JP5113583B2 - 空間光変調器のキャリブレーション方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多数の光変調素子を所定の配列方向に配列した光変調素子列を有する空間光変調器において、光変調素子列の各光変調素子への入力値を修正することにより空間光変調器からの出力光量の分布を修正する空間光変調器のキャリブレーション方法に関する。
半導体装置製造技術を利用して基板上に固定リボンと可撓リボンとを交互に形成し、可撓リボンを固定リボンに対して撓ませることにより回折格子の深さを変更することができる回折格子型の光変調素子が開発されている。このような回折格子では溝の深さを変更することにより正反射光や回折光の強度が変化するため、光のスイッチング素子として各種記録媒体に画像を記録する画像記録装置への利用が提案されている。
例えば、多数の光変調素子が配列方向に配列された光変調素子列を画像記録装置に設けて光変調素子列に光を照射し、固定リボンと可撓リボンとが基準面から同じ高さに位置する状態の光変調素子(リボン対)からの反射光(0次光)を記録媒体へと導き、可撓リボンが撓んだ状態の光変調素子からの非0次回折光(主として1次回折光)を遮光することにより、記録媒体への画像記録が実現される(このような画像記録装置として、例えば特許文献1および2参照)。
ところで、回折格子型の光変調素子列では、一定の駆動電圧を複数の光変調素子に入力したとしても、光変調素子の製造上のばらつきにより、各光変調素子の特性(可撓リボンの物理的な挙動特性や電気的な特性)がばらついてしまう。そこで、多数の光変調素子を有する画像記録装置では、光変調素子列から記録媒体上に照射される光の光量を調整する動作(キャリブレーション)が行われる。キャリブレーションでは、まず、全ての光変調素子を記録媒体上に光を導くON状態とし、記録媒体と等価な位置に配置される受光部にて光変調素子からの光を受光することにより、配列方向に対応する方向の光量分布が取得される。そして、各光変調素子に対応する光量の値に応じて当該光変調素子への駆動電圧を調整することにより、全ての光変調素子において一定の光量値となる駆動電圧が光変調素子毎に取得される。キャリブレーションでは、光変調素子列に照射される照明光の強度の不均一性や、光変調素子列からの光を記録媒体へと導く投影光学系の収差等の影響も実質的に補正されることとなる。
なお、特許文献3では、感光材料上の最小描画線幅を、回折格子型の空間光変調器上における2以上の所定個数分のリボン対の幅に対応させ、描画時に常に、所定個数以上のリボン対を連続して回折状態とし、かつ、所定個数以上のリボン対を連続して反射状態とすることにより、リボン対の幅に対応する感光材料上の幅をアドレス分解能として感光材料上に画像を記録する手法が提案されている。
特開2004−4525号公報 特開2007−121998号公報 特開2007−121881号公報
ところが、上記のように、全ての光変調素子をON状態としてキャリブレーションを行ったとしても、キャリブレーションにて得られた駆動電圧を用いて配列方向に連続する所定数の光変調素子をON状態としたON素子群と、配列方向に連続する所定数の光変調素子をOFF状態としたOFF素子群とを繰り返し設定する場合には、全てのON素子群に対応する最大光量は一定とはならないことが確認されており、この場合、記録媒体上に画像を精度よく記録することができなくなる。また、画像記録装置では、ON素子群とOFF素子群とを配列方向に繰り返し設定する場合の光量分布におけるON素子群に対応する部分の幅(所定光量以上の幅)等が重要とされることが多く、上記キャリブレーションでは、このような幅を直接指標とすることはできない。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、光変調素子列の全ての光変調素子をON状態として容易にキャリブレーションを行いつつ、光変調素子列にてON素子群とOFF素子群とを配列方向に繰り返す場合の光量分布におけるON素子群に対応する部分の最大光量や幅等の光量パラメータの値を一定にすることを目的としている。
請求項1に記載の発明は、多数の光変調素子を所定の配列方向に配列した光変調素子列を有する空間光変調器において、前記光変調素子列の各光変調素子への入力値を修正することにより前記空間光変調器からの出力光量の分布を修正する空間光変調器のキャリブレーション方法であって、a)前記光変調素子列の全ての光変調素子を、照射される光が所定の投影面へと導かれるON状態としつつ、前記投影面上に配置される受光部にて前記光変調素子列からの光を受光して、前記投影面上において前記配列方向に対応する方向の第1光量分布を取得する工程と、b)前記a)工程における前記各光変調素子への入力値を用いて前記配列方向に連続する所定数の光変調素子をON状態としたON素子群と、前記配列方向に連続する所定数の光変調素子をOFF状態としたOFF素子群とを前記配列方向に繰り返し設定しつつ、前記受光部にて前記光変調素子列からの光を受光して、前記投影面上において前記配列方向に対応する方向の第2光量分布を取得する工程と、c)前記第2光量分布における各ON素子群に対応する部分において、所定光量以上の幅、最大光量または前記幅にて光量を積算した累積光量を示す光量パラメータの値を求め、全てのON素子群における光量パラメータの値の前記配列方向に対応する方向における変動傾向を示す変動傾向曲線を取得する工程と、d)前記各光変調素子に対応する前記投影面上の位置における前記変動傾向曲線の値を前記位置における前記第1光量分布の値にて除した値が大きいほど小さい値となるように、前記第1光量分布を修正して目標光量分布を作成する工程と、e)前記光変調素子列の全ての光変調素子をON状態としつつ、前記受光部にて取得される光量分布が前記目標光量分布に近似するように、前記各光変調素子への入力値を修正する工程とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空間光変調器のキャリブレーション方法であって、前記a)工程において、前記第1光量分布が一定の値とされる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の空間光変調器のキャリブレーション方法であって、対象物が前記投影面上において前記配列方向に対応する方向に交差する方向へと前記空間光変調器に対して相対的に移動することにより、前記対象物に画像が記録され、前記ON素子群における光変調素子の個数および前記OFF素子群における光変調素子の個数が、前記対象物に描画可能な最小線幅に対応する個数以上である。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の空間光変調器のキャリブレーション方法であって、前記c)工程が、前記全てのON素子群における光量パラメータの値を求めた後に、前記値の変動を低減する工程を有する。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の空間光変調器のキャリブレーション方法であって、前記光変調素子列が、帯状の固定反射面と可撓反射面とが交互に配列された回折格子型の光変調素子列である。
本発明によれば、光変調素子列の全ての光変調素子をON状態として容易にキャリブレーションを行いつつ、光変調素子列にてON素子群とOFF素子群とを配列方向に繰り返す場合の光量分布におけるON素子群に対応する部分の光量パラメータの値を一定にすることができる。
また、請求項2の発明では、光量パラメータの値を精度よく一定にすることができ、請求項5の発明では、回折格子型の空間光変調器に依存する光量パラメータの値のばらつきを容易に抑制することができる。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る画像記録装置1の側面図であり、図2は画像記録装置1の平面図である。画像記録装置1は、液晶表示装置用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)上の感光材料に光を照射して画像を記録する(パターンを描画する)装置である。図1および図2に示すように、画像記録装置1は、(+Z)側の主面91(以下、「上面91」という。)上に感光材料の層が形成された基板9を保持する基板保持部3、基台11上に設けられて基板保持部3をZ方向に垂直なX方向およびY方向に移動する保持部移動機構2、基板保持部3および保持部移動機構2を跨ぐように基台11に固定されるフレーム12、並びに、フレーム12に取り付けられて基板9上の感光材料に変調された光を照射する光照射部4を備える。また、画像記録装置1は、図1に示すように、保持部移動機構2や光照射部4等の各構成を制御する制御部6を備え、制御部6は光照射部4からの光の出射制御を行う変調器制御部61、および、後述のキャリブレーションに係る処理の際に所定の演算を行う演算部62を有する。
基板保持部3は、基板9が載置されるステージ31、ステージ31を回転可能に支持する支持プレート33、および、支持プレート33上において、基板9の上面91に垂直な回転軸321を中心としてステージ31を回転するステージ回転機構32を備える。また、ステージ31上には基板9と重ならない位置であってステージ31の(−Y)側の端部にスリットおよびフォトダイオードを有する受光部34が配置され、Z方向に関して受光部34の受光面は基板9の上面91とほぼ同じ高さとされる。
保持部移動機構2は、基板保持部3を図1および図2中のX方向(以下、「副走査方向」という。)に移動する副走査機構23、副走査機構23を介して支持プレート33を支持するベースプレート24、並びに、基板保持部3をベースプレート24と共にX方向に垂直なY方向(以下、「主走査方向」という。)に移動する主走査機構25を備える。画像記録装置1では、保持部移動機構2により、基板9の上面91に平行な主走査方向および副走査方向に基板保持部3が移動される。
図1および図2に示すように、副走査機構23は、支持プレート33の下側(すなわち、(−Z)側)において、ステージ31の主面に平行、かつ、主走査方向に垂直な副走査方向に伸びるリニアモータ231、並びに、リニアモータ231の(+Y)側および(−Y)側において副走査方向に伸びる一対のリニアガイド232を備える。主走査機構25は、ベースプレート24の下側において、ステージ31の主面に平行な主走査方向に伸びるリニアモータ251、並びに、リニアモータ251の(+X)側および(−X)側において主走査方向に伸びる一対のエアスライダ252を備える。
図2に示すように、光照射部4は、副走査方向に沿って等ピッチにて配列されてフレーム12に取り付けられる複数(本実施の形態では、4つ)の光学ヘッド41を備える。また、光照射部4は、図1に示すように、各光学ヘッド41に接続される光源光学系42、並びに、紫外光を出射するUV光源43および光源駆動部44を備える。UV光源43は固体レーザであり、光源駆動部44が駆動されることにより、UV光源43から紫外光が出射され、光源光学系42を介して光学ヘッド41へと導かれる。
各光学ヘッド41は、UV光源43からの光を下方に向けて出射する出射部45、出射部45からの光を反射して空間光変調器46へと導く光学系451、光学系451を介して照射された出射部45からの光を変調しつつ反射する空間光変調器46、および、空間光変調器46からの変調された光を基板9の上面91に設けられた感光材料上へと導く光学系47を備える。
図3は、空間光変調器46を拡大して示す図である。図3に示すように、空間光変調器46は、回折格子型の光変調素子列460を有し、出射部45を介して照射されたUV光源43からの光は、光変調素子列460により基板9の上面91へと導かれる。光変調素子列460は半導体装置製造技術を利用して製造され、格子の深さを変更することができる回折格子となっている。光変調素子列460には複数の可撓リボン461aおよび固定リボン461bが交互に平行に配列形成され、複数の可撓リボン461aは背後の基準面に対して個別に昇降移動可能とされ、複数の固定リボン461bは基準面に対して固定される。以下の説明では、複数の可撓リボン461aおよび固定リボン461bが配列される方向を配列方向という。
光変調素子列460では、隣接する各1本の可撓リボン461aおよび固定リボン461bを1つのリボン対として、各リボン対(複数のリボン対の集合であってもよい。)が個別に制御可能な光変調素子461となっており、配列方向に配列される多数の(例えば、100以上の)光変調素子461のそれぞれに対して変調器制御部61の駆動回路611が接続される。そして、駆動回路611に入力される駆動電圧を変更することにより、可撓リボン461aの基準面に対する高さ(撓み量)を変更することが可能となっている。すなわち、駆動電圧は各光変調素子461における可撓リボン461aの高さを指令する入力値となっている。回折格子型の光変調素子列としては、例えば、GLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・バルブ)(シリコン・ライト・マシーンズ(サニーベール、カリフォルニア)の登録商標)が知られている。
図4.Aおよび図4.Bは、可撓リボン461aおよび固定リボン461bに対して垂直な面における光変調素子列460の断面を示す図である。図4.Aに示すように可撓リボン461aおよび固定リボン461bが基準面461cに対して同じ高さに位置する場合には、光変調素子列460の表面は面一となり、入射光L1の反射光が0次光L2として導出される。一方、図4.Bに示すように可撓リボン461aが固定リボン461bよりも基準面461c側に位置する(撓む)場合には、可撓リボン461aが回折格子の溝の底面となり、1次回折光L3(さらには、高次回折光)が光変調素子列460から導出され、0次光L2は消滅する。このように、光変調素子列460は回折格子を利用した光変調を行う。
図1に示す光照射部4では、UV光源43からの光が光源光学系42により線状光(光束断面が線状の光)とされ、出射部45を介して空間光変調器46のライン状に配列された複数の可撓リボン461aおよび固定リボン461b(図4.Aおよび図4.B参照)上に照射される。
光変調素子461では、各駆動回路611に所定のON駆動電圧が入力されることにより対応するリボン対が0次光(正反射光)を出射する状態とされ、所定のOFF駆動電圧が入力されることにより対応するリボン対が非0次回折光(主として1次回折光((+1)次回折光および(−1)次回折光))を出射する状態とされる。光変調素子461から出射される0次光は光学系47へと導かれ、1次回折光は光学系47とは異なる方向へと導かれる。なお、迷光となることを防止するために1次回折光は図示を省略する遮光部により遮光される。
光変調素子461からの0次光は、光学系47を介して基板9の上面91へと導かれ、これにより、基板9の上面91上においてX方向(副走査方向)に並ぶ複数の照射位置のそれぞれに変調された光が照射される。すなわち、光変調素子461の各画素に対応するリボン対は0次光を出射する反射状態がON状態とされ、1次回折光を出射する回折状態がOFF状態とされる。本実施の形態における画像記録装置1では、UV光源43からの光の波長が355ナノメートル(nm)、光変調素子461の配列方向のピッチが7マイクロメートル(μm)、光学系47の空間光変調器46側のNA(開口数)が0.01とされ、光学系47により基板9上に解像可能な物体の最小幅は、5個の光変調素子461に相当する35μmとされる。以下の説明では、光学系47により光変調素子列460の像が形成される基板9の上面91を含む平面を投影面と呼ぶ。
図1および図2に示す画像記録装置1では、保持部移動機構2の主走査機構25により主走査方向に移動される基板9に対し、光照射部4の光変調素子461から変調された光が照射される。換言すれば、主走査機構25は、光変調素子461から基板9へと導かれた光の基板9上における照射位置を、基板9に対して主走査方向に相対的に移動する照射位置移動機構となっている。画像記録装置1では、制御部6の変調器制御部61により、光変調素子461からの光の変調が予め準備される描画データに基づいて制御されることにより、描画データが示すパターンが基板9上に描画される。このとき、画像記録装置1では、後述するキャリブレーションにより、空間光変調器46から基板9上に照射される光の光量(以下、「出力光量」という。)の分布が、高精度なパターン描画が可能な状態に調整されている。
また、実際には、画像記録装置1では、上述の特開2007−121881号公報(特許文献3)の手法と同様に、光変調素子461のON状態とOFF状態との遷移を個別に行いつつ、描画時に常に、所定個数(本実施の形態では5)以上の光変調素子461を配列方向に連続してON状態とし、かつ、所定個数以上の光変調素子461を配列方向に連続してOFF状態とする制御が行われ、これにより、高い位置分解能にて基板9上に画像を記録することが実現される。
次に、画像記録装置1において空間光変調器46からの出力光量の分布を修正するキャリブレーションに係る処理について図5を参照しつつ説明する。なお、キャリブレーションは、例えば、画像記録装置1の使用において定期的に行われる処理である。以下、複数の光学ヘッド41のうちの1つの光学ヘッド41の空間光変調器46に注目して説明を行うが、他の光学ヘッド41の空間光変調器46に対しても同様の処理が行われる。
空間光変調器46のキャリブレーションに係る処理では、まず、図2の主走査機構25によりステージ31上の受光部34がY方向に関して複数の光学ヘッド41と同位置に配置される。このとき、受光部34は光学ヘッド41の例えば(−X)側に配置される。続いて、光学ヘッド41の空間光変調器46において全ての光変調素子461の駆動回路611に一定の駆動電圧(以下、「初期駆動電圧」という。)が入力されることにより、全ての光変調素子461がON状態とされ、光変調素子列460に照射される光が投影面へと導かれる。そして、ステージ31が副走査機構23により(+X)方向に連続的に移動することにより、投影面上に配置される受光部34にて光変調素子列460からの光が受光される。これにより、当該光の光量(すなわち、単位時間当たりに単位面積に照射される光の量)の測定値が取得されて演算部62に出力され、投影面上におけるX方向の光量分布が取得される(ステップS11)。以下、全ての光変調素子461をON状態とする光変調素子列460の状態を全ON点灯パターンという。
演算部62では、各光変調素子461の配列方向の位置に応じて全ON点灯パターンの光量分布におけるX方向の位置(すなわち、当該光変調素子461に対応するX方向の位置)が特定され、当該位置における光量(当該位置を中心とする所定範囲内の平均値等であってもよい。)が当該光変調素子461の測定値として特定される。続いて、予め定められた設定値に所定値を足した上限値、および、設定値から所定値を引いた下限値が求められる。なお、上限値および下限値は予め求められていてもよい。また、設定値は全ON点灯パターンの光量分布における全ての測定値の平均値や最小値等であってもよい。
上限値および下限値が求められると、上限値よりも大きい測定値に対応する光変調素子461に対して、光量が当該測定値よりも小さくなるように当該測定値と設定値との差に応じて初期駆動電圧の値が変更(更新)され、下限値よりも小さい測定値に対応する光変調素子461に対して、光量が当該測定値よりも大きくなるように当該測定値と設定値との差に応じて初期駆動電圧の値が変更される。また、上限値以下、かつ、下限値以上となる測定値に対応する光変調素子461については、初期駆動電圧の変更は行われない(ステップS12)。
続いて、全ての光変調素子461の駆動回路611に(変更後の)初期駆動電圧を入力することにより、全ての光変調素子461がON状態とされて、全ON点灯パターンの光量分布が取得され(ステップS13,S11)、上記と同様にして、上限値よりも大きい測定値に対応する光変調素子461、および、下限値よりも小さい測定値に対応する光変調素子461に対して、当該測定値と設定値との差に応じて初期駆動電圧の値が変更され、上限値以下、かつ、下限値以上となる測定値に対応する光変調素子461については、初期駆動電圧の値の変更は行われない(ステップS12)。
演算部62では、全ての光変調素子461に対応する測定値が上限値以下、かつ、下限値以上となるまで、上記ステップS11,S12の処理が繰り返され(ステップS13)、これにより、図6に示すように、全ての光変調素子461に対する測定値が設定値E1にてほぼ一定となる全ON点灯パターンの光量分布が得られる。以下の説明では、全ての光変調素子461に対応する測定値が上限値以下、かつ、下限値以上となる際における全ON点灯パターンの光量分布を修正済み初期光量分布といい、修正済み初期光量分布が取得される際の初期駆動電圧を最終的な初期駆動電圧という。
続いて、配列方向に連続する所定数のON状態の光変調素子461(以下、「ON素子群」という。)と、配列方向に連続する所定数のOFF状態の光変調素子461(以下、「OFF素子群」という。)とが配列方向に繰り返し設定される。このとき、ON素子群の各光変調素子461の駆動回路611には、修正済み初期光量分布が取得された際における最終的な初期駆動電圧が入力される。また、光変調素子列460では、光量(0次光)がほぼ最小となるOFF駆動電圧が光変調素子461毎に予め取得されており、OFF素子群の各光変調素子461の駆動回路611には、当該OFF駆動電圧が入力される。
そして、投影面上において受光部34をX方向に連続的に移動しつつ、受光部34にて光変調素子列460からの光を受光することにより、投影面上におけるX方向の光量分布が取得される(ステップS14)。本実施の形態では、各ON素子群における光変調素子461の個数は5とされ、各OFF素子群における光変調素子461の個数も5とされる。以下、ON素子群およびOFF素子群を配列方向に繰り返し設定した光変調素子列460の状態をON/OFF点灯パターンという。なお、ON/OFF点灯パターンにおいて取得される光量分布は、光変調素子列460のON素子群およびOFF素子群を回折格子の要素とみなした場合における光変調素子列460からの回折光(各光変調素子461からの1次回折光とは異なる。)の分布と捉えることができ、当該回折格子の要素の幅は、光学系47(のレンズ)の瞳径とほぼ一致する。
図7はON/OFF点灯パターンにおける光量分布の一部を示す図である。図7の下段において縦軸は光量を示し、横軸はX方向の位置を示し、図7の上段には、図4.Aおよび図4.Bに対応して光変調素子列460の断面を示している。
図7の下段に示すように、ON/OFF点灯パターンの光量分布では、初期駆動電圧を用いてON状態としたON素子群(図7の上段において符号462を付す。)に対応して光量が大きい山状の部分(図7の下段中にて符号71を付して示す部分であり、以下「ON光量部分」という。)と、OFF素子群(図7の上段において符号463を付す。)に対応して光量が小さい谷状の部分とが存在しており、演算部62では、ON/OFF点灯パターンの光量分布の全体における最大光量が求められ、例えば最大光量の30%の値が光量閾値T1として求められる。光量閾値T1は、基板9上の感光材料が感光する(架橋反応により変質する)光量に合わせて決定されるものであり、感光材料がフォトレジストとされる本実施の形態では、最大光量の10〜40%の値とされる。なお、図7の下段に示す光量分布は、ON/OFF点灯パターンの光変調素子列460を示す光学像のプロファイルと捉えることもできる。
続いて、各ON光量部分71において光量閾値T1以上となる部分の幅W1が、光量パラメータとして求められ、当該ON光量部分71のX方向の位置(例えばON光量部分71のX方向の範囲の中央)に対して光量パラメータの値(幅W1)が対応付けられる。演算部62では、連続する所定個数(例えば、3〜10個)のON光量部分71毎に光量パラメータの値の平均値が求められ、各ON光量部分71に対する光量パラメータの値が当該平均値に変更される。このようにして、全てのON素子群462における光量パラメータの値を求めた後に、当該値の変動が演算により低減され、光量の測定値におけるノイズ成分が除去される(ステップS15)。
そして、X方向および光量パラメータにて規定される2次元領域において、各ON光量部分71のX方向の位置に当該ON光量部分71に対応する光量パラメータの値を示す点をプロットし、隣接する2つの点の間を所定の手法にて補間することにより、全てのON素子群462における光量パラメータの値のX方向における変動傾向を示す変動傾向曲線が、図8に示すように取得される(ステップS16)。なお、図8の縦軸は光量パラメータ(幅W1)を示し、横軸はX方向の位置を示す。
演算部62では、変動傾向曲線の全体における光量パラメータの平均値V1が求められ、X方向の各位置の光量パラメータの値を平均値V1にて除することにより光量パラメータの値が正規化され、各光変調素子461に対応するX方向の位置に対して、正規化後の値から1を引いた値(すなわち、各位置の光量パラメータの値と平均値V1との差を平均値V1にて除した値)が評価値として求められる。続いて、各評価値に(−1)を乗じて評価値の正負の符号を反転させた後、所定の係数(例えば、0.3〜3)を乗じ、さらに、1を足すことにより、図9に示すように、各光変調素子461に対応するX方向の位置に対して修正係数が求められる。
その後、図6に示す修正済み初期光量分布において、各光変調素子461に対応するX方向の位置の値に、当該位置の修正係数が乗じられる。これにより、各光変調素子461に対応する投影面上の位置における変動傾向曲線の値が大きいほど小さい値となるように、修正済み初期光量分布が修正され、図10に示す全ON点灯パターンの目標光量分布が作成される(ステップS17)。
目標光量分布が作成されると、全ての光変調素子461の駆動回路611に最終的な初期駆動電圧を入力することにより、全ての光変調素子461がON状態とされて、全ON点灯パターンの光量分布が取得される(ステップS18)。
演算部62では、各光変調素子461に対応するX方向の位置に対して、目標光量分布の値(以下、「目標値」という。)に所定値を足した上限値、および、所定値を引いた下限値が個別に設定される。そして、ステップS18にて得られる全ON点灯パターンの光量分布において、(その位置の)上限値よりも大きい測定値に対応する光変調素子461に対して、光量が当該測定値よりも小さくなるように当該測定値と(その位置の)目標値との差に応じて最終的な初期駆動電圧から変更した値が修正駆動電圧として取得され、下限値よりも小さい測定値に対応する光変調素子461に対して、光量が当該測定値よりも大きくなるように当該測定値と目標値との差に応じて最終的な初期駆動電圧から変更した値が修正駆動電圧として取得される。また、上限値以下、かつ、下限値以上となる測定値に対応する光変調素子461については、最終的な初期駆動電圧がそのまま修正駆動電圧とされる(ステップS19)。後述するように、ステップS18,S19の処理が繰り返されて修正駆動電圧が変更(更新)されるため、図5のステップS19では当該処理の繰り返し時における内容を示している。
続いて、全ての光変調素子461の駆動回路611に(変更後の)修正駆動電圧を入力することにより、全ての光変調素子461がON状態とされて、全ON点灯パターンの光量分布が取得され(ステップS20,S18)、上記と同様に、上限値よりも大きい測定値に対応する光変調素子461、および、下限値よりも小さい測定値に対応する光変調素子461に対して、当該測定値と目標値との差に応じて修正駆動電圧の値が変更され、上限値以下、かつ、下限値以上となる測定値に対応する光変調素子461については、修正駆動電圧の値の変更は行われない(ステップS19)。
演算部62では、上記ステップS18,S19の処理が繰り返され、全ての光変調素子461に対する測定値が、(その位置の)上限値以下、かつ、下限値以上となると、最終的な修正駆動電圧(すなわち、全ての光変調素子461に対する測定値が上限値以下、かつ、下限値以上となる全ON点灯パターンの光量分布の取得時の修正駆動電圧)が画像記録に利用するON駆動電圧として変調器制御部61に記憶され、キャリブレーションが完了する(ステップS20)。
このように、画像記録装置1では、光変調素子列460の全ての光変調素子461をON状態としつつ、受光部34にて取得される光量分布が目標光量分布に近似するように、各光変調素子461への駆動電圧が修正され、これにより、空間光変調器46からの出力光量の分布が修正される。なお、最初のステップS18の処理において、各光変調素子461に対する駆動電圧が、修正係数に応じて初期駆動電圧を増減した値とされ、ステップS18,S19の処理の繰り返し回数が低減されてもよい。
画像記録装置1では、一旦、全ON点灯パターンの目標光量分布が取得されると、2回目以降のキャリブレーションの際には、原則として、ステップS18〜S20の処理のみが行われ、空間光変調器46からの出力光量の分布が目標光量分布に合わせて修正される。また、光の出射に係る各種部品の交換等をして画像記録装置1の設定状態が大きく変化した場合、あるいは、前回の目標光量分布の取得時から長時間が経過している場合等に、再度、ステップS11〜S17の処理を行って全ON点灯パターンの目標光量分布が再取得される。
ところで、全ON点灯パターンの光量分布において値が一定となるON駆動電圧を取得する比較例のキャリブレーションを想定した場合、実際に基板9上に画像を記録する際におけるパターンの線幅については考慮されないため、基板9上に記録される画像におけるパターンの線幅を必ずしも精度よく調整することはできない。また、ON/OFF点灯パターンにて光量分布を取得して、各ON素子群に対応する部分の幅が一定の範囲内となるように、駆動電圧を調整することも考えられるが、2回目以降のキャリブレーションにおいても、ON/OFF点灯パターンの光量分布における各ON素子群に対応する部分の幅を求める必要があり、実際には、空間光変調器46には多数の光変調素子461が配列されているため、毎回のキャリブレーションに長時間を要してしまう。
これに対し、図1の画像記録装置1では、光変調素子列460においてON素子群462とOFF素子群463とを配列方向に交互に設定してON/OFF点灯パターンの光量分布を取得し、ON/OFF点灯パターンの光量分布における各ON素子群462に対応する部分において、所定光量以上の幅を示す光量パラメータの値を求め、全てのON素子群462における光量パラメータの値のX方向における変動傾向を示す変動傾向曲線が取得される。そして、変動傾向曲線に基づいて全ON点灯パターンの目標光量分布が作成されることにより、目標光量分布を一度作成した後では、光変調素子列460の全ての光変調素子461をON状態として容易にキャリブレーションを行いつつ、光変調素子列460にてON素子群462とOFF素子群463とを配列方向に繰り返す場合の光量分布におけるON素子群462に対応する部分の所定光量以上の幅をほぼ一定にすることができ、その結果、基板9上に記録される画像におけるパターンの線幅を精度よく調整することが実現される。
また、画像記録装置1では、ON/OFF点灯パターンの光量分布を取得する際に、ON素子群462における光変調素子461の個数およびOFF素子群463における光変調素子461の個数が、基板9への安定した描画が可能な最小線幅に対応する個数以上(図1の画像記録装置1では5以上とされるが、投影光学系の設計によっては3以上)とされ、好ましくは最小線幅に対応する個数の5倍以下とされる。これにより、実際の画像記録における最小線幅を考慮した好ましい目標光量分布を取得することが可能となる。
さらに、演算部62では、変動傾向曲線を取得する際に、全てのON素子群462における光量パラメータの値の変動を低減する演算が行われることにより、実際に取得される変動傾向曲線が実質的に平滑化される。ここで、全てのON素子群462における光量パラメータの値は、通常、緩やかに変動するが、仮に、ノイズ等の影響により光量パラメータの異常値が取得された場合であっても、光量パラメータの値の変動を低減する演算が行われることにより、異常値の影響を抑制して好ましい変動傾向曲線を取得し、空間光変調器46のキャリブレーションを適切に行うことができる。なお、変動傾向曲線の平滑化は、FFT(Finite Fourier transform)等を利用して高周波成分を除去することにより行われてもよい。
以上の説明では、図7の各ON光量部分71において光量閾値T1以上となる部分の幅W1が、光量パラメータとして求められるが、画像が記録される対象物の種類によっては、ステップS15,S16の処理において、各ON光量部分71の最大光量(図7中にて符号H1を付して示す。)、または、各ON光量部分71において所定光量以上となる部分の幅にて光量を積算した累積光量(図7中にて平行斜線を付す領域A1の面積に相当する値)が光量パラメータとされ、全てのON素子群462における光量パラメータの値のX方向における変動傾向を示す変動傾向曲線が取得されてもよい。いずれの場合においても、他の処理(ステップS11〜S14,S17〜S20)は、上記の場合と同様となり、これにより、光変調素子列460の全ての光変調素子461をON状態として容易にキャリブレーションを行いつつ、光変調素子列460にてON素子群462とOFF素子群463とを配列方向に繰り返す場合の光量分布におけるON素子群462に対応する部分の光量パラメータの値をほぼ一定にすることができる。
次に、図5のキャリブレーションに係る処理においてステップS12,S13の処理を省略しつつ全ON点灯パターンの目標光量分布を求める例について述べる。
まず、画像記録装置1では、空間光変調器46において全ての光変調素子461の駆動回路611に一定の駆動電圧が、初期駆動電圧として入力されることにより、全ての光変調素子461がON状態とされ、図11に示す全ON点灯パターンの光量分布が取得される(ステップS11)。全ての光変調素子461に対する駆動電圧が一定とされる場合には、光変調素子461の製造上のばらつき等により、通常、全ON点灯パターンの光量分布の値は一定とはならない。以下の説明では、ステップS11の処理にて取得される光量分布を未修正初期光量分布という。
続いて、光変調素子列460ではON素子群462とOFF素子群463とが配列方向に交互に設定される。このとき、ON素子群462の各光変調素子461の駆動回路611には、図11に示す未修正初期光量分布が取得された際における初期駆動電圧が入力される。そして、受光部34にて光変調素子列460からの光を受光することにより、ON/OFF点灯パターンの光量分布が取得される(図7参照)(ステップS14)。
ここで、本処理例にて取得されるON/OFF点灯パターンの光量分布と、ステップS12,S13の処理が行われる上記の処理例にて取得されるON/OFF点灯パターンの光量分布との違いについて述べる。既述のように、ステップS12,S13の処理が行われる上記の処理例では、全ての光変調素子461に対応する測定値がほぼ一定となるまで、全ON点灯パターンの光量分布の取得、および、初期駆動電圧の値の変更が行われるため、ON/OFF点灯パターンの光量分布では、ON素子群462に含まれる光変調素子461に対してON/OFF点灯パターン時と同じ駆動電圧を用いて全ON点灯パターンとした場合の光量分布の値が一定であることが前提となっている。これに対し、本処理例では、ステップS12,S13の処理が省略されることにより、ステップS14の処理にて取得されるON/OFF点灯パターンの光量分布には、ON素子群462に含まれる光変調素子461に対してON/OFF点灯パターン時と同じ駆動電圧を用いて全ON点灯パターンとした場合の光量分布(未修正初期光量分布)の値のばらつきの影響が含まれていると捉えることができる。
演算部62では、ON/OFF点灯パターンの光量分布が取得されると、ON/OFF点灯パターンの光量分布における各ON素子群462に対応するON光量部分71において、所定光量以上の幅、最大光量、または、所定光量以上の幅にて光量を積算した累積光量を示す光量パラメータの値が求められ、その後、光量パラメータの値の変動が演算により低減される(ステップS15)。そして、全てのON素子群462における光量パラメータの値のX方向における変動傾向を示す変動傾向曲線が、図12に示すように取得される(ステップS16)。なお、図12では、本処理例にて取得される変動傾向曲線を符号721を付す実線にて示し、ステップS12,S13の処理が行われる上記の処理例にて取得される変動傾向曲線を符号722を付す破線にて示している。
既述のように、ステップS14の処理にて取得されるON/OFF点灯パターンの光量分布には、図11に示す未修正初期光量分布の値のばらつきの影響が含まれるため、演算部62では、未修正初期光量分布の値のばらつきを考慮して全ON点灯パターンの目標光量分布が作成される。すなわち、各光変調素子461に対応する投影面上の位置における変動傾向曲線の値を、当該位置における未修正初期光量分布の値にて除した値が大きいほど小さい値となるように、図11の未修正初期光量分布が修正され、図13に示すように、全ON点灯パターンの目標光量分布が作成される(ステップS17)。
全ON点灯パターンの目標光量分布が作成されると、画像記録装置1では、ステップS12,S13の処理が行われる上記の処理例と同様に、光変調素子列460の全ての光変調素子461をON状態としつつ、受光部34にて取得される光量分布が目標光量分布に近似するように、各光変調素子461への駆動電圧が修正されてON駆動電圧が取得され、これにより、空間光変調器46からの出力光量の分布が修正される(ステップS18〜S20)。
以上のように、全ON点灯パターンの目標光量分布は、ステップS12,S13の処理を省略して作成することも可能である。ただし、光変調素子列460にてON素子群462とOFF素子群463とを配列方向に繰り返す場合の光量分布におけるON素子群462に対応する部分の光量パラメータの値を精度よく一定にするには、ステップS12,S13の処理を行って、値がほぼ一定とされる修正済み初期光量分布を取得することにより、全ON点灯パターンの目標光量分布の作成時に、修正対象の光量分布における値のばらつきの影響が除外されていることが好ましい。
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る画像記録装置1aの構成を示す図である。画像記録装置1aは画像記録用の光を出射する1つの光学ヘッド41aおよび画像が記録される記録媒体9aを外側面に保持する保持部である保持ドラム70を有する。記録媒体9aには光学ヘッド41aによる光の照射(露光)による描画により画像が記録される。記録媒体9aとしては、例えば、刷版、刷版形成用のフィルム等が用いられる。なお、保持ドラム70として無版印刷用の感光ドラムが用いられてもよく、この場合、記録媒体9aは感光ドラムの表面に相当し、保持ドラム70が記録媒体9aを一体的に保持していると捉えることができる。
保持ドラム70は円筒面の中心軸を中心にモータ81により回転し、これにより、光学ヘッド41aが記録媒体9aに対して主走査方向に(後述する複数の光変調素子からの光が照射される位置の配列方向に対して垂直な方向に)相対的に一定の速度で移動する。また、光学ヘッド41aはモータ82およびボールねじ83により保持ドラム70の回転軸に平行な(主走査方向に垂直な)副走査方向に移動可能とされ、光学ヘッド41aの位置はエンコーダ84により検出される。このように、モータ81,82、ボールねじ83を含む移動機構により、保持ドラム70の外側面および記録媒体9aが、空間光変調器を有する光学ヘッド41aに対して一定の速度で主走査方向に相対的に移動するとともに主走査方向に交差する副走査方向にも相対的に移動する。モータ81,82およびエンコーダは制御部6aに接続され、制御部6aがモータ81,82および光学ヘッド41a内の空間光変調器からの信号光の出射を制御することにより、保持ドラム70上の記録媒体9aに光による画像記録が行われる。
保持ドラム70の側方には、光学ヘッド41a内の空間光変調器の各光変調素子からの光を検出する受光部34が配置され、光学ヘッド41aはモータ82およびボールねじ83により受光部34を通過する位置まで移動可能とされる。受光部34からの出力は制御部6aの演算部62に入力される。
図15は光学ヘッド41aの内部構成の概略を示す図である。光学ヘッド41a内には、複数の発光点を一列に有するバータイプの半導体レーザである光源43a、および、回折格子型の光変調素子列を有する空間光変調器46が配置され、光源43aからの光は、レンズ471(実際には、集光レンズ、シリンドリカルレンズ等により構成される。)およびプリズム472を介して空間光変調器46へと導かれる。このとき、光源43aからの光は線状光(光束断面が線状の光)とされ、ライン状に配列される複数の光変調素子上に照射される。
空間光変調器46の各光変調素子は、制御部6aの変調器制御部61(図14参照)により制御される。なお、図15では、変調器制御部61の複数の駆動回路611を1つのブロックにて示している。光変調素子から出射される0次光はプリズム472へと戻され、1次回折光はプリズム472とは異なる方向へと導かれる。なお、迷光となることを防止するために1次回折光は図示を省略する遮光部により遮光される。
各光変調素子からの0次光はプリズム472にて反射され、ズームレンズ473を介して光学ヘッド41a外の記録媒体9aへと導かれ、複数の光変調素子の像が副走査方向に並ぶように記録媒体9a上に形成される。ズームレンズ473はズームレンズ駆動モータ474にて倍率が可変とされており、これにより、記録される画像の解像度が変更される。
図14の画像記録装置1aにおける空間光変調器46のキャリブレーションに係る処理の際には、光学ヘッド41aが図14中に二点鎖線にて示すように受光部34に対向する位置まで移動して、空間光変調器46からの光が受光される。そして、上記第1の実施の形態と同様にして、変動傾向曲線に基づく全ON点灯パターンの目標光量分布が取得される。これにより、画像記録装置1aでは、光変調素子列の全ての光変調素子をON状態として容易にキャリブレーションを行いつつ、光変調素子列にてON素子群とOFF素子群とを配列方向に繰り返す場合の光量分布におけるON素子群に対応する部分の光量パラメータの値をほぼ一定にすることができ、その結果、記録媒体9a上に画像を精度よく記録することが実現される。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
既述のように、図5のステップS12,S13の処理が行われる上記の処理例では、ON/OFF点灯パターンの光量分布において、ON素子群462に含まれる光変調素子461に対してON/OFF点灯パターン時と同じ駆動電圧を用いて全ON点灯パターンとした場合の光量分布の値が一定であることが前提となるため、全ON点灯パターンの目標光量分布の作成時に、修正対象の光量分布(修正済み初期光量分布)における値のばらつきの影響が考慮されないが、実質的には、ステップS12,S13の処理が行われる上記処理例においても、ステップS17の処理にて目標光量分布を作成する際に、各光変調素子461に対応する投影面上の位置における変動傾向曲線の値を、当該位置における修正済み初期光量分布の値にて除した値が大きいほど小さい値となる修正係数が求められていると捉えることができる。
また、全ON点灯パターンの目標光量分布を作成する際に、各光変調素子461に対応する投影面上の位置における変動傾向曲線の値を、当該位置における全ON点灯パターンの初期光量分布(修正済み初期光量分布または未修正初期光量分布)の値にて除した値が大きいほど小さい値となるように、初期光量分布が修正されるのであるならば、必ずしも、修正係数が求められる必要はなく、様々な手法にて目標光量分布が取得されてよい。
画像記録装置1,1aにおいて、描画における信号光は必ずしも0次光である必要はなく、1次回折光が信号光とされてもよい。また、配列方向に垂直な方向に伸びる可撓リボン461aおよび固定リボン461bは帯状の反射面として捉えることができるのであるならば、厳密な意味でのリボン形状である必要はない。例えば、ブロック形状の上面が固定リボンの反射面としての役割を果たしてもよい。
変動傾向曲線に基づいて全ON点灯パターンの目標光量分布を作成する上記キャリブレーションに係る処理では、回折格子型の空間光変調器に依存する光量パラメータの値のばらつきを容易に抑制することが実現されるが、空間光変調器は回折格子型に限定されず、例えば液晶シャッタ(液晶アレイ)等であってもよい。さらに、光変調素子461は光を反射するものにも限定されず、例えば、レーザアレイが光変調素子列460としての役割を果たしてもよい。これらの場合においても上記キャリブレーションに係る処理を採用することにより、適切な画像記録が実現される。
また、2次元の空間光変調器(例えば、マイクロミラーアレイ)が採用されてもよく、この場合、光変調素子の各1次元の配列に対して、上記実施の形態における光変調素子列に対するキャリブレーションが行われる。
基板9(または記録媒体9a)への画像記録では、投影面上において光変調素子461の配列方向に対応するX方向に交差する方向に基板9が移動するのであるならば、基板9の移動方向は必ずしもX方向に垂直な方向である必要はない。また、画像記録装置1では、基板9を移動することなく、光学ヘッド41が主走査方向に移動することにより、基板9が投影面上において主走査方向に光学ヘッド41に対して相対的に移動してもよい。
画像が記録される対象物は、プリント配線基板や半導体基板等の感光性材料が塗布された、あるいは、感光性を有する他の材料であってもよく、光の照射による熱に反応する材料であってもよい。また、変動傾向曲線に基づいて全ON点灯パターンの目標光量分布を作成する上記キャリブレーションに係る処理は、画像記録以外の用途に用いられてもよく、この場合、ON/OFF点灯パターンにおける各ON素子群およびOFF素子群に含まれる光変調素子461の個数は1以上であればよい。
第1の実施の形態に係る画像記録装置の側面図である。 画像記録装置の平面図である。 空間光変調器を示す図である。 光変調素子列の断面を示す図である。 光変調素子列の断面を示す図である。 空間光変調器のキャリブレーションに係る処理の流れを示す図である。 修正済み初期光量分布を示す図である。 ON/OFF点灯パターンの光量分布を示す図である。 変動傾向曲線を示す図である。 修正係数を示す図である。 全ON点灯パターンの目標光量分布を示す図である。 未修正初期光量分布を示す図である。 変動傾向曲線を示す図である。 全ON点灯パターンの目標光量分布を示す図である。 第2の実施の形態に係る画像記録装置の構成を示す図である。 光学ヘッドの内部構成を示す図である。
符号の説明
9 基板
9a 記録媒体
34 受光部
46 空間光変調器
71 ON光量部分
91 上面
460 光変調素子列
461 光変調素子
462 ON素子群
463 OFF素子群
S11〜S20 ステップ
W1 幅

Claims (5)

  1. 多数の光変調素子を所定の配列方向に配列した光変調素子列を有する空間光変調器において、前記光変調素子列の各光変調素子への入力値を修正することにより前記空間光変調器からの出力光量の分布を修正する空間光変調器のキャリブレーション方法であって、
    a)前記光変調素子列の全ての光変調素子を、照射される光が所定の投影面へと導かれるON状態としつつ、前記投影面上に配置される受光部にて前記光変調素子列からの光を受光して、前記投影面上において前記配列方向に対応する方向の第1光量分布を取得する工程と、
    b)前記a)工程における前記各光変調素子への入力値を用いて前記配列方向に連続する所定数の光変調素子をON状態としたON素子群と、前記配列方向に連続する所定数の光変調素子をOFF状態としたOFF素子群とを前記配列方向に繰り返し設定しつつ、前記受光部にて前記光変調素子列からの光を受光して、前記投影面上において前記配列方向に対応する方向の第2光量分布を取得する工程と、
    c)前記第2光量分布における各ON素子群に対応する部分において、所定光量以上の幅、最大光量または前記幅にて光量を積算した累積光量を示す光量パラメータの値を求め、全てのON素子群における光量パラメータの値の前記配列方向に対応する方向における変動傾向を示す変動傾向曲線を取得する工程と、
    d)前記各光変調素子に対応する前記投影面上の位置における前記変動傾向曲線の値を前記位置における前記第1光量分布の値にて除した値が大きいほど小さい値となるように、前記第1光量分布を修正して目標光量分布を作成する工程と、
    e)前記光変調素子列の全ての光変調素子をON状態としつつ、前記受光部にて取得される光量分布が前記目標光量分布に近似するように、前記各光変調素子への入力値を修正する工程と、
    を備えることを特徴とする空間光変調器のキャリブレーション方法。
  2. 請求項1に記載の空間光変調器のキャリブレーション方法であって、
    前記a)工程において、前記第1光量分布が一定の値とされることを特徴とする空間光変調器のキャリブレーション方法。
  3. 請求項1または2に記載の空間光変調器のキャリブレーション方法であって、
    対象物が前記投影面上において前記配列方向に対応する方向に交差する方向へと前記空間光変調器に対して相対的に移動することにより、前記対象物に画像が記録され、
    前記ON素子群における光変調素子の個数および前記OFF素子群における光変調素子の個数が、前記対象物に描画可能な最小線幅に対応する個数以上であることを特徴とする空間光変調器のキャリブレーション方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の空間光変調器のキャリブレーション方法であって、
    前記c)工程が、前記全てのON素子群における光量パラメータの値を求めた後に、前記値の変動を低減する工程を有することを特徴とする空間光変調器のキャリブレーション方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の空間光変調器のキャリブレーション方法であって、
    前記光変調素子列が、帯状の固定反射面と可撓反射面とが交互に配列された回折格子型の光変調素子列であることを特徴とする空間光変調器のキャリブレーション方法。
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