JP5103616B2 - (r)−2−クロロマンデル酸メチルエステルの製造方法 - Google Patents
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〔なお、本発明者らは上記の方法で類縁化合物である式(VIII)、
1.パン酵母(サッカロマイセス セレビシエ: Saccharomyces cerevisiae)由来カルボニル還元酵素遺伝子YOL151w(別名Gre2)の導入により該遺伝子を発現するように形質転換された大腸菌又は該形質転換大腸菌の抽出物を準備し、これと式(I)
発現プラスミドとしては、カルボニル還元酵素遺伝子を含むpESCRと、グルコース脱水素酵素遺伝子を含むpABGDを使用した(これらのプラスミドの構築法は、非特許文献4において報告済みである)。用いた大腸菌宿主はBL21(DE3)であり、両発現プラスミドを含むものを還元反応に使用した。pESCR及びpABGDの構築方法、並びにこれらを含んだ大腸菌の調製方法は以下のとおりである。なお、カルボニル還元酵素をコードするDNAの塩基配列を配列表の配列番号1、そのアミノ酸配列を配列番号2に、グルコース脱水素酵素をコードするDNAの塩基配列を配列表の配列番号3、そのアミノ酸配列を配列番号4に、それぞれ示す。
精製したSCRの2つの内部ペプチドを配列決定した。すなわちAla Ala Trp Glu Phe Leu Glu Glu Asn Arg(配列表の配列番号5に示す)及びAsp Leu Leu Ile Pro Ala Val Asp Gly Val Lys(配列表の配列番号6に示すであり、これらは何れもBLAST分析によりS. cerevisiae のGre2 (YOL151w) をヒットするものである。
Bacillus megaterium NBRC (以前はIFO) 15308のゲノムDNAを文献(J. Marmur, A procedure for the isolation of deoxyribonucleic acid from micro-organisms, J. Mol. Biol., 3, 208≡218 (1961))に従って単離した。グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)遺伝子を、プライマーとしてBM-GD-1F (5’-ATGTATACAGATTTAAAAGATAAAGTAGTT-3’) (配列表の配列番号11に示す)及びBM-GD-2R (5’-TTAGCCTCTTCCTGCTTGG-3’) (配列表の配列番号12に示す)を用いて、PCRにより増幅した。100μLのPCR混合物のための条件は次のとおりである:0.5μMの各プライマー、0.2mMの各dNTP、ゲノムDNA(80ng)、5UのTaKaRa Ex Taq DNAポリメラーゼ、1.5mMのMgCl2、及び10μLのPCR緩衝液である。PCRは、98℃で10秒間及び50℃で30秒間よりなる30サイクルとこれに続く72℃での5分間のDNA鎖伸長反応とした。増幅したDNA断片をpGEM-T(Promega Corp.)に直接クローニングしこれを用いて、常法に従って大腸菌JM109細胞を形質転換し、培養し、pGBGDを抽出・精製した。
pABGDを含んだ大腸菌BL21(DE3)をpESCRにより形質転換し、アンピシリン及びクロラムフェニコールを含むLBプレート培地〔トリプトン1.0%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム1.0%、アンピシリン100μg/mL、クロラムフェニコール34μg/mL、寒天1.7%、pH7)〕上に増殖させた。目的とする形質転換がなされSCR及びGDHが共発現しているコロニーは、アガロースゲル電気泳動及びSCR及びGDHの酵素活性の存在により確認した。
得られた形質転換細胞を以下のようにして培養し増殖させ、細胞を凍結して貯蔵した。すなわち、同大腸菌を、アンピシリン及びクロラムフェニコールを含んだLB培地(トリプトン1.0%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム1.0%、アンピシリン100μg/mL、クロラムフェニコール34μg/mL、pH7)(3mL)中で37℃にて15時間、230rpmで振とうしつつ増殖させた。次いで、LB培地300mlを1L三角フラスコに入れ、121℃にて20分間滅菌した後、アンピシリン(100μg/ml)とクロラムフェニコール(34μg/ml)を加えた。これに、発現プラスミドであるpESCRとpABGDを保持した上記大腸菌BL21(DE3)の培養液(3ml)を植菌し、37℃で200rpmにて振とう培養した。培養液の吸光度(600nm)が0.6〜0.8に達したとき、誘導剤イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.1mMになるように添加した。その後、28℃にて18時間200rpmで振とう培養した。遠心分離(7000rpm、4℃、10分)により集菌し、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)50mLで菌体を洗浄し、再び遠心分離により集菌した。得られた大腸菌ペレットは、不斉還元反応を実施するまでの間、≡20℃で保管した。
上記形質転換大腸菌を用いて、2−クロロベンゾイル蟻酸メチルエステルを、反応温度30℃にて不斉還元した。すなわち、グルコース1.08g(6.0mmol)、NADP+10mg(12μmol)、上記の形質転換大腸菌ペレット2.0gに0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)10mLを加えた後、2−クロロベンゾイル蟻酸メチルエステル(M. Ma, C. Li, L. Peng, F. Xie, X. Zhang, J. Wang, An efficient synthesis of aryl α-keto esters. Tetrahedron Lett., 46(22), 3927≡3929 (2005)に準じて合成.)600mg(3.0mmol)を一度に添加した。30℃の恒温槽中で反応混合物を撹拌した。反応の進行に伴って低下していくpHをpH7.0で一定させるために、2規定NaOHを適宜加えた。24時間後に食塩5.5gを加え、酢酸エチル25mlで3回抽出し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過し、エバポレーターで濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製することにより、(R)−2−クロロマンデル酸メチルエステル455mgを無色液体として得た。変換率92%。単離収率76%、鏡像体純度>99%ee
上記形質転換大腸菌を用いて、2−クロロベンゾイル蟻酸メチルエステルを、反応温度20℃にて不斉還元した。すなわち、グルコース3.60g(20.0mmol)、NADP+10mg(12μmol)、上記の形質転換大腸菌ペレット2.0gに0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)10mLを加えた後、2−クロロベンゾイル蟻酸メチルエステル1.98g(10.0mmol)を一度に添加した。20℃の恒温槽中で反応混合物を撹拌した。反応の進行に伴って低下していくpHをpH7.0で一定させるために、2規定NaOHを適宜加えた。24時間後に食塩5.5gを加え、酢酸エチル25mlで3回抽出し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過し、エバポレーターで濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製することにより、(R)−2−クロロマンデル酸メチルエステル1.78g(8.87mmol)を無色液体として得た。変換率:99%。単離収率:89%、鏡像体純度:>99%ee、比旋光度[α]19 D=−178.3 (c 1.3, CHCl3)
1H NMR (CDCl3, 600 MHz):3.56 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 3.78 (s, 3H), 5.57 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 7.28−7.29 (m, 2H), 7.39−7.40 (m, 2H)
13C NMR (CDCl3, 150 MHz) :53.2, 70.3, 127.2, 128.8, 129.8, 130.0, 133.5, 135.9, 173.7
IR(液膜法)3454, 1744, 1441, 1223 cm-1。
20℃での不斉還元が30℃でのそれに比して高い反応効率を示したことから、温度及び基質濃度を変化させ、それ以外は上記と同様にして、不斉還元を行なった。
上記の大腸菌ペレット2.0gに、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)10mLを加えて懸濁させた。1分間超音波破砕後1分間氷で冷却するという操作を10回行った。遠心分離(20,000rpm、4℃、30分)し、上清として無細胞抽出液を得た。この酵素溶液をすべて試験管に移し、グルコース1.08g(6.0mmol)、NADP+10mg(12μmol)を加えた。20℃の恒温槽に入れて2−クロロベンゾイル蟻酸メチルエステル0.612g(3.0mmol)を加え、反応を開始した。反応の進行に伴って低下していくpHを7.0で一定させるために、2規定NaOHを適宜加えた。24時間後に食塩5.5gを加え、酢酸エチル25mlで3回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターで濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製することにより、(R)−2−クロロマンデル酸メチルエステル0.57g(2.84mmol)を無色液体として得た。変換率:>99%、単離収率:93%、鏡像体純度:>99% ee。
Claims (2)
- サッカロマイセス セレビシエ由来カルボニル還元酵素遺伝子YOL151w及びバチルス メガテリウム由来グルコース脱水素酵素遺伝子の導入によりこれらの遺伝子を共発現するように形質転換された大腸菌又は該形質転換大腸菌の抽出物を準備し、これと式(I)
の化合物とを水性媒質中で混合して、式(I)の化合物を水性媒質中での不斉還元に付すことによる、式(II)
の化合物のエナンチオ特異的製造方法。 - 該不斉還元が10〜30℃の温度にて行なわれるものである、請求項1の製造方法。
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