JP5109289B2 - 鉛筆芯の製造方法 - Google Patents
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この逆相関関係を改善させようと、様々な材料の使用が試みられている。結合材としては、粘土、天然樹脂、合成樹脂など、種々のものが用いられてきたが、最近ではポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの熱可塑性樹脂、またはフラン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性樹脂を用いる方法が多く提供されている。しかしながら、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの熱可塑性樹脂を用いる製造方法の場合には、樹脂自体の炭化収率が低く骨格形成に時間がかかるために、昇温速度の早い熱処理では得られる鉛筆芯の寸法安定性や曲げ強さが低くなってしまう。したがって、室温から約300℃前後までの間を10〜30℃/時間という極めてゆっくりとした昇温速度で加熱して、焼成前に溶剤、可塑剤などを揮散させる不溶不融化処理が必要となる。また、フラン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いる製造方法の場合には、樹脂自体の炭化収率が高く骨格形成が早いために、昇温速度の早い熱処理でも得られる鉛筆芯の寸法安定性や曲げ強さは高いので、前記の熱可塑性樹脂のようなゆっくりとした加熱処理は必要ない。しかしながら、熱硬化性樹脂には通常は樹脂を硬化させるための硬化剤が必要であり、その硬化剤が作用する温度になると急激な硬化反応が始まり、混練などの作業が充分にできなくなってしまうことがあるため、混練工程や押出成形工程などの熱がかかる工程においては材料の温度管理に熟練を要するといった欠点がある。その急激な硬化反応を抑制するために硬化剤を希釈して使用する方法(特許文献1)が提案されている。
本発明は、結合材の一部としてレゾール型フェノール樹脂を使用することにより、従来よりも早い昇温速度の熱処理を施したとしても結合材の性能を充分に発揮させることができ、寸法安定性や曲げ強さに優れた鉛筆芯を得ることを可能にするものである。即ち、本発明は、熱処理時間が早くても寸法安定性に優れ、また、曲げ強さと濃度とのバランスに優れた鉛筆芯を提供することを目的とする。
即ち、本発明で使用するレゾール型フェノール樹脂は、硬化剤が不要で加熱処理のみで硬化する熱硬化性樹脂であるため、硬化剤を必要とするフラン樹脂のように硬化剤が作用する極めて短い温度領域での急激な硬化反応がなく、加熱温度の上昇に従って約150℃前後から硬化するため、混練工程や押出成形工程などの熱がかかる工程においても材料の温度管理が非常に簡便であり、50〜60℃前後での長時間熱処理といったことも必要としない。また、レゾール型フェノール樹脂の硬化する温度は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの熱可塑性樹脂が熱分解を開始する温度よりも低く、その硬化により3次元網目構造を形成し熱変形を起こしにくくなる。そして、樹脂自体の炭化収率が高いことと相まって、併用する結合材として、ゆっくりとした昇温速度の熱処理が必要な熱可塑性樹脂を選択し、従来よりも早い昇温速度の熱処理を施したとしても、レゾール型フェノール樹脂が硬化し成形物の骨格が形成された後に熱可塑性樹脂の熱分解が始まるため、成形物の寸法安定性を低下させることがなく、得られる鉛筆芯の寸法安定性が極めて高いものとなるのである。更に、硬化前の樹脂の分子量が一般に300〜1000程度と低いため、黒鉛、タルクなどの体質材との親和性に極めて富み、それらとの接着性が高く、また、熱可塑性樹脂に比べて耐衝撃性に優れる炭化物となるので、従来よりも早い昇温速度の熱処理を施したとしても曲げ強さが低下することがないのである。そして、熱硬化性樹脂の硬化剤として一般的に用いられているヘキサメチレンテトラミンは、有害汚染物質であるホルムアルデヒドの発生源となるため、その硬化剤が不要なレゾール型フェノール樹脂の選択は近年の環境問題を考慮した場合、非常に好ましい選択と言えるのである。
フェノール樹脂は、フェノールやクレゾール、レゾシノールなどのフェノール性水酸基を有する化合物にホルマリンなどのアルデヒド類を付加させて得られ、大きく分けてノボラック型とレゾール型の2種類がある。ノボラック型は酸性触媒で反応させたもので、それだけでは反応性がなく硬化剤と共に加熱することにより反応が進み硬化に至るもので、レゾール型はアルカリ触媒で反応させたもので、加熱することにより反応が進みノボラック型と同様に硬化至るものである。
本発明で使用するレゾール型フェノール樹脂の、既に上市されている具体的な市販品としては、大日本インキ化学工業(株)製のPZシリーズ、PEシリーズ、住友ベークライト(株)製のPRシリーズ、昭和高分子(株)製のショウノールシリーズ、旭有機材工業(株)製のHP3000Aなどが例示できる。これらは単独で用いても良く、また、2種以上を併用することもできる。このレゾール型フェノール樹脂の使用量は、使用する結合材全量に対して5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%にしておくと概ね良好である。5重量%未満の使用量であると、その効果が発現されにくく、また、50重量%を超えると、樹脂自体の炭化収率が高いために体質材に対する比率と体質材との接着性が高くなり過ぎ、鉛筆芯としての筆記時に体質材が芯体から脱離しにくくなることで、筆跡濃度が薄くなってしまうためである。
レゾール型フェノール樹脂以外の結合材として、その他の熱硬化性樹脂を併用する場合には、その合計量が、使用する結合材全量に対して50重量%を超えると、前述したように、樹脂自体の炭化収率が高いために体質材に対する比率と体質材との接着性が高くなり過ぎるため、50重量%を超えないことが好ましい。
また、結合材全量に対するレゾール型フェノール樹脂の使用割合が高いほど、熱処理時の昇温速度を早くしても鉛筆芯の寸法安定性は高いものとなるが、使用割合が比較的高い場合には、併用する結合材として、ポリ塩化ビニル樹脂やポリ酢酸ビニル樹脂のように炭化収率の比較的低い熱可塑性樹脂を選択した方が、曲げ強さと濃度とのバランスに優れた鉛筆芯を得ることができる。
更に、必要に応じて、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリクレジル、ジプロピレングリコールジベンゾエート、アジピン酸ジオクチル、プロピオンカーボネートなどの可塑剤、カーボンブラック、無定形シリカなどの充填材、ステアリン酸塩などの安定剤、ステアリン酸などの滑材、メチルエチルケトン、水などの溶剤などを適宜併用できる。
<実施例1>
PZ−9000(大日本インキ化学工業(株)製の、レゾール型フェノール樹脂)
10重量部
ポリ塩化ビニル樹脂(結合材) 40重量部
黒鉛(体質材) 75重量部
ジオクチルフタレート(可塑剤) 25重量部
ステアリン酸塩(安定剤) 2重量部
ステアリン酸(滑材) 1重量部
カーボンブラック(充填材) 2重量部
メチルエチルケトン(溶剤) 50重量部
上記材料をヘンシェルミキサーによる混合処理、3本ロールによる混練処理をした後、細線状に押出成形処理を施した。これらの処理において、110℃前後の熱がかかったが、材料の温度管理に特別な注意は必要なく、材料の硬化が起こることもなかった。次に、細線状物を空気中で室温から300℃まで約5時間かけて昇温し、300℃で約1時間保持する加熱処理をし、更に、密閉容器中で1000℃を最高とする焼成処理を施し、冷却後、流動パラフィンを含浸させて、呼び径0.5のシャープペンシル用芯を得た。
実施例1において、PZ−9000の使用量を1.5重量部、ポリ塩化ビニル樹脂の使用量を48.5部に変えた以外、すべて実施例1と同様にして、呼び径0.5のシャープペンシル用芯を得た。
実施例1において、PZ−9000の使用量を3重量部、ポリ塩化ビニル樹脂の使用量を47部に変えた以外、すべて実施例1と同様にして、呼び径0.5のシャープペンシル用芯を得た。
実施例1において、PZ−9000の使用量を23.5重量部、ポリ塩化ビニル樹脂の使用量を26.5部に変えた以外、すべて実施例1と同様にして、呼び径0.5のシャープペンシル用芯を得た。
実施例1において、PZ−9000の使用量を26.5重量部、ポリ塩化ビニル樹脂の使用量を23.5部に変えた以外、すべて実施例1と同様にして、呼び径0.5のシャープペンシル用芯を得た。
実施例1において、PZ−9000をHP3000A(旭有機材工業(株)製の、レゾール型フェノール樹脂)に変えた以外、すべて実施例1と同様にして、呼び径0.5のシャープペンシル用芯を得た。
実施例1において、ポリ塩化ビニル樹脂40重量部をポリ酢酸ビニル樹脂30重量部とエンパラ70(味の素ファインテクノ(株)製の、塩素化パラフィン樹脂)10重量部に変えた以外、すべて実施例1と同様にして、呼び径0.5のシャープペンシル用芯を得た。
実施例1において、PZ−9000を使用せずに、ポリ塩化ビニル樹脂を50重量部にした以外、すべて実施例1と同様にして、呼び径0.5のシャープペンシル用芯を得た。得られた鉛筆芯には所々に膨れが発生していた。
比較例1において、室温から300℃までの熱処理を、比較例1に比べて2倍の約10時間かけて昇温した以外、すべて実施例1と同様にして、呼び径0.5のシャープペンシル用芯を得た。得られた鉛筆芯には膨れは発生していなかった。
実施例1において、PZ−9000をSP241DK(旭有機材工業(株)製の、ノボラック型フェノール樹脂)に変えて、その硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン1重量部を使用した以外、すべて実施例1と同様にして、呼び径0.5のシャープペンシル用芯を得た。110℃前後の熱がかかった材料の混練作業の途中からフェノール樹脂の硬化が一部で始まったため、その後の押出成形において芯の押出し安定性が極めて低下した。得られた鉛筆芯には膨れの発生はなかったが、いびつ形状のものが多かった。
Claims (3)
- 少なくとも結合材と体質材とを主材として使用し、混練した原材料を細線状に押出成形後、焼成処理を施してなる鉛筆芯の製造方法において、前記結合材の一部としてレゾール型フェノール樹脂を使用し、レゾール型フェノール樹脂以外の結合材が、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、塩素化パラフィン樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ブチルゴム、粘土から選ばれる1種もしくは2種以上である鉛筆芯の製造方法。
- 前記レゾール型フェノール樹脂が、結合材中の5重量%以上50重量%以下である請求項1に記載の鉛筆芯の製造方法。
- 少なくとも結合材と体質材とを主材として使用し、混練した原材料を細線状に押出成形後、焼成処理を施してなる鉛筆芯の製造方法において、前記結合材中の5重量%以上50重量%以下のレゾール型フェノール樹脂を使用する鉛筆芯の製造方法。
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