JP5106827B2 - 椅子 - Google Patents

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JP5106827B2
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智明 塙
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Description

本発明は、背凭れ部の傾動範囲を調節する機能を備えた椅子に関する。
従来より、座部とシンクロして背凭れが傾動するロッキングチェア等においては、3点リンク機構を採用した椅子が一般的に多い。
図14及び図15は、このようなリンク機構を備えた椅子の従来の構造を示す部分断面図である。
まず、図14に示すように、脚柱2の上端部に設けられた座板取付け部10と、該座板取付け部10の前方の端部に形成された孔10aに対して、第1の軸15が回動可能に遊嵌され、座板取付け部10の上方に配置される座板20の前方に設けられた端部20aが、回動可能かつ前後方向に移動可能となるように、第1の軸15に接続されている。
座板取付け部10の後方の端部にも孔10bが形成され、該孔10bに第2の軸25が回動可能に挿嵌され、一端30aに背凭れ40を接続した背凭れ取付け部材30の他端30bが、第2の軸25に軸支されている。
また、背凭れ取付け部材30の一端30aと、他端(孔30b)との間に位置する中間部には、第3の軸35が左右方向に設置され、該第3の軸に、座板20の後方に設けられた端部20bが回動可能に連結されている。
また、背凭れ取付け部材30の他端30bは、下方に延設されて、端部30dが形成され、側面視がいわゆるL字形状をなし、端部30dに設けられた第5の軸75には、一端50aが固定されたコイルばね50の他端50bが接続されている。また、第1の軸15が嵌っている孔10aは、前後方向に長手の長孔に形成されている。
このような構成をなす椅子1において、第2の軸25を支点にして、背凭れ40を後方に傾動(回動)させた際には、第3の軸35の後方及び下方への移動に伴って、座板20が背凭れ40の後傾動に連動して、座板20が後退しつつ後傾する。このとき、端部30dは、第2の軸25(支点)に対する作用点となって、コイルばね50に付勢するので、背凭れ40の傾動(回動)に対する付勢がなされなくなると、収縮されたコイルばね50の弾性力により、第2の軸25を支点として背凭れ取付け部材30が回動し、背凭れ40が元の位置に戻ることになる。
一方、図15に示す構成では、図14と略同様の構成ではあるが、背凭れ取付け部材30に端部30dが設けられておらず、一端が固定されたコイルばね50は、その他端が第1の軸15に接続されている。
即ち、図14に示すリンク機構は、前記第2の軸を支点にして、前記背凭れを傾動させることによって、延設された端部30dに接続されたコイルばね50が収縮し、復元力を持つことになる。一方、図15に示すリンク機構では、背凭れ40を傾動させたときに、第3の軸によって連結された座板を介して、該座板と座板受け部材とを連結する第1の軸15にコイルばね50が接続されているので、背凭れ40の傾動に伴うコイルばね50の収縮に、座板20の摺動動作が介在することとなる。
このようなリンク機構を備えた椅子においては、背凭れの傾動範囲を調節する機構を具備した椅子が種々提案されている(特許文献1〜4参照)。
しかしながら、特許文献1〜4に記載の技術においては、傾動範囲を調節するための部品点数が多い結果として、構造が複雑となるとともに、傾動範囲を調節する機構にガイド機構等を採用していないため、前記傾動範囲を確実に調節できないという問題があり、操作が簡単で、部品点数も少なく、傾動範囲の調節の確実性に優れた椅子は未だ実現されておらず、その提供が望まれているのが現状である。
特開2002−142898号公報 特開2003−135190号公報 特開2003−9981号公報 特開2004−141676号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、操作が簡単で、部品点数も少なく、傾動範囲の調節の確実性に優れた椅子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 座部を載置した座板が、座板受け部材に対して前後方向に摺動可能かつ回動可能に第1の軸によって連結され、前記座板受け部材と、背凭れを保持した背凭れ取付け部材とが第2の軸によって連結され、前記背凭れ取付け部材と、前記座板とが第3の軸で連結されてなり、前記背凭れ取り付け部材を、前記第2の軸を支点に回動させることによって、座板受け部材に対して前記座板を後方及び下方に移動可能とした椅子であって、
回動中心からの距離を異ならせた複数の凹部が周面に形成され、回動可能とされたカム部材と、
該カム部材における凹部に係合可能な係合片を備えた係合部材と、
前記カム部材、及び係合部材の少なくともいずれかを付勢し、前記係合片が前記カム部材における凹部に係合するように付勢可能な付勢部材とを有することを特徴とする椅子である。
該<1>に記載の椅子においては、カム部材に設けられた凹部に対する、係止部に設けられた係止片の振幅を調節することにより、前記係止部と同軸に設置された前記付勢部材(例えば、弾性体)の振幅が制限されるので、前記カム部材を回動させて、前記凹部と、前記係止片との距離を調節するだけで、前記付勢部材の振幅、即ち、椅子の傾動量(傾動範囲)が調節される。
<2> 係合部材の他端が、カム部材の回動軸に係合し、背凭れ取付け部材の他端から、第2の軸の軸方向に直交する方向に屈曲するように延設された端部に係合部材が設けられている前記<1>に記載の椅子である。
該<2>に記載の椅子においては、係合部材の他端が、カム部材の回動軸に係合しているので、前記係合部材に一体成形された係合片が、前記カム部材の回動軸を中心に回動するカム部材の凹部に対して、確実に当接される。
<3> 係合部材が、第1の軸に軸支されている前記<1>から<2>のいずれかに記載の椅子である。
該<3>に記載の椅子においては、係合部材が、第1の軸に軸支されているので、部品点数が少なくなる。また、前記第1の軸は、座板受け部材の一端に形成された長孔において前後の摺動範囲が制限されているので、前記第1の軸に形成される係止片が、カム部材の凹部に対して確実に当接される。
<4> 弾性体の一端が、カム部材の回動軸に軸支された前記<1>から<3>のいずれかに記載の椅子である。
該<4>に記載の椅子においては、弾性体の一端が、カム部材の回動軸に軸支されたことにより、部品点数が少なくなる。また、前記弾性体と、係止部材と、カム部材と、カム部材の回動軸とをユニット化することにより、既存の椅子に設置することができる。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、操作が簡単で、部品点数も少なく、傾動範囲の調節の確実性に優れた椅子を提供することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る椅子の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の椅子の基本的な構成は、図14に示した従来の椅子と略同様である。即ち、図14に示すように、本実施形態の椅子1は、脚柱2の上端部に設けられた座板取付け部10と、該座板取付け部10の前方の端部に形成された孔10aに対して、第1の軸15が回動可能に遊嵌され、座板取付け部10の上方に配置される座板20の前方に設けられた端部20aが、回動可能かつ前後方向に移動可能となるように、第1の軸15に接続されている。
座板取付け部10の後方の端部にも孔10bが形成され、該孔10bに第2の軸25が回動可能に挿嵌され、一端30aに背凭れ40を接続した背凭れ取付け部材30の他端30bが、第2の軸25に軸支されている。
また、背凭れ取付け部材30の一端30aと、他端(孔30b)との間に位置する中間部には、第3の軸35が左右方向に設置され、該第3の軸に、座板20の後方に設けられた端部20bが回動可能に連結されている。
また、背凭れ取付け部材30の他端30bは、下方に延設されて、端部30dが形成され、側面視がいわゆるL字形状をなし、端部30dに設けられた第5の軸75には、一端50aが固定された付勢部材として、コイルばね50の他端50bが接続されている。
また、第1の軸15が嵌っている孔10aは、前後方向に長手の長孔に形成されている。この形状に伴い、第2の軸25が嵌っている孔10b及び孔30bの少なくともいずれかも、前後方向に長手の長孔として形成されていてもよい。
図1は、本発明に係る椅子における座板取付け部10、及び背凭れ取付け部材30の構造を示す上面図である。
図1に示すように、本発明の椅子は、上述の図12Aに示した基本的構成に加え、第5の軸75と平行に位置するように設置された第4の軸65と、該第4の軸65に軸支されたカム部材60と、該カム部材60に当接する係合片71を有し、第5の軸75に軸支された係合部材70とを設けたことが特徴である。
なお、図1中、コイルばね50の図示は省略しているが、本実施形態では、図1のB−B断面図である図6に示すように、第5の軸75に軸支されたコイルばね設置部材51、及び該コイルばね設置部材51に前後方向に対向して設置されたコイルばね設置部材52のそれぞれの外周を覆うように、コイルばね50が嵌設されることになる。ここで、コイルばね設置部材52は、第4の軸65に軸支されることが部品点数を更に少なくすることができる。
以下、図1に加え、図1のA−A断面図である図2、カム部材60の形状を示す図3、及び係合部材70の形状を示す図4を併せて参照して、本発明の傾動範囲調節機構について説明する。
座板受け部材10における左右の側面部11,12のうち、第4の軸65が設置される側面部11に対して所定の間隔をもって支持板13が設けられている。第4の軸65は、側面部11及び支持板13のそれぞれに形成された孔(図示せず)に挿嵌され、側面部11と、支持板13との間には、回動中心としての孔63を有し、該孔63の中心から底面(例えば最深部)までの距離を異ならせた複数の凹部60aを周面に形成したカム部材60(図3C参照)と、該カム部材60と同様に孔63を有し、カム部材60と並列に一体成形され、側面に凹部61aが円弧状に複数形成されたガイド部材61(図3A及び図3B参照)とが孔63で軸支されている。カム部材60は例えば、偏心カム等である。
また、カム部材60と支持板13との間には、支持板13に固定され、カム部材60に対して付勢する弾性体80が設置されている。
また、側面部11の内側には、凹部61aに嵌合する凸部(図示せず)が少なくとも1つ設けられている。
従って、使用者が操作部66を用いて、第4の軸65を回動させる場合には、側面部11から支持板13の方向に第4の軸65を押して、弾性体80を収縮させるとともに、凹部61aと、側面部11の内側に設けられた凸部との嵌合を解除し、第4の軸65を回動させる。
ここで、第4の軸65を回動させているときには、弾性体80によって、支持板13から側面部11の方向への弾性力が働いているので、前記凸部は、ガイド部材61に円弧状に形成された複数の凹部61aに対して順にクリックすることになり、カム部材60の周面に形成された凹部60aの向きを、所定位置で確実に固定することができる。
一方、図4に示すように、係合部材70は、第5の軸75に軸支されるために、該第5の軸75を挿嵌する孔70aが一端に形成され、係合部材70の他端には、側面視でU字形状の係合溝72が形成されている。
また、係合部材70の側面には、孔70aから係合溝72が開口している方向に延設された係合片71が突出して形成されている。
このように形成された係合部材70は、図1に示すように、孔70aが第5の軸75によって軸支されるとともに、係合溝72が第4の軸65に係合した状態で設置される。ここで、係合溝72の形状は、第4の軸65に対して係合部材70が、前記開口方向に摺動可能な切り欠き深さを有した形状とされる。
したがって、図2に示すように、背凭れ40とともに背凭れ取付け部材30を後方に傾動させることによって、第2の軸25を支点として第5の軸75が前方に突出し、係合溝72が第4の軸65に係合したまま、カム部材60の凹部60aに係合片71が当接するまで係合部材70が摺動することになる。即ち、第4の軸65と、第5の軸75との距離は所定距離に維持されているので、第4の軸65を回動させることによって、「第4の軸65と、第5の軸75との距離と、カム部材60の回動軸中心から任意の凹部60aの底部との差分」である「係合片71に対向する凹部60aと、係合片71との距離」を変化させることができるため、第5の軸75に連結されたコイルばね50の振幅を前記距離に制限することができる。
即ち、本実施形態の椅子1の構成は、座部を載置した座板20が、座板受け部材10に対して前後方向に摺動可能かつ回動可能に第1の軸15によって連結され、座板受け部材10と、背凭れ40を保持した背凭れ取付け部材30とが第2の軸25によって連結され、背凭れ取付け部材30と、座板20とが第3の軸35で連結されてなり、背凭れ40を、第2の軸25を支点に回動させることによって前記座部を後方及び下方に移動可能とした椅子であって、回転中心からの距離を異ならせた複数の凹部60aが周面に形成されたカム部材60を回転可能に軸着した第4の軸65と、背凭れ取付け部材30の他端30bから下方に延設された背凭れ取付け部材30の端部30dに、第4の軸65の軸方向に略平行に配置され、カム部材60に対向するように突出した係合片71を備えた係合部材70の一端を軸支した第5の軸75と、一端が第5の軸75に軸支されると共に、カム部材60、及び係合部材70が対向する方向と略平行に変位するように設置され、背凭れ取付け部材30を、座板受け部材10に対して第2の軸25を中心に回動させたときの振幅が、第4の軸65を回動させることによって設定された、係合片71と、該係合片71に対向する凹部60aとの距離に制限される付勢部材(弾性体)50とを有することを特徴とする椅子である。
図5A〜図5Cは、本発明に係る椅子の傾動操作を行った際のカム部材60と、係合部材70との具体的な位置関係を示す部分断面図であり、図5Aは、第4の軸65を回動させて、カム部材60の凹部60a(図4C参照)を、係止片71に対向させたときの傾動動作を示す部分断面図であり、図5Bは、第4の軸65を回動させて、カム部材60の凹部60a(図4C参照)を、係止片71に対向させたときの傾動動作を示す部分断面図であり、図5Cは、第4の軸65を回動させて、カム部材60の凹部60a(図4C参照)を、係止片71に対向させたときの傾動動作を示す部分断面図である。
なお、図4Cに示すように、孔63の中心(カム部材60の回動中心)から凹部60aの底部までの距離L、孔63の中心(カム部材60の回動中心)から凹部60aの底部までの距離L、孔63の中心(カム部材60の回動中心)から凹部60aの底部までの距離Lの関係は、L<L<Lである。
また、本実施形態では、図3A〜図3C、及び図5に示すように、凹部60a〜凹部60aの3つの凹部60aが形成されたカム部材60について説明したが、カム部材60に形成される凹部60aの数は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5〜10箇所の凹部60aを形成することで、多段階の凹部60aを有したカム部材60とすることができる。
図5Aに示すように、第4の軸65を回動させて、係合片71に対向する凹部60aを、凹部60aに選択した場合、背凭れ40とともに背凭れ取付け部材30を後方に傾動させることによって、第2の軸25を支点として第5の軸75が前方に突出し、係合溝72が第4の軸65に係合したまま、カム部材60の凹部60aに係合片71が当接する。このとき、一端が固定されたコイルばね50は、その他端が第5の軸75に連結されているため、該コイルばね50が収縮する距離は、係合片71と凹部60aとの距離に依存する。このようにして、係合片71に対向する凹部60aを、凹部60aに選択した場合には、例えば、座板取付け部10の底部に対して、6°の傾動角を得ることとなる。
また、図5Bに示すように、第4の軸65を回動させて、係合片71に対向する凹部60aを、凹部60aに選択した場合、背凭れ40とともに背凭れ取付け部材30を後方に傾動させることによって、第2の軸25を支点として第5の軸75が前方に突出し、係合溝72が第4の軸65に係合したまま、カム部材60の凹部60aに係合片71が当接する。このとき、一端が固定されたコイルばね50は、その他端が第5の軸75に連結されているため、該コイルばね50が収縮する距離は、係合片71と凹部60aとの距離に依存する。このようにして、係合片71に対向する凹部60aを、凹部60aに選択した場合には、例えば、座板取付け部10の底部に対して、12°の傾動角を得ることとなる。
また、図5Cに示すように、第4の軸65を回動させて、係合片71に対向する凹部60aを、凹部60aに選択した場合、背凭れ40とともに背凭れ取付け部材30を後方に傾動させることによって、第2の軸25を支点として第5の軸75が前方に突出し、係合溝72が第4の軸65に係合したまま、カム部材60の凹部60aに係合片71が当接する。このとき、一端が固定されたコイルばね50は、その他端が第5の軸75に連結されているため、該コイルばね50が収縮する距離は、係合片71と凹部60aとの距離に依存する。このようにして、係合片71に対向する凹部60aを、凹部60aに選択した場合には、例えば、座板取付け部10の底部に対して、18°の傾動角を得ることとなる。
(第2の実施形態)
図7〜図13は、本発明に係る椅子の第2の実施形態における構成を示す図である。
図7に示すように、本実施形態の構成は、図1に示した第1の実施形態の構成に対して、背凭れ取付け部材30に端部30dが設けられておらず、その結果として、第5の軸75が存在しないため、一端50aが固定されたコイルばね50の他端50bは、第1の軸15に接続されている点が異なる。
また、第5の軸75がないため、該第5の軸に代わって、第1の軸15が係合部材70を支持している点が異なる。即ち、本実施形態の構成は、前述の第1の実施形態における第5の軸75の機能が、第1の軸15に転換された構成である、又は、第1の軸15が第5の軸75の機能を兼ねた構成である。
本実施形態では、このような構成を採用することによって、前述の第1の実施形態における「延設された端部30d」を設ける必要がないので、座板取付け部10の上下方向の厚みが薄くなり、座板取付け部10の薄さが求められる椅子、例えば、座板取付け部10の下方に設置される脚柱2の高さを調節する範囲を拡げた椅子に好適である。
また、係合部材70を支持する第1の軸15の摺動方向が孔10aによって制限されているため、前述の第1の実施形態において、係合部材70の摺動方向の制限を担っていた係合溝72を形成する必要がないので、第1の実施形態におけるコイルばね設置部材52の機能を係合部材70に持たせれば、更に部品点数を少なくすることができる。
ここで、本実施形態におけるカム部材60の構成は、前述の第1の実施形態におけるカム部材60と同様の構成を採用してもよいが、他には、図8に示すような構成のカム部材60の態様が挙げられる。
具体的には、図8に示すように、座板受け部材10における左右の側面部11,12のうち、第4の軸65が設置される側面部11に対して所定の間隔をもって設けられた支持板13が、上面視で、前側及び右側に開のL字形状をなしており、該支持板13の側面部11に対向する側の面13aと、側面部11とのそれぞれに形成された孔(図示せず)に第4の軸65が挿嵌されている。
支持板13の側面部11に対向する側の面13aと、側面部11との間には、図9に示すように、回動中心としての孔63を有し、該孔63の中心からの距離を異ならせた複数の凹部60aが前側の周面に形成されるとともに、第4の軸65と平行の方向に切り込まれた凹部60bが後側の周面に形成されたカム部材60が孔63で軸支されている。
ここで、本実施形態における係合部材70の上面視における構成を示す図10Aのように、係合片71がカム部材60に対向する方向(例えば、後方)に設置されるように、第1の軸15に係合部材70が設置される。また図10AのC−C断面図である図10Bに示すように、係合片71は、カム部材60に複数形成された凹部60aに確実に係合するように、先端が尖った形状とされている。
また、支持板13の後側の面13bと、カム部材60との間には、支持板13の後側の面13bに固定され、図11に示す断面図のように、凸部91が形成され、該凸部91がカム部材60の凹部60bに対して嵌合し、かつ付勢する弾性体90が設置されている。この弾性体90は、例えば、板バネや樹脂バネを採用することが好ましい。
このように、カム部材60の凹部60bに対して、弾性体90の凸部91が嵌合している状態から、使用者が操作部66を用いて、第4の軸65を回動させたときには、弾性体90が撓んで、凹部60bに対する凸部91の嵌合が解除され、カム部材60上の凹部60b,60b間に凸部91が付勢しながら、隣接する凹部60bに対して順にクリックすることになり、カム部材60の前側の周面に形成された凹部60aの向きを、所定位置で確実に固定することができる。
即ち、本実施形態の椅子1は、座部を載置した座板20が、座板受け部材10に対して前後方向に摺動可能かつ回動可能に第1の軸15によって連結され、座板受け部材10と、背凭れ40を保持した背凭れ取付け部材30とが第2の軸25によって連結され、背凭れ取付け部材30と、座板20とが第3の軸35で連結されてなり、背凭れ40を、第2の軸25を支点に回動させることによって前記座部を後方及び下方に移動可能とした椅子であって、回転中心からの距離を異ならせた複数の凹部60aが周面に形成されたカム部材60と、該カム部材60を前記回転軸で回転可能に軸着し、第1の軸15に略平行に配置された第4の軸65と、カム部材60に対向するように突出した係合片71を備えた係合部材70の一端が第1の軸15に軸支され、一端が第1の軸15に軸支されると共に、カム部材60及び係合部材70が対向する方向と略平行に変位するように設置され、背凭れ取付け部材30を、座板受け部材10に対して第2の軸25を中心に回動させたときの振幅が、第4の軸65を回動させることによって設定された、係合片71と、該係合片71に対向する凹部60aとの距離に制限される付勢部材(弾性体)50とを有することを特徴とする椅子である。
したがって、本実施形態における椅子1は、前述の第1の実施形態と同様に、図12Aに示すように、係合片71がカム部材60に当接していない状態で、第4の軸65を回動させて、係止片71に対向させる凹部60aを任意に設定した後に、第2の軸25を支点にして、背凭れ40を傾動させたとき、第3の軸35によって連結された座板20を介して、該座板20と座板受け部材10とを連結する第1の軸15がコイルばね50を収縮させる。このとき、この収縮量は、孔10aに沿って摺動する第1の軸15に連結された係止片71が凹部60aに当接するまでの距離である。即ち、図12Bに示すように、凹部60b(図9参照)が凸部91に係合するように第4の軸65を回動させて、係止片71に対向させる凹部60a〜60a(図9参照)のうち、孔63から凹部60aの底部までの距離が最も遠い凹部60aを選択した場合、図12Cに示すように、凹部60bが凸部91に係合するように第4の軸65を回動させて、係止片71に対向させる凹部60a〜60aのうち、孔63から凹部60aの底部までの距離がやや遠い凹部60aを選択した場合、及び図12Dに示すように、凹部60bが凸部91に係合するように第4の軸65を回動させて、係止片71に対向させる凹部60a〜60aのうち、孔63から凹部60aの底部までの距離がやや近い凹部60aを選択した場合では、図12Bに示す状態における本発明の椅子の傾動角度が、図12C、及び図12Dに示す状態における本発明の椅子の傾動角度より小さくなり、図12Cに示す状態における椅子の傾動角度は、図12Dに示す状態における本発明の椅子の傾動角度より小さくなる。
本発明に係る椅子に設けられたカム部材60及び係合部材70は、図13に示すように、ユニット化してもよい。具体的には、上面が開口するように平板をコの字形状とした支持板14に孔14a,14bを形成し、カム部材60が孔63で軸支された第4の軸65を、孔14aと、孔14bとの間に挿嵌し、第5の軸が孔70aに挿嵌された係合部材70の係合片71をカム部材60に形成された凹部60aに対向するように位置させるとともに、第5の軸75にコイルばね50の一方を軸着する。なお、必要に応じて、支持板14の内面に凸部を形成し、該凸部に嵌合する凹部61が形成されたガイド部材61をカム部材60に一体形成してもよい。
このように構成されたユニットは、既存の椅子1に設置する際に、該椅子1に端部30dが形成されているか否かに応じて、コイルばね50の他方の固定位置、及びコイルばね50の一方と係合部材70とが軸支される軸を、第1の実施形態における第5の軸とするか、第2の実施形態における第1の軸とするかを採択することができるので、簡便に設置することができる。
本発明の椅子は、簡単な構造で、傾動範囲を容易にかつ確実に調節できるため、傾動動作を伴うサイドチェア、ロッキングチェア、リクライニングチェアなど、各種の椅子に好適に用いることができる。
図1は、本発明に係る椅子の第1の実施形態における構成を示す部分上面図である。 図2は、図1のA−A断面図である。 図3Aは、本発明に係る椅子の第1の実施形態において備えられるカム部材の構造を示す側面図である。 図3Bは、本発明に係る椅子の第1の実施形態において備えられるカム部材の構造を示す前面図である。 図3Cは、本発明に係る椅子の第1の実施形態において備えられるカム部材の構造を示す側面図である。 図4は、本発明に係る椅子の第1の実施形態において備えられる係止部の構造を示す図である。 図5Aは、本発明に係る椅子の第1の実施形態において、凹部60aを、係止片71に対向させて、背凭れを傾動させたときの動作を示す透過断面図である。 図5Bは、本発明に係る椅子の第1の実施形態において、凹部60aを、係止片71に対向させて、背凭れを傾動させたときの動作を示す透過断面図である。 図5Cは、本発明に係る椅子の第1の実施形態において、凹部60aを、係止片71に対向させて、背凭れを傾動させたときの動作を示す透過断面図である。 図6は、図1のB−B断面図である。 図7は、本発明に係る椅子の第2の実施形態における斜視図である。 図8は、本発明に係る椅子の第2の実施形態における斜視図である。 図9は、本発明に係る椅子の第2の実施形態におけるカム部材の構造を示す図である。 図10Aは、本発明に係る椅子の第2の実施形態における係合部材の構造を示す上面図である。 図10Bは、図10AのC−C断面図である。 図11は、本発明に係る椅子の第2の実施形態における弾性体の構造を示す図である。 図12Aは、本発明に係る椅子の第2の実施形態において、凹部60aを、係止片71に対向させたときの構成を示す透過断面図である。 図12Bは、本発明に係る椅子の第2の実施形態において、凹部60aを、係止片71に対向させて、背凭れを傾動させたときの動作を示す透過断面図である。 図12Cは、本発明に係る椅子の第2の実施形態において、凹部60aを、係止片71に対向させて、背凭れを傾動させたときの動作を示す透過断面図である。 図12Dは、本発明に係る椅子の第2の実施形態において、凹部60aを、係止片71に対向させて、背凭れを傾動させたときの動作を示す透過断面図である。 図13は、本発明に係る椅子に備えられるカム部材及び係止部をユニット構造としたときの構成を示す斜視図である。 図14は、従来の椅子の構造を示す部分透過図である。 図15は、従来の椅子の構造を示す部分透過図である。
符号の説明
1 椅子
10 座板受け部材
10a 座板受け部材の一端
10b 座板受け部材の他端
15 第1の軸
20 座板
20a 座板の一端
20b 座板の他端
25 第2の軸
30 背凭れ取付け部材
30a 背凭れ取付け部材の一端
30b 背凭れ取付け部材の他端
30c 背凭れ取付け部材の中間部
30d 背凭れ取付け部材の延設された端部
35 第3の軸
40 背凭れ
50 弾性体(コイルばね)
51 コイルばね設置部材
52 コイルばね設置部材
60 カム部材
60a 凹部
65 第4の軸
66 操作レバー
70 係合部材
71 係合片
72 係合溝
75 第5の軸
80 弾性体
90 弾性体

Claims (3)

  1. 座部を載置した座板が、座板受け部材に対して前後方向に摺動可能かつ回動可能に第1の軸によって連結され、前記座板受け部材と、背凭れを保持した背凭れ取付け部材とが第2の軸によって連結され、前記背凭れ取付け部材と、前記座板とが第3の軸で連結されてなり、前記背凭れ取付け部材を、前記第2の軸を支点に回動させることによって、座板受け部材に対して前記座板を後方及び下方に移動可能とした椅子であって、
    回転中心からの距離を異ならせた複数の凹部が周面に形成された1つのカム部材を回転可能に軸着した第4の軸と、
    前記背凭れ取付け部材の他端から下方に延設された前記背凭れ取付け部材の端部に、前記第4の軸の軸方向に略平行に配置され、前記カム部材に対向するように突出した係合片を備えた1つの係合部材の一端を軸支した第5の軸と、
    一端が前記第5の軸に軸支され、前記係合部材と平行に配されると共に、前記カム部材、及び前記係合部材が対向する方向と略平行に変位するように設置され、前記背凭れ取付け部材を、前記座板受け部材に対して前記第2の軸を中心に回動させたときの振幅が、前記第4の軸を回動させることによって設定された前記係合片と、該係合片に対向する凹部との距離に制限される1つの付勢部材とを有することを特徴とする椅子。
  2. 座部を載置した座板が、座板受け部材に対して前後方向に摺動可能かつ回動可能に第1の軸によって連結され、前記座板受け部材と、背凭れを保持した背凭れ取付け部材とが第2の軸によって連結され、前記背凭れ取付け部材と、前記座板とが第3の軸で連結されてなり、前記背凭れ取付け部材を、前記第2の軸を支点に回動させることによって、座板受け部材に対して前記座板を後方及び下方に移動可能とした椅子であって、
    回転中心からの距離を異ならせた複数の凹部が周面に形成された1つのカム部材を回転可能に軸着し、前記第1の軸に略平行に配置された第4の軸と、
    前記カム部材に対向するように突出した係合片を備えた1つの係合部材の一端が前記第1の軸に軸支され、
    一端が前記第1の軸に軸支され、前記係合部材と平行に配されると共に、前記カム部材及び前記係合部材が対向する方向と略平行に変位するように設置され、前記背凭れ取付け部材を、前記座板受け部材に対して前記第2の軸を中心に回動させたときの振幅が、前記第4の軸を回動させることによって設定された係合片と、該係合片に対向する凹部との距離に制限される1つの付勢部材とを有することを特徴とする椅子。
  3. カム部材及び係合部材をユニット化した請求項1から2のいずれかに記載の椅子。
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