090】
(第4実施形態)
図6は本発明による液晶装置の第4実施形態の一部の拡大断面図である。この第4実施形態の液晶装置は、本発明を強誘電性液晶を用いた液晶装置に適用した例を示す。
【0091】
この第4実施形態の液晶装置が、図1乃至図3に示した第1実施形態の液晶装置と異なるところは、液晶層3の液晶として、ZLI3488(メルク社製)が用いられ、第一の配向層9c,10cとして水平配向処理が施され、しかもこれら第一の配向層9c,10cはラビング方向が重なるように対向配置されたものが用いられ、第二の配向層11c,12cは、第一の配向層9c,10cの液晶層3側の面に上記第1実施形態で用いたものと同様の上記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ、液晶性を高分子前駆体を塗布、硬化してなるものが用いられ、また、これら第二の配向層11c、12cは、第一の配向層9c,10cに施された配向規制処理による配向状態を有している点である。
【0092】
液晶層3内の液晶分子3dは、第一の配向層9c,10cおよび第二の配向層11c,12cによって、例えばプレチルトが5度を維持されるように構成されている。なお、図中符号、3eは層構造を示す。
【0093】
また、本実施形態の液晶装置においては、液晶分子3dの双安定期間の開き角は45度近くある。
【0094】
(第5実施形態)
図7は、本発明による液晶装置の第5実施形態の平面図、図8は図7におけるA−A線断面図である。この第5実施形態の液晶装置は、本発明をアクティブ素子を用いたアクティブマトリックス型液晶装置に適用した例を示す。
【0095】
第5実施形態の液晶装置は、画素電極48がマトリクス状に形成されたアクティブマトリクス基板42と、対向電極47および遮光膜51が形成された対向基板41と、これらの基板間に封入、挟持されている液晶層43とから概略構成されている。
【0096】
アクティブマトリクス基板42と対向基板41とは、対向基板41の外周縁に沿って形成されたギャップ材含有のシール材44によって所定の間隙を介して貼り合わされている。また、アクティブマトリクス基板42と対向基板41との間には、シール材44によって液晶封入領域52が区画形成され、この液晶封入領域52内に液晶が封入され液晶層43が形成されている。この液晶封入領域52内において、アクティブマトリクス基板42と対向基板41と間にはスベーサ53を介在させることもある。
【0097】
上記のシール材44としては、エポキシ樹脂や各種の紫外線硬化樹脂などを用いることができる。また、シール材44に配合されるギャップ材としては、約1μm〜約10μmの無機あるいは有機質のファイバもしくは球などが用いられる。
【0098】
上記シール材44は部分的に途切れており、この途切れ部分によって、液晶注入口44aが構成されている。対向基板41とアクティブマトリクス基板42とを貼り合わせた後、シール材44の内側領域を減圧状態にすることによって上記液晶注入口44aから液晶43を減圧注入することができ、液晶43を封入した後は液晶注入口44aを封止剤54で塞げばよい。対向基板41には、シール材44の内側において画像表示領域Fを見切りするための遮光膜55も形成されている。対向基板41のコーナ部のいずれにもアクティブマトリクス基板42と対向基板41との間で電気的導通をとるための上下導通材56が形成されている。
【0099】
また、対向基板41およびアクティブマトリクス基板42の光入射側の面あるいは光出射側には、使用する液晶43の種類、すなわち、TN(ツイステッドネマティック)モード、強誘電モード、反強誘電モード、等々の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリプラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の向きに配置される。
【0100】
なお、本実施形態の液晶装置には、カラーフィルタが形成されていないが、対向基板41において各画素電極48に対向する領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜とともに形成することもある。また対向基板41に何層もの屈折率の異なる干渉層を積層することにより、光の干渉作用を利用して、RGB色をつくり出すダイクロイックフィルタを形成することもある。
【0101】
また本実施形態において、対向基板41はアクティブマトリクス基板42よりも小さく、アクティブマトリクス基板42の周辺部分は、対向基板41の外周縁からはみ出た状態に貼り合わされる。従って、アクティブマトリクス基板42の駆動回路(走査線駆動回路70やデータ線駆動回路60)や入出力端子57は対向基板41から露出した状態にある。このように構成した液晶装置において、アクティブマトリクス基板42に形成されている多数の入出力端子57には、検査に用いる入力端子57aおよび出力端子57bが含まれている。
【0102】
図9は上記のようなアクティブマトリックス型の液晶装置、特に上記第1実施形態と同様に垂直配向モードとして構成した液晶装置における電圧無印加状態の一部の拡大縦断面図、図10は充分な電圧印加状態における同上図である。
【0103】
アクティブ素子として本実施形態においてはTFT素子20を用いたもので、そのTFT素子20はソース電極21とゲート電極22およびドレイン電極23等よりなり、アクティブマトリックス基板42上に各画素毎に設けられている。上記ドレイン電極23にはコンタクトホールhを介して画素電極48が導電接続され、その画素電極48と対向電極47の対向面側には垂直配向膜(第一の配向層)49,50が形成されている。又その両配向膜49,50間には、上記図2および図3の実施形態と同様に液晶層43が介在されている。また、両配向膜49,50の液晶層43側の面上には、上記第1実施形態と同様の要領で第二の配向層71、72が形成されている。
【0104】
図11は上記のアクティブマトリクス基板の構成を模式的に示すブロック図である。同図に示すように、アクティブマトリクス基板42において、ガラス製などの透明な基板のうち、略中央領域に形成された画素部81では、アルミニウム、タンタル、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属膜、シリコンオキサイド膜、導電性半導体膜などで形成されたデータ線90および走査線91が設けられている。そのデータ線90および走査線91は、上記の各画素毎に設けたTFT素子20のゲート電極22およびソース電極21にそれぞれ接続されている。上記各画素には、上記TFT素子20を介して画素電極48に画像信号が入力される液晶容量94(液晶セル)が形成される。
【0105】
上記データ線90に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ側駆動回路60が構成されている。
【0106】
なお、図11中、符号301はサンプリング回路、302はデータ線90毎に備えられたTFT、304は画像信号線、306はサンプリング回路駆動信号線、201は複数のデータ線90に所定電圧レベルのプリチャージ信号NRSを画像信号S1、S2、・・・Snに先行してそれぞれ供給するプリチャージ回路、202はスイッチング素子としてのTFT、204はプリチャージ信号線、206はプリチャージ回路駆動信号線である。
【0107】
一方、走査線91に対しては、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査側駆動回路70が構成されている。
【0108】
上記各画素には、走査線91と並行に延びる容量線92との間に保持容量(図示略)が形成され、この保持容量は、液晶容量94での電荷の保持特性を高める機能を有している。この保持容量は、前段の走査線91との間に形成されることもある。このように、アクティブマトリクス基板42の画素部81には多数の画素がマトリックス状に形成されているが、これらの画素のうち、最も外周側に位置する1列分ないし3列分の画素81aは、表示が安定しないとして、上記図7に示す見切り用の遮光膜55で覆われたダミー画素であり、これらのダミー画素81aは表示に寄与しない。但し、ダミー画素81aであっても、他の画素と同様、画素スイッチング用のTFT素子20が形成されているとともに、データ線駆動回路60や走査線駆動回路70とは回路接続している。
【0109】
上記の構成において、アクティブマトリックス基板42と対向基板41の外側にそれぞれ偏向板を上記図2および図3の場合と同様に配置すれば、図9の電圧無印加状態においては上側偏向板から液晶層43内に入った光は、そのまま下側偏光板に入射して該偏向板を透過することなく黒(暗)表示が得られ、図10の充分な電圧印加状態においては上側偏向板5から液晶層43内に入った光は、楕円偏向しながら、液晶層43のリターデーション設定により下側偏光板の偏向軸と略平行な方向に偏向して該偏向板を透過して白(明)表示が得られる。その際、第一の配向層49,50および第二の配向層71,72によって、電圧無印加時は液晶層43内の液晶分子43aを、上記のプレチルト状態に良好かつ安定に維持させることができると共に、充分な電圧印加時は液晶層内の液晶分子を上記のプレチルト方向に向かって良好に水平配向させることが可能となり、コントラスト等の表示特性のよい液晶装置が得られるものである。
【0110】
また、このアクティブマトリックス型の液晶装置では、使用状態によって、第一の配向層49,50に配向規制状態が変化するような光劣化が起こったとしても、第一の配向層49,50の液晶層43側の面上に形成された第二の配向層71,72は第一の配向層49,50よりも耐光性が高いので、光劣化が起こらず、この第二の配向層71,72が有する、第一の配向層49,50に施された配向規制処理による配向状態は変化せず、安定しており、この第二の配向層71,72の配向状態によって液晶層43の液晶分子43aの配向状態を規制できるので、液晶分子43aの配向状態の長期耐光信頼性を向上でき、表示特性を向上できる。
【0111】
また、この第二の配向層71,72は、第一の配向層49,50の液晶層43側の面上に液晶性を有する高分子前駆体を塗布、硬化させてなるものであるので、液晶層43中に未反応の高分子前駆体等の不純物が残ることや高分子前駆体を重合させる際の紫外線や熱等により液晶分子43aがダメージを受けるのを改善でき、良好な表示状態が得られる。
【0112】
また、第二の配向層71,72の厚みを薄くすることで、駆動電圧の上昇を抑制できる。
【0113】
また、第二の配向層71,72の表面は、液晶層中に高分子前駆体を分散させ、重合させて形成した従来の第二の配向膜と比べて表面の平均粗さが小さく、平坦性を良好とすることができ、凹凸に起因する不要散乱を回避できる。
【0114】
従って、上記のような構成とすることにより、不要散乱がなく、駆動電圧を上げることなく、液晶分子の配向状態の長期耐光信頼性を向上でき、表示性能を向上できる液晶装置とすることができる。
【0115】
なお上記の各上記実施形態においては、いわゆる透過型の液晶装置を例示したが、反射板を用いた反射型の液晶装置にも適用できる。その反射板の配置構成としては、一方の基板の内側に配設させる電極を、反射性を有する金属膜等で形成する。例えば上記図1乃至3の実施形態における一方の基板上の電極7または8、もしくは図7乃至図11の実施形態におけるアクティブマトリックス基板42上の画素電極48を、アルミニウム合金などの反射性を有する金属膜等で形成して反射板を兼ねるようにする。あるいは図12(a)に示すように上記図1における一方の偏向板6の外側に反射板31を設ける、または同図(b)に示すように上記偏向板6の代わりに反射板と偏向板とを兼ねる反射偏光子(反射偏向板もしくは反射板)32を設ける等その他適宜である。
【0116】
(電子機器の例)
次に上記のように構成した液晶装置は、各種の電子機器の表示パネル等として適用可能であり、上記のような液晶装置を用いて構成される電子機器は、一般に図13に示す表示情報出力源1003、表示情報処理回路1002、表示駆動回路1004、液晶パネルなどの表示パネル1006、クロック発生回路1008及び電源回路1010を含んで構成される。表示情報出力源1003は、ROM、RAMなどのメモリ、テレビ信号を同調して出力する同調回路などを含んで構成され、クロック発生回路1008からのクロックに基づいて、ビデオ信号などの表示情報を出力する。表示情報処理回路1002は、クロック発生回路1008からのクロックに基づいて表示情報を処理して出力する。この表示情報処理回路1002は、例えば増幅・極性反転回路、シリアル−パラレル変換回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路あるいはクランプ回路等を含むことができる。
【0117】
表示駆動回路1004は、走査側駆動回路及びデータ側駆動回路を含んで構成され、液晶パネル1006を表示駆動する。電源回路1010は、上述の各回路に電力を供給する。
【0118】
このような構成の電子機器としては、例えば液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、あるいは携帯電話、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置などを挙げることができる。
【0119】
図14は上記図1乃至図3および図7乃至図11に示すような透過型の液晶装置をライトバルブとして用いた投写型液晶プロジェクタの要部の概略構成図である。図中、110は光源、113,114はダイクロイックミラー、115,116,117は反射ミラー、118,119,120はリレーレンズ、122,123,124は液晶ライトバルブ、125はクロスダイクロイックプリズム、126は投写レンズを示す。上記光源110はメタルハライド等のランプ111とランプの光を反射するリフレクタ112とからなる。
【0120】
上記ダイクロイックミラー113は、光源110からの白色光束のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。そのダイクロイックミラー113を透過した赤色光は反射ミラー117で反射されて、赤色光用液晶ライトバルブ122に入射される。一方、ダイクロイックミラー113で反射された色光のうち緑色光は緑色光反射のダイクロイックミラー114によって反射され、緑色光用液晶ライトバルブ123に入射される。一方、青色光は第2のダイクロイックミラー114も透過する。その青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ118、リレーレンズ119、出射しンズ120を含むリレーレンズ系からなる導光手段121が設けられ、これを介して青色光が青色光用液晶ライトバルブ124に入射される。
【0121】
上記各ライトバルブに入射した3つの色光は各ライトバルブで変調されてクロスダイクロイックプリズム125に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ126によってスクリーン127上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0122】
図15は上記図1乃至図3および図7乃至図11の実施形態において反射性を有する電極を用いた場合もしくは上記図12(a)・(b)に示すような反射型の液晶装置をライトバルブとして用いた反射型液晶プロジェクタの要部の概略構成図である。
【0123】
本例のプロジェクタは、システム光軸Lに沿って配置した光源部210、インテグレータレンズ220、偏光変換素子230から概略構成される偏光照明装置200、その偏光照明装置200から出射されたS偏光光束をS偏光光束反射面251により反射させる偏光ビームスプリッタ250、その偏光ビームスプリッタ250のS偏光反射面251から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロイックミラー412、その分離された青色光(B)を変調する反射型液晶ライトバルブ300B、青色光が分離された後の光束のうち赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロイックミラー413、その分離された赤色光(R)を変調する反射型液晶ライトバルブ300R、上記ダイクロイックミラー413を透過する残りの緑色光(G)を変調する反射型液晶ライトバルブ300G、上記3つの反射型液晶ライトバルブ300R、300G、300Bにて変調された光をダイクロイックミラー412,413、偏光ビームスプリッタ250にて合成し、この合成光をスクリーン600に投射する投射レンズからなる投射光学系500によって構成されている。上記3つの反射型液晶ライトバルブ300R、300G、300Bには、それぞれ前述の本発明による反射型液晶装置が用いられている。
【0124】
上記光源部210から出射されたランダムな偏光光束は、インテグレータレンズ220により複数の中間光束に分割された後、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子230により偏光方向がほぼ揃った一種類の偏光光束(S偏光光束)に変換されてから偏光ビームスプリッタ250に至るようになっている。偏光変換素子230から出射されたS偏光光束は、偏光ビームスプリッタ250のS偏光光束反射面251によって反射され、反射された光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロイックミラー412の青色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ300Bによって変調され反射される。また、ダイクロイックミラー412の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束はダイクロイックミラー413の赤色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ300Rによって変調され反射される。さらに、ダイクロイックミラー413の赤色光反射層を透過した緑色光(G)の光束は反射型液晶ライトバルブ300Gによって変調され反射される。
【0125】
上記のようにして、それぞれの反射型液晶ライトバルブ300R、300G、300Bによって変調され反射された色光のうち、S偏光成分はS偏光を反射する偏光ビームスプリッタ250を透過せず、一方、P偏光成分は透過する。この偏光ビームスプリッタ250を透過した光が合成されて画像が形成され、投射光学系500を介してスクリーン600に投影される構成である。
【0126】
上記図14および図15のように本発明による液晶装置を液晶プロジェクタのライトバルブに用いると、第一の配向層49,50および第二の配向層71,72によって、電圧無印加時は液晶層内の液晶分子を、所定のプレチルト状態に良好かつ安定に維持させることができると共に、充分な電圧印加時は液晶層内の液晶分子を上記のプレチルト方向に向かって良好に水平配向させることが可能となり、高コントラストの液晶プロジェクタを得ることができる。
【0127】
また、上記のような液晶プロジェクタにおいては、ライトバルブとして用いた液晶装置に比較的強い光が照射され、その光によって第一の配向層49,50が経時的に徐々に劣化して配向規制状態が変化するような光劣化が起こったとしても、第一の配向層49,50の液晶層43側の面上に形成された第二の配向層71,72は第一の配向層49,50よりも耐光性が高いので、光劣化が起こらず、この第二の配向層71,72が有する、第一の配向層49,50に施された配向規制処理による配向状態は変化せず、安定しており、この第二の配向層71,72の配向状態によって液晶層43の液晶分子43aの配向状態を規制できるので、液晶分子43aの配向状態の長期耐光信頼性を向上でき、駆動電圧を上げることなく、不要散乱を抑えることができ、表示特性を向上できる。
【0128】
図16(a)乃至図16(c)は、それぞれ本発明の液晶装置を用いた電子機器の他の具体例を示す外観図である。なお、これらの電子機器では上記のようなライトバルブとしてではなく、直視型の液晶表示装置(液晶パネル)として使用されるため透過型および反射型のいずれのタイプの液晶装置でも適用できる。図16(a)は携帯電話を示す斜視図である。1000は携帯電話本体を示し、そのうちの1001は本発明の液晶装置を用いた液晶表示部である。
【0129】
図16(b)は、腕時計型電子機器を示す図である。1100は時計本体を示す斜視図である。1101は本発明の液晶装置を用いた液晶表示部である。この液晶装置は、従来の時計表示部に比べて高精細の画素を有するので、テレビ画像表示も可能とすることができ、腕時計型テレビを実現できる。
【0130】
図16(c)は、ワープロ、パソコン等の携帯型情報処理装置を示す図である。1200は情報処理装置を示し、1202はキーボード等の入力部、1206は本発明の液晶装置を用いた表示部、1204は情報処理装置本体を示す。各々の電子機器は上記図1乃至図3および図4乃至11の実施形態に示すような透過型の液晶装置を用いて、その背面側に、いわゆるバックライトを配置すれば明るい表示が得られ、反射型液晶装置を用いればバックライトが不要となり消費電力を少なくすることができる。
【0131】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0132】
【実施例】
次に、本発明による液晶装置およびその製造方法ならびに該液晶装置を電子機器に適用した具体的な実施例について説明する。
【0133】
〔実施例1〕
二枚の基板上にそれぞれ第一の配向層としてポリイミド系の垂直配向膜(JSRのJALS657)をスピンコーターを用いて膜厚30nm程度形成した。その後ラビングによりプレチルトを2〜3°付けた。ついで、各垂直配向膜の表面に液晶性モノアクリレート(大日本インキ化学工業株式会社製;UVキュアラブル液晶MixtureC)を硬化後の厚さが30nmとなるように塗布した後、基板温度50℃において真空中で350nmの紫外線を10mW/cm2 の強度で、約10分間照射して第二の配向層を形成した。
【0134】
このようにして作製した上下基板をラビング角度180°で、セル厚4μmに貼り合わせて空パネルを作製した。
【0135】
一方、液晶としては、ジフッソ系の負の誘電率異方性を示す組成物(メルク社製;MLC−2039)を用い、この液晶を上記の空パネル中に封入した。
【0136】
〔比較例1〕
上記実施例1に対する比較例として、垂直配向膜上に第二の配向層を形成しない以外は上記実施例1と同様の要領で液晶パネルを作製した。
【0137】
上記実施例1および比較例1で作製したパネルを光束密度50lm/mmの光路中にパネル温度70゜Cで500時間放置し、液晶分子の配向の変化を調べたところ、比較例1のものは、配向の乱れが生じ、液晶の無電界時でのプレチルトの経時変化が見られた。これに対して実施例1のものは、光束密度50lm/mmの光路中にパネル温度70℃、500時間放置しても、配向の乱れは全く生じなかった。また、液晶の無電界時でのプレチルトを測定しても経時変化は見られなかった。
【0138】
また上記実施例1で得られた液晶装置を、液晶プロジェクタのライトバルブとして、また携帯電話や腕時計およびワープロやパソコン等の電子機器の表示装置として用いることによって高コントラストで表示性能および耐久性や安定性のよい電子機器を得ることができた。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の液晶装置にあっては、使用状態によって、上記第一の配向層に配向規制状態が変化するような光劣化が起こったとしても、上記第一の配向層の液晶層側の面上に形成された第二の配向層は上記第一の配向層よりも耐光性が高いので、光劣化が起こらず、この第二の配向層が有する、上記第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態は変化せず、安定しており、この第二の配向層の配向状態によって液晶層の液晶分子の配向状態を規制できるので、液晶分子の配向状態の長期耐光信頼性を向上でき、表示特性を向上できる。また、この第二の配向層は、上記第一の配向層の液晶層側の面上に液晶性を有する高分子前駆体を予め塗布、硬化させてなるものであるので、上記液晶層中に未反応の高分子前駆体等の不純物が残ることや高分子前駆体を重合させる際の紫外線等により液晶分子がダメージを受けるのを改善でき、良好な表示状態が得られる。
【0140】
また、上記の第二の配向層の厚みを薄くすることで、駆動電圧の上昇を抑制できる。
【0141】
また、上記の第二の配向層の表面は、液晶層中に高分子前駆体を分散させ、重合させて形成した従来の第二の配向膜と比べて平坦性が良好であるので、凹凸に起因する不要散乱を回避できる。
【0142】
従って、上記のような構成とすることにより、不要散乱がなく、駆動電圧を上げることなく、液晶分子の配向状態の長期耐光信頼性を向上でき、表示性能を向上できる液晶装置とすることができる。
【0143】
また、本発明の液晶装置の製造方法にあっては、上記の液晶性(配向性)を有する高分子前駆体を用いるので、該高分子前駆体を上記第一の配向層の液晶層側の面に薄く塗布することにより、上記液晶性を有する高分子前駆体が第一の配向層に施された配向規制処理により配向し、この配向状態を維持したまま重合、硬化すると、第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態を有する第二の配向層を形成することができる。
【0144】
また、一対の基板上に形成された第一の配向層の液晶層側の面に高分子前駆体を塗布して、予め、高分子化を行うので、液晶層中に未反応の高分子前駆体等の不純物が残ることがなく、また、光や熱により液晶層の液晶分子がダメージを受けることもなく、表示状態に悪影響を及ぼすことがない。
【0145】
また、本発明の電子機器にあっては、不要散乱がなく、駆動電圧を上げることなく、液晶分子に対する配向規制力が変化するのを改善して液晶分子の配向状態の長期耐光信頼性が改善された本発明の液晶装置が備えられているので、上記液晶分子の配向状態の乱れに起因するコントラストの低下等が起こることがなく、高コントラストで、表示性能および耐久性や安定性がよい電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による液晶装置の第1実施形態を示す概略構成の縦断面図。
【図2】 第1実施形態の液晶装置の一部の拡大縦断面図。
【図3】 電圧印加状態の同上図。
【図4】 第2実施形態の液晶装置の一部の拡大縦断面図。
【図5】 本発明による液晶装置の第3実施形態の一部の拡大断面図。
【図6】 本発明による液晶装置の第4実施形態の一部の拡大断面図。
【図7】 本発明を適用したアクティブ型液晶装置の一実施形態を示す平面図。
【図8】 図7におけるA−A線断面図。
【図9】 上記液晶装置の一部の拡大縦断面図。
【図10】 電圧印加状態の同上図。
【図11】 アクティブマトリクス基板の構成を模式的に示すブロック図。
【図12】 反射型液晶装置に適用した例の概略構成の縦断面図。
【図13】 本発明による液晶装置を用いた電子機器の基本構成を示す説明図。
【図14】 本発明を適用した電子機器としての透写型液晶プロジェクタの概略構成図。
【図15】 本発明を適用した電子機器としての反射型液晶プロジェクタの概略構成図。
【図16】 本発明を適用した他の電子機器の斜視図。
【符号の説明】
1 上側基板
2 下側基板
3 液晶層
3a、3b、3c 3d 液晶分子
9、10 垂直配向膜(第一の配向層)
9a、10a 第一の配向層
9b、10b 第一の配向層
9c、10c 第一の配向層
11、12 第二の配向層
11a、12a 第二の配向層
11b、12b 第二の配向層
11c、12c 第二の配向層
49、50 垂直配向膜(第一の配向層)
71、72 第二の配向層

Claims (3)

  1. 液晶層が挟持された一対の基板の液晶層側の面に前記液晶層の液晶分子を配向させるための配向処理がそれぞれ施されてなる液晶装置の製造方法であって、
    前記一対の基板の液晶層側の面に配向方向を規制する配向処理が施された第一の配向層をそれぞれ形成し、これら第一の配向層のうち少なくとも一方の第一の配向層の液晶層側の面上に前記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体を塗布した後、
    前記第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態を維持したまま高分子前駆体を重合、硬化することで、表面に前記高分子前駆体の重合物に起因する複数の粒子状又は線状の凸部が形成され、当該表面の平均表面粗さが100nm以下であって厚さが500nm以下の第二の配向層を形成するに際して、
    前記第二の配向層の表面粗さを、前記第一の配向層上に塗布する前記高分子前駆体の膜厚により調整することを特徴とする液晶装置の製造方法。
  2. 液晶層が挟持された一対の基板の液晶層側の面に前記液晶層の液晶分子を配向させるための配向処理がそれぞれ施されてなる液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板の液晶層側の面に配向方向を規制する配向処理が施された第一の配向層をそれぞれ形成し、これら第一の配向層のうち少なくとも一方の第一の配向層の液晶層側の面上に前記第一の配向層よりも耐光性が高く、かつ液晶性を有する高分子前駆体と液晶との混合物を塗布した後、
    前記第一の配向層に施された配向規制処理による配向状態を維持したまま高分子前駆体を重合、硬化し、前記高分子前駆体に添加した液晶を除去して、表面に前記高分子前駆体の重合物に起因する複数の粒子状又は線状の凸部が形成され、当該表面の平均粗さが100nm以下であって厚さが500nm以下の第二の配向層を形成するに際して、
    前記第二の配向層の表面粗さを、前記第一の配向層上に塗布する前記高分子前駆体の膜厚により調整することを特徴とする液晶装置の製造方法。
  3. 厚さが5nm以上50nmである前記第二の配向層を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置の製造方法。
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