JP4419135B2 - シングルデッキ構造浮屋根の補強構造 - Google Patents
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Description
この浮屋根は、貯蔵液体の蒸発を抑制するとともに、貯蔵液体への雨水や異物の混入を防止するように、薄板鋼板の屋根板つまりデッキ板と、このデッキ板外周の浮力体である環状箱体の外周ポンツーンとから形成され、この外周ポンツーンと側板内面との間隙を気密に保持するシール装置と、その上部に雨よけ板が設けられている。
図8(a),図9(b),図10(c)に従来構造の事例として、外周ポンツーン7と一枚のデッキ板6とからなるシングルデッキ構造の浮屋根5を備えた浮屋根タンクを示す。
図8(a)の二点鎖線に示すように、外周ポンツーン7とデッキ板6に対する貯蔵液体4の液面との高さ位置関係は、デッキ板6より液面の方が高い位置となっている。
また、図9(b)に示すように、地震などで貯蔵液体4がX−Y方向に揺動した場合、外周ポンツーン7とデッキ板6はスロッシングによって大きく撓んだ現象を生じる。
そして、図10(c)に図9(b)の平面を示すように、X−Y方向のA,Bの箇所に荷重を受けて、さらに図11にA,B箇所を拡大して示すように、外周ポンツーン7及びデッキ板6の斜め格子線で示す部位などが損傷することがあった。
この特許文献1の「浮屋根の沈没防止装置」の発明は、その第1図及び第3図に示されているように、ポンツーンFの底壁1’と側壁2、又は屋根板1と側壁2との挟角α内に、帯状金属板3を所定角度を形成するように渡設した構造が開示されている。
この構造によって、第1図に示されるA及びB点への応力の集中が避けられ、溶接部の亀裂による浸液のおそれを皆無にし、浮屋根の沈没を防止するようにしたものである。
この特許文献2の「浮屋根式貯蔵タンクのデッキ補修方法」の発明は、図4及び明細書の[0002]〜[0007]に示されるように、シングルデッキ3に貫通孔、亀裂、破損等の貫通部9が生じた場合について、図1〜図3及び明細書の[0013]〜[0018]に、中空管10、中空弾性袋12、ガス供給チューブ12aなどを用いた具体的な補修方法が記載されている。
図11に示すように、外周ポンツーン7はデッキ板6から浮屋根の中心方向にFrの引張り荷重を受け、そのため所定範囲の外周ポンツーン7には圧縮方向の荷重Fc,Fcを生じた。さらに外周ポンツーン7には、垂直荷重Fzによって回転方向の荷重Mを受ける。そのため、デッキ板6は格子線箇所a,aが引張り荷重及び曲げ荷重を受けて損傷することがあった。また、外周ポンツーン7を構成する上下の板は、外リム板との接合部近傍の格子線箇所b,b及びc,c箇所が圧縮荷重を受けて撓んで、座屈し損傷することがあった。
そして、これらの損傷部からデッキ板6の上面や外周ポンツーン7の内部に貯蔵液4が浸入して、浮屋根5が傾き浮力の低下によって沈没などを来すことがあった。
さらに、浸入した貯蔵液体4がデッキ板6上でガス化し、拡散して火災が発生する心配も生じた。
また、外周ポンツーンの内部に設ける上記補強トラスは、円周方向に沿って複数列状に設けたので、大型の浮屋根に対する捩れに一層強い構造となる。
さらに、気密・液密構造の空間に形成されているので、デッキ板上に漏洩した浸入液の拡大を防止することができ、浮屋根が一部没したとしても平衡力、バランスが良いため、傾斜して沈降してしまうことはなく、沈没災害に強い構造体となる。
図1は浮屋根全体の改修補強構造を示す側断面説明図で、図2乃至図7はこの改修補強構造を構成する補強構造体の実施形態例を示す説明図である。
浮屋根5は、貯蔵液体4の蒸発を抑制するとともに、貯蔵液体4への雨水や異物の混入を防止するように形成されている。
この浮屋根5は、図1のような一枚板のデッキ板6からなるシングルデッキ構造であって、薄板鋼板のデッキ板6と、このデッキ板6の外周部の環状の外周ポンツーン7とから形成され、この外周ポンツーン7と側板3内面との間隙を気密に保持するシール装置8と、その上部に雨よけ板9が設けられている。
なお、図1に示す事例は、シングルデッキ構造のデッキ板6の中央部に、中央ポンツーン10を設けている場合の構造を示している。
補強構造体11の実施形態例について、図2乃至図7に示す部分拡大図に基づいて説明する。
この外周ポンツーン7の内部に沿うリング状に、底部梁材12aと頂部梁材12bからなるスティフナーの梁材12を配設し、この間に柱材13a及び斜材13bを組合せて架設し補強トラス11Aを形成する。
このように、上下の板、厚板の外リム板7aと内リム板7b、及び薄板のバルクヘッド7cで仕切った箱体構造の外周ポンツーン7の内部に、円周方向に沿って複数列に上下梁材12a,12bを配設し、その間に複数の斜材13b,13bを上から下、下から上へと繰返してジグザグに架設することにより、外周ポンツーン7の捩れや撓みに対して、一層剛性を向上することができる。
そのため、外周ポンツーン7の外リム板7aとその上下板近傍、デッキ板6と内リム板7bとの接合部近傍が損傷するのを防止し、バルクヘッド7cで仕切られた箱体の気密・液密性を確保し、液の浸入を防止することができる。
この図2では、外周ポンツーン7の内部で浮屋根円周方向に沿うリング状に、型鋼材からなる補強トラス11Aを2列に設けた場合を示すが、円管材やリブ板材などを使用し、単数列或いは複数列に設けるようにしてもよい。
また図1に示すように、規模や強度に応じて中央ポンツーン10を有する場合もあり、この中央ポンツーン10内にも補強トラス11Aを設ける。
このように、デッキ板6より上方の液面よりも幾分高い位置に、新たな補強デッキ板11Bを設けることにより、デッキ板6が腐食や荷重などによって損傷し、貯蔵液がデッキ板6の上部に浸入したとしても、浮屋根の浮力を低下させることなく沈没などの被害を防止することができる。
つまり、補強デッキ板11Bは、シングルデッキ構造浮屋根のデッキ板6を補修し改造するのに適する。
このように、上下のデッキ板間を同心円の略扇状に仕切材15(15a,15b)で複数個のポンツーンに仕切ることにより、万一貯蔵液が浸入した場合に限定されたポンツーンにとどまり、浸入液が複数のポンツーンに拡大することなく、浮屋根のバランスの不均衡や浮力低下を生ずることなく安全性を確保することができる。
図5(a),図6(b),図7に示すように、仕切材15となる間隔部材16は、型鋼材16a又は円筒材16bなどによって形成する。
シングルデッキ構造の浮屋根を補修する際には、デッキ板6の上に型鋼材16aを配置してデッキ板6と型鋼材16aをシール溶接し、その上に新規の補強デッキ板11Bを並べて型鋼材16aを裏当材として補強デッキ板11Bの両端縁をシール溶接にて接合する。
また、円筒材16bは、デッキ板6の上に並べて配置してデッキ板6と円筒材16bをシール溶接した場合を示し、その上に補強デッキ板11Bを載せて円筒材16bを裏当材として補強デッキ板11Bの両端縁をシール溶接にて接合する。
なお、補強デッキ板11B同士の接合は、貯槽の稼動時には安全性を配慮して火気を使用する溶接ではなく、火気を使わないボルト・ナットとシール材などを適用してもよい。
このように、下部のデッキ板6上に型鋼材16aや円筒材16b、或いは平板材などの間隔部材16を配置し、その上に補強デッキ板11Bを並べて作業性よく構築することができる。
なお、上下デッキ板間の間隔部には、断熱性や防液性などを向上させるためにブロック状やシート状の断熱材、又は現場発泡の発泡材などを施工し、その表面は薄膜材などで被覆などしてもよい。
漏洩検知管17は複数個所に分布させて設け、漏洩箇所を検出して、この漏洩検知管17から窒素などの不燃性ガスの気体を圧入することによって、漏洩液をデッキ板6下方の貯蔵液内に押し戻し、漏洩の拡大防止と浮屋根の浮力の低下を防止することができる。
なお、上記の実施の形態は、既設のシングルデッキ構造浮屋根の改修補強構造を示したが、新設のシングルデッキ構造浮屋根に適用してもよい。
2 底板
3 側板
4 貯蔵液
5 浮屋根
6 デッキ板
7 外周ポンツーン
8 シール装置
9 雨よけ板
10 中央ポンツーン
11 補強構造体
11A 補強トラス
11B 補強デッキ板
12 梁材
12a 底部梁材
12b 頂部梁材
13a 柱材
13b 斜材
14 液面
15 仕切材
15a 円環状仕切材
15b 放射状仕切材
16 間隔部材
16a 型鋼材
16b 円筒材
17 漏洩検知管
Claims (3)
- シングルデッキ構造の浮屋根を構成するポンツーンは、上下の板、厚板からなる外リム板と内リム板、及び該ポンツーンの内部を気密・液密に仕切る厚さの薄い板であるバルクヘッドで仕切った箱体構造であり、該ポンツーンの内部に、円周方向に沿って複数列に上下梁材を配設し、その間に柱材及び斜材を組合せ、該斜材は上から下、下から上へと繰返してジグザグに架設して補強トラスを設けたことを特徴とするシングルデッキ構造浮屋根の補強構造。
- 請求項1記載のシングルデッキ構造の浮屋根のデッキ板上方位置で貯蔵液体の液面よりも幾分高い位置において、浮屋根のポンツーンの内側縁に液密かつ気密に接続してなる補強デッキ板を設けるシングルデッキ構造の浮屋根の補強構造であって、該下部のデッキ板と補強デッキ板の間は、同心円の略扇状に仕切る如く、型鋼材又は円筒材で形成した間隔部材を用いて円環状の仕切材と直径方向の放射状の仕切材で複数個に仕切って、気体及び液体を遮蔽する気密・液密構造の円環状の中間ポンツーンを形成したことを特徴とする請求項1記載のシングルデッキ構造浮屋根の補強構造。
- 上記下部デッキ板と補強デッキ板の間の気密・液密構造の空間の内部へ気体を圧入することが可能な漏洩検知管を、補強デッキ板から上方へ延出させて設けたことを特徴とする請求項2記載のシングルデッキ構造浮屋根の補強構造。
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JP2004224133A JP4419135B2 (ja) | 2004-07-30 | 2004-07-30 | シングルデッキ構造浮屋根の補強構造 |
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