まず、本実施例1に係る貯玉管理システムのシステム構成について説明する。図1は、実施例1に係る貯玉管理システムのシステム構成を示す図である。同図に示すように、貯玉管理システム1には、遊技店ごとに少なくとも1台配設され、遊技店の会員に加入した遊技客の貯玉データを管理する会員管理用ターミナルコントローラ(以下、「会員管理T/C」と言う)10と、貯玉保証を行う第三者機関に配設されるホール貯玉管理装置100とが設けられている。
ここで、かかる貯玉管理システム1においては、ホール貯玉管理装置100を頂点として複数の遊技店の会員管理T/C10が専用回線3を介して接続されていることに加え、
遊技店内の遊技台情報(例えば、アウト数、セーフ数、特賞数やスタート数などの情報)を収集・管理するホールコンピュータ90(請求項では情報処理装置に相当)がさらにホール貯玉管理装置100に接続されている点が従前のシステムと相違する。なお、ここで言う「アウト数」とは、貸玉及び賞玉の打込み数を指し、「セーフ数」とは、賞玉の払出し数を指し、「特賞数」とは、大当たりの当選回数を指し、また、「スタート数」とは、消化ゲーム数を指す。
このように貯玉管理とは希薄な関係にあるホールコンピュータ90をホール貯玉管理装置100に接続する構成を採用した理由は、ホール貯玉管理装置100と会員管理T/C10との通信が途絶した場合に、その原因が故意であるのか否かをホールコンピュータ90からホール貯玉管理装置100に通知される情報(後述するホール処理実績)を用いて判別するためである。
また、会員管理T/C10及びホールコンピュータ90は、LAN等の店内ネットワークを介して接続されているが、両者が果たすべき役割は異なるため、一部は重複しながらも異なる種類の店内機器と接続されている。
すなわち、会員管理T/C10には、遊技客に対する貯玉・再プレイサービスを担う店内機器が接続されており、例えば、図1に示すように、島コントローラ20、会員カード処理機60及び景品管理装置70が接続されている。
さらに、島コントローラ20には、各島に設置された複数のパチンコ機40にそれぞれに併設されたカード処理ユニット(以下、「CRユニット」と言う)30が接続されており、会員カード処理機60には、パチンコ玉数を計数する計数機50が接続されており、景品管理装置70には、特殊景品の払出しを行う景品払出機75が接続されている。
パチンコ機40は、パチンコ玉を遊技領域に発射して遊技者がパチンコ遊技を行う装置であり、本実施例では、プリペイドカード対応のいわゆるCRパチンコ機であるものとしている。
CRユニット30は、各プリペイドカードの残度数等を管理する図示しないプリペイドカード管理装置と各パチンコ機40との間に介在し、プリペイドカード管理装置に対してプリペイドカードの残度数の問い合わせや玉貸し要求を行うとともに、残度数がある場合にパチンコ機40に対して玉貸し指示を行う装置である。なお、本実施例では、プリペイドカードに係る処理にその特徴はないため、以下ではプリペイドカードに関する説明を省略する。
また、このCRユニット30は、会員カードを受け入れて会員管理T/C10に預け入れられた貯玉を引き落とすいわゆる再プレイの機能を有する。具体的には、会員がCRユニット30に会員カードを挿入して再プレイ操作を行うと、会員管理T/C10が管理する貯玉残高から再プレイ分の玉数を減算するとともに、パチンコ機40に対して玉投出指示を行う。
計数機50は、遊技客が獲得したパチンコ玉を計数する計数機であり、その計数結果を会員カード処理機60に出力する。なお、本実施例では、計数機50はパチンコ玉の計数機能のみを有することとし、計数結果がバーコード印字された計数レシートを発行する印字機能、並びに、会員管理T/C10にて記憶管理される貯玉残高に計数結果の一部または全部を貯玉加算させる計数貯玉機能は、後述する会員カード処理機60が有することとする。
会員カード処理機60は、登録済み会員による貯玉を行う際に利用される会員用端末装置であり、会員カードに記録した会員IDを読み取るカードリーダを備えている。具体的には、計数機50から計数結果が入力され、遊技客から受け取った会員カードが遊技店の係員によりカード挿入口に挿入されると、カードリーダによって読み取られた会員ID、計数結果として得られたパチンコ玉数(獲得玉数)を含む貯玉加算依頼が会員管理T/C10に対して送信される。
また、会員カード処理機60は、計数機50で計数されたパチンコ玉数をバーコード印刷した計数レシートを発行することもできる。具体的には、遊技店の従業員もしくは遊技客によってレシート発行ボタンが押下操作されると、パチンコ玉数、発行日時及び計数機番号がバーコード印刷された計数レシートを発行する。
これら計数レシート発行並びに計数貯玉の終了後に、会員カード処理機60は、本実施例では、ホールコンピュータ90に当該遊技店Aのホール処理実績を収集させるために、計数レシート発行後には、その時に計数した出玉数(獲得玉数)をホールコンピュータ90に送信し、また、計数貯玉終了後には、その時に計数した出玉数(獲得玉数)とともに計数貯玉で貯玉口座に加算された玉数(以下、「計数貯玉数」と言う)をホールコンピュータ90に送信している。
ここで、本実施例で言う「ホール処理実績」とは、遊技店における出玉取扱い結果を総称する呼称であり、例えば、遊技客が遊技で獲得した出玉数(獲得玉数)、貯玉口座に加算処理された貯玉数、景品に交換された交換玉数などを指す。
景品管理装置70は、遊技店内の景品交換カウンタに配設された景品交換用の端末装置であり、交換玉数管理テーブルを用いて獲得玉と景品との交換を管理する。この交換玉数管理テーブルは、各景品ごとにその景品を交換するために必要な玉数(交換必要玉数)を対応付けて記憶している。そして、景品交換カウンタ内の係員が、会員カード処理機60により獲得玉数がバーコード印字された計数レシートを遊技客から受け取ると、この計数レシートから獲得玉数をバーコードリーダで読み取るとともに、遊技客により指定された景品に対応する交換ボタンを押下し、当該景品に関して計数レシートから交換必要玉数を総獲得玉数から減算する交換処理を実行させ、その後に係員による手作業で遊技客に景品を受け渡す。また、遊技客が特殊景品への交換を希望する場合には、係員はこの景品管理装置70に設けられた特殊景品交換ボタンを押下し、交換玉数管理テーブルを参照して獲得玉数に応じた特殊景品の払出しを景品払出機75に指示する。なお、計数レシートを用いた景品交換だけではなく、会員カードを通じて貯玉を用いた景品交換を行うこともできる。
また、景品管理装置70は、計数レシートに印刷されたバーコードからパチンコ玉数を読み取って景品交換時に利用するだけではなく、計数レシートを用いた貯玉(以下、「レシート貯玉」と言う)を行うこともできる。具体的には、この景品管理装置70に設けられたバーコードリーダで計数レシートを読み取るとともに、カードリーダに会員カードを挿入して貯玉ボタンを押下すると、会員ID、パチンコ玉数が含まれる貯玉加算依頼が会員管理T/C10に対して送信される。
これら景品交換並びにレシート貯玉の終了後に、景品管理装置70は、ホールコンピュータ90に当該遊技店Aのホール処理実績を収集させるために、景品交換終了後には、獲得玉が景品として交換された玉数(以下、「交換玉数」と言う)をホールコンピュータ90に送信し、また、レシート貯玉終了後には、そのレシート貯玉で貯玉口座に加算処理された玉数(以下、「レシート貯玉数」と言う)をホールコンピュータ90に送信するようにしている。
会員管理T/C10は、会員管理テーブルを用いて遊技店に登録された会員の統括管理を行う管理装置である。この会員管理テーブルは、遊技客の会員IDにその遊技客の個人情報(例えば、氏名、電話番号など)及び貯玉残高を対応付けて記憶している。そして、会員カード処理機60又は景品管理装置70から貯玉加算依頼を受け付けたならば該当する貯玉口座内の貯玉数を加算処理し、CRユニット30から貯玉減算依頼を受け付けたならば該当する貯玉口座内の貯玉数を減算処理する。また、キーボードやマウス等の入力デバイスを通じて、会員管理テーブルに記憶された貯玉残高に対して手入力による貯玉(以下、「手入力貯玉」と言う)を行うこともできる。なお、この場合、手入力貯玉が行われた後にもその手入力貯玉によって貯玉口座に加算処理された玉数(以下、「手入力貯玉数」と言う)をホールコンピュータ90に送信する。
また、会員管理T/C10は、所定の契機(例えば、営業終了後)に会員管理テーブルに記憶された貯玉データ(貯玉残高)をホール貯玉管理装置100に送信している。このとき、ホール貯玉管理装置100との通信がオフライン状態でホール貯玉管理装置100に貯玉データが送信されなかった場合には、当該会員管理T/C10、会員カード処理機60及び景品管理装置70において貯玉データの加算処理(すなわち、計数貯玉、レシート貯玉及び手入力貯玉)を禁止するように制御する規制制御を行う。なお、本実施例では、遊技店の営業終了後に貯玉データを送信することとしたが、貯玉データを送信する頻度並びに送信する契機は任意に設定することができる。
一方、ホールコンピュータ90には、遊技台情報の収集を担う店内機器、たとえば台ユニット80が接続されており、さらに、この台ユニット(DU)80には、上述したパチンコ機40が接続されている。
パチンコ機40は、遊技客に対してパチンコ遊技を提供する他、台ニット80に遊技台情報を送信する機能を有しており、アウト数、セーフ数、特賞数、スタート数などの遊技台情報をパルス出力によって台ユニット80に通知している。
台ユニット80は、パチンコ機40によって出力された各種パルス信号をデジタル信号に変換してホールコンピュータ90に転送する装置である。具体的には、パチンコ機40から受信したアウト、セーフ、特賞やスタートなどのパルス信号をソフトウェア処理が可能なデジタル信号に変換し、このようにしてデジタル信号に変換した遊技台情報をホールコンピュータ90に通知している。なお、この「遊技台情報」は、送信元の遊技台の台番号などの情報を含めてホールコンピュータ90に送信される。また、本実施例では、1台の台ユニット80に2台のパチンコ機40を接続することとしたが、1台の台ユニット80に1台のパチンコ機40をペアで接続するようにしてもよいし、N台のパチンコ機40を接続するようにしてもかまわない。
ホールコンピュータ90は、図示しない台データ管理テーブルを用いて、遊技店における遊技台情報の収集・管理を行う情報処理装置である。この台データ管理テーブルは、遊技台の台番号ごとにアウト数、セーフ数、特賞数及びスタート数を対応付けて記憶している。そして、台ユニット80から各パチンコ機40のアウト、セーフ、特賞やスタートなどの遊技台情報を受信した場合に、台データ管理テーブル内の該当台番号及び該当項目のフィールドを更新する。なお、ここでは、保有玉の打込み、賞玉の払出し、大当たりの当選、大当たりの抽選がパチンコ機40で行われる度にこれらの遊技台情報をリアルタイムで収集することとしたが、予め定めた時刻(例えば、12時、18時など)や一定周期(例えば、5分周期など)ごとにまとめて収集するようにしてもかまわない。
このようにして台データ管理テーブルで管理された遊技台情報は、遊技台ごとの出玉動向の分析、たとえばイベント内容と整合性のある稼動であるのか等の分析や遊技台の人気傾向の分析、たとえばどの機種が遊技客に人気があるのか等の分析などに用いられることとなる。
また、ホールコンピュータ90は、上記した遊技台情報の収集・管理を行うに加え、図示しないホール処理実績管理テーブルを用いて、当該遊技店のホール処理実績の収集・管理を行う。このホール処理実績管理テーブルは、所定期間(例えば、1日間)における出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数を対応付けて記憶している。そして、会員カード処理機60から出玉数(獲得玉数)を受信した場合には、ホール処理実績管理テーブル内の出玉累計を加算更新し、会員管理T/C10から手入力貯玉数を受信した場合並びに景品管理装置70からレシート貯玉数を受信した場合には、ホール処理実績管理テーブル内の累計貯玉数を加算更新し、また、景品管理装置70から交換玉数を受信した場合には、ホール処理実績管理テーブル内の累計交換玉数を加算更新する。なお、遊技店の営業終了後には、このようにしてホール処理実績管理テーブルで管理されたホール処理実績が遊技店を一意に特定するための店舗コードと対応付けられてホール貯玉管理装置100に送信される。
ホール貯玉管理装置100は、後述する店舗別貯玉管理テーブル140bを用いて、貯玉補償基金に加盟する遊技店の貯玉データを統括管理する第三者機関の管理装置である。この店舗別貯玉管理テーブル140bは、遊技店の店舗コードごとにその遊技店の会員に加入している遊技客の会員ID、貯玉残高、氏名及び電話番号を対応付けて記憶している。そして、各遊技店に配設された会員管理T/C10から店舗コードに対応付けられた貯玉データを受信し、店舗別貯玉管理テーブル140b内の当該店舗コードの貯玉データを上書き更新する。
このように、貯玉管理システム1においては、遊技店の会員に加入した遊技客ごとの貯玉データを管理する会員管理T/C10と、会員管理T/C10によって通知された貯玉データを統括管理するホール貯玉管理装置100とが接続され、これら会員管理T/C10とホール貯玉管理装置100との通信が途絶している場合に会員管理T/C10にて行われる貯玉データの更新処理に対する規制制御を実行することを概要とする。
ここで、本実施例1では、遊技によって獲得された獲得玉数(出玉数)、貯玉データに対して加算処理された貯玉数及び景品との交換が行われた交換玉数を収集し、収集した獲得玉数、貯玉数及び交換玉数に基づいて、当該遊技店で不正行為が行われているか否かを判定し、不正行為が行われていないと判定した場合に、貯玉データの更新処理に対する規制制御を緩和するように制御する点にその特徴がある。
すなわち、会員管理T/C10とホール貯玉管理装置100との通信がオフライン状態である場合には、第三者機関のホール貯玉管理装置100に貯玉データが通知されず、架空口座への残高水増しなどの不正行為が行われる状況を看過してしまう事態を招くという第三者機関の視点から生じる問題により、これら両者の装置間で通信が担保されない場合に、貯玉データの更新処理に対する規制制御(例えば、計数貯玉、レシート貯玉及び手入力貯玉の禁止制御)が行われるが、この時にホール貯玉管理装置100との通信がオフライン状態である遊技店に対して貯玉データの更新処理を画一的に規制すると、その中には、故意ではなく事故や故障等により第三者機関のホール貯玉管理装置100との通信がオフライン状態となった遊技店も含まれてしまう。
つまり、従来においては、会員管理T/C10とホール貯玉管理装置100との通信が可能であるか否かによって規制を行うかどうかを制御しているが、この場合、両者の装置間で通信可能な状態が担保されていれば、第三者機関側で各遊技店の貯玉データを検査することにより遊技店による不正行為を看破することができる一方で、これら両者の装置間で通信が途絶している場合には、その原因が不正行為を目的とするものなのか、それとも事故や故障などであるのかは不明である。
このように、会員管理T/C10とホール貯玉管理装置100との通信が可能であるか否かによって規制制御を行うのは、ホール貯玉管理装置100に貯玉データを送信するという貯玉補償基金の加盟店に課される義務を果たさせるという着想が根底にあるためである。
しかしながら、会員管理T/C10に貯玉データを送信させるのには、貯玉補償時に遊技客に正確な貯玉数を補償する意義以外にも、架空の貯玉口座に対する水増し等の不正行為を未然に防止する意義もあり、かかる不正行為を行っておらず、故障や事故などが原因で第三者機関に貯玉データを送ることができない遊技店に規制制御を行うのはあまりに酷であり、第三者機関(貯玉補償基金)に対する協賛を失うおそれがある。
そこで、本実施例1では、獲得玉数、貯玉数及び交換玉数などのホール処理実績に基づいて架空の貯玉口座に対する水増し等の不正行為が行われているか否かを直接的に判定し、かかる不正行為が行われていない場合に規制制御を緩和するように制御することで、会員管理T/C10とホール貯玉管理装置100との通信途絶が故意にもたらされたのか否かによって規制制御の重み付けを変化させ、もって不正行為を行っていない遊技店に対しては規制制御を緩和することができるようにしている。
すなわち、本実施例1では、前日に計数機50で計数された出玉累計が、前日に各種店内機器で貯玉口座に加算処理された貯玉数の累計と前日に景品との交換が行われた交換玉数の累計との合算値を比較することによって遊技店で不正行為が行われた否かを判定している。
例えば、図2に示すように、出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値と等しい場合には、前日の出玉全部が貯玉されるか、或いは景品に交換されたことを示しており、また、出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値を上回る場合には、前日の計数レシートの中に景品に交換し忘れられたものが存在することを示しており、これらの場合には、架空の貯玉口座に対する水増しが行われる余地がなく、前日の貯玉データに整合性が担保されているということができる。一方、出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値未満である場合には、計数機50で計数された玉数以上に貯玉加算が行われていることを示しており、この場合には、架空の貯玉口座に対する水増しが行われた可能性が高く、前日の貯玉データに整合性が担保されていない。
このため、出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値以上である場合には、貯玉データの更新処理に対する規制制御を緩和するように制御する一方で、出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値未満である場合には、貯玉データの更新処理に対する規制制御をそのまま維持する。
したがって、本実施例1では、架空の貯玉口座に対する水増し等の不正行為を行っていない遊技店に対しては規制制御を緩和することができる結果、少なくとも故意ではなく故障や事故などが原因でオフライン状態を招いた遊技店に不当な規制がなくなり、遊技店から第三者機関(貯玉補償基金)に対する協賛を失うことを防止することが可能になる。
次に、図1に示したホール貯玉管理装置100の構成について説明する。なお、本実施例1では、上記した不正行為の実行可否判定や貯玉データの規制制御に対する緩和制御などの主要な機能をホール貯玉管理装置100が果たす場合について説明する。
図3は、実施例1に係るホール貯玉管理装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このホール貯玉管理装置100は、入力部110と、出力部120と、通信制御I/F部130と、記憶部140と、制御部150とを備える。
入力部110は、キーボードやマウス等の入力デバイスであり、出力部120は、液晶パネルやディスプレイ等の表示デバイスであり、また、通信制御I/F部130は、島コントローラ20、CRユニット30、会員カード処理機60、景品管理装置70、ホールコンピュータ90及びホール貯玉管理装置100との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。
記憶部140は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、各遊技店の会員管理T/C10との通信処理実績を管理する店舗別通信処理実績管理テーブル140aと、貯玉補償基金に加盟する遊技店の貯玉データを管理する店舗別貯玉管理テーブル140bと、各遊技店のホール処理実績を管理する店舗別ホール処理実績管理テーブル140cとを記憶する。
店舗別通信処理実績管理テーブル140aは、図4に示すように、遊技店の店舗コードごとに前回の貯玉データの受信日時、通信途絶フラグ、規制緩和フラグ及び累計未受信回数を記憶したテーブルである。ここで、通信途絶フラグを記憶することとした理由は、当該ホール貯玉管理装置100との通信がオフライン状態にある会員管理T/C10、すなわち装置内部で規制制御が実行されている会員管理T/C10にだけ規制制御の緩和制御を行うためである。なお、この通信途絶フラグは、会員管理T/C10との通信がオンラン状態であるのか否か示すフラグであり、規制緩和フラグは、規制制御に対する緩和制御が行われているか否かを示すフラグであり、また、累計未受信回数は、現在までに遊技店から貯玉データが送信されなかった日の累積回数を示している。
例えば、図4に示した店舗別通信処理実績管理テーブル140aによれば、現在の日付を2007年9月12日とした時、店舗コード「00001」の遊技店では、規制制御もその緩和制御も行われておらず、店舗コード「00002」の遊技店では、規制制御が行われているものの緩和制御が行われており、また、店舗コード「00003」の遊技店では、規制制御が行われているのに緩和制御が行われていないことを表しており、さらには、店舗コード「00003」の遊技店で不正行為が行われている可能性があることを示している。
店舗別貯玉管理テーブル140bは、図5に示すように、遊技店の店舗コードごとにその遊技店の会員に加入した遊技客の会員ID、貯玉残高、氏名及び電話番号を記憶したテーブルである。例えば、図5に示した店舗別貯玉管理テーブル140bによれば、店舗コード「00001」の遊技店においては、会員ID「1001」の遊技客が貯玉口座に8920個の残高を保有しており、会員ID「1002」の遊技客が貯玉口座に2100個の残高を保有している場合を示している。なお、遊技店に有事が起こり、第三者機関が貯玉補償を行う場合には、このテーブルに記憶された氏名や電話番号等の個人情報を用いて貯玉補償が行われる。
店舗別ホール処理実績管理テーブル140cは、図6に示すように、遊技店の店舗コードごとにその遊技店の出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数を記憶したテーブルである。ここで、出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数のホール処理実績は、営業終了後に各遊技店のホールコンピュータ90から通知されたものであり、後述する不正実行可否判定部150cにおいて架空口座への残高水増し等の不正行為が行われているか否かを判定するための判定要素として用いられる。
制御部150は、ホール貯玉管理装置100を全体制御する制御部であり、テーブルデータ更新部150aと、データ受信可否判定部150bと、不正実行可否判定部150cと、規制緩和制御部150dとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行し、テーブルデータ更新部150a、データ受信可否判定部150b、不正実行可否判定部150c及び規制緩和制御部150dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
テーブルデータ更新部150aは、記憶部140内の各テーブル内のデータを更新する処理部である。具体的には、会員管理T/C10から店舗コードを含む貯玉データを受信した場合には、店舗別貯玉管理テーブル140b内の該当店舗コードの貯玉残高を更新するとともに、店舗別通信処理実績管理テーブル140a内の該当店舗コードの前回の貯玉データ受信日時を更新し、また、ホールコンピュータ90から出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数を受信した場合には、ホール処理実績管理テーブル140c内の該当店舗の出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数を更新する。
これら出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数のデータの流れを具体的に説明すると、図7に示すように、ホールコンピュータ90は、出玉数については会員カード処理機60から収集し、貯玉(加算)数については計数貯玉、レシート貯玉及び手入力貯玉の3つの加算処理の形態が存在するので会員管理T/C10会員カード処理機60及び景品管理装置70から収集し、また、交換玉数については景品管理装置70から収集しており、このようにして収集した出玉数、貯玉数及び交換玉数をホール処理実績管理テーブルに加算更新しておき、遊技店の営業終了後にこのホール処理実績管理テーブルに記憶された出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数を当該遊技店の店舗コードに対応付けてホール貯玉管理装置100に送信する。
一方、テーブルデータ更新部150aは、ホールコンピュータ90から受信した出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数を店舗別ホール処理実績管理テーブル140c内の該当店舗コードの出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数を上書き更新することにより、店舗別ホール処理実績管理テーブル140cで各遊技店のホール処理実績を管理することができるようにしている。
データ受信可否判定部150bは、店舗別通信処理実績管理テーブル140aを用いて、会員管理T/C10から貯玉データを受信したか否かを判定する処理部である。具体的には、営業終了後に会員管理T/C10から貯玉データが送信されるが、遊技店間で送信時間にばらつきがあるので、貯玉データの受信を翌日の水際まで待機するとともに、営業開始時刻までに規制緩和制御を行う観点から、翌日の営業開始時刻(例えば、通常営業開始時刻である10時またはイベントや行政法などによって定められた営業開始時刻)から所定時間(例えば、30分間)前に、店舗別通信処理実績管理テーブル140a内の前回の貯玉データ受信日時が前日もしくは当日の日付であるか否かを店舗コード順に判定し、前日もしくは当日である場合には、その店舗コードに対応する通信途絶フラグをオン状態に更新し、一方、前日もしくは当日でない場合には、その店舗コードに対応する通信途絶フラグをオン状態に更新するようにテーブルデータ更新部150aに要請する。なお、本実施例1では、テーブルデータ更新部150aに店舗別通信処理実績管理テーブル140aを更新させる契機を翌日の営業開始時刻から所定時間前としたが、営業終了時刻以降であれば任意のタイミングに行わせることができる。
このようにして、ホール貯玉管理装置100で会員管理T/C10との通信途絶可否を管理するのは、各遊技店の会員管理T/C10にて規制制御が作動しているか否かを記憶管理するためであり、ひいては貯玉データの更新処理に対する規制制御が行われている会員管理T/C10だけに後述する規制緩和制御部150dによる規制緩和制御を行うためである。
不正実行可否判定部150cは、店舗別ホール処理実績管理テーブル140cを用いて、遊技店が不正行為を行っているか否かを判定する処理部である。具体的には、データ受信可否判定部150bによって先立って更新が行われた店舗別通信処理実績管理テーブル150a内の通信途絶フラグがオフ状態である店舗コードの遊技店を対象にして、店舗別ホール処理実績管理テーブル140cに記憶された出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数との合算値以上であるか否かを判定する。
このとき、出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値と等しいと判定した場合には、前日の出玉全部が貯玉されるか、或いは景品に交換されたことを示しており、また、出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値を上回る場合には、前日の計数レシートの中に景品に交換し忘れられたものが存在することを示しており、これらの場合には、架空の貯玉口座に対する水増しが行われる余地がなく、前日の貯玉データに整合性が担保されていると見做すことができる(図2参照)。
一方、出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値未満であると判定した場合には、計数機50で計数された玉数以上に貯玉加算が行われていることを示しており、この場合には、架空の貯玉口座に対する水増しが行われた可能性が高く、前日の貯玉データに整合性が担保されていないと見做すことができる(図2参照)。
規制緩和制御部150dは、不正実行可否判定部150cによって遊技店で不正行為が行われていないと判定された場合に、貯玉データの更新処理に対する規制制御を緩和するように制御する処理部である。具体的には、ホール貯玉管理装置100に貯玉データが送信されていない場合に、会員管理T/C10では規制レベル2に対応する規制制御が行われるようにデフォルト設定されており、不正実行可否判定部150cによって不正行為が行われていないと判定された店舗コードの会員管理T/C10に対して、規制レベル1に対応する規制制御を行うように指示することにより、不正行為を行っていない遊技店に対する規制緩和を行う。なお、かかる規制緩和指示は、ホール貯玉管理装置100と会員管理T/C10との通信が途絶しているので、別経路でホール貯玉管理装置100に接続されたホールコンピュータ90を介して行う。
すなわち、規制緩和制御部150dは、規制レベル2に対応した規制制御から規制レベル1に対応した規制制御に下げることによって規制制御を緩和している。具体的には、ホール貯玉管理装置100に貯玉データが通知されていない段階では、規制レベル2に対応した規制制御、たとえば計数貯玉、レート貯玉又は手入力貯玉を全面的に禁止する規制制御を行わせておき、不正実行可否判定部150cによって遊技店で不正行為が行われていないと判定された段階で、規制レベル1に対応した規制制御、たとえば貯玉残高を10000個までに制限し、計数貯玉、レート貯玉又は手入力貯玉を行った場合に貯玉残高が貯玉上限である10000個よりも多くなる加算処理を禁止するとともに、手入力貯玉については1日につき5件までしか許容しない規制制御を会員管理T/C10に行わせる。
より具体的には、図8に示すように、会員管理T/C10では、規制緩和制御部150dによって規制緩和指示が行われない限り、規制レベル2に対応する規制制御を行うように標準動作が設定されており、不正実行可否判定部150cによって遊技店で不正行為が行われていないと判定された場合に、その遊技店の店舗コードに該当する会員管理T/C10に対して規制レベル1の規制制御を行うようにホールコンピュータ90を介して指示し、この規制緩和指示を受け付けた会員管理T/C10では、規制レベル2から規制レベル1に下げて規制制御を行うように会員カード処理機60及び景品管理装置70に指示する。
次に、図3に示したホール貯玉管理装置100による規制緩和制御処理について詳細に説明する。図9は、実施例1に係るホール貯玉管理装置による規制緩和制御処理を示すフローチャートである。この規制緩和制御処理は、データ受信可否判定部150b及びテーブルデータ更新部150aによって店舗別通信処理実績管理テーブル140a内の通信処理実績が更新されてから開始される。
図9に示すように、不正実行可否判定部150cは、店舗別通信処理実績管理テーブル140a内の通信処理実績が更新されたことを検知すると(ステップS101肯定)、店舗別通信処理実績管理テーブル140a内の通信途絶フラグを店舗コード順に確認する(ステップS102)。
このとき、当該店舗コードの通信途絶フラグがオフ状態であった場合(ステップS103肯定)には、店舗別ホール処理実績管理テーブル140cから該当店舗コードのホール処理実績(出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数)を読み出し(ステップS104)、出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値以上、すなわち出玉累計≧累計貯玉数+累計交換玉数であるか否かを判定する(ステップS105)。
ここで、不正実行可否判定部150cによって出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値以上であると判定された場合(ステップS105肯定)には、規制緩和制御部150dは、当該店舗コードに該当する会員管理T/C10に対して規制レベル1の規制制御を行うようにホールコンピュータ90を介して指示し(ステップS106)、店舗別通信処理実績管理テーブル140a内の該当店舗コードの規制緩和フラグをオン状態に更新するように要請する(ステップS107)。なお、この規制緩和指示を受け付けた会員管理T/C10では、規制レベル2から規制レベル1に下げて規制制御を行うように会員カード処理機60及び景品管理装置70に指示する。
一方、不正実行可否判定部150cによって出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値未満であると判定された場合(ステップS105否定)には、計数機50で計数された玉数以上に貯玉加算が行われていることを示しており、架空の貯玉口座に対する水増しが行われた可能性が高いので、規制緩和制御部150dによる規制緩和制御は行われず、ステップS108に移行する。
図6に示した例を用いて説明すると、たとえば店舗コード「00002」の遊技店の場合には、出玉累計「268250個」>累計貯玉数「58620個」+累計交換玉数「209510個」=268130個となるので、店舗コード「00002」の会員管理T/C10に規制緩和指示が行われるが、店舗コード「00003」の遊技店の場合には、出玉累計「182420個」<累計貯玉数「82450個」+累計交換玉数「142800個」=225250個となるので、店舗コード「00003」の会員管理T/C10には規制緩和指示が行われない。
その後、全ての店舗コードについて遊技店の通信途絶フラグの確認、遊技店の不正実行可否判定及び不正行為を行っていない遊技店に対する規制緩和制御が行われるまで(ステップS108否定)、不正実行可否判定部150c及び規制緩和制御部150dは、上記したステップS102〜ステップS107の処理を繰り返し行い、全ての店舗コードについて上記の処理が終了すると(ステップS108肯定)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例1では、出玉数、貯玉数及び交換玉数をホール処理実績として記憶するとともに、出玉数、貯玉数又は交換玉数を収集した場合にホール処理実績を更新し、所定の契機にホール処理実績をホール貯玉管理装置100に通知するようにホールコンピュータ90を構成する一方で、会員管理T/C10ごとに、ホールコンピュータ90から通知されたホール処理実績を対応付けて記憶しておき、会員管理T/C10に対応付けて記憶したホール処理実績に基づいて、当該会員管理T/C10が配設された遊技店で不正行為が行われているか否かを判定し、不正行為が行われていないと判定した場合に、貯玉データの更新処理に対する規制制御を緩和するように会員管理T/C10に指示するようにホール貯玉管理装置100を構成したので、不正行為を行っていない遊技店の会員管理T/C10に対して規制緩和を遠隔制御で行うことができる結果、故障や事故などが原因でオフライン状態を招いた遊技店に不当な規制を行うことを防止するとともに、ホールコンピュータ90の不正操作によって規制緩和が行われる事態を防止することが可能になる。
さらに、本実施例1では、出玉数が貯玉数及び交換玉数の合算値以上であるか否かによって当該遊技店で不正行為が行われているか否かを判定するように構成したので、たとえば出玉数が貯玉数及び交換玉数の合算値以上である場合には、架空口座への残高水増しが行われていないことが高い確度で担保された状態で規制緩和を行い、また、出玉数が貯玉数及び交換玉数の合算値未満である場合には、遊技店が架空口座への残高水増しを行った場合に高い確度で検知することができ、貯玉補償基金に加盟する遊技店から協賛を得ながらも、不正行為を検知した場合には厳粛な対応措置を講じることが可能になる。
さて、上記した実施例1では、架空口座への残高水増し等の不正行為の実行可否判定及び規制緩和制御をホール貯玉管理装置100に実行させる場合について説明したが、本実施例2では、これらの処理をホールコンピュータ200に実行させる場合の貯玉管理システム5を説明する。
すなわち、上記した実施例1では、ホールコンピュータ90からホール貯玉管理装置100へホール処理実績を送信することとしたが、その場合にはホール処理実績の送信が通信負荷を増大させてしまうので、ホールコンピュータ200で不正行為の実行可否を判定し、その結果を送付する構成を創作した。そうすることにより、遊技店内のホールコンピュータ200と店外のホール貯玉管理装置100の送信負荷を軽減することができる。
このように、本実施例2では、出玉数、貯玉数及び交換玉数をホール処理実績として記憶するとともに、出玉数、貯玉数又は交換玉数を収集した場合にホール処理実績を更新し、出玉数、貯玉数及び交換玉数の収集が終了した場合に、ホール処理実績に基づいて、当該遊技店で不正行為が行われているか否かを判定し、不正行為が行われていないと判定した場合に、貯玉データの更新処理に対する規制制御を緩和するように会員管理T/C10に指示することで、不正行為を行っていない遊技店の会員管理T/C10に対する規制緩和を店内機器で完結して行うことができる結果、ホール貯玉管理装置100へ判定結果或いは規制緩和を実行する旨のデータを送信するだけでよく、ホールコンピュータ200とホール貯玉管理装置100との通信負荷が大幅に軽減できる。
さらに、本実施例2では、店内機器で規制緩和を完結して行うことができるので、第三者機関側の装置構成を改変しなくとも、故障や事故などが原因でオフライン状態を招いた遊技店に不当な規制を行うことを防止することができ、第三者機関の設備投資費用を提言させることも可能になる。
次に、本実施例2に係るホールコンピュータ200の構成について説明する。図10は、実施例2に係るホールコンピュータ200の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このホールコンピュータ200は、入力部210と、出力部220と、通信制御I/F部230と、記憶部240と、制御部250とを備える。
入力部210は、キーボードやマウス等の入力デバイスであり、出力部220は、液晶パネルやディスプレイ等の表示デバイスであり、また、通信制御I/F部230は、島コントローラ20、台ユニット80、CRユニット30、会員カード処理機60、景品管理装置70、会員管理T/C10及びホール貯玉管理装置100との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。
記憶部240は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、当該遊技店における遊技台情報を管理する台データ管理テーブル240aと、当該遊技店におけるホール処理実績を管理するホール処理実績管理テーブル240bとを記憶する。
台データ管理テーブル240aは、遊技台の台番号ごとにアウト数、セーフ数、特賞数及びスタート数を対応付けて記憶したテーブルである。なお、ここでは、1台の遊技台の遊技台情報としたが、複数台の遊技台情報、たとえば遊技機種ごとのアウト数、セーフ数、特賞数及びスタート数などをさらに管理するようにしてもよい。
ホール処理実績管理テーブル240bは、当該遊技店における出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数を記憶したテーブルである。例えば、上記した実施例1に係る店舗別ホール処理実績管理テーブル140c(図6参照)が複数の遊技店の出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数を記憶するのと相違し、当該遊技店だけの出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数(図6に示したテーブルのうち1レコード)を記憶している。
制御部250は、ホールコンピュータ200を全体制御する制御部であり、収集データ更新部250aと、データ送信可否問合せ部250bと、通信可否判定部250cと、不正実行可否判定部250dと、規制緩和制御部250eとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行し、収集データ更新部250a、データ送信可否問合せ部250b、通信可否判定部250c、不正実行可否判定部250d及び規制緩和制御部250eにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
収集データ更新部250aは、各種店内機器から収集した遊技台情報及びホール処理実績を記憶部240内の各テーブルに更新する処理部である。具体的には、台ユニット80から各パチンコ機40のアウト、セーフ、特賞やスタートなどの遊技台情報を受信した場合には、台データ管理テーブル240a内の該当台番号及び該当項目のフィールドを更新する一方で、会員カード処理機60から出玉数(獲得玉数)を受信した場合には、ホール処理実績管理テーブル240b内の出玉累計を加算更新し、会員管理T/C10から手入力貯玉数を受信した場合並びに景品管理装置70からレシート貯玉数を受信した場合には、ホール処理実績管理テーブル240b内の累計貯玉数を加算更新し、また、景品管理装置70から交換玉数を受信した場合には、ホール処理実績管理テーブル240b内の累計交換玉数を加算更新する。
データ送信可否問合せ部250bは、ホール貯玉管理装置100に貯玉データが送信されたか否かを会員管理T/C10に問い合わせる処理部である。具体的には、営業終了後に会員管理T/C10から貯玉データが送信されるが、遊技店間で送信時間にばらつきがあるので、貯玉データの受信を翌日の水際まで待機するとともに、営業開始時刻までに規制緩和制御を行う観点から、当該遊技店の営業開始時刻(例えば、通常営業開始時刻である10時またはイベントや行政法などによって定められた営業開始時刻)から所定時間(例えば、30分間)前に、ホール貯玉管理装置100に対して前日の貯玉データを送信したか否かを会員管理T/C10に問い合わせる。
通信可否判定部250cは、当該ホールコンピュータ200とホール貯玉管理装置100との通信が可能であるか否かを判定する処理部である。具体的には、ホール貯玉管理装置100に対して確認用のパケット等を送信してACKが返信された場合には、ホール貯玉管理装置100との通信コネクションが確立されていると判定し、一方、ACKの返信がなくタイムアウトした場合には、ホール貯玉管理装置100との通信コネクションが確立されていないと判定する。
不正実行可否判定部250dは、ホール処理実績管理テーブル240bを用いて、遊技店が不正行為を行っているか否かを判定する処理部である。具体的には、データ送信可否問合せ部250bによって問い合わされた応答として前日の貯玉データが送信済みである旨の応答が得られ、かつ通信可否判定部250cによって当該ホールコンピュータ200とホール貯玉管理装置100との通信がオンライン状態であると判定された場合に、ホール処理実績管理テーブル240bに記憶された出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数との合算値以上であるか否かを判定する。なお、かかる不正実行可否の判定基準は、上記した実施例1と同様の判定基準であるので、ここではその説明を省略する。
規制緩和制御部250eは、不正実行可否判定部250dによって遊技店で不正行為が行われていないと判定された場合に、貯玉データの更新処理に対する規制制御を緩和するように制御する処理部である。具体的には、不正実行可否判定部250dによる判定結果をホール貯玉管理装置100に送信し、規制緩和OKの許可を得るか、或いは不正実行可否判定部250dによって遊技店で不正行為が行われていないと判定された場合に規制緩和の実行可否をホール貯玉管理装置100に問合せて規制緩和の許可を得た場合に、実際の規制緩和制御を行う。
より詳細には、ホール貯玉管理装置100に貯玉データが送信されていない場合に、会員管理T/C10では規制レベル2に対応する規制制御が行われるようにデフォルト設定されており、ホール貯玉管理装置100から上記規制緩和の許可を得た場合に、会員管理T/C10に対して規制レベル1に対応する規制制御を行うように指示することにより、不正行為を行っていない遊技店に対する規制緩和を行う。
次に、本実施例2に係るホールコンピュータ200による規制緩和制御処理について詳細に説明する。図11は、実施例2に係るホールコンピュータによる規制緩和制御処理を示すフローチャートである。この規制緩和制御処理は、任意のタイミングで行うことができるが、ここでは、貯玉データの受信を翌日の水際まで待機するとともに、営業開始時刻までに規制緩和制御を行う観点から当該遊技店の営業開始時刻から所定時間前に開始することとする。
同図に示すように、現時刻が当該遊技店の営業開始時刻から所定時間前に至ると(ステップS201肯定)、ホール貯玉管理装置100に対して前日の貯玉データを送信したか否かを会員管理T/C10に問い合わせる(ステップS202)。なお、前日の貯玉データは、ホール貯玉管理装置100から取得するようにしてもよい。
このとき、会員管理T/C10から前日の貯玉データが未送信である旨の応答が得られた場合(ステップS202肯定)には、通信可否判定部250cは、当該ホールコンピュータ200とホール貯玉管理装置100との通信が可能であるか否かをさらに判定する(ステップS203)。
ここで、通信可否判定部250cによって当該ホールコンピュータ200とホール貯玉管理装置100との通信がオンライン状態であると判定された場合(ステップS203肯定)に、不正実行可否判定部250dは、ホール処理実績管理テーブル240bから出玉累計、累計貯玉数及び累計交換玉数を読み出し(ステップS204)、出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値以上、すなわち出玉累計≧累計貯玉数+累計交換玉数であるか否かを判定する(ステップS205)。
そして、不正実行可否判定部250dによって出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値以上であると判定された場合(ステップS205肯定)には、規制緩和制御部250eは、ホール貯玉管理装置100に規制緩和の実行可否を問合せ(ステップS206)、その結果、ホール貯玉管理装置100から規制緩和の許可が得られたならば(ステップS207肯定)、会員管理T/C10に対して規制レベル1の規制制御を行うように指示し(ステップS208)、処理を終了する。なお、この規制緩和指示を受け付けた会員管理T/C10では、規制レベル2から規制レベル1に下げて規制制御を行うように会員カード処理機60及び景品管理装置70に指示する。
一方、不正実行可否判定部250dによって出玉累計が累計貯玉数及び累計交換玉数の合算値未満であると判定された場合(ステップS205否定)には、計数機50で計数された玉数以上に貯玉加算が行われていることを示しており、架空の貯玉口座に対する水増しが行われた可能性が高いので、規制緩和制御部250eによる規制緩和制御を行わず、処理を終了する。
また、会員管理T/C10から前日の貯玉データが送信済みである旨の応答を得た場合、通信可否判定部250cによって当該ホールコンピュータ200とホール貯玉管理装置100との通信がオフライン状態であると判定された場合、或いはホール貯玉管理装置100から規制緩和の許可が得られなかった場合(ステップS202否定、ステップS203否定又はステップS207否定)にもそのまま処理を終了する。
上述してきたように、本実施例2では、出玉数、貯玉数及び交換玉数をホール処理実績として記憶するとともに、出玉数数、貯玉数又は交換玉数を収集した場合にホール処理実績を更新し、出玉数、貯玉数及び交換玉数の収集が終了した場合に、ホール処理実績に基づいて、当該遊技店で不正行為が行われているか否かを判定し、不正行為が行われていないと判定した場合に、貯玉データの更新処理に対する規制制御を緩和させる指示を会員管理T/C10に行うように構成したので、ホール貯玉管理装置100へ判定結果或いは規制緩和を実行する旨のデータを送信するだけでよく、ホールコンピュータ200とホール貯玉管理装置100との通信負荷が大幅に軽減できる。
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
(1)ホール処理実績の収集
例えば、上記した実施例1及び2では、景品管理装置70で景品に交換された交換玉数をホール処理実績として収集する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば飲料、食料やタバコ等の交換機に接続される自販機子機が配設されている場合には、この自販機子機の交換玉数もホール処理実績として計上するようにしてもよい。
(2)不正実行可否の判定
また、上記した実施例1及び2では、出玉累計、累計貯玉数、累計交換玉数の相互関係から不正行為の実行可否を判定することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、出玉数、貯玉数、交換玉数それぞれ単独で用いて遊技店で不正行為が行われているか否かを判定するようにしてもよい。
例えば、出玉累計を用いて不正行為の実行可否を判定する場合には、出玉累計が所定値(例えば、当該遊技店の平均出玉数、同規模の他店の出玉数などの閾値)以下である場合には、架空口座に残高を水増しするために実際に遊技で獲得されていないパチンコ玉を計数機50で計数された可能性が低いと見做して、不正行為が行われていないと判定するようにしてもよい。
また、累計貯玉数を用いて不正行為の実行可否を判定する場合には、累計貯玉数が所定値(例えば、当該遊技店の平均累計貯玉数、同規模の他店の累計貯玉数などの閾値)以下である場合には、貯玉口座に加算処理される絶対数が少なく、架空口座に残高を水増しする余地が狭まるため、不正行為が行われていないと判定するようにしてもよい。
これに対して、累計交換玉数を用いて不正行為の実行可否を判定する場合には、出玉累計が所定値(例えば、当該遊技店の平均出玉数、同規模の他店の出玉数などの閾値)以下である場合には、架空口座に水増しされた残高が特殊景品に交換された可能性が低いため、不正行為が行われていないと判定するようにしてもよい。
(3)規制緩和制御
また、本発明では、会員管理T/C10とホール貯玉管理装置100との通信の途絶期間、途絶回数、途絶時及び復帰時の貯玉数の差のいずれか1つもしくは複数を通信処理実績として記憶しておき、記憶した通信処理実績に応じて規制制御を緩和する度合いを変化させるようにしてもよい。
すなわち、累計途絶回数、最長途絶期間、途絶時及び復帰時の貯玉数の差を通信処理実績管理テーブルに記憶させておき、累計途絶回数、最長途絶期間、途絶時及び復帰時の貯玉数の差が大きくなるにしたがって、規制制御を緩和する度合いを下げるようにホール貯玉管理装置100又はホールコンピュータ200を構成する。
例えば、累計途絶回数が1回以上5回未満である場合には、規制レベル0に対応した規制制御(例えば、手入力貯玉だけ1日につき5件までに制限する規制制御)を行わせ、累計途絶回数が5回以上10回未満である場合には、規制レベル1に対応した規制制御を行わせ、また、累計途絶回数が10回以上である場合には、規制レベル2に対応した規制制御をホール貯玉管理装置100の規制緩和制御部150dに行わせる。この場合に、ホール貯玉管理装置100が図12に示した通信処理実績管理テーブル140dを有する場合には、店舗コード「00002」の遊技店には規制レベル1に対応した規制制御が行われ、店舗コード「00003」の遊技店には規制レベル2に対応した規制制御が行われることになる。なお、ここでは、累計途絶回数だけで規制緩和条件を設定した例を説明したが、これら累計途絶回数、最長途絶期間、途絶時及び復帰時の貯玉数の差の項目を組み合わせた規制緩和条件を設定することもできる。
すなわち、これによって、貯玉補償基金に加盟する遊技店のうち優良店(規約を遵守する遊技店)には規制制御を緩和する度合いを高くする一方で、不良店(規約を守らない店)には規制制御を緩和する度合いを低くするという信賞必罰に則った運営を行うことができ、遊技店から第三者機関(貯玉補償基金)に対する協賛を効果的に高めることができる。
また、上記した実施例1及び2では、計数貯玉数、レシート貯玉数及び手入力貯玉数を1つにまとめて累計貯玉数とする例を説明したが、架空口座に残高水増しする不正行為は手入力貯玉によって行われるケースが多いので、累計貯玉数の中で累計手入力貯玉数の割合が所定値(例えば、2割)以上である場合には、遊技店で不正行為が行われていると判定することで、架空口座への残高水増しが行われる主原因を絶つ対応措置を取ることができ、遊技店による不正行為をより実効的に防止することができる。
また、上記した実施例1及び2では、規制レベル2で貯玉データの加算処理を禁止していた規制制御を貯玉データの加算処理に貯玉上限を設ける規制レベル1の規制制御に変更する規制緩和制御を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、規制レベル2で貯玉上限を設けながらも貯玉データの加算処理を部分的に許容しておき、規制レベル1でさらに貯玉上限を低くする規制緩和制御を行うようにしてもよい。
なお、上記した実施例1及び2では、すべての遊技客に同一の貯玉上限(10000個)を設定する規制制御(総量規制)を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ホール貯玉管理装置100との通信がオフラインになってから貯玉加算を許容する玉数を制限する貯玉上限を設ける規制制御(上積み規制)を行ってもよい。例えば、規制レベル1の貯玉上限を10000個とし、規制レベル2の貯玉上限を3000個とした時、規制レベル1の場合には、オフライン状態になってからは+10000個まで貯玉加算することができ、また、規制レベル2の場合には、オフライン状態になってからは+3000個までしか貯玉加算することができないことになる。
また、上記した実施例1及び2では、貯玉データの更新処理に対する規制制御を2段階で行う場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3段階以上の規制制御を行う場合にも本発明を同様に適用することができる。
また、上記した実施例1及び2では、不正行為を行っていないにしても、遊技店には第三者機関に貯玉データをアップロードする義務があるので、かかる義務を果たすことを喚起する観点から部分的に規制緩和を行う例を説明したが、遊技店が不正行為を行っていない場合に規制制御を完全に解除するか否かについては、貯玉補償基金を運営する第三者機関の裁量によって任意に決定されることが好ましく、貯玉補償基金に対する協賛を広く得る観点から規制制御を完全に解除するようにしてもかまわない。
なお、上記した実施例1では、ホール貯玉管理装置100に送信された累計貯玉数を貯玉データの代替とすることができるように錯覚されることも考えられるが、累計貯玉数はあくまで総量的な貯玉データであり、各会員がどれくらいの貯玉残高を保有しているかは不明であるため、有事に個人に対して貯玉補償を行うことができず、依然として会員管理T/C10とホール貯玉管理装置100との通信を確保することが肝要なのは言うまでもない。
(4)その他
例えば、本発明では、不正実行可否判定部150c又は250dによって遊技店で不正行為が行われていると判定された場合には、たとえ会員管理T/C10とホール貯玉管理装置100との通信がオンライン状態であっても規制制御を実行させるようにしてもよい。すなわち、これによって、会員管理T/C10とホール貯玉管理装置100との通信を途絶させずに不正行為が行われた場合に第三者機関の被害額(補償額)が増大してゆくのを防止することができる。
なお、上記した実施例1及び2では、本発明をパチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合又はパチスロ遊技のみを対象とした場合にも本発明を同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店及びパチスロ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。