JP5102012B2 - 表示装置用ガラス基板の製造方法、表示パネルの製造方法 - Google Patents
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Description
この種の表示装置では、薄型化、軽量化の要求が強いため、ガラス基板をできるだけ薄くすることが望まれているが、ガラス基板は薄くなると強度が低下するため、取り扱いが難しくなる。
このため、十分な強度を有する厚いガラス基板をパネル化した後、ガラス基板を薄型化する方法がとられる。
薄型化には、機械的または化学的加工が用いられる。
化学的加工としては、エッチング加工がある。
機械的加工では、加工時間の短縮のため、例えばラップ研磨などにより粗加工が行われた後、ポリッシュ研磨などの仕上げ加工が行われる。粗加工では、ガラス基板の表面粗さRaを例えば0.2〜0.5μmとし、仕上げ加工では、表面粗さRaを例えば0.01μm以下とすることができる。
機械的加工は、安全性や形状精度の点で優れている反面、仕上げ加工に時間がかかるため、生産性の点で劣るという問題がある。
生産性の問題を改善するには、ポリッシュ研磨などの仕上げ加工に代えて、粗加工後のガラス基板に、液状のコーティング剤を塗布することで表面を平滑化する手法があるが、この手法ではコーティング層の厚さを一定にするのが難しく、形状精度が低いという問題があった。
また、液晶の表示パネルの場合には、半導体ドライバーICが実装される額縁部の回路面がエッチング剤や研磨剤でダメージを受けないように薄型化加工の前に保護コートなどを形成する必要があり、生産性が悪くなるという問題もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、十分な強度を確保でき、かつ形状精度に優れ、しかも生産性を向上させることができる表示装置用ガラス基板、粘着シート、表示パネル、表示装置、表示装置用ガラス基板の製造方法、表示パネルの製造方法の提供を目的とする。
本発明の表示装置用ガラス基板の製造方法は、ガラス製の基材の表面を薄型化加工により表面粗さRaが0.1〜0.5μmに粗面化し、この表面に、23℃における貯蔵弾性率が0.05〜1.0MPaである粘着シートを貼付して表面層を形成することを特徴とする。
前記粘着シートは、活性エネルギー線または熱によって硬化する樹脂材料からなり、前記表面層を、前記活性エネルギー線または熱によって硬化させることが好ましい。
前記表面層は、アクリル系の樹脂材料からなることが好ましい。
前記基材の表面は、機械的または化学的加工によって粗面化されたことが好ましい。
本発明の表示パネルの製造方法は、一対のガラス製の基材の間に表示層を設けた後、前記基材の少なくとも一方の外面を薄型化加工により表面粗さRaが0.1〜0.5μmに粗面化し、この外面に、23℃における貯蔵弾性率が0.05〜1.0MPaである粘着シートを貼付して表面層を形成することを特徴とする。
また、粘着シートの貼付によりガラス基板の強度を高めることができる。
また、粘着シートを使用するため、表面層の厚さを正確に設定できることから、形状精度の点でも優れている。
従って、ガラス基板に十分な強度を与えるとともに、形状精度を高め、しかも生産性を向上させることができる。
液晶表示装置10は、液晶パネル1(表示パネル)と、その外面に積層された光学フィルム2、2’とを備えている。
液晶パネル1は、一定の間隔をおいて向かい合う一対の表示装置用ガラス基板3、3’(以下、単にガラス基板という)と、これらガラス基板3、3’の間に設けられた液晶層4(表示層)とを備えている。符号9はスペーサである。
基材5を構成するガラスは、特に制限はなく、例えばソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、結晶化ガラスが例示できる。
なお、図示例では一対の基材5の両方に表面層6が形成されているが、一方の基材5にのみ表面層6が形成されていてもよい。
機械的加工としては、研磨加工、研削加工、ブラスト加工などがある。研磨加工としてはラップ研磨などがあり、例えば酸化アルミニウム、炭化珪素などからなる砥粒を使用することができる。
化学的加工としては、エッチング加工がある。エッチング加工では、例えばフッ酸を含むエッチング液を使用することができる。
表面粗さRaを小さくするには、粒径が小さい砥粒を用いればよいが、砥粒の粒径が小さいほど加工速度は低くなる。また、砥粒の粒径が大きくなると表面粗さRaは大きくなり、ガラス基板3、3’の表面の平坦化が難しくなることがある。
このため、適度の粒径の砥粒を使用し、表面粗さRaを上記範囲とするのが好ましい。
表面層6を構成する材料としては、具体的には、例えばアクリル系、ゴム系、またはシリコーン系の樹脂材料を挙げることができる。なかでも特に、アクリル系の樹脂材料が好ましい。
主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
コモノマー成分としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、スチレン、アクリロイルモルホリン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
このようなシリコーン材料としては塩化白金酸及びそのアルコール溶液、白金−アスベスト、白金−カーボン、白金のオレフィン錯体等の白金触媒硬化型、或いは、過酸化ベンゾイル、過酸化−2,4−ジクロルベンゾイル、過酸化−p−クロルベンゾイル、過酸化ジキュミル、過酸化ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の過酸化物硬化系等が例示できる。
一方、熱によって硬化させる場合には、上記成分に加えて、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱架橋性樹脂を使用することが好ましい。なお、熱架橋性樹脂を添加する場合には、使用する樹脂に適した開始剤を選択して用いることができる。例えば、エポキシ樹脂にはアミン系開始剤が好適である。
例えば、イソシアネート系、例えばTDI(トリレンジイソシアネート)系などの架橋剤を配合することができる。活性エネルギー線で硬化する材料を使用する場合には、光重合開始剤を配合するのが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。基材5との密着性を高めるため、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤を配合してもよい。また、シートの成型性を考慮してトルエンなどの希釈溶剤を適宜使用できる。
離型材上に前記粘着剤組成物を塗布する方法としては、公知の方法、例えばナイフコート法、ロールコート法、バーコード法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などが挙げられる。
得られた粘着シートは、そのまま次の工程に使用してもよいし、また、使用時まで表面を清浄に保つために別の離型材を被せてもよい。なお、離型材としては、表面をシリコーンやフッ素系樹脂を用いて剥離処理したグラシン紙、コート紙、ラミネート紙、フィルム等を使用できる。
粘着シートには、感圧性、感熱性などの特性を有する材料を使用できる。特に、圧力によって基材5に対する接着が促進される感圧性材料が好ましい。
具体的には、23℃における貯蔵弾性率が1.5MPa以下、好ましくは1.0MPa以下(さらに好ましくは0.2MPa以下)であると、基材5の凹凸に応じて変形できるため好適である。
取り扱いしやすさを考慮すると、貯蔵弾性率は、0.01MPa以上(好ましくは0.05MPa以上)であることが好ましい。
このため、表面層6の厚さ(粘着シートの厚さ)は1〜100μm(好ましくは5〜30μm)とするのが好ましい。厚さをこの範囲とすることで、コストを抑え、かつ表面が平滑なガラス基板3、3’が得られる。
偏光板としては、通常透明高分子フィルムを一軸方向に延伸配向させ、配向分子間隙にヨウ素及び/又は二色性染料などを吸着配向させてなる偏光フィルムの両面を保護フィルムでカバーしたものが用いられる。
光学フィルム2、2’は、ガラス基板3、3’の外面に直接積層してもよいし、接着剤層8を介して積層してもよい。
接着剤層8としては、上述のアクリル系、ゴム系、およびシリコーン系のうち1以上の樹脂材料を使用できる。
図2に示すように、透明導電膜7を有する一対のガラス製の基材11を、液晶層4を挟んで一定の間隔をおいて向かい合わせた液晶パネルを用意する。
図3に示すように、基材11の外面に、上述の薄型化加工を施し、厚みを低減させる。
薄型化加工により厚みを低減された基材5は、表面が粗面化され、表面粗さRaは例えば0.06〜0.6μmとなる。
粘着シート13の内面(基材5に接する面)は、基材5の表面の凹凸に応じて変形し、隙間なく密着し、表面層6となる。離型材12は剥離させる。
図6に示すように、表面層6の外面は平滑であるため、外面が平滑な一対のガラス基板3の間に液晶層4が設けられた液晶パネル1が得られる。
活性エネルギー線の照射量は、硬化した表面層6の貯蔵弾性率が前述の範囲になるように適宜選択されるが、例えば紫外線の場合は光量100〜5000mJ/cm2が好ましく、電子線の場合には10〜1000krad程度が好ましい。活性エネルギー線としては、特に紫外線が好適である。
表面層6の硬度を高めることによって、ガラス基板3の強度をさらに高めることができる。
なお、光学フィルム2、2’は、表面層6に粘着性を持たせることにより、直接、ガラス基板3、3’に貼り付けてもよい。
また、粘着シート13の貼付によりガラス基板3の強度を高めることができる。
また、粘着シート13を使用するため、表面層6の厚さを正確に設定できることから、形状精度の点でも優れている。
従って、ガラス基板3、3’に十分な強度を与えるとともに、形状精度を高め、生産性を向上させることができる。
粘着シートの貯蔵弾性率は次のようにして測定した。
厚み30μm、直径8mmの円形の粘着シートを複数積層し、厚さ3mmの円板状の試験片を作製し、ねじりせん断法にて弾性率を測定した。
測定装置は、動的粘弾性測定装置「DYNAMIC ANALYZER RDAII」(レオメトリック社製)を使用した。周波数は1Hzとし、温度は23℃とした。
全光線透過率の測定には、可視光光線透過率・反射率測定器「HT−TR」(スガ試験機社製)を使用した。液晶パネル(図6参照)の全光線透過率を測定した。また、比較のため、粗面化後、表面層6を形成していない段階の液晶パネル(図3参照)についても測定を行った。
粘着シートが基材表面に隙間なく密着しているかどうかを目視にて確認し、十分に密着している場合を○と判定した。密着が不十分である場合には×と判定した。実用的には問題ないが密着性が若干劣る場合は△と判定した。
図2に示すように、透明導電膜7を有する一対のガラス製の基材11を、液晶層4を挟んで一定の間隔をおいて向かい合わせた液晶パネルを用意した。
図3に示すように、基材11の外面にラップ研磨を施し、その厚さを0.6mmから0.2mmまで低減させた。この研磨によって表面が粗面化された基材11の表面粗さRa(JIS B 0601−1994。算術平均粗さ)を表1に示す。この状態の液晶パネル(図3参照)の全光線透過率を測定した。
図4および図5に示すように、表2に組成を示す粘着シート13(厚さ30μm)を基材5の表面に貼り付けた。
粘着シートの貼り付けにはラミネータを使用し、荷重は1kg/m2、ラミネート速度は1m/minとした。次いで、加圧加熱処理(温度50℃、圧力0.5MPa、処理時間20分)を施した。紫外線硬化性の材料である多官能性モノマーを使用する実施例7〜9では、紫外線(フュージョン製Hバルブ使用、照度400W/cm2、光量300mJ/cm2)を照射して粘着シートを硬化させた。
離型材を剥離させ、図6に示す液晶パネル1を得た。
この液晶パネル1の全光線透過率を測定した。また、粘着シート13の密着性を評価した。結果を表1に示す。
比較のため、表面層のない液晶パネルを作製した。この液晶パネルでは、実施例1で用いたものと同じガラス製の基材11を用い、実施例1と同様にしてラップ研磨により基材11の表面を粗面化した後、鏡面研磨を施すことによって液晶パネルを作製した。鏡面研磨後の基材表面の表面粗さRaを測定した。この鏡面研磨後の液晶パネルについて全光線透過率を測定した。また、粗面化後、鏡面研磨前の状態の液晶パネルについても全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
※2)アクリル系共重合体:アクリル酸ブチルおよびアクリル酸を、質量比95:5の割合で常法に従って重合して得られた重量平均分子量180万の共重合体。
※3)アクリル系共重合体:アクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸およびアクリロイルモルホリンを、質量比49:30:1:20の割合で常法に従って重合して得られた重量平均分子量80万の共重合体。
※4)多官能性モノマー:トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート。分子量423。3官能型(東亞合成社製「アロニックスM315」)。
※5)光重合開始剤:ベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの混合物(質量比1:1)(チバ・スペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア500」。
※6)イソシアナート系架橋剤:トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアナート(日本ポリウレタン社製「コロネートL」)。
※7)シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−403」)。
特に、貯蔵弾性率が0.2である実施例1〜9では、粘着シート13が基材5の表面に十分に密着し、透過率に優れた液晶パネル1が得られた。
Claims (5)
- ガラス製の基材の表面を薄型化加工により表面粗さRaが0.1〜0.5μmに粗面化し、この表面に、23℃における貯蔵弾性率が0.05〜1.0MPaである粘着シートを貼付して表面層を形成することを特徴とする表示装置用ガラス基板の製造方法。
- 前記粘着シートは、活性エネルギー線または熱によって硬化する樹脂材料からなり、
前記表面層を、前記活性エネルギー線または熱によって硬化させることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用ガラス基板の製造方法。 - 前記表面層は、アクリル系の樹脂材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置用ガラス基板の製造方法。
- 前記基材の表面は、機械的または化学的加工によって粗面化されたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の表示装置用ガラス基板の製造方法。
- 一対のガラス製の基材の間に表示層を設けた後、前記基材の少なくとも一方の外面を薄型化加工により表面粗さRaが0.1〜0.5μmに粗面化し、この外面に、23℃における貯蔵弾性率が0.05〜1.0MPaである粘着シートを貼付して表面層を形成することを特徴とする表示パネルの製造方法。
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