JP5110093B2 - 硫化物固体電解質材料 - Google Patents

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Description

本発明は、硫化水素発生量の少ない硫化物固体電解質材料に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。
これに対し、電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。さらに、このような固体電解質層に用いられる固体電解質材料として、硫化物固体電解質材料が知られている。
硫化物固体電解質材料は、Liイオン伝導性が高いため、電池の高出力化を図る上で有用であり、従来から種々の研究がなされている。例えば、特許文献1においては、LiSおよびPを主成分とするガラス相を含む硫化物固体電解質材料が開示されている。この硫化物固体電解質材料は、Liイオン伝導性が高いという利点を有するものの、水(水分を含む、以下同じ)との反応性が高いため、水と接触した場合に多くの硫化水素が発生し、安全上好ましくないという問題があった。
また、非特許文献1においては、固相法で製造されたLiSbS多結晶体が開示されており、この多結晶体は、10−7S/cm程度のLiイオン伝導度を有している。また、特許文献2においては、メカニカルミリングを用いた硫化物固体電解質材料の製造方法が開示されている。
特開2002−109955号公報 特開2004−265685号公報 J.Olivier-Fourcade et al., "Modification de la nature de la conductivite electrique par creation de sites vacants dans les phases a caractere semi-conducteur du systeme Li2S-Sb2S3", Solid State Ionics., Vol.9-10, Part 1, December 1983, p135-138.
上記のように、従来の硫化物固体電解質材料は、水と接触した場合に多くの硫化水素が発生するという問題があった。本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、硫化水素発生量の少ない硫化物固体電解質材料を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、LiSbS構造を有することを特徴とする硫化物固体電解質材料を提供する。
本発明によれば、硫化物固体電解質材料が水に対する安定性の高いLiSbS構造を有するため、硫化水素発生量を少なくすることができる。そのため、本発明の硫化物固体電解質材料を用いることで、例えば、安全性の高いリチウム電池を得ることができる。
上記発明においては、上記硫化物固体電解質材料は、LiSおよびSbを含有するLiS−Sb含有組成物を用いてなるものであることが好ましい。LiSbS構造を効率良く形成することができるからである。
上記発明においては、上記LiS−Sb含有組成物が、LiSおよびSbのみを含有することが好ましい。LiSbS構造の含有量の調整が容易だからである。
上記発明においては、上記LiS−Sb含有組成物に含まれるLiSのモル分率が、75%よりも小さいことが好ましい。確実にLiSbS構造を形成することができるからである。
上記発明においては、上記LiS−Sb含有組成物が、LiSおよびSbに加えて、さらに硫化物材料を含有することが好ましい。Liイオン伝導性の高い硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。
上記発明においては、上記硫化物材料が、B、P、Si、AlまたはGeの硫化物であることが好ましい。よりLiイオン伝導性の高い硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。
また、本発明においては、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された電解質層とを有するリチウム電池であって、上記正極活物質層、上記負極活物質層および上記電解質層の少なくとも一つが、上述した硫化物固体電解質材料を含有することを特徴とするリチウム電池を提供する。
本発明によれば、上述した硫化物固体電解質材料を用いることで、硫化水素発生量の少ないリチウム電池とすることができる。
上記発明においては、上記電解質層が、上記硫化物固体電解質材料から構成される固体電解質層であることが好ましい。安全性の高いリチウム電池(全固体電池)を得ることができるからである。
また、本発明においては、Li元素、Sb元素およびS元素を、LiSbS構造を形成可能な割合で含有する原料組成物を調製する調製工程と、メカニカルミリングにより、上記原料組成物から、上記LiSbS構造を有する硫化物固体電解質材料を合成する合成工程と、を有することを特徴とする硫化物固体電解質材料の製造方法を提供する。
本発明によれば、所定の組成を有する原料組成物に対して、メカニカルミリングを行うことにより、LiSbS構造を有する硫化物固体電解質材料を得ることができる。
上記発明においては、上記原料組成物が、LiSおよびSbを含有するLiS−Sb含有組成物であることが好ましい。LiSbS構造を効率良く形成することができるからである。
上記発明においては、上記LiS−Sb含有組成物が、LiSおよびSbのみを含有することが好ましい。LiSbS構造の含有量の調整が容易だからである。
上記発明においては、上記LiS−Sb含有組成物に含まれるLiSのモル分率が、75%よりも小さいことが好ましい。確実にLiSbS構造を形成することができるからである。
本発明においては、硫化物固体電解質材料が水と接触した場合でも、硫化水素の発生を抑制できるという効果を奏する。
本発明のリチウム電池の発電要素の一例を示す概略断面図である。 本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法の一例を説明する説明図である。 実施例1、2、4、および比較例1で得られた硫化物固体電解質材料のラマン分光測定の結果である。 図3の一部の拡大図である。 実施例1、4および比較例1で得られた硫化物固体電解質材料のX線回折測定の結果である。 実施例1〜4および比較例1で得られた硫化物固体電解質材料における、Liイオン伝導度、電子伝導度および硫化水素発生量の測定結果である。 実施例5、6および比較例2で得られた硫化物固体電解質材料のラマン分光測定の結果である。
符号の説明
1 … 正極活物質層
2 … 負極活物質層
3 … 電解質層
10 … リチウム電池の発電要素
以下、本発明の硫化物固体電解質材料、リチウム電池、および硫化物固体電解質材料の製造方法について詳細に説明する。
A.硫化物固体電解質材料
まず、本発明の硫化物固体電解質材料について説明する。本発明の硫化物固体電解質材料は、LiSbS構造を有することを特徴とするものである。ここで、本発明におけるLiSbS構造とは、以下に示す構造をいう。
Figure 0005110093
本発明によれば、硫化物固体電解質材料が水に対する安定性の高いLiSbS構造を有するため、硫化水素発生量を少なくすることができる。そのため、本発明の硫化物固体電解質材料を用いることで、例えば、安全性の高いリチウム電池を得ることができる。また、本発明におけるLiSbS構造に類似する構造として、以下のようなLiSbS構造がある。
Figure 0005110093
本発明者等は、従来から、LiSbS構造を有するアモルファス状の硫化物固体電解質材料について研究を行い、高いLiイオン伝導性を確認している。このような硫化物固体電解質材料は、例えば、LiSおよびSbを、3:1(モル比)で混合し、メカニカルミリングを行うことで得ることできる。このLiSbS構造は、Liイオン伝導性は高いものの、水に対する安定性が低いという問題があった。これに対して、本発明においては、LiSbS構造のみではなく、例えば、LiSbS構造およびLiSbS構造の両方を形成することで、高いLiイオン伝導性を維持しつつ、硫化水素発生量を著しく抑制することができる。なお、上述した非特許文献1には、LiSbS多結晶体が開示されている。しかしながら、非特許文献1に記載されている固相法では、LiSbS構造を形成することはできない。
本発明において、LiSbS構造の存在は、ラマン分光測定により確認することができる。具体的には、硫化物固体電解質材料のラマン分光スペクトルが、1050cm−1付近にピークを有する場合は、硫化物固体電解質材料がLiSbS構造を有すると判断できる。ここで、1050cm−1付近とは、例えば1000cm−1〜1100cm−1の範囲である。一方、上述したLiSbS構造の存在についても、ラマン分光測定により確認することができる。具体的には、ラマン分光スペクトルが330cm−1付近にピークを有する場合は、硫化物固体電解質材料がLiSbS構造を有すると判断できる。ここで、330cm−1付近とは、例えば300cm−1〜350cm−1の範囲である。また、本発明において、LiSbS構造の存在は、X線回折によっても確認することができる。
本発明の硫化物固体電解質材料は、上記のLiSbS構造を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも、本発明の硫化物固体電解質材料は、Li元素、Sb元素およびS元素を含有する原料組成物を用いてなるものであることが好ましい。硫化物固体電解質材料の組成の調整が容易だからである。さらに、本発明の硫化物固体電解質材料は、原料組成物を用いて、メカニカルミリングまたは溶融急冷法により合成されたものであることが好ましい。LiSbS構造を効率良く形成することができるからである。
(1)原料組成物
本発明における原料組成物は、少なくともLi元素、Sb元素およびS元素を含有する。原料組成物の組成は、LiSbS構造を形成可能であれば特に限定されるものではなく、任意の組み合わせを採用することができる。中でも、本発明においては、原料組成物が、少なくともLiSおよびSbを含有するLiS−Sb含有組成物であることが好ましい。すなわち、本発明の硫化物固体電解質材料は、LiS−Sb含有組成物を用いてなるものであることが好ましい。LiSbS構造を効率良く形成することができるからである。さらに、LiS−Sb含有組成物は、LiSおよびSbのみを含有するものであっても良く、さらにその他の化合物を含有するものであっても良い。
ここで、まず、LiS−Sb含有組成物が、LiSおよびSbのみを含有する場合について説明する。LiS−Sb含有組成物に用いられるLiSおよびSbは、それぞれ不純物が少ないことが好ましい。副反応を抑制することができるからである。LiSの合成方法としては、例えば特開平7−330312号公報に記載された方法等を挙げることができる。さらに、LiSは、WO2005/040039に記載された方法等を用いて精製されていることが好ましい。なお、Sbは、市販で入手可能なものを使用することができる。
また、LiS−Sb含有組成物が、LiSおよびSbのみを含有する場合、LiS−Sb含有組成物に含まれるLiSのモル分率は、75%よりも小さいことが好ましい。後述する比較例1に記載するように、LiSのモル分率が75%である場合、LiS:Sb=3:1となり、LiSbS構造は形成されるものの、LiSbS構造が形成されないからである。中でも、LiSのモル分率は、73%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましい。硫化水素発生量をさらに抑制することができるからである。一方、LiSのモル分率の下限は、LiSbSが形成可能な値であれば特に限定されるものではない。中でも、LiSのモル分率は、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。上記範囲内であれば、良好なLiイオン伝導性を発揮できるからである。
次に、LiS−Sb含有組成物が、LiS、Sbおよびその他の化合物を含有する場合について説明する。その他の化合物としては、例えば、硫化物材料(LiSおよびSbを除く)を挙げることができる。硫化物材料を添加することで、例えば、Liイオン伝導性の高い硫化物固体電解質材料を得ることができるという利点を有する。このような硫化物材料としては、例えば、B、P、Si、AlまたはGeの硫化物を挙げることができ、具体的には、B3、、P、SiS、AlおよびGeS等を挙げることができる。なお、本発明においては、複数の硫化物材料を用いても良い。
また、LiS−Sb含有組成物に含まれる、LiS、Sbおよび硫化物材料Aは、モル基準で、x(yLiS・(100−y)A)・(100−x)(zLiS・(100−z)Sb)の関係を満たすことが好ましい(関係式(1))。関係式(1)において、yLiS・(100−y)Aは、LiSおよびAの割合が、モル基準で、y:(100−y)であることを示し、zLiS・(100−z)Sbは、LiSおよびSbの割合が、モル基準で、z:(100−z)であることを示す。さらに、関係式(1)は、(yLiS・(100−y)A)および(zLiS・(100−z)Sb)の割合が、モル基準で、x:(100−x)であることを示す。ここで、xについては、0<x<100であり、中でも3≦x≦97であることが好ましい。yについては、0<y<100である。zについては、通常50≦z≦75であり、中でも50≦z≦70であることが好ましい。特に、本発明においては、硫化物材料AがPであって、LiS−Sb含有組成物に含まれる、LiS、SbおよびPが、45(70LiS・30P)・55(50LiS・50Sb)の関係、または50(70LiS・30P)・50(50LiS・50Sb)の関係を満たすことが好ましい。Liイオン伝導性が高く、硫化水素発生量の少ない硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。
なお、LiS−Sb含有組成物は、硫化物材料以外のその他の化合物として、LiPO、LiSiO、LiGeO、LiBOおよびLiAlOからなる群から選択される少なくとも一種のオルトオキソ酸リチウムを含有していても良い。このようなオルトオキソ酸リチウムを加えることで、より安定な硫化物固体電解質材料を得ることができる。
(2)硫化物固体電解質材料
本発明の硫化物固体電解質材料は、上記のLiSbS構造を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも、本発明の硫化物固体電解質材料は、Liイオン伝導度の値が、電子伝導度の値よりも大きいことが好ましい。例えば、固体電解質層の材料として有用だからである。さらに、Liイオン伝導度の値は、1×10−7S/cm以上であることが好ましく、1×10−6S/cm以上であることがより好ましい。また、本発明の硫化物固体電解質材料は、結晶質であっても良く、非晶質であっても良い。さらに、硫化物固体電解質材料は、通常粉末状であり、その平均径は例えば0.1μm〜50μmの範囲内である。また、本発明の硫化物固体電解質材料の用途としては、例えば、リチウム電池用途を挙げることができる。上記リチウム電池は、固体電解質層を有する全固体リチウム電池であっても良く、電解液を有するリチウム電池であっても良い。なお、本発明の硫化物固体電解質材料を製造する方法については、後述する「C.硫化物固体電解質材料の製造方法」で詳細に説明する。
B.リチウム電池
次に、本発明のリチウム電池について説明する。本発明のリチウム電池は、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された電解質層とを有するリチウム電池であって、上記正極活物質層、上記負極活物質層および上記電解質層の少なくとも一つが、上述した硫化物固体電解質材料を含有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した硫化物固体電解質材料を用いることで、硫化水素発生量の少ないリチウム電池とすることができる。
図1は、本発明のリチウム電池の発電要素の一例を示す概略断面図である。図1に示される発電要素10は、正極活物質を含有する正極活物質層1と、負極活物質を含有する負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に形成された電解質層3とを有するものである。さらに、本発明においては、正極活物質層1、負極活物質層2および電解質層3の少なくとも一つが、上述した硫化物固体電解質材料を含有することを大きな特徴とする。
以下、本発明のリチウム電池について、構成ごとに説明する。
1.電解質層
まず、本発明における電解質層について説明する。本発明における電解質層は、正極活物質層および負極活物質層の間に形成される層である。電解質層は、Liイオンの伝導を行うことができる層であれば特に限定されるものではないが、固体電解質材料から構成される固体電解質層であることが好ましい。安全性の高いリチウム電池(全固体電池)を得ることができるからである。さらに、本発明においては、固体電解質層が、上述した硫化物固体電解質材料から構成されていることが好ましい。硫化水素発生量の少ないリチウム電池を得ることができるからである。固体電解質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内、中でも0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。また、固体電解質層の形成方法としては、例えば、固体電解質材料を圧縮成形する方法等を挙げることができる。
また、本発明における電解質層は、電解液から構成される層であっても良い。電解液を用いることで、高出力なリチウム電池を得ることができる。この場合は、通常、正極活物質層および負極活物質層の少なくとも一方が、上述した硫化物固体電解質材料を含有することになる。また、電解液は、通常、リチウム塩および有機溶媒(非水溶媒)を含有する。リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiAsF等の無機リチウム塩、およびLiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO等の有機リチウム塩等を挙げることができる。上記有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート等を挙げることができる。
2.正極活物質層
次に、本発明における正極活物質層について説明する。本発明における正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料および導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していても良い。特に、本発明においては、正極活物質層に含まれる固体電解質材料が、上述した硫化物固体電解質材料であることが好ましい。硫化水素発生量の少ないリチウム電池を得ることができるからである。正極活物質層に含まれる硫化物固体電解質材料の割合は、リチウム電池の種類によって異なるものであるが、例えば10重量%〜90重量%の範囲内、中でも20重量%〜80重量%の範囲内であることが好ましい。また、正極活物質としては、例えばLiCoO、LiMnO、LiNiMn、LiVO、LiCrO、LiFePO、LiCoPO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等を挙げることができる。
本発明における正極活物質層は、さらに導電化材を含有していても良い。導電化材の添加により、正極活物質層の導電性を向上させることができる。導電化材としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。また、正極活物質層は、結着材を含有していても良い。結着材の種類としては、例えば、フッ素含有結着材等を挙げることができる。また、正極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
3.負極活物質層
次に、本発明における負極活物質層について説明する。本発明における負極活物層は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、固体電解質材料、導電化材および結着材の少なくとも一つを含有していても良い。特に、本発明においては、負極活物質層に含まれる固体電解質材料が、上述した硫化物固体電解質材料であることが好ましい。硫化水素発生量の少ないリチウム電池を得ることができるからである。負極活物質層に含まれる硫化物固体電解質材料の割合は、リチウム電池の種類によって異なるものであるが、例えば10重量%〜90重量%の範囲内、中でも20重量%〜80重量%の範囲内であることが好ましい。また、負極活物質としては、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。なお、負極活物質層に用いられる固体電解質材料および導電化材については、上述した正極活物質層における場合と同様である。また、負極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内である。
4.その他の構成
本発明のリチウム電池は、上述した正極活物質層、電解質層および負極活物質層を少なくとも有するものである。さらに通常は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、リチウム電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。また、本発明に用いられる電池ケースには、一般的なリチウム電池の電池ケースを用いることができる。電池ケースとしては、例えばSUS製電池ケース等を挙げることができる。また、本発明のリチウム電池が全固体電池である場合、発電要素を絶縁リングの内部に形成しても良い。
5.リチウム電池
本発明のリチウム電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。本発明のリチウム電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。
また、本発明のリチウム電池の製造方法は、上述したリチウム電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的なリチウム電池の製造方法と同様の方法を用いることができる。例えば、本発明のリチウム電池が全固体電池である場合、その製造方法の一例としては、正極活物質層を構成する材料、固体電解質層を構成する材料、および負極活物質層を構成する材料を順次プレスすることにより、発電要素を作製し、この発電要素を電池ケースの内部に収納し、電池ケースをかしめる方法等を挙げることができる。また、本発明においては、上述した硫化物固体電解質を含有することを特徴とする、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層をそれぞれ提供することもできる。
C.硫化物固体電解質材料の製造方法
次に、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法について説明する。本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法は、Li元素、Sb元素およびS元素を、LiSbS構造を形成可能な割合で含有する原料組成物を調製する調製工程と、メカニカルミリングにより、上記原料組成物から、上記LiSbS構造を有する硫化物固体電解質材料を合成する合成工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、所定の組成を有する原料組成物に対して、メカニカルミリングを行うことにより、LiSbS構造を有する硫化物固体電解質材料を得ることができる。
図2は、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法の一例を説明する説明図である。図2に示される製造方法においては、まず、出発原料として、硫化リチウム(LiS)および硫化アンチモン(Sb)を用意する。次に、これらの出発原料を、目的とするLiSbS構造を形成可能な割合で混合し、原料組成物を調製する(調製工程)。その後、原料組成物および粉砕用ボールをポットに投入し、ポットを密閉する。次に、このポットを、遊星型ボールミル機に取り付けて、メカニカルミリングを行う(合成工程)。これにより、原料組成物からLiSbS構造を有する硫化物固体電解質材料を得る。
以下、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法について、工程ごとに説明する。なお、本発明においては、後述する各工程を不活性ガス雰囲気下(例えばArガス雰囲気下)で行うことが好ましい。
1.調製工程
本発明における調製工程は、Li元素、Sb元素およびS元素を、LiSbS構造を形成可能な割合で含有する原料組成物を調製する工程である。なお、本発明に用いられる原料組成物については、上記「A.硫化物固体電解質材料」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
2.合成工程
本発明における合成工程は、メカニカルミリングにより、上記原料組成物から、上記LiSbS構造を有する硫化物固体電解質材料を合成する工程である。本発明においては、メカニカルミリングを用いることで、常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができる。
上記メカニカルミリングは、原料組成物を、機械的エネルギーを付与しながら混合する方法であれば特に限定されるものではないが、例えばボールミル、ターボミル、メカノフュージョン、ディスクミル等を挙げることができ、中でもボールミルが好ましく、特に遊星型ボールミルが好ましい。LiSbS構造を有する硫化物固体電解質材料を効率良く得ることができるからである。
また、メカニカルミリングの各種条件は、LiSbS構造を有する硫化物固体電解質材料を得ることができる程度に設定することが好ましい。例えば、遊星型ボールミルにより硫化物固体電解質材料を合成する場合、ポット内に、原料組成物および粉砕用ボールを加え、所定の回転数および時間で処理を行う。一般的に、回転数が大きいほど、硫化物固体電解質材料の生成速度は速くなり、処理時間が長いほど、原料組成物から硫化物固体電解質材料への転化率は高くなる。遊星型ボールミルを行う際の回転数としては、例えば200rpm〜500rpmの範囲内、中でも250rpm〜400rpmの範囲内であることが好ましい。また、遊星型ボールミルを行う際の処理時間は、硫化物固体電解質材料の合成が充分に進行する程度の時間であることが好ましい。
3.その他
本発明により得られる硫化物固体電解質材料については、上記「A.硫化物固体電解質材料」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、本発明においては、上述した調製工程および合成工程により得られることを特徴とする硫化物固体電解質材料を提供することもできる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
出発原料として、硫化リチウム(LiS)と硫化アンチモン(Sb)とを用いた。これらの粉末をアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、LiSを0.2399g、Sbを0.7601g秤量し、これらをメノウ乳鉢で混合した。次に、混合した出発原料を45mlのジルコニアポットに投入し、さらにジルコニアボール(Φ10mm、10個)を投入し、ポットを完全に密閉した。このポットを遊星型ボールミル機に取り付け、回転数370rpmで40時間メカニカルミリングを行い、硫化物固体電解質材料(70LiS−30Sb)を得た。
[実施例2]
LiSを0.2007g、Sbを0.7993g用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硫化物固体電解質材料(65LiS−35Sb)を得た。
[実施例3]
LiSを0.1686g、Sbを0.8314g用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硫化物固体電解質材料(60LiS−40Sb)を得た。
[実施例4]
LiSを0.1191g、Sbを0.8809g用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硫化物固体電解質材料(50LiS−50Sb)を得た。
[比較例1]
LiSを0.2886g、Sbを0.7114g用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硫化物固体電解質材料(75LiS−25Sb)を得た。
[評価1]
(ラマン分光測定)
実施例1、2、4、および比較例1で得られた硫化物固体電解質材料を用いて、ラマン分光測定を行った。その結果を図3および図4に示す。なお、図4は、図3の一部を拡大したものである。図3および図4に示されるように、実施例1では、1050cm−1付近にピークが確認され、実施例1で得られた硫化物固体電解質材料(70LiS−30Sb)は、LiSbS構造を有することが確認された。実施例1では、さらに330cm−1付近にピークが確認されることから、実施例1で得られた硫化物固体電解質材料は、LiSbS構造およびLiSbS構造の両方を有することが確認された。
同様に、実施例2では、1050cm−1付近、330cm−1付近にピークが確認され、実施例2で得られた硫化物固体電解質材料(65LiS−35Sb)は、LiSbS構造およびLiSbS構造の両方を有することが確認された。また、実施例4では、1050cm−1付近にピークが確認されたが、330cm−1付近にピークは確認されなかった。このことから、実施例4で得られた硫化物固体電解質材料(50LiS−50Sb)は、LiSbS構造を有するが、LiSbS構造を有しないことが確認された。
一方、比較例1では、330cm−1付近にピークが確認されたが、1050cm−1付近にピークは確認されなかった。このことから、比較例1で得られた硫化物固体電解質材料(75LiS−25Sb)は、LiSbS構造を有するが、LiSbS構造を有しないことが確認された。
(X線回折測定)
実施例1、4および比較例1で得られた硫化物固体電解質材料を、X線回折(装置:RINT−UltimaIII、測定条件:測定角度範囲20°〜70°、スキャン速度2°/min)により分析した。その結果を図5に示す。実施例4では、LiSbS構造のピークが確認でき、比較例1では、LiSbS構造が確認でき、実施例1では、LiSbS構造およびLiSbS構造が確認できた。
(Liイオン伝導度、電子伝導度および硫化水素発生量の測定)
実施例1〜4および比較例1で得られた硫化物固体電解質材料を用いて、Liイオン伝導度、電子伝導度および硫化水素発生量を測定した。Liイオン伝導度の測定では、まず、硫化物固体電解質材料100mgを5.1ton/cmの圧力でプレスし、そのペレットをSUS304で挟持して2極セルとし、これを用いて交流インピーダンス測定を行った。交流インピーダンス測定の条件を以下に示す。
・電極:SUS304
・インピーダンス測定システム:1260型インピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製)
・印加電圧:10mV
・測定周波数:0.01Hz〜1MHz
交流インピーダンス測定により得られたインピーダンスプロットから、室温におけるLiイオン伝導度を求めた。一方、電子伝導度の測定では、上記2極セル用いて、電圧を1V印加し、電流値を測定することにより直流抵抗を求め、電子伝導度を求めた。また、硫化水素発生量の測定では、上記と同様のペレットを作製し、得られたペレットを密閉されたデシケータ(大気雰囲気、1755cc)の内部に配置し、最初の300秒間で発生した硫化水素の発生量を、硫化水素センサーを用いて測定した。測定環境は、湿度60%、温度25℃に固定した。これらの結果を図6に示す。
図6に示されるように、実施例1(x=70)は、比較例1(x=75)と比べて、硫化水素発生量が大幅に減少することが確認された。これは、実施例1の硫化物固体電解質材料がLiSbS構造を有するためであると考えられる。また、Liイオン伝導度は、実施例1および比較例1で、共に1×10−6S/cm程度であり、共に高い値を示した。すなわち、実施例1では、比較例1と同程度の高いLiイオン伝導度を維持しつつ、比較例1よりも硫化水素発生量を大幅に減少できることが確認された。なお、電子伝導度は、実施例1および比較例1で、共に低い値を示した。また、実施例2〜4では、LiSbS構造の含有率が高くなるに従って、硫化水素発生量が減少することが確認された。特に、実施例4では、硫化水素発生量が0(cc/g)であり、実施例4の硫化物固体電解質材料を水に浸漬させても硫化水素の発生は起こらなかった。一方、Liイオン伝導度と硫化水素発生量とのバランスの観点からは、60≦x<75の関係を満たすことが好ましいことが確認された。
[実施例5]
出発原料として、LiSを0.1801g、Pを0.1993g、Sbを0.6206g用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硫化物固体電解質材料を得た。なお、硫化物固体電解質材料の組成は、45(70LiS・30P)・55(50LiS・50Sb)とした。
[実施例6]
出発原料として、LiSを0.1890g、Pを0.2286g、Sbを0.5824g用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硫化物固体電解質材料を得た。なお、硫化物固体電解質材料の組成は、50(70LiS・30P)・50(50LiS・50Sb)とした。
[比較例2]
出発原料として、LiSを0.3254g、Pを0.6746g用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硫化物固体電解質材料を得た。なお、硫化物固体電解質材料の組成は、70LiS−30Pとした。
[評価2]
(ラマン分光測定)
実施例5、6および比較例2で得られた硫化物固体電解質材料を用いて、ラマン分光測定を行った。その結果を図7に示す。図7に示されるように、実施例5、6では、404cm−1付近、418cm−1付近、1050cm−1付近にピークが確認された。1050cm−1付近にピークが存在することから、実施例5、6で得られた硫化物固体電解質材料は、LiSbS構造を有することが確認された。なお、404cm−1付近のピークは、Li構造(Li4個とSP−S−PSとを有する構造)のピークであり、418cm−1付近のピークは、LiPS構造のピークである。これらの結果から、多成分系においても、LiSbS構造が形成されることが確認された。一方、比較例2では、404cm−1付近、418cm−1付近にピークが確認されたが、LiSbS構造を有しないため、1050cm−1付近にピークは確認されなかった。
(Liイオン伝導度および硫化水素発生量の測定)
実施例5、6および比較例2で得られた硫化物固体電解質材料を用いて、Liイオン伝導度および硫化水素発生量を測定した。測定方法は、上述した評価1と同様である。その結果を表1に示す。
Figure 0005110093
表1に示されるように、実施例5および比較例2を比べると、硫化物固体電解質材料がLiSbS構造を有することで、硫化水素発生量が大幅に減少することが確認された。また、Liイオン伝導度は、実施例5および比較例2で大きな差は見られなかった。すなわち、実施例5では、比較例2と同程度の高いLiイオン伝導度を維持しつつ、比較例2よりも硫化水素発生量を大幅に減少できることが確認された。また、実施例6では、LiSbS構造の含有率が高くなることで、硫化水素発生量が減少することが確認された。

Claims (12)

  1. LiSbS構造を有することを特徴とする硫化物固体電解質材料。
  2. 前記硫化物固体電解質材料は、LiSおよびSbを含有するLiS−Sb含有組成物を用いてなるものであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の硫化物固体電解質材料。
  3. 前記LiS−Sb含有組成物が、LiSおよびSbのみを含有することを特徴とする請求の範囲第2項に記載の硫化物固体電解質材料。
  4. 前記LiS−Sb含有組成物に含まれるLiSのモル分率が、75%よりも小さいことを特徴とする請求の範囲第3項に記載の硫化物固体電解質材料。
  5. 前記LiS−Sb含有組成物が、LiSおよびSbに加えて、さらに硫化物材料を含有することを特徴とする請求の範囲第2項に記載の硫化物固体電解質材料。
  6. 前記硫化物材料が、B、P、Si、AlまたはGeの硫化物であることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の硫化物固体電解質材料。
  7. 正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に形成された電解質層とを有するリチウム電池であって、
    前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記電解質層の少なくとも一つが、請求の範囲第1項から第6項までのいずれかに記載の硫化物固体電解質材料を含有することを特徴とするリチウム電池。
  8. 前記電解質層が、前記硫化物固体電解質材料から構成される固体電解質層であることを特徴とする請求の範囲第7項に記載のリチウム電池。
  9. Li元素、Sb元素およびS元素を、LiSbS構造を形成可能な割合で含有する原料組成物を調製する調製工程と、
    メカニカルミリングにより、前記原料組成物から、前記LiSbS構造を有する硫化物固体電解質材料を合成する合成工程と、
    を有することを特徴とする硫化物固体電解質材料の製造方法。
  10. 前記原料組成物が、LiSおよびSbを含有するLiS−Sb含有組成物であることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の硫化物固体電解質材料の製造方法。
  11. 前記LiS−Sb含有組成物が、LiSおよびSbのみを含有することを特徴とする請求の範囲第10項に記載の硫化物固体電解質材料の製造方法。
  12. 前記LiS−Sb含有組成物に含まれるLiSのモル分率が、75%よりも小さいことを特徴とする請求の範囲第11項に記載の硫化物固体電解質材料の製造方法。
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