本発明は、常温で改質硫黄結合材が液相を維持することに技術的特徴があり、従って、常温で少量の液相改質硫黄結合材を水硬性材料及び水と混合した場合、液相の改質硫黄結合材の分散効果を最大化することができ、耐化学性と強度を発現することができる。
つまり、本発明による改質硫黄結合材を使用する場合、コンクリートバッチプラントで通常のポルトランドコンクリート混合物を装入した生コン投入口に、本発明による常温で液相である改質硫黄結合材を常温で少量(すなわち、コンクリート混合物に対して0.1〜0.3重量%、例えば約0.2重量%)投入して数分間(約3分間)混合することにより、水硬性改質硫黄コンクリート組成物を製造することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
本発明において、「改質硫黄結合材」とは、硫黄を改質するために硫黄に硫黄改質剤を溶融混合して得られる反応結果物を意味し、常温で存在する形態によって、固相及び液相の改質硫黄結合材に分類され、燃焼するか否かによって、燃える可燃性と燃えない不燃性又は水硬性に分類され、水及び水硬性材料との混和性があれば水硬性改質硫黄結合材に分類されるが、広い意味では、本発明の属する技術の分野において一般的に使用される改質硫黄結合材を意味する。
本発明において、「常温で液相である改質硫黄結合材」、「常温で液相状態である液相の改質硫黄結合材」、又は「常温の作業条件で液相である改質硫黄結合材」とは、本発明の最も重要な技術的特徴であり、硫黄を改質するために硫黄に硫黄改質剤としてジシクロペンタジエン系改質剤を120〜160℃で溶融混合した後に大気中で冷却して得られる反応結果物を意味し、常温で液相で存在して常温での混合作業が可能な改質硫黄結合材を意味する。
従って、本発明による液相の改質硫黄結合材と、従来技術の全ての液相の改質硫黄結合材(例えば、可燃性もしくは水硬性改質硫黄資材に製作するために、重合反応後に常温で冷却して固化した固相の改質硫黄結合材を再加熱して得られる液相の改質硫黄結合材、又は硫黄と改質剤を溶融混合した後に常温で固化することなく継続して液相の改質硫黄結合材として保管している形態の液相の改質硫黄結合材)との最も大きな相違点は、従来の方式で製造した液相の改質硫黄結合材は、常温で液相で存在しないのに対して、本発明による改質硫黄結合材は、常温で液相で存在し、そのため、常温での混合作業が可能であることである。
本発明において、「常温」という用語は、年平均気温を意味し、ほぼ25℃の温度を意味する。
本発明において、「過冷却現象」という用語は、溶融体又は固体が平衡状態での相変化温度以下まで冷却されても変化を起こさない現象であって、氷点以下に冷却しても結氷しない現象を意味する。
本発明において、改質硫黄結合材と混合して使用する「骨材」は、細骨材及び粗骨材を含むものであり、改質硫黄モルタルを製造する場合は粒径1〜10mmの細骨材のみを使用し、改質硫黄コンクリートを製造する場合は粒径1〜10mmの細骨材と粒径10〜18mmの粗骨材を共に使用する。
本発明において、水硬性材料、水硬性改質硫黄資材組成物、水硬性改質硫黄モルタル、又は水硬性改質硫黄コンクリートなどで使用される「水硬性」という用語は、KS L 0005(水硬性セメント分野の標準用語)での「セメント性物質又は水和性物質」の用語定義に示されているように、無機物質又は無機物質の混合物であって、水との化学反応により水和物が生成されることによって凝結及び強度の発現を示す物質を意味するものであり、このような化学反応は水中でも起こる。より具体的には、改質硫黄結合材に水硬性材料と水を混合すると、化学反応が起こって常温で硬化して強度が発現し、最終的には、非常に緻密で強固な硬化体に製造される能力を意味する。
本発明において、「水硬性改質硫黄資材」の意味は次のように理解すべきである。製造方式に基づいた学術的表現では、改質硫黄結合材に水、水硬性材料、及び骨材を常温で混合成形して固化した水硬性資材という意味であり、通常は、現在建築、土木分野などで使用されている資材類を通称するものであって、例えば水硬性改質硫黄モルタルや水硬性改質硫黄コンクリートが挙げられる。
本発明において、「フィラー」とは、モルタル又はコンクリートの中で改質硫黄結合材を特定のレベルまで置換して使用することのできる選択的成分であって、セメントペーストの微細な空隙を充填する役割を果たす粉末材料を意味する。
本発明で使用される硫黄は通常の硫黄単体であり、前記硫黄としては、天然硫黄や、石油や天然ガスの脱硫により生成される硫黄が挙げられる。本発明においては、固体状態の硫黄を溶融点以上に加熱して使用してもよく、石油化学などの関連業界で液相で排出される硫黄を使用してもよい。
本発明において硫黄の改質に使用される改質剤は、ジシクロペンタジエン(DCPD)系改質剤である。前記ジシクロペンタジエン系改質剤の含量(純度)及び混合されている混合物形態に関して、先行特許文献には次のように記載されている。
特許文献6には、硫黄と20〜40重量%の改質剤(ジシクロペンタジエン及びシクロペンタジエンの三量体以上のオリゴマー混合物の結合物)を反応させる技術が開示されており、特許文献2には、硫黄及び2〜20重量%のシクロペンタジエンオリゴマー混合物−ジシクロペンタジエンを含有する改質剤を反応させた高分子からなる改質硫黄結合材が開示されており、前記改質剤中のシクロペンタジエンオリゴマーの含量が少なくとも37%であるとされている。
特許文献2、6において、シクロペンタジエンオリゴマーとは、シクロペンタジエンの三量体、四量体、五量体などのように、ジシクロペンタジエン以外のオリゴマーを意味するものであり、特に、改質剤として、ジシクロペンタジエンだけでなく、シクロペンタジエンの三量体以上のオリゴマーを一定含量以上添加する点にその特徴がある。
特許文献7には、硫黄改質剤として、例えばジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラヒドロインデン(THI)、又はシクロペンタジエンと、そのオリゴマー(二量体ないし五量体混合物)、ジペンテン、ビニルトルエン、ジシクロペンテンなどのオレフィン化合物からなる群から選択される1種又は2種以上を使用し、前記DCPDは、DCPDの単体、又はシクロペンタジエンの単体、二量体ないし五量体を主体として構成される混合物を含むものであり、前記混合物は、DCPDの含量が70重量%(これを「純度70%」という)以上であり、従って、ジシクロペンタジエンと称する市販品のほとんどが使用可能であると記載されている。また、前記THIは、THIの単体、又はTHIと、シクロペンタジエンの単体、シクロペンタジエンとブタンジエンの重合物、シクロペンタジエンの二量体ないし五量体からなる群から選択される1種又は2種以上を主体として構成されるものとの混合物を含むものであり、前記混合物中のTHIの含量は、通常50重量%以上、好ましくは65重量%以上であり、従って、テトラヒドロインデンと称する市販品やエチルノルボルネンの製造プラントから排出される副生成油の多くは、特許文献7の発明に用いるTHIとして使用可能であると記載されている。
前述した先行技術に提示されたジシクロペンタジエン系改質剤は、シクロペンタジエンオリゴマーを含有するジシクロペンタジエンであると理解される。
しかしながら、特許文献8においては、硫黄96〜98重量%と、シクロペンタジエンの三量体以上のオリゴマーを実質的に含有しないジシクロペンタジエン系改質剤2〜4重量%が溶融した反応生成物を含むと定義し、「シクロペンタジエンの三量体以上のオリゴマーを実質的に含有しない」という表現は、改質剤中にシクロペンタジエンの三量体以上のオリゴマーが不純物として最大0.5重量%、好ましくは最大0.2重量%含有されることを意味すると提示されている。特許文献8においては、意図的に特定含量以上のシクロペンタジエンの三量体以上のオリゴマーを含有せず、このようなオリゴマーを実質的に含有しない形態の改質剤を使用しても意図する技術的特徴を達成できるため、特許文献8の発明は、改質成分としてジシクロペンタジエンの単独使用が可能なものと理解され、特に、前記改質剤は、改質成分が典型的に、好ましくは少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%の純度を有する形態で提供できるとされており、このような形態の改質剤の例示的な組成として、ジシクロペンタジエン約65〜75重量%、シクロペンタジエン約10〜20重量%、これらの誘導体(MCP、MDCPなど)約10〜20重量%、及びその他の成分約0.1〜1.5重量%のものが記載されている。従って、特許文献8は、硫黄改質剤として、シクロペンタジエンオリゴマーがほとんどなく、ジシクロペンタジエンのみを単独で使用したものと理解される。
DCPD純度、混合物種類、及び製造方法に関しては、本研究チームが使用している韓国の総合化学メーカーにより発表された特許文献9に詳細に記載されている。すなわち、DCPDは、シクロペンタジエン(CPD)の二量体であって、ナフサを熱分解する過程で生成され、ナフサクラッカー(naphtha cracker)から副産物として得られるC5留分とC9+留分に10〜20重量%含まれている。DCPDの分解反応とCPDの二量化反応は、下記反応式に示すように可逆反応であり、平衡濃度は温度によって決定される。
DCPD⇔2CPD
DCPDの分解速度は、170℃で36%/hrであると報告されており(非特許文献1)、商業的には、300℃以上の温度でDCPD混合物を気相熱分解してCPDを得るが、DCPDの熱分解過程でCPDに分解されると同時にDCPDと反応してCPD三量体、四量体などの高分子化合物が生成され、300℃以上の温度でも溶融することなく固化する。DCPDを150〜160℃の温度で14時間静置すると、約50%のDCPDがCPD三量体以上に重合される。熱分解過程で生成されるCPD高分子及び熱分解装置の壁面で生成されるコークスは、熱分解装置を閉塞し、運転を難しくすると共にDCPD回収率を下げる。
C5留分には、DCPDの単量体であるCPDと沸点が類似しているヘプタン、イソプレン、ピペリレンなどの低沸点化合物成分が含まれており、C9+留分にも、約10〜20重量%のDCPDの他に、スチレン、エチルベンゼン、メチルシクロペンタジエン(MCPD)の二量体、CPDとMCPDの共二量体、及び沸点が200〜400℃である炭化水素化合物が50重量%以上含まれているが、このように得られたDCPDを商品化するためには、最終的に95重量%以上、より好ましくは99重量%以上に精製しなければならない。
特許文献9の発明においては、C5留分から減圧蒸留して得られた約75〜85重量%の低純度のDCPD混合物とC9+留分を混合した混合物からDCPDを回収するにあたって、DCPD濃度は75〜85重量%であることが好ましいとされているが、85重量%を超える濃度でDCPDを分離した場合は、減圧蒸留の運転効率が低下し、混合物中のDCPD濃度が75重量%未満の場合は、熱分解効率が低下して好ましくないと記載されている。
本発明で硫黄改質剤として使用したジシクロペンタジエンは、前記先行特許を出願した韓国の総合化学メーカーのK社で生産されたC5系ジシクロペンタジエンであり、製品検査分析結果に基づいた例示的な組成は、DCPD78重量%以下(含量78%)、共二量体9.0重量%以下、不飽和ペンタン6.5重量%以下、オリゴマー2.5重量%以下、未知物質1 2.5重量%以下、未知物質2 1.5重量%以下、未知物質3 1.5重量%以下、キシレン0.5重量%以下である。
従って、本発明で使用するジシクロペンタジエン系改質剤は、シクロペンタジエンの三量体以上のオリゴマーを実質的に含有するジシクロペンタジエン系改質剤であり、シクロペンタジエンオリゴマーは、シクロペンタジエンの三量体、四量体、五量体などのように、ジシクロペンタジエン以外のオリゴマーを意味するものであり、特に、改質剤として、ジシクロペンタジエンだけでなく、シクロペンタジエンの三量体以上のオリゴマーを一定含量以上含有するものと理解すべきであり、いわゆるジシクロペンタジエンと称する市販品のほとんどが使用可能であると理解すべきである。
また、前記ジシクロペンタジエン系改質剤は、ジペンテン、ビニルトルエン、スチレンモノマー、シクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、ジシクロペンテン、シクロオレフィン酸、及びこれらのオリゴマー類などのオレフィン性化合物ないし重合体の形態で使用してもよい。
さらに、本発明で硫黄改質剤として使用したジシクロペンタジエン系改質剤の含量(純度)は、常に一定であるわけではなく、メーカーの生産条件によって異なるが、約78%の低純度である。
本発明においては、硫黄改質剤として、ヘテロサイクリックアミン又はアルキルアミン類を使用するのではなく、ジシクロペンタジエン系改質剤のみを使用して、常温で液相である改質硫黄結合材を製造することができる。すなわち、硫黄と前記硫黄改質剤を120〜160℃で溶融混合して硫黄を重合する方法により、常温で液相である改質硫黄結合材を製造することができる。
本発明で硫黄改質剤として使用したジシクロペンタジエン系改質剤の添加比率は、硫黄100重量部に対して90〜8000重量部、好ましくは150〜400重量部である。
前記改質剤の添加量は、反応温度と時間による製造上の制御可能性、最終反応結果物である液相の改質硫黄結合材の物性、すなわち形態、粘度、耐化学性、及び再溶融温度などによって決定される。つまり、反応温度が120℃の場合、硫黄100重量部に対する改質剤の添加量が90重量部未満では、後述するように、粒子状態で析出する現象、又は粘度が非常に高い過冷却現象が発生して次第に固相に変わり、8000重量部以上では、添加する量に比べて物性改善効果が少なく、製造コスト上昇要因が発生する。
例えば、硫黄100重量部に対する120℃での改質剤の添加量が70重量部の場合、約6時間以内に反応を終了して得られた最終生成物においては、粒子状態で析出する現象が発生して固相となり、逆に、約6時間が経過した後は粘度が非常に高い過冷却現象が発生した。
他の例として、硫黄100重量部に対する140℃での改質剤の添加量が10000重量部の場合、約100時間で反応を終了して得られた最終生成物は、ゲル状態となり、再溶融温度も常温でない70℃であった。
さらに他の例として、硫黄100重量部に対する120℃での改質剤の添加量が80重量部の場合、約6〜9時間の範囲で6時間から9時間まで1時間単位で反応を終了して得られた最終生成物において、一部は液相で存在し、一部は粒子状態で析出した。つまり、9時間反応させた場合、6時間反応させた場合に比べて、固相の反応物の量が減少し、相対的に液相の改質硫黄結合材の量が増加した。
従って、硫黄100重量部に対する120℃での改質剤の添加量が80重量部の場合、本発明で必要とする100%液相の改質硫黄結合材を得るためには、反応時間を9時間以上にして反応させなければならないが、これは、反応時間の遅延による製造コストの上昇をもたらし、物性面でも不利である。
本発明による常温で液相である改質硫黄結合材を得るためには、硫黄100重量部に対する140℃での改質剤の添加量が90重量部の場合は、反応時間を約3時間以下に調節しなければならず、硫黄100重量部に対する160℃での改質剤の添加量が150重量部の場合は、反応時間を約50分以下に調節しなければならない。
つまり、本発明による常温で液相である改質硫黄結合材を得るためには、硫黄100重量部に対して、改質剤を少なくとも90重量部使用しなければならない。
前述した本発明の実験結果を要約すると、改質剤の添加量と反応条件が適切でなく不十分な場合、改質硫黄結合材を常温で冷却した後に観察したところ、硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤との均質化がなされておらず、硫黄が再結晶して粒子状態で析出する現象が発生したり、粘度が非常に高い過冷却現象が発生した。最悪の場合、反応中に爆発する現象も発生し得る。
一方、現在までの先行特許において請求したジシクロペンタジエン系改質剤の添加量の範囲と、本発明において請求したジシクロペンタジエン系改質剤の添加量の範囲との境界線上に存在するジシクロペンタジエン系改質剤の添加量の範囲は、本発明の目的に反するものと理解される。
つまり、先行特許である特許文献4に開示されている、硫黄100重量部に対するジシクロペンタジエン系改質剤の添加量2〜50重量部の範囲の上限である50重量部と、本発明における硫黄100重量部に対するジシクロペンタジエン系改質剤の添加量90〜8000重量部の範囲の下限である90重量部との間、すなわち硫黄100重量部に対するジシクロペンタジエン系改質剤の添加量50重量部以上、90重量部未満の範囲は、次のように理解すべきである。
つまり、硫黄100重量部に対してジシクロペンタジエン系改質剤50重量部以上、90重量部未満の範囲の組成物を120〜160℃の範囲で反応終了して常温で得られる改質硫黄結合材は、後述するように、粒子状態で析出する現象と粘度が非常に高い過冷却現象をもたらすので、常温での存在形態に分類するとき、改質硫黄結合材の全量(すなわち、100%)が常温で液相を維持しなければならない本発明の目的に反する。
前記過冷却現象は次のように理解すべきである。すなわち、特許文献8においては、ジシクロペンタジエンを単独で使用して使用量が4重量%を超える場合は、反応生成物の過冷却現象が発生し、硫黄の融点よりはるかに低い温度、例えば常温でも短時間で固化せず、要求レベルの硬度を達成するためには長時間放置しなければならないという問題を引き起こすので、ジシクロペンタジエンの添加量の範囲を2〜4重量%に制限することが主な技術的特徴であると言及している。
特許文献8に記述された過冷却現象は、非常に高い粘度を有する液相と固相の中間状態であり、本発明の目的に反する現象である。
つまり、本発明において、過冷却現象は、後述するように、水、砂利、水硬性材料などを混合するコンクリート混合過程で作業性が確保されず、分散作業が円滑に行われないため、物性に悪影響を及ぼすことがある。
本発明においては、反応が完了した後に大気中、常温で冷却された改質硫黄結合材の常温での形態を析出、過冷却、液相などに分類したが、析出は、反応中に硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤との均質化がなされておらず、硫黄が再結晶して粒子状態で析出する現象であって、120〜160℃の重合条件では液相を維持し(反応中に発生することもある)、常温への冷却中又は冷却後、常温で硫黄が粉末粒子状態などの固体に変わる現象であり、過冷却現象は前述した通りである。
従って、本発明で記述する常温で液相である改質硫黄結合材の形態は、析出、過冷却、又は析出と液相が共に存在する混合状態ではなく、100%液相の改質硫黄結合材であると理解すべきである。
前述のように、本発明による改質硫黄結合材が常温で液相でなければならない理由は、常温で液相を維持しなければ、常温で常温の水を混合して改質硫黄結合材の分散効果を最大化できず、また、水硬性材料を使用して強度発現を達成できないからである。
従って、重合反応する改質硫黄結合材の反応現象と硬化性(固化性)面よりは、通常のポルトランドコンクリート混合物に0.1〜0.3重量%の範囲の少ない添加量で混合して、水硬性改質硫黄資材を製造することが本発明の目的である。
よって、製造コストと製造時の安定した運転条件及び製品の物性を考慮すると、ジシクロペンタジエン系改質剤の添加比率は、硫黄100重量部に対して150〜400重量部にすることが好ましい。150〜400重量部の範囲で製造した製品は、最も安定した物性を有するので、大気中、常温で数カ月間(現時点で8カ月経過)放置しても液相を維持して物性の変化がほとんどない。
本発明において、ジシクロペンタジエン系改質剤の添加量の範囲が先行特許と比較して相対的に広く、添加量も多い理由は、本発明の目的が先行特許の目的とは異なるからである。
先行特許に開示されたジシクロペンタジエン系改質剤の添加量の範囲は、例えば硫黄100重量部に対して、0.01〜30重量部(特許文献10)、2〜50重量部(特許文献4)、2〜4重量部(特許文献8)などである。
前記先行特許においては、前記添加量範囲を有するジシクロペンタジエン系改質剤を120〜160℃で溶融混合し、反応生成物が10〜1000mPa・sの粘度範囲となったときを反応終了時点とし、急に反応を中止する。
また、硫黄含有資材の難燃性、耐化学性などの性質は、主にジシクロペンタジエン系改質剤の添加量を増加させると改善されるが、30重量%の使用で改善効果は飽和し、それ以上では変化が少ないとされている。さらに、強度が最もよくなるのは0.5〜20重量%であり、20重量%を超えると、弾性が増加して粘弾性体となり、成形物が歪みやすくて容易に破壊されず、30重量%を超えると、粘性がさらに顕著に増加して反応制御が困難になるので、このようなそれぞれの性質を考慮して硫黄改質剤の添加量を決定すると記載されている。
つまり、先行特許には、10〜1000mPa・sの粘度範囲が最も好ましいと開示されているが、これは、120〜160℃の温度で重合反応を終了した液相の改質硫黄結合材を120〜160℃の貯蔵タンク内に貯蔵した場合、貯蔵中にも重合反応が継続して起こり、最終的にはゴムなどの粘弾性物質に変わり、貯蔵タンク自体に大きな損傷を及ぼすことがあるので、貯蔵タンク内で長時間貯蔵時に安定した一定の粘度を維持するために、反応が進まないように又は非常に遅く進むようにするために低粘度範囲を目標に設定したものである。
ところが、本発明において、120〜160℃の温度で反応が完了した反応結果物である液相の改質硫黄結合材は、大気中で常温に冷却しても液相を維持し、常温の貯蔵タンク内で長時間保管しても安定して液相を維持するので、ジシクロペンタジエン系改質剤の添加量の範囲を先行特許の範囲に制限する必要がない。
一方、特許文献5には、硫黄100重量部に対して、改質剤として、ジシクロペンタジエン系改質剤0.1〜100重量部と、ヘテロサイクリックアミン0.01〜200重量部を共に使用し、反応終了時点で140℃で測定した最終粘度を0.01〜100.0Pa・sの範囲に拡張させることにより、既存の特許範囲である15〜1000mPa・sよりも高粘度領域に拡張させたことが記載されている。特許文献5においては、高粘度の液相の改質硫黄結合材が生成されても、これを再び常温に冷却して固相の改質硫黄結合材にした後、水硬性改質硫黄資材組成物を製造するときは、固相の改質硫黄結合材を100℃以下の水に溶解するので、好ましい最終生成物の粘度を低粘度範囲に限定する理由はなく、そのため、ジシクロペンタジエン系改質剤の添加比率を既存の特許範囲程度に制限する必要がない。しかしながら、特許文献5で製造した固相の改質硫黄結合材を使用して現場で施工するときは、多量の固相改質硫黄結合材を再溶融して液相に変換するために加熱が必要であり、長時間かかるが、加熱作業中に改質硫黄結合材の重合反応が再び起こり、弾性が増加して粘弾性体となり、成形物が歪みやすく、最悪の場合は、改質硫黄結合材が炭化することもある。
これに対して、本発明により120〜160℃の温度で反応が完了した液相状態の反応結果物である改質硫黄結合材は、大気中で常温に冷却しても液相を維持し、常温の作業条件で液相の改質硫黄結合材と水硬性材料を混合するだけで水硬性改質硫黄資材組成物を製造できるので、改質剤の添加量及び粘度範囲を先行特許で限定したような低い範囲に制限する必要はない。
従って、改質硫黄結合材を使用して改質硫黄資材を製作する製造方式と、改質硫黄結合材の液相又は固相状態の保管方法によって、改質剤の添加量と粘度範囲が異なるので、本発明による好ましいジシクロペンタジエン系改質剤の添加量の範囲を先行特許の範囲程度に制限する必要はない。
本発明者らは本発明を完成するにあたって次のような事実を発見した。
つまり、本発明においては、先行特許に提示された、爆発的な発熱現象を引き起こして反応制御が難しくなる、硫黄100重量部に対するジシクロペンタジエン系改質剤の添加量が90重量部より多い添加量の範囲でも反応制御が可能であり、安定した反応結果物を製造できることを発見した。
また、本発明による改質硫黄結合材は、改質剤としてジシクロペンタジエン系改質剤のみを使用しても、常温で液相であり、重合反応時、従来技術における発熱現象が発生せず、かえって吸熱現象が発生することを発見した。
さらに、本発明による改質硫黄結合材は、120〜160℃で溶融混合して反応を完了して大気中で冷却した後に25℃で測定した粘度が、1〜100000mPa・s(cP)、好ましくは1〜10000mPa・sの範囲であって、粘度範囲が広くて高粘度領域を示していても、常温の作業条件で常温の水と骨材及び水硬性材料を混合できることを発見した。
さらに、本発明による改質硫黄結合材は、大気中で常温に冷却しても液相を維持し、改質硫黄結合材を常温で常温の水や水硬性材料などと混合した場合に分散状態が非常に良好になるので、通常のポルトランドコンクリート混合物に前記改質硫黄結合材を少量(例えば、約0.1〜0.3重量%)添加するだけで、耐化学性に優れた改質硫黄資材(例えば、モルタル又はコンクリート)を製造することができた。
本発明において、反応終了後に常温で測定した粘度範囲が先行特許と比較して相対的に広く高い理由は、本発明の目的が先行特許の目的とは異なるからである。
すなわち、先行特許においては、反応完了後の改質硫黄結合材が常温では固相状態で存在するため、コンクリート作業を行う場合は、改質硫黄結合材を再び加熱することで再溶融して液相で混合しなければ混合作業が不可能であると記載されている。
これに対して、本発明による改質硫黄結合材は、常温で液相を維持するため、常温条件の液相状態で混合及び分散作業を行う条件であるので、ミキサーの混合及び分散能力が所定容量を有すれば、高粘度であっても機械的作用により良好な分散結果を得ることができ、また、加熱するのではなく常温で混合するので、混合時間を増加させるだけで分散効果を最大化することができることを発見した。
そして、本発明により120〜160℃の温度で反応が完了した液相状態の反応結果物である改質硫黄結合材は、大気中で常温に冷却しても液相を維持し、かつ貯蔵タンク内で長時間保管しても、常温保管方式であるので、安定した液相状態を維持することを発見した。
従って、改質硫黄結合材を使用して改質硫黄資材を製作する製造方式と、改質硫黄結合材の液相又は固相状態の保管方法によって、改質剤の添加量と粘度範囲が異なるので、このような複合的な面を考慮すると、本発明による常温で液相を維持する液相の改質硫黄結合材は、反応終了後に常温で測定した粘度が、1〜100000mPa・s、好ましくは1〜10000mPa・sの範囲であることが好ましい。
一方、硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤との化学反応時、前述した先行技術に提示された既存の反応メカニズムと本発明の反応メカニズムとは、全く異なることを発見した。すなわち、既存のメカニズムでは、初期には発熱反応が起こり、反応が進行するにつれて吸熱反応が起こって反応が終結する反面、硫黄に対して先行特許に提示された添加量以上、例えば60重量%以上のジシクロペンタジエン系改質剤を反応させた場合、本発明においては、発熱反応がほとんど又は全く起こらず、かえって吸熱反応のみ起こることを発見した。
例えば、硫黄100重量部に対して、ジシクロペンタジエン系改質剤の添加量が約100〜150重量部の範囲である場合は、発熱反応が起こらず、かえって吸熱反応が起こり、140℃を維持していた反応物の温度が約125℃まで下がり、また、約60〜100重量部の範囲と約150重量部以上の範囲では、発熱反応又は吸熱反応がほとんど起こらなかった。
これにより、先行特許に提示された、爆発的な発熱現象を引き起こして反応制御が難しくなる、硫黄100重量部に対するジシクロペンタジエン系改質剤の添加量が50重量部より多い添加量の範囲でも反応制御が可能であり、安定した反応結果物を製造することができた。
既存の全ての先行特許には、物性に優れた改質硫黄結合材の製造において、反応温度とその温度での反応時間が、最終生成物の全ての物性を支配する程度に非常に重要な反応因子であることが開示されている。特許文献3や特許文献4には、溶融状態の硫黄は、硫黄改質剤と接触混合しても、125℃以下では容易に変性せず、120〜135℃の温度範囲では硫黄と硫黄改質剤との重合反応が遅く、突然の発熱及び粘度上昇は起こらず、僅かな温度上昇及び粘度上昇が起こり、ほとんど一定の粘度を維持する性質があると記載されている。また、初期混合工程において、最適な温度範囲は、硫黄改質剤の種類やその添加量によって異なるが、例えばジシクロペンタジエン系改質剤の配合比率が、硫黄100重量部に対して20重量部以上の場合は、130℃でも十分に実用的な反応速度が得られるが、硫黄100重量部に対して1重量部以下の場合は、反応進行に数時間を要すると記載されている。
さらに、特許文献5には、反応温度及び反応時間は前記先行特許に記載された反応条件と同様であるが、前記先行特許とは異なり、ヘテロサイクリックアミン又はアルキルアミン類という新しい物質を最初に使用したことから、ヘテロサイクリックアミン又はアルキルアミン類の添加方法及び時期、ヘテロサイクリックアミン又はアルキルアミン類の添加量の変化、ヘテロサイクリックアミン又はアルキルアミン類の気化条件などによって、最終生成物の粘度、強度、安定性、ヘテロサイクリックアミン又はアルキルアミン類の芳香族特有の悪臭除去、及び反応結果物の取扱容易性などにおいて多くの違いがあると記載されている。
本発明における反応温度及び反応時間は、前記先行特許に記載された反応条件と同様であると理解できるが、本発明における反応は、常温で改質硫黄結合材が液相であることが技術的提案であるので、先行技術において改質硫黄結合材が固化する物性を利用するのとは異なり、硫黄及び改質剤の添加量の変化、反応温度、反応時間などによって、最終生成物の粘度、耐化学性、再溶融温度、安定性、及び形態などにおいて多くの違いがある。
前記反応温度及び反応時間は、改質剤の添加量による製造上の制御可能性、得られる改質硫黄結合材の物性、すなわち粘度、形態、耐化学性、及び再溶融温度などによって決定されるが、硫黄100重量部に対して、例えば120℃での改質剤の添加量が90重量部の場合は、反応時間を10〜15時間の範囲に調節し、140℃での改質剤の添加量が90重量部の場合は、反応時間を約3時間以下に調節し、160℃での改質剤の添加量が150重量部の場合は、反応時間を約50分以下に調節することによって、本発明による常温で液相である改質硫黄結合材が得られる。
他の例として、硫黄100重量部に対して、180℃の高温反応での改質剤の添加量が150重量部の場合は、20分経過後に反応器が爆発する現象が発生し、160℃の反応での改質剤の添加量が150重量部の場合は、50分反応させて得られた改質硫黄結合材に過冷却現象が発生し、これを使用して常温でコンクリート作業を実施した結果、気泡が多く発生して強度値が低下するなどの問題があった。
つまり、反応温度及び反応時間が適切でなく不十分な場合、反応が完了した反応結果物である改質硫黄結合材を常温で冷却した後に観察した結果、硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤との均質化がなされていないため、硫黄が再結晶して粉末もしくは粒子状態で析出する現象が発生することもあり、粘度が非常に高い過冷却現象が発生することもあり、最悪の場合は、反応中に爆発する現象が発生することもあった。
一方、特許文献9には、DCPDを150〜160℃の温度で14時間静置すると、約50%のDCPDがCPD三量体以上に重合されると記載されている。
つまり、前記温度範囲で14時間反応させると、CPD単量体から三量体以上に過度に高分子化して滓が発生するため、前記温度範囲内では可能な限り反応時間を14時間以下にしなければならないが、反応時間が14時間を超えて最終反応物である液相の改質硫黄結合材が高分子化して粘度が高くなる場合も、常温で析出や過冷却現象が起こらず、液相を維持するので、ミキサーにより常温で水と共に容易に分散される程度の高分子化であれば特に問題はないが、製造コスト面では反応時間を短縮することが有利である。
従って、製造コストと製造時の安定した運転条件及び製品の物性を考慮すると、120〜160℃の反応温度で反応時間は1〜15時間、好ましくは1〜5時間の範囲であることが好ましい。
本発明で提供する常温で液相を維持する液相の改質硫黄結合材の物理的現象に関する試験結果を、前述した先行特許の物理的現象に関する試験結果と対比して説明すると、次の通りである。
つまり、本発明の方法で製造した水硬性改質硫黄結合材は、常温で液相を維持する現象が現れ、一切の予熱及び加熱工程を必要とせず、通常のポルトランドコンクリート作業のように、常温の作業条件で常温の水と骨材及び水硬性材料を混合した後、ペーストをモールドに注ぐ方式で成形して製作したところ、強度、耐化学性などの全般的な物性面で非常に優れた試験結果を示した。
本発明により常温で液相状態である液相の改質硫黄結合材を製造する場合、硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤の2種類を溶融混合するにあたって、それぞれの成分の混合順序は特に限定されないが、次の方法のうち最終生成物の物性に最も適した方法を選択することが好ましい。
(a)硫黄を溶融した後にジシクロペンタジエン系改質剤を混合し、加熱反応させた後、液相の改質硫黄結合材を製造する方法。
(b)ジシクロペンタジエン系改質剤を溶融した後に硫黄を混合し、加熱反応させた後、液相の改質硫黄結合材を製造する方法。
(c)ジシクロペンタジエン系改質剤と硫黄を混合し、加熱反応させた後、液相の改質硫黄結合材を製造する方法。
前記方法(a)は、先行特許で提供される製造順に、粉末状態の硫黄を硫黄溶融点の118℃以上で溶融した後、液相のジシクロペンタジエン系改質剤を混合し、加熱反応させた後、液相の改質硫黄結合材を製造する方法であり、硫黄を溶融して液相を維持させても、ジシクロペンタジエン系改質剤の溶融温度が常温付近であるため、硫黄溶融物の温度が低下して固化することがある。
前記方法(b)は、本発明者らが実験室で用いる方法であり、硫黄の量が相対的に少量であるので、液相のジシクロペンタジエン系改質剤を加熱溶融した後、粉末状態の硫黄を少量添加すると、液相のジシクロペンタジエン系改質剤溶液のフラックス(融剤)効果により、硫黄粉末が容易に溶融するという利点がある。
前記方法(c)は、液相の硫黄と同様に液相のジシクロペンタジエン系改質剤の場合に適した方法であり、大容量製造設備で連続式で製造する場合、精油工場で生産された液相の硫黄を冷却するのではなく液相を維持して改質硫黄結合材製造工場に運送し、改質硫黄結合材を製作する場合に用いられ、硫黄原料の再溶融処理コストを低減するという利点がある。
硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤の溶融混合に使用される反応ミキサーとしては、十分に混合可能なものであれば公知のものを使用すればよく、バッチ式と連続式を区分して、バッチ式の場合は、主に液体攪拌用ミキサーを使用することが好ましく、連続式の場合は、インラインミキサーなどのスタティックミキサーを使用することが、連続的に作業を行えるので大量生産用に好ましい。
インラインミキサーは、ステンレスで製作したチューブ状の管内に複数のエレメントが左右連続して固定されており、一定圧力の流体を乱流流体に変換して短い距離を通過中に連続混合する機器であり、インラインミキサーの単位エレメントの形状設計を最大化することにより、渦流効果を最大化して圧力損失熱量を最小化することができ、硫黄と改質剤の混合効果、すなわち反応効率を最大化することができる。
従って、最適な液相の改質硫黄結合材を得るための最適な製造条件において、実験室バッチ式と比較して、ジシクロペンタジエン系改質剤の添加量減少効果と反応時間短縮効果が生じるので、インラインミキサーを適用することが経済性や運転条件の容易性からも好ましい。
既存のメカニズムと連携して現在までの結果をまとめると次の通りである。つまり、ジシクロペンタジエン系改質剤と硫黄との反応は、重合反応の一種であり、改質硫黄製造工程の核心工程といえる溶融混合は、溶融した硫黄と硫黄改質剤の混合により硫黄を高分子化することで改質硫黄を得るための工程である。硫黄の改質反応は、溶融した硫黄と硫黄改質剤が反応して改質硫黄前駆体が生成される初期の混合反応段階と、生成された改質硫黄前駆体と溶融硫黄が連続的に反応して高分子化する重合反応段階とに区分される。
前記反応において改質硫黄の生成反応は、急激な発熱反応を示す初期の混合反応段階と、吸熱反応を示す重合反応段階とからなり、改質硫黄の生成系は、反応の進行に伴って発熱反応から吸熱反応に変わる。また、硫黄改質剤の種類やその添加量によって、発熱量、吸熱量、及びそれぞれの反応時間が異なり、温度制御を正確に行わないと重合反応が暴走して固化することもあるというのが、既存のメカニズムである。
しかしながら、本発明においては、硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤との反応条件による添加量の変化により、前述した既存のメカニズムとは異なる現象を発見した。
つまり、既存のメカニズムにおいては、初期には発熱反応が起こり、反応が進行するにつれて吸熱反応が起こって反応が終結する反面、硫黄に対して先行特許に提示された添加量以上、例えば硫黄100重量部に対して60重量部以上のジシクロペンタジエン系改質剤を反応させた場合、本発明においては、発熱反応がほとんど又は全く起こらず、かえって吸熱反応のみ起こることを発見した。
例えば、硫黄100重量部に対して、ジシクロペンタジエン系改質剤の添加量が約100〜150重量部の範囲である場合は、発熱反応が起こらず、かえって吸熱反応が起こり、140℃を維持していた反応物の温度が約125℃まで下がり、また、約60〜100重量部の範囲と約150重量部以上の範囲では、発熱反応又は吸熱反応がほとんど起こらなかった。
これにより、先行特許に提示された、爆発的な発熱現象を引き起こして反応制御が難しくなる、硫黄100重量部に対するジシクロペンタジエン系改質剤の添加量が50重量部より多い添加量の範囲でも反応制御が可能であり、安定した反応結果物を製造することができた。
また、改質剤としてジシクロペンタジエン系改質剤のみを使用しても、常温で液相であり、粘度範囲が広くて高粘度領域を示していても、常温の作業条件で常温の水と骨材及び水硬性材料を混合することができることを発見した。
従って、本発明は、重合反応する改質硫黄結合材の反応現象と硬化性(固化性)面よりは、通常のポルトランドコンクリート混合物に0.1〜0.3重量%の少量を混合して、水硬性改質硫黄資材を製造することに特徴がある。
本発明者らが「硫黄−ジシクロペンタジエン系改質剤」系に関連して確認した現在までの研究結果を要約すると次の通りである。
本発明においては、先行特許に提示された、爆発的な発熱現象を引き起こして反応制御が難しくなる、硫黄100重量部に対するジシクロペンタジエン系改質剤の添加量が50重量部より多いジシクロペンタジエン系改質剤の添加量においても、反応制御が可能であり、安定した反応結果物が得られた。
また、本発明による改質硫黄結合材は、改質剤としてジシクロペンタジエン系改質剤のみを使用しても常温で液相が得られ、重合反応時、先行特許に開示されたような発熱現象が発生せず、かえって吸熱現象が発生することが確認された。
さらに、本発明による改質硫黄結合材は、120〜160℃で溶融混合して反応を完了した後に大気中で自然冷却し、25℃で測定した粘度が、1〜100000mPa・s、好ましくは1〜10000mPa・sの範囲であり、粘度範囲が広くて高粘度領域を示していても、常温の作業条件で常温の水と骨材及び水硬性材料を混合できることを発見した。
そして、本発明により120〜160℃の温度で反応が完了した液相状態の反応結果物である改質硫黄結合材は、大気中で常温に冷却しても液相を維持し、貯蔵タンク内で長時間保管しても、常温保管方式であるので、安定した液相状態を維持することを発見した。
さらに、本発明による改質硫黄結合材は、大気中で常温に冷却しても液相を維持し、改質硫黄結合材を常温で常温の水や水硬性材料などと混合した場合に分散状態が良好になるので、通常のポルトランドコンクリート混合物に前記改質硫黄結合材を少量(例えば、約0.1〜0.3重量%)添加するだけで、耐化学性に優れた改質硫黄資材(例えば、モルタル又はコンクリート)を製造することができた。
一方、本発明においては、前述のように製造された、常温で液相を維持する液相の改質硫黄結合材を使用して、次のような製造工程別に改質硫黄資材組成物と改質硫黄資材を製造した。
(a)液相の改質硫黄結合材に、水、水硬性材料、及び骨材を常温で混合して製造した水硬性改質硫黄モルタル組成物及び水硬性改質硫黄コンクリート組成物、並びにこれを成形した水硬性改質硫黄モルタル及び水硬性改質硫黄コンクリート。
(b)液相の改質硫黄結合材に、水を混合せず、硬化性材料(例えば、水ガラス)及び骨材、そして選択的にフィラーを混合して製造した可燃性改質硫黄モルタル組成物及び可燃性改質硫黄コンクリート組成物、並びにこれを成形した可燃性改質硫黄モルタル及び可燃性改質硫黄コンクリート。
本発明において、水硬性改質硫黄コンクリート組成物の製造方法は、液相の改質硫黄結合材の投入を除けば、通常のポルトランドコンクリートの製造方法と同様である。
つまり、バッチプラントでコンクリート混合物を装入した生コン投入口に、本液相の改質硫黄結合材を一定量(コンクリート混合物全体に対する重量比で約0.1〜0.3重量%)投入して数分間(約3分間)混合する方式により、水硬性改質硫黄コンクリート組成物を製造することができる。
本発明の最終目的の1つは、燃えない水硬性改質硫黄資材組成物と水硬性改質硫黄資材を製造することにあり、これは図1に示す製造工程で製造することができる。
まず、硫黄とジシクロペンタジエン(DCPD)系改質剤を溶融混合して、液相の改質硫黄結合材を製造する。本発明は、硫黄改質剤としてジシクロペンタジエン(DCPD)系改質剤のみを使用する方法により、既存製品と同等以上の物性を示す安定した改質硫黄結合材を製造することができる。前記改質硫黄結合材は、常温で液相である物性を有するという特徴があるので、後続工程によって一切の予熱及び加熱工程を行うことなく通常のポルトランドコンクリート製作方式と同様の方式で、常温の水を使用するモルタル又はコンクリート混合作業を可能にする。ここで、ジシクロペンタジエン系改質剤は、硫黄100重量部に対して、90〜10000重量部、好ましくは150〜400重量部の範囲内で混合し、また、前記溶融混合は、120〜160℃の温度範囲で行うことが好ましい。本発明で使用されるジシクロペンタジエン系改質剤と硫黄の最適配合比、混合順序、反応温度、及び反応時間は前述した通りである。
次に、前記液相の改質硫黄結合材を大気中で冷却する方式で安定化させる。
次に、前記液相の改質硫黄結合材を常温で水硬性材料、常温の水、及び骨材と混合して、水硬性改質硫黄資材組成物を製造する。改質硫黄結合材が燃えやすい可燃性ポリマー化合物であるので、燃えない水硬性無機材料を添加し、常温でモルタル又はコンクリート混合作業を行うことにより、水硬性改質硫黄資材を得る。前記添加物質の種類及びその添加比率については後述する。
本発明による水硬性改質硫黄資材(モルタル又はコンクリート)組成物を製造するためには、液相の改質硫黄結合材に水、水硬性材料、及び骨材を常温で混合して製造するが、このとき添加される各原料の適切な添加量の範囲を、モルタル組成物とコンクリート組成物とに区分して以下に示す。
a)水硬性改質硫黄モルタル組成物の場合は、水硬性材料100重量部に対して、液相の改質硫黄結合材の添加量は、0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜0.3重量部の範囲であり、水の配合比率は、20〜80重量部、好ましくは35〜70重量部の範囲であり、細骨材の配合比率は、100〜600重量部、好ましくは200〜400重量部の範囲である。
b)水硬性改質硫黄コンクリート組成物の場合は、水硬性材料100重量部に対して、液相の改質硫黄結合材の添加量は、0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜0.3重量部の範囲であり、水の配合比率は、20〜80重量部、好ましくは35〜70重量部の範囲であり、骨材の配合比率は、100〜800重量部、好ましくは400〜600重量部の範囲であり、前記骨材のうち、細骨材と粗骨材の配合比率は、重量比で1:0.1〜1:4、好ましくは1:1〜1:2.5の範囲である。
一方、先行特許(特許文献5)においては、100℃以下で再溶融した改質硫黄結合材を使用して水硬性改質硫黄資材(例えば、モルタル、コンクリート)を製造する場合、界面活性剤、水、砂利、及び水硬性材料を混合して製造するのに対して、本発明においては、液相の改質硫黄結合材が常温で液相であるので、先行特許とは異なり、水、砂利、及び水硬性材料を混合する過程で界面活性剤を使用する必要がない。
つまり、先行特許においては、改質硫黄結合材が、100℃以下(約80℃)では再溶融して液相で存在するが、再溶融温度である約80℃以下では再び急激に固相に変わるため、水と水硬性材料を混合する過程で界面活性剤を使用することで分散効果を最大化しなければならない。しかし、本発明においては、液相の改質硫黄結合材が、温度変化による形状変質もなく、常温で液相を維持するので、水、砂利、及び水硬性材料を混合する場合、改質硫黄結合材の粘性(粘度)が高すぎない限り、砂利と粉末状の水硬性材料が一種の分散媒質として作用して分散効果を最大化することができ、界面活性剤を必要としない。
よって、本発明による液相の改質硫黄結合材は、界面活性剤などの添加剤を必要とせず、通常のポルトランドコンクリート混合物に改質硫黄結合材自体のみ極めて少量(例えば、約0.1〜0.3重量%)添加するだけで、耐化学性に優れた改質硫黄資材(例えば、モルタル又はコンクリート)を製造することができる。
前記水硬性材料としては、フライアッシュ、KS L 5201に規定された普通ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、ヒュームドシリカ(fumed silica)、高炉スラグセメント、メタカオリン、KS L 0005(水硬性セメント分野の標準用語)で言及されたセメント類、硫酸カルシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つを使用する。これらの水硬性材料は、水硬性改質硫黄資材に硬化性を付与して不燃性にする。
また、前記骨材は、骨材として使用可能なものであれば特に限定されないが、リサイクル可能な産業廃棄物などを使用することがが好ましく、川砂、砕石、石炭灰、海砂、珪砂、砂利、シリカ、石英粉、軽量骨材、粘土鉱物、及びガラス粉末からなる群から選択される1種又は2種以上を使用してもよい。最も好ましくは、最適な最密充填構造に混合充填された骨材構造間の空隙に改質硫黄結合材と水硬性材料又はフィラーが混合されたペーストが最適な充填構造に結合されて硬化した場合、最も高い強度が得られる。
ここで、改質硫黄結合材の混合比率が約0.1重量%未満の場合(骨材+セメント+水が混合された量が99.9重量%を超える場合)は、耐化学性、強度などの物性が十分に発揮されず、改質硫黄結合材の混合比率が約3.0重量%を超える場合(骨材+セメント+水が混合された量が97.0重量%未満の場合)は、添加される量に比例して現れる物性効果が少なく、製造コストが上昇して経済性がないため、改質硫黄結合材の添加量は、0.1〜3.0重量%の範囲であることが好ましい。前記改質硫黄結合材と骨材の混合比率は、骨材の種類によって異なり、前記範囲から適切に選択することが好ましい。
また、曲げ強度補強材として、鉄筋、鋼繊維、繊維質充填材、繊維状粒子、薄片状粒子、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種又は2種以上を、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量部に対して、1〜20重量部の範囲内でさらに含んでもよい。
また、本発明においては、適用対象を最大化するために、既存に使用されているポリマーセメント類、ポリマーセメントモルタル類、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種又は2種以上を、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量部に対して、1〜50重量部の範囲内でさらに含んでもよい。
そして、混合作業時の流動性改善のための高性能減水剤、長期耐久性増進のための空気連行剤、作業環境に適した硬化時間調節のための硬化促進剤、硬化遅延剤、急結剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1種又は2種以上を、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量部に対して、0.1〜3重量部の範囲内でさらに含んでもよく、美的効果のための着色剤(顔料)、悪臭除去のための芳香剤などを、改質硫黄結合材と水硬性材料を合わせた100重量部に対して、0.1〜3重量部の範囲内でさらに含んでもよい。
以上のようにして常温で液相状態である液相の改質硫黄結合材を製造し、これを通常のポルトランドコンクリート製作方式と同様の方式で水、水硬性材料、砂利などの通常の材料と混合成形して、水硬性改質硫黄資材組成物、すなわち水硬性改質硫黄モルタル組成物及び水硬性改質硫黄コンクリート組成物を製造した。
以下、実施例及び比較例を図面を参照して具体的に説明する。実施例及び比較例は、本発明のより明確な理解のために提示するものであり、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明は、特許請求の範囲の技術的思想の範囲内で定められる。
実施例1.液相の改質硫黄結合材の製造
PID(自動温度制御)方式で一定の温度が維持される恒温槽(シリコンオイルを熱媒として使用)内に、500mlの3口ガラス反応器を設置した。この反応器内にジシクロペンタジエン(純度78%の工業用原料)200重量部を投入し、工業用粉末硫黄100重量部を投入し、約140℃で溶融混合した後、温度を140℃(±1℃)に維持し、反応器インペラで攪拌して約4時間反応させた。
このような実験方式は、前述のように、硫黄100重量部に対してジシクロペンタジエン系改質剤の添加量を200重量部にして溶融混合する場合を示す。
反応初期には、硫黄とジシクロペンタジエン系改質剤が物理的にのみ混合した状態であるので、若干黄色を帯びた状態で液相分離現象が起こるが、反応時間が経過するにつれて色がさらに濃くなり、反応生成物が黒色透明状態から黒色不透明状態に変わる時点で若干の粘性が生じ始め、このときの最終反応温度は140℃であり、このとき反応を終了して常温で冷却して、常温で液相状態である液相の改質硫黄結合材を製造した。
再結晶が行われず、かつ若干の粘性が生じ始める時点で反応を終了し、常温で自然冷却して、改質硫黄結合材を得た。
得られた改質硫黄結合材は、常温で肉眼で観察したとき液相状態を維持し、再溶融温度は常温であり、粘度は392mPa・s(cP)であった。粘度測定はBrookfield社のモデル名DV−11+PROを用いて25℃で行った。
実施例2.水硬性改質硫黄モルタル供試体の製造
実施例1で製造した液相の改質硫黄結合材(試料番号2〜8)32g、普通ポルトランドセメント160g、粒径3〜10mmの細骨材450g、及び予熱していない常温の水76.8gを投入し、さじを用いて手で約2〜3分間混合した後、モルタルペーストを5cmの正方形キュービックモールド(シリコン材質)に注ぐ方式で成形して、大気中で水硬性改質硫黄モルタル供試体を製作した。モールド内に製作された水硬性改質硫黄モルタル供試体を、モールドと共に23℃で相対湿度90%を維持する恒温恒湿器(climate chamber)内に装入し、1日経過後にモールドから分離して水硬性改質硫黄モルタル供試体を得て、材齢の経過による各モルタル供試体の物性試験を実施した。
実施例3.水硬性改質硫黄コンクリート供試体の製造
実施例1で製造した液相の改質硫黄結合材(試料番号2〜8)149g、普通ポルトランドセメント2986g、粒径3〜10mmの細骨材6608g、粒径10〜18mmの粗骨材9370g、及び予熱していない常温の水1343.7gを、大気中で一軸回転式コンクリートミキサーに投入し、5〜10分間混合した後、直径10cm、高さ20cmの円柱型モールドに注ぐ方式で成形して、大気中で水硬性改質硫黄コンクリート供試体を製作した。製作された水硬性改質硫黄コンクリート供試体を、モールドと共に23℃で相対湿度90%を維持する恒温恒湿器内に装入し、1日経過後にモールドから分離して水硬性改質硫黄コンクリート供試体を得て、材齢の経過による各コンクリート供試体の物性試験を実施した。
また、耐化学性試験のために、普通ポルトランドセメント2986g、粒径3〜10mmの細骨材6608g、粒径10〜18mmの粗骨材9370g、及び予熱していない常温の水1344g、並びに実施例1で製造した液相の改質硫黄結合材(試料番号4)59g(すなわち、セメント100重量部に対して2重量部)を、大気中で一軸回転式コンクリートミキサーに投入し、約3分間混合した後、直径10cm、高さ20cmの円柱型モールドに注ぐ方式で成形して、大気中で水硬性改質硫黄コンクリート供試体を製作した。製作された水硬性改質硫黄コンクリート供試体を、モールドと共に23℃で相対湿度90%を維持する恒温恒湿器内に装入し、1日経過後にモールドから分離して水硬性改質硫黄コンクリート供試体を得て、耐化学性試験を実施した。
比較例1−1.一般的な可燃性改質硫黄結合材の製造
実施例1との比較のために、米国及び日本の先行特許に提示された一般的な改質硫黄結合材の製造方式の通り、PID方式で一定の温度が維持される恒温槽(シリコンオイルを熱媒として使用)内に、6,000ml用3口(中央の口には45/50ジョイントを装着したドイツ製IKAインペラが設置されており、他の1つの口には24/40ジョイント用コンデンサが設置されており、残りの口はオリゴマーとDCPDを投入する孔として構成されている)ガラス反応器を製作した。この反応器内に工業用粉末硫黄4,000gを入れ、徐々に昇温して130℃で液相に溶解した後に攪拌しながら、シクロペンタジエンオリゴマー100ccを約5〜10分以内に投入した。次に、約10分後にDCPD100ccを投入し、発熱反応により反応器内部の液相物の温度が130℃から約145℃まで上昇する点に留意し、反応温度を140℃に維持して攪拌を行った。約4時間経過すると若干の粘性が生じるが、このとき反応を終了し、常温で冷却して一般的な可燃性改質硫黄結合材を得た。
比較例1−2.一般的な水硬性改質硫黄結合材の製造
実施例1との比較のために、特許文献5に提示された一般的な水硬性改質硫黄結合材の製造方式の通り、一般的な固相の水硬性改質硫黄結合材を製造した。
そして、前記製造した一般的な固相の水硬性改質硫黄結合材を使用して、一般的な水硬性改質硫黄コンクリート供試体を製作した。
特許文献5に提示された合成方式で得られた、一般的な固相の改質硫黄結合材159g、普通ポルトランドセメント3173g、粒径3〜10mmの細骨材7021g、粒径10〜18mmの粗骨材9956g、及び80〜90℃に予熱した水1567gを、大気中で一軸回転式コンクリートミキサーに投入し、10〜14分間混合した後、直径10cm、高さ20cmの円柱型モールドに注ぐ方式で成形して、大気中で水硬性改質硫黄コンクリート供試体を製作した。製作された水硬性改質硫黄コンクリート供試体を、モールドと共に23℃で相対湿度90%を維持する恒温恒湿器内に装入し、1日経過後にモールドから分離して水硬性改質硫黄コンクリート供試体を得て、材齢の経過による各コンクリート供試体の物性試験を実施した。ここで、一般的な改質硫黄結合材をセメント100重量部に対して5重量部添加した。
比較例2.一般的なモルタル供試体の製造
普通ポルトランドセメント160g、粒径3〜10mmの細骨材340g、水80gを投入し、さじを用いて手で約2〜3分間混合した後、5cmの正方形キュービックモールド(シリコン材質)で成形して、一般的なモルタル供試体を製作した。製作された一般的なモルタル供試体を、モールドと共に23℃で相対湿度90%を維持する恒温恒湿器内に装入し、1日経過後にモールドから分離して一般的なモルタル供試体を得て、材齢の経過による各モルタル供試体の物性試験を実施した。
比較例3.一般的なコンクリート供試体の製造
普通ポルトランドセメント2986g、粒径3〜10mmの細骨材6608g、粒径10〜18mmの粗骨材9370g、水1493gを、一軸回転式コンクリートミキサーを使用して5分間混合した後、直径10cm、高さ20cmの円柱型モールドで成形して、一般的なコンクリート供試体を製作した。製作された一般的なコンクリート供試体を、モールドと共に23℃で相対湿度90%を維持する恒温恒湿器内に装入し、1日経過後にモールドから分離して一般的なコンクリート供試体を得て、材齢の経過による各コンクリート供試体の物性試験を実施した。
実験結果1.改質硫黄結合材の物理的特性の比較結果
実施例1で製造した本発明による液相の改質硫黄結合材、比較例1−1で製造した従来の一般的な可燃性改質硫黄結合材、並びに比較例1−2で製造した従来の一般的な水硬性改質硫黄結合材の物理的特性変化を比較した。
実施例1で製造した本発明による液相の改質硫黄結合材の各組成比及び各重合反応条件での物性と、比較例1−1で製造した一般的な可燃性改質硫黄結合材及び比較例1−2で製造した一般的な水硬性改質硫黄結合材の物性とを比較し、その結果を下記表1に示す。
また、改質硫黄結合材の組成比変化及び重合反応条件変化において、実施例1で製造した本発明による液相の改質硫黄結合材のDCPDの含量変化による粘度変化を25℃で測定し、その結果を図2に示す。
表1に示すように、実施例1で製造した本発明による液相の改質硫黄結合材は、重合反応完了後に大気中、常温で液相で存在するため、その再溶融温度が常温より低い。これに比べて、比較例1−1で製造した一般的な可燃性改質硫黄結合材の再溶融温度は120℃であり、比較例1−2で製造した一般的な水硬性改質硫黄結合材の再溶融温度は80℃であるので、比較例1−1及び1−2で製造した改質硫黄結合材は、常温で液相で存在することが不可能であることが分かる。
また、硫黄100重量部に対して、DCPDの添加量が10000重量部の場合は、ゲル状を示し、再溶融温度も70℃であり、DCPDの添加量が67重量部、80重量部の場合も、両方とも過飽和現象を示し、再溶融温度もそれぞれ60℃、50℃であった。
さらに、前記表1及び図2に示すように、実施例1で製造した本発明による液相の改質硫黄結合材の重合反応完了後の粘度範囲は、7〜40000cPであり、比較例1−1で製造した一般的な可燃性改質硫黄結合材を140℃で再溶融した直後に測定した粘度は約10cPであり、比較例1−2で製造した一般的な水硬性改質硫黄結合材を140℃で再溶融した直後に測定した粘度は約100cPであった。これは、先行特許の方式で製造した改質硫黄結合材に比べて、本発明の方式で製造した改質硫黄結合材のほうが、相対的に粘度範囲が広く、その値も大きいが、前述のように、常温で液相で存在するため、水、砂利、及び水硬性材料を混合するコンクリート製作過程で混合が可能である。
前記実験結果から明確に分かるように、本発明による改質硫黄結合材は、常温で液相で存在し、常温での混合作業が可能であるため、再溶融温度の測定に意味がないのに対して、一般的な改質硫黄結合材は、常温で固相で存在するため、再溶融温度が高い。従って、一般的な改質硫黄結合材を使用した場合は、本発明とは異なり、通常のポルトランドコンクリート作業のように、常温の作業条件で常温の水を水硬性材料及び骨材と混合する作業を行えないことが判明した。
実施例1で製造した本発明による液相の改質硫黄結合材の常温の水中での分散状態と、比較例1−2で製造した一般的な水硬性改質硫黄結合材の常温の水中での分散状態とを比較した。
大気中、常温で、実施例1で製造した本発明による液相の改質硫黄結合材適量と、比較例1−2で製造した一般的な水硬性改質硫黄結合材適量を、25℃の水が適量充填されたバイアル内に滴下した後の状態変化を観察し、約1分後にバイアルを手で約10回振り、水中での分散状態変化を観察し、その結果を図3A〜図3Dに示す。
図3A〜図3Dから明確に分かるように、バイアル内に滴下した後、本発明による改質硫黄結合材は、表面張力によりしばらく水面に浮いており、時間が経過するにつれて、一部は、水との反応により水を吸収して比重が増加することによって水中に沈み、球状を維持した。約1分後にバイアルを手で約10回振る衝撃だけで、水中に球状で存在していた本発明による改質硫黄結合材は、水中に全体的に分散したが、一般的な水硬性改質硫黄結合材は、水との作用がほとんどなく、水に全く分散しなかった。
つまり、特許文献5に提示された改質硫黄結合材は、常温で常温の水と混合した場合、改質硫黄結合材の再溶融温度のため、水と接触するとすぐに凝固して分散が全く行われないのに対して、本発明による改質硫黄結合材は、大気中で常温に冷却しても液相を維持するため、少量の改質硫黄結合材を常温で常温の水中に分散させることができるので、通常のポルトランドコンクリート混合物に前記改質硫黄分散物を極めて少量(例えば、約0.1〜0.3重量%)添加するだけで、耐化学性に優れた改質硫黄資材(例えば、モルタル又はコンクリート)を製造することができる。
実験結果2.改質硫黄コンクリートの混合作業時における改質硫黄結合材の分散状態の比較結果
実施例3で製造した本発明による水硬性改質硫黄コンクリートペースト、並びに比較例1−2で製造した一般的な水硬性改質硫黄結合材を使用して特許文献5に開示された製造方式で製造した一般的な水硬性改質硫黄コンクリートペーストにおいて、混合作業時にコンクリートペースト中に分布する改質硫黄結合材の分散状態を比較した。
本発明による水硬性改質硫黄コンクリートを製造するための配合比率は、実施例3で製造した水硬性改質硫黄コンクリートペーストにおいて、セメント100重量部に対して液相の改質硫黄結合材2重量部を混合し、常温の水48重量部を添加して3分間混合した後、ペーストの状態を観察した。一般的な水硬性改質硫黄コンクリートを製造するための配合比率は、約50〜60℃に予熱されたコンクリートミキサーに、セメント100重量部に対して比較例1−2で製造した一般的な水硬性改質硫黄結合材を2重量部添加し、70℃の水48重量部を共に添加して5分間混合した後に観察した。その結果を図4A及び図4Bに示す。
一般的な水硬性改質硫黄コンクリートペースト中には、図4Bに示すように、様々な箇所で小さい粒状の分散していない改質硫黄結合材が見られるのに対して、本発明による水硬性改質硫黄コンクリートペースト中には、図4Aに示すように、小さい粒状で存在する改質硫黄結合材がなく、全体的に均一に分散していることを確認することができた。
前記実験結果から分かるように、本発明による改質硫黄結合材は、常温で安定して液相で存在する特性により、セメントと水との混合作業時にマトリクス内全体に均一に分散するため、コンクリート総重量に対して約0.1〜0.3重量%の少ない添加量でも供試体の水密性を増加させ、改質硫黄の固有特性である耐化学性、防水性などの物性を発現することができる。
しかし、一般的な水硬性改質硫黄コンクリートの製作の場合は、ミキサーを予熱及び加熱した後に60℃の水を添加して混合作業を行わなければならないので、分散作業が完了する前にコンクリートペーストの温度が一般的な水硬性改質硫黄結合材の凝固点以下に下がり、まだ分散していない改質硫黄結合材が小さい粒状で存在し、分散状態が不良であるため、物性に悪影響を及ぼす。
実験結果3.改質硫黄モルタルの物理的特性の比較結果
実施例2で製造した本発明による水硬性改質硫黄モルタル、並びに比較例2で製造した従来の普通セメントモルタルの材齢の経過による圧縮強度変化を比較した。
本発明による水硬性改質硫黄モルタルの製造においては、セメント100重量部に対して実施例1で製造した水硬性改質硫黄結合材2重量部を混合し、常温の水を一律に48重量部添加した。その結果を下記表2に示す。
表2に示すように、28日経過後、実施例2で製造した本発明による改質硫黄モルタル供試体の強度値は、比較例2で製造した一般的なモルタル供試体の強度値よりも、全ての供試体において一律に良好であった。
前記実験結果から分かるように、本発明による液相の改質硫黄結合材は、常温で安定して液相で存在する特性により、セメントと水との混合作業時にマトリクス内に均一に分散するため、約0.2重量%の少ない添加量でもセメントとの接着力がよいため、供試体の水密性を増加させ、改質硫黄の固有特性である耐化学性、強度、防水性などの物性を示す。
実験結果4.改質硫黄コンクリートの物理的特性の比較結果
実施例3で製造した本発明による水硬性改質硫黄コンクリート、比較例3で製造した一般的なコンクリート、並びに比較例1−2で製造した一般的な水硬性改質硫黄結合材を使用して特許文献5に開示された製造方式で製造した一般的な水硬性改質硫黄コンクリートの物性変化を比較した。
本発明による水硬性改質硫黄コンクリートの製造においては、セメント100重量部に対して実施例1で製造した水硬性改質硫黄結合材2重量部を混合し、常温の水を一律に48重量部添加し、一般的な水硬性改質硫黄コンクリートの製造においては、約50〜60℃に予熱されたコンクリートミキサーに、セメント100重量部に対して比較例1−2で製造した一般的な水硬性改質硫黄結合材を5重量部添加し、70℃の水48重量部を共に添加した。比較結果を下記表3に示す。
製作された供試体の物性変化比較試験項目は、材齢7日及び28日後の圧縮強度、吸収率、長さ変化率、及び塩化物イオン浸透抵抗性であり、全ての試験は関連KS規格に準拠して韓国化学試験研究院、韓国建資材試験研究院、及び韓国建設技術研究院などの国家公認試験認証機関で実施した。
*比較例1−2で製造した一般的な水硬性改質硫黄結合材を使用して特許文献5に開示された製造方式で製造した一般的な水硬性改質硫黄コンクリート。
前記実験結果から分かるように、本発明で製造した水硬性改質硫黄コンクリートは、通常のポルトランドコンクリートに比べて、圧縮強度では同等レベルを示し、吸収率及び長さ変化率では良好な物性を示した。これは、毛細管気孔程度の非常に微細な改質硫黄水溶液がセメントマトリクス内に均一に分散しており、微細組織が緻密な本発明による水硬性改質硫黄コンクリートが、普通ポルトランドコンクリートに比べて気孔率が少なくて収縮率が小さいものと解され、塩化物イオン浸透抵抗性では当然ながら顕著な差を示した。
一方、本発明で製造した水硬性改質硫黄コンクリートと特許文献5に開示された製造方式で製造した一般的な水硬性改質硫黄コンクリートの物性を比較すると、強度では同等レベルであり、吸収率、長さ変化率、及び塩化物イオン浸透抵抗性では同等又は若干上回る物性を示した。しかしながら、本発明の方式で製造した改質硫黄結合材及び特許文献5の方式で製造した改質硫黄結合材のセメント100重量部に対する添加量が、それぞれ2重量部及び5重量部であることを考慮すると、経済性では違いがある。
また、実施例3で製造した本発明による水硬性改質硫黄コンクリート、及び比較例3で製造した従来の普通ポルトランドコンクリートの塩化カルシウムに対する耐浸食性(又は、耐化学性)を比較するために、28日間養生した本発明による水硬性改質硫黄コンクリート供試体及び一般的なコンクリート供試体をそれぞれ13%CaCl2溶液に浸漬した後、材齢日数の変化による侵食程度、すなわち表面亀裂又は剥離現象、胴部亀裂又は剥離現象、陥没現象などの外観変化を観察しているが、現在、供試体試験日数は約6カ月が経過した状態であり、その結果を図5A〜図5Cに示す。
図5A及び図5Cに示すように、一般的なコンクリート供試体(図5A)は、表面に若干の微細な亀裂現象が発生しているのに対して、本発明の製品(図5C)では、外観上いかなる変化も発生していない。
一般的なコンクリート試験体を成形して28日間養生した後に得られる耐化学性試験用供試体は、成形条件、養生方法、塩化カルシウム濃度、温度などの様々な変数により一律ではないが、一般的なコンクリート供試体は、概ね塩化カルシウム溶液に浸漬して約5カ月の時点で約半分に表面に微細な亀裂現象が発生する傾向を示したが、本発明で製造した水硬性改質硫黄供試体は、約6カ月経過した状態でも外観変化が全くなかった。
本発明の実施例3に記載されているように、前記耐化学性試験用水硬性改質硫黄コンクリート供試体の製作に使用された改質硫黄結合材の添加量は、セメント100重量部に対して2重量部である。これは、韓国道路公社道路示方書に記載されている普通2種コンクリート配合比(構成比)を基準として、セメント使用量に対して2%を使用したものであるが、これをセメント、砂利、添加剤、混和剤、混合水などの全ての材料が含まれる総コンクリート配合比に換算すると、総コンクリート配合比100重量部に対して0.3重量部である。
従って、本発明で製造した水硬性改質硫黄結合材を一般的なコンクリートに約0.1〜0.3重量%添加するだけで、塩化カルシウムに対する耐浸食性を発揮することを発見した。
近年、西海大橋や永宗大橋などのように海洋環境に建設されるコンクリート構造物が増加するにつれて、海水の塩化物の浸透による鉄筋腐食がコンクリートの耐久性低下の最大の要因となっており、高速道路の中央分離帯などの場合、融雪剤(CaCl2)による塩化物の浸透により腐食し、高価なエポキシ樹脂コーティング鉄筋や耐塩害ポリマー塗料を使用しなければならない現状であるので、このような塩化物の浸透が予想される地域のコンクリート構造物に本発明品である水硬性改質硫黄資材を使用することにより、経済性と共に安全性を確保できるものと期待される。
実験結果5.改質硫黄モルタルの火炎に対する燃焼試験結果
実施例2で製造した本発明による水硬性改質硫黄モルタル、及び比較例1−1で製造した一般的な改質硫黄結合材を使用して特許文献5に開示された製造方式で製造した一般的な改質硫黄モルタルの火炎に対する燃焼試験を実施した。
実施例2で製造した本発明による水硬性改質硫黄モルタル及び一般的な改質硫黄モルタルを、それぞれ燃焼トーチを使用して最強火で約5分間加熱して変化を観察し、その結果を図6A〜図6Fに示す。
図6A〜図6Fに示すように、実施例2で製造した本発明による水硬性改質硫黄モルタルは、トーチ燃焼試験で亀裂が発生せず、燃えないのに対して、一般的な改質硫黄モルタルは、表面に微細な亀裂が発生すると共に、試験体が燃えて硫黄が溶融することによって溶融物が流れる現象が発生した。
実験結果6.改質硫黄コンクリート表面の劣化現象の比較結果
コンクリート試験体表面の劣化現象比較試験として、実施例3で製造した本発明による水硬性改質硫黄コンクリート試験体の内部、及び比較例2で製造した通常のポルトランドコンクリート試験体の内部に含有されている水分が火の中で燃焼する場合に発生する表面の劣化現象を比較するための実験を実施した。
実施例3で製造した本発明による水硬性改質硫黄コンクリートの表面、及び比較例2で製造した普通ポルトランドコンクリートの表面を、それぞれ燃焼トーチを使用して強火で約5分間加熱した後、表面を観察し、その結果を図7A〜図7Fに示す。
図7A〜図7Fに示すように、トーチ燃焼試験後、実施例3で製造した本発明による水硬性改質硫黄コンクリートの表面には亀裂がほとんど発生しないのに対して、普通ポルトランドセメントコンクリートの表面には微細な亀裂が発生したことが分かる。実際に、燃焼試験中に試験体の表面からパチパチと弾ける音と共に小さい破片が様々な方向に弾けた。
通常、普通ポルトランドセメントコンクリートの内部には、約2〜5重量%の水分が常時存在するため、このような水分の存在と空隙により長期的耐久性に悪影響を及ぼし、特に、トーチ燃焼試験のように、一般にセメントモルタル又はコンクリートにトーチを使用して試験体を加熱すると、内部の水分が蒸発して試験体の表面外に出るため、試験体の表面からパチパチと弾ける音と共に小さい破片が様々な方向に弾け、表面に微細な蜘蛛の巣のような亀裂が発生するが、これは劣化現象と通称される。
本発明は、図示された例を中心に説明されたが、これは例示にすぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であることを理解できるであろう。