JP5109773B2 - ロウ付け用シートの製造方法 - Google Patents
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Description
このロウ付け用シートを用いたロウ付け接合によれば、ロウ付け用シートを任意の形状に加工してロウ付け箇所に配置することができるため、部材同士の部分的なロウ付け接合を好適に行うことができる。
そして、このようなロウ付け用シートとしては、急冷法で作られるアモルファスシートが用いられる。
このロウ材ペーストを用いたロウ付け接合によれば、部材の任意の箇所にロウ材ペーストを塗布して熱処理することによって、部材同士をロウ付け接合することができる。
また、ロウ材ペーストは、バインダを含むため、熱処理によりバインダの一部が炭化して残存してしまうという問題を有している。
このようなロウ付け用シートによれば、第1材料及び第2材料を選択することによって、第1材料と第2材料として、アモルファス材料やペースト材料を用いる必要がなくなるため、安価でかつ加工性が良く、さらには加熱によって炭化材料が発生しないロウ付け用シートとすることができる。
この結果、熱処理工程における加熱処理条件(例えば、時間や温度)に応じて、本発明のロウ付け用シート(すなわち、第1材料からなる第1層部材と、該第1層部材の少なくとも一方側の面に固着されると共に第2材料からなる第2層部材とを有するロウ付け用シート)、あるいは全てが第1材料と第2材料との融合材料(すなわち、ロウ材組成の材料)からなるロウ付け用シートを製造することができる。
つまり、本発明のロウ付け用シートの製造方法によれば、安価でかつ加工性が良く、さらにはバインダを使用していないので加熱によって炭化材料が発生しないロウ付け用シートを製造することが可能となる。
この図に示すように、ロウ付け用シートS1は、ニッケル(第1材料)からなるニッケル箔Yと、所望のロウ材組成(例えばBni−5)からニッケル箔Yが含有するニッケルを除いた材料(第2材料)からなると共にニッケル箔Yの一方側の面に固着される固着層X1とから構成されている。なお、ニッケル箔Yの厚みは、任意に設定することがきるが、例えば10〜50μm程度とされる。
このようなロウ付け用シートS1においては、ニッケル箔Yを形成する材料がニッケルであり、固着層X1を形成する材料が所望のロウ材組成(例えばBni−5)からニッケル箔Yが含有するニッケルを除いた材料であるため、ニッケル箔Yと固着層X1とが融合することによってロウ材組成(例えばBni−5)となる。
この表に示すように、例えばニッケル箔Yがロウ付け用シートS1の10wt%(Ni箔10wt%)である場合には、固着層X1を形成する材料における成分の重量割合は、固着層X1全体を100wt%として、ニッケル(Ni)が67.8wt%、クロム(Cr)が21.1wt%、シリコン(Si)が11.1wt%となる。そして、図2に示すように、以下、ニッケル箔Yの重量割合が増加するに連れて、固着層X1を形成する材料におけるニッケルの重量割合が減少する。
しかしながら、このような場合には、ロウ付け用シートS1の厚みがニッケル箔Yの重量割合に依存して決定されてしまう。これに対して、図3に示すパンチ孔(貫通孔)が形成されたニッケル箔Yや図4に示す複数の貫通領域(貫通孔)を有する金網状のニッケル箔Y、または図5に示す凸部(凹凸部)が形成されたニッケル箔Yを用いることによって、ニッケル箔Yの厚みの変化を抑制しながらニッケル箔Yの重量割合を大きく変化させることができる。また、凸部に代えて凹部が形成されていても良い。
したがって、ニッケル箔Yとして、例えば図3〜図5に示されるような加工されたニッケル箔を好適に選択することによって、ロウ付け用シートS1の厚みを任意に設定することが可能となる。
また、後に詳説するが、固着層X1は、固着層X1を形成する材料からなる粉末をニッケル箔Yに圧着させて加熱処理することによって形成される。そして、固着層X1を形成する材料における成分の重量割合によっては、ニッケル箔に圧着することが困難な場合もある。
このため、ニッケル箔Yの厚みを変化させることができないような場合には、ロウ付け用シートS1を図3〜図5に示されるように加工して、ロウ付け用シートS1に対するニッケル箔Yの重量割合を変化させることで、好適な成分の重量割合とされた固着層X1の形成材料を用いることができる。
一例としては、図2に示すNi箔50wt%のニッケル箔Yと、ニッケル(Ni)が58.6wt%、クロム(Cr)が27.1wt%、シリコン(Si)が14.3wt%とされた固着層X1を形成する材料とのみしか手元にない場合には、ニッケル箔Yにパンチ孔を形成してその重量割合を減少させることによって、手元にある固着層X1を形成する材料を用いることができる。
このため、ロウ付け用シートS1のニッケル箔Yと固着層X1との界面を含む領域は、ロウ材組成の融点温度以上に加温されることによって溶融する。そして、ニッケル箔Yと固着層X1との界面を含む領域が溶融することによって、その周囲も溶融する。このため、ロウ付け用シートS1は、ニッケル箔Yと固着層X1とが融合して生成されたロウ材組成の融点以上の温度で加熱することによって、ロウ付け接合に用いることができる。つまり、ニッケル箔Yと固着層X1との融点が、ロウ材組成の融点よりも高い場合であっても、ロウ材組成の融点まで加温すればロウ付け用シートS1を溶融してロウ付け接合を行うことができる。
このようなロウ付け用シートによれば、上述のように、ニッケル箔Yを形成する材料としてニッケルを選択し、固着層X1を形成する材料として所望のロウ材組成からニッケル箔Yが含むニッケルを除いた材料を選択した。これによって、ロウ付け用シートにアモルファス材料やペースト材料を用いる必要がなくなるため、安価でかつ加工性が良く、さらには加熱によって炭化材料が発生しないロウ付け用シートとすることができる。
図6は、ロウ付け用シートの製造装置D1の概略構成図である。この図に示すように、製造装置D1は、ホッパ1と、ベルトフィーダ2と、圧延ローラ3と、プーリ4と、加熱炉5と、回収ローラ6とを備えている。
そして、圧延ローラ3は、圧延ローラ3A,3B間においてニッケル箔Y及び粉末Xを圧着し、これによってニッケル箔Yの一方側の面に、粉末Xからなる粉末層を形成する。
圧延ローラ3Aの周面に供給された粉末Xは、圧延ローラ3Aの回転駆動によって、圧延ローラ3A,3Bの間に供給され、圧延ローラ3A,3Bの間に上方から下方へ挿通されて搬送されるニッケル箔Yの一方側の面に圧着されて配置される(圧着工程)。
そして、本実施形態においては、ニッケル箔Yを加熱する際に、ニッケル箔Yの融点及び粉末Xの融点よりも低い温度で加熱し、その加熱時間を短時間とする。この結果、粉末Xが焼結されて固着層X1が形成される。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ロウ付け用シートが全体としてBni−1〜7の組成を有するように構成することもできる。
このような場合であっても、固着層X1を形成する材料の成分の重量割合は、ロウ付け用シートに求められるロウ材組成から、ニッケル箔Yに含まれるニッケルを除いたものとなる。
そして、例えばロウ付け用シートが全体としてリン銅ロウ材組成を有する場合には、上記ニッケル箔の代わりに銅箔を用い、固着層を形成する材料としてリン銅ロウ材組成から銅箔に含まれる銅を除いた材料を用いることとなる。
また、例えばロウ付け用シートが全体としてアルミニウムロウ材組成を有する場合には、上記ニッケル箔の代わりにアルミニウム箔を用い、固着層を形成する材料としてアルミニウムロウ材組成からアルミニウム箔に含まれるアルミニウムを除いた材料を用いることとなる。
また、例えばロウ付け用シートが全体としてマグネシウムロウ材組成を有する場合には、上記ニッケル箔の代わりにマグネシウム箔を用い、固着層を形成する材料としてマグネシウムロウ材組成からマグネシウム箔に含まれるマグネシウムを除いた材料を用いることとなる。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ニッケル箔Yの両方側の面に各々固着層が形成されていても良い。この場合には、各固着層の厚みは、その合計の厚さが上記実施形態の固着層X1の厚さとなるように設定される。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば圧延ローラによって粉末が圧着されたニッケル箔を切断し、別途バッチ炉(真空炉)にて加熱処理する構成を採用しても良い。
このような場合には、ニッケル板を圧延することによってニッケル箔Yを形成したり、ニッケル粉末を圧延することによってニッケル箔Yを形成することができる。
そして、さらには必要に応じてニッケル箔Yを加工する工程を行っても良い。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、ニッケル箔Yの融点よりも低く粉末Xの融点よりも高い温度で加熱処理しても良い。また、加熱時間を長時間としても良い。
ただし、このような場合には、ニッケル箔Yと粉末X(固着層を形成する材料)との融合が進み、ロウ材組成のみからなるロウ付け用シートが製造される。
このようなロウ材組成のみからなるロウ付け用シートも、上記実施形態のロウ付け用シートと同様に、安価でかつ加工性が良く、さらには加熱によって炭化材料が発生しないロウ付け用シートとなる。
Claims (5)
- 第1材料からなるシート状の第1層部材の少なくとも一方側の面に対して、少なくとも前記第1材料と融合することによってロウ材組成となる第2材料からなる粉末を圧着する圧着工程と、
前記圧着工程にて前記粉末が圧着された前記第1層部材を加熱処理する熱処理工程と
を有することを特徴とするロウ付け用シートの製造方法。 - 前記熱処理工程において、前記第1材料の融点より低く、前記第2材料の融点より高い温度で前記第1層部材を加熱処理することを特徴とする請求項1記載のロウ付け用シートの製造方法。
- 前記熱処理工程において、前記第1材料の融点及び前記第2材料の融点よりも低い温度で前記第1層部材を加熱処理することを特徴とする請求項1記載のロウ付け用シートの製造方法。
- 前記第1材料がニッケルで前記第1層部材がニッケル箔であり、前記第2材料が前記ロウ材組成から前記第1層部材が含有するニッケルを除いた材料からなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のロウ付け用シートの製造方法。
- 前記第1層部材が貫通孔あるいは凹凸部を備えることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のロウ付け用シートの製造方法。
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