JP5105219B2 - コンクリート製貯槽 - Google Patents

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この発明は、用水や排水などの液体を貯蔵する貯槽、例えば上水道水を貯蔵する配水池や下水処理槽など、平面四角形状や多角形状、或いは円筒ドーム形状をしたコンクリート製貯槽の内壁面を、膜体を用いて液密性、気密性を良くし貯液物に対する耐久性、耐食性を向上させるライニング構造としたコンクリート製貯槽に関するものである。
従来一般のコンクリート製貯槽について、平面四角の矩形貯槽の場合を事例として、図7に示して説明する。
1は貯槽本体、2は平版状の底壁、3は平版状の側壁、4はその上方を覆う平版状の天井壁である。なお、流入管及び流出管などの付属設備は図示を省略している。
このコンクリート製貯槽の貯槽本体1の内壁面は、一般に防水モルタル施工や防水塗装などの表面処理がされている。
従来のライニング構造の貯槽の発明には、本特許出願人に係る「コンクリート製貯槽のライニング構造とその施工法」特開2004−276976号公報(特許文献1参照)の発明がある。
この特許文献1の発明は、コンクリート製貯槽の内壁面を鋼板を用いて機能的、施工性良く経済的にライニングするようにしたものである。
また、従来のライニング構造の貯槽の発明には、「貯蔵ピットのライニング構造およびその施工法」特開2005−306392号公報(特許文献2参照)の発明がある。
この特許文献2の発明は、液状物質を含む廃棄物等を貯蔵する貯蔵ピット1の内面に漏液防止用のライニング材3a,3bを内外二重に配置し、その両ライニング材間に漏液検知空間Sを形成するとともに、漏液検知手段を設けるライニング構造及び施工法である。
さらに、従来のライニング構造の貯槽の発明には、本特許出願人に係る「コンクリート製貯槽とその施工法」特開2003−239560号公報(特許文献3参照)の発明がある。
この特許文献3の発明は、膜体と鋼板を組合せて機能的かつ経済性良くライニング形成するもので、底壁の内壁面は複数の鋼板を溶接接合したものである。
さらにまた、従来のライニング構造の貯槽の発明には、本特許出願人に係る「膜ライニング貯槽」特開2004−1809号公報(特許文献4参照)の発明がある。
この特許文献4の発明は、貯槽の内壁面を膜ライニングするもので、殊に底壁内壁面の底膜体を着脱自在、かつ液密状態に側壁面へ立ち上げて固定したものである。
特開2004−276976号公報 特開2005−306392号公報 特開2003−239560号公報 特開2004−1809号公報
図7に示す従来一般のコンクリート製の貯槽本体1の平版状の各内壁面は、一般に防水モルタル施工や防水塗装などの表面処理がされているが、長期間のうちに底壁2、側壁3、及び天井壁4は表面が損傷し劣化して防水が損なわれ、大掛かりな防水の修復を必要とした。
そこで、コンクリート内壁面を耐食性鋼板や防水膜体で被覆ライニングすることが望まれ、特許出願も行われていた。
上記「コンクリート製貯槽のライニング構造とその施工法」特開2004−276976号公報(特許文献1参照)の発明においては、底壁、側壁及び天井壁を複数のライニング鋼板単体同士を重ね合わせ、アンカーボルトを用いて接合するのが煩雑で施工に手間を要するもので、高価な耐食鋼板を必要とした。
また、上記「貯蔵ピットのライニング構造およびその施工法」特開2005−306392号公報(特許文献2参照)の発明においては、二重ライナー3、ライニング材3a,3b、硬化材5、アンカー突起6、間隔保持材及びアンカーピンなど複雑な多くの部材を必要とし、その施工が大変で手間を要するものであった。
さらに、「コンクリート製貯槽とその施工法」特開2003−239560号公報(特許文献3参照)の発明においては、軽量な膜体部材を側壁上方の広い範囲に使用しているため、コンクリート製貯槽の側壁面にかかる荷重が軽減され、耐食性鋼材の使用量も低減されているが、底壁に施工するライニング鋼板の組立施工や、溶接施工が大掛かりとなり、施工コストや工期の低減が十分ではなかった。
さらにまた、「膜ライニング貯槽」特開2004−1809号公報(特許文献4参照)の発明においては、広い面積の膜体を皺や片寄りが生じないように敷設するのに手間がかかり、作業性が良くなかった。
さらに、ライニング用の膜体は、現場への搬入、展開、取付けの作業性を良くすることが要求され、貯槽使用中に液体の出し入れに伴う圧力変動による繰返し荷重への対応も必要であり、膜体取付部が劣化損傷をしないようにして、気密性、液密性を長期間保持することが望まれていた。
この発明の目的は、上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、コンクリート製貯槽の内壁面を、膜体を用いて現地で溶着接合して機能的、施工性良く経済的にライニング形成してなるコンクリート製貯槽を提供するものである。
請求項1の発明に係るコンクリート製貯槽は、底壁と側壁と天井壁とからなるコンクリート製貯槽の内壁面を、膜体を用いて防水ライニング形成するコンクリート製貯槽であって、底壁の内壁面は床壁面に密着する底壁内面膜体を設け、側壁の内壁面は壁面に密着する側壁内面膜体を設け、天井壁の内壁面は天井壁面に密着する天井壁内面膜体を設けてなり、これらの内面膜体は複数分割した膜体の周端縁を、重ね合わせて現地にて熱溶着して液密状態に一体化してコンクリート製貯槽の内壁面を防水ライニング形成するもので、上記底壁内面膜体と側壁内面膜体とのコーナー部の膜体は連続一体形成し、該コーナー部の膜体は、底壁から側壁に連続するコーナー部の内壁面に植設したアンカーボルトに、コーナー部内面膜体に固着した帯膜片状のタブを係留状に連結し、上記天井壁内面膜体は天井壁面に植設したアンカーボルトに挿通し固定部材を用いて固定するとともに、該天井壁内面膜体の端縁部は、天井壁コーナー部から側壁内壁面に沿って下方に延長し、上記側壁内面膜体の上端縁と重ね合せ、側壁面適所に植設したアンカーボルトを介して上記天井壁内面膜体の端縁部と上記側壁内面膜体の上端縁を固定するものである。
上述の説明で明らかなように、請求項1の発明に係るコンクリート製貯槽は、底壁と側壁と天井壁とからなるコンクリート製貯槽の内壁面を、膜体を用いて防水ライニング形成するコンクリート製貯槽であって、底壁の内壁面は床壁面に密着する底壁内面膜体を設け、側壁の内壁面は壁面に密着する側壁内面膜体を設け、天井壁の内壁面は天井壁面に密着する天井壁内面膜体を設けてなり、これらの内面膜体は複数分割した膜体の周端縁を、重ね合わせて現地にて熱溶着して液密状態に一体化してコンクリート製貯槽の内壁面を防水ライニング形成するもので、上記底壁内面膜体と側壁内面膜体とのコーナー部の膜体は連続一体形成し、該コーナー部の膜体は、底壁から側壁に連続するコーナー部の内壁面に植設したアンカーボルトに、コーナー部内面膜体に固着した帯膜片状のタブを係留状に連結し、上記天井壁内面膜体は天井壁面に植設したアンカーボルトに挿通し固定部材を用いて固定するとともに、該天井壁内面膜体の端縁部は、天井壁コーナー部から側壁内壁面に沿って下方に延長し、上記側壁内面膜体の上端縁と重ね合せ、側壁面適所に植設したアンカーボルトを介して上記天井壁内面膜体の端縁部と上記側壁内面膜体の上端縁を固定するので、膜体を平均に壁面になじませて熱溶着接合することができ、作業性良く効率良く経済的にライニングすることができ、コーナー部は接合部がなく連続して耐久強度が保持され、天井壁膜体と側壁膜体の固定部は一体の液密かつ気密に接合され、コンクリート壁面全体を作業性良くライニングすることができる。
天井内壁面は天井内面膜体によって腐食性ガスから保護され、側壁内壁面は側壁内面膜体によって腐食性ガス及び貯蔵液体から保護され、底壁内壁面は底壁内面膜体によって貯蔵液体から保護されるため、コンクリート壁の内壁面は腐食や損傷されることがなく、壁面にクラックが発生しても漏水防止を図ることができる。
そして、防食や防水を目的とした塗装やコーティングなどを不要とし、再塗装などのメンテナンスの経費を削減することができ、耐久性及び経済性に優れたライニング構造のコンクリート製貯槽を提供することができる。
底壁、側壁、天井壁の各内壁面のライニング構造は、高価な耐食鋼板を使用することなく、大掛かりな足場使用による組立施工がなく、かつ高技量の溶接施工を必要とすることなく、さらにコーナー部は煩雑な鋼板加工及び取付けがないので、施工性及び経済性に優れたライニング構造となる。
この発明に係る貯槽の実施の形態について、図1乃至図6を参照して説明する。
図1は、コンクリート製貯槽の内壁面に膜体を内張りして防水ライニング形成したもので、矩形貯槽の場合を事例として示す。なお、平面多角形や円形、ドーム屋根形状の貯槽の場合にも、以下同様に適用することができる。
図2から図5は、図1の要部A〜Dをそれぞれ拡大して示す。
図1において、1は矩形のコンクリート製貯槽の貯槽本体、2は平版状の底壁、3は平版状の側壁、4はその上方を覆う平版状の天井壁である。
なお、上水道水などの貯蔵液体の流入管、流出管、及び梯子などの付属設備は図示を省略した。
この貯槽本体1の内壁面のうち、底壁2の内壁面は可撓性を有する平面状の底壁内面膜体5で被覆ライニングし、側壁3の内壁面は可撓性を有する平面状の側壁内面膜体6で被覆ライニングし、天井壁4の内壁面は可撓性を有する平面状の天井壁内面膜体7で被覆ライニングする。
図1に示すように、Aは膜体同士を重合せて溶着する溶着部、Bは天井壁4へ天井壁内面膜体7を固定する固定部、Cは天井壁内面膜体7を側壁内壁面に連続させてコーナー部から下方に延出し側壁内面膜体6と重ね合せて側壁の内壁面上方の最高液面より上方位置で固定する固定部、Dは底壁内面膜体5から側壁内面膜体6に連続するコーナー12である。
図2の(1),(2)は、図1のA部、膜体同士を溶着する箇所を拡大して示す。
(1)は溶着した状態で、各膜体を構成する断面を示し、xは不織布、yは防水ライニングシートの二層構造とした事例である。
(2)は現地にて各膜体を熱溶着する状態を示している。
各壁面2,3,4において、各膜体5,6,7同士a,bを重ね合せて、溶着部8で現地にて溶着機9を用いて熱溶着し、防水施工を行う。
図3は、図1のB部を拡大して示す。
天井壁内面膜体7を気密に結合する天井壁固定部10について詳細に説明する。
上記気密に結合する天井壁固定部10は、天井壁4の内壁面にアンカーボルト14を植設し、このアンカーボルト14に、天井壁内面膜体7の端縁部を挿通して重ね合わせ、その上部から帯板状のプレート16を挿通して当てがい、ワッシャ17を挿通してナット18で締付けて気密に結合する。
上記アンカーボルト14、プレート16、ワッシャ17、及びナット18などの部材は、耐食性を有し強靭な材料、例えばステンレス鋼材や合金材などの金属材料、或いは合成樹脂材料などを使用する。
また、天井壁固定部10のボルト先端のワッシャ17及びナット18の上部には、膜保護用のキャップ21を設ける。この膜保護用のキャップ21は、弾力性、密着性などを有する軟質材料、例えば合成ゴム材などからなる部材を使用する。
なお、上記突出したアンカーボルト14に、シーリング材19を介装する場合は、弾力性、耐食性、液密性などを有する材料、例えばシリコンゴム、クロロプレンゴム等の合成ゴム材料などを使用する。
このように、耐食性を有し強靭な材料の螺着部材、及び弾力性、耐食性、気密性などを有する材料を用いて結合した天井壁固定部10は、長期間の耐久性が得られる。
図4は、図1のC部を拡大して示す。
天井壁内面膜体の下端縁と側壁内面膜体6を重合せて気密に結合する側壁上部固定部11について詳細に説明する。
天井壁内面膜体7はその下端縁を下方に延出し、貯蔵液体の最高液面より上方に位置する気相部位の側壁3の内壁面に設けた側壁上部固定部11に固定し、上記側壁内面膜体6の上端縁を、この天井壁内面膜体7の下端縁に重合わせて側壁上部固定部11にて気密に固定する。
このように、天井壁内面膜体7と側壁内面膜体6の側壁上部固定部11は、貯蔵液体の最高液面より上方に位置する気相部位にて気密に結合しているので、簡単な構造によってシール性が確保される。
上記気密に結合する側壁上部固定部11は、側壁3の内壁面にアンカーボルト14を植設し、このアンカーボルト14に天井壁内面膜体7の端縁部を挿通し、側壁3の内壁面に沿って上方に延長させた側壁内面膜体6の端部を重ね合わせ、その上部から帯板状のプレート16を挿通し当て、ワッシャ17を挿通してナット18で締付けて気密に結合し、さらにその上部に袋綴状の覆膜20を設ける。この袋綴状の覆膜20は、側壁内面膜体6の端部を反転して結合箇所の上部を被覆し、その先端は溶着又は接着などによって気密に固着する。
上記アンカーボルト14、プレート16、ワッシャ17、及びナット18などの部材は、耐食性を有し強靭な材料、例えばステンレス鋼材や合金材などの金属材料、或いは合成樹脂材料などを使用する。
また、このボルト先端のワッシャ17及びナット18の上部には、膜保護用のキャップ21を設ける。この膜保護用のキャップ21は、弾力性、密着性などを有する軟質材料、例えば合成ゴム材などからなる部材を使用する。
なお、上記突出したアンカーボルト14に、シーリング材19を介装する場合は、弾力性、耐食性、液密性などを有する材料、例えばシリコンゴム、クロロプレンゴム等の合成ゴム材料などを使用する。
このように、耐食性を有し強靭な材料の螺着部材、及び弾力性、耐食性、気密性などを有する材料を用いて結合した側壁上部固定部11は、長期間の耐久性が得られる。
上記図3のB部、図4のC部の各固定部に、膜保護用のキャップ21を設けることによって、アンカーボルト14先端、プレート16、ワッシャ17及びナット18などの金属部材が表面に露出しないので、金属部材に腐食を生じることがなく、高価な耐食性部材を使用する必要がなく安価な炭素鋼などの部材を使用することができるため経済性が向上する。
さらに、図4のC部のように、上記キャップ21の上方に袋綴状の覆膜20を設けることにより、表面に取付部材が突出することがなくカバーされ、表面がなだらかとなるため、物が引掛かったり、堆積物が付着することもないため、安全性に優れ、かつ気密性及び液密性に優れ、強靭かつ耐久性を有した固定部の構造となる。
また、貯蔵液体の出し入れによる液圧や気圧の変動に対しても、袋綴状の覆膜20及びシーリング材19の弾力性によって追従し密着状態を保持することができるため、固定部が劣化や損傷などすることなく、より耐久性と安全性が向上する。
図5は、図1のD部、コーナー固定部を拡大して示す。
底壁内面膜体5から側壁内面膜体6に連続するコーナー部12で一体形成し、底壁2から側壁3に連続するコーナー部12の内壁面の適所にアンカーボルト14を植設し、このアンカーボルト14にコーナー部12の内面膜体に固着した帯膜片状のタブ13の端縁部を連結する。
このように、コーナー部12へ帯膜片状のタブ13からなる係合部材を介して膜体を係留状に連結固定することにより、液の出入りなどによる膜体の浮上がりを防ぎ、コーナー部12の膜体に皺の発生を防止することができる。
図6は、流入管や流出管など、壁面を貫通して突出する貫通部材22へ膜体端縁を立上げて密着させて固定する取付部23の事例を示す。
上記貫通部材22に位置する膜体は、その位置を開口し、その周囲に筒状膜体24を溶着して立上げ、この立上げた筒状膜体24の周囲を、バンドやボルトなどの固定具25を用いて貫通部材22へ固着する。
上記天井内壁面4をライニングする天井内面膜体7は、貯槽内部上方の気相に含まれる塩素ガス等の腐食性ガスに対して耐久性を有し、かつ強靭で気密性に優れた可撓性膜材を使用する。また、貯蔵液体に浸る部分、浸液範囲に相当する側壁内面膜体6は、貯蔵液体に対して膨潤することなく、強靭で液密性に優れた可撓性膜材を使用する。
この可撓性膜材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニール系樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂等の合成樹脂材で形成したシート体、或いはポリエステル繊維やガラス繊維等の繊維に、上記ポリオレフィン系樹脂等の合成樹脂をコーティングした布膜材などのシート体を使用する。
このように、浸液範囲の最高液面上方の気相の側壁3の内壁面、及び天井壁4の壁面の範囲を、貯蔵液体及び塩素ガス等の腐食性ガスに対して耐食性を有する膜体を用いてライニングしているので、側壁3及び天井壁4の内壁面が気相に含まれる腐食性ガスに曝されることがなく保護されるため、コンクリート製の天井内壁面は腐食性ガスによる損傷劣化を防止し耐久性を向上することができる。
また、底壁2及び側壁3の内壁面の貯蔵液体に浸る範囲は、貯蔵液体に曝されることなく膜体によって保護されるため、コンクリート製の底壁2及び側壁3の内壁面は腐食による損傷劣化を受けることなく、強度を保持し耐久性を向上することができる。
これらの膜体は、日光や外気に曝されず紫外線による劣化を生じることがなく、長期間の耐久性が保持される。また、コンクリート壁面にヒビ割れが発生しても、膜体が遮水性を有するため漏水することもない。
そして、従来のように貯蔵液体に対して耐食性に優れたSUS316やSUS304などの耐食性ステンレス鋼板、或いは気相の腐食性ガスに対して防食効果に優れたSUS329J4Lなどの高価な高耐食性ステンレス鋼板を使用する必要がないので、底壁内壁面、側壁の内壁面、及び天井内壁面は経済性に優れたライニング構造となる。
上記膜体を用いてライニング形成する作業手順について説明する。
天井壁内面膜体は、分割した膜体片を折畳んで現場へ搬入し、天井内壁面の形状になじませて取付ける。
そして、その天井壁内面膜体の下端縁を、貯槽気相部の側壁の内壁面に植設したアンカーボルトなどの螺子部材に挿通し上部固定部にて固定する。
側壁内面膜体は、周方向に複数分割した膜体片をロール状に巻いて現場へ搬入し、その上端縁を上記天井壁内面膜体の下端縁の上に重ね合わせるように、前記アンカーボルトなどの螺子部材に挿通して懸架し、その重ね合わせた箇所の膜体片を上部固定部にて気密状態に固定する。
そして、この膜体片を側壁の内壁面になじませ密着させ、隣接する膜体片相互を溶着接合して略筒体形状の側壁内面膜体に形成する。
この側壁内面膜体周端縁を、天井壁内面膜体と同様に施工した底壁内面膜体の周端縁に重ね合わせて液密状態に一体化してコンクリート製貯槽の内壁面を防水ライニング形成する
このように、膜体片は隣接する膜体相互の端縁を重ね合わせて現地にて溶着接合するので、皺や弛みが生じることのなく液密状態に作業性良く施工することができる。
このように、可撓性の膜体片の上端縁をアンカーボルトなどの螺子部材に挿通させることによって、各膜体片の位置決めが容易となり、隣接する膜体片同士の溶着接合作業が能率良く簡便に行なえる。
上記のように、膜体は分割した膜体片を折畳んだり、ロール状に巻いた膜体片を現場へ搬入し、貯槽の通気孔やマンホールなどを利用して簡単容易に貯槽内へ運び入れて展開するので、大掛かりな足場を使用することなく、簡単な移動ゴンドラ足場などを用いて天井壁内面膜体は吊上げ展開しながら上部固定部のアンカーボルトに挿通し、側壁内面膜体は分割した膜体片を懸下しながら溶着作業を行うので作業性が良い。
そして、隣接する膜体片の相互端縁を、重ね合わせて溶着部にて現場溶着で接合するので、天井内壁面、側壁の内壁面や底壁のコーナー部表面に膜体をなじませ易く、上記ゴンドラ足場などを使用して作業性よく一体に短工期で施工することができる。


このように、膜体相互を重ね合わせて結合するので、膜材の弾力性が働らくため、気密性を容易に実現できる。そして、耐食性を有し強靭な材料のアンカーボルトなどの螺着部材を用いた結合部は、長期間の耐久性が得られる。
なお、既設の貯槽など、コンクリート壁面が荒れている場合には、上記結合部の凹凸を埋めて気密性を向上させるために、側壁の内壁面と天井壁内面膜体との間に弾力性を有する発泡クロロプレンゴム等のシーリング材を介装し、さらに天井壁内面膜体と側壁内面膜体
との間にネオプレンゴム等のシーリング材を介装する。
この発明係る貯槽は、上水や下水、液体廃棄物、石油系液体などの矩形、多角形、円筒形など種々形状の貯槽における膜ライニング構造にも適用することができ、経済性良くライニング施工することができる。
この発明に係るコンクリート製貯槽の膜ライニング構造の実施形態を、矩形貯槽を事例として示す縦断面説明図である。 図1のA部を拡大して示す説明図である。 図1のB部を拡大して示す説明図である。 図1のC部を拡大して示す説明図である。 図1のD部を拡大して示す説明図である。 配管など貫通部材の縦断面部分説明図である。 従来一般の矩形のコンクリート製貯槽の一部を欠除した斜視説明図である。
符号の説明
1 貯槽本体
2 底壁
3 側壁
4 天井壁
5 底壁内面膜体
6 側壁内面膜体
7 天井壁内面膜体
8 溶着部
9 溶着機
10 天井壁固定部
11 側壁上部固定部
12 コーナー部
13 タブ
14 アンカーボルト
16 プレート
17 ワッシャ
18 ナット
19 シーリング材
20 袋綴状の覆膜
21 キャップ
22 貫通部材
23 取付部
24 筒状膜体
25 固定具

Claims (1)

  1. 底壁と側壁と天井壁とからなるコンクリート製貯槽の内壁面を、膜体を用いて防水ライニング形成するコンクリート製貯槽であって、底壁の内壁面は床壁面に密着する底壁内面膜体を設け、側壁の内壁面は壁面に密着する側壁内面膜体を設け、天井壁の内壁面は天井壁面に密着する天井壁内面膜体を設けてなり、これらの内面膜体は複数分割した膜体の周端縁を、重ね合わせて現地にて熱溶着して液密状態に一体化してコンクリート製貯槽の内壁面を防水ライニング形成するもので、上記底壁内面膜体と側壁内面膜体とのコーナー部の膜体は連続一体形成し、該コーナー部の膜体は、底壁から側壁に連続するコーナー部の内壁面に植設したアンカーボルトに、コーナー部内面膜体に固着した帯膜片状のタブを係留状に連結し、上記天井壁内面膜体は天井壁面に植設したアンカーボルトに挿通し固定部材を用いて固定するとともに、該天井壁内面膜体の端縁部は、天井壁コーナー部から側壁内壁面に沿って下方に延長し、上記側壁内面膜体の上端縁と重ね合せ、側壁面適所に植設したアンカーボルトを介して上記天井壁内面膜体の端縁部と上記側壁内面膜体の上端縁を固定することを特徴とするコンクリート製貯槽。
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