JP5102793B2 - プリプレグ硬化測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半硬化状態のプリプレグの硬化状態を検知する方法に関するものであり、より詳しくは、FT−IR(赤外線分光器)により得られたスペクトルを解析してゲルタイムを推定することにより、プリプレグの硬化度を測定する方法に関するものである。
従来より、プリプレグの硬化度を測定するには、プリプレグをサンプリングしてエポキシ樹脂を取り出し、自動ゲルタイマを使用して、加熱及び撹拌してエポキシ樹脂の硬化状態を目視で判断することによってゲルタイムを測定するという方法が行われている。
図7(a)〜(d)は、このような従来のゲルタイム測定の手順を示す概略図である。この方法によれば、(a)プリプレグ1をサンプリングし、(b)ビニール袋11にプリプレグ1を入れ、密閉した状態でプリプレグ1を揉んで粉出しを行い、(c)粉状になった樹脂を取り出し、篩い器12で篩いをかけてガラス繊維を除去した後、(d)自動ゲルタイマ(測定装置)Bを用いて、測定者がストップウォッチ等で硬化時間を測定する、という手順になる。
しかしながら、上記のような方法は、プリプレグ1から樹脂を分離する作業が必要であり作業に手間がかかるものであった。また、自動ゲルタイマBを使用したゲルタイム測定には時間がかかり、準備も含めると30分以上を要していた。例えば、上記の方法では、(a)サンプリングに3分程度、(b)粉出しに15分程度、(c)篩いに3分程度、(d)自動ゲルタイマ測定に10分程度、といった時間を要するものであった。また、自動ゲルタイマBを使用した場合、例えば、樹脂量の測定、自動ゲルタイマBへの樹脂投入のタイミング、ストップウォッチ操作などで作業者による測定誤差が発生するという問題もあった。そのため、ゲルタイム測定には一定のスキルが必要になり、同一基準で簡単にゲルタイムを測定することが困難であった。
さらに、ゲルタイム不良が発生した場合、ゲルタイムが判明するまでに30分以上かかるため、不良ロスが多くなるという問題があった。また、ゲルタイム測定の結果を確認してプリプレグの生産を開始するため、生産のスタートや品種変更の際に、時間ロスが発生していた。
このような問題に対して赤外線分光による測定を用いてプリプレグの硬化度を測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、この文献の方法では、近赤外を用いているため、解析の精度が悪く、ゲルタイムを精度よく推定することが難しかった。そのため、現在でも上記のような自動ゲルタイマBを用いた方法が主に利用されていた。
特公平6−103254号公報
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、簡単に精度よくゲルタイムを推定し、半硬化状態のプリプレグの硬化度を測定することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係るプリプレグ硬化測定方法は、芳香族エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物がガラス基材に含浸された半硬化状態のプリプレグを、エポキシ基の吸収ピークは910〜915cm −1 を用いて、ベンゼン環の吸収ピークは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂については830cm −1 又は1510cm −1 を、ノボラック型エポキシ樹脂については1023cm −1 を用いて、FT−IRにてATR法によりスペクトル測定し、得られたスペクトルのエポキシ基とベンゼン環との中赤外領域のピーク比に基づき、ゲルタイムの判明している芳香族エポキシ樹脂のスペクトルライブラリーのピーク比と照合することにより、プリプレグのゲルタイムを推定することを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、簡単に精度よくゲルタイムを推定してプリプレグの硬化度を測定できるものである。また、測定者のスキルによることなく同一基準でゲルタイムを測定することができるものである。また、測定の際に要する時間を短縮することができるので、測定効率や生産効率を向上させるものである。
請求項の発明によれば、プリプレグを非破壊の状態でFT−IRの測定を行うことができるものである。また、同一基準での測定がさらに可能となると共に測定時間の短縮がさらに可能となり、より簡単に精度よくゲルタイムを推定することができるものである。
(a)〜(c)は、本発明における測定の手順の一例を示す概略図である。 中赤外と近赤外のFT−IRの違いを説明する表である。 FT−IR測定法の原理を示すモデル図である。(a)は透過法、(b)は反射法、(c)及び(d)はATR法を示している。 (a)及び(b)は、樹脂のスペクトルの一例を示す図である。 (a)〜(d)は、ゲルタイムの異なるプリプレグのスペクトルの一例を示す図である。 プリプレグ(硬化前)のスペクトルの一例を示す図である。 (a)〜(d)は、従来例における測定の手順を示す概略図である。
本発明では、プリプレグの硬化度を測定するにあたって、まず、芳香族エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物が基質に含浸された半硬化状態のプリプレグを、FT−IRにてスペクトル測定する。そして次に、得られたスペクトルのエポキシ基とベンゼン環との中赤外領域のピーク比を検出する。
本発明に用いるプリプレグは、芳香族エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を用いたものである。芳香族エポキシ樹脂は、ベンゼン環構造とエポキシ基を有しており、本発明では、それらの赤外線吸収を利用する。プリプレグをFT−IRにて測定した際、測定ごとにスペクトルの強度が変わるため、エポキシ基のみのピークの面積や高さで硬化状態を判断することはできない。これは、ミクロな視点でみるとエポキシ樹脂量がプリプレグの測定位置で異なっていて必ずしも一定量ではないことや、測定時の雰囲気やノイズによって吸収強度が異なってくることが原因であると推測される。そこで、本発明では、ベンゼン環にエポキシ基が結合した構造を有する芳香族エポキシ樹脂内のベンゼン環に着目し、エポキシ基の量を相対的に表すものである。
すなわち、ベンゼン環構造は樹脂組成物が硬化した際も構造に変化がなく量が一定であるのに対し、エポキシ基は重合に用いられて硬化に伴って量が減少する。したがって、赤外線スペクトルにて、量に変化のないベンゼン環のピークと、硬化によって量が減少するエポキシ基のピークとを比較することにより、硬化の進度を判断できるものである。
下記式は、プリプレグが初期状態から半硬化状態(Bステージ)に移行する際のエポキシ基の化学反応を示す化学式の一例である。
Figure 0005102793
初期状態(式(1))では、R−NHで表される硬化剤と芳香族エポキシ樹脂とがそれぞれ独立して存在している。なお、Rは任意の有機化合物を示し、Rは芳香族を有する任意の樹脂成分を示している。次に、硬化反応の第1段階(式(2))では、硬化剤のアミンとエポキシ基とが重合して架橋構造を形成する。その際、芳香族エポキシ樹脂中のエポキシ基(C−O−C三員環)は開環して、エポキシ基はなくなる。さらに、硬化反応の第2段階(式(3))では、先に形成された架橋構造内のアミンとエポキシ基とが重合してさらなる架橋構造を形成する。その際、同様にエポキシ基は開環して、エポキシ樹脂中のエポキシ基はなくなる。なお、実際の硬化反応では第1段階と第2段階の硬化反応が入り混じって進行しているものと推測されるが、重合によりエポキシ基が減少することは同じである。このように、硬化反応の進行によりエポキシ基が減少するものである。一方、芳香族エポキシ樹脂中のベンゼン環(R内に存在)については、硬化の進行によっても反応せず、量は一定である。したがって、量の変わらないベンゼン環と硬化の進行に伴って量が減少するエポキシ基との赤外線吸収のピークを比較することにより、プリプレグの硬化度を測定し、ゲルタイムを推定することができるものである。
そして、赤外線吸収のスペクトルによってピークを比較する際に、本発明では、中赤外領域のピークを用いる。中赤外領域とは、中波長の赤外線領域のことであり、具体的には、波数(振動数)500〜4000cm−1(波長20000〜2500nm)の領域のことである。中赤外領域において、エポキシ基については900〜920cm−1付近で検出されるピークを用いることができる。ベンゼン環については、ベンゼン環構造にて出現するいくつかのピークの中からいずれかを用いることができる。中赤外は、エポキシ基やベンゼン環といった、官能基一個一個の基本振動・収縮を捕らえるものである。つまり、エポキシ基やベンゼン環の官能基の基本振動・収縮を直接的に測定することができるので、精度よくスペクトル測定することが可能になる。
なお、近赤外は、波長の短い波数(振動数)4000〜10000cm−1(波長2500〜1000nm)の領域であるが、いくつかの官能基が重なった二次倍音(複合振動)をピークとして捕らえるものである。そのため、近赤外では、エポキシ基が出現する4529cm−1付近には、いくつかの官能基の振動が複合したピークが重なるため、ノイズ成分が多く含まれて精度がよくない。
それに対し、本発明では上記のように、近赤外ではなく中赤外領域を用いて、官能基自体の基本振動・収縮を捕らえることにより、精度よくピークの比較をすることが可能になるものである。
図2は、中赤外と近赤外の違いを説明する表である。分析原理は、上記のように波数が異なる以外は同様で、赤外線を各官能基に吸収させ、その吸収量を測定するというものであり、短時間の測定が可能である。しかしながら、「何を分析できるか?」の欄に示すように、中赤外と近赤外では対象とする振動が異なる。中赤外では、逆対称伸縮、面内変角横ゆれ、対称伸縮、面内変角はさみ、といった分子内の官能基の振動を捕らえることができる。このうち、特に、逆対称伸縮、面内変角横ゆれ、といった非対称性の振動を得意としている。一方、近赤外は、図の破線で囲むような複数の官能基の分子振動が複合された倍音振動を吸光度として捕らえるものである。このように、近赤外では複数の官能基により振動を捕らえるのに対し、中赤外では官能基それ自体の振動を捕らえることができるのであり、そのため、中赤外は、近赤外に比べて精度よく測定できるものである。
本発明ではさらに、FT−IRの測定をATR法により行うことが好ましい。ATR法によれば、プリプレグを非破壊の状態でFT−IRの測定を行うことができるものである。FT−IRの測定法としては、透過法、反射法、ATR法が知られている。
図3は、このようなFT−IR測定法の原理を示すモデル図であり、(a)は透過法、(b)は反射法、(c)及び(d)はATR法を示している。透過法は、プリプレグ1のサンプルに対し、垂直方向より赤外線IRを入射し、透過した赤外線光量を測定する方法である。反射法は、プリプレグ1のサンプルに対し赤外線IRを入射し、表面で吸収された後、拡散反射された赤外線光量を測定する方法である。なお、図中、6はミラーを表し、FT−IRにおいて赤外線IRを適宜に反射させて方向を変えるものである。これらの方法は、赤外線の透過や吸収を伴い、プリプレグの基質の影響を受けるため、基質が赤外線を吸収するものであると測定を行うことができない。
一方、ATR法は、赤外透過材料で形成された屈折率の大きいプリズム2(ダイヤモンドクリスタルなど)にサンプルを密着させて測定する方法である。図3(d)に示すように、屈折率の異なる物質(n、n:n>n)の界面において、大きな屈折率nをもつ物質(ダイヤモンドの屈折率n:2.4)から、小さな屈折率nをもつ物質(プリプレグの屈折率n:約1.6)へ、入射角θで赤外線IRが入射するとき、臨界角θより大きい入射角θではn側へ赤外線IRが屈折して入射する(図中(ハ)、(ニ))。このとき屈折率n側へわずかに光がしみ込む現象が発生する。この光のしみ込みは、エバネッセント波と呼ばれている。図3(c)において、光のしみ込み部3の深さdpはエバネッセント波のしみ込み深度を表すものであり、このdpには次式の関係式が成り立つ。ただし、λは赤外線IRの波長である。
Figure 0005102793
この式で表されるように、入射角θやプリズム2の屈折率nを適宜設定することによってしみ込み深度dpを変化させることができる。そして、一度サンプルにしみ込んで反射する全反射光を測定することにより、サンプルの表層部(しみ込み深度dp)における吸収スペクトルを得ることができる。したがって、表層部における赤外線吸収のスペクトルを得ることができるので、プリプレグ1の基質の影響を受けることがなく、プリプレグ1の基質として赤外線IRを吸収するようなものを用いた場合でも測定することが可能となり、プリプレグ1を非破壊の状態で測定することができるものである。ここで、しみ込み深度dpは、適宜設定し得るが、例えば、5μm程度の深さとすることができる。この深さであれば、基質に影響されることなく十分な強度の赤外線光量を得ることができるものである。なお、測定の際には、プリプレグ1をプリズム2と接触する反対の面からプレス4等で加圧することが、反射する赤外線の強度を高めることができると共に、測定誤差を小さくすることができるため、好ましい。
このようなATR法による測定は、市販のATR法方式のFT−IRの測定器によって行うことができるものであり、それにより、同一基準での測定が可能となると共に測定時間の短縮がさらに可能となるものである。
また、上記の方法では、プリプレグの基質として、ガラス基材を用いたものがより適している。本発明では、中赤外領域のピークを利用するものであるが、通常、ガラス基材は中赤外領域の赤外線を吸収するため、透過法や反射法では、スペクトル分析できるほどの赤外線光量をFT−IRの受光器にて受光することができない。しかしながら、ATR法では、サンプルの表層部における吸収を測定することができ、基質による影響を受けることがないので、中赤外線を吸収するガラス基材をプリプレグの基質として用いた場合でも測定することが可能になるのである。したがって、上記のような方法によれば、ガラス基材を基質とするプリプレグのゲルタイムを簡単に精度よく推定することができるものである。
ところで特許文献1にはプリプレグの樹脂の硬化をFT−IRにより測定する技術が記載されている。しかし、この文献の方法は、近赤外領域の吸収を用いるものであり、精度がよくない。また、透過法を利用するものであり、ガラス基材を基質とするプリプレグの測定には適していない。それに対し、本発明の方法は、中赤外領域の吸収を用いるので精度よく測定することが可能であり、さらにATR法を用いた場合は、非破壊で測定が可能になると共に、基質に影響されることなく測定することが可能になるものである。
図1は、本発明による測定の手順の一例を示す概略図である。測定にあたっては、まず、(a)プリプレグ1をサンプリングし、(b)サンプリングした材料を測定部A1にセットし、(c)FT−IR測定器Aにより、FT−IRの測定を行う。このとき、各作業は、(a)サンプリングに3分程度、(b)材料のセットに1分程度、(c)測定に1分程度、といった短時間で行うことが可能であり、自動ゲルタイマBによる測定に比べて大きく時間を短縮できるものである。なお、図示の例では、測定部A1は、ZnSeの部材2aとダイヤモンドの部材2bの二つにてプリズム2が構成されると共に、金属プレート5を搭載している。
こうしてFT−IRによって得られたスペクトルのベンゼン環のピークと、エポキシ基のピークとの面積及び高さの少なくともいずれか一方の比を算出して、ゲルタイムの判明している芳香族エポキシ樹脂のスペクトルライブラリーのピーク比と照合することによりゲルタイムを推定することができる。なお、スペクトルライブラリーとは、種々の樹脂のスペクトルデータとゲルタイムなどの分析結果を蓄積し、比較の際に標準品として使用するために保管してあるデータライブラリーのことである。
図4は、スペクトルライブラリーにおける樹脂のスペクトルの一例を示す図であり、(a)はビスフェノールA型のエポキシ樹脂、(b)はノボラック型のエポキシ樹脂の赤外線吸収スペクトルを示している。これらの樹脂はベンゼン環を有しており、図に示すように、エポキシ基の吸収ピークと、ベンゼン環由来の吸収ピークがある。エポキシ基の吸収ピークは、(a)では915cm−1に、(b)では910cm−1にあり、このピークを用いることができる。また、ベンゼン環の吸収ピークは、数種が確認され、(a)ではフェニル基C−H面外変角(830cm−1)、p置換ベンゼン環C−H面内変角(1036、1183cm−1)、フェニル基CC伸縮(1510、1607cm−1)として、(b)ではフェニル基C−H面外変角(840cm−1)、ベンゼン環C−H面内変角(1035cm−1)、フェニル基CC伸縮(1510、1610cm−1)としてピークがあり、これらのいずれかを用いることができる。
このようなスペクトルライブラリーに保管された樹脂のエポキシ基とベンゼン環の比と、実際に硬化されたプリプレグを測定して得られたスペクトルのエポキシ基とベンゼン環の比とを比較することによって、硬化によって減少したエポキシ基の相対量が分かり、またゲルタイムの判明している芳香族エポキシ樹脂のスペクトルにおける、エポキシ基とベンゼン環のピーク比と比較することにより、ゲルタイムの推定をすることができるものである。
図5は、芳香族エポキシ樹脂を含有するプリプレグにおいて、半硬化状態(Bステージ)にあるプリプレグを用いて測定した赤外線吸収スペクトルの一例である。それぞれのプリプレグはゲルタイムが判明しており、ゲルタイム(GT)は、(a)70秒、(b)113秒、(c)134秒、(d)162秒、となっている。(a)〜(d)のスペクトルが示すように、それぞれのスペクトルの傾向はほぼ一致しているが、各スペクトルの吸光度に違いがあり、エポキシ基(910cm−1)のみの吸光度を比較しても硬化の進度を判断することができない。しかしながら、エポキシ基のピークと、ベンゼン環のピーク(1510cm−1)との比に着目すると、エポキシ基/ベンゼン環の面積比は、(a)0.087、(b)0.122、(c)0.145、(d)0.158、とゲルタイムが短くなるほどベンゼン環のピークに対するエポキシ基のピークの比が小さくなっており、硬化が進行していることが判断できる。このようなゲルタイムの判明しているプリプレグのスペクトルデータと実測したスペクトルデータとを比較して、ゲルタイムを推定することが可能になるものである。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。なお、FT−IRの測定はすべてATR法で行った。
プリプレグとして下記のものを使用した。
・サンプルA:パナソニック電工製プリプレグ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ガラス基材、厚み200μm
・サンプルB:パナソニック電工製プリプレグ、ノボラック型エポキシ樹脂、ガラス基材、厚み200μm
・サンプルC:パナソニック電工製プリプレグ、ノボラック型エポキシ樹脂、ガラス基材、厚み100μm
・サンプルD:パナソニック電工製プリプレグ、ノボラック型エポキシ樹脂、ガラス基材、厚み60μm
まず、未硬化のプリプレグをFT−IRにて測定して、ライブラリーデータと比較した。図6に、スペクトルの測定結果を示す。
図6(a)(b)のスペクトルは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を示し、(a)が実測値、(b)がスペクトルライブラリーのデータである。また、図6(c)(d)のスペクトルは、ノボラック型エポキシ樹脂を示し、(c)が実測値、(d)がスペクトルライブラリーのデータである。図に示すように、実測した各スペクトルは、スペクトルライブラリーのデータとほぼ一致している。また、これらのスペクトルでは、913cm−1の吸収ピークをエポキシ基のピークとして用いることができる。ベンゼン環については、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂については830cm−1又は1510cm−1の吸収ピークを、ノボラック型エポキシ樹脂については1023cm−1の吸収ピークをベンゼン環のピークとして用いることができる。
次に、それぞれの未硬化のプリプレグを加熱乾燥して硬化させ、半硬化状態のプリプレグをFT−IRにて測定すると共に、プリプレグのゲルタイムを自動ゲルタイマにより測定した。その際、加熱乾燥時間を調整して、硬化度、すなわちゲルタイムの異なる数種のプリプレグを作製した。
表1〜8は、プリプレグのゲルタイム(硬化時間)と、スペクトルにより得たピーク比との関係を示す表であり、表1〜4はピークの面積比、表5〜8はピークの高さの比との関係を示している。FT−IRの測定については、各3回行ってピークの面積比・高さについて平均値を算出した。また、それぞれのピークについては適宜ベースライン範囲とピーク範囲とを設定した。
Figure 0005102793
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表に示すように、いずれのプリプレグもベンゼン環に対するエポキシ基の量(エポキシ基/ベンゼン環の比率)が、ゲルタイムが短くなるほど、小さくなっている。すなわち、硬化の進行したプリプレグでは、エポキシ基の相対量が少なくなり、ゲルタイムが短くなっていることが確認された。また、相関係数は表外下欄に示すような値が得られており、ゲルタイムとエポキシ基/ベンゼン環の比率とにおいて、きわめて高い相関関係が得られた。
このような結果を利用し、同種のものを用いてプリプレグを製造する場合にはゲルタイムを推定することが可能となる。
例えば、プリプレグとしてサンプルAと同じものを用いた場合は、実測したスペクトルデータにおけるエポキシ基とベンゼン環のピーク比と、表1又は表5のピーク比とを比較して、ピーク比に対応するゲルタイム値を参照することによって、ゲルタイムを推定することができる。
このように本発明によれば、実際にゲルタイムを測定しなくとも精度よくゲルタイムを推定することができるので、ゲルタイム測定に要する時間を短縮することができ、プリプレグの測定効率や製造効率を向上させることができるものである。
1 プリプレグ
2 プリズム

Claims (1)

  1. 芳香族エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物がガラス基材に含浸された半硬化状態のプリプレグを、エポキシ基の吸収ピークは910〜915cm −1 を用いて、ベンゼン環の吸収ピークは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂については830cm −1 又は1510cm −1 を、ノボラック型エポキシ樹脂については1023cm −1 を用いて、FT−IRにてATR法によりスペクトルを測定し、得られたスペクトルのエポキシ基とベンゼン環との中赤外領域のピーク比に基づき、ゲルタイムの判明している芳香族エポキシ樹脂のスペクトルライブラリーのピーク比と照合することにより、プリプレグのゲルタイムを推定することを特徴とするプリプレグ硬化測定方法。
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