JP6063367B2 - エポキシ樹脂の混練分散性評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数種類の芳香族エポキシ樹脂を混練して得られる樹脂混合物中の前記芳香族エポキシ樹脂の分散性を評価するエポキシ樹脂の混練分散性評価方法に関する。
軽量で且つ強度特性に優れる繊維強化プラスチックが幅広い分野で利用されているが、例えば、航空機部材として用いる場合には、優れた耐熱性や耐衝撃性等を兼ね備えているものである必要がある。単独のエポキシ樹脂では、様々な特性が同時に優れているマトリックス樹脂を得ることは困難であり、このため、複数種類のエポキシ樹脂を組み合わせて混練した樹脂混合物をマトリックス樹脂として用いることが行われている。
すなわち、例えば特許文献1に提案されるように、異なる特性を有する複数種類のエポキシ樹脂を混練することで、単独のエポキシ樹脂では得られない特性を有する樹脂混合物を得る。これによって単独のエポキシ樹脂に比して特性を向上させた樹脂混合物を、繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂として用いることで、航空機部材として適用可能な特性を有する構造材を得る。
ここで、樹脂混合物の混練が不十分であると、複数のエポキシ樹脂の分散が不均一となる。このようなエポキシ樹脂の混練分散性が低い樹脂混合物を用いた構造材では、部分ごとの特性が不均一となるため、例えば、局所的に物理・機械特性が低下し、耐熱性や機械強度が低下する等が生じる懸念がある。
さらにエポキシ樹脂と硬化剤との混練が不十分であると、複数のエポキシ樹脂と硬化剤との分散が不均一となる。このようなエポキシ樹脂の混練分散性が低い樹脂混合物を用いた構造材では、硬化した樹脂混合物の部分ごとの特性が不均一となるため、例えば、局所的に物理・機械特性が低下し、耐熱性や機械強度が大きく低下する。
従って、樹脂混合物を用いた構造材の特性を全体にわたって向上させるためには、該樹脂混合物中のエポキシ樹脂や、該エポキシ樹脂及び硬化剤を十分に分散させる必要がある。このためには、例えば、大きな撹拌力を付与するとともに混練時間を長くすればよい。しかしながら、エポキシ樹脂や、該エポキシ樹脂及び硬化剤が十分に分散した後も混練を続行することは、樹脂混合物や繊維強化プラスチックの生産効率が低下するだけでなく、樹脂混合物の想定外の硬化進行を招く。
以上のような理由から、過不足のない混練によって効率的且つ十分にエポキシ樹脂並びにエポキシ樹脂及び硬化剤を分散させるべく、樹脂混合物中のエポキシ樹脂がどの程度分散しているかについての情報を得ること、つまり、エポキシ樹脂や、エポキシ樹脂及び硬化剤の混練分散性を評価することが求められている。
混練分散性を評価する方法としては、従来、目視による確認が一般的である。しかしながら、目視による確認では、確認者の視覚によって分散状態が評価されるため、混練分散性の評価基準が定性的となり、定量的な評価が困難である。さらに、混練する複数種類のエポキシ樹脂が全て透明である場合等、分散しても樹脂混合物の色調が変化しないエポキシ樹脂については、混練分散性を評価することが困難となる。
そこで、定量的に混練分散性を評価するべく、透過型電子型顕微鏡(TEM)を用いて樹脂混合物の海島構造を解析することが考えられる。実際、樹脂混合物の海島構造をTEMで観察し、海を形成するエポキシ樹脂と、島を形成するエポキシ樹脂との面積比を求めることによって、混練分散性を評価することが一応は可能である。
その一方で、特許文献2には、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)を用いて、樹脂組成物中のエポキシ樹脂を分析することが提案されている。具体的には、芳香族エポキシ樹脂を含む樹脂組成物の硬化度を測定するために、芳香族エポキシ樹脂の赤外線吸収ピークを検出している。すなわち、芳香族エポキシ樹脂中のエポキシ基は、硬化反応が進行するにつれて開環するために全体量が減少するのに対して、該芳香族エポキシ樹脂中のベンゼン環は、硬化反応の進行によっても全体量が変化しない。このことに基づき、エポキシ基とベンゼン環との赤外線吸収ピーク比の経時変化を求め、エポキシ基の比率が減少したとき、樹脂組成物の硬化反応が進行したと判断し得る、とのことである。
国際公開第2009/107697号パンフレット 特開2010−197099号公報
TEMを用いた海島構造解析によって混練分散性を評価する方法では、TEM観察用の測定試料を準備した上で、さらに該測定試料をセットした試料室を真空環境とする必要がある。従って、観察結果を得るまでの作業が煩雑であるとともに、速やかに混練分散性を評価することが困難である。また、評価する領域がTEMによって観察可能な領域に限られるため、樹脂混合物全体の混練分散性を評価することができない。さらには、混練するエポキシ樹脂同士の電子線透過率が類似している場合、TEM観察によって上記の面積比を求めること、すなわち混練分散性を評価することが困難である。この他にもエポキシ樹脂に硬化剤が加えられた場合、環境温度や観察結果を得るための作業時間によっては硬化が進行するため、分散性の評価はより一層困難になる。
また、特許文献2記載のエポキシ樹脂の分析方法では、硬化反応の前後で生じるエポキシ樹脂の構造変化を、FT−IRを用いて経時的に検出している。しかしながら、エポキシ樹脂を混練して分散させる場合、エポキシ基由来のピークは分子の基本構造(主鎖)の差異によって大きく変化しないため、分散の前後でエポキシ樹脂の構造変化が認められない。従って、エポキシ基とベンゼン環の赤外線吸収ピーク比を、樹脂混合物の混練前後にそれぞれ求めて比較しても、その比較から直ちに混練分散性を評価することは困難である。つまり、特許文献2記載の分析を適用して、定量的且つ高精度に混練分散性を評価することは困難である。
以上のように、樹脂混合物を得る混練条件を最適化するため、及び樹脂混合物を用いた構造材の特性を向上させるために、エポキシ樹脂の混練分散性を評価することが強く求められているにも関わらず、エポキシ樹脂の色調や電子線透過率によらず、定量的且つ簡便に混練分散性を評価する方法は何ら提案されていない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、複数種類の芳香族エポキシ樹脂を混練して得られる樹脂混合物中の芳香族エポキシ樹脂の混練分散性を定量的且つ簡便に評価することが可能なエポキシ樹脂の混練分散性評価方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、複数種類の芳香族エポキシ樹脂を混練して得られる樹脂混合物中の前記芳香族エポキシ樹脂の分散性を評価するエポキシ樹脂の混練分散性評価方法であって、
前記樹脂混合物中の複数の箇所から、前記樹脂混合物の一部を採取することで複数の測定試料を得る工程と、
前記複数の測定試料をそれぞれ分光分析して得られたスペクトルごとに、前記複数の測定試料間で共通する官能基由来のピークを複数選択し、前記複数選択したピークそれぞれの吸光度について、特定のピークの吸光度を基準として標準化することで吸光度比を算出する工程と、
前記吸光度比について、前記複数選択したピークごとに前記測定試料間の標準偏差を算出する工程と、
前記標準偏差の最大値と、予め定められた閾値とを比較することで、前記芳香族エポキシ樹脂の分散性を評価する工程とを有することを特徴とする。
このエポキシ樹脂の混練分散性評価方法では、樹脂混合物中の複数箇所からその一部を採取して作製した測定試料に対して分光分析を行う。この結果から、樹脂混合物中の測定試料として採取した位置の違いによるスペクトルのばらつきを検出する。このスペクトルのばらつきは、エポキシ樹脂の分散性が高まり樹脂混合物中の組成が均一化されるほど小さくなる。従って、検出した前記スペクトルのばらつきの大きさから、エポキシ樹脂の混練分散性を評価することが可能となる。
具体的には、先ず、測定試料を分光分析して得たスペクトルから、芳香族エポキシ樹脂に含まれる主要な官能基に由来する複数のピークを選択する。この複数の選択ピークのうち、特定のピークの高さ(吸光度)が1となるように、複数の選択ピークそれぞれの吸光度を標準化(規格化)して吸光度比を求める。
同様に、複数の測定試料それぞれについて、複数の測定試料の間で共通する官能基に由来するピークを複数選択し、各選択ピークについて吸光度比を求める。そして、複数の測定試料の選択ピークごとに吸光度比の標準偏差を求める。
この標準偏差の値から、測定試料を採取した位置の違いに基づく選択ピークごとの吸光度比のばらつき、すなわちスペクトルのばらつきの大きさを検出することができる。
具体的には、構造材の特性を十分に向上させることができる程度にエポキシ樹脂を分散させた樹脂混合物について、上記の通り標準偏差を求めることで、エポキシ樹脂の混練分散性を評価する指標となる閾値を求めることができる。例えば、選択ピークごとに求めた標準偏差の最大値を閾値として設定することができる。これによって、混練分散性を評価する対象である樹脂混合物について、上記の通り標準偏差を求め、この求めた標準偏差の最大値と、上記の閾値とを比較することによってエポキシ樹脂の混練分散性を定量的に評価することができる。
つまり、求めた標準偏差が閾値以下である場合、樹脂混合物中の複数種類のエポキシ樹脂が、該樹脂混合物を用いた構造材の特性を向上させることができる程度に十分に分散していると評価することができる。一方、求めた標準偏差が閾値に比して大きかった場合、樹脂混合物中の複数種類のエポキシ樹脂が十分に分散していないと評価することができる。
以上のように、本発明によれば、樹脂混合物を分光分析し、官能基由来のピークの吸光度から吸光度比及びその標準偏差、さらには該標準偏差の最大値を求めて前記閾値と比較するという簡便な作業により、エポキシ樹脂の色調や電子線透過率に関わらず、エポキシ樹脂の混練分散性を定量的に評価することができる。
しかも、この分光分析に要する時間は数分程度である。このため、例えばTEM等を用いる場合に比して、簡便に且つ短時間でエポキシ樹脂の分散性を評価することができる。その上、樹脂混合物の複数箇所からサンプリングを行うので、評価する領域が限られることなく、樹脂混合物の全体にわたって混練分散性を評価することができる。
さらに、測定試料を分光分析したスペクトルから複数のピークを選択し、この複数の選択ピークそれぞれの標準偏差を求める。すなわち、複数の標準偏差に基づいてエポキシ樹脂の混練分散性を評価するため、高精度の評価結果を得ることができる。なお、エポキシ樹脂の混練分散性を高める、つまり、標準偏差の値を低減させるに際し、上記の通り複数の標準偏差の最大値を基準として、混練分散性を評価することによって、高精度の評価結果を得ることができる。
加えて、複数の選択ピークの吸光度を、特定のピークの吸光度を基準として標準化した吸光度比について標準偏差を求めるため、分光分析装置の測定ばらつき等の影響が少なく高精度な評価結果を得ることができる。
又は、複数の選択ピークごとに求めた標準偏差の平均値を算出することによっても、エポキシ樹脂の分散性を数値化することができる。これによって、エポキシ樹脂の混練分散性の大きさを、数値として把握することが可能になるため、該混練分散性を定量的に評価することが可能になる。
上記の通り、本発明のエポキシ樹脂の混練分散性評価方法では、複数種類の芳香族エポキシ樹脂を混練して得られる樹脂混合物中の芳香族エポキシ樹脂の分散性を定量的且つ簡便に評価することができる。これによって、エポキシ樹脂を必要最小限の時間で分散させることが可能となるように混練条件を最適化することができ、ひいては、樹脂混合物を用いた構造材の特性を効率的且つ良好に向上させることができる。
前記樹脂混合物は、構造式(1)で示される多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂、構造式(2)で示されるp−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂、構造式(3)で示されるビスフェノールA型液状エポキシ樹脂又はビスフェノールA型固形エポキシ樹脂のうち、少なくとも2つを含むことが好ましい。
Figure 0006063367
Figure 0006063367
Figure 0006063367
ただし、式(3)中のnは繰り返し単位の数(換言すれば、重合度)を表す。ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、室温環境下においてnが小さい場合には液状となり、大きい場合には固形物となる。
また、前記樹脂混合物は、前記多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂が30〜52phr、前記p−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂、前記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールA型固形エポキシ樹脂の少なくともいずれか1つが70〜48phrとして混練されたものであることが好ましい。
さらに、前記樹脂混合物は、前記多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂が30〜52phr、前記p−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂が23〜50phr、前記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂が10〜30phr、前記ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂が10〜30phrとして混練されたものであることが一層好ましい。
このような樹脂混合物に対して本発明に係る混練分散性評価方法を行うことにより、該樹脂混合物を、上記の芳香族エポキシ樹脂が適切な配合比で且つ十分に分散されたものとして効率的に得ることができる。この樹脂混合物を用いることによって、耐熱性や耐衝撃性等の特性を良好に向上させた構造材を得ることができる。すなわち、航空機部材として好適に用いることが可能な構造材を得ることができる。
また、前記樹脂混合物中の全芳香族エポキシ樹脂を100重量部とするとき、硬化剤が26〜60重量部添加されていることが好ましい。上記の通り、芳香族エポキシ樹脂の混練分散性を定量的且つ簡便に評価することができるので、硬化剤についてもエポキシ樹脂と同様に十分に分散させた樹脂混合物を得ることができる。従って、樹脂混合物全体を良好且つ効率的に硬化させて、耐熱性や機械特性等の特性を向上させた構造材を得ることができる。
上記の樹脂混合物において、エポキシ樹脂の混練分散性を評価するための前記閾値は、0.01〜0.11であることが好ましい。この閾値に基づいて、エポキシ樹脂の混練分散性を評価することによって、十分に混練分散性を高めた樹脂混合物を得ることができる。従って、該樹脂混合物を用いた構造材の特性を十分に向上させること、すなわち、構造材の特性が部分ごとに不均一となることを防止できる。これによって、構造材の特性が局所的に低下することを回避できるため、例えば、局所的な物理・機械特性の低下による耐熱性や機械強度の低下等を抑制することが可能である。以上のことからより耐久性、耐熱性、耐衝撃性を備えた信頼性の高い航空機部材を供給することが可能となる。
前記複数の測定試料の分光分析は、フーリエ変換赤外分光法によって行われ、且つ前記吸光度比は、1593cm-1でのベンゼン環の吸光度を基準として算出されることが好ましい。フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)によって分光分析を行うことによって、例えば分散型赤外分光等による分析に比して高精度の結果を短時間で得ることができる。従って、エポキシ樹脂の混練分散性の評価についても高精度化及び短時間化することが可能となる。
また、1593cm-1のベンゼン環は、構造的に安定であり、該ベンゼン環に由来するピークはスペクトル中に明確に出現し易い。従って、このベンゼン環の吸光度を標準化の基準として、吸光度比を求めることで、エポキシ樹脂の混練分散性をより高精度に且つ容易に評価することが可能となる。
本発明によれば、樹脂混合物を分光分析し、官能基由来のピークの吸光度から吸光度比及びその標準偏差、さらには該標準偏差の最大値を求めて前記閾値と比較するという簡便な作業により、樹脂混合物中の全体にわたって複数種類の芳香族エポキシ樹脂の混練分散性を定量的且つ簡便に評価することができる。
この評価に基づき、樹脂混合物の混練条件を最適化して、エポキシ樹脂を過不足なく混練して効率的且つ十分に分散させることが可能になる。ひいては、樹脂混合物を用いた構造材の特性を効率的且つ良好に向上させることが可能になる。
本発明の実施形態において得られた樹脂混合物中の複数の芳香族エポキシ樹脂及び硬化剤の配合比と、混練分散性を評価する指標となる閾値とを示す図表である。 芳香族エポキシ樹脂の混練に用いた容器と、測定試料として樹脂混合物の一部を採取するサンプリング箇所を示した全体概略斜視図である。 図2のAで示される面内におけるサンプリング箇所を詳細に示した平面図である。 図2のBで示される面内におけるサンプリング箇所を詳細に示した図2中のIV−IV線矢視断面図である。 測定試料をFT−IRによって分光分析して得られたスペクトルの一例である。 複数の測定試料の各選択ピークの吸光度を示す図表である。 複数の測定試料の各選択ピークの吸光度比と、各吸光度比の標準偏差を示す図表である。 選択ピークごとの標準偏差と混練時間との関係を示す図表である。 選択ピークごとの標準偏差と混練時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係るエポキシ樹脂の混練分散性評価方法につき、航空機部材等の構造材として好適な程度に特性を向上させた樹脂混合物に適用した実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
なお、ここでは、以下に示す芳香族エポキシ樹脂と硬化剤とを含む樹脂混合物を例に挙げて説明する。しかしながら、特にこれに限定されるものではなく、本発明に係るエポキシ樹脂の混練分散性評価方法は、化学構造や分子量が異なる複数種類のエポキシ樹脂が混練された樹脂混合物に対して適用することが可能である。また、樹脂混合物に含まれる硬化剤についても下記の物質に限定されるものではなく、硬化剤は樹脂混合物に含まれていなくてもよい。
本実施形態において混練分散性を評価する樹脂混合物は、芳香族エポキシ樹脂として、構造式(1)で示される多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂、構造式(2)で示されるp−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂、構造式(3)で示されるビスフェノールA型液状エポキシ樹脂又はビスフェノールA型固形エポキシ樹脂から選択された少なくとも2つが混練され、且つ硬化剤として、ビス(4−アミノフェニル)スルフォンが添加されている。
Figure 0006063367
Figure 0006063367
Figure 0006063367
ただし、式(3)中のnは繰り返し単位の数を表す。
多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂(N,N,N',N'−テトラキス(オキシラン−2−イルメチル)−4,4'−メチレンジアニリン)としては、アラルダイドMY721(ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ社製)等の市販品を使用することができる。
また、p−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂(N,N−ビス(2,3−エポキシプロピル)−4−(2,3−エポキシプロポキシ)アニリン)としては、jER630(三菱化学社製)等の市販品を使用することができる。
そして、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(4,4’−イソプロピリデンジフェノールと1−クロロ−2,3−エポキシプロパンの重縮合物)のうち、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂としては、jER828(三菱化学社製)等の市販品を使用することができる。また、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂としては、jER1001、jER1004AF(三菱化学社製)等の市販品を使用することができる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂が液状であるか固形物であるかは、構造式(3)中のnの数による。
以上において、「アラルダイド」及び「jER」はともに登録商標である。
樹脂混合物を構造材(例えば、繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂)として用いる本実施形態では、多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂が30〜52phr、且つp−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールA型固形エポキシ樹脂の少なくともいずれか1つが70〜48phrの割合で配合されることが好ましい。これにより、耐熱性や耐久性、強度等の諸特性に優れる構造材が得られるからである。多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂が30〜52phr、p−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂が23〜50phr、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂が10〜30phr、前記ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂が10〜30phrの割合で配合されることが一層好ましい。
なお、phr(per hundred resin)は、樹脂混合物中における全芳香族エポキシ樹脂の重量を100としたときの重量の割合を示す。
また、硬化剤の好適な添加割合は、全芳香族エポキシ樹脂を100重量部とするとき、26〜60重量部である。
なお、硬化剤は、航空機部材等の用途に応じて芳香族ポリアミンであるビス(4−アミノフェニル)スルフォン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタンや、脂環式ポリアミンであるイソフォロンジアミン、ノルボルネンジアミン等を用いることができる。本実施形態では、ビス(4−アミノフェニル)スルフォンを用いた例を提示する。
以下、上記の市販品及び硬化剤が図1に示す配合比でそれぞれ混練された樹脂混合物1〜10について、エポキシ樹脂の混練分散性を評価する指標となる閾値の求め方を説明する。なお、樹脂混合物1〜10は、既に十分な混練がなされ、複数種類のエポキシ樹脂が略均一に分散したものである。
樹脂混合物10を例として説明する。図2は樹脂混合物10を収容した混練容器20の全体概略斜視図、図3はその平面図、図4は図2中のIV−IV線矢視断面図である。先ず、混練容器20内で樹脂混合物10を上記の通り十分混練した後、図2〜図4に示すように、例えば、10個のサンプリング箇所A1〜A5、B1〜B5を定める。
具体的には、図2に破線Aで示す高さ(樹脂混合物10の液面付近)の面内に、図3に示すA1〜A5のサンプリング箇所を設定し、且つ図2に破線Bで示す高さ(混練容器20の底面から2〜3mm)の面内に、図4に示すB1〜B5のサンプリング箇所を設定する。A1とB1は同一位相で深さが相違する関係にあり、A2とB2、A3とB3、A4とB4、A5とB5も同様である。そして、これらのサンプリング箇所A1〜A5、B1〜B5から樹脂混合物10を分光分析することが可能な量ずつ採取して、複数の測定試料S1〜S10を作製する。
次いで、得られた測定試料S1〜S10それぞれに対して、FT−IRによる分光分析を行う。なお、分光分析は、減衰全反射法(attenuated total reflection:ATR法)で行えばよい。
このように、測定試料S1〜S10について分光分析を行うことによって、樹脂混合物10中のサンプリング箇所A1〜A5、B1〜B5ごとに、赤外吸収スペクトル(単にスペクトルともいう)を得ることができる。図5に、測定試料S1を分光分析した結果として得られたスペクトルを示す。なお横軸は波数であり、縦軸は吸光度である。
得られたスペクトルに出現するピークのうち、芳香族エポキシ樹脂に含まれる主要な官能基に由来する複数のピークを選択する。本実施形態では、図5に示すスペクトルに出現するピークのうち、1610cm-1に現れるp−di−置換ベンゼン、1593cm-1に現れるp−di−置換ベンゼン、1504cm-1に現れるp−di−置換ベンゼン、1288cm-1に現れる芳香族第3アミン、1103cm-1に現れるスルフォン基、904cm-1に現れるエポキシ基、826cm-1に現れるp−di−置換ベンゼン、548cm-1に現れるp−di−置換ベンゼンにそれぞれ由来する8つのピークを選択している。
残余の測定試料S2〜S10の各スペクトルについても同様に、上記の官能基に由来するピークを選択する。すなわち、測定試料S1〜S10間で共通の官能基由来のピークを複数選択し、これら選択したピーク(選択ピーク)の高さをそれぞれ求める。これによって、図6に示すように、測定試料S1〜S10について、互いに共通する選択ピークごとに吸光度を得ることができる。
次いで、測定試料S1〜S10それぞれについて、全ての選択ピークの吸光度を、1593cm-1に現れるp−di−置換ベンゼンに由来するピークの吸光度(基準吸光度)を基準として標準化することで吸光度比を求める。すなわち、基準吸光度で選択ピークそれぞれの吸光度を除すことによって、基準吸光度を1とした吸光度比を算出する。
そして、測定試料S1〜S10の間で共通する選択ピークの各々において、吸光度比の標準偏差を求める。図7に、測定試料S1〜S10の各選択ピークの吸光度比と、選択ピークごとの標準偏差とを算出した結果を示す。
このように、吸光度に基づく標準偏差ではなく、吸光度比に基づく標準偏差を求めることにより、分光分析装置の測定ばらつき等の影響が少なく精度の高い評価結果を得ることができる。
特に、ベンゼン環は構造的に安定であり、該ベンゼン環に由来するピークはスペクトル中に明確に出現し易い。従って、1593cm-1のベンゼン環の吸光度を基準として吸光度比を求めることで、エポキシ樹脂の混練分散性を一層高精度に且つ容易に評価することが可能となる。
また、測定試料S1〜S10について上記の分光分析のための作業はサンプリング程度であり、サンプリングから分析終了までに要する時間は数分である。このため、例えばTEM等を用いる場合に比して、簡便に且つ短時間でエポキシ樹脂の分散性を評価することができる。その上、サンプリング箇所を広範囲とすることにより、評価する領域が局所的になることなく、樹脂混合物全体の混練分散性を評価することができる。
測定試料S1〜S10の分光分析は、FT−IRによって行われるため、例えば分散型赤外分光等による分析に比して高精度の結果を短時間で得ることができる。従って、エポキシ樹脂の混練分散性の評価についても高精度化及び短時間化することが可能となる。
図7に示すように、選択ピークごとに得られた標準偏差のうち、エポキシ基並びにp−di−置換ベンゼンに由来するピークの標準偏差が0.021であり最大値である。この最大の標準偏差0.021を、エポキシ樹脂の混練分散性を評価する指標となる閾値として設定することができる。
従って、樹脂混合物10に準拠した配合比の樹脂混合物につき混練分散性を評価するとき、上記と同様にしてサンプリングを行うとともに各選択ピークの標準偏差を求め、その最大値と上記閾値(0.021)とを比較することにより、エポキシ樹脂の混練分散性を定量的に評価することができる。
すなわち、求めた標準偏差の最大値が閾値以下である場合、樹脂混合物中の複数種類のエポキシ樹脂が、該樹脂混合物を用いた構造材の特性を向上させることができる程度に十分に分散していると評価することができる。一方、求めた標準偏差の最大値が閾値に比して大きかった場合、樹脂混合物中の複数種類のエポキシ樹脂が十分に分散していないと評価することができる。
さらには、複数の選択ピークごとに求めた標準偏差の平均値を算出することによっても、エポキシ樹脂の分散性を数値化することができる。これによって、エポキシ樹脂の混練分散性の大きさを、数値として把握することが可能になるため、該混練分散性を定量的に評価することが可能になる。
図1に示す樹脂混合物1〜9についても同様に、選択ピークごとに標準偏差及びその最大値を求める。この最大値を、樹脂混合物1〜9に準拠した配合比の樹脂混合物におけるエポキシ樹脂の混練分散性を評価する指標(閾値)として設定することができる。図1には、樹脂混合物1〜10それぞれについて、各成分の配合比に併せて、上記のようにして得られた閾値を示している。図1に示す通り、閾値は、0.01〜0.11の範囲内である。
勿論、樹脂混合物1〜9に準拠する配合比の各樹脂混合物についても、同様にして各選択ピークの標準偏差及びその最大値を求める。この最大値を、図1に示す各閾値と比較することにより、各樹脂混合物中のエポキシ樹脂の混練分散性を定量的に評価することができる。
以上の評価に基づき、混練が未だ十分でないか否か(各芳香族エポキシ樹脂が良好に分散しているか否か)を判断することができる。混練が不十分であり各芳香族エポキシ樹脂の分散が不十分であるときには混練を続行し、所定時間が経過した後に標準偏差及びその最大値を再度求めて上記閾値と比較すればよい。一方、混練が十分になされ各芳香族エポキシ樹脂が良好に分散しているときには、その時点で混練を終了すればよい。
このように、本実施形態によれば、樹脂混合物中の各芳香族エポキシ樹脂が十分に分散していると判断されるまで混練を続行することができる。従って、上記の樹脂混合物を用いた構造材の特性を十分に向上させること、すなわち、構造材の特性が部分ごとに不均一となることを防止できる。これによって、構造材の物理・機械的特性が局所的に低下することを回避できるため、例えば、局所的に耐熱性や機械強度が低下すること等を抑制することが可能である。
また、各芳香族エポキシ樹脂が十分に分散していると判断し得た時点で混練を終了するので、混練に要する時間が適切となる。すなわち、混練が過度に長時間継続されることがない。このため、樹脂混合物や繊維強化プラスチックの生産効率が低下するだけでなく、樹脂混合物の硬化が想定外に進行してしまうことが回避される。
そして、十分に混練された樹脂混合物中では、硬化剤も良好に分散している。樹脂混合物が均一に混練されることによって、硬化反応が均一に進行し、局所的に物理・機械特性が低下することを防止できる。このため、耐熱性や機械強度等の特性が向上するとともに、全体が良好且つ効率的に硬化した構造材を得ることができる。
さらに、本実施形態では、混練する複数種類の芳香族エポキシ樹脂について、互いの化学構造や分子量が異なることに基づいて吸光度比の標準偏差を求めるようにしているので、エポキシ樹脂の色調や電子線透過率に関わらず、エポキシ樹脂の混練分散性を定量的に評価することができる。
以上のように、本実施形態に係るエポキシ樹脂の混練分散性評価方法では、複数種類の芳香族エポキシ樹脂を混練して得られる樹脂混合物中の芳香族エポキシ樹脂の分散性を定量的且つ簡便に評価することができる。これによって、エポキシ樹脂を必要最小限の時間で分散させることが可能となるように混練条件を最適化することができ、ひいては、樹脂混合物を用いた構造材の特性を効率的且つ良好に向上させることができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、A1〜A5、B1〜B5の10箇所をサンプリング箇所として測定試料S1〜S10を作製したが、特にこれに限定されるものではなく、樹脂混合物中の異なる複数の位置から、その一部を採取して測定試料を作製すればよい。なお、混練分散性の評価精度を向上させるためには、樹脂混合物中におけるサンプリング箇所を分散させることが好ましい。
また、上記の実施形態では、選択ピークを上記に挙げた官能基に由来する8つとしたが、特にこれに限定されるものではなく、測定試料S1〜S10に共通して出現する2つ以上のピークを選択ピークとすればよい。
また、上記の実施形態では、1593cm-1に現れるp−di−置換ベンゼンに由来するピークの吸光度を基準吸光度としたが、安定して出現するその他のピークの吸光度を基準吸光度とするようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、測定試料S1〜S10の分光分析をFT−IRによる減衰全反射法(ATR法)にて行ったが、例えば、分散型赤外分光等の他の分光分析法によってスペクトルを得るようにしてもよい。
図1に示す樹脂混合物10と同様の成分を同様の配合比で、総重量が300〜600gとなるように調整し、さらに、これに対して80〜200gの硬化剤を配合したものを、容量5リットルの混練容器20の内部で150℃として混練した。この際にはプラネタリ型ブレードを用い、混練速度を260rpmに設定した。
そして、混練時間を0、1、3、5、10、30分に設定し、各混練時間ごとに上記の通り樹脂混合物の混練分散性を評価した。ここで、「混練時間0分」は未混練であることを意味する。
すなわち、各混練時間の樹脂混合物について、図3中のA1〜A5、図4中のB1〜B5をサンプリング箇所として、複数の測定試料を作製した。そして、複数の測定試料それぞれについて、FT−IRを用いたATR法にて分光分析を行ってスペクトルを得、このスペクトルに出現するピークのうち、1610cm-1、1504cm-1、1288cm-1、1103cm-1、904cm-1、826cm-1、548cm-1に現れるピークをそれぞれ選択ピークP1〜P7とした。
この選択ピークP1〜P7の高さからそれぞれ求めた吸光度について、1593cm-1のピークの吸光度を基準吸光度として標準化することで、吸光度比を求めた。さらに、得られた吸光度比について、選択ピークP1〜P7ごとに標準偏差を算出し、その最大値を得た。
図8は、選択ピークP1〜P7それぞれの波数と、混練時間ごとの標準偏差の最大値とを示す図表である。また、図9は、混練時間と標準偏差の最大値との関係を選択ピークP1〜P7ごとに示すグラフである。なお、グラフの横軸は選択ピークP1〜P7の各番号を示し、縦軸は標準偏差の最大値を示している。
図8及び図9に示す通り、この樹脂混合物では、混練時間が0〜3分までは、選択ピークP1〜P7ごとの標準偏差が大きくばらつく。そして、混練時間が5分を経過する辺りから、選択ピークP1〜P7ごとの標準偏差のばらつきが減少し、図1に示す閾値0.02を下回る。すなわち、樹脂混合物中のエポキシ樹脂が十分に分散されていることが確認される。
さらに、混練時間が10分を超えると、選択ピークP1〜P7ごとの標準偏差のばらつきが一定の範囲内に収まり、よりエポキシ樹脂の分散性が高められることが確認される。このことから、上記の混練条件下では、混練時間を5分強、長くとも30分とすることにより、芳香族エポキシ樹脂を十分に分散し得ると判断することができる。
以上の通り、このエポキシ樹脂の混練分散性評価方法では、樹脂混合物を分光分析して、選択ピークごとに上記の標準偏差の最大値を求めることで、エポキシ樹脂の混練分散性を定量的且つ簡便に評価することができる。さらに、これによって、エポキシ樹脂を必要最小限の時間で分散させることが可能となるように混練条件を最適化することができ、ひいては、樹脂混合物を用いた構造材の特性を効率的且つ良好に向上させることができる。
20…混練容器

Claims (7)

  1. 複数種類の芳香族エポキシ樹脂を混練して得られる樹脂混合物中の前記芳香族エポキシ樹脂の分散性を評価するエポキシ樹脂の混練分散性評価方法であって、
    前記樹脂混合物中の複数の箇所から、前記樹脂混合物の一部を採取することで複数の測定試料を得る工程と、
    前記複数の測定試料をそれぞれ分光分析して得られたスペクトルごとに、前記複数の測定試料間で共通する官能基由来のピークを複数選択し、前記複数選択したピークそれぞれの吸光度について、特定のピークの吸光度を基準として標準化することで吸光度比を算出する工程と、
    前記吸光度比について、前記複数選択したピークごとに前記測定試料間の標準偏差を算出する工程と、
    前記標準偏差の最大値と、予め定められた閾値とを比較することで、前記芳香族エポキシ樹脂の分散性を評価する工程と、
    を有することを特徴とするエポキシ樹脂の混練分散性評価方法。
  2. 請求項1記載のエポキシ樹脂の混練分散性評価方法において、
    前記樹脂混合物は、構造式(1)で示される多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂、構造式(2)で示されるp−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂、構造式(3)で示されるビスフェノールA型液状エポキシ樹脂又はビスフェノールA型固形エポキシ樹脂のうち、少なくとも2つを含むことを特徴とするエポキシ樹脂の混練分散性評価方法。
    Figure 0006063367
    Figure 0006063367
    Figure 0006063367
    ただし、式(3)中のnは繰り返し単位の数を表す。
  3. 請求項2記載のエポキシ樹脂の混練分散性評価方法において、
    前記樹脂混合物は、前記多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂が30〜52phr、前記p−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂、前記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂及びビスフェノールA型固形エポキシ樹脂の少なくともいずれか1つが70〜48phrとして混練されたものであることを特徴とするエポキシ樹脂の混練分散性評価方法。
  4. 請求項3記載のエポキシ樹脂の混練分散性評価方法において、
    前記樹脂混合物は、前記多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂が30〜52phr、前記p−アミノフェノール型液状エポキシ樹脂が23〜50phr、前記ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂が10〜30phr、前記ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂が10〜30phrとして混練されたものであることを特徴とするエポキシ樹脂の混練分散性評価方法。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂の混練分散性評価方法において、
    前記樹脂混合物中の全芳香族エポキシ樹脂を100重量部とするとき、硬化剤が26〜60重量部添加されていることを特徴とするエポキシ樹脂の混練分散性評価方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂の混練分散性評価方法において、
    前記閾値は、0.01〜0.11であることを特徴とするエポキシ樹脂の混練分散性評価方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂の混練分散性評価方法において、
    前記複数の測定試料をフーリエ変換型赤外分光によってそれぞれ分光分析し、且つ1593cm-1でのベンゼン環の吸光度を基準として吸光度比を算出することを特徴とするエポキシ樹脂の混練分散性評価方法。
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