以下に、本発明にかかる分波装置、合波装置、通信装置および中継衛星の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる分波装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。本実施の形態の分波装置は、ディジタル分波部1と、受信フィルタバンク制御部2と、分波装置を構成する各構成要素にクロックを供給するクロック供給部3と、復調部4と、で構成される。また、ディジタル分波部1は、A/D変換部(A/D)11と、周波数変換とローパスフィルタ処理を施した後、そのサンプリングレートを入力データ速度の半分にしてから出力する周波数変換・受信ローパスフィルタ(FC+RXHBF)12−1〜12−14と、受信セレクタ13と、受信波形整形フィルタ14と、で構成される。
図2は、本発明にかかる合波装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。本実施の形態の合波装置は、送信フィルタバンク制御部5と、クロック供給部6と、変調部7と、ディジタル合波部8と、で構成される。また、ディジタル合波部8は、送信波形整形フィルタ21と、送信セレクタ22と、サンプリングレートを入力データ速度の2倍に補間後、周波数変換して出力する送信ローパスフィルタ・周波数変換部(TXHBF+FC)23−1〜23−14と、加算器24−1〜24−7と、D/A変換部(D/A)25と、で構成される。
なお、図1に示すディジタル分波装置および図2に示すディジタル合波装置は、周波数変換・受信ローパスフィルタまたは送信ローパスフィルタ・周波数変換部を3段階の構成とする3ステージの構成例である。ステージ数をstage(=1,2,3,…)とすると、最大分波/合波数は2stageで表すことができる。したがって、本実施の形態の構成では、stage=3であるため、最大8(=23)波の分波/合波を実現する。本実施の形態では、stage数を3として説明するが、これに限らず、stage数が4以上の場合に本発明を適用してもよい。
図3は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−i(i=1〜14)の構成例を示す図である。ここでは、フィルタのタップ数を19タップとしている。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iは、外部設定によって任意の(自由な)周波数オフセットを実現する周波数変換部31と、ローパスフィルタ部(同相側)32と、ローパスフィルタ部(直交側)33と、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33の出力データを1/2に間引く(=データを2回に1回の割合で間引く)ダウンサンプラ34と、で構成される。また、ローパスフィルタ部(同相側)32は、シフトレジスタ43と、乗算器45−1〜45−11と、実数加算部46と、で構成され、シフトレジスタ43は、さらにレジスタ44−1〜44−19で構成される。周波数変換部31は、複素乗算部41と、ローカル信号生成部42と、で構成される。また、ローパスフィルタ部(直交側)33は、ローパスフィルタ部(同相側)32と同様の構成である。
図4は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−i(i=1〜14)の構成例を示す図である。図3の周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iと同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付している。送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−iは、入力データ(実数、虚数)を、2倍にアップサンプル(=各入力データの間にゼロを1つずつ挿入)するアップサンプラ35と、ローパスフィルタ部(同相側)32と、ローパスフィルタ部(直交側)33と、周波数変換部36と、で構成される。周波数変換部36は、周波数変換部31と同様の構成である。
全体の動作を説明する前に、まず、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iおよび送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−iの動作について説明する。図5は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iの動作例を示す図である。また、図6は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iの別の動作例を示す図である。
周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iは、サンプリング周波数fSAMPでサンプリングされた入力信号帯域(帯域幅fSAMP)の一部を、中心周波数ゼロにダウンコンバートしながら、所定のフィルタ特性を有するローパスフィルタで抽出する。このフィルタ特性(周波数特性)としては、阻止領域として少なくとも0.25fSAMP〜0.75fSAMPの領域を含むこととする。
たとえば、図5の左上のデータD1として図示したように、入力信号の帯域に4つの信号スペクトラム#0〜#3が存在するとする。まず、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iの周波数変換部31は、図5のデータD2として示すように、後述の周波数オフセット方法に基づいて各々に設定された抽出帯域の中心周波数をゼロにするように周波数変換を行う。
たとえば、バンド#0を抽出するように設定されている周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iでは、周波数変換部31は、バンド♯0の中心周波数(この例では、1/8fSAMP)がゼロになるよう周波数変換する。同様に、バンド#1,#2,#3を抽出するように設定されている周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iの周波数変換部31は、バンド♯1,#2,#3の中心周波数(この例では、3/8fSAMP,5/8fSAMP,7/8fSAMP)がゼロになるようそれぞれ周波数変換する。
つぎに、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33は、周波数変換部31から出力されるデータD2に対して、中心周波数を0に周波数変換した帯域の信号を通過させ、また、所定の阻止帯域(この例では、少なくとも0.25fSAMP〜0.75fSAMPの領域を含む)の信号成分を除去し、フィルタリング後のデータD3としてダウンサンプラ34に出力する。
ダウンサンプラ34は、入力されたデータD3を1/2に間引く。このため、間引く前のデータの0.5fSAMP〜1.0fSAMPの領域の周波数成分が、0.0fSAMP〜0.5fSAMPの領域の周波数成分に重なるが、事前にローパスフィルタで0.25fSAMP〜0.75fSAMPの領域の信号成分を除去しているため、抽出対象の信号帯域ではエイリアス成分が除去されており、S/N劣化を起こすことはない。
本実施の形態の分波処理では、上記のような周波数変換処理、ローパスフィルタのフィルタリング処理、ダウンサンプル処理を1組とする処理を、ダウンサンプル後のサンプリング周波数が、本来抽出すべき信号帯域幅の2倍になるまで繰り返す。
なお、上記の処理が終了後は、受信セレクタ13が、上記の処理により分波された信号のうち、受信フィルタバンク制御部2から送信される受信選択信号によって指定される信号を選択して、受信波形整形フィルタ(または狭帯域ローパスフィルタ)14が、選択した信号に対して残留する高調波成分を除去し対象とする信号だけを抽出する。
ところで、図6に示すように、入力データD1が、図5の場合と抽出対象とする各信号の中心周波数がずれており、そのずれ量が抽出帯域により異なるとする。この場合、図5の例と同じオフセット量(m/8fSAMP,m=1,3,5,7)で周波数変換すると、抽出帯域の中心周波数がゼロにならない。本実施の形態の周波数変換部31は、入力信号の周波数を任意の値に自由にオフセットすることができるため、周波数変換部31は、各周出帯域(バンド#0〜#2)をそれぞれゼロにするようなオフセット量を設定し、抽出対象の帯域の中心周波数をゼロにするよう周波数変換することができる。周波数変換後の処理は、図5の例と同様である。
つぎに、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−iの動作を説明する。図7は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−iの動作例を示す図である。送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−iは、入力信号のサンプリング周波数(=0.5fSAMP)を2倍(=1.0fSAMP)に補間しながら入力信号の中心周波数を任意の値にオフセットする。
たとえば、アップサンプラ35が送信波形整形フィルタ21から入力されるデータD6を2倍の速度にアップサンプルしてデータD7とし、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、データD7からイメージ成分を除去してデータD8とし、周波数変換部36が、データD8に対して任意の周波数にオフセットする周波数変換を実施しデータD9として出力する。ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33には、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iのローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33と同様に、所定の周波数特性がそれぞれ設定されているとする。
本実施の形態の合波処理では、このようなアップサンプル処理、ローパスフィルタ処理および周波数変換を1組とする処理と、その処理結果を他の信号(他のバンドに対応する信号または他の送信ローパスフィルタ・周波数変換部の処理結果の信号)と加算する加算処理と、を、アップサンプル後のサンプリング周波数がD/A25のサンプリング周波数に到達するまで繰り返す。
つづいて、本実施の形態の全体動作について説明する。まず、分波処理について説明する。ここで、以下の条件を仮定する。受信信号のうち分波対象の帯域信号が含まれる範囲、すなわち、送信側が使用可能な周波数帯をシステム帯域SBWとし、SBW=0.25fSAMPであるとする。分波前に、システム帯域SBW(=0.25fSAMP)に含まれる各信号の帯域幅の最大値は、システム帯域SBWの1/2(=0.125fSAMP)以下とする。図8,9,10は、本実施の形態の分波処理例を示す図である。図8の最上段の(A)は、分波前の受信信号を示している。たとえば、図8の(A)のように、受信信号の各周波数の信号f1〜f4が存在する場合、信号f3の帯域幅が最も大きいが、信号f3の帯域幅は、0.5SBW(=0.125fSAMP)であり、上記の条件を満たす。なお、fSAMPはA/D11のサンプリング周波数である。なお、ここでは、SBW=0.25fSAMPとしたが、これに限らずSBWを正しくサンプリングするために一般に用いられる必要な速度でサンプリングすれば、この関係に限る必要はない。
本実施の形態の分波処理は、下記(1)〜(11)のフローおよびルールに則って行われる。本フローは、全ての信号が分波、抽出されるまで、何度も繰り返される。なお、本フローが繰り返される度に、システム帯域SBWは1/2倍されることとする(SBW←0.5SBW)。図11は、本実施の形態の分波処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図8〜11を用いて本実施の形態の分波処理を説明する。
まず、分波処理のフローとして、受信フィルタバンク制御部2は、以下の(1)〜(5)に示す2分割ルールを適用して分割処理の実施を制御する。
(1)分割前の信号帯域の中に存在する複数の信号(=信号群)の中で、帯域幅が0.25SBWより大きく0.5SBW以下となる信号を全て検出し(ステップS11)、上記条件を満たす信号(帯域幅が0.25SBWより大きく0.5SBW以下となる信号)が1つ以上存在するかを判断する(ステップS12)。1つ以上存在する場合(ステップS12 Yes)には、検出した各信号のうち最も帯域幅が大きい信号を選択する(ステップS13)。この際、最も帯域幅が大きい信号が2つ以上存在する場合は、そのうちの任意の1つを選択する。一方、上記条件を満たす信号(帯域幅が0.25SBWより大きく0.5SBW以下となる信号)が1つも存在しない場合(ステップS12 No)は、ステップS17(下記(5))へ進む。
なお、各信号群の周波数方向の並びや帯域幅に関する情報は、受信チャンネル情報として、この分波装置を含むシステムから受信フィルタバンク制御部2に通知されている(たとえば、この分波装置を備える受信装置が送信装置との間の情報のやりとりにより受信装置がこれらの情報を得て、その情報を分波装置に入力される)こととする。
(2)ステップS13で選択した(上記(1)で選択した)信号帯域幅の左端(帯域幅のうちもっとも周波数の低い位置)で2分割した場合の2分割後の帯域幅比RL=BWL1/(BWL1+BWL2)を求める(ステップS14)。ただし、BWL1、BWL2は、ステップS13で選択した信号帯域幅の左端で2分割した場合の分割信号の各帯域幅である。
(3)ステップS13で選択した(上記(1)で選択した)信号帯域幅の右端(帯域幅のうちもっとも周波数の高い位置)で2分割した場合の2分割後の帯域幅比RR=BWR1/(BWR1+BWR2)を求める(ステップS15)。ただし、BWR1、BWR2は、ステップS13で選択した信号帯域幅の右端で2分割した場合の分割信号の各帯域幅である。
(4)RLとRRのうち50%(0.5)に近い分割比となるよう入力信号(受信信号)を分割するよう対応する周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iに指示する(ステップS16)。たとえば、AL=|RL−1/2|とAR=|RR−1/2|とを比較し、AR<ALであれば、上記ステップS13で選択した信号帯域幅の右端で入力信号を2分割し、AR≧ALであれば上記ステップS13で選択した信号帯域幅の左端で入力信号を分割する。(なお、上記AR<AL,AR≧ALの条件を、それぞれAR≦AL,AR>ALと変えても良い)。
(5)分割前の信号帯域の中に存在する信号のうち、帯域幅が0.25SBWより大きく0.5SBW以下となる信号が1つも存在しない場合(ステップS12 No)は、分割前の信号帯域の中心からもっとも近い位置に存在する信号群の区切れを検出し、その位置で入力信号を2分割するよう対応する周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iに指示する(ステップS17)。
つぎに、上記の2分割ルールを適用した制御の後、周波数変換部31により以下の(6)、(7)の周波数オフセット処理が実施される。
(6)受信フィルタバンク制御部2は、上記の、それぞれの分割後の入力信号に含まれる信号群のうち、最も帯域幅が大きい信号を選択し、選択した信号の帯域幅をBxとする(ステップS18)。最も帯域幅が大きい信号が複数存在する場合は、そのうちの任意の1つを選択する。また、分割後の入力信号に含まれる信号が1つの場合は、その信号を選択する。
(7)受信フィルタバンク制御部2は、ステップS18で選択した(上記(6)で選択した)信号の帯域の中心周波数をゼロ(=DC)にするようにオフセット量を、対応する周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iに指示し、指示された周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iの周波数変換部31は、入力信号に対して指示に基づいて周波数オフセットを行う(ステップS19)。
なお、ここでは、周波数オフセットの量を受信フィルタバンク制御部2が求めるようにしたが、周波数変換部31が、入力信号と受信フィルタバンク制御部2から受信チャネル情報と分割位置を取得し、(6)および(7)の処理を全て周波数変換部31が行うようにしてもよい。
つぎに、以下の(8)〜(11)に示すダウンサンプルおよび信号抽出のルールに従って、ダウンサンプルおよび信号抽出の処理を実施する。
(8)ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33は、受信フィルタバンク制御部2からの指示に基づいてフィルタの周波数特性を設定し、ステップS19(上記(7))で周波数オフセットされた入力信号に対して高調波成分を除去し、ダウンサンプラ34が、高調波成分を除去後の信号をサンプリング周波数を1/2にするよう間引く(ステップS20)。
(9)ここで、ステップS18(上記(6))で選択した信号の帯域幅Bxを、システム帯域SBWと比較し、0.25SBW<Bx≦0.5SBWを満たすかを判断し(ステップS21)、この条件を満たす場合(ステップS21 Yes)、受信フィルタバンク制御部2は、受信セレクタ13に対して、ステップS18で選択した信号に対してステップS19の処理(ダウンサンプルおよび信号抽出)を実施した信号(以下、分割終了信号という)を後段へ出力するよう指示する受信選択信号を送信し、受信セレクタ13が受信選択信号に基づいて分割終了信号に対応する周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iの出力を選択して、選択した出力信号を受信波形整形フィルタ14に送り、受信波形整形フィルタ14は、その出力信号を抽出する(ステップS22)。また、分割終了信号以外の残った信号群は、次のステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iへ出力され、次のステージの処理が実施される(ステップS22)。
(10)0.25SBW<Bx≦0.5SBWを満たさない場合(ステップS21 No)、ステップS18で選択した(上記(6)で選択した)信号を含め、全ての信号群を含む分割された入力信号は、次のステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−iへ出力される。
そして、次のステージの分波処理として、再度、上記ステップS11〜ステップS22(上記(1)〜(10))を実施するが、その際、受信フィルタバンク制御部2は、残留する信号群(分割終了信号以外の帯域の信号)の全帯域(残留する信号群の最も低い周波数から、最も高い周波数の間の帯域幅:空き帯域含む)が0.25SBW以下であるか、または、残留する信号が1つであるか、を判断し(ステップS23)、全帯域が0.25SBW以下であるか、または、残留する信号が1つである場合(ステップS23 Yes)は、次のステージでの分割処理を実施せずに、その残留する信号を分割終了信号とし(ステップS24)、ステップS18に戻り以降の処理を実施する。また、全帯域が0.25SBW以下でないか、または、残留する信号が2つ以上である場合(ステップS23 No)、その残留する信号を分割前信号とし(ステップS25)、ステップS11に戻り以降の処理を再度実施する。なお、この際、前述のとおり、SBWを1/2の値に設定しなおして(SBW=1/2×SBW)処理する。
つぎに、上記のフローの分波処理を行う場合に、具体例をあげて説明する。図8〜10は、受信信号に含まれる信号が異なる3ケースを示している。まず、図8の例について説明する。図8の例では、最上段の(A)に示すように、システム帯域SBWに、入力信号(受信信号)に帯域信号f1〜f4が含まれているとする。なお、SBWは、A/Dサンプリング周波数fSAMPの1/4である。図8は、帯域信号f3の帯域が0.5SBW以上となる例である。
まず、第1ステージの分波処理(周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1,12−2の処理)として、入力信号を2つに分割するための処理を行う。帯域信号f3の帯域が0.5SBW以上であるため、上記のステップS11で帯域信号f3が検出され、帯域信号f3以外は、帯域が0.5SBW未満であるため、ステップS13で帯域信号f3が選択される。したがって、最初(第1ステージ)の2分割の分割位置の候補は、図(A)の左端(a)か右端(b)のいずれかとなる。
ここで、左端(a)で分割するとRL=3/8、AL=1/8となり、右端(b)で分割すると、RR=7/8、AR=3/8となる。したがって、図8(A)から明らかなように、AR>ALとなり、上記のステップS16では、左端(a)での分割を実施することになる。したがって、受信フィルタバンク制御部2は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1,12−2に、左端(a)での分割を行うよう指示する。なお、帯域信号f1〜f4の周波数方向の並びや、帯域幅に関する情報は、受信チャンネル情報として受信フィルタバンク制御部2に入力されているとする。
周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1,12−2は、受信フィルタバンク制御部2からの上記の指示に基づいて、周波数変換、ダウンサンプリングおよび信号抽出の処理を実施する(上記のステップS18〜ステップS20)。この分割により、入力信号は図8の(B)と(C)に示す2つの信号に分割される。
具体的には、受信フィルタバンク制御部2は、上記(6),(7)で述べた周波数オフセットのルールに則り、分割する信号のうちの低周波数側の信号(以下、低周波数分割信号という)に含まれる帯域信号f1およびf2のうち、帯域の広い方の帯域信号f2の中心周波数をゼロにするような(図8の(B)の縦矢印の位置をゼロとする)周波数設定値を周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1に指示する。
また、受信フィルタバンク制御部2は、上記(6),(7)で述べた周波数オフセットのルールに則り、分割する信号のうちの高周波数側の信号(以下、高周波数分割信号という)に含まれる帯域信号f3およびf4のうち、帯域の広い方の帯域信号f3の中心周波数をゼロにするような(図8の(C)の縦矢印の位置をゼロとする)周波数設定値を周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−2に指示する。
そして、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1,12−2は、受信フィルタバンク制御部2から指示された周波数設定値に基づいてそれぞれ低周波数分割信号,高周波数分割信号に対して周波数変換処理を行い、周波数変換後の信号からローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が高周波成分を除去して、ダウンサンプラ34が、高周波成分を除去後の信号のサンプリング周波数を1/2に落とす。
そして、ステップS21の処理として、上記の抽出信号の帯域幅Bxを求めるが、ここで、Bxは帯域信号f3の帯域幅B3であり、B3は、0.25SBW<B3≦0.5SBWを満たすため、前記信号抽出のルールに則り、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−2で処理された高周波分割信号は、受信波形整形フィルタ14に出力され、受信波形整形フィルタ14がその信号から帯域信号f3を抽出する。帯域信号f3以外の信号(図8の(B)全体と(C)から帯域信号f3を除いた周波数成分に対応)は、0.25SBW<Bx≦0.5SBWを満たさないため、次のステージ(第2ステージ)の処理に出力される。
第2ステージ(周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−3〜12−6に対応)では、第1ステージのSBWを、0.5×SBWに更新して、第1ステージと同様の処理を行う。
具体的には、受信フィルタバンク制御部2は、第1ステージで分割した低周波分割信号(図8(B))をさらに2分割する位置を決定する。ここでは、低周波分割信号に含まれる帯域信号f1およびf2は、いずれも帯域幅が0.5×SBW未満であるため、低周波分割信号の信号帯域の中心からもっとも近い位置に存在する区切り位置として、帯域信号f1と帯域信号f2の間に決定される。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1が抽出した低周波分割信号が出力される周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−3,12−4にその分割が指示される(図8の(D)および(E))。
具体的には、受信フィルタバンク制御部2は、低周波分割信号を分割した低周波数側の分割信号(以下、低周波数側低周波数分割信号という)については、前述の周波数オフセットのルールにより、帯域信号f1の中心周波数をゼロにする周波数設定値を求め、その周波数設定値を周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−3に指示する。そして、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−3は、指示に基づいて低周波数側低周波数分割信号に対して、周波数変換、高周波成分の除去、ダウンサンプルの処理を行う(図8の(D))。
また、受信フィルタバンク制御部2は、低周波分割信号を分割した高周波数側の分割信号(以下、高周波数側低周波数分割信号という)については、前述の周波数オフセットのルールにより、帯域信号f2の中心周波数をゼロにする周波数設定値を求め、その周波数設定値を周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4に指示する。そして、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4は、指示に基づいて高周波数側低周波数分割信号に対して、周波数変換、高周波成分の除去、ダウンサンプルの処理を行う(図8の(E))。ここで、低周波数分割信号については第1ステージでf2の中心をゼロにするように周波数変換が実施されているため、実際には、周波数変換処理は行われない。
周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4で処理された信号は帯域信号f2を含むが、ここで、帯域信号f2の帯域幅B2は、0.25BSW<B2≦0.5BSWを満たすため、前記信号抽出のルールに則り、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4で処理された高周波数側低周波数分割信号は、受信波形整形フィルタ14に出力され、受信波形整形フィルタ14がその信号から帯域信号f2を抽出する。
一方、受信フィルタバンク制御部2は、高周波分割信号に対して、分割する位置を検出するが、帯域信号f3は既に抽出されているため、残りの信号は帯域信号f4のみであるため、分割は実施しない。そして、前記周波数オフセットのルールにより、帯域信号f4の中心周波数をゼロにするよう受信フィルタバンク制御部2が周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−5に指示する。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−5が、その指示に基づいて周波数変換を実施し、高周波数成分の除去とダウンサンプリングの処理を行う。
周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4の処理後の信号に含まれる帯域信号f1、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−5の処理後の信号に含まれる帯域信号f4は、いずれも0.25BSW<Bx≦0.5BSWを満たさないため、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4の処理後の信号および周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−5の処理後の信号は第3ステージに入力される。
第3ステージでは、第2ステージSBWを、SBW×0.5(第1ステージのSBWを基準にすると、基準の1/4の値)に更新して第1ステージ、第2ステージと同様の処理が行われる。
具体的には、まず、受信フィルタバンク制御部2は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4の処理後の信号および周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−5の処理後の信号(図8(D)、図8(F)に対応)について、それぞれの各信号群を2分割するための位置を検出するが、残された信号は、それぞれ1つ(帯域信号f1,帯域信号f4)だけであるため、分割制御は行わず(上記のステップS23 Yesの処理)、それらの信号を分割後の信号として扱う。
周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4の処理後の信号は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7に出力され、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−5の処理後の信号は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−14に出力される。
受信フィルタバンク制御部2は、前述の周波数オフセットのルールにより、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4の処理後の信号については、帯域信号f1の中心周波数をゼロにする周波数設定値を求め、その周波数設定値を周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7に指示する。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7は、指示に基づいて、周波数変換、高周波成分の除去、ダウンサンプリングを実施するが、既に第2ステージで帯域信号f1の中心周波数がゼロになるよう周波数変換されているため、実際は第3ステージでは周波数変換は行われない。
同様に、受信フィルタバンク制御部2は、前述の周波数オフセットのルールにより、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−5の処理後の信号については、帯域信号f4の中心周波数をゼロにする周波数設定値を求め、その周波数設定値を周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−14に指示する。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−14は、指示に基づいて、周波数変換、高周波成分の除去、ダウンサンプリングを実施するが、既に第2ステージで帯域信号f4の中心周波数がゼロになるよう周波数変換されているため、実際は第3ステージでは周波数変換は行われない。
ここで、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7の処理後の信号に含まれる帯域信号f1の帯域B1は、0.25SBW<B1≦0.5SBWを満たすため、前記信号抽出のルールに則り、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7で処理された信号は、受信波形整形フィルタ14に出力され、受信波形整形フィルタ14がその信号から帯域信号f1を抽出する。
また、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−14の処理後の信号に含まれる帯域信号f4の帯域B4も、0.25SBW<B4≦0.5SBWを満たすため、前記信号抽出のルールに則り、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−14で処理された信号は、受信波形整形フィルタ14に出力され、受信波形整形フィルタ14がその信号から帯域信号f4を抽出する。
このようにして、本実施の形態では、受信信号に含まれる各帯域信号の周波数位置と帯域幅に応じて周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1〜14を用いた分波処理を実施し、帯域信号ごとに受信セレクタ13が受信フィルタバンク制御部2の指示に基づいて周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1〜14の出力のうち対応する信号を選択し、選択した信号を分波信号として後段の処理に出力するようにした。このような処理を行うことにより、従来技術では実現できなかった図8(A)に示すような信号群の分波を行うことができる。
なお、受信フィルタバンク制御部2は、分波した帯域信号が受信波形整形フィルタ14に供給されるよう、受信セレクタを制御することとする。
つぎに、図9の例について説明する。図9の例は、AR=ALとなるケースである。図9の(A)に示すように、この例では、受信信号に、帯域信号f1〜f4が含まれ、帯域信号f3の帯域幅が0.5SBWであるとする。この場合、上述のステップS13では、帯域信号f3が選択される。一方、帯域信号f3について、RR,ARとRL,ALを求めると、RR=6/8,AR=2/8,RL=2/8,AL=2/8となる。AR=ALであることから、帯域信号f3の左端で分離しても、右端で分離しても、どちらでも良い。どちらを選択してもよいが、図9では、左端で2分割することを選択した場合の動作例を示している。
この場合、信号群は、2:6の比率(図9(B)と(C)の比)で2分割されるが、以下、図8で説明したのと同様に各ステージの分波処理を実施する。具体的には、まず、第1ステージで、帯域信号f1およびf2を含む図9(B)に示した低周波数分割信号は、帯域信号f2の中心周波数をゼロにするよう周波数変換され、ローパスフィルタ処理、ダウンサンプル処理が施され、図9(C)に示した高周波数分割信号は、帯域信号f3の中心周波数をゼロにするよう周波数変換され、ローパスフィルタ処理、ダウンサンプル処理が施される。そして、帯域信号f3は帯域幅が0.5×SBW以上であるため、次のステージには進まず、受信波形整形フィルタ14に出力される。
また、第2ステージでは、図9(B)に示した低周波数分割信号が、帯域信号f1を含む信号(図9(D))と帯域信号f2を含む信号(図9(E))に分割される。帯域信号f1を含む信号は、帯域信号f1の中心周波数がゼロになるよう周波数変換され、ローパスフィルタ処理、ダウンサンプル処理が施され、帯域信号f2を含む信号は、帯域信号f2の中心周波数がゼロになるよう周波数変換され、ローパスフィルタ処理、ダウンサンプル処理が施される。また、図9(C)に示した高周波数分割信号は、帯域信号f3が第1ステージの処理後に抽出されているため帯域信号f4のみを含むため、分割処理は行わず、帯域信号f4の中心周波数がゼロになるよう周波数変換され、ローパスフィルタ処理、ダウンサンプル処理が施される。
帯域信号f4は、帯域幅が0.5×SBW以上となるため、次のステージには進まず、受信波形整形フィルタ14に出力される。
帯域信号f1およびf2は、帯域幅が0.5×SBW未満であるため、図9の(D)の信号および図9の(E)の信号は、第3ステージの処理に出力される。第3ステージでは、帯域信号f1およびf2が、それぞれローパスフィルタ処理、ダウンサンプル処理が施され、受信波形整形フィルタ14に出力される。なお、図8の説明で分波処理の動作説明を実施しているため、図9の動作説明では、図8と同様の処理は説明を簡略化した。
つぎに、図10の例について説明する。図10の例は、受信信号に含まれる帯域信号f1〜f5がいずれも、帯域幅が0.25BSWより大きく0.5BSW以下である、という条件を満たさない例である。
まず、図10(A)からわかるように、帯域信号f1,f2,f5の帯域幅は、いずれも0.125×SBWであり、帯域信号f3,f4の帯域幅は0.25×SBWであるため、図10(A)に示す信号群には、0.25×SBWより大きく、0.5×SBW以下の帯域信号が存在しない。
この場合、受信フィルタバンク制御部2は、分割前の信号帯域の中心(図10(A)の位置c)から、もっとも近い位置の帯域信号の区切れ位置を検出し、その位置で信号を2分割する。
図10の例では、帯域信号の区切れ位置は、信号f3の右端(図10(A)の位置e)か、左端(図10(A)の位置d)が候補に挙がるが、位置dと位置cの距離と位置eと位置cの距離を比べると、位置cと位置eの距離の方が明らかに小さい。したがって、受信フィルタバンク制御部2は、帯域信号f3の右端で2分割するよう制御する。以降の処理は、図8および図9と同様に前述した分波のフロー、ルールに則って、分波処理を行う。
具体的には、第1ステージでは、低周波数側の周波数を抽出する周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1では、受信フィルタバンク制御部2の指示に基づいて、入力信号に対して、上記の位置cで2分割した後の低周波側の信号(図10(B))に含まれる帯域信号のうち最も帯域幅の大きい帯域信号f3の中心周波数をゼロにオフセットするよう周波数変換した後、ローパスフィルタ処理、ダウンサンプル処理を施す。同様に、高周波数側の周波数を抽出する周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−2では、受信フィルタバンク制御部2の指示に基づいて、入力信号に対して、上記の位置cで2分割した後の高周波側の信号(図10(C))に含まれる帯域信号のうち最も帯域幅の大きい帯域信号f4の中心周波数をゼロにオフセットするよう周波数変換した後、ローパスフィルタ処理、ダウンサンプル処理を施す。この例では、帯域信号f1〜f5の帯域幅は、いずれも0.25×SBWより大きく0.5×SBW以下、という条件を満たさないため、受信波形整形フィルタ14へ出力する信号は無く、すべての信号が第2ステージの処理へ送られる。
そして、第2ステージでは、低周波数分割信号に含まれる帯域信号f3の帯域が0.5SBWとなるため、帯域が0.25SBWより大きく0.5SBW以下の帯域信号として選択され、帯域信号f3の左端で分割が実施される(図10(D),(E))。そして、帯域信号f3は、受信波形整形フィルタ14へ出力される。
また、第2ステージでは、高周波数分割信号に含まれる帯域信号f4の帯域が0.5SBWとなるため、帯域が0.25SBWより大きく0.5SBW以下の帯域信号として選択され、帯域信号f4の右端で分割が実施される(図10(F),(G))。そして、帯域信号f4は、受信波形整形フィルタ14へ出力される。受信波形整形フィルタ14へ出力されていない残りの帯域信号f1,f2,f5を含む信号が第3ステージへ送られる。
第3ステージでは、帯域信号f1およびf2を含む信号は、帯域が0.5SBWとなるため、いずれかの帯域信号f1の右端または帯域信号f2の左端が分割位置で分割される(図10(H),(I))。そして、帯域信号f1およびf2は、受信波形整形フィルタ14へ出力される。また、帯域信号f5を含む信号には、他の帯域信号が存在しないため、分割は行われず帯域信号f5の中心周波数をゼロにする周波数変換以降の処理が実施され((図10(J))、帯域信号f5は、受信波形整形フィルタ14へ出力される。なお、図8の説明で分波処理の動作説明を実施しているため、図10の動作説明では、図8と同様の処理は説明を簡略化した。
ところで、本実施の形態の分波装置は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部を14個備えている。しかし、たとえば、前記の図8の例で説明した分波処理では、このうち、第2ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−5と第3ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−8〜12−13は使用しない。同様に図9の例や図10の例でも、使用されない周波数変換・受信ローパスフィルタ部が存在する。
そこで、本実施の形態では、消費電力を低減するために、使用されない周波数変換・受信ローパスフィルタ部へのクロック信号の供給を停止する。具体的には、受信フィルタバンク制御部2が、受信チャンネル情報に基づいて、処理対象の受信信号の処理に使用しない周波数変換・受信ローパスフィルタ部を特定し、クロック供給部3に対し、使用しない周波数変換・受信ローパスフィルタ部に供給するクロック信号の停止を指令(クロック制御信号)を送る。
クロック供給部3は、通常は、図1に記載される全ての構成要素にクロック信号を供給するが、受信フィルタバンク制御部2からクロック制御信号を受信するとクロック制御信号に基づいて使用しない周波数変換・受信ローパスフィルタ部へのクロック信号の供給を停止する。
一方、本実施の形態では、受信波形整形フィルタ14および復調手部4は、最小単位帯域(この分波装置で分波可能な周波数帯域幅の最小単位)で帯域信号が連続して含まれるような信号についても分波ができるように、最大8分波動作を行うことができる内部構成、すなわち、同時に最大8つに信号が処理可能な構成となる。一方、図8の例では、4つの帯域信号f1〜f4に対して処理を行うため、受信波形整形フィルタ14および復調部4のすべての内部回路を使用されていないことが考えられる。
そこで、更なる消費電力低減のため、クロック供給部3は、受信フィルタバンク制御部2からのクロック制御信号に基づいて、使用しない周波数変換・受信ローパスフィルタ部だけでなく、受信波形整形フィルタ14および復調部4の内部で使用しない回路へのクロック信号供給の停止も実施する。なお、たとえば、周波数変換・受信ローパスフィルタ部の出力と受信波形整形フィルタ14および復調部4の内部の回路との対応をあらかじめ把握しておく、などにより、クロック供給部3はクロック制御信号とクロック供給を停止すべき受信波形整形フィルタ14および復調部4の内部の回路との対応づけを保持していることとする。また、受信フィルタバンク制御部2が、クロック制御信号を用いてクロック供給部3に、クロック信号の供給を停止させる受信波形整形フィルタ14および復調部4の内部の回路を指示するようにしてもよい。
なお、図8では、4つの帯域信号f1〜f4に対する分波処理を示しているが、たとえば、このうち帯域信号f3およびf4が存在しない場合は、2つの帯域信号f1およびf2に対する分波処理となり、更に使用しない回路が増加するため、更にクロック信号の供給を停止できる箇所が増え、消費電力を下げることができる。いいかえると、本実施の形態の分波装置は、処理する受信信号に含まれる信号群の帯域幅に比例して、消費電力を下げることができる。
つぎに、図8の周波数配置を例に、本実施の形態の動作の詳細を図12〜図16を用いて説明する。図12は、第1ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−2が実施する処理を周波数軸上で示した図である。図8の(A)に示した帯域信号を含む信号を、A/D11がベースバンドサンプリングした後の信号スペクトラムを、図12の最上段((A))に示す。なお、図12ではA/D11のサンプリング周波数をfADとしているが、fAとDfSAMPとの関係は、fSAMP=fADである。図12の最上段の図に示すように、A/D11でサンプリングされることにより、図8(A)で負の周波数(図8(A)では、中央付近の縦矢印を周波数0の位置とする)の信号は、図12の最上段の図では、周波数0.875fAD〜1.0fADの位置に存在する。
4つの帯域信号f1〜f4のうち、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−2は、第1ステージで分割される高周波数側の信号、すなわち、図12の2段目(B)の斜線で示す帯域信号f3およびf4をフィルタリングによる通過の対象とする。
まず、周波数変換部31は、前述のとおり、受信フィルタバンク制御部2の指示に基づいて帯域信号f3の中心周波数がゼロになるよう周波数変換を行う(図12の3段目(C))。この場合の後段のローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が通過させる周波数範囲(通過範囲)を拡張帯域EBWとし、図中に矢印を用いた範囲で示している。また、図中、拡張帯域外の信号スペクトラムは薄色の塗りつぶしで示す。なお、拡張帯域幅EBWは、システム帯域幅SBWに対して、EBW=SBWの関係で表すことができ、また、ステージ数stageとの関係は、EBW=fAD/2(Stage+1)である。例えば、第1ステージ(ステージ数=1)では、EBW=fAD/22=0.25×fADとなる。
図12の4段目(D)は、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33通過後のスペクトラムを示しており、太線はローパスフィルタの周波数特性を示している。図12の(D)からわかるように、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33は、周波数帯域0〜0.125fADと0.875fAD〜1.0fADの領域の信号成分は通過させ、周波数帯域0.375fAD〜0.625fADの領域の信号成分は完全に除去する。したがって、この後にサンプリング周波数を1/2に間引くダウンサンプリングを行っても、エイリアス成分が拡張帯域に被ることはなく、図12の5段目(E)に示すような、ダウンサンプル後のスペクトラムが得られる。
図13は、第1ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1が実施する処理を周波数軸上で示した図である。図8の(A)で示した4つの帯域信号f1〜f4のうち、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1は、第1ステージで分割される低周波数側の信号、すなわち、図13の2段目(B)の斜線で示す帯域信号f1およびf2をフィルタリングによる通過の対象とする。
まず、周波数変換部31は、前述のとおり、受信フィルタバンク制御部2の指示に基づいて帯域信号f2の中心周波数がゼロになるよう周波数変換を行う(図13の3段目(C))。
図13の4段目(D)は、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33通過後のスペクトラムを示しており、太線はローパスフィルタの周波数特性を示している。図13の(D)からわかるように、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33は、周波数帯域0〜0.125fADと0.875fAD〜1.0fADの領域の信号成分は通過させ、周波数帯域0.375fAD〜0.625fADの領域の信号成分は完全に除去する。したがって、この後にサンプリング周波数を1/2に間引くダウンサンプリングを行っても、エイリアス成分が拡張帯域に被ることはなく、図13の5段目(E)に示すような、ダウンサンプル後のスペクトラムが得られる。
図14は、第2ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−6,第3ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4および受信波形整形フィルタ14が実施する処理を周波数軸上で示した図である。図8の(A)で示した4つの帯域信号f1〜f4のうち、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−2で処理された後の信号(帯域信号f3およびf4を含む信号)が第2ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−6に入力されるが、この信号のうち、帯域信号f3については、受信波形整形フィルタ14で抽出される。
図14の最上段(A)に受信波形整形フィルタ14により帯域信号f3が抽出された後の信号を示している。なお、図14の(A)の太線は、波形整形フィルタの周波数特性を示している。図からわかるように、受信波形整形フィルタ14は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−2から出力されたデータから帯域信号f3のみを抽出し、残留している不要波を全て削除する。
図14の左の(B)〜(E)は、第2ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−6で処理されるデータを示している。図14の左の最上段(B)は、第1ステージで周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−2から出力された信号、すなわち、第2ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−6への入力信号である。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−6は、この信号のうち、高周波数側である帯域信号f4を含む領域を通過させる。
まず、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−6の周波数変換部は、受信フィルタバンク制御部2の指示に基づいて、帯域信号f4の中心周波数をゼロにするよう周波数変換する(図14の左側2段目(C))。ここで、このときの拡張帯域幅は、EBW=fAD/23=0.125×fADである。
図14の左側3段目(D)は、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33通過後のスペクトラムを示しており、太線はローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33の周波数特性を示している。図からわかるように、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33は、第1ステージの場合と同様、拡張帯域を通過させ、高調波を除去する。したがって、サンプリング周波数を1/2に間引いても、エイリアス成分が拡張帯域に被ることはなく、図14の左側の4段目(E)に示すような、ダウンサンプル後のスペクトラムが得られる。
周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−6の出力は、第3ステージの処理、すなわち、第3ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−14に入力される。図14の右側の最上段(F)は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−14に入力される信号のスペクトラムを示している。
周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−14の周波数変換部は、この入力された信号を、受信フィルタバンク制御部2の指示に基づいて、帯域信号f4の中心周波数をゼロにするよう周波数変換を実施するが、第2ステージですでにf4の中心周波数をゼロにするよう周波数変換されているため、実際には、ここでは周波数変換は行われない。拡張帯域幅は、EBW=fAD/23=0.0625×fADに下がる。
図14の右側の2段目(G)は、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33は通過後のスペクトラムであり、太線はローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33の周波数特性を示している。図からわかるように、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33は、第2ステージの場合と同様、拡張帯域を通過させ、高調波を除去する。したがって、サンプリング周波数を1/2に間引いても、エイリアス成分が拡張帯域に被ることはなく、図14の右側の3段目(H)に示すような、ダウンサンプル後のスペクトラムが得られる。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−14の処理後の出力は、受信波形整形フィルタ14に出力される。
図14の右側の最下段(I)は、受信波形整形フィルタ14による帯域信号f4の抽出処理実施後のスペクトラムを示している。太線は受信波形整形フィルタ14の周波数特性を示している。図14の(I)からわかるように、受信波形整形フィルタ14は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−14から出力されたデータのうち帯域信号f4のみを抽出し、残留している不要波を全て削除する。
図15は、第2ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4および受信波形整形フィルタ14が実施する処理を周波数軸上で示した図である。図8の(A)で示した4つの帯域信号f1〜f4のうち、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1で処理された後の信号(帯域信号f1およびf2を含む信号)が周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4に入力されるが、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4は、この信号のうち帯域信号f2を通過させる対象とする。
図15の最上段(A)は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1から入力される信号を示し、斜線部分は通過させる対象の帯域信号f2を示している。まず、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4の周波数変換部31は、受信フィルタバンク制御部2の指示に基づいて、帯域信号f2の中心周波数をゼロにするよう周波数変換するが、第1ステージにすでに帯域信号f2の中心周波数をゼロにするよう周波数変換がされているため実際には周波数変換は行われない。拡張帯域幅は、EBW=fAD/22=0.125×fADとなる。
図15の2段目(B)は、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33通過後のスペクトラムを示しており、太線はローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33の周波数特性を示している。図からわかるように、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33は、第1ステージの場合と同様、拡張帯域を通過させ、高調波を除去する。したがって、サンプリング周波数を1/2に間引いても、エイリアス成分が拡張帯域に被ることはなく、図15の3段目(C)に示すような、ダウンサンプル後のスペクトラムが得られる。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4の出力は、受信波形整形フィルタ14に入力される。
図15の4段目(D)は、受信波形整形フィルタ14により帯域信号f2が抽出された後の信号を示している。なお、図15の(D)の太線は、受信波形整形フィルタ14の周波数特性を示している。図からわかるように、受信波形整形フィルタ14は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−4から出力されたデータから帯域信号f2のみを抽出し、残留している不要波を全て削除する。
図16は、第2ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−3、第3ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7および受信波形整形フィルタ14が実施する処理を周波数軸上で示した図である。
図8の(A)で示した4つの帯域信号f1〜f4のうち、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1で処理された後の信号(帯域信号f1およびf2を含む信号)が周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−3に入力されるが、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−3は、この信号のうち帯域信号f1を通過させる対象とする。
図16の左側の最上段(A)は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−1から周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−3に入力される信号のスペクトラムを示している。まず、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−3の周波数変換部31は、受信フィルタバンク制御部2の指示に基づいて、帯域信号f1の中心周波数をゼロにするよう周波数変換する。また、拡張帯域幅は、EBW=fAD/22=0.125×fADとなる。
図16の左側の2段目(B)は、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33通過後のスペクトラムを示しており、太線はローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33の周波数特性を示している。図からわかるように、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33は、第1ステージの場合と同様、拡張帯域を通過させ、高調波を除去する。したがって、サンプリング周波数を1/2に間引いても、エイリアス成分が拡張帯域に被ることはなく、図16の左側の3段目(C)に示すような、ダウンサンプル後のスペクトラムが得られる。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−3の出力は、第3ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7に入力される。
図16の右側の最上段(D)は、第3ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7に入力される信号のスペクトラムを示している。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7は、斜線で示す帯域信号f1を通過させる。
周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7の周波数変換部31は、受信フィルタバンク制御部2の指示に基づいて、帯域信号f1の中心周波数をゼロにするよう周波数変換するが、第2ステージですでに同様に周波数変換されているため、実際には周波数変換は行われないが、拡張帯域幅は、EBW=fAD/23=0.0625×fADとなる。
図16の右側の2段目(E)は、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33通過後のスペクトラムを示しており、太線はローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33の周波数特性を示している。図からわかるように、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33は、第2ステージの場合と同様、拡張帯域を通過させ、高調波を除去する。したがって、サンプリング周波数を1/2に間引いても、エイリアス成分が拡張帯域に被ることはなく、図16の右側の3段目(F)に示すような、ダウンサンプル後のスペクトラムが得られる。周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7の出力は、受信波形整形フィルタ14に入力される。
図16の4段目(G)は、受信波形整形フィルタ14により帯域信号f1が抽出された後の信号を示している。なお、図16の(G)の太線は、受信波形整形フィルタ14の周波数特性を示している。図からわかるように、受信波形整形フィルタ14は、周波数変換・受信ローパスフィルタ部12−7から出力されたデータから帯域信号f1のみを抽出し、残留している不要波を全て削除する。
つづいて、本実施の形態の合波処理の動作について説明する。図17は、本実施の形態の合波処理の動作を示す図である。まず、次のような条件を仮定する。合波後のシステム帯域SBW(=0.25fSAMP)に含まれる各帯域信号の帯域幅の最大値は、システム帯域SBWの1/2(=0.125ffSAMP)以下とする。たとえば、図17の例では、再下段(N)に合波処理後の信号のスペクトラムを示しているが、この図でわかるように、合波処理後の信号は、最も帯域幅の大きい帯域信号f3の帯域幅が0.5SBWであり、上記の条件を満たす。ただし、fSAMPはD/A25のサンプリング周波数である。
本実施の形態の合波処理は、以下の(ア),(イ)の2つで実現する。
(ア)送信フィルタバンク制御部5は、システムから送られる(たとえば、本実施の形態の合波装置が組み込まれる送信装置のシステム)送信チャンネル情報から、合波後の帯域信号の周波数配置や帯域幅を把握し、把握した合波後の各帯域信号を分波する場合の分波処理手順を、前述の(1)〜(11)の分波のフロー、ルールに則って求める。
(イ)送信フィルタバンク制御部5は、上記の(ア)で求めた分波処理手順の逆となる処理(=合波処理)を実施する。
以降、上記の(ア),(イ)に則って、図17に示した例について、合波処理手順を説明する。まず、送信フィルタバンク制御部5は、上記(ア)に示したように、送信チャンネル情報に基づいて、合波後の各信号の周波数配置や帯域幅を把握する。すなわち、図17の最下段(N)に示すようなスペクトラムを把握する。そして、図17の最下段(N)の信号を分波する場合の分波処理手順を求める。ここで、図17の(N)と図8の(A)は、同じスペクトラムであるため、図17(N)の分波手順は、前述の図8を例に説明した分波手順と一致する。
つぎに、上記(ア)で求めた分波手順の逆の手順として上記(イ)の合波処理を実施する。ここで、合波処理では、分波処理とステージ番号を合わせるため、D/A25に最も近いステージを第1ステージ、その次に近いステージを第2ステージ,…とする。したがって、図2の構成では、合波処理は、変調部7、送信波形整形フィルタ21、送信セレクタ22、第3ステージの送信ローパスフィルタ・周波数変換部、第2ステージの送信ローパスフィルタ・周波数変換部、第1ステージの送信ローパスフィルタ・周波数変換部の順に、行われる。
変調部7がI,Q複素平面上にマッピングした複数の送信信号は、送信波形整形フィルタ21が波形整形して、帯域制限を行う。波形整形後の信号は、中心周波数ゼロの信号として生成される。
送信フィルタバンク制御部5は、合波後の信号に基づいて、波形整形後の帯域信号ごとに出力すべき送信ローパスフィルタ・周波数変換部を選択し、送信セレクタ22に指示する。図17の例の場合は、第3ステージとしては送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−1,23−8に出力する。
第3ステージの送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−1は、送信波形整形フィルタ21から送信セレクタ22経由で(以下、送信セレクタ22経由の場合、送信セレクタ22経由という表現を省略する)出力される中心周波数ゼロの帯域信号f1に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、送信フィルタバンク制御部5から指定された周波数設定値に基づいて周波数変換を行う(図17の(A)→(C))。
なお、送信フィルタバンク制御部5は、この周波数設定値を、前記(ア)で求めた分波処理手順の第3ステージの帯域信号f1に関する周波数変換量の符号を反転した値として求める。すなわち、分波処理手順の第3ステージの周波数変換量を+Δfとすると、合波過程の第3ステージの周波数変換量は−Δfとなる。
同様に、第3ステージの送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−8は、送信波形整形フィルタ21から出力される中心周波数ゼロの帯域信号f4を、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、送信フィルタバンク制御部5から指定された周波数設定値に基づいて周波数変換を行う(図17の(B)→(E))。
また、この例では、分波処理手順の第3ステージで2つの帯域信号に分割する処理が無いことから、合波処理の第3ステージでは、加算処理は行われず、第2ステージに進む。
第2ステージの送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−9は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−1から出力される帯域信号f1に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、送信フィルタバンク制御部5から指定された周波数設定値に基づいて周波数変換を行う(図17の(C)→(F))。このとき、送信フィルタバンク制御部5は、周波数設定値は、分波処理手順の第2ステージの帯域信号f1についての周波数変換量の符号を反転した値として求める。
また、第2ステージの送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−10には、送信波形整形フィルタ21から中心周波数ゼロの帯域信号f2が出力される。送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−10は、この信号に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、送信フィルタバンク制御部5から指定された周波数設定値に基づいて周波数変換を行う(図17の左上の3段(D)→(G))。このとき、送信フィルタバンク制御部5は、周波数設定値は、分波処理手順の第2ステージの帯域信号f2についての周波数変換量の符号を反転した値として求める。
この例では、分波処理手順の第2ステージで帯域信号f1とf2が分割されているため、合波処理の第2ステージでは、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−9から出力される帯域信号f1と送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−10から出力される帯域信号f2とを、加算器24−5が加算する(図17の(J))。
同様に、第2ステージの送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−12は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−8から出力される帯域信号f4に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、送信フィルタバンク制御部5から指定された周波数設定値に基づいて周波数変換を行う(図17の(E)→(I))。このとき、送信フィルタバンク制御部5は、周波数設定値は、分波処理手順の第2ステージの帯域信号f4についての周波数変換量の符号を反転した値として求める。
また、この例では、分波処理手順の第2ステージで帯域信号f3が受信波形整形フィルタ14へ出力されるため、合波処理の第2ステージでは、加算器24−6が、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−12から出力される帯域信号f4と、送信波形整形フィルタ21から出力される中心周波数ゼロの帯域信号f3(図17の(H))と、を加算する(図17の(K))。なお、送信フィルタバンク制御部5は、帯域信号f2,f3が、それぞれ送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−10,加算器24−6に出力されるよう送信セレクタ22を制御する。
つぎに、第1ステージの送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−13は、加算器24−5から出力される帯域信号f1とf2の合波信号に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、送信フィルタバンク制御部5から指定された周波数設定値に基づいて周波数変換を行う(図17の(J)→(L))。このとき、送信フィルタバンク制御部5は、周波数設定値は、分波処理手順の第1ステージの帯域信号f1とf2の分割時の周波数変換量の符号を反転した値として求める。
同様に、第1ステージの送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−14は、加算器24−6から出力される帯域信号f3とf4の合波信号に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、送信フィルタバンク制御部5から指定された周波数設定値に基づいて周波数変換を行う(図17の(K)→(M))。このとき、送信フィルタバンク制御部5は、周波数設定値は、分波処理手順の第1ステージの帯域信号f3とf4の分割時の周波数変換量の符号を反転した値として求める。
そして、加算器24−7は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−13の出力と、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−14の出力と、を加算し、D/A25が、その加算後の信号をD/A変換して合波信号とする。
なお、合波する信号が、図8以外の、たとえば、図9(A)、図10(A)に示した信号など、他の信号である場合にも、上記の場合と同様に、それぞれの分波処理手順の逆の処理を行うことにより合波処理を行うことができる。
なお、たとえば、図17で示した合波処理では、図2の送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−2〜23−7,23−11が使用されない。そこで、送信フィルタバンク制御部5は、消費電力を低減するため、送信チャンネル情報に基づいて使用しない送信ローパスフィルタ・周波数変換部を特定し、それらの送信ローパスフィルタ・周波数変換部にクロック信号の供給を停止するようクロック供給部6にクロック制御信号により指示する。
クロック供給部6は、通常は、図2に記載の全ての構成要素にクロック信号を供給するが、送信フィルタバンク制御部5からのクロック制御信号により、使用しない送信ローパスフィルタ・周波数変換部へのクロック信号の供給を停止する。
なお、送信波形整形フィルタ21、変調部7は、最も帯域が狭い信号を合波する場合に対応できるよう最大8つの帯域信号の合波動作を行うことができる構成となっている。このため、分波装置の場合の受信波形整形フィルタ14、復調部4と同様に、送信波形整形フィルタ21、変調部7の内部では、たとえば4つの帯域信号を扱う動作例では、全ての回路が使用されていないことも考えられる。
そこで、更なる消費電力を低減するため、本実施の形態では、クロック供給部6は、送信フィルタバンク制御部5からのクロック制御信号に基づいて送信ローパスフィルタ・周波数変換部だけでなく、送信波形整形フィルタ21および変調部7の内部で使用しない回路へのクロック信号の供給も停止する。
また、たとえば、図17で示した帯域信号f1〜f4のうち帯域信号f3とf4が存在しない場合には、さらに、使用しない構成要素および回路が増加するため、クロック信号を停止できる箇所が増え、消費電力を下げることができる。すなわち、分波装置の場合と同様に、本実施の形態の合波装置は、処理する信号群の帯域幅に比例して消費電力を下げることができる。
つぎに、図17で示した合波を行う場合の動作詳細を、図18〜図22を用いて説明する。なお、図18〜図22ではD/A25のサンプリング周波数をfADとしているが、fSAMPとの関係は、fSAMP=fADである。
図18は、帯域信号f1に対して、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−1が実施される第3ステージの処理、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−9が実施する第2ステージの処理、を周波数軸上で示した図である。送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−1では、送信波形整形フィルタ21から入力される帯域信号f1(図18の(A))に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし(図18の(B))、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、アップサンプルで発生するイメージ成分(図18の(B)に灰色で示したスペクトラム)を除去する。つぎに、周波数変換部36が、イメージ成分除去後の信号を送信フィルタバンク制御部5から指示された周波数設定値に基づいて周波数変換する。ここでは、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−1は、周波数設定値としてゼロが指示されるため、周波数変換後のスペクトラムは、ローパスフィルタリング後のスペクトラムと同一になる(図18の(C))。
そして、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−1から出力される帯域信号f1は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−9に入力される。送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−9は、入力された信号に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし(図18の(D))、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、アップサンプルで発生するイメージ成分を除去する(図18の(E)。つぎに、周波数変換部36が、イメージ成分除去後の信号を送信フィルタバンク制御部5から指示された周波数設定値に基づいて周波数変換する(図18の(F))。
図19は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−10が実施する第2ステージの帯域信号f2に対する処理、および帯域信号f1と帯域信号f2の合波処理を、周波数軸上で示す図である。
送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−10では、送信波形整形フィルタ21から入力される帯域信号f2(図19の(A))に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし(図19の(B))、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、アップサンプルで発生するイメージ成分を除去する(図19の(C))。つぎに、周波数変換部36が、イメージ成分除去後の信号を送信フィルタバンク制御部5から指示された周波数設定値に基づいて周波数変換する。ここでは、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−10は、周波数設定値としてゼロが指示されるため、周波数変換後のスペクトラムは、ローパスフィルタリング後のスペクトラムと同一になる(図19の(D))。
そして、加算器24−5は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−10の出力と送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−9の出力と、を加算して出力する(図19の(E))。
図20は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−12が実施する第1ステージの帯域信号f1とf2との合波信号に対する処理を周波数軸上で示す図である。送信ローパスフィルタ・周波数23−12は、加算器24−5から出力される合波信号(図20の(A))に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし(図20の(B))、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、アップサンプルで発生するイメージ成分を除去する(図20の(C))。つぎに、周波数変換部36が、イメージ成分除去後の信号を送信フィルタバンク制御部5から指示された周波数設定値に基づいて周波数変換する(図20の(D))。
図21は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−8が実施する第3ステージの処理、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−12が実施する第2ステージの帯域信号f4に対する処理、および帯域信号f3と帯域信号f4の合波処理を、周波数軸上で示す図である。
送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−8では、送信波形整形フィルタ21から入力される帯域信号f4(図21の(A))に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし(図21の(B))、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、アップサンプルで発生するイメージ成分を除去する(図21の(C))。つぎに、周波数変換部36が、イメージ成分除去後の信号を送信フィルタバンク制御部5から指示された周波数設定値に基づいて周波数変換する。ここでは、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−10は、周波数設定値としてゼロが指示されるため、周波数変換後のスペクトラムは、ローパスフィルタリング後のスペクトラムと同一になる(図21の(C))。
送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−12は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−8から入力される帯域信号f4に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし(図21の(D))、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、アップサンプルで発生するイメージ成分を除去する(図21の(E))。つぎに、周波数変換部36が、イメージ成分除去後の信号を送信フィルタバンク制御部5から指示された周波数設定値に基づいて周波数変換する(図21の(F))。そして、加算器24−6は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−12の出力(図21の(F))と、送信波形整形フィルタ21から入力される帯域信号f3(図21の(G))とを加算する。
図22は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−13が実施する第1ステージの処理、および帯域信号f1とf2との合波信号と帯域信号f3とf4との合波信号とを合波する合波処理を、周波数軸上で示す図である。
送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−13は、加算器24−6から出力される合波信号(図22の(A))に対して、アップサンプラ35が2倍にアップサンプルし(図22の(B))、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33が、アップサンプルで発生するイメージ成分を除去する(図22の(C))。つぎに、周波数変換部36が、イメージ成分除去後の信号を送信フィルタバンク制御部5から指示された周波数設定値に基づいて周波数変換する(図22の(D))。
そして、加算器24−7は、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−13の出力(図22の(D))と、送信ローパスフィルタ・周波数変換部23−14の出力と、を加算し、加算結果をD/A25へ出力する(図22の(E))。
なお、ここでは、図8,9,10で示した例について分波処理を説明し、図17で示した例について合波処理を説明したが、本実施の形態の分波処理および合波処理は、これらの例に限らず、従来技術で行われているような2,4,8波均等の合波および分波を行う場合にも同様に適用できる。
たとえば、8波均等分波(均等な帯域幅の帯域信号に分波)の場合、入力された信号は図1に示す全ての周波数変換手段・受信ローパスフィルタ手段12−1〜12−14を用いて処理され、第3ステージの周波数変換手段・受信ローパスフィルタ手段12−9〜12−14から8つの分波された信号が出力される。同様に、8波均等合波の場合、合波処理される各信号は、図2に示す全ての送信ローパスフィルタ手段・周波数変換手段23−1〜23−14および加算器24−1〜24−7を用いて処理され合波される。
また、本実施の形態では、ステージ数=3の場合を例に説明したが、ステージ数は1以上の整数であれば、どのような値であっても本実施の形態の分波処理および合波処理を同様に実施できる。
なお、システム帯域SBWに対して、比較的帯域幅の広い広帯域信号(たとえば、SBW/2、SBW/4等の帯域幅の帯域信号)が存在せず、帯域幅が小さい帯域信号(たとえば、SBW/32、SBW/64等の帯域幅の帯域信号)だけが存在する場合、周波数変換部31の周波数設定値の最小周波数ステップ幅を大きく(粗く)して、周波数変換部31の回路規模を削減することができる。この場合、上記の(7)の処理では、初段のステージから、選択した信号の中心周波数を正確にゼロにする周波数オフセットを与えなくても良く、ゼロ近傍に周波数オフセットするよう周波数変換し、ステージを重ねることで徐々に、選択した信号の中心周波数をゼロに近づけ、信号抽出直前の最終的な周波数オフセット処理で、完全に中心周波数をゼロにするようにしてもよい。
また、本実施の形態の分波装置および合波装置の構成は、図1,2に示す通り、ツリー構成であるが、ステージ数nが増加すると、周波数変換・受信ローパスフィルタ部および送信ローパスフィルタ・周波数変換部の数2nは増加するが、動作速度は1/2nに低減する。したがって、nステージの場合の2n個の周波数変換・受信ローパスフィルタ部(または送信ローパスフィルタ・周波数変換部)の回路を1つにまとめ、本来2n個の回路で行われる信号処理を、高速なサンプリングクロック(クロック速度:fSAMP)を用いて、1つの回路で時分割処理して実現してもよい。この場合、ローパスフィルタ部(同相側)32,ローパスフィルタ部(直交側)33での演算(乗算、加算)回路や、周波数変換部31(周波数変換部36)の複素乗算部41およびローカル信号生成部42を、各周波数変換・受信ローパスフィルタ部(または送信ローパスフィルタ・周波数変換部)で共有できるため、ツリー構成の場合と比較して回路規模を低減することができる。
また、各ステージの周波数変換・受信ローパスフィルタ部(または送信ローパスフィルタ・周波数変換部)の周波数オフセット値を、+45[deg/sample]、または−45[deg/sample]の2値のいずれかに設定することで、A/D処理,D/A処理のサンプリング周波数をfSAMPから0.5fSAMPに半減させて、消費電力をさらに下げるようにしてもよい。この場合、分波または合波ができる周波数配置に制約が生じるが、簡易な回路で構成でき、低消費電力化の効果が大きくなる。
このように、本実施の形態では、受信フィルタバンク制御部2が、受信チャネル情報に基づいて、分割位置と周波数のオフセット量を決定し、周波数変換・受信ローパスフィルタ部に指示し、周波数変換・受信ローパスフィルタ部が指示に基づいて受信信号を分波するようにした。そのため、簡易な構成で、自由な周波数配置に対応することができる。
また、送信フィルタバンク制御部5が、送信チャネル情報に基づいて、分波処理と逆の処理を行うよう送信ローパスフィルタ・周波数変換部に指示し、送信ローパスフィルタ・周波数変換部および加算器が指示に基づいて受信信号を合波するようにした。そのため、簡易な構成で、自由な周波数配置に対応することができる。
さらに、本実施の形態の分波装置および合波装置は、送信または受信チャンネル情報に基づいて使用しない構成要素を特定し、特定した構成要素にクロック信号の供給を停止するようにした。このため、分波/合波の対象となる信号帯域幅に比例して低消費電力化を実現することができる。
実施の形態2.
図23は、本発明にかかる分波装置が実施する分波処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施の形態の、分波装置および合波装置の構成は、実施の形態1の分波装置および合波装置と同様である。以下、実施の形態1と異なる部分について説明する。
本実施の形態では、実施の形態1の図11で説明した分波処理手順を簡略化している。この場合、信号が3分岐するケースが発生し、信号処理の流れが複雑化するが、受信フィルタバンク制御部2、送信フィルタバンク制御部5の処理を簡略化することができる。
図23を用いて本実施の形態の分波処理手順を説明する。まず、受信フィルタバンク制御部2は、分割前の信号帯域の中心周波数から、最も近い位置の信号群(帯域信号)の区切れ位置を検出し、検出した位置を分割位置とする(ステップS31)。以降のステップS32〜ステップS39は、実施の形態1のステップS18〜ステップS25と同様である。
たとえば、帯域幅が0.1SBW,0.3SBW,0.1SBW,0.1SBW,0.2SBW,0.2SBWの6つの帯域信号g1〜g6で構成される受信信号を分波する場合、本実施の形態の分波処理手順では、g1〜g3と、g4〜g6の2つに分割することになる。なお、各帯域信号の間は、帯域幅に比べ、十分小さいとする。この場合、分割後のg1〜g3の中央の0.3SBWの帯域幅の帯域信号g3を受信波形整形フィルタで抽出しつつ、残った2つの信号を次のステージで2分割する3分岐処理が行われる。
一方、実施の形態1で説明した図11の分波処理手順では、常に2分岐となる信号処理を実現している。たとえば、上記の帯域信号g1〜g6を含む受信信号を実施の形態1の分波処理手順で分波する場合、帯域信号g1およびg2と、帯域信号g3〜g6の2つに分割する。この場合、帯域信号g1およびg2の右側の0.3SBWを受信波形整形フィルタ14で抽出しつつ、残った1つの信号を次のステージで分離する2分岐処理が行われる。
また、本実施の形態の合波処理では、送信フィルタバンク制御部5が、送信チャネル情報に基づいて、上記の図23で説明した分波処理手順を求め、その分波処理手順と逆の処理を実施する。以上述べた以外の本実施の形態の処理は、実施の形態1と同様である。
このように、本実施の形態では、受信フィルタバンク制御部2は、分割前の信号帯域の中心周波数から、最も近い位置の信号群(帯域信号)の区切れ位置を分割位置として決定するようにした。また、合波処理では、その分波処理手順の逆の処理を行うようにした。そのため、実施の形態1に比べ、受信フィルタバンク制御部2および送信フィルタバンク制御部5の処理負荷を低減することができる。
実施の形態3.
図24は、本発明にかかる中継衛星の実施の形態3の構成例を示す図である。本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態2の分波装置のディジタル分波部1およびディジタル合波部8を、非再生系中継を行う中継衛星に適用する。本実施の形態の中継衛星は、図24に示すように、ディジタル分波部100−1〜100−mと、スイッチマトリックス101と、ディジタル合波部102−1〜102−pと、を備えている。ディジタル分波部100−1〜100−mは、実施の形態1または実施の形態2の分波装置のディジタル分波部1と同様の構成とし、ディジタル合波部102−1〜102−pは実施の形態1または実施の形態2のディジタル合波部8と同様の構成とする。また、ディジタル分波部100−1〜100−mの動作は、実施の形態1または実施の形態2のディジタル分波部1の動作と同様とし、ディジタル合波部102−1〜102−pの動作は、実施の形態1または実施の形態2のディジタル合波部8と同様とする。
本実施の形態の中継衛星は、m個の地上のエリア(またはシステム帯域)から受信する受信信号をそれぞれ分波し、分波した各信号を送信対象であるp個のエリア(またはシステム帯域)に割り振り、送信対象のエリアごとに合波した信号を送信する。
ディジタル分波部100−1,100−2,…,100−mは、それぞれエリア#1,#2,…,#mから送信された信号を分波する。また、スイッチマトリックス101は、分波された信号をp個のエリアに割り振り、割り振り結果に基づいて、分波された信号をディジタル合波部102−1〜102−pに出力する。ディジタル合波部102−1,102−2,…,102−pは、入力された信号を、それぞれエリア#1,#2,…,#pに対応する信号として合波する。
このような、非再生系中継衛星の場合は、実施の形態1で述べた復調部4および変調部7は不要である。本実施の形態では、ディジタル合波部102−1〜102−pの送信フィルタバンク制御部5は、送信チャネル情報をスイッチマトリックス101から得ることになる。
また、中継の前後で信号スペクトラム形状を変化させてはいけない場合、送信波形整形フィルタ21は、単なるチャンネルフィルタとして作用し、不要波だけを除去し、通過帯域はフラットな周波数特性とする(信号帯域内の波形整形は行わない)。さらに、非再生系中継衛星では、受信波形整形フィルタ14で不要波を除去した信号が再び合波されるため、ディジタル合波部102−1〜102−pの送信波形整形フィルタ21は無くても良い。
ここで、本実施の形態の中継衛星を含む衛星通信システムで使用可能な周波数帯域幅がSBWに限定される場合、各エリアに割当てる周波数は、複数セルを1単位とする繰返しとなる。隣接するエリアで使用する周波数が異なるように配置するために、たとえば、7セルを1単位とする繰返しの場合、各エリアに割当てる周波数帯域幅はSBW/7となる。この場合、システム帯域幅SBWを、f1〜f7の2つの帯域に分けて、これらを1単位として繰返し利用する。
また、実施の形態1および実施の形態2の分波装置/合波装置は、処理帯域幅に応じて低消費電力を実現できるため、中継衛星の低消費電力化を図ることができる。特に近年、数百ビーム(エリア)での通信を実現するマルチビーム衛星では、mやpが数百まで増加するため、マルチビーム衛星の低消費電力化に有効である。
このように、本実施の形態では、実施の形態1および実施の形態2の分波装置/合波装置を非再生中継を行う中継衛星に適用した。そのため、中継衛星では、簡易な構成で、自由な周波数配置の信号に対して分波および合波することができ、低消費電力を実現することができる。