本発明は、電子写真、静電印刷の画像形成方法において静電荷像を現像するためのトナー、またはトナージェット方式の画像形成方法においてトナー画像を形成するためのトナーに関する。特にトナーで形成されたトナー画像を転写材のようなプリントシートに加熱加圧定着させる定着方式に供されるトナーに関する。
従来、電子写真、静電印刷による画像形成方法においては、一般的にプリントシート上に転写されたトナー画像を熱・圧力により定着する工程により複写物を得るものである。トナー画像を定着する工程としては、熱ローラーによる圧着加熱法(以下、熱ローラー定着法と言う)や、定着フィルムを介して加熱体に被定着シートを密着させながら定着する加熱定着法(以下、フィルム定着法と言う)などが開発されている。
熱ロールやフィルム定着法では、熱ローラー或いは定着フィルムの表面に被定着シート上のトナー画像を、当接する加圧部材により加圧下で接触しながら通過せしめることにより定着を行うものである。該定着法では熱ローラーや定着フィルムの表面と被定着シートのトナー画像とが加圧下で接触するため、該シート上にトナー画像を融着する際の熱効率が極めて高く、迅速で良好な定着を行うことができる。
近年の電子写真装置に対しては、高画質化、小型軽量化、高速高生産性化、省エネルギー化、高信頼性化、低価格化、メンテナンスフリー化など様々の要請を受けている。特に定着工程においては更に一層の高画質化、高速化、省エネルギー化、高信頼性化を達成できるシステムや材料の開発が重要な技術課題となっている。しかし、熱ローラーやフィルム定着法でこれらの課題を解決するためには、特に材料であるトナーの定着性能を大幅に改善することが必須である。
高画質化、高速化、省エネルギー化、高信頼性化に対して、具体的にトナーに求められる定着性能とは以下のものである。
より低い温度で充分に被定着シートに定着できる性能(以下、低温定着性能と言う)
定着されたトナー画像部の平滑性又は光沢性(以下、グロス性能という)
より広い温度領域で安定的に定着できる性能(以下、定着温度領域という)
一般的にこれらの性能は定着時における現象となって表れる。低温領域では、トナー同士の融着が不十分となり部分的に未定着となることや、定着シートとの密着性が不十分となり加熱ローラーやフィルム表面上にトナーが付着転移する低温オフセットを引き起こす。定着温度が高くなる程、トナーの溶融・融着は促進され、トナー画像部は平滑性を増し、グロスが上昇する。一方、高温領域では、溶融し過ぎたトナーは定着シート内部に染み込みグロスが低下することや、加熱ローラーやフィルム表面上に接しているトナーが溶融し過ぎることにより加熱ローラーやフィルム表面上にトナーが融着転移する高温オフセットを引き起こす。
これら定着時の現象はトナーの物理的物性と強く関連している。低温領域での現象は、結着樹脂のガラス転移温度Tgや軟化温度、ワックスの融点と関連しており、トナーの保存安定性や流動性とトレードオフになることが多い。また、高温領域での現象はトナーの粘弾性特性と関連しており、グロス性能とのトレードオフになることが多い。そのため、ワックスの種類や結着樹脂の分子量分布制御技術に関する検討が数多くなされている。ところが、近年のさらなる高画質化、高速化、省エネルギー化、高信頼性化に対して、優れた低温定着性能・グロス性能を有しながら十分な定着温度領域を達成できるトナーを得ることができなかった。
上記のような定着性能を改善したトナーとして、結着樹脂の高分子量成分に低Tgのビニル系樹脂を用いる検討がなされている(特許文献1乃至3参照)。これらのトナーによると、耐オフセット性、低温定着性、耐ブロッキング性を向上させることができる。しかし、グロス性能に関しては何ら記載されておらず、高画質化に対して満足できるものではない。
一方、ビニル系樹脂とポリエステル系樹脂(又はポリアミド系樹脂)のハイブリッド架橋樹脂を特定の条件で使用するトナーや、架橋剤を用いた架橋ビニル樹脂を用いるトナーが良好な低温定着性と耐オフセット性を示すことが知られている(特許文献4乃至10参照)。しかしながら、これらのトナーは架橋度とゲル成分量(又は高分子成分量)との制御が困難であり、グロス性能と耐高温オフセット性能のトレードオフに関しては十分解決されたものではない。
また、エポキシ基を用いた架橋ポリエステル樹脂やグリシジル基を用いた架橋ビニル樹脂を使用することにより、低温定着性を妨げずに耐オフセット防止効果をトナーに付与する検討もなされている(特許文献11乃至14参照)。しかしながら、本発明者らが検討を行った結果、これらのトナーにおいても網目構造とゲル成分量(又は高分子成分量)の制御が困難であり、特に高温でのグロス性能と耐高温オフセット性能のトレードオフに関しては十分解決されていない。
特開平8−30020号公報
特開平7−230187号公報
特開平7−295288号公報
特許2928370号公報
特許3044595号公報
特許3214779号公報
特許3534578号公報
特開平7−239579号公報
特開平8−54753号公報
特開平10−39543号公報
特許3474270号公報
特許3701691号公報
特開平7−20654号公報
特開平10−90943号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、より一層の高画質化、高速化、省エネルギー化の要請を満足するため、より良好な定着性を有するトナーであり、低温定着性能を有し、優れたグロス性能を持ち、定着温度領域の広いトナーを提供することが本発明の課題である。
本発明者らは検討の結果、ハイブリッド型の樹脂組成物において特定の架橋構造をとることにより、トナーの定着性能を向上させ、低温定着性能と高グロス性能をもち、かつ定着温度領域の広いトナーを実現させ得るトナー用樹脂を見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のトナー用樹脂及びトナーに関するものである。
(1)少なくともスチレン系モノマー、アクリレート系モノマー(又はメタクリレート系モノマー)、カルボキシル基含有モノマーを共重合してなる共重合体Aと、ポリエーテル構造又はポリエステル構造を有する両末端にエポキシ基を有するプレポリマーBとを架橋反応させて得られるトナー用樹脂組成物であり、該共重合体AのGPCにより算出した重量平均分子量Mwが3000乃至35000であり、該プレポリマーBの該トナー用樹脂組成物に占める構成割合が12.0乃至49.0質量%であり、該トナー用樹脂組成物のGPCにより算出したテトラヒドロフラン可溶分のピーク分子量Mpが10000乃至50000であり、テトラヒドロフラン不溶分が3.0質量%未満であることを特徴とするトナー用樹脂組成物。
(2)少なくともスチレン系モノマー、アクリレート系モノマー(又はメタクリレート系モノマー)、エポキシ基含有モノマーを共重合してなる共重合体Cと、ポリエーテル構造又はポリエステル構造を有する両末端にカルボキシル基を有するプレポリマーDとを架橋反応させて得られるトナー用樹脂組成物であり、該共重合体CのGPCにより算出した重量平均分子量Mwが3000乃至35000であり、該プレポリマーDの該トナー用樹脂組成物に占める構成割合が12.0乃至49.0質量%であり、該トナー用樹脂組成物のGPCにより算出したテトラヒドロフラン可溶分のピーク分子量Mpが10000乃至50000であり、テトラヒドロフラン不溶分が3.0質量%未満であることを特徴とするトナー用樹脂組成物。
(3)少なくとも(1)ないし(2)のいずれかに記載のトナー用樹脂組成物を結着樹脂100質量部に対して5.0乃至45.0質量部含有することを特徴とするトナー。
以下に述べる本発明で特徴付けられるトナー用樹脂を含有するトナーを用いることにより、低温定着性能を有したまま、高いグロス性能と広い定着温度領域が得られ、高画質化、高速化、省エネルギー化に対して安定した定着性能を有するトナーが得られる。
本発明者らは、トナーの定着性能について鋭意検討したところ、以下に述べるトナー用樹脂組成物を使用することにより、優れたトナーを提供できることを見出したものである。
本発明のトナー用樹脂組成物の最も特徴的な点は、スチレンアクリル系共重合体A又はCを、ポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するプレポリマーB又はDの両末端により架橋された網目構造を有していることである。この構成を持たせることで、結着樹脂中に含有させたときに、網目構造と主結着樹脂との物理的な絡まりによるゴム弾性の付与が発生する。共重合体A又はCとプレポリマーB又はDとはカルボキシル基とエポキシ基との反応によって架橋され、エステル結合を形成する。このエステル結合によってポリエーテル又はポリオール構造を有する高分子の柔軟な特性を維持したまま網目構造を形成することができる。このことにより、従来の架橋成分では得られないグロス性能と定着温度領域の制御が可能となる。
このような特性を引き出す網目構造を形成するためには、プレポリマーB又はDの上記トナー用樹脂組成物に占める構成割合が12.0乃至49.0質量%であることが必要である。この範囲より少ない場合には網目構造を有する部分が少なすぎてゴム弾性を付与することができず、即ち耐高温オフセット性能を向上させることができない。逆に多すぎると架橋点の間隔が狭すぎることで主結着樹脂との物理的な絡まりができない上に、架橋反応の制御が難しく片末端だけが先に反応してしまいグラフト状になってしまうか、架橋点が増えすぎるとゲル化してしまう。
加えて、上記トナー用樹脂組成物は、GPCにより算出したテトラヒドロフラン可溶分のメインピーク分子量Mpが10000乃至50000であり、テトラヒドロフラン不溶分が3.0質量%未満であることが必要である。ピーク分子量Mpが10000より低いことは、架橋・網目構造が少なすぎるか、もしくは網目構造の大きさが小さすぎることを意味しておりゴム弾性を付与することはできない。逆にMpが50000より大きい場合には弾性の付与のみならず、溶融粘度を増加させることになり、グロス性能の低下を招いてしまう。同じように、ゲル成分が存在すると絡まった結着樹脂自体もゲル成分と同じような挙動をとり、よりいっそうのグロス性能の低下を引き起こしてしまう。このような理由によりテトラヒドロフラン不溶分は3.0質量%未満であることが必要となる。
さらに、上記トナー用樹脂組成物は、共重合体A又はCのGPCにより算出した重量平均分子量Mwが3000乃至35000であることが必要である。共重合体A又はCの重量平均分子量Mwが3000より小さい場合には、架橋点の間隔が狭すぎることで主結着樹脂との物理的な絡まりができない。逆に35000より大きいと架橋反応後の樹脂組成物の分子量が大きくなりすぎてしまい、グロス性能の低下を招いてしまう。
該共重合体A又はCはカルボキシル基又はエポキシ基を有するモノマーとスチレン系モノマー、アクリレート系モノマー(又はメタクリレート系モノマー)とを共重合することによって得られるものである。この共重合比においてカルボキシル基又はエポキシ基の含有量を制御し、それによって上記樹脂組成物における架橋点の数や間隔を制御することができる。架橋点の数がプレポリマーB又はDの両末端数に対して少ない場合には、片末端のみで反応したグラフトタイプの構造が増加してしまい網目構造を取りにくくなることや、未反応のプレポリマーB又はDが残ってしまう。逆に、架橋点の数が多すぎると未反応のカルボキシル基又はエポキシ基が残ってしまい主結着樹脂との相溶性に悪影響を与えることがある。又、架橋点の間隔が狭すぎると、網目構造の大きさが小さくなることを意味しており好ましくない。逆に、架橋点の間隔が広すぎると網目構造の大きさが大きくなることを意味しており、ゴム弾性を付与できなくなることがある。これらの理由から、該共重合体A又はCの好ましいカルボキシル基又はエポキシ基含量は、0.25mmol/g乃至1.20mmol/gの範囲である。スチレン系モノマーとアクリレート系モノマー(又はメタクリレート系モノマー)との共重合比率は特に限定されるものではなく、所望のガラス転移温度Tgや主結着樹脂との相溶性に応じて決められるものである。
該共重合体Aに使用できるカルボキシル基含有モノマーとしては、カルボキシル基を有しているビニル系モノマーであれば特に制限はなく、具体的には以下のものを例示することができる。カルボキシル基を有するモノマー:アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸。
該共重合体Cに使用できるエポキシ基含有モノマーとしては、エポキシ基を有しているビニル系モノマーであれば特に制限はなく、具体的には以下のものを例示することができる。エポキシ基を有するモノマー:アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、アリルグリシジルエーテル、アリル−β−グリシジルエーテル。
該共重合体A又はCに使用できるスチレン系モノマーとしては以下のものを挙げることができる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体。特にスチレンを用いるのが最も一般的で好ましい。
さらに、該共重合体A又はCに使用できるアクリレート系モノマー(又はメタクリレート系モノマー)の種類は特に制限はなく、所望のガラス転移温度Tgや主結着樹脂との相溶性に応じて決められるものである。具体例には以下のものを挙げることができる。メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル。
尚、該共重合体Cにおいて、エポキシ基含有モノマーがアクリレート系(又はメタクリレート系)モノマーの場合、所望のガラス転移温度Tgや主結着樹脂との相溶性が得られるのであれば、他のモノマーを共重合させる必要はない。
上記トナー用樹脂組成物において、ポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するプレポリマーB又はDの分子量は特に限定されるものではない。しかしながら、好ましい範囲としては両末端数(エポキシ価又は酸価)より算出される数平均分子量が1000乃至12000のものである。数平均分子量が1000より小さい場合には、網目構造の大きさが小さすぎてしまう恐れがあり主結着樹脂との絡まりに支障をきたすことがある。逆に12000より大きい場合には、網目構造の大きさが大きすぎてゴム弾性の付与能が小さくなる恐れがある。これらの理由により更に好ましい範囲としては、1500乃至6000である。
上記トナー用樹脂組成物の分子量としては、前記したようにメインピーク分子量Mpが10000乃至50000である必要がある。このとき同じ理由により重量平均分子量Mwが10000乃至100000の範囲にあることが更に好ましい。
上記樹脂組成物のガラス転移温度Tgは特に制限されないが、主結着樹脂よりも高すぎる場合には低温定着性の観点より好ましくない。更に、本発明者らが鋭意検討を行った結果、該樹脂組成物のガラス転移温度Tgが35℃未満であるときに、トナーの低温定着性能を向上させることができることを見出した。この理由としては、主結着樹脂が溶融を開始する温度において該樹脂組成物がすでに溶融状態にあることで、物理的に絡まっている分子鎖群のマクロな流動を促進するからであると考えている。
以上に説明した本発明の樹脂組成物を形成するための方法としては、カルボキシル基とエポキシ基を利用した架橋反応であるが、2つの方法に別けられる。一つは、共重合体Aのカルボキシル基とプレポリマーBの両末端に存在するエポキシ基とを反応させる方法である。もう一つは共重合体Cのエポキシ基とプレポリマーDの両末端に存在するカルボキシル基とを反応させる方法である。
カルボキシル基とエポキシ基とによる架橋反応は、有機溶媒中で加熱することにより容易に進行する。架橋反応の条件は特に限定されないが、溶媒量(固液比)、反応温度、反応時間によって架橋反応の程度を制御することができ、所望の分子量、網目構造に合わせて選択しなければならない。反応に使用できる有機溶媒は特に限定されないが、該共重合体A又はC及びプレポリマーB又はDを溶解又は均一に分散できるものでなければならない。加えて、エポキシ基やカルボキシル基と反応してしまうような溶媒(例えばアミン系溶媒やアルコール系溶媒)は避けた方がよい。反応温度としては150℃乃至220℃で行うのが一般的である。反応時間も架橋度に合わせて調節する必要があるが、この際必要に応じて反応を止めなければならない。反応を止める方法としては、急冷する方法や、未反応のエポキシ基を失活させる方法が好ましい。エポキシ基を失活させる方法としては、エポキシ基と反応可能な基を一つ有する化合物(例えば安息香酸や酢酸)を添加するか、酸又はアルカリで処理すればよい。
該プレポリマーB又はDは少なくともポリエーテル構造又はポリエステル構造を有しているものである。プレポリマーDとしては、一般のポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルポリエステルジオールの如きジオール類をジカルボン酸化合物やその酸無水物でエステル変性したものを用いることができる。プレポリマーBは、エステル変性したものをさらにジエポキシ化合物で変性したものを用いることができる。
ポリエーテルジオールとしては、公知のものが使用可能であり、具体的には以下のものを挙げることができる。エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールAの如きジヒドロキシ化合物;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヒキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサンの如きジアミノ化合物にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加して得られるポリエーテルジオール類やポリオキシポリテトラメチレンジオール類。
ポリエステルジオールとしては、公知のものが使用可能であり、具体的には以下のものを挙げることができる。シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸の如きジカルボン酸類又はこれらの無水物;アルキルエステル、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如きジヒドロキシ化合物;ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシドを2モル付加したジオールと、他のポリヒドロキシ化合物の任意の組合せで脱水、脱アルコール反応によって得られるポリエステルジオール類;ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキル置換δ−バレロラクトンの如き環状エステル(ラクトン)モノマーを開環重合して得られるポリエステルジオール類。
プレポリマーBの製造に使用できる有機ジエポキシ化合物の例としては、以下のものを挙げることができる。エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、又はビスフェノールAのEO又はPO付加物のジグリシジルエーテル類。これらは、単独又は2種類以上の混合物で使用することができる。
該共重合体A又はCには、溶媒への溶解性や主結着樹脂との相溶性、ワックス類との相溶性を考慮して、他のモノマーを構成成分として共重合してもよい。共重合してもよいモノマーは公知のものから任意に選択できる。具体的には以下のものを挙げることができる。エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエスエル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きアクリル酸誘導体。
該共重合体A又はCのモノマー成分を共重合するに際して用いることのできる重合開始剤としては、例えば過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤を使用することができる。
使用できる過酸化物系重合開始剤としては、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドの如き有機系開始剤;過硫酸塩、過酸化水素の如き無機系開始剤を挙げることができる。具体的には、以下のものを例示することができる。t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサンの如きパーオキシエステル;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドの如きジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートの如きパーオキシジカーボネート;1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタンの如きパーオキシケタール;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイドの如きジアルキルパーオキサイド;その他としてt−ブチルパーオキシアリルモノカーボネートが挙げられる。また、使用できるアゾ系重合開始剤としては、以下のものを挙げることができる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル。
なお、必要に応じてこれら重合開始剤を2種以上同時に用いることもできる。
この際使用される重合開始剤の使用量は、モノマー100質量部に対し0.1乃至20.0質量部であることが好ましい。
また、その重合法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合、沈殿重合、塊状重合いずれの方法を用いることも可能であり、特に限定するものではない。
尚、GPCによる分子量の測定は、以下の様にして行えばよい。
前記共重合体をTHF(テトラヒドロフラン)に加え、室温で24時間静置した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル調製は、共重合体の濃度が0.4乃至0.6質量%になるようにTHFの量を調整する。
装置 :高速GPC HLC8120 GPC(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、
805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流速 :1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10ml
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量校正曲線を使用する。
尚、THF不溶分率(%)の測定は、以下の様にして行えばよい。
<THF不溶分の測定>
試料1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙社製No.86R)に入れる。この際、濾紙の質量も秤量しておく(W2g)。これをソックスレー抽出装置(BUCHI製、B−811型)にかけ、溶媒としてTHF200mlを用いて50サイクル抽出した後、120分リンスを行う。溶媒によって抽出された可溶成分溶液をエバポレートした後、80℃で数時間真空乾燥し、THF可溶成分量を秤量する(W3g)。同時に、円筒濾紙も80℃で数時間真空乾燥し、秤量する(W4g)。次式によりTHF不溶分を求める。
THF不溶分1(可溶分から)=(W1−W3)/W1×100
THF不溶分2(不溶分から)=(W4−W2)/W1×100
THF不溶分(%)=(THF不溶分1+THF不溶分2)/2
尚、DSCによるガラス転移点Tgの測定は、例えば示差走査熱量測定(DSC)装置(M−DSC TAインストルメンツ社製)を用いて測定することができる。測定方法は、アルミパンに試料約6mg精秤して、リファレンスパンとして空のアルミパンを用い、窒素雰囲気下、昇温速度1.0℃/分、モジュレーション振幅±0.6℃、周波数1/分で測定する。昇温時のリバーシングヒートフロー曲線からガラス転移点を中点法により求める。
尚、本発明における酸価・エポキシ価は以下の方法により求められる。
基本操作はJIS K−0070に基づく。
<酸価の測定>
1)試料の粉砕品0.5乃至2.0gを精秤する。このときの質量をW(g)とする。
2)300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150mlを加え溶解する。
3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用い、電位差滴定測定装置を用いて滴定を行う。(たとえば、京都電子株式会社の電位差滴定測定装置AT−400(winworkstation)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。)
4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とする。同時にブランクを測定して、この時のKOHの使用量をB(ml)とする。
5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
尚、本発明では酸価の単位はmmol/gを使用し、上記式で求められる酸価の値を56.11で除すればよい。
〈エポキシ価の測定〉
基本操作はJIS K−7236に準ずる。
(1)試料を0.5乃至2.0(g)を精秤し、その重さをW(g)とする。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、クロロホルム10ml及び酢酸20mlに溶解する。
(3)この溶液に、臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液10mlを加える。0.1mol/lの過塩素酸酢酸溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。(例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win workstation)とABP−410電動ビュレットを用い、自動滴定が利用できる。)
(4)この時の過塩素酸酢酸溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時の過塩素酸酢酸溶液の使用量をB(ml)とする。
(5)次式によりエポキシ価を計算する。fは過塩素酸酢酸溶液のファクターである。
エポキシ価(mmol/g)=0.1×f×(S−B)/W
本発明のトナーは、前記トナー用樹脂組成物を含有することによって効果を発揮するが、その含有量は結着樹脂100質量部に対して、5.0乃至45.0質量部である。この範囲より少ない場合には、前記トナー用樹脂組成物の効果が微小すぎて定着性に与える影響は殆ど見られない。逆に多すぎる場合は、トナーの保存安定性や流動性に影響を与えるか、グロス性能の低下を招いてしまう。
本発明のトナーにおいて、前記トナー用樹脂組成物の効果をより顕著に引き出すことを目的に、前記トナー用樹脂組成物と主結着樹脂とをよく混ぜることが好ましい。そうすることによって前記トナー用樹脂組成物の網目構造と主結着樹脂とが一層絡まり易くなるからである。そのための方法として、前記トナー用樹脂組成物と主結着樹脂とを有機媒体に溶解させて混ぜることが挙げられる。溶解させることで分子レベルでの絡まりが促進されるからである。
本発明において使用される主結着樹脂としては特に制限はない。例えば、以下のものを挙げることができる。スチレン樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリエステル樹脂。これらの中でも、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂がトナー特性の上で望ましい。
本発明のトナーのTHFに可溶な樹脂成分のGPCにより算出したピーク分子量は、3000乃至50000の範囲であることが好ましい。3000より小さいと帯電性に問題が生じる場合があり、50000よりも大きいと高いグロス性能が得られにくい。尚、ピーク分子量の測定方法は前記したトナー用樹脂組成物の分子量の測定方法と同様である。
本発明のトナーは、ワックスを含有することが好ましい。トナー中にワックスを含有させることにより、低温定着性能と耐低温オフセット性に優れたトナーが得られ易くなる。
その場合、定着時、溶融されたワックスは、その表面張力によって転写材と定着部材との間で離型剤として作用し、耐低温オフセット性を著しく向上させるだけでなく、定着時のトナーの溶融を加速させることにより低温定着性をも向上させることができる。このようなワックスの作用をトナー中で効果的に発現させるためには、ワックスの融点が非常に重要となる。すなわち、定着性の優れたトナーにおいては、示差走査熱量計により測定されるトナーのDSC曲線において、昇温時に見られる融解ピークの温度が重要となる。この融解ピークの温度が高すぎる場合には、低温時での離型作用が発現せず、十分な耐低温オフセット性が得られないだけでなく、低温定着性能も望めない。逆に低すぎる場合には、トナーの溶融粘度が低くなりすぎてしまうために、高温側での離型作用が発現せず、十分な耐低温オフセット性が得られず、定着部材への巻きつきや張り付きといった現象まで引き起こされる。以上のような理由から、好ましいトナーのDSC曲線において、昇温時に見られる融解ピークの温度の範囲は、45℃乃至130℃であり、より好ましくは50℃乃至110℃、さらに好ましくは50℃乃至90℃である。
本発明のトナーに用いられるワックスは、結着樹脂100質量部に対して0.5乃至30.0質量部の範囲の含有量であることが好ましい。含有量が0.5質量部未満では前記の耐オフセット性を改善する効果が充分に得られない。一方、30.0質量部を超えると長期間の保存性の低下や、トナー表面近傍のワックスによる帯電阻害や、トナー流動性の低下につながる場合があり好ましくない。
本発明のトナーに使用可能なワックスとしては、前記のような範囲で融解ピークを有しているものから選べばよく、特に制限はない。具体的には、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体。誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸の如き脂肪酸、またはその化合物;酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス、動物性ワックス。
前述したように、定着性に優れたトナーとする場合、トナーのガラス転移点も制御することが好ましい。つまり、トナーのガラス転移点が高すぎる場合には、低温定着性能は得られない。しかしながら、トナーのガラス転移点の低温化によって、溶融温度は低くなるものの、低すぎる場合にはトナーの保存安定性が悪化してブロッキング現象を引き起こす恐れがある。その上、特に、高温環境下において、現像器内への融着を起こしてしまい、トナー同士が融着し、流動性の低下を引き起こす。さらには、結果的に帯電性能が低下するため、現像時のトナー飛散やカブリの発生を生じてしまう。以上のような理由から、トナーのDSC曲線より求められるガラス転移点は40乃至70℃の範囲が好ましく、より好ましくは45乃至65℃の範囲である。
本発明において、前述のワックスの融解ピーク及びトナーの軟化点温度及びガラス転移点は、前述したトナー用樹脂組成物のDSCの測定と同様にして測定される。尚、ワックスの融解ピークは、前記DSC測定で得られたヒートフロー曲線より求める。
本発明のトナーにおいて、摩擦帯電特性を補助するために、荷電制御剤を含有させてもよい。含有させることが可能な荷電制御剤として具体的には、以下のものを挙げることができる。サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸やそれらの金属錯塩;スルホン酸(又は塩)、スルホン酸エステル、カルボン酸(又は塩)を側鎖にもつ樹脂組成物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;カリークスアレーンの如きネガ系制御剤。四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する樹脂組成物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物の如きポジ系制御剤。
本発明のトナーは、一般的に考えて着色剤を含有するものである。黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
イエロー着色剤としては、顔料系としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3,7,10,12,13,14,15,17,23,24,60,62,74,75,83,93,94,95,99,100,101,104,108,109,110,111,117,123,128,129,138,139,147,148,150,166,168,169,177,179,180,181,183,185,191:1,191,192,193,199が好適に用いられる。染料系としては、例えば、C.l.solvent Yellow33,56,79,82,93,112,162,163、C.I.disperse Yellow42.64.201.211が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレッド19が特に好ましい。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が特に好適に利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐候性,OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し1.0乃至20.0質量部となるように添加して用いられる。
さらに本発明のトナーは磁性体を含有させ磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、磁性体としては以下のものを使用することができる。マグネタイト、ヘマタイト、フェライトの如き酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルの如き金属、或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属との合金及びその混合物。
本発明に用いられる磁性体は、より好ましくは、表面改質された磁性体が好ましい。ポリマー溶解懸濁法や懸濁重合法の如き製法によって製造される重合法トナーに用いる場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。
これらの磁性体は平均粒子が2μm以下、好ましくは0.1乃至0.5μm程度のものが好ましい。トナー中に含有させる量としては結着樹脂100質量部に対し20乃至200質量部、特に好ましくは40乃至150質量部となる様に含有させるのが良い。
796kA/m(10kエルステッド)印加での磁気特性が保磁力(Hc)1.59乃至23.9kA/m(20乃至300エルステッド)、飽和磁化(σs)50乃至200Am2/kg、残留磁化(σr)2乃至20Am2/kgの磁性体が好ましい。
本発明のトナーにおいて、高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、トナーの重量平均粒径が3.0乃至9.0μmであることが好ましく、4.0乃至6.5μmであることがより好ましい。重量平均粒径が3.0μm未満のトナーにおいては、転写効率の低下から感光体上の転写残トナーが多くなり、感光体の削れやトナー融着の抑制が難しくなる。さらに、トナー全体の表面積が増えることに加え、粉体としての流動性及び撹拌性が低下することから、カブリや転写性が低下する傾向があり、削れや融着以外にも画像の不均一ムラが生じやすくなる。また、トナーの重量平均粒径が9.0μmを超える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくくなり、ドットの再現性が低下する傾向にある。
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
本発明のトナーの製造方法としては特に限定されず公知の製法が用いられる。具体的には、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に記載されている懸濁重合法を用いて直接、トナー粒子を製造する方法;マイクロカプセル製法のような界面重合法でトナー粒子を製造する方法;コアセルベーション法によるトナー化;特開昭62−106473号公報や特開昭63−186253号公報に開示されている様な少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望の粒径のものを得る会合重合法によりトナー粒子を得る方法;単分散を特徴とする分散重合法によりトナー粒子を製造する方法;非水溶性有機溶媒に必要な樹脂類を溶解させた後、水中でトナー化するポリマー溶解(溶融)懸濁法;乳化分散法によりトナー粒子を得る方法;さらに加圧ニーダーやエクストルーダー、或いはメディア分散機を用いてトナー成分を混練、均一に分散せしめた後、冷却し、混練物を機械的又はジェット気流下でターゲットに衝突させて所望のトナー粒径に微粉砕し、更に分級工程を経てトナー粒子を製造する粉砕法;さらに粉砕法で得られたトナーを溶媒中で加熱により球形化処理しトナー粒子を得る方法が挙げられる。
しかしながら、本発明の効果がより顕著に表れるのはポリマー溶解懸濁法または懸濁重合法である。その理由としては、前記トナー用樹脂組成物と主結着樹脂とを有機媒体(又はモノマー成分)中で混合状態のままトナー粒子を造粒することができるからである。特に、前記トナー用樹脂組成物のTgが室温以下であっても比較的含有量を多くしても造粒することが可能である(混練粉砕法においては、粉砕性を損なう場合がある)。以下に各懸濁法について説明する。
ポリマー溶解(溶融)懸濁法によるトナー粒子の製造方法においては、まず、有機媒体に主結着樹脂、前記トナー用樹脂組成物及び着色剤を溶解混合または分散させる。更にワックスや必要に応じた他の添加剤とともに、撹拌機によって均一に溶解混合または分散させ、トナー形成用の液状混合物を作製する。その場合、予め着色剤、ワックス、他の添加剤を溶融混練したものを添加してもよい。こうして得られた液状混合物を、分散安定化剤を含有する分散媒体(好ましくは水系媒体)中に添加し、撹拌装置として高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用してトナー粒子径まで分散懸濁させる(造粒工程)。そして、加熱、または減圧により有機溶媒を除去し、さらにメタノール、エタノール、1−プロパノール、t−ブチルアルコール、アセトンの溶媒を添加することによって有機溶媒を完全に除去させ、トナー粒子を得ることができる。
懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法においては、まず、主結着樹脂を構成する重合性モノマー中に着色剤を撹拌機によって均一に溶解混合または分散させる。特に着色剤が顔料である場合には、分散機により処理し顔料分散ペーストとすることが好ましい。これを重合性モノマー、前記トナー用樹脂組成物及び重合開始剤、更にワックスや必要に応じた他の添加剤とともに、撹拌機によって均一に溶解混合または分散させ、モノマー組成物を作製する。こうして得られたモノマー組成物を、分散安定化剤を含有する分散媒体(好ましくは水系媒体)中に添加し、撹拌装置として高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用してトナー粒子径まで微分散させる(造粒工程)。そして、重合工程において微分散されたモノマー組成物を光や熱により重合反応させ、トナー粒子を得ることができる。
ポリマー溶解懸濁法に用いることのできる有機媒体は、トナーバインダーの溶解性に応じて決められるものであり、特に限定されない。具体的には、以下のものを例示することができる。メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコール、モノブチルエーテルの如きエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテートの如きエステル類;ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き炭化水素類;トリクロロエチレン、ジクロロメタン、クロロホルムの如きハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルグリコール、トリオキサンテトラヒドロフランの如きエーテル類;メチラール、ジエチルアセタールの如きアセタール類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルスルホキシドの如き硫黄・窒素含有有機化合物類。
有機媒体に顔料組成物を分散させる方法としては公知の方法を用いることができる。例えば、有機媒体中に必要に応じて樹脂、顔料分散剤を溶解させ、撹拌しながら顔料粉末を徐々に加え十分に溶媒になじませる。さらにボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加えることで顔料を安定に微分散、すなわち均一な微粒子状に分散することができる。
懸濁重合法において好適に用いることができる重合性モノマーは、付加重合系モノマーあるいは縮合重合系モノマーである。好ましくは、付加重合系モノマーである。具体的には以下のものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビリニデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸誘導体。
前記の製造方法において用いることのできる分散媒体としては、結着樹脂、有機媒体、モノマーおよび共重合体の分散媒体に対する溶解性から決められるものであるが、水系のものが好ましい。水系の分散媒体としては、例えば以下のものを挙げることができる。水;メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールの如きアルコール類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルの如きエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテートの如きエステル類;エチルエーテル、エチレングリコールの如きエーテル類;メチラール、ジエチルアセタールの如きアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸の如き酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドの如き硫黄、窒素含有有機化合物類。中でも水またはアルコール類であることが好ましい。またこれらの溶媒を2種類以上混合して用いることもできる。分散媒体に対する液状混合物又はモノマー組成物の濃度は、分散媒体に対して1乃至80質量%であることが好ましく、より好ましくは10乃至65質量%である。
水系の分散媒体を使用する場合に用いることのできる分散安定化剤としては、公知のものが使用可能である。具体例には、以下のものを挙げることができる。リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナの如き無機化合物。ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンの如き有機化合物。これらを水相に分散させて使用できる。分散安定化剤の濃度は液状混合物又はモノマー組成物100質量部に対して0.2乃至20.0質量部が好ましい。
懸濁重合法を用いた本発明のトナーに用いる重合開始剤としては公知の重合開始剤を挙げることができる。具体的には、前記共重合体の製法で列挙したものが用いられる。
また、懸濁重合法によりトナーを製造する場合に用いる連鎖移動剤としては、公知の連鎖移動剤を挙げることができる。
本発明のトナーは、トナー粒子の表面に無機微粉体を有することが好ましい。
無機微粉体は、トナーの流動性改良及び帯電均一化のためにトナー粒子に添加、混合され、添加された無機微粉体はトナー粒子の表面に均一に付着した状態で存在する。
本発明における無機微粉体は、個数平均1次粒径4乃至80nmであることが好ましい。無機微粉体の個数平均1次粒径が80nmよりも大きい場合、或いは80nm以下の無機微粉体が添加されていない場合には、良好なトナーの流動性が得られない。その場合、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散の問題を避けられないことがある。無機微粉体の個数平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集体が現像し、像担持体或いは現像担持体を傷つけるなどして画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには無機微粉体の個数平均1次粒径は6乃至35nmであることがより好ましい。
本発明において、無機微粉体の個数平均1次粒径の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)により行った。走査型電子顕微鏡に付属させたXMAにより無機微粉体の含有する元素でマッピングし、所在を確認する。さらにトナー表面の拡大写真とを対照しつつ、トナー粒子表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉体の1次粒子の粒径を100個以上測定し、個数平均粒径を求める。
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、アルミナ、チタニアから選ばれる無機微粉体またはその複酸化物が使用できる。複酸化物としては、例えば、ケイ酸アルミニウム微粉体やチタン酸ストロンチウム微粉体を挙げることができる。また、ケイ酸微粉体として、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスから製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。表面及びケイ酸微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2Oなどの製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタンなど他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
個数平均1次粒径が4乃至80nmの無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.1乃至5.0質量部であることが好ましい。添加量が0.1質量部未満ではその効果が十分ではなく、5.0質量部以上では定着性が悪くなることがある。
本発明における無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉体を疎水化処理することによってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上させることも好ましい形態である。
トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、トナー飛散が起こり易くなる。
無機微粉体を疎水化処理する疎水化処理剤としては、以下のものを挙げることができる。シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤。その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
中でも、上記シリコーンオイルにより処理したものが好ましい。
また、本発明のトナーは、クリーニング性向上の目的で、1次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)ことが好ましい。より好ましくは1次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の球形に近い無機微粒子又は有機微粒子をさらに添加することも好ましい形態となる。具体的には、例えば、球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子が好ましく用いられる。
さらに、本発明に用いられるトナーには、実質的に画像特性に悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤を添加することができる。具体的には以下のものが挙げられる。テフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末の如き流動性付与剤;ケーキング防止剤;トナー粒子と逆帯電性を示す有機および/または無機微粒子の如き現像性向上剤。これらの添加剤は表面を疎水化処理して用いてもよい。
また、本発明のトナーはキャリアと混合して二成分系現像剤として用いることもできるし、トナーのみからなる一成分系現像剤として用いることもできる。
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、以下のものを挙げることができる。表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子;それらの合金粒子;酸化物粒子;フェライトを微粒子化したもの。より好ましい形態としては磁性微粒子を樹脂中に分散させた磁性微粒子分散型樹脂キャリアである。これを用いることで、より好ましく本発明の帯電特性を達成することができる。
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解若しくは懸濁させて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着させる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法、従来公知の方法が適用できる。
磁性キャリアコア粒子表面への被覆材料としては、例えばシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは単独或いは複数で用いる。上記被覆材料の処理量は、キャリアコア粒子に対し0.1乃至30.0質量%(好ましくは0.5乃至20.0質量%)が好ましい。これらキャリアの平均粒径は10乃至100μm、さらには20乃至70μmであることが好ましい。
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は、現像剤中のトナー濃度として2乃至15質量%、好ましくは4乃至13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中で使用する部はすべて質量部を示す。
共重合体A及びCの製造例
以下に示す方法によりカルボキシル基を含有する共重合体A1乃至A5及びエポキシ基を含有する共重合体C1の合成を行った。
<共重合体A1の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にテトラヒドロフラン100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
[モノマー組成、混合比]
・スチレン 50.0部
・アクリル酸−n−ブチル 44.0部
・アクリル酸 6.0部
・パーブチルPV 純度70%(日本油脂株式会社製) 4.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、滴下終了後12時間還流した。その後、蒸留を行って溶剤を留去して、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、共重合体A1を得た。
<共重合体A2の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にテトラヒドロフラン100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
[モノマー組成、混合比]
・スチレン 52.0部
・アクリル酸−n−ブチル 44.0部
・アクリル酸 4.0部
・パーブチルPV 純度70%(日本油脂株式会社製) 4.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、滴下終了後12時間還流した。その後、蒸留を行って溶剤を留去して、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、共重合体A2を得た。
<共重合体A3の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にテトラヒドロフラン100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
[モノマー組成、混合比]
・スチレン 74.0部
・メタクリル酸メチル 20.0部
・アクリル酸 6.0部
・パーブチルPV 純度70%(日本油脂株式会社製) 4.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、滴下終了後12時間還流した。その後、蒸留を行って溶剤を留去して、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、共重合体A3を得た。
<共重合体A4の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にテトラヒドロフラン100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
[モノマー組成、混合比]
・スチレン 53.6部
・アクリル酸−n−ブチル 45.0部
・アクリル酸 1.4部
・パーブチルPV 純度70%(日本油脂株式会社製) 4.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、滴下終了後12時間還流した。その後、蒸留を行って溶剤を留去して、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、共重合体A4を得た。
<共重合体A5の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にテトラヒドロフラン100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
[モノマー組成、混合比]
・スチレン 50.0部
・アクリル酸−n−ブチル 40.0部
・アクリル酸 10.0部
・パーブチルPV 純度70%(日本油脂株式会社製) 4.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、滴下終了後12時間還流した。その後、蒸留を行って溶剤を留去して、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、共重合体A5を得た。
<共重合体C1の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にトルエン 60部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
[モノマー組成、混合比]
・スチレン 49.0部
・アクリル酸−n−ブチル 45.0部
・グリシジルメタクリレート 6.0部
・パーブチルI 純度75%(日本油脂株式会社製) 12.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、滴下終了後8時間還流した。その後、蒸留を行って溶剤を留去して、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、共重合体C1を得た。
以下に示す方法により比較例用の共重合体A6及びA7の合成を行った。
<共重合体A6の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
[モノマー組成、混合比]
・スチレン 50.0部
・アクリル酸−n−ブチル 44.0部
・アクリル酸 6.0部
・パーブチルI 純度75%(日本油脂株式会社製) 15.0部を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、滴下終了後8時間還流した。その後、蒸留を行って溶剤を留去して、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、共重合体A6を得た。
<共重合体A7の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にテトラヒドロフラン100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
[モノマー組成、混合比]
・スチレン 50.0部
・アクリル酸−n−ブチル 44.0部
・アクリル酸 6.0部
・パーブチルPV 純度70%(日本油脂株式会社製) 1.5部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、滴下終了後12時間還流した。その後、蒸留を行って溶剤を留去して、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、共重合体A7を得た。
プレポリマーBの製造例
以下に示す方法によりポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するプレポリマーB1乃至B3の合成を行った。
<プレポリマーB1の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にコハク酸無水物50.0部、コハク酸10.0部を仕込み、攪拌しながら200℃に加熱した。これに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG−2000SN、保土ヶ谷化学工業者製)100.0部を添加した。攪拌しながら200℃で90分反応した後に室温まで冷却した。これを1N塩酸1200部に投入し、30分攪拌後デカンテーションした。水200部で洗浄・デカンテーションを3回行い、減圧下40℃で乾燥させてコハク酸変性体を得た。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン40.0部、エチレングリコールジグリシジルエーテル15.9部を仕込み、攪拌しながら溶解させ窒素気流下で加熱還流した。これに、ジイソブチルケトン75.9部に上記で得られたコハク酸変性体100.0部を溶解させたものを調整し60分かけて滴下した。滴下後、還流条件で90分反応した後に室温まで冷却し、プレポリマーB1のジイソブチルケトン溶液を得た。
<プレポリマーB2の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にコハク酸無水物50.0部、コハク酸10.0部を仕込み、攪拌しながら200℃に加熱した。これに、ポリオキシ(エチレン/プロピレン)ジオール(PF−732、旭硝子社製)100.0部を添加した。攪拌しながら200℃で90分反応した後に室温まで冷却した。これを1N塩酸1200部に投入し、30分攪拌後デカンテーションした。水200部で洗浄・デカンテーションを3回行い、減圧下40℃で乾燥させてコハク酸変性体を得た。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン40.0部、エチレングリコールジグリシジルエーテル10.9部を仕込み、攪拌しながら溶解させ窒素気流下で加熱還流した。これに、ジイソブチルケトン70.9部に上記で得られたコハク酸変性体100.0部を溶解させたものを調整し60分かけて滴下した。滴下後、還流条件で90分反応した後に室温まで冷却し、プレポリマーB2のジイソブチルケトン溶液を得た。
<プレポリマーB3の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にコハク酸無水物50.0部、コハク酸10.0部を仕込み、攪拌しながら200℃に加熱した。これに、エチレンアジペート(ニッポラン4040、日本ポリウレタン工業社製)100.0部を添加した。攪拌しながら200℃で90分反応した後に室温まで冷却した。これを1N塩酸1200部に投入し、30分攪拌後デカンテーションした。水200部で洗浄・デカンテーションを3回行い、減圧下40℃で乾燥させてコハク酸変性体を得た。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン40.0部、エチレングリコールジグリシジルエーテル10.9部を仕込み、攪拌しながら溶解させ窒素気流下で加熱還流した。これに、ジイソブチルケトン70.9部に上記で得られたコハク酸変性体100.0部を溶解させたものを調整し60分かけて滴下した。滴下後、還流条件で90分反応した後に室温まで冷却し、プレポリマーB3のジイソブチルケトン溶液を得た。
尚、プレポリマーB1乃至B3の分析に関しては、ジイソブチルケトン溶液の一部を取り出して、ジイソブチルケトンを留去したものを用いてエポキシ価を測定した。
プレポリマーD1乃至D3を以下のように合成した。
<プレポリマーD1>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にコハク酸無水物50.0部、コハク酸10.0部を仕込み、攪拌しながら200℃に加熱した。これに、ブチレンアジペート(ニッポラン3027、日本ポリウレタン工業社製)100.0部を添加した。攪拌しながら200℃で90分反応した後に室温まで冷却した。これを1N塩酸1200部に投入し、30分攪拌後デカンテーションした。水200部で洗浄・デカンテーションを3回行い、減圧下40℃で乾燥させてプレポリマーD1を得た。プレポリマーD1の100部をジイソブチルケトン100部に溶解し、プレポリマーD1のイソブチルケトン溶液を得た。
<プレポリマーD2>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にコハク酸無水物50.0部、コハク酸20.0部を仕込み、攪拌しながら200℃に加熱した。これに、ポリオキシプロピレンジオール(PF−753、旭硝子社製)100.0部を添加した。攪拌しながら200℃で90分反応した後に室温まで冷却した。これを1N塩酸1200部に投入し、30分攪拌後デカンテーションした。水200部で洗浄・デカンテーションを3回行い、減圧下40℃で乾燥させてプレポリマーD2を得た。プレポリマーD2の100部をジイソブチルケトン100部に溶解し、プレポリマーD2のイソブチルケトン溶液を得た。
<プレポリマーD3>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にコハク酸無水物50.0部、コハク酸50.0部を仕込み、攪拌しながら200℃に加熱した。これに、ポリオキシプロピレンジオール(PF−751、旭硝子社製)100.0部を添加した。攪拌しながら200℃で90分反応した後に室温まで冷却した。これを1N塩酸1200部に投入し、30分攪拌後デカンテーションした。水200部で洗浄・デカンテーションを3回行い、減圧下40℃で乾燥させてプレポリマーD3を得た。プレポリマーD3の100部をジイソブチルケトン100部に溶解し、プレポリマーD3のイソブチルケトン溶液を得た。
以下に示す方法により比較例用のプレポリマーD4の合成を行った。
<プレポリマーD4>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にコハク酸無水物50.0部、コハク酸10.0部を仕込み、攪拌しながら200℃に加熱した。これに、ポリオキシプロピレンモノオール(XS−601、旭硝子社製)100.0部を添加した。攪拌しながら200℃で90分反応した後に室温まで冷却した。これを1N塩酸1200部に投入し、30分攪拌後デカンテーションした。水200部で洗浄・デカンテーションを3回行い、減圧下40℃で乾燥させてプレポリマーD4を得た。プレポリマーD4の100部をジイソブチルケトン100部に溶解し、プレポリマーD4のイソブチルケトン溶液を得た。
尚、プレポリマーD1乃至4の分析に関しては、ジイソブチルケトン溶液の一部を取り出して、ジイソブチルケトンを留去したものを用いて酸価を測定した。
トナー用樹脂組成物の製造例
以下に示す方法によりトナー用樹脂組成物1乃至8の合成を行った。
<トナー用樹脂組成物1の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン200部、共重合体A1の45.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーB1のジイソブチルケトン溶液45.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物1を得た。
<トナー用樹脂組成物2の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン200部、共重合体A2の45.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーB2のジイソブチルケトン溶液45.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物2を得た。
<トナー用樹脂組成物3の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン200部、共重合体A3の45.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーB3のジイソブチルケトン溶液45.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物3を得た。
<トナー用樹脂組成物4の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン100部、共重合体A4の57.4部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーB1のジイソブチルケトン溶液10.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物4を得た。
<トナー用樹脂組成物5の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン200部、共重合体A5の45.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーB1のジイソブチルケトン溶液45.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物5を得た。
<トナー用樹脂組成物6の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン200部、共重合体C1の54.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーD1のジイソブチルケトン溶液27.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物6を得た。
<トナー用樹脂組成物7の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン200部、共重合体C1の54.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーD2のジイソブチルケトン溶液27.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物7を得た。
<トナー用樹脂組成物8の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン100部、共重合体C1の58.7部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーD3のジイソブチルケトン溶液17.6部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物8を得た。
以下に示す方法により比較用のトナー用樹脂組成物9乃至15の合成を行った。
<トナー用樹脂組成物9の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン200部、共重合体A1の45.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーB1のジイソブチルケトン溶液45.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応90分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、ゲル状になったものをメタノール1500部に投入してよく砕きながら沈殿させた。デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物9を得た。
<トナー用樹脂組成物10の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン160部、共重合体A1の54.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーB1のジイソブチルケトン溶液12.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物10を得た。
<トナー用樹脂組成物11の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン160部、共重合体A1の27.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーB1のジイソブチルケトン溶液66.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物11を得た。
<トナー用樹脂組成物12の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン200部、共重合体A6の45.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーB1のジイソブチルケトン溶液45.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物12を得た。
<トナー用樹脂組成物13の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン200部、共重合体A7の45.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーB1のジイソブチルケトン溶液45.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物13を得た。
<トナー用樹脂組成物14の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にジイソブチルケトン200部、共重合体C1の54.0部を仕込み、溶解させ加熱還流させた。これにプレポリマーD4のジイソブチルケトン溶液26.0部を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応させた。反応40分後に安息香酸30.0部を添加して40分還流させた。室温まで冷却後、メタノール1500部に投入して析出させ、デカンテーションの後、水200部で2回洗浄し、乾燥させてトナー用樹脂組成物14を得た。
<トナー用樹脂組成物15の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器に酢酸エチル100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のモノマーを混合し、モノマー混合液を調製した。
[モノマー組成、混合比]
・スチレン 45.0部
・アクリル酸−n−ブチル 40.0部
・ポリエチレングリコールジメタクリレート(ライトエステル14EG、共栄社化学社製)15.0部
・パーブチルPV 純度70%(日本油脂株式会社製) 11.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、滴下終了後2時間還流した。ゲル状になったものをヘキサン1000部に加え、よく砕きながら沈殿させた。デカンテーションにより上澄みを捨て、パレット上に移し減圧下50℃で乾燥させた。−10℃に冷却し、ハンマーでさらに砕きトナー用樹脂組成物15を得た。
以上作製したトナー用樹脂組成物1乃至15につき、各原料の構成及び分析値を表1に示す。また、前記した方法によって測定したトナー用樹脂組成物のピーク分子量Mp、重量平均分子量Mw、THF不溶分率、ガラス転移温度Tgを測定した結果を表2に示す。
トナーの製造例
以下に示す方法によりトナー1乃至9の製造を行った。
<トナー1の製造例>
顔料分散ペーストの作製:
・スチレンモノマー 80部
・Cuフタロシアニン(Pigment Blue 15:3) 13部
上記材料を容器中でよくプレミックスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストを作製した。
トナー粒子の作製:
イオン交換水1150部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液390部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて12000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液58部を添加し、Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を得た。
・上記顔料分散ペースト 46.5部
・スチレンモノマー 35.0部
・n−ブチルアクリレート 25.0部
・ポリオレフィンワックス 9.0部
(Mw1850、Mw/Mn1.27、融点78.6℃)
・飽和ポリエステル樹脂 5.0部
(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA共重合体、酸価15mgKOH/g、Mw18000)
・E−88(オリエント化学社製) 1.0部
・トナー用樹脂組成物1 20.0部
これらを60℃に加温し、溶解・分散してモノマー混合物とした。さらに60℃に保持しながら、重合開始剤としてパーブチルPV 純度70%(日本油脂株式会社製)10.7部を加えて溶解し、モノマー組成物を調製した。調製していた水系分散媒体に、上記モノマー組成物を投入した。60℃で、クレアミックスを用いて15000rpmで10分間撹拌して、モノマー組成物を造粒した。その後90℃のオイルバスに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ内温85乃至87℃で8時間反応させ重合を終了させた。室温まで冷却させた後、塩酸を加えてCa3(PO4)2を溶解し、濾過・水洗・乾燥することによりトナー粒子を得た。さらに得られたトナー粒子を分級して、2乃至10μmを選択し、トナー粒子を調製した。
トナーの作製:
得られたトナー粒子の100部に対して、ヘキサメチルジシラザンで表面を処理した個数平均1次粒径9nm、BET比表面積180m2/gの疎水性シリカ微粉体1部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合・外添してトナー1を得た。
<トナー2の製造例>
トナー1の製造例において、トナー用樹脂組成物1を用いるかわりにトナー用樹脂組成物2を用いた以外は同様にしてトナー2を得た。
<トナー3の製造例>
トナー1の製造例において、トナー用樹脂組成物1を用いるかわりにトナー用樹脂組成物3を用いた以外は同様にしてトナー3を得た。
<トナー4の製造例>
トナー組成物混合液の作製:
1,3−プロパンジオール/1,2−プロパンジオール/テレフタル酸誘導体の共重縮合ポリエステル樹脂(Tg50℃、Mp4400、Mw4600)
100.0部
・Cuフタロシアニン(Pigment Blue 15:3) 5.0部
・脂肪族ワックス 8.0部
(Mw1850、Mw/Mn1.27、融点78.6℃)
・E−88(オリエント化学社製) 1.0部
・トナー用樹脂組成物4 20.0部
・酢酸エチル 120.0部
上記材料を容器中でよくプレミックスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、トナー組成物混合液を作製した。
トナー粒子の作製:
イオン交換水240部に0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液78部を投入し、60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて11,000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液12部を添加し、Ca3(PO4)2を含む分散媒体を得た。さらに、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲンBS−H、第一工業製薬(株)製)1.0部を添加し10分間撹拌した。
前記ホモミキサーのフラスコ中で調製した上記分散媒体を30℃に調整し、撹拌している中に、30℃に調整したトナー組成物混合液180部を投入し、1分間撹拌した後停止してトナー組成物分散懸濁液を得た。得られたトナー組成物分散懸濁液を撹拌しながら40℃一定で、局排装置により懸濁液面上の気相を強制更新して、17時間そのままに保ち溶媒を除去した。室温まで冷却させた後、塩酸を加えてCa3(PO4)2を溶解し、濾過・水洗・乾燥することによりトナー粒子を得た。さらに得られたトナー粒子を分級して、2乃至10μmを選択し、トナー粒子を調製した。さらに、トナー1の製造例と同様にして、トナー粒子に疎水性シリカ微粉体を外添してトナー4を得た。
<トナー5の製造例>
トナー4の製造例において、トナー用樹脂組成物4を20.0部用いるかわりにトナー用樹脂組成物5を40.0部用いた以外は同様にしてトナー5を得た。
<トナー6の製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にテトラヒドロフラン100部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、以下のものを混合し、モノマー混合液を調製した。
・スチレン 75.0部
・アクリル酸−n−ブチル 25.0部
・トナー用樹脂組成物6 15.0部
・パーブチルPV 純度70%(日本油脂株式会社製) 8.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し、滴下終了後12時間還流した。その後、蒸留を行って溶剤を留去して、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、樹脂組成物を得た。
・上記の樹脂組成物 100.0部
・Cuフタロシアニン(Pigment Blue 15:3) 5.0部
・ポリメチンワックス 5.0部
(Mw:1850、Mw/Mn:1.27、融点:78.6℃)
・E−88(オリエント化学社製) 0.5
上記の材料の混合物をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(池貝鉄工(株)製)にて混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級して、トナー粒子を得た。さらに、トナー1の製造例と同様にして、トナー粒子に疎水性シリカ微粉体を外添してトナー6を得た。
<トナー7の製造例>
1,3−プロパンジオール/1,2−プロパンジオール/テレフタル酸誘導体の共重縮合ポリエステル樹脂(Tg50℃、Mp4400、Mw4600)100部とトナー用樹脂組成物7の15.0部とを酢酸エチル100部に溶解させ60℃で攪拌混合させた。その後、蒸留を行って溶剤を留去して、減圧下、50℃で乾燥した。得られた固形物を粉砕し、樹脂組成物を得た。
・上記の樹脂組成物 100.0部
・Cuフタロシアニン(Pigment Blue 15:3) 5.0部
・ポリメチンワックス 5.0部
(Mw:1850、Mw/Mn:1.27、融点:78.6℃)
・E−88(オリエント化学社製) 0.5部
上記の材料の混合物をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(池貝鉄工(株)製)にて混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級して、トナー粒子を得た。さらに、トナー1の製造例と同様にして、トナー粒子に疎水性シリカ微粉体を外添してトナー7を得た。
<トナー8の製造例>
1,3−プロパンジオール/1,2−プロパンジオール/テレフタル酸誘導体の共重縮合ポリエステル樹脂(Tg50℃、Mp4400、Mw4600)
100.0部
・トナー用樹脂組成物8 6.0部
・Cuフタロシアニン(Pigment Blue 15:3) 5.0部
・ポリメチンワックス 5.0部
(Mw:1850、Mw/Mn:1.27、融点:78.6℃)
・E−88(オリエント化学社製) 0.5部
上記の材料の混合物をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(池貝鉄工(株)製)にて混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級して、トナー粒子を得た。さらに、トナー1の製造例と同様にして、トナー粒子に疎水性シリカ微粉体を外添してトナー8を得た。
以下に示す方法により比較例用のトナー9乃至15の製造を行った。
<トナー9の製造例>
トナー1の製造例において、トナー用樹脂組成物1を用いるかわりにトナー用樹脂組成物9を用いた以外は同様にしてトナー9を得た。
<トナー10の製造例>
トナー1の製造例において、トナー用樹脂組成物1を用いるかわりにトナー用樹脂組成物10を用いた以外は同様にしてトナー10を得た。
<トナー11の製造例>
トナー1の製造例において、トナー用樹脂組成物1を用いるかわりにトナー用樹脂組成物11を用いた以外は同様にしてトナー11を得た。
<トナー12の製造例>
トナー1の製造例において、トナー用樹脂組成物1を用いるかわりにトナー用樹脂組成物12を用いた以外は同様にしてトナー12を得た。
<トナー13の製造例>
トナー1の製造例において、トナー用樹脂組成物1を用いるかわりにトナー用樹脂組成物13を用いた以外は同様にしてトナー13を得た。
<トナー14の製造例>
トナー1の製造例において、トナー用樹脂組成物1を用いるかわりにトナー用樹脂組成物14を用いた以外は同様にしてトナー14を得た。
<トナー15の製造例>
トナー1の製造例において、トナー用樹脂組成物1を20部用いるかわりにトナー用樹脂組成物15を10部用いた以外は同様にしてトナー15を得た。
以上のトナー1乃至15に関し、前記した方法によって体積平均粒径及びピーク分子量Mp、重量平均分子量Mw、ガラス転移温度Tgの測定を行った。その結果を表3に示す。
さらに、以上のトナー1乃至15につき以下の通りに二成分現像剤を作製し、未定着画像を作成して、定着性試験評価を行った。その結果を表4に示す。
・定着性試験方法
各トナーと、シリコーン樹脂で表面コートしたフェライトキャリア(体積平均粒径42μm)とを、トナー濃度が6質量%になるようにそれぞれ混合し、二成分現像剤を調製した。市販のフルカラーデジタル複写機(CLC5500,キヤノン製)を使用し、転写紙(80g/m2)上に未定着のトナー画像(0.6mg/cm2)を形成した。
市販のフルカラーレーザービームプリンター(LBP−5400,キヤノン製)から取り外した定着ユニットを定着温度が調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。常温常湿(23.5℃、60%RH)下、プロセススピードを180mm/sに設定し、110℃乃至210℃の範囲で設定温度を5℃おきに変化させながら、各温度で上記トナー画像の定着を行った。低温オフセットが観察されなくなった定着温度を定着開始温度とした。一方、高温オフセットが発生した温度を定着終了温度とした。この際、低温側開始点と高温側終了点の差を定着温度領域とした。また、各定着温度におけるグロス値を測定し、グロス値が最高となった温度をグロスピーク温度とした。
定着画像のグロスの測定は、PG−3D(NIPPON DENSYOKU社製;入射角75度)を用いて行った。測定は5点行い平均値を用いた。
表4から示す結果から明らかなように、本発明に係わるトナー1乃至8に関しては、定着温度領域が比較的広く、グロスの値も十分高い結果を示した。また、トナー1と3を比較すると低温定着性能に差が見られた。これは用いたトナー用樹脂組成物のTgの違いが大きく影響しているものと考えられる。逆に比較例のトナーでは、トナー9、13及び15は定着温度領域は広いものの、グロスが低い結果となった。また、トナー10、11、12及び14では、グロスの値は高いものであったが、定着温度領域が不十分であった。