JP5108162B1 - 積層インダクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】軟磁性合金を磁性材料として用い、高透磁率であって、信頼性が高く導通不良の少ない積層インダクタの提供。
【解決手段】Fe−Si−M系軟磁性合金粒子で形成された複数の磁性体層10と、Ag含有材料からなる複数のコイル及び中継セグメント21、22とを有し、軟磁性合金粒子の周囲の少なくとも一部には前記軟磁性合金が酸化してなる酸化被膜が存在し、コイルセグメント21および中継セグメント22は電気的に一体化した内部導体20を構成し、内部導体20の周辺の磁性体層10中にAg粒子30及び/又は軟磁体層19に内部導体20から伸びたAgからなる凸状部31が存在するAg拡散領域11が存在し、前記コイルセグメント21に挟まれた磁性体層10中にAg不存在領域12が存在し、隣接する軟磁性合金粒子間には酸化被膜を介する結合部および金属部分どうしの結合部が存在する積層インダクタ。
【選択図】図1

Description

本発明は積層インダクタに関する。
従来より、積層インダクタの製造方法の一つとして、フェライト等を含有するセラミックグリーンシートに内部導体パターンを印刷し、これらのシートを積層し、焼成する方法が知られている。
特許文献1には、鉄(Fe)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)を主成分とする合金粉末と結着剤からなる混合物を圧縮成形後、酸化性雰囲気中で熱処理する複合磁性材料の製造方法が開示されている。
特許文献2には、セラミック積層体の積層面に平行に複数の帯状導体が設けられ、セラミック積層体を挟んだ2以上の帯状導体の端部を接続する複数のバイアホールからなる接続導体によって、コイル導体がセラミック積層体内に構成されてなる、積層コイル部品が開示されている。
特許文献3には、金属磁性体粒子と熱硬化性樹脂を含有する金属磁性体ペーストを用いて形成された金属磁性体層と、導体ペーストを用いて形成された導体パターンとを積層し、得られる積層体内にコイルが形成されてなる積層型電子部品の製造方法が開示されている。
近年、積層インダクタには大電流化(定格電流の高値化を意味する)が求められており、該要求を満足するために、磁性体の材質を従前のフェライトから軟磁性合金に切り替えることが検討されている。軟磁性合金として提案されるFe−Cr−Si合金やFe−Al−Si合金は、材料自体の飽和磁束密度がフェライトに比べて高い。
特開2001−11563号公報 特開2005−259878号公報 特開2007−27353号公報
フェライトに代えて軟磁性合金からなる磁性体層を有する積層インダクタは上述のとおり大電流化の要求に応え得るが、その反面、得られる積層インダクタにおける導通不良率が高くなる傾向にある。本発明は軟磁性合金を磁性材料として用い、透磁率を高めて、高いL値を呈し、デバイスの小型化にも対応できる積層インダクタを提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、以下の特徴を有する積層インダクタの発明を完成した。
本発明の積層インダクタは、Fe−Si−M系軟磁性合金(但し、MはFeより酸化し易い金属元素である。)で形成された複数の磁性体層と、Ag含有材料からなる複数のコイルセグメントと、Ag含有材料からなる中継セグメントとを有する。軟磁性合金粒子の周囲の少なくとも一部には前記軟磁性合金が酸化してなる酸化被膜が存在する。この磁性体層には隣接する軟磁性合金粒子の周囲に形成された酸化被膜を介しての結合部および酸化被膜が存在しない金属部分における軟磁性合金粒子どうしの結合部が存在する磁性体層とコイルセグメントとは交互に積層された積層構造を構成する。中継セグメントは磁性体層を貫通してコイルセグメント間を導通するように形成され、コイルセグメントおよび中継セグメントは電気的に一体化した内部導体を構成する。個々の磁性体層はコイルセグメントに接するAg拡散領域とAg拡散領域からみてコイルセグメントとは反対側に位置するAg不存在領域とを有する。Ag拡散領域には(A)前記内部導体の周辺の磁性体層中にあるAg粒子、及び/又は(B)前記軟磁体層に内部導体から伸びたAgからなる凸状部が存在する。
好適には、Ag拡散領域の厚さが1μm以上である。また、好適には、Ag不存在領域の厚さが3μm以上である。
本発明によれば、Ag粒子が内部導体の近傍の磁性体層中に存在し、及び/又は、前記軟磁体層に内部導体から伸びたAgからなる凸状部が存在しているため、ヒートサイクルに供したときであっても内部導体と磁性体層との間に熱膨張差が生じにくく、内部導体と磁性体層との密着性があがり、結果的に導通不良が軽減する。また、磁性体層においては酸化被膜による結合と金属部分どうしの結合との共存により、絶縁性および機械的強度を高レベルで両立することができる。好適態様においては、軟磁性合金粒子の周囲にある酸化被膜が大きな凹凸を有しており、Agのマイグレーションが抑制され、耐湿負荷をかけても信頼性が低下しにくい。
積層インダクタの模式断面図である。 積層インダクタの模式的な分解図である。
以下、図面を適宜参照しながら本発明を詳述する。但し、本発明は図示された態様に限定されるわけでなく、また、図面においては発明の特徴的な部分を強調して表現することがあるので、図面各部において縮尺の正確性は必ずしも担保されていない。
図1(a)は積層インダクタの模式的な断面図である。図1(b)は図1(a)の部分拡大図である。本発明の対象である積層インダクタ1は、内部導体20の大部分が磁性体部(磁性体層10の積層体)の中に埋没している構造を有する。典型的には、内部導体20は螺旋状に形成されたコイルであり、その他、渦巻き状のコイル、ミアンダ(蛇行)状の導線、あるいは直線状の導線等が挙げられる。
内部導体20はコイルセグメント21と中継セグメント22とを有する。コイルセグメント21と磁性体層10とは交互に積層された積層構造を構成する。中継セグメント22は磁性体層10を貫通するように形成されている。中継セグメント22は複数のコイルセグメント21どうしを導通するように形成されている。図2は典型的な積層インダクタの模式的な分解図である。図示された態様では、内部導体20は、コイルセグメントCS1〜CS5と、このコイルセグメントCS1〜CS5を接続する中継セグメントIS1〜IS4とが、螺旋状に一体化したコイルの構造を有しており、コイルセグメントCS1〜CS4はコ字状を成し、コイルセグメントCS5は帯状を成しており、各中継セグメントIS1〜IS4は磁性体層ML1〜ML4を貫通した柱状を成している。
本発明によれば、コイルセグメント21と中継セグメント22とはAg含有材料からなる。Ag含有材料は、典型的には、他の金属を実質的に含まぬAg、換言すれば他の金属を積極的には加えないAgである。別の実施態様では、100重量部のAgと50重量部以下の他の金属との混合物や合金であってもよく、前記他の金属としては、Au、Cu、Pt、Pdなどが非限定的に例示される。
コイルセグメント21と中継セグメント22のAg含有材料の粒子径は特に限定無く、好ましくは、1〜10μmである。粒子径は、コイルセグメント21や中継セグメント22の断面のSEM像を取得して測定する。ここで、原材料としてのAg含有材料(粉末)の粒子サイズは、コイルセグメント21や中継セグメント22を構成するAg含有材料の粒子サイズと概ね等しいことが分かっている。よって、所望の粒子径をもつAg含有材料からなるコイルセグメント21や中継セグメント22を得るためには、そのような粒子径をもつ原料粒子を使用すればよい。
図1(b)は、2つのコイルセグメント21とそれらに挟まれる磁性体層10との模式的な拡大図である。図1(a)とは異なり、図1(b)では磁性体層10を示すハッチングの表記を省略している。本発明によれば、内部導体20の周辺の磁性体層10中にAg粒子30、及び/又は、軟磁体層10に内部導体20から伸びたAgからなる凸状部31、が存在している。このように、Ag粒子30、及び/又は、内部導体20から伸びたAgからなる凸状部31、が存在している領域をAg拡散領域11と呼ぶ。図示された態様では、Ag拡散領域11には上記Ag粒子30と凸状部31の両方が存在している。Ag粒子30は、好ましくは、内部導体20の周辺の磁性体層10中の軟磁性合金粒子間に不連続的に存在するAgからなる。凸状部31は、好ましくは、内部導体20から内部導体20の周辺の磁性体層10中の軟磁性合金粒子間まで連続的に存在するAgからなる。図1(b)では内部導体20の一部としてコイルセグメント21が描写されているが、中継セグメントの近傍にもAg粒子、及び/又は、中継セグメントから伸びたAgからなる凸状部、が存在することが好ましい。このAg粒子30や凸状部31は例えば内部電極20を構成するAg含有材料に由来するものである。典型的には、内部導体20を構成するAg含有材料からAgが「拡散」して、Ag粒子30や凸状部31が存在するに至ったものである。
ここで、上記「拡散」について以下詳述する。
磁性体層10は軟磁性合金粒子が多数集積して形成されている。そして、軟磁性合金粒子の間には空隙が形成されている。内部導体20の周辺の磁性体層10にも空隙が存在する。内部導体20を構成するAgの一部は、周辺の磁性体層10の空隙に入り込む。このような状態をここでは「拡散」と呼ぶことにする。
Ag粒子30、及び/又は、凸状部31が存在することにより、ヒートサイクル時の内部導体20と磁性体層10との間に熱膨張差が生じにくく、内部導体20と磁性体層10との密着性があがり、結果的に導通不良が軽減する。磁性体層10中において、Ag拡散領域11が存在することは、例えば、積層インダクタ1の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影して、その後、エネルギー分散型X線分析(EDS)によるZAF法で化学組成を求めることにより確認することができる。Ag粒子30の大きさ(球相当径)は特に限定なく、好ましくは1〜10μmである。Ag粒子30は磁性体層10を構成する軟磁性合金粒子どうしの間の空隙を占めることが好ましい。Ag粒子30は個々の軟磁性合金粒子の周囲にある酸化被膜(図示せず)の中に存在していてもよい。
本発明によれば、コイルセグメント21に挟まれた磁性体層10中にAg不存在の層状領域(以下、「Ag不存在領域」ともいう。)12が存在する。当該領域12は、図1(b)に模式的に記載されるように、内部導体20そのものの一部であるAgも、内部導体20から離れて磁性体層10中にあるAg粒子30も、上述の凸状部31も、いずれも存在しない層状の領域を意味する。このようなAg不存在領域12が存在することは、Agの拡散が磁性体層10の全域にわたっているわけではないことを意味しており、そのため、不所望な初期層間短絡が生じにくくなる。
図中、点線で示されるように、コイルセグメント21と磁性体層10との平均的な境界を平面として定め、さらに、前記平面と略平行になるように、Ag拡散領域とAg不存在領域12の境界はコイルセグメント21と略平行になるように定める。図示されるように、Ag拡散領域12を挟んで両側にコイルセグメント21とAg不存在領域とが存在する層構造が構成される。Ag拡散領域11の層の厚さは好ましくは1μm以上であり、厚さの上限値は特に限定は無く、好ましくは15μmである。Ag不存在領域12の層の厚さは好ましくは3μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、厚さ上限値は特に限定は無く、好ましくは25μmである。
本発明によれば、積層インダクタ1では、軟磁性合金粒子が多数集積して所定形状の磁性体部を構成している。磁性体部は、コイルセグメント21によって分断された磁性体層10の集合であると評価することができ、同時に、磁性体層10とコイルセグメント21とが積層構造を構成していると評価することができる。個々の軟磁性合金粒子はその周囲の少なくとも一部、好ましくは概ね全体にわたって酸化被膜が形成されていて、この酸化被膜により磁性体部の絶縁性が確保される。隣接する軟磁性合金粒子どうしは、概ね、それぞれの軟磁性合金粒子がもつ酸化被膜を介して結合することにより、一定の形状を有する磁性体部を構成している。酸化被膜は好ましくは軟磁性合金粒子それ自身が酸化してなる被膜である。部分的には、隣接する軟磁性合金粒子の金属部分どうしが結合している。また、内部導体20の近傍では、主に上記酸化被膜を介して、軟磁性合金粒子と内部導体20とが密着している。軟磁性合金粒子は好ましくはFe−M−Si系合金(但し、Mは鉄より酸化し易い金属である。)からなり、その場合、酸化被膜は好ましくはこの軟磁性合金が酸化してなるものであって磁性体であるFe34と、非磁性体であるFe23及びMO(xは金属Mの酸化数に応じて決まる値である。)を少なくとも含むことが確認されている。
上述の酸化被膜を介した結合の存在は、例えば、約3000倍に拡大したSEM観察像などにおいて、隣接する軟磁性合金粒子が有する酸化被膜が同一相であることを視認することなどで、明確に判断することができる。酸化被膜を介した結合の存在により、積層インダクタ1における機械的強度と絶縁性の向上が図られる。また、酸化被膜は通常は凹凸が比較的大きいので、Agのマイグレーションが抑制され、耐湿性が向上する。積層インダクタ1の全体にわたって、隣接する軟磁性合金粒子が有する酸化被膜を介して結合していることが好ましいが、一部でも結合していれば、相応の機械的強度と絶縁性の向上が図られ、そのような形態も本発明の一態様であるといえる。
同様に、上述の軟磁性合金粒子の酸化被膜が存在しない金属部分どうしの結合についても、例えば、約3000倍に拡大したSEM観察像などにおいて、隣接する軟磁性合金粒子どうしが同一相を保ちつつ結合点を有することを視認することなどにより、金属部分どうしの結合の存在を明確に判断することができる。軟磁性合金粒子どうしの結合の存在により透磁率のさらなる向上が図られる。ここで、「酸化被膜が存在しない金属部分どうしの結合部」とは、隣接する合金粒子がそれらの金属部分にて直接に接触している部分のことを意味し、例えば、厳密な意味での金属結合や、金属部分どうしが直接に接触して原子の交換が見られない態様や、それらの中間的な態様をも含む概念である。厳密な意味での金属結合とは、「原子が規則的にならんでいる」等の要件を充足することを意味する。
なお、隣接する軟磁性合金粒子が、酸化被膜を介した結合も、軟磁性金属粒子どうしの結合もいずれも存在せず単に物理的に接触又は接近するに過ぎない形態が部分的にあってもよい。
Ag拡散領域とAg不拡散領域と酸化被膜を介した結合と金属粒子どうしの結合が共存することによりはじめて発現する本発明の作用・効果として、以下のようなものが挙げられる。Agの密着性は、ただ磁性合金粒子の空隙中に拡散するだけでなく、そこで磁性合金と接着することによって高められる。酸化被膜を介した結合箇所においては、Agはその粒子間にまで入り込むことはないが、金属粒子どうしの結合部分においては、Agが粒子間に入り込みつつ、Agと粒子どうしの反応(原子レベル拡散や合金化)や相互の延性変形接着が進むことにより密着性が上がる。これによりヒートサイクル後の導通性が向上する。さらに金属どうしの結合を生じさせることにより透磁率が向上する。
ここで、磁性体部10における個々の軟磁性合金粒子の粒子径は特に限定無く、典型的には、2〜20μmであり、より好ましくは3〜10μmである。粒子径は、磁性体部10の断面のSEM像を取得して測定する。軟磁性合金粒子を用いる積層インダクタ1においては、原料粒子としての軟磁性合金粒子の粒子サイズは、積層インダクタ10の磁性体部を構成する軟磁性合金粒子の粒子サイズと概ね等しいことが分かっている。よって、所望の粒子径をもつ軟磁性合金粒子からなる磁性体部10を得るためには、そのような粒子径をもつ原料粒子を使用すればよい。
積層インダクタ1において、内部導体20の両端は、典型的には、それぞれ引出導体(図示せず)を介して積層インダクタ1の外表面の相対向する端面に引き出され、外部端子(図示せず)に接続される。外部端子の構造や接続様式については従来技術を適宜援用することができる。
以下、本発明に係る積層インダクタ1の典型的かつ非限定的な製造方法を説明する。積層インダクタ1の製造にあたっては、まず、ドクターブレードやダイコータ等の塗工機を用いて、予め用意した磁性体ペースト(スラリー)を、樹脂等からなるベースフィルムの表面に塗工する。これを熱風乾燥機等の乾燥機で乾燥してグリーンシートを得る。上記磁性体ペーストは、軟磁性合金粒子と、典型的には、バインダとしての高分子樹脂と、溶剤とを含む。
軟磁性合金粒子は、主として合金からなる軟磁性を呈する粒子である。合金の種類としては、Fe−M−Si系合金(但し、Mは鉄より酸化し易い金属である。)が挙げられる。Mとしては、Cr、Alなどが挙げられ、好ましくはCrである。軟磁性合金粒子としては、例えばアトマイズ法で製造される粒子が挙げられる。
MがCrである場合、つまり、Fe−Cr−Si系合金におけるクロムの含有率は、好ましくは2〜8wt%である。クロムの存在は、熱処理時に不動態を形成して過剰な酸化を抑制するとともに強度および絶縁抵抗を発現する点で好ましく、一方、磁気特性の向上の観点からはクロムが少ないことが好ましく、これらを勘案して上記好適範囲が提案される。
Fe−Cr−Si系軟磁性合金におけるSiの含有率は、好ましくは1.5〜7wt%である。Siの含有量が多ければ高抵抗・高透磁率という点で好ましく、Siの含有量が少なければ成形性が良好であり、これらを勘案して上記好適範囲が提案される。
Fe−Cr−Si系合金において、SiおよびCr以外の残部は不可避不純物を除いて、鉄であることが好ましい。Fe、SiおよびCr以外に含まれていてもよい金属としては、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、銅などが挙げられ、非金属としてはリン、硫黄、カーボンなどが挙げられる。
積層インダクタ1における各々の軟磁性合金粒子を構成する合金については、例えば、積層インダクタ1の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影して、その後、エネルギー分散型X線分析(EDS)によるZAF法で化学組成を算出することができる。
上述の磁性体ペーストには、好適にはバインダとしての高分子樹脂が含まれる。高分子樹脂の種類は特に限定はなく、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。磁性体ペーストの溶剤の種類は特に限定はなく、例えば、ブチルカルビトール等のグリコールエーテルなどを用いることができる。磁性体ペーストにおける軟磁性合金粒子、高分子樹脂、溶剤などの配合比率などは適宜調節することができ、それによって、磁性体ペーストの粘度などを設定することも可能である。
磁性体ペーストを塗工および乾燥してグリーンシートを得るための具体的な方法は従来技術を適宜援用することができる。
次いで、打ち抜き加工機やレーザ加工機等の穿孔機を用いて、グリーンシートに穿孔を行ってスルーホール(貫通孔)を所定配列で形成する。スルーホールの配列については、各シートを積層したときに、導体を充填したスルーホール(即ち、中継セグメント22)とコイルセグメント21とで内部導体20が形成されるように設定される。内部導体を形成するためのスルーホールの配列およびコイルセグメント形成のための導体パターンの形状については、従来技術を適宜援用することができ、また、後述の実施例において図面を参照しながら具体例が説明される。
スルーホールに充填するため、および、導体パターンの印刷のために、好ましくは導体ペーストが使用される。導体ペーストにはAg含有材料と、典型的にはバインダとしての高分子樹脂と溶剤とが含まれる。
導体ペーストには、好適にはバインダとしての高分子樹脂が含まれる。高分子樹脂の種類は特に限定はなく、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。導体ペーストの溶剤の種類は特に限定はなく、例えば、ブチルカルビトール等のグリコールエーテルなどを用いることができる。導体ペーストにおけるAg含有材料、高分子樹脂、溶剤などの配合比率などは適宜調節することができ、それによって、導体ペーストの粘度などを設定することも可能である。
次いで、スクリーン印刷機やグラビア印刷機等の印刷機を用いて、導体ペーストをグリーンシートの表面に印刷し、これを熱風乾燥機等の乾燥機で乾燥して、コイルセグメントに対応する導体パターンを形成する。印刷の際に、上述のスルーホールにも導体ペーストの一部が充填される。その結果、スルーホールに充填された導体ペーストと、印刷された導体パターンとが内部導体20の形状を構成することになる。
印刷後のグリーンシートを、吸着搬送機とプレス機を用いて、所定の順序で積み重ねて熱圧着して積層体を作製する。金属部分どうしの結合が形成しやすくするとともに比抵抗を高めるようにする観点から、この熱圧着における圧力は好ましくは4〜10ton/cmである。続いて、ダイシング機やレーザ加工機等の切断機を用いて、積層体を部品本体サイズに切断して、加熱処理前の磁性体部及び内部導体を含む、加熱処理前チップを作製する。
焼成炉等の加熱装置を用いて、大気等の酸化性雰囲気中で、加熱処理前チップを加熱処理する。熱処理雰囲気は、酸化雰囲気であれば特に限定されず、生産面から考慮すると大気あるいは乾燥空気が望ましい。内部導体用のパターンからAgを磁性体層中に拡散させて、上述のAg粒子30や凸状部31を存在させやすくし、同時にAg不存在領域を確保する観点から、昇温過程において好ましくは300〜600℃にて、1〜600分間、より好ましくは60〜600分間保持し、その後、さらに温度を上げる。最高温度は、好ましくは600℃以上であり、より好ましくは700〜900℃であり、最高温度において好ましくは、より詳細には0.5〜3時間保持することが望ましい。
加熱処理前チップにあっては、個々の軟磁性合金粒子どうしの間に、多数の微細間隙が存在し、通常、該微細間隙は溶剤とバインダとの混合物で満たされている。これら混合物は昇温過程に消失し、該微細間隙はポアに変わる。上記最高温度に近い高温域では、軟磁性合金粒子が密集して磁性体部ができ、典型的には、その際に、軟磁性合金粒子それぞれの表面に酸化被膜が形成される。このとき、Ag含有材料が焼結して内部導体20が形成される。これにより積層インダクタ1が得られる。このようにして得られる積層インダクタにおける磁性体層10の透磁率は好ましくは25〜45である。
通常は、加熱処理の後に外部端子を形成する。ディップ塗布機やローラ塗布機等の塗布機を用いて、予め用意した導体ペーストを積層インダクタ1の長さ方向両端部に塗布し、これを焼成炉等の加熱装置を用いて、例えば、約600℃、約1hrの条件で焼付け処理を行うことにより、外部端子が形成される。外部端子用の導体ペーストは、上述した導体パターンの印刷用のペーストや、それに類似したペーストを適宜用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に記載された態様に限定されるわけではない。
[積層インダクタの具体構造]
本実施例で製造した積層インダクタ1の具体構造例を説明する。部品としての積層インダクタ1は長さが約3.2mmで、幅が約1.6mmで、高さが約1.0mmで、全体が直方体形状を成している。
図2は積層インダクタの模式的な分解図である。内部導体が形成されている領域の磁性体部は、計5層の磁性体層ML1〜ML5が一体化した構造を有する。内部導体が形成される領域を挟むように上部カバー領域および下部カバー領域が存在し、上部カバー領域は8層の磁性体層ML6が一体化した構造を有する。下部カバー領域は7層の磁性体層ML6が一体化した構造を有する。積層インダクタ1の長さは約3.2mm、幅は約1.6mm、高さは約1.0mmである。各磁性体層ML1〜ML6の長さは約3.2mmで、幅は約1.6mmである。各磁性体層ML1〜ML6は、軟磁性合金粒子である表1記載の組成をもつ軟磁性合金粒子を主体として成形されてなり、ガラス成分を含んでいない。
内部導体20は、計5個のコイルセグメントCS1〜CS5と、該コイルセグメントCS1〜CS5を接続する計4個の中継セグメントIS1〜IS4とが、螺旋状に一体化したコイルの構造を有する。この内部導体20は、銀粒子を熱処理して得られ、原料として用いた銀粒子の体積基準のd50は5μmである。Ag粒子のd50は、レーザ回折散乱法を利用した粒子径・粒度分布測定装置(例えば、日機装(株)製のマイクロトラック)を用いて測定した。なお比較例4と比較例8では銀粒子の代わりに銅粒子を使用した。比較例4と比較例8については、以下の記載において、Ag粒子の代わりに銅粒子を用いている。
4個のコイルセグメントCS1〜CS4はコ字状を成し、1個のコイルセグメントCS5は帯状を成しており、各コイルセグメントCS1〜CS5の厚さは約20μmで、幅は約0.2mmである。最上位のコイルセグメントCS1は、外部端子との接続に利用されるL字状の引出部分LS1を連続して有し、最下位のコイルセグメントCS5は、外部端子との接続に利用されるL字状の引出部分LS2を連続して有している。各中継セグメントIS1〜IS4は磁性体層ML1〜ML4を貫通した柱状を成しており、各々の口径は約15μmである。
各外部端子(図示せず)は、積層インダクタ1の長さ方向の各端面と該端面近傍の4側面に及んでおり、その厚さは約20μmである。一方の外部端子は最上位のコイルセグメントCS1の引出部分LS1の端縁と接続し、他方の外部端子は最下位のコイルセグメントCS5の引出部分LS2の端縁と接続している。これら外部端子は、主として体積基準のd50が5μmである銀粒子を熱処理して得た。銀粒子のd50は、レーザ回折散乱法を利用した粒子径・粒度分布測定装置(例えば、日機装(株)製のマイクロトラック)を用いて測定した。
[積層インダクタの製造]
レーザ回折散乱法を利用した粒子径・粒度分布測定によるd50が10μmであって表1記載の組成の軟磁性合金粒子85wt%、ブチルカルビトール(溶剤)が13wt%、ポリビニルブチラール(バインダ)2wt%からなる磁性体ペーストを調製した。ドクターブレードを用いて、この磁性体ペーストをプラスチック製のベースフィルムの表面に塗工し、これを熱風乾燥機で、約80℃、約5minの条件で乾燥した。このようにしてベースフィルム上にグリーンシートを得た。その後、グリーンシートをカットして、磁性体層ML1〜ML6(図2を参照)に対応し、且つ、多数個取りに適合したサイズの第1〜第6シートをそれぞれ得た。
続いて、穿孔機を用いて、磁性体層ML1に対応する第1シートに穿孔を行い、中継セグメントIS1に対応する貫通孔を所定配列で形成した。同様に、磁性体層ML2〜ML4に対応する第2〜第4シートそれぞれに、中継セグメントIS2〜IS4に対応する貫通孔を所定配列で形成した。
続いて、印刷機を用いて、上記Ag粒子が85wt%で、ブチルカルビトール(溶剤)が13wt%で、ポリビニルブチラール(バインダ)が2wt%からなる導体ペーストを上記第1シートの表面に印刷し、これを熱風乾燥機で、約80℃、約5minの条件で乾燥して、コイルセグメントCS1に対応する第1印刷層を所定配列で作製した。同様に、上記第2〜第5シートそれぞれの表面に、コイルセグメントCS2〜CS5に対応する第2〜第5印刷層を所定配列で作製した。
第1〜第4シートそれぞれに形成した貫通孔は、第1〜第4印刷層それぞれの端部に重なる位置に存するため、第1〜第4印刷層を印刷する際に導体ペーストの一部が各貫通孔に充填されて、中継セグメントIS1〜IS4に対応する第1〜第4充填部が形成される。
続いて、吸着搬送機とプレス機を用いて、印刷層及び充填部が設けられた第1〜第4シートと、印刷層のみが設けられた第5シートと、印刷層及び充填部が設けられていない第6シートとを、図2に示した順序で積み重ねて熱圧着して積層体を作製した。このときの圧着にかかる圧力は以下のとおりである。
実施例1〜3、5〜7では、5ton/cm
実施例4、8では、7ton/cm
比較例1〜6、8では、5ton/cm
比較例7では、2ton/cm
比較例8では、5ton/cm
得られた積層体を切断機で部品本体サイズに切断して、加熱処理前チップを得た。
続いて、焼成炉を用いて、大気中雰囲気で、加熱処理前チップを多数個一括で加熱処理した。まず、脱バインダプロセスとして約300℃、約1hrの条件で加熱し、次いで、後述する条件にしたがう加熱処理を施して、軟磁性合金粒子が密集して磁性体部10が形成し、また、銀粒子が焼結して内部導体20が形成され、これにより部品本体を得た。
各実施例および比較例における熱処理条件は以下のとおりである。
熱処理における最高温度及び保持時間は、実施例1〜4、比較例1、3、4では700℃にて1時間保持、比較例2では850℃にて1時間保持、実施例5〜8、比較例5、7、8では800℃にて2時間保持、比較例6では900℃にて2時間保持、とした。
熱処理における昇温過程での保持条件は以下のとおりである。
実施例1では、昇温過程で600℃にて1時間保持した。
実施例2では、昇温過程で600℃にて3時間保持した。
実施例3では、昇温過程で600℃にて10時間保持した。
実施例4では、昇温過程で600℃にて3時間保持した。
実施例5では、昇温過程で600℃にて1時間保持した。
実施例6では、昇温過程で600℃にて3時間保持した。
実施例7では、昇温過程で600℃にて10時間保持した。
実施例8では、昇温過程で600℃にて3時間保持した。
比較例1では、昇温過程で600℃にて20時間保持した。
比較例2、3では、昇温過程での特定温度での保持を行わなかった。
比較例4では、昇温過程で600℃にて1時間保持した。
比較例5では、昇温過程で600℃にて20時間保持した。
比較例6、7では、昇温過程での特定温度での保持を行わなかった。
比較例8では、昇温過程で600℃にて1時間保持した。
続いて、外部端子を形成した。上記銀粒子を85wt%、ブチルカルビトール(溶剤)を13wt%で、ポリビニルブチラール(バインダ)を2wt%含有する導体ペーストを塗布機で、部品本体の長さ方向両端部に塗布し、これを焼成炉で、約600℃、約1hrの条件で焼付け処理を行った。その結果、溶剤及びバインダが消失し、銀粒子が焼結して、外部端子が形成され、積層インダクタ1を得た。
[積層インダクタの評価]
得られた積層インダクタについて、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影して、その後、エネルギー分散型X線分析(EDS)によるZAF法で化学組成を求めることにより、Ag粒子および上述した凸状部の存在の有無を調べた。その上で、Ag拡散領域11と、Ag不存在領域12の厚さを測定した。測定は断面のSEM像を用いて行い、1つの実施例・比較例について、20個の積層インダクタについてそれぞれ5層におけるAg不存在領域12の厚さを測ることにより100個の測定データを取得し、その最小値をAg不存在領域12の厚さとした。そして、磁性体層10の厚さから上述のAg不存在領域12の厚さを差し引いた値の1/2の値をAg拡散領域11の厚さとした。なお、2つのコイルセグメント間の距離(つまり、磁性体層10の厚さ)は実施例1〜4および比較例1〜4では17.8μmであり、実施例5〜8および比較例5〜8では40.0μmであった。
各実施例及び比較例の積層インダクタの磁性体層10の断面について、約3000倍に拡大したSEM観察を行い、隣接する軟磁性合金粒子が有する酸化被膜どうしの結合の有無と、軟磁性合金粒子の酸化被膜が存在しない金属部分どうしの結合の有無を調べた。なお、隣接する軟磁性合金粒子が有する酸化被膜どうしの結合の有る場合には、SEM観察像において、隣接する軟磁性合金粒子が有する酸化被膜はその大部分が同一相を呈していた。金属部分どうしの結合が存在する場合には、SEM観察像において隣接する軟磁性合金粒子どうしが同一相を保ちつつ結合点を有することを視認した。
以上の結果を表1にまとめる。
Figure 0005108162
表1における「組成」の欄では、Fe−Cr−Siは、Crが4.5wt%、Siが3.5wt%、残部がFeであり、Fe−Si−Alは、Alが5.5wt%、Siが9.5wt%、残部がFeであり、Ni−ZnフェライトはNiOが11mol%、ZnOが20mol%、CuOが10mol%、Feが49mol%である。
また、比較例4と比較例8では銀電極ではなく銅電極を用いており、表1における「Ag拡散領域の厚さ」および「Ag不存在領域の厚さ」の欄の表示は、それぞれ「銅拡散領域の厚さ」および「銅不存在領域の厚さ」を意味する。
得られた積層インダクタにおける信頼性を評価した。信頼性の評価は初期のQ値および耐湿負荷試験後のQ値であり、アジレント社製のインピーダンス・アナライザ4294Aを用いて、周波数1MHzで測定した。
当該初期値評価における評価指標は以下のとおりである。
○・・・Q値が40以上。
×・・・Q値が40未満。
−・・・インダクタとしてのQ値が得られなかった。
得られた積層インダクタにおける、ヒートサイクル後の導通性を評価した。ヒートサイクルの条件は、55℃〜125℃、保持時間30min(100サイクル)とした。その後の導通試験にて、導通が認められたものは○、導通しなかったものは×、初期のQ値が得られず未評価のものは−、と評価した。
得られた積層インダクタにおける、耐湿負荷試験後のQ値を測定した。耐湿負荷試験の条件は、60℃、95%RH、1.2A、1000hrとした。Q値の測定条件は初期のQ値の測定と同様である。当該評価による評価指標は以下のとおりである。
○・・・Q値の耐湿負荷試験前(初期値)からの変化率が絶対値で30%未満。
×・・・Q値の耐湿負荷試験前(初期値)からの変化率が絶対値で30%以上。
−・・・初期のQ値が得られず未評価。
上記結果および透磁率の測定結果を表2に記載する。
Figure 0005108162
各実施例では信頼性およびヒートサイクル後の導通性に優れていた。比較例1、5ではAgが磁性体層のほぼ全域に拡散しており、初期のQ値が低かったため、その後の評価を行うに値しなかった。比較例2、6では、Agがマイグレーションしており耐湿負荷後のQ値が低下し、信頼性が低かった。比較例3では、Ag粒子が磁性体層に存在せず、ヒートサイクル時に内部電線と磁性体層との熱膨張差によると思われる剥離が生じて、剥離した脆弱な部分の断線を招き、導通性が悪化した。比較例4、8では銅が酸化して初期のQ値が低かったため、その後の評価を行うに値しなかった。
1 積層インダクタ、10 磁性体層、11 Ag拡散領域、12 Ag不存在領域、20 内部導体、21 コイルセグメント、22 中継セグメント、30 Ag粒子、31 凸状部、ML1〜ML6 磁性体層、CS1〜CS5 コイルセグメント、IS1〜IS4 中継セグメント

Claims (2)

  1. Fe−Si−M系軟磁性合金(但し、MはFeより酸化し易い金属元素である。)で形成された複数の磁性体層と、Ag含有材料からなる複数のコイルセグメントと、Ag含有材料からなる中継セグメントとを有し、
    前記軟磁性合金粒子の周囲の少なくとも一部には前記軟磁性合金が酸化してなる酸化被膜が存在し、前記磁性体層には隣接する軟磁性合金粒子の周囲に形成された酸化被膜を介しての結合部および酸化被膜が存在しない金属部分における軟磁性合金粒子どうしの結合部が存在し、
    前記磁性体層と前記コイルセグメントとは交互に積層された積層構造を構成し、前記中継セグメントは前記磁性体層を貫通して前記コイルセグメント間を導通するように形成され、前記コイルセグメントおよび中継セグメントは電気的に一体化した内部導体を構成し、
    個々の磁性体層はコイルセグメントに接するAg拡散領域とAg拡散領域からみてコイルセグメントとは反対側に位置するAg不存在領域とを有し、
    前記Ag拡散領域には少なくとも下記(A)及び(B)の少なくとも一つが存在する、積層インダクタ。
    (A)前記内部導体の周辺の磁性体層中にあるAg粒子
    (B)前記軟磁体層に内部導体から伸びたAgからなる凸状部
  2. Ag拡散領域の厚さが1μm以上であり、Ag不存在領域の厚さが3μm以上であり、磁性体層の厚さが40μm以下である請求項1記載の積層インダクタ。
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