JP2007137041A - 接着補助剤付き銅箔、プリント配線板および硬化度の評価方法 - Google Patents

接着補助剤付き銅箔、プリント配線板および硬化度の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】銅箔と絶縁樹脂層間の接着強度のばらつきを抑制し、接着力にばらつきの少ない接着補助剤付き銅箔、およびそれを用いた信頼性に優れたプリント配線板および接着補助剤の硬化度の評価方法を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂を成分とする樹脂ワニスを銅箔に塗布し、加熱乾燥してなる接着補助剤付き銅箔であって、接着剤補助剤層の厚さが1μm以上5μm以下であり、かつ接着補助剤の硬化度が0.3以上0.6以下である接着補助剤付き銅箔。
【選択図】図1

Description

本発明は、接着補助剤付き銅箔、プリント配線板および硬化度の評価方法に関する。
近年、電子機器の小型化・軽量化・高速化の要求が高まるにつれて、プリント配線板の高密度化が進んでおり、それに伴い導体回路の粗化形状を小さくする必要性が生じている。しかし、粗化形状を小さくするとアンカー効果による接着が期待できなくなり、導体と絶縁層の接着力確保が課題になる。そのため、特許文献1にあるように、導体と絶縁層の間に接着層を設けることで接着力を確保する方法が開発された。これにより、銅箔をエッチングすることで回路形成するサブトラクティブ法、銅箔を給電層として電気めっきによって導体回路を形成した後給電層をエッチングにより除去するセミアディティブ法のいずれにおいても、プリント配線板の高密度化および伝送信号速度の高速化を実現できるようになった。接着層の形成方法の一つとして、樹脂ワニスを銅箔に塗布し、加熱乾燥する方法が挙げられる。加熱乾燥状態の管理方法としては、乾燥後の接着層中に含まれる残留揮発分の量を基準にするのが一般的である。残留揮発分量の測定方法としては、加熱乾燥後の接着層の重量を測定し、さらに高温で十分な時間をかけて加熱してから同様に接着層の重量を測定し、その差を求めるのが一般的である。
特開2005−167172号公報
上記公知の方法でプリント配線板を製造する場合、最終的な残留揮発分の量が同じでも、接着層の加熱乾燥条件、例えば、加熱温度、加熱時間、溶剤の蒸気圧(湿度)、風量、風の当たり方等によって銅箔と絶縁層の接着強度が大きく異なることがある。そのため、残留揮発分の量を基準に乾燥した場合、たとえば異なる乾燥装置で加熱乾燥した製品や同じ乾燥装置を用いているがロットが異なる製品では、風の当たり方(垂直方向の風の当たる角度)、風の流れ(水平方向の風の流れ)及び湿度等により接着強度に違いが出てしまうことがある。この傾向は接着層に熱硬化性樹脂を用いる場合において顕著である。また、残留揮発分の測定手順は前述の方法が一般的であるが、残留揮発分の量として測定される値は、高温加熱による残溶剤揮発量、樹脂分解ガス揮発量、銅酸化物生成量など多くの要因から成り立っており、評価基準としてはあいまいなものである。従来はアンカー効果によって接着力を確保してきたため、乾燥状態が多少異なっていても測定される接着力の違いは少なかった。そのため、上記管理方法による管理でも特に問題はなく、その手軽さゆえに上記管理方法が主流となっていた。
しかし、近年における電子機器の小型化・軽量化・高速化に伴い、アンカー効果による接着が期待できなくなってきている。それに伴って上記管理方法では研究開発品と量産品で接着力が異なる場合がある。つまり、量産品の場合は量産機を用いて温風により高温短時間で乾燥する。これに対して、研究開発品の場合は風量が少ないバッチ式の乾燥機を用いて、ある程度時間をかけて乾燥する。このような乾燥条件の違いから硬化度に違いが生じ、結果として接着力に違いが生じる。また、同様の設備でも量産機によって接着力がばらついたりする問題が発生するようになった。つまり、量産機によっては、溶剤の蒸気圧、風量及び風の当たり方等が異なるからである。加熱乾燥では、まずはじめに銅箔に塗布したワニス中の溶剤が揮発する。溶剤が揮発するときには気化熱を奪うので、銅箔の温度は乾燥機の温度と比較して低いが、溶剤が揮発すれば残溶剤の量も大きく変化する。ある程度溶剤が揮発してなくなると、溶剤の揮発量が減って気化熱が奪われなくなるため、銅箔の温度が上昇する。そして、温度がある程度上昇すると、樹脂の硬化が始まるが、接着層の奥のほうにある溶剤は外に出にくくなってくるため、硬化の前後で残溶剤の量はほとんど変化しなくなる。そのため、溶剤の蒸気圧、風量及び風の当たり方等が異なれば、その他の条件が同一でも溶剤の揮発速度が変わるため、硬化時間が変わることになり、結果として硬化度が変わり、接着力が異なってくるのである。
すなわち、本発明はより信頼できる加熱乾燥状態管理方法を提供するものであり、それによって接着力にばらつきの少ない接着補助剤付き銅箔、およびそれを用いた信頼性に優れたプリント配線板および接着補助剤の硬化度の評価方法を提供するものである。
本発明は以下の通りである。(1)エポキシ樹脂を成分とする樹脂ワニスを銅箔に塗布し、加熱乾燥してなる接着補助剤付き銅箔であって、接着補助剤層の厚さが1μm以上5μm以下であり、かつ接着補助剤の硬化度が0.3以上0.6以下である接着補助剤付き銅箔。すなわち、銅箔及び前記銅箔上にエポキシ樹脂を成分とする接着補助剤層を備える接着補助剤付き銅箔であって、前記接着補助剤層の厚さが1μm以上5μm以下であり、かつ接着補助剤の硬化度が0.3以上0.6以下である接着補助剤付き銅箔。(2)銅箔の十点平均粗さ(Rz)が、0.1μm以上3μm以下である、項(1)記載の接着補助剤付き銅箔。(3)項(1)または(2)の接着補助剤付き銅箔を用いて製造されたプリント配線板。(4)項(1)または(2)の接着補助剤付き銅箔に付いている接着補助剤の硬化度を、赤外吸収分光法を用いて評価する硬化度の評価方法。(5)赤外吸収分光法が、全反射赤外吸収分光法である項(4)記載の硬化度の評価方法。(6)全反射赤外吸収分光法において、入射角が30°以上80°以下である項(5)記載の硬化度の評価方法。(7)赤外吸収スペクトルのうち700cm−1以上1300cm−1以下の領域にある吸収バンドの強度比を用いて硬化度を求める項(4)〜(6)のいずれかに記載の硬化度の評価方法。(8)グリシジル基の吸収バンド強度を用いて硬化度を求める項(4)〜(7)のいずれかに記載の硬化度の評価方法。
本発明を適用することで、銅箔と絶縁樹脂層間の接着強度のばらつきを抑制し、接着力にばらつきの少ない接着補助剤付き銅箔、およびそれを用いた信頼性に優れたプリント配線板および接着補助剤の硬化度の評価方法を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明は、銅箔に樹脂ワニスを塗布し加熱乾燥することで銅箔と絶縁層を接着するための接着補助剤層を形成する際に、加熱乾燥状態を適切に評価することで接着強度のばらつきを抑制するものである。
本発明に用いる銅箔の種類としては、特に限定されず、電解箔でも圧延箔でもよい。また、ピーラブルタイプの銅箔など、通常一般的に用いられている銅箔とは異なるタイプの銅箔でもよい。なお、ピーラブルタイプの銅箔とは、キャリアを有する銅箔であり、キャリアが引き剥がし可能な銅箔である。ピーラブルタイプの銅箔を製造する場合、厚み10〜50μmのキャリア箔上に剥離層となる金属酸化物或いは有機物層を形成し、その上に硫酸銅浴であれば、硫酸50〜100g/L、銅30〜100g/L、液温20℃〜80℃、電流密度0.5〜100A/dmの条件で、ピロリン酸銅浴であれば、ピロリン酸カリウム100〜700g/L、銅10〜50g/L、液温30℃〜60℃、pH8〜12、電流密度1〜10A/dmの条件で製造することができ、銅箔の物性や平滑性を考慮して各種添加剤をいれる場合もある。銅箔の表面処理として、こぶ状の電着物層(俗にやけめっきといわれる)の形成や酸化処理、還元処理、エッチングなどによる粗し処理が施されていてもよいが、可能な限り粗化しないことが電気特性の点で好ましい。具体的には、十点平均粗さ(Rz)が3μm以下になるとRzの減少に伴って表皮抵抗も減少するため、Rz3μm以下であることが好ましい。Rzが2μm以下になるとRzの減少に伴って表皮抵抗がさらに急激に減少するため、Rz2μm以下であることがより好ましい。また、Rzが0.1μm以上が好ましい。さらに好ましくは、粗し処理が全く施されていない銅箔である。なお、RzについてはJIS B 0601−1994に準拠して測定することができる。
また、本発明に用いる銅箔の厚みとしては、特に限定されないが、セミアディティブ法で用いる場合には配線の高密度化の点から5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。取り扱いの点において、銅箔はキャリアを有するピーラブルタイプのものが好ましい。このような銅箔を給電層に用いた場合、後述するように配線形成性が良好なものを得ることができる。また、3μmより厚い銅箔を使用して本発明を適用した銅張積層板を得てから、3μm以下にエッチングすることもできる。
また、本発明に用いる銅箔の少なくとも接着補助剤層側には、銅箔と接着補助剤層との密着性を実用レベルもしくはそれ以上とするために、必要に応じて表面処理が施される。銅箔上への表面処理としては、例えば、防錆処理、クロメート処理、シランカップリング処理のいずれか、もしくはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
上記防錆処理は、例えば、ニッケル、錫、亜鉛、クロム、モリブデン、コバルトなどの金属のいずれか、若しくはそれらの合金を、スパッタや電気めっき、無電解めっきにより銅箔上に薄膜形成することで施すことができる。コストの面からは電気めっきが好ましい。金属イオンの析出を容易にするためにクエン酸塩、酒石酸塩、スルファミン酸等の錯化剤を必要量添加することも出来る。めっき液は通常酸性領域で用い、室温〜80℃の温度で行う。めっきは通常電流密度0.1〜10A/dm、通電時間1〜60秒、好ましくは1〜30秒の範囲から適宜選択する。防錆処理金属の量は、金属の種類によって異なるが、合計で10〜2000μg/dmが好適である。防錆処理が厚すぎるとエッチング阻害と電気特性の低下を引き起こし、薄すぎると樹脂との接着強度低下の要因となりうる。
また、接着補助剤層または絶縁層にシアネート樹脂を含む場合には、防錆処理がニッケルを含む金属により行われていることが好ましい。この組み合わせにおいては、耐熱劣化試験や耐湿劣化試験におけるピール強度の低下が少なく有用である。
上記クロメート処理として、好ましくは六価クロムイオンを含む水溶液を用いる。クロメート処理は単純な浸漬処理でも可能であるが、好ましくは陰極処理で行う。重クロム酸ナトリウム0.1〜50g/L、pH1〜13、浴温0〜60℃、電流密度0.1〜5A/dm、電解時間0.1〜100秒の条件で行うことが好ましい。重クロム酸ナトリウムの代わりにクロム酸或いは重クロム酸カリウムを用いて行うことも出来る。また、上記クロメート処理は上記防錆処理上に施すことが好ましく、これにより絶縁樹脂組成物層と銅箔との密着性をより向上させることができる。
上記シランカップリング処理に用いるシランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性シラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ官能性シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルフェニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のオレフィン官能性シラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル官能性シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル官能性シラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性シランなどが用いられる。これらは単独で用いても良いし、複数を混合して用いても良い。これらのカップリング剤は、水などの溶媒に0.1〜15g/Lの濃度で溶解させて室温〜50℃の温度で銅箔に塗布したり、電着させたりして吸着させる。これらのシランカップリング剤は銅箔表面の防錆処理金属の水酸基と縮合結合することで皮膜を形成する。シランカップリング処理後は加熱、紫外線照射等によって安定的結合を形成する。加熱であれば100〜200℃の温度で2〜60秒乾燥させる。紫外線照射であれば200〜400nm、200〜2500mJ/cmの範囲で行う。
また、シランカップリング処理に用いるシランカップリング剤としては、好ましくは40〜250℃、より好ましくは120〜170℃の加熱により接着補助剤層と化学反応するものであることが好ましい。これによれば、接着補助剤層とシランカップリング剤の官能基が化学反応し、より優れた密着性を得ることが可能となる。例えば、エポキシ樹脂接着補助剤層に対しては、アミノ官能性シランやエポキシ官能性シランを含むシランカップリング剤を用いることが好ましい。これは、熱によりエポキシ基とアミノ基などが容易に強固な化学結合を形成し、この結合が熱や水分に対して極めて安定であることに起因する。このように化学結合を形成する組み合わせとして、エポキシ基−アミノ基、エポキシ基−エポキシ基、エポキシ基−メルカプト基、エポキシ基−水酸基、エポキシ基−カルボキシル基、エポキシ基−シアナト基、アミノ基−水酸基、アミノ基−カルボキシル基、アミノ基−シアナト基などが例示される。
銅箔と接着する絶縁層および/または接着補助剤層の材料としては、プリント配線板の絶縁材料として用いられる公知慣例の樹脂組成物を用いることができる。通常、耐熱性、耐薬品性の良好な熱硬化性樹脂がベースとして用いられ、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ビニル樹脂などが例示されるが、これらに限定されるわけではない。熱硬化性樹脂は、1種類のものを単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。熱硬化性樹脂のうち、特にエポキシ樹脂は信頼性の観点から好ましく、シアネート樹脂は低誘電率の観点から好ましい。さらに、誘電特性、耐衝撃性、フィルム加工性などを考慮して、熱可塑性樹脂がブレンドされてあっても良く、熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリブタジエンなどが例示される。
前記熱硬化性樹脂の中でも、エポキシ樹脂は耐熱性、耐薬品性、電気特性に優れ、比較的安価であることから、絶縁樹脂として広く用いられており特に重要である。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、ビフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のジグリシジルエーテル化物及びアルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物及び水素添加物などが例示される。エポキシ樹脂は、1種類のものを単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。また、このエポキシ樹脂とともに用いる硬化剤はエポキシ樹脂を硬化させるものであれば、限定することなく使用でき、例えば、多官能フェノール類、多官能アルコール類、アミン類、イミダゾール化合物、酸無水物、有機リン化合物及びこれらのハロゲン化物などがある。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、1種類のものを単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
前記絶縁樹脂組成物の形態は絶縁層として使用する場合特に限定せず、樹脂フィルムとして提供されるものであってもよいし、プリプレグとして基材に含浸または塗工されたものであってもよい。コア基板を作製する場合、プリプレグの両側に銅箔を有する積層板を用いる方法が安価で好ましい。プリプレグの基材としては各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。基材の材質の例としては、Eガラス,Dガラス,Sガラス又はQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル又はテトラフルオロエチレン等の有機繊維、及びそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され必要により単独もしくは2種類以上の材質及び形状からの使用が可能である。基材の厚みには特に制限はないが、通常0.03〜0.5mm程度のものを使用し、シランカップリング剤等で表面処理したものや機械的に開繊処理を施したものは耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。
上記表面処理を行った銅箔に樹脂ワニスを塗布し、加熱乾燥して接着補助剤付き銅箔とする。樹脂ワニスの塗布方法は特に限定せず、各種コーターを用いて塗布してもよく、スプレーやディップで塗布してもよい。接着補助剤層の厚さは1μm以上5μm以下である。また1.5μm以上4μm以下であることが接着強度の点で好ましい。接着補助剤層形成性の点からは、2μm以上3μm以下であることがさらに好ましい。塗布むら及び接着強度の点から、1μm以上であり、経済性、耐熱性、誘電特性、接続信頼性、寸法安定性及びプリント配線板の厚さを考慮すると、5μm以下である。
加熱乾燥の条件は生産設備の点から80〜200℃の温度で1〜30分とするのが適当であり、加熱乾燥後の接着補助剤層の硬化度は接着強度の点から0.3〜0.6である。また、樹脂付き銅箔のライフを考慮し、さらに確実に高接着強度を得られるという点で0.4〜0.6が好ましい。ここで、硬化度とは、未硬化の状態を0、完全硬化の状態を1とするものであり、赤外吸収スペクトルの吸収バンド強度(吸光度)の相対値を用いて定義する。未硬化の状態とは、樹脂の原材料を溶剤に溶かした直後の硬化反応開始前の状態を指し、完全硬化の状態とは、樹脂の硬化温度以上分解温度以下でさらに加熱しても赤外吸収スペクトルに変化が認められなくなる状態のことを指す。上記のように接着補助剤層が5μm以下と薄いため、接着補助剤層の硬化度が0.3未満の場合には、積層時に接着補助剤層が絶縁層と混合し易い。この場合には、絶縁層が銅箔と十分な接着力を有しない場合がある。従来の残留揮発分による乾燥状態の管理方法では、生産性の点から高温短時間で溶剤を揮発させるようにしていたため、樹脂の硬化反応はあまり進行せず、研究開発品と比較したときの接着強度低下の原因となっていた。つまり、研究開発品はある程度時間をかけて乾燥しているため樹脂の硬化がある程度進んでいるが、量産品は高温短時間で乾燥するため樹脂の硬化はあまり進んでいない。あらかじめ、ある程度接着層を硬化させておかないと、積層時に絶縁層との混合が起こり接着力に悪影響を及ぼすが、量産品では研究開発品の乾燥条件は接着力をもとに決定しているため接着力が十分得られないという問題が起こっていた。ただし、接着補助剤層が厚い場合には絶縁層との混合は完全には起こらず、接着補助剤としての機能を十分有する。したがって、接着補助剤層が5μm以下まで薄くなったために硬化度が重要になってきたと言える。これとは逆に硬化度が0.6を超える場合には、接着補助剤層の硬化反応が進行しすぎて、積層後に接着補助剤層と絶縁層の間の十分な接着力が得られない。接着強度としては、銅厚18μmの銅箔引き剥がし強さとして0.7kN/m以上であることが歩留まりよく配線形成を行う上で好ましく、配線の微細化や基板の薄型化に対応して配線厚さが減少していくにしたがって銅箔引き剥がし強さが低下することを考慮すると0.9kN/m以上であることがより好ましく、信頼性の点から1.0kN/m以上あることがさらに好ましい。
硬化度の定義方法としては、硬化により強度がほぼ変化しない吸収バンドでスペクトルを規格化し、硬化により変化するバンドの相対強度を求める。硬化により変化するバンドの未硬化時の相対強度をAi、完全硬化時の相対強度をAfとすると、相対強度がAであったときの硬化度は(A―Ai)/(Af−Ai)で定義する。前記赤外吸収スペクトルを得るための赤外吸収分光法としてはKBr錠剤法、薄膜法、ペースト法、液膜法、溶液法、全反射法、拡散反射法、正反射測定法、高感度反射法、顕微FT―IR、顕微ATRなどがあるが、特に接着補助剤層にエポキシ樹脂を含む場合などは、測定対象とするグリシジル基の吸収強度がほかの吸収バンドと比較して一般的に弱いことが多いため、前記赤外吸収分光法の中でも全反射赤外吸収分光法を用いて硬化度を求めることが、低波数側のバンドが強く出る点や測定の手軽さの点で好ましい。
前記全反射赤外吸収分光法は赤外光をプリズム中で全反射させ、プリズム表面に接触させた試料による赤外光の吸収強度を測定する。プリズムの種類としてはゲルマニウム、シリコン、セレン化亜鉛(ZnSe)、KRS−5、硫化亜鉛などがあるが、試料が接触することで溶解したり反応したりすることがなく、測定したい領域にプリズムの吸収がなければどれを用いてもかまわない。赤外光の入射角は試料接触面の法線とのなす角で定義されるが、30°以上80°以下であることが好ましく、多くの分光装置では入射角が固定になっていることから、45°または60°であることがより好ましい。結晶の屈折率にもよるが、入射角が30°未満になると全反射の条件を満たさなくなってくる。入射角が80°を超えると赤外光のしみこみ深さが浅くなりすぎ、十分な吸光度が得られない。
接着補助剤層を形成する樹脂にエポキシ樹脂が含まれる場合、前記硬化度はたとえば次のようにして求められる。未硬化の状態のエポキシ樹脂について赤外吸収スペクトルを測定すると、910cm−1付近にグリシジル基の吸収バンドが存在する。グリシジル基は硬化反応に直接関わるため、硬化によってグリシジル基が減少し、それに伴いこのバンド強度も減少していく。したがって、910cm−1付近に他の吸収バンドが重ならない限り、このバンドの相対強度を測定することでエポキシ樹脂の硬化度を求めることができる。相対強度を求める際に基準とする吸収バンドとしては特に限定しないが、C−C伸縮振動、C−O伸縮振動、C−N伸縮振動、O=S=O伸縮振動などがあげられる。基準に用いるバンドは単独の振動バンドでもよく、硬化によって大きく変化しなければこれらが2つ以上重なったバンドを使用してもよい。赤外光のしみこみ深さが波数により異なるために、基準となるバンドは硬化によって吸収強度が変化するバンドの近くにあるほうが好ましく、硬化度を求めるのに910cm−1付近のグリシジル基の吸収バンドを使用する場合、基準となる吸収バンドの波数は700cm−1以上1300cm−1以下の範囲にあることが好ましく、850cm−1以上1100cm−1以下の範囲にあることがさまざまな要因による誤差を小さくする上でより好ましい。1300cm−1より高波数側だと接着補助剤層の表層付近のみのスペクトルしか測定できず、グリシジル基の吸収バンドと測定領域が異なってくるため、硬化度に再現性がなくなってくる。700cm−1より低波数側だとより奥まで赤外光がしみこみ、接着補助剤層の厚さや赤外光の入射角によっては赤外光が銅箔表面にまで達して反射してしまう。さらに、プリズムの種類によっては低波数側でプリズム自身による吸収が起こるため、スペクトルの測定に適さない。
以下、図を用いてプリント配線板の製造方法を説明する。まず、図1(a)に示すようにキャリア箔1付きの極薄型平滑銅箔2を準備する。次に、図2(b)に示すように、銅箔のキャリア箔が付いていない側に、エポキシ樹脂を成分とする樹脂ワニスを塗布して加熱乾燥して接着剤補助剤3を備えた接着剤補助剤付き銅箔を作製する。接着補助剤層の厚さは1μm以上5μm以下であって、硬化度は0.3以上0.6以下となるようにする。次に、前記接着補助剤付き銅箔は、樹脂フィルムまたはプリプレグのような絶縁樹脂組成物とともに積層して図1(c)に示すような銅張積層板とすることができる。積層板とするには、加熱・加圧による手法を用いることができ、一般的な真空プレス機を用いることが好ましい。加熱・加圧の条件としては、絶縁樹脂層及び接着補助剤層の材料特性にあった条件が好ましく、例えば、温度150℃〜250℃、圧力1MPa〜5MPaが好ましい。
なお、キャリア箔の除去は、銅箔がピーラブルタイプの場合は引き剥がし、エッチャブルタイプの場合はエッチングすることにより行う。ピーラブルタイプの場合、キャリアとの剥離層となる金属酸化物あるいは有機物層を除去することができる。金属酸化物あるいは有機物層の除去方法は、酸またはアルカリによる化学的なエッチングや物理的な研磨、またそれらを組み合わせたものなど何でもよい。また、金属酸化物や有機物の層のみを除去しても、銅箔の一部とともに除去してもよい。キャリアをAl箔とした場合、アルカリ溶液であれば、キャリアのみをエッチングでき好ましい。さらに、銅箔は給電層として機能する範囲であれば薄いほど微細配線形成に適するため、エッチングにより厚みを低減することができ、ピーラブルタイプの場合、離型層の除去と同時に行うと効率的で好ましい。
以上のような積層板は図1(d)に示すようにレーザ加工により穴明けを行ってもよい。レーザ光源としては、COレーザ、UV−YAGレーザ、エキシマレーザなど、公知のレーザ光を用いることができ、COレーザは加工速度が速く好ましく、UV−YAGレーザはビア穴の小径化に適しており好ましい。レーザ穴明け方法としては、コンフォーマルマスクを用いる方法やダイレクトレーザ加工などがある。コンフォーマルマスクによる方法は、銅箔のビア穴を形成する場所にエッチングにより開口を形成し、銅箔をマスクとして開口径より大きい径のレーザ光を照射して層間絶縁樹脂層を除去する。ダイレクトレーザ加工は、ビア径に絞ったレーザ光を直接銅箔に照射して穴明けする方法である。ダイレクトレーザ加工の場合、銅箔表面のレーザ吸収率を高くするために、粗化処理や黒化処理を行うことができる。このようなレーザ加工において、銅箔と層間絶縁層とのピール強度が0.5kN/m未満であると、ビア穴周辺の銅箔に剥離が起こりやすく、レーザ条件の設定が困難になる。ピール強度が0.5kN/m以上であると銅箔剥離は発生し難くなり、0.8kN/m以上がより好ましい。このようなビア穴内には、スミアが発生しているため、過マンガン酸塩、クロム酸塩、過マンガン酸などを用いて除去することが好ましい。レーザ穴明けやドリル穴明けによってスルーホールを形成してもよい。
以上のように製造した積層板を用い、銅箔を利用して回路を形成して配線板を製造する。
回路を形成する方法としては、パネルめっきを行い、エッチングで回路形成するサブトラクティブ法や、パターンめっきにより回路形成するセミアディティブ法がある。例えば、セミアディティブ法としては、無電解めっきにより穴内に導体層(シード層)を形成し、電気めっきレジストを形成した後、電気めっきにより導体パターンを形成し、レジスト剥離後最後に不要な個所の銅箔をエッチング除去して回路を形成することで多層配線板を製造する。これらを図1(e)〜(h)に示す。
図1(e)では無電解めっきを行う。無電解めっきは、無電解めっきの核となる触媒を付与し、これに無電解銅めっきを薄付けすることで形成する。触媒としては、貴金属イオンやパラジウムコロイドを用いることができ、特にパラジウムは樹脂への密着性が高く好ましい。無電解銅めっきとしては、硫酸銅、錯化剤、ホルマリン、水酸化ナトリウムを主成分とする、一般的な配線板で用いる無電解銅めっき液を用いることができる。めっき厚みとしては、シード層として給電可能な厚みがあれば良く、無電解めっき層へのピンホールの発生及び微細配線を考慮すると0.1〜1μmの範囲が好ましい。
図1(f)ではレジストを形成する。銅箔の回路となる以外の個所に電気めっきレジストを形成する。電気めっきレジストの厚さは、その後めっきする導体の厚さと同程度か、より厚い膜厚にするのが好ましい。電気めっきレジストに使用できる樹脂には、液状レジストやドライフィルムレジストがある。
図1(g)では電気めっきを行う。回路となる電気銅めっきには、通常配線板で使用される硫酸銅電気めっきやピロリン酸電気めっきが使用できる。電気銅めっきの厚さは、回路として使用できればよく、1〜100μmの範囲であることが好ましく、微細回路形成には5〜50μmの範囲であることがより好ましい。また、電気銅めっき層形成時の電流密度は銅箔作製時の電流密度よりも小さければよいが、好ましくは0.5〜5A/dmである。電気銅めっき層形成時の電流密度が銅箔作製時の電流密度よりも高いと後のエッチング工程で過剰に溶解されやすくなってしまい良好な回路形成を為すのに支障をきたす。
図1(h)ではレジストを剥離する。アルカリ性剥離液や硫酸あるいは市販のレジスト剥離液を用いて電気めっきレジストの剥離を行い、パターン部以外の銅箔をエッチング除去して回路が形成できる。銅箔のエッチング液は、ハロゲン以外の酸及び過酸化水素を主成分とし、主成分に加えて溶媒、添加剤からなる溶液であり、溶媒としては、コスト、取り扱い性、安全性の面から水が好ましく用いられ、水にはアルコール等が添加されていても構わない。また、添加剤としては過酸化水素の安定剤等が添加されうる。さらに、ハロゲン以外の酸としては、硫酸、硝酸等が挙げられ、好ましくは、硫酸が用いられる。このようなエッチング液を用いて回路部以外の銅箔をエッチング除去し、設計通りの回路のトップ幅、ボトム幅を得るためには電気銅めっきのエッチング速度が銅箔のエッチング速度の80%以下であることが好ましい。また、銅箔のエッチングの際に回路もエッチングされて回路幅が減少するため、銅箔は3μm以下であることが好ましい。
また、ハロゲン以外の酸として硫酸を用いる場合、エッチング液の主成分の濃度として、10〜300g/Lの硫酸および10〜200g/Lの過酸化水素水を用いることが好ましい。上記濃度域以下の濃度ではエッチング速度が遅いために作業性が悪く、上記濃度域以上の濃度ではエッチング速度が速いためにエッチング量のコントロールが難しい。また、銅箔のエッチング速度としては1〜15μm/分となるようにコントロールすることが作業性の面から好ましい。また、結晶構造の差異によるエッチング速度の差はエッチング液の温度に依存するため、エッチング除去の際にエッチング液の温度は20〜50℃とすることが好ましく、20〜40℃とすることがより好ましい。さらにエッチング時間としては、所望の回路幅が形成されるような時間を実験により適宜求めればよいが、作業性、エッチングの均一性等のために10秒〜10分の範囲であることが好ましい。
このように製造した多層配線板を内層基板として、図1(i)〜(m)に示すようにさらに多層化することもできる。ビア穴やスルーホールを有さない場合には、無電解めっきは行わなくてもよい。すなわち、こうして得られた配線板の上に、さらに絶縁層を介して外側に既知の方法で回路を形成してもよい。また、得られた回路の必要な箇所にソルダレジストの形成、外層回路へのめっき処理を行うことができる。このようなソルダレジストとしては、一般的な配線板で用いる液状レジストやフィルム状レジストを用いることができる。また、ワイヤボンド端子やフリップチップ端子に金めっきや錫めっきを施すことが好ましい。金めっきとしては、金の銅配線への拡散を抑えるために、電解Ni/Auめっきや無電解Ni/Pd/Auめっきを用いることができる。
以下、本発明の好適な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記に示す銅箔Aを作製した。
(銅箔A)
幅510mm、厚み18μmの電解銅箔(キャリア銅箔)の光沢面に下記の条件でクロムめっきを連続的に行って1.0mg/dmの厚さのクロムめっき層(剥離層)を形成した。クロムめっき形成後の表面粗度Rz=0.5μmであった。なお、表面粗さはJIS−B−0601に基づき測定した。
クロムめっき条件
・ 液組成:三酸化クロム250g/L、硫酸2.5g/L
・ 浴温:25℃・アノード:鉛
・ 電流密度20A/dm
次に下記に示す光沢めっき条件で厚さ2.0μmの電気銅めっきを行った。電気銅めっき終了後の銅箔表面粗さRz=0.6μmであった。
硫酸銅めっき条件
液組成:硫酸銅5水和物100g/L、硫酸150g/L、塩化物イオン30ppm
・ 浴温:25℃
・ アノード:鉛・電流密度:10A/dm
次に下記に示すように電気めっきにより亜鉛防錆処理を行った。
液組成:亜鉛20g/L,硫酸70g/L
・ 浴温:40℃・アノード:鉛
・ 電流密度:15A/dm
・ 電解時間:10秒
次に引き続き下記に示すクロメート処理を行った。
液組成:クロム酸5.0g/L
・ pH11.5
・ 浴温:55℃
・ アノード:鉛
・浸漬時間:5秒
次に下記に示すシランカップリング処理を行った。
・ 液組成:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5.0g/L
・ 液温25℃
・ 浸漬時間10秒
シランカップリング処理後、銅箔を120℃で乾燥してカップリング剤を銅箔表面と反応させた。そのときの銅箔表面粗さはRz=0.6μmであった。
下記の組成よりなる樹脂組成物Aを作製した。
(樹脂組成物A)
・ ビフェニル系エポキシ樹脂、NC3000S−H(日本化薬株式会社製)80重量部
・ カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、XER−91SE−15(JSR株式会社)5重量部
・ トリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂、フェノライトEXB−9829(大日本インキ化学工業株式会社製)9重量部
・ リン含有化合物、HCA−HQ(三光株式会社製)26重量部
・イミダゾール誘導体化合物、1−シアノエチル−2フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2PZ−CNS(四国化成工業株式会社製)0.24重量部
・溶剤:メチルエチルケトン
下記に示す接着補助剤付き銅箔Aを作製した。
(接着補助剤付き銅箔A)
銅箔Aの処理面に樹脂組成物Aを塗工した。塗工後は小型防爆乾燥機で160℃10分の加熱乾燥を行った。塗工した樹脂組成物Aの厚みは2.5μmであった。全反射赤外分光法を用いて加熱乾燥後の樹脂組成物Aの赤外吸収スペクトルを測定した。測定の際、プリズムに接着補助剤付き銅箔を押しつける強さを調整し、最も大きな吸収を示すバンドの吸光度が0.2程度になるようにした。硬化度を求めたところ0.32であった。残留揮発分の割合を測定したところ、3.2%であった。全反射赤外吸収スペクトルの測定条件を下記表1に示す。
Figure 2007137041
プリプレグGEA−679F(日立化成工業製)4枚と上下に接着補助剤付き銅箔Aを積層し、185℃、2.45MPaの条件で1時間プレス成形し、銅箔上のキャリア箔を引き剥がすことで絶縁層と銅箔よりなる銅張積層板を製造した。
銅箔上から炭酸ガスインパクトレーザー穴あけ機L−500(住友重機械工業株式会社製、商品名)により、直径80μmの貫通スルーホールをあけ、過マンガン酸カリウム65g/リットルと水酸化ナトリウム40g/リットルの混合水溶液に、液温70℃で20分間浸漬し、スミアの除去を行った。
その後、パラジウム触媒であるHS−201B(日立化成工業株式会社製、商品名)を付与した後、CUST−201(日立化成工業株式会社製、商品名)を使用し、液温25℃、30分の条件で無電解銅めっきを行い、厚さ0.5μmの無電解銅めっき層を形成した。パラジウム触媒の付与条件を下記表2に示す。
Figure 2007137041
ドライフィルムフォトレジストであるRY−3325(日立化成工業株式会社製、商品名)を、無電解めっき層の表面にラミネートし、電解銅めっきを行う箇所をマスクしたフォトマスクを介して紫外線を露光し、現像してめっきレジストを形成した。
硫酸銅浴を用いて、液温25℃、電流密度1.0A/dmの条件で、電解銅めっきを20μmほど行い、最小回路導体幅/回路導体間隔(L/S)=23/17μmとなるように回路パターンを形成した。
次にレジスト剥離液であるHTO(ニチゴー・モートン株式会社製、商品名)でドライフィルムの除去を行った後にHSO:100g/L、H:10g/Lの組成のエッチング液を用いてパターン部以外の銅をエッチング除去し、基板を作製した。
(実施例2)
実施例1において、接着補助剤付き銅箔Aの加熱乾燥条件を170℃10分とした。硬化度は0.47であった。残留揮発分の割合は3.1%であった。その他は同様にして行った。
(実施例3)
実施例1において、接着補助剤付き銅箔Aの加熱乾燥条件を180℃10分とした。硬化度は0.59であった。残留揮発分の割合は3.0%であった。その他は同様にして行った。
(実施例4)
実施例1において、接着補助剤付き銅箔Aの加熱乾燥を量産用塗工機にて行い、乾燥条件を180℃3分とした。硬化度は0.42であった。残留揮発分の割合は3.0%であった。その他は同様にして行った。
(比較例1)
実施例1において、接着補助剤付き銅箔Aの加熱乾燥条件を90℃10分とした。硬化度は0.04であった。残留揮発分の割合は3.6%であった。その他は同様にして行った。
(比較例2)
実施例1において、接着補助剤付き銅箔Aの加熱乾燥条件を150℃10分とした。硬化度は0.25であった。残留揮発分の割合は3.3%であった。その他は同様にして行った。
(比較例3)
実施例1において、接着補助剤付き銅箔Aの加熱乾燥条件を200℃10分とした。硬化度は0.65であった。残留揮発分の割合は−0.9%であった。その他は同様にして行った。
(比較例4)
実施例1において、接着補助剤付き銅箔Aの加熱乾燥を量産用塗工機にて行い、乾燥条件を180℃1分とした。硬化度は0.23であった。残留揮発分の割合は3.1%であった。その他は同様にして行った。
(導体引き剥がし強さの測定)
実施例1〜4、比較例1〜4用の評価サンプルの導体引き剥がし強さを測定した。引き剥がしは垂直引き剥がし強さを測定した。測定は常に20℃で行った。測定条件を表3に、結果を表4に示す。
Figure 2007137041
Figure 2007137041
実施例1〜4は硬化度は0.3〜0.6の範囲内にあり、導体引き剥がし強さは0.7kN/m以上になっている。これに対して、比較例1〜4は上記硬化度基準範囲の外にあり、導体引き剥がし強さは0.7kN/mを下回っている。比較例4は、残留揮発分の割合では実施例1〜4とほぼ同等であるが、導体引き剥がし強さは大きく異なっている。
従来の残留揮発分による乾燥状態の管理では比較例のような不具合が発生する恐れがあるが、本発明の硬化度による管理を行うことで、これを防止することが可能になる。
以上示したように本発明により、銅箔と絶縁樹脂層の接着強度を適切に管理することができ、これによって密着性にすぐれる、信頼性良好なプリント配線板を提供することができる。また、塗工後に導体引き剥がし強さを確認する手間を省くことが可能になり、効率向上につながる。さらに、接着強度が保証されることで不良が発生しにくくなり、歩留まり向上が期待できる。
(実施例5、6及び比較例5,6)
次に、実施例1の接着補助剤の厚みを2.5μmから表5に記載の通りに変更して、評価サンプルを作製し、実施例1と同様に導体引き剥がし強さを測定した。測定結果は表5に示す。
Figure 2007137041
導体引き剥がし強さは1μm以上では特に良好であって、5μmを超すとほとんど変化がない。
本発明によるプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 キャリア箔
2、2’極薄平滑銅箔
3、3 接着剤補助剤
4 絶縁樹脂層
5 スルーホール
6、6’無電解めっき
7、7’レジスト
8、8’電気めっき
9 絶縁樹脂層
10 IVH

Claims (8)

  1. 銅箔と前記銅箔上にエポキシ樹脂を成分とする接着補助剤層とを備える接着補助剤付き銅箔であって、前記接着補助剤層の厚さが1μm以上5μm以下であり、かつ接着補助剤の硬化度が0.3以上0.6以下である接着補助剤付き銅箔。
  2. 前記銅箔の十点平均粗さ(Rz)が、0.1μm以上3μm以下である、請求項1記載の接着補助剤付き銅箔。
  3. 請求項1または2の接着補助剤付き銅箔を用いて製造されたプリント配線板。
  4. 請求項1または2の接着補助剤付き銅箔に付いている接着補助剤の硬化度を、赤外吸収分光法を用いて評価する硬化度の評価方法。
  5. 赤外吸収分光法が、全反射赤外吸収分光法である請求項4記載の硬化度の評価方法。
  6. 全反射赤外吸収分光法において、入射角が30°以上80°以下である請求項5記載の硬化度の評価方法。
  7. 赤外吸収スペクトルのうち700cm−1以上1300cm−1以下の領域にある吸収バンドの強度比を用いて硬化度を求める請求項4〜6のいずれかに記載の硬化度の評価方法。
  8. グリシジル基の吸収バンド強度を用いて硬化度を求める請求項4〜7のいずれかに記載の硬化度の評価方法。
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