JP5105219B2 - コンクリート製貯槽 - Google Patents
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1は貯槽本体、2は平版状の底壁、3は平版状の側壁、4はその上方を覆う平版状の天井壁である。なお、流入管及び流出管などの付属設備は図示を省略している。
このコンクリート製貯槽の貯槽本体1の内壁面は、一般に防水モルタル施工や防水塗装などの表面処理がされている。
この特許文献1の発明は、コンクリート製貯槽の内壁面を鋼板を用いて機能的、施工性良く経済的にライニングするようにしたものである。
この特許文献2の発明は、液状物質を含む廃棄物等を貯蔵する貯蔵ピット1の内面に漏液防止用のライニング材3a,3bを内外二重に配置し、その両ライニング材間に漏液検知空間Sを形成するとともに、漏液検知手段を設けるライニング構造及び施工法である。
この特許文献3の発明は、膜体と鋼板を組合せて機能的かつ経済性良くライニング形成するもので、底壁の内壁面は複数の鋼板を溶接接合したものである。
この特許文献4の発明は、貯槽の内壁面を膜ライニングするもので、殊に底壁内壁面の底膜体を着脱自在、かつ液密状態に側壁面へ立ち上げて固定したものである。
そこで、コンクリート内壁面を耐食性鋼板や防水膜体で被覆ライニングすることが望まれ、特許出願も行われていた。
天井内壁面は天井内面膜体によって腐食性ガスから保護され、側壁内壁面は側壁内面膜体によって腐食性ガス及び貯蔵液体から保護され、底壁内壁面は底壁内面膜体によって貯蔵液体から保護されるため、コンクリート壁の内壁面は腐食や損傷されることがなく、壁面にクラックが発生しても漏水防止を図ることができる。
そして、防食や防水を目的とした塗装やコーティングなどを不要とし、再塗装などのメンテナンスの経費を削減することができ、耐久性及び経済性に優れたライニング構造のコンクリート製貯槽を提供することができる。
底壁、側壁、天井壁の各内壁面のライニング構造は、高価な耐食鋼板を使用することなく、大掛かりな足場使用による組立施工がなく、かつ高技量の溶接施工を必要とすることなく、さらにコーナー部は煩雑な鋼板加工及び取付けがないので、施工性及び経済性に優れたライニング構造となる。
図1は、コンクリート製貯槽の内壁面に膜体を内張りして防水ライニング形成したもので、矩形貯槽の場合を事例として示す。なお、平面多角形や円形、ドーム屋根形状の貯槽の場合にも、以下同様に適用することができる。
図2から図5は、図1の要部A〜Dをそれぞれ拡大して示す。
なお、上水道水などの貯蔵液体の流入管、流出管、及び梯子などの付属設備は図示を省略した。
(1)は溶着した状態で、各膜体を構成する断面を示し、xは不織布、yは防水ライニングシートの二層構造とした事例である。
(2)は現地にて各膜体を熱溶着する状態を示している。
各壁面2,3,4において、各膜体5,6,7同士a,bを重ね合せて、溶着部8で現地にて溶着機9を用いて熱溶着し、防水施工を行う。
天井壁内面膜体7を気密に結合する天井壁固定部10について詳細に説明する。
上記気密に結合する天井壁固定部10は、天井壁4の内壁面にアンカーボルト14を植設し、このアンカーボルト14に、天井壁内面膜体7の端縁部を挿通して重ね合わせ、その上部から帯板状のプレート16を挿通して当てがい、ワッシャ17を挿通してナット18で締付けて気密に結合する。
上記アンカーボルト14、プレート16、ワッシャ17、及びナット18などの部材は、耐食性を有し強靭な材料、例えばステンレス鋼材や合金材などの金属材料、或いは合成樹脂材料などを使用する。
また、天井壁固定部10のボルト先端のワッシャ17及びナット18の上部には、膜保護用のキャップ21を設ける。この膜保護用のキャップ21は、弾力性、密着性などを有する軟質材料、例えば合成ゴム材などからなる部材を使用する。
なお、上記突出したアンカーボルト14に、シーリング材19を介装する場合は、弾力性、耐食性、液密性などを有する材料、例えばシリコンゴム、クロロプレンゴム等の合成ゴム材料などを使用する。
このように、耐食性を有し強靭な材料の螺着部材、及び弾力性、耐食性、気密性などを有する材料を用いて結合した天井壁固定部10は、長期間の耐久性が得られる。
天井壁内面膜体の下端縁と側壁内面膜体6を重合せて気密に結合する側壁上部固定部11について詳細に説明する。
天井壁内面膜体7はその下端縁を下方に延出し、貯蔵液体の最高液面より上方に位置する気相部位の側壁3の内壁面に設けた側壁上部固定部11に固定し、上記側壁内面膜体6の上端縁を、この天井壁内面膜体7の下端縁に重合わせて側壁上部固定部11にて気密に固定する。
このように、天井壁内面膜体7と側壁内面膜体6の側壁上部固定部11は、貯蔵液体の最高液面より上方に位置する気相部位にて気密に結合しているので、簡単な構造によってシール性が確保される。
上記気密に結合する側壁上部固定部11は、側壁3の内壁面にアンカーボルト14を植設し、このアンカーボルト14に天井壁内面膜体7の端縁部を挿通し、側壁3の内壁面に沿って上方に延長させた側壁内面膜体6の端部を重ね合わせ、その上部から帯板状のプレート16を挿通し当て、ワッシャ17を挿通してナット18で締付けて気密に結合し、さらにその上部に袋綴状の覆膜20を設ける。この袋綴状の覆膜20は、側壁内面膜体6の端部を反転して結合箇所の上部を被覆し、その先端は溶着又は接着などによって気密に固着する。
上記アンカーボルト14、プレート16、ワッシャ17、及びナット18などの部材は、耐食性を有し強靭な材料、例えばステンレス鋼材や合金材などの金属材料、或いは合成樹脂材料などを使用する。
また、このボルト先端のワッシャ17及びナット18の上部には、膜保護用のキャップ21を設ける。この膜保護用のキャップ21は、弾力性、密着性などを有する軟質材料、例えば合成ゴム材などからなる部材を使用する。
なお、上記突出したアンカーボルト14に、シーリング材19を介装する場合は、弾力性、耐食性、液密性などを有する材料、例えばシリコンゴム、クロロプレンゴム等の合成ゴム材料などを使用する。
このように、耐食性を有し強靭な材料の螺着部材、及び弾力性、耐食性、気密性などを有する材料を用いて結合した側壁上部固定部11は、長期間の耐久性が得られる。
さらに、図4のC部のように、上記キャップ21の上方に袋綴状の覆膜20を設けることにより、表面に取付部材が突出することがなくカバーされ、表面がなだらかとなるため、物が引掛かったり、堆積物が付着することもないため、安全性に優れ、かつ気密性及び液密性に優れ、強靭かつ耐久性を有した固定部の構造となる。
また、貯蔵液体の出し入れによる液圧や気圧の変動に対しても、袋綴状の覆膜20及びシーリング材19の弾力性によって追従し密着状態を保持することができるため、固定部が劣化や損傷などすることなく、より耐久性と安全性が向上する。
底壁内面膜体5から側壁内面膜体6に連続するコーナー部12で一体形成し、底壁2から側壁3に連続するコーナー部12の内壁面の適所にアンカーボルト14を植設し、このアンカーボルト14に、コーナー部12の内面膜体に固着した帯膜片状のタブ13の端縁部を連結する。
このように、コーナー部12へ帯膜片状のタブ13からなる係合部材を介して膜体を係留状に連結固定することにより、液の出入りなどによる膜体の浮上がりを防ぎ、コーナー部12の膜体に皺の発生を防止することができる。
上記貫通部材22に位置する膜体は、その位置を開口し、その周囲に筒状膜体24を溶着して立上げ、この立上げた筒状膜体24の周囲を、バンドやボルトなどの固定具25を用いて貫通部材22へ固着する。
この可撓性膜材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニール系樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂等の合成樹脂材で形成したシート体、或いはポリエステル繊維やガラス繊維等の繊維に、上記ポリオレフィン系樹脂等の合成樹脂をコーティングした布膜材などのシート体を使用する。
また、底壁2及び側壁3の内壁面の貯蔵液体に浸る範囲は、貯蔵液体に曝されることなく膜体によって保護されるため、コンクリート製の底壁2及び側壁3の内壁面は腐食による損傷劣化を受けることなく、強度を保持し耐久性を向上することができる。
これらの膜体は、日光や外気に曝されず紫外線による劣化を生じることがなく、長期間の耐久性が保持される。また、コンクリート壁面にヒビ割れが発生しても、膜体が遮水性を有するため漏水することもない。
そして、従来のように貯蔵液体に対して耐食性に優れたSUS316やSUS304などの耐食性ステンレス鋼板、或いは気相の腐食性ガスに対して防食効果に優れたSUS329J4Lなどの高価な高耐食性ステンレス鋼板を使用する必要がないので、底壁内壁面、側壁の内壁面、及び天井内壁面は経済性に優れたライニング構造となる。
天井壁内面膜体は、分割した膜体片を折畳んで現場へ搬入し、天井内壁面の形状になじませて取付ける。
そして、その天井壁内面膜体の下端縁を、貯槽気相部の側壁の内壁面に植設したアンカーボルトなどの螺子部材に挿通し上部固定部にて固定する。
側壁内面膜体は、周方向に複数分割した膜体片をロール状に巻いて現場へ搬入し、その上端縁を上記天井壁内面膜体の下端縁の上に重ね合わせるように、前記アンカーボルトなどの螺子部材に挿通して懸架し、その重ね合わせた箇所の膜体片を上部固定部にて気密状態に固定する。
そして、この膜体片を側壁の内壁面になじませ密着させ、隣接する膜体片相互を溶着接合して略筒体形状の側壁内面膜体に形成する。
この側壁内面膜体周端縁を、天井壁内面膜体と同様に施工した底壁内面膜体の周端縁に重ね合わせて液密状態に一体化してコンクリート製貯槽の内壁面を防水ライニング形成する
このように、膜体片は隣接する膜体相互の端縁を重ね合わせて現地にて溶着接合するので、皺や弛みが生じることのなく液密状態に作業性良く施工することができる。
このように、可撓性の膜体片の上端縁をアンカーボルトなどの螺子部材に挿通させることによって、各膜体片の位置決めが容易となり、隣接する膜体片同士の溶着接合作業が能率良く簡便に行なえる。
そして、隣接する膜体片の相互端縁を、重ね合わせて溶着部にて現場溶着で接合するので、天井内壁面、側壁の内壁面や底壁のコーナー部表面に膜体をなじませ易く、上記ゴンドラ足場などを使用して作業性よく一体に短工期で施工することができる。
なお、既設の貯槽など、コンクリート壁面が荒れている場合には、上記結合部の凹凸を埋めて気密性を向上させるために、側壁の内壁面と天井壁内面膜体との間に弾力性を有する発泡クロロプレンゴム等のシーリング材を介装し、さらに天井壁内面膜体と側壁内面膜体
との間にネオプレンゴム等のシーリング材を介装する。
2 底壁
3 側壁
4 天井壁
5 底壁内面膜体
6 側壁内面膜体
7 天井壁内面膜体
8 溶着部
9 溶着機
10 天井壁固定部
11 側壁上部固定部
12 コーナー部
13 タブ
14 アンカーボルト
16 プレート
17 ワッシャ
18 ナット
19 シーリング材
20 袋綴状の覆膜
21 キャップ
22 貫通部材
23 取付部
24 筒状膜体
25 固定具
Claims (1)
- 底壁と側壁と天井壁とからなるコンクリート製貯槽の内壁面を、膜体を用いて防水ライニング形成するコンクリート製貯槽であって、底壁の内壁面は床壁面に密着する底壁内面膜体を設け、側壁の内壁面は壁面に密着する側壁内面膜体を設け、天井壁の内壁面は天井壁面に密着する天井壁内面膜体を設けてなり、これらの内面膜体は複数分割した膜体の周端縁を、重ね合わせて現地にて熱溶着して液密状態に一体化してコンクリート製貯槽の内壁面を防水ライニング形成するもので、上記底壁内面膜体と側壁内面膜体とのコーナー部の膜体は連続一体形成し、該コーナー部の膜体は、底壁から側壁に連続するコーナー部の内壁面に植設したアンカーボルトに、コーナー部内面膜体に固着した帯膜片状のタブを係留状に連結し、上記天井壁内面膜体は天井壁面に植設したアンカーボルトに挿通し固定部材を用いて固定するとともに、該天井壁内面膜体の端縁部は、天井壁コーナー部から側壁内壁面に沿って下方に延長し、上記側壁内面膜体の上端縁と重ね合せ、側壁面適所に植設したアンカーボルトを介して上記天井壁内面膜体の端縁部と上記側壁内面膜体の上端縁を固定することを特徴とするコンクリート製貯槽。
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