JP6270509B2 - 積層型コイル部品 - Google Patents

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本発明は積層インダクタなどの積層型コイル部品に関する。
DC/DCコンバータ等に用いられる高い電流特性のコイル部品においては、大電流化とともに小型化も求められる。このため、例えば、特許文献1などでは、金属系の磁性材料を用いることが提案されている。このとき、高い透磁率を得る必要性から、磁性体の充填率を高くすることが重視されてきた。
特開平2010−62424号公報
しかし、特許文献1の技術では、ガラスを結合材として金属系磁性材料を用いた積層インダクタを構成しており、ガラス量を単純に増やすとガラスの厚みが厚くなり、透磁率は低くなってしまい小型化ができなかった。逆に、ガラスを少なくしようとすると十分な絶縁性を確保できず、絶縁特性の低下や、外部電極形成時のめっき伸び発生などという不所望な事態を招いてしまう。このように、金属材料を用いた磁性体において、高い透磁率及び磁気飽和特性と高い絶縁性を併せ持つ部品を作ることは、従来技術では、難しかった。特に、小型部品においては製品高さも低いものが求められ、低背化を実現することはさらに難しかった。
これらのことを考慮し、本発明は合金を磁性材料として用いる積層型コイル部品であって、高い電流特性と機械的強度とを兼ね備え、さらに、めっき伸びが生じにくい積層型コイル部品を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、以下の発明を完成した。
本発明の積層型コイル型部品は、コイル形成領域と、前記コイル形成領域を上下から挟む2つのカバー層と、を有する。コイル形成領域は、合金系磁性粒子で形成された磁性体部と前記磁性体部内に埋め込まれてなるコイル状導体とを有する。前記2つのカバー層の少なくとも1つは、コイル形成領域と接する内側層と、最も外側に位置する外側層と、内側層及び外側層に挟まれる中間層と、を有する。前記外側層、内側層及び中間層はいずれも合金系磁性粒子で形成されたものである。中間層の合金系磁性粒子の平均粒径は、外側層の合金系磁性粒子の平均粒径よりも大きく、好ましくは、内側層の合金系磁性粒子の平均粒径よりも大きい。好ましくは、外側層の方が前記内側層よりも厚く、別途好ましくは、中間層の方が内側層よりも厚い。
別途好ましくは、コイル形成領域の方が2つのカバー層の両者を合わせた厚みよりも厚い。
別途好ましくは、コイル形成領域及び2つのカバー層における前記合金系磁性粒子は重量比でFeを最も多く含み、さらにSi、Cr及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む合金からなる。
コイル形成領域及び2つのカバー層において、好ましくは、前記合金系磁性粒子は樹脂の不存在下で互いに結合しており、前記結合における結合部は酸化物からなり、この酸化物は、好ましくは、結晶質及び又は非晶質からなるである。
別途好ましくは、外側層にめっきにより外部電極が形成されてなり、前記外部電極はNi又はCuを含み、前記コイル状導体と電気的に接続している。
本発明によれば、内部導体と接する内側層と、最外に位置する外側層との絶縁性を高くすることで、デバイス全体としての絶縁性を高くでき、外部電極形成時のめっき伸びが顕著に低減され、曲げ強度が強くなり、高性能と高信頼性と小型・薄型化を合わせ持つ部品が得られる。また、電流特性を左右する磁束の集中を抑制でき、電流特性を高くできる。
本発明の積層型コイル部品の模式断面図である。
以下、図面を適宜参照しながら本発明を詳述する。但し、本発明は図示された態様に限定されるわけでなく、また、図面においては発明の特徴的な部分を強調して表現することがあるので、図面各部において縮尺の正確性は必ずしも担保されていない。
図1は本発明の積層型コイル部品の模式断面図である。本発明によれば、積層型コイル部品1はコイル形成領域11、12と、当該領域11、12を上下から挟むように存在するカバー層21〜23とを有する。コイル形成領域は磁性体部12とそこに埋め込まれるように設けられたコイル状導体11とを有する。上下のカバー層にはコイル状の導体は埋め込まれておらず、実質的には磁性材料で形成されている。本発明において、「上下」という語は、上から順に、一方のカバー層、コイル形成領域、他方のカバー層が積層される方向をあらわす。「上下」という語は、積層型コイル部品1の使用態様や製造方法を限定するものではない。上下2つのカバー層の構成に区別がなければ、どちらを上であると認識するかは任意である。
本発明の対象である積層型コイル部品1は、コイル状導体11が磁性材料(磁性体部12)の中に埋没している構造を有する。典型的には、コイル状導体11は螺旋状に形成されたコイルであり、この場合は、ほぼ環状あるいは半環状などの導体パターンを、スクリーン印刷法などによってグリーンシート上に印刷し、スルーホールに導体を充填して、前記シートを積層することなどにより形成することができる。導体パターンが印刷されるグリーンシートは、磁性材料を含有し、所定の位置にスルーホールが設けられている。なお、コイル状導体としては、図示された螺旋状のコイルの他、渦巻き状のコイル、ミアンダ(蛇行)状の導体、あるいは直線状の導体等が挙げられる。
グリーンシートの積層方向は特に限定なく、好ましくは、上述した「上下」方向と一致する。コイル状導体11のコイル軸の方向は特に限定なく、好ましくは、上述した「上下」方向と一致する。これにより、磁束の集中が効果的に抑制され、電流特性が向上し得る。
積層型コイル部品1では、合金系磁性粒子が多数集積して所定形状の磁性体部12を構成している。同様に、合金系磁性粒子が多数集積して所定形状の上下のカバー層21〜23を構成している。合金系磁性粒子は好ましくは軟磁性粒子である。個々の合金系磁性粒子はその周囲の概ね全体にわたって酸化物が形成されていて、この酸化物により磁性体部12、上下のカバー層の絶縁性が確保される。好ましくはこの酸化物は合金系磁性粒子自身の表面とその近傍が酸化して生じた酸化被膜である。好適には、隣接する合金系磁性粒子どうしは、酸化物からなる結合部を介して互い結合しており、より好ましくは、それぞれの合金系磁性粒子がもつ酸化被膜どうしが結合することにより、一定の形状を有する磁性体部12と、上下のカバー層とを構成している。好適には、磁性体部12および上下のカバー層の少なくとも1つ、より好ましくは、それらすべては、樹脂の不存在下で合金系磁性粒子が結合することにより形成される。また、コイル状導体11の近傍では、主に上記酸化被膜を介して、合金系磁性粒子とコイル状導体11とが密着している。合金系磁性粒子がFe合金からなる場合、酸化被膜には、磁性体であるFeと、非磁性体であるFe及びMO(MはFeとともに合金を形成する金属であり、xは金属Mの酸化数に応じて決まる値である。)を少なくとも含むことが好ましい。
上述の酸化物からなる結合部の存在は、例えば、約3000倍に拡大したSEM観察像などにおいて、隣接する合金系磁性粒子が有する酸化被膜が結晶質で構成されているものは同一相であることを視認することなどで、明確に判断することができる。また、粉末X線回折測定法により回折パターンを生じない部分を非晶質と特定することができる。酸化物からなる結合部の存在により、積層型コイル部品1における機械的強度と絶縁性の向上が図られる。積層型コイル部品1の全体にわたって、隣接する合金系磁性粒子が有する酸化被膜どうしが結合していることが好ましいが、一部でも結合していれば、相応の機械的強度と絶縁性の向上が図られ、そのような形態も本発明の一態様であるといえる。
なお、隣接する合金系磁性粒子が、酸化被膜どうしの結合も、金属粒子どうしの結合もいずれも存在せず単に物理的に接触又は接近するに過ぎない形態が部分的にあってもよい。
積層型コイル部品1におけるコイル形成領域では、磁性体部12と、磁性体部12内に埋め込まれるように設けられた螺旋状のコイルなどの形態を有するコイル状導体11とが存在する。コイル状導体11を構成する導体は積層インダクタにおいて通常使用される金属を適宜用いることができ、銀や銀合金などを非限定的に例示することができる。コイル状導体11の両端は、典型的には、それぞれ引出導体(図示せず)を介して積層型コイル部品1の外表面の相対向する端面に引き出され、外部電極(図示せず)に接続される。外部電極は、後述する外側層23に設けられることが好ましく、より好ましくはめっきにより形成され、さらに好ましくは、Ni又はCuを含む。
本発明によれば、上下のカバー層がコイル形成領域11、12を挟むように存在する。上下のカバー層はコイル状導体11が埋め込まれない層からなる領域である。好ましくは、コイル形成領域は、上下のカバー層の両者を合わせた厚みよりも厚い。好ましくは、磁性体部12に用いられる合金系磁性粒子、上側のカバー層および下側のカバー層の3者について、好ましくは任意の2者、より好ましくは3者すべてが、構成元素が同じである合金系磁性粒子からなる。さらには、好ましくは上記任意の2者、より好ましくは上記3者すべてについて、合金系磁性粒子の構成元素の種類及び組成比率が同一である。構成元素の種類が同一であることは以下の例示により説明される。例えば、FeとCrとSiとの三元素からなる二種類の軟磁性合金(Fe−Cr−Si系軟磁性合金)が存在すれば、FeとCrとSiとの存在比率を問わずに、これらについては構成元素の種類は同一であると評価することができる。
上下のカバー層の少なくとも片方、好ましくは両方は、以下詳述各要件を具備する3層以上の積層構造を有する。前記積層構造において、コイル形成領域に接する層を内側層21と呼び、もっとも外側に位置する層を外側層23と呼び、内側層21、外側層23以外の部分を中間層22と呼ぶ。中間層22がさらに複数の層からなる積層体であってもよい。内側層21、中間層22、外側層23はいずれも合金系磁性粒子からなる。本発明では、中間層22の合金系磁性粒子の平均粒径は、外側層23の合金系磁性粒子の平均粒径よりも大きく、好ましくは、中間層22の合金系磁性粒子の平均粒径が内側層21の合金系磁性粒子の平均粒径よりも大きい。外側層23および好ましくは内側層21の合金系磁性粒子を小粒径にすることで、この部分の粒子間の接点を多くでき、この間を酸化物で結合することになる。これにより、外側層23の外周面は高い絶縁性を確保でき、外部電極形成時のめっき伸びが解消されやすくなる。また、内側層21と内部導体との絶縁性を確保でき、絶縁低下が効果的に抑制される。また、粒子間の接触点が多くなることで、曲げ強度が強くなる。これにより、高さ寸法が低くても、十分な強度を確保することができるようになる。
曲げ強度向上の観点から、外側層23は内側層21より厚いことが好ましい。これにより、例えば製品高さが0.6mm以下でも強度を確保することが可能となる。また、好ましくは、中間層22の方が内側層23よりも厚い。中間層の存在により透磁率が確保される。また、内側層21の透磁率は中間層22の透磁率よりわずかに下げることになり、コイル状導体11の周辺での磁束の集中が緩和され、電流特性を高くすることができる。特に、製品高さが低いほど電流特性は良くなり、低背化を進めることができる。各層の厚さについて、図1の態様では、内側層21の厚さはt1、中間層22の厚さはt2、外側層の厚さはt3として描写されている。
本発明によれば、小粒径の磁性材料を用いることにより、高周波数に対応させることができる。内側層21の合金系磁性粒子の平均粒径は、好ましくは1〜6μmであり、より好ましくは1〜4μmである。中間層22の合金系磁性粒子の平均粒径は、好ましくは10〜30μmであり、より好ましくは10〜20μmである。外側層23の合金系磁性粒子の平均粒径は、好ましくは2〜8μmであり、より好ましくは2〜6μmである。
内側層21の厚さt1は、好ましくは5〜20μmであり、より好ましくは5〜15μmである。中間層22の厚さt2は、好ましくは30〜90μmであり、より好ましくは30〜60μmである。外側層23の厚さt3は、好ましくは30〜90μmであり、より好ましくは30〜70μmである。
本発明では、内部導体の周りの絶縁を高くすることで、各層の厚みが薄くても信頼性の良くなり、更に薄型の部品を作ることも可能である。
磁性体部12およびカバー層で用いられる合金系磁性粒子の平均粒径は、SEM像を取得して画像解析に供して得られるd50値である。具体的には、測定対象の断面のSEM像(約3000倍)を取得し、測定部分における平均的な大きさの粒子を300個以上選び出して、それらのSEM像における面積を測定し、粒子が球体であると仮定して平均粒径を算出する。粒子を選び出す方法としては、例えば次のような方法が挙げられる。前記のSEM像内に存在する粒子が300個未満の場合は、該SEM像内の粒子をすべてサンプリングし、これを複数個所行って300個以上選び出す。前記のSEM像内に300個以上粒子が存在する場合は、該SEM像内に所定間隔で直線を引いて、その直線上にかかった粒子を全部サンプリングして、300個以上選び出す。あるいは、コイル形成領域の粒子については、内部導体に接触している粒子を300個以上サンプリングし、カバー層の粒子については、最も外側にある粒子を300個以上サンプリングする。なお、合金系磁性粒子を用いる積層インダクタにおいては、原料粒子の粒子径と、熱処理後の上記磁性体部12およびカバー層を構成する合金系磁性粒子の粒子径とはほぼ同じであることが知られている。このため、原料として用いる合金系磁性粒子の平均粒径を測定しておくことで、積層型コイル部品1に含まれる合金系磁性粒子の平均粒径を想定することも可能である。
以下、本発明に係る積層型コイル部品1の典型的な製造方法を説明する。積層型コイル部品1の製造にあたっては、まず、ドクターブレードやダイコータ等の塗工機を用いて、予め用意した磁性体ペースト(スラリー)を、樹脂等からなるベースフィルムの表面に塗工する。これを熱風乾燥機等の乾燥機で乾燥してグリーンシートを得る。上記磁性体ペーストは、合金系磁性粒子と、典型的には、バインダとしての高分子樹脂と、溶剤とを含む。
合金系磁性粒子は、主として合金からなる軟磁性を呈する粒子である。合金の種類としては、Feを重量基準で最も多く含む合金が挙げられる。Feとともに合金を構成する金属元素としては、Si、Cr、Alなどが挙げられ、好ましくはCrであり、より好ましくは、SiとCrとを両方とも含む(Fe−Si−Cr系合金)。合金系磁性粒子としては、例えばアトマイズ法で製造される粒子が挙げられる。
合金系磁性粒子がCrを含む場合におけるクロムの含有率は、好ましくは2〜8wt%である。クロムの存在は、熱処理時に不動態を形成して過剰な酸化を抑制するとともに強度および絶縁抵抗を発現する点で好ましく、一方、磁気特性の向上の観点からはクロムが少ないことが好ましく、これらを勘案して上記好適範囲が提案される。
合金系磁性粒子がSiを含む場合におけるSiの含有率は、好ましくは1.5〜7wt%である。Siの含有量が多ければ高抵抗・高透磁率という点で好ましく、Siの含有量が少なければ成形性が良好であり、これらを勘案して上記好適範囲が提案される。
Fe、SiおよびCr以外に含まれていてもよい金属としては、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、銅などが挙げられ、非金属としてはリン、硫黄、カーボンなどが挙げられる。
積層型コイル部品1における各々の合金系磁性粒子を構成する合金については、例えば、積層型コイル部品1の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影して、その後、エネルギー分散型X線分析(EDS)によるZAF法で化学組成を算出することができる。
本発明によれば、コイル形成領域の磁性体部12のための磁性体ペースト(スラリー)と、上下のカバー層のための磁性体ペースト(スラリー)をそれぞれ別に製造することが好ましい。このとき、磁性体部12、内側層21、中間層22、外側層23のそれぞれに対応する磁性体ペースト(スラリー)を製造するために、合金系磁性粒子の大きさを適宜選択することができる。
上述の磁性体ペーストには、好適にはバインダとしての高分子樹脂が含まれる。高分子樹脂の種類は特に限定はなく、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。磁性体ペーストの溶剤の種類は特に限定はなく、例えば、ブチルカルビトール等のグリコールエーテルなどを用いることができる。磁性体ペーストにおける合金系磁性粒子、高分子樹脂、溶剤などの配合比率などは適宜調節することができ、それによって、磁性体ペーストの粘度などを設定することも可能である。
磁性体ペーストを塗工および乾燥してグリーンシートを得るための具体的な方法は従来技術を適宜参照することができる。このとき、合金系磁性粒子の粒径によってできるシート厚みには制約があり、グリーンシートの厚さを粒径の3倍程度より厚くすることが好ましい。こうすることにより、シート厚みより大きな粒径の粒子の存在がほぼなくなり、シート形成を安定させることができる。
次いで、打ち抜き加工機やレーザ加工機等の穿孔機を用いて、グリーンシートに穿孔を行ってスルーホール(貫通孔)を所定配列で形成する。スルーホールの配列については、各シートを積層したときに、導体を充填したスルーホールと導体パターンとでコイル状導体11が形成されるように設定される。内部導体を形成するためのスルーホールの配列および導体パターンの形状については、従来技術を適宜参照することができる。
スルーホールに充填するため、および、導体パターンの印刷のために、好ましくは導体ペーストが使用される。導体ペーストには導体粒子と、典型的にはバインダとしての高分子樹脂と溶剤とが含まれる。
導体粒子としては、銀粒子などを用いることができる。導体粒子の粒子径は、体積基準において、d50が好ましくは1〜10μmである。導体粒子のd50は、レーザ回折散乱法を利用した粒子径・粒度分布測定装置(例えば、日機装(株)製のマイクロトラック)を用いて測定される。
導体ペーストには、好適にはバインダとしての高分子樹脂が含まれる。高分子樹脂の種類は特に限定はなく、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。導体ペーストの溶剤の種類は特に限定はなく、例えば、ブチルカルビトール等のグリコールエーテルなどを用いることができる。導体ペーストにおける導体粒子、高分子樹脂、溶剤などの配合比率などは適宜調節することができ、それによって、導体ペーストの粘度などを設定することも可能である。
次いで、スクリーン印刷機やグラビア印刷機等の印刷機を用いて、導体ペーストをグリーンシートの表面に印刷し、これを熱風乾燥機等の乾燥機で乾燥して、内部導体に対応する導体パターンを形成する。印刷の際に、上述のスルーホールにも導体ペーストの一部が充填される。その結果、スルーホールに充填された導体ペーストと、印刷された導体パターンとが内部導体の形状を構成することになる。
印刷後のグリーンシートを、吸着搬送機とプレス機を用いて、所定の順序で積み重ねて熱圧着して積層体を作製する。続いて、ダイシング機やレーザ加工機等の切断機を用いて、積層体を部品本体サイズに切断して、加熱処理前の磁性体部及び内部導体を含む、加熱処理前チップを作製する。
焼成炉等の加熱装置を用いて、大気等の酸化性雰囲気中で、加熱処理前チップを加熱処理する。この加熱処理は、通常は、脱バインダプロセスと酸化被膜形成プロセスとを含み、脱バインダプロセスは、バインダとして用いた高分子樹脂が消失する程度の温度、例えば、約300℃、約1hrの条件が挙げられ、酸化物膜形成プロセスは、例えば、約750℃、約2hrの条件が挙げられる。
加熱処理前チップにあっては、個々の合金系磁性粒子どうしの間に、多数の微細間隙が存在し、通常、該微細間隙は溶剤とバインダとの混合物で満たされている。これらは脱バインダプロセスにおいて消失し、脱バインダプロセスが完了した後は、該微細間隙はポアに変わる。また、加熱処理前チップにおいて、導体粒子どうしの間にも多数の微細隙間が存在する。この微細間隙は溶剤とバインダとの混合物で満たされている。これらも脱バインダプロセスにおいて消失する。
脱バインダプロセスに続く酸化被膜形成プロセスでは、合金系磁性粒子が密集して磁性体部12ならびに上下のカバー層ができ、典型的には、その際に、合金系磁性粒子それぞれの表面とその近傍が酸化されて該粒子の表面に酸化被膜(酸化物)が形成される。このとき、導体粒子が焼結してコイル状導体11が形成される。
通常は、加熱処理の後に外部電極を形成する。ディップ塗布機やローラ塗布機等の塗布機を用いて、予め用意した導体ペーストを積層型コイル部品1の長さ方向両端部に塗布し、これを焼成炉等の加熱装置を用いて、例えば、約600℃、約1hrの条件で焼付け処理を行うことにより、外部電極を形成してもよい。外部電極用の導体ペーストは、上述した導体パターンの印刷用のペーストや、それに類似したペーストを適宜用いることができる。好適には、外部電極はめっきにより形成される。当該めっきにおいては、好ましくはNi又はCuが含まれる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に記載された態様に限定されるわけではない。
積層型コイル部品1として、積層インダクタを製造した。コイル形成領域の磁性体部12および上下のカバー層の磁性材料の組成は表1のとおりである。表中、FeSiCrは、3.5wt%のSi、4.5wt%のCr、残部Feの組成、FeSiAlは、9.5wt%のSi、5.5wt%のAl、残部Feの組成、FeSiは、3.0wt%のSi、残部Feの組成、FeSiCrBは、6.7wt%のSi、2.5wt%のCr、2.5wt%のB、残部Feの組成を有し、実施例5では、FeSiAlとFeSiCrとの30:70(重量比)の混合物を、実施例7では、FeSiとFeSiCrBとの80:20(重量比)の混合物を製造した。
コイル状導体11は、約3.5周の螺旋状となるように、導体パターン及びビアを設けた。コイル状導体11は、原料として体積基準のd50が5μmである銀粒子を熱処理して得られた。
積層インダクタは以下のように製造した。
合金系磁性粒子85wt%、ブチルカルビトール(溶剤)が13wt%、ポリビニルブチラール(バインダ)2wt%からなる磁性体ペーストを調製した。ドクターブレードを用いて、この磁性体ペーストをプラスチック製のベースフィルムの表面に塗工し、これを熱風乾燥機で、約80℃、約5minの条件で乾燥した。このようにしてベースフィルム上にグリーンシートを得た。その後、グリーンシートをカットした。
続いて、必要に応じてシートに穿孔して所定配列の貫通孔を形成した。その後、印刷機を用いて、Ag粒子が85wt%で、ブチルカルビトール(溶剤)が13wt%で、ポリビニルブチラール(バインダ)が2wt%からなる導体ペーストを所定のシートの表面に印刷し及び/又は貫通孔に充填し、これを熱風乾燥機で、約80℃、約5minの条件で乾燥した。
続いて、吸着搬送機とプレス機を用いて、必要な印刷及び/又は充填が施された各シートを所定の順序で積み重ねて熱圧着して積層体を作製した。この積層体を切断機で部品本体サイズに切断して、加熱処理前チップを得た。その後、焼成炉を用いて加熱した。この加熱処理によって、合金系磁性粒子が密集して磁性体部12が形成し、また、銀粒子が焼結してコイル状導体11が形成され、これにより部品本体を得た。
続いて、外部電極を形成した。上記銀粒子を85wt%、ブチルカルビトール(溶剤)を13wt%で、ポリビニルブチラール(バインダ)を2wt%含有する導体ペーストを塗布機で、外側層23の表面に塗布し、これを焼成炉で、約800℃、約1hrの条件で焼付け処理を行った。その結果、溶剤及びバインダが消失し、銀粒子が焼結した。その後、実施例1〜4及び比較例1ではNi/Snめっきを施し、実施例5〜7及び比較例2ではCu/Snめっきを施すことによって外部電極を形成して、積層インダクタが完成した。
積層インダクタの寸法は、実施例1〜4及び比較例1では、2.0mm×1.2mm×1.0mmとし、実施例5〜7及び比較例2では、2.0mm×1.2mm×0.6mmとした。なお、2つのカバー層における外側層の表面間の距離、換言すると、2つのカバー層とコイル形成領域との合計の高さについて、実施例1〜5及び比較例1では0.94mmとし、実施例6、7及び比較例2では0.54mmとした。
実施例1〜4及び比較例1では、磁性体部及び上下のカバー層の材料としての合金系磁性粒子には特段のコーティング処理は施さなかった。実施例5〜7及び比較例2では、合金系磁性粒子にビスマス系ガラスをコーティングした。
焼成炉での加熱条件については、実施例1〜4及び比較例1では、大気中の酸素雰囲気下にて650℃で行い、実施例5〜7及び比較例2では、0.1%の酸素濃度のもとで500℃にて行った。このような加熱処理により実施例1〜4においては結晶質の酸化膜が形成される。この酸化被膜は絶縁を確保しつつ、薄く形成でき、高い透磁率が得られる。また、実施例5〜7においては結晶質と非晶質が混在する酸化被膜が形成される。これにより、非晶質の酸化被膜を薄く形成しても、結晶質の酸化被膜が補うように形成さることで、非晶質と結晶質の酸化被膜を薄くしつつ更に高い絶縁が得られ、かつ十分な強度が得ることができる。
得られた積層インダクタにおける、コイル形成領域にある磁性体部12を構成する粒子の平均粒径は実施例1〜4及び比較例1では5μmであり、実施例5〜7及び比較例2では4μmであった。各実施例・比較例のカバー層における内側層21、中間層22、外側層23を構成する粒子の平均粒径、ならびに、各層の厚さは表1のとおりであった。各層については、上述したとおり、SEM像を取得して画像解析に供して得られるd50値を粒子の平均粒径であると評価した。各実施例・比較例のそれぞれの積層インダクタにおいて、上部のカバー層と下部のカバー層とは、互いに相違なく、表1記載のとおりの三層構造を有するように製造した。
コイル形成領域にある磁性体部12ならびに上下のカバー層内の合金系磁性粒子は隣接する合金系磁性粒子それぞれが有する酸化被膜を介して相互結合していることを、SEM観察(3000倍)によって確認した。
各実施例・比較例で得た積層インダクタの特徴を表1に記載する。
Figure 0006270509
得られた積層インダクタの電流特性を評価した。各積層インダクタに直流電流を印加して、インダクタンス値が30%低下した時点における電流値を求めた。得られた積層インダクタのめっき伸びを評価するために、各積層インダクタについて、外部電極の寸法を測定した。コイル部品長さ方向の端部からの設計上の寸法は0.35mmであるところ、実寸が0.4mmを超えた積層インダクタはNGであると評価した。得られた積層インダクタの曲げ強度の評価として、各積層インダクタの高さ方向の3点曲げ破断応力を測定した。
各実施例、比較例の評価結果を表2にまとめる。
Figure 0006270509
1 積層型コイル部品 11 コイル状導体 12 磁性体部
21 内側層 22 中間層 23 外側層

Claims (9)

  1. コイル形成領域と、前記コイル形成領域を上下から挟む2つのカバー層と、を有し、
    前記コイル形成領域は、合金系磁性粒子で形成された磁性体部と前記磁性体部内に埋め込まれてなるコイル状導体とを有し、
    前記2つのカバー層の少なくとも1つは、コイル形成領域と接する内側層と、最も外側に位置する外側層と、内側層及び外側層に挟まれる中間層と、を有し、
    前記外側層、内側層及び中間層はいずれも合金系磁性粒子で形成されたものであり、
    中間層の合金系磁性粒子の平均粒径は、外側層の合金系磁性粒子の平均粒径よりも大きい、
    積層型コイル部品。
  2. 前記中間層の合金系磁性粒子の平均粒径が前記内側層の合金系磁性粒子の平均粒径よりも大きい請求項1記載の積層型コイル部品。
  3. 前記外側層の方が前記内側層よりも厚い請求項1又は2記載の積層型コイル部品。
  4. 前記中間層の方が前記内側層よりも厚い請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層型コイル部品。
  5. 前記コイル形成領域の方が2つのカバー層の両者を合わせた厚みよりも厚い請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層型コイル部品。
  6. コイル形成領域及び2つのカバー層における前記合金系磁性粒子は重量比でFeを最も多く含み、さらにSi、Cr及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含む合金からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層型コイル部品。
  7. コイル形成領域及び2つのカバー層において、前記合金系磁性粒子は樹脂の不存在下で互いに結合しており、前記結合における結合部は酸化物からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層型コイル部品。
  8. 前記酸化物は結晶質及び非晶質からなる請求項7記載の積層型コイル部品。
  9. 前記外側層にめっきにより外部電極が形成されてなり、前記外部電極はNi又はCuを含み、前記コイル状導体と電気的に接続している、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層型コイル部品。
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