以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[実施の形態1]
<デジタル複合機の構成>
図1は、本発明の実施の一形態に係るデジタル複合機1の構成を示す内部構成図である。デジタル複合機(画像形成装置)1は、画像形成ユニット2を核に、各々周辺機器である、スキャナ3、自動原稿搬送装置4、後処理装置5、記録材供給装置6、中継搬送ユニット8、および両面搬送装置10が接続され、機能が拡張されている。このうち、画像形成ユニット2および後処理装置5は、記録材供給装置6の上面に並んで載置され、これらの上方にスキャナ3が、その上部に配置された自動原稿搬送装置4と共に、システムラック7上に支持されることで配置されている。
上記画像形成ユニット2は、スキャナ3にて読み込まれた画像の記録シート(記録用紙、OHPフィルム等の記録材)への記録出力はもとより、デジタル複合機1の外部接続機器としてパーソナルコンピュータ等の画像処理装置が接続されると、この外部接続機器からの画像データが示すページ画像を記録シートへ記録出力するものである。
画像形成ユニット2の略中央左側には、電子写真プロセス部20が配置されている。電子写真プロセス部20は、感光体200、感光体200表面を均一に帯電させる帯電ローラ201、均一に帯電された感光体200上に光像を走査して静電潜像を書き込む光走査ユニット22、光走査ユニット22により書き込まれた静電潜像を現像剤により再現する現像ユニット202、感光体200上に再現された画像を記録シート上に転写する転写ユニット203、転写後の感光体200上に残留した現像剤を除去して感光体200上に新たな画像を記録することを可能にするクリーニングユニット204、および感光体200表面の電荷を除去する除電ランプユニット(不図示)などを備える。
画像形成ユニット2の下部、すなわち記録材供給装置6側の画像形成ユニット2内には、記録シートを収容可能な記録材供給部21が配置されている。この記録材供給部21は、記録シートを収容する記録材収容トレイ210と、記録材収容トレイ210に収容された記録シートを1枚ずつ分離給紙する分離供給手段211とで構成されている。この分離供給手段211にて1枚ずつ分離給紙された記録シートは、電子写真プロセス部20の感光体200と転写ユニット203との間に順次供給され、感光体200上に記録再現されたトナー画像が転写される。なお、上記記録材供給部21への記録シートの補給や記録シートの交換などの作業は、画像形成ユニット2本体の正面側に記録材収容トレイ210を引き出して行う。
画像形成ユニット2本体の下面には、オプション配置されている記録材供給装置6から送られてくる記録シートを受け入れ、電子写真プロセス部20の感光体200と転写ユニット203との間に向かって順次供給するための記録材受口27が設けられている。
電子写真プロセス部20の上方には定着装置23が配置されており、画像が転写された記録シートを順次受け入れて、記録シート上に転写された現像剤を加熱定着して定着装置23外へと記録シートを送り出す。画像が記録された記録シートは、画像形成ユニット2の排出ローラ28から画像形成ユニット2本体の上面の中継搬送ユニット8に受け渡される。このように画像形成ユニット2の用紙搬送パス(記録材搬送路)64は、下から上に向かって略縦型に構成されている。
画像形成ユニット2は、電子写真プロセス部20の側方、つまり電子写真プロセス部20に対して用紙搬送パス64と略直行する方向に隣接する位置に、光走査ユニット22を備える。
記録材供給装置6は、オプションにて付設された外付けの記録材供給装置であって、3つの記録材供給部61・62・63を有している。記録材供給部61・62・63では、記録材収容トレイ610・620・630に収容した記録シートを、各々に備えられた分離給送手段611・621・631によってそれぞれ1枚ずつ分離して、この記録材供給装置6上面に設けられ、画像形成ユニット2の記録材受口27に連通している記録材排出口65に向かって供給する。稼働時には、所望するサイズの記録シートを収容した記録材供給部61・62・63が選択的に動作する。記録材供給部61・62・63への記録シートの補給は、該ユニット本体の正面側に記録材収容トレイ610・620・630を引出すことで行われる。
また、記録材供給装置6は、上部に画像形成ユニット2と後処理装置5を載置するように構成されているが、この状態で移動してシステムラック7の間に固定して配置可能なように、下部に移動コロ69および固定部68を備えている。移動時には、固定部68を回転させて上昇させておくことで固定部68を床面から離間させ、固定時には、固定部68を回転させて下降させることで固定部68を床面に接触させて記録材供給装置6を固定する。
なお、図1では、記録材供給装置6が3つの記録材供給部61・62・63を有する場合を例示しているが、これに限らず記録材供給装置6は少なくとも1つの記録材供給部を有しておればよい。
後処理装置5は、画像形成ユニット2、中継搬送ユニット8から排出される画像の記録された記録シートをこの後処理装置5の上部に設けられた搬入ローラ50で導き入れて、記録シートに対して後処理を施すものである。
後処理としては、ステープル処理、パンチング処理、ソート処理等あるが、図1に例示している後処理装置5は、ステープル処理を行うものであり、後処理されたものは下段の排紙トレイ59に、後処理されないものは上段の排紙トレイ56に、切り換えゲート52によって選択的に排出される。
スキャナ3は、自動原稿搬送装置4により自動的に供給されるシート状の原稿を1枚ずつ順次露光走査して原稿画像を読み取る自動読み取りモードと、ユーザのマニュアル操作によりセットされるブック状の原稿、または自動原稿搬送装置4による自動供給が不可能なシート状の原稿の原稿画像を読み取る手動読み取りモードとを備えている。そして、透明な原稿載置台30上にセットされた原稿の原稿画像を、相互に所定の速度関係で原稿載置台30に沿って移動する第1走査ユニット31で露光走査して、ミラー32や結像レンズ33等の光学部品で導いて光電変換素子34上に結像させることで、原稿画像を電気的信号に変換した上で出力するものである。
自動原稿搬送装置4は、原稿セットトレイ40上に載置された原稿裏面を走査するCISユニット43および表面を走査する第1走査ユニット31を経由して走査後の原稿を原稿排出トレイ42上に排出する原稿搬送手段41を備えている。また、自動供給が不可能なシート状の原稿を原稿載置台30上に載置して読み取り走査可能なように、自動原稿搬送装置4が装置リア側を支点にして上方に回動し、装置の手前側が開放するように構成されている。
中継搬送ユニット8は、画像形成ユニット2の頂部に設けられた排紙トレイ29の上部に装着され、画像形成ユニット2の排紙ローラ28から排出される画像が記録された記録シートを、画像形成ユニット2の下流側に位置する後処理装置5に向かって導入するための搬送ユニットである。
また、この中継搬送ユニット8の記録材搬送経路84の途中で、記録シートを該ユニットの上面82と後処理装置5の上面54とで形成された排出トレイ9に導く別の記録材搬送経路83が分岐している。2つの排出先は、搬送路の分岐部に配置されたゲート81の切換により、変更可能になっている。
両面搬送装置10は、画像形成ユニット2の側面に装着され、記録シートの両面に画像を形成する際に記録シートを反転させるための搬送装置である。表の面に画像が形成された記録シートを反転させる際には、排紙ローラ28が記録シートを途中まで排出させた状態で停止し、逆転することにより記録シートを両面搬送装置10側へ導く。この際、定着装置23の後に設けられたゲート85の切換により、記録シートが定着装置23側へ戻らず両面搬送装置10に進入することになる。両面搬送装置10を通過した記録シートは、電子写真プロセス部20の手前から再度用紙搬送パス64に入って電子写真プロセス部20等を通過することで裏の面に画像が形成される。これにより、表の面(第1の面)および裏の面(第2の面)に対してこの順に画像が配置された記録シートを排出する両面印刷モードを実行することができる。
このデジタル複合機1では、記録材供給装置6の上に画像形成ユニット2と後処理装置5とが並んで載置される構造であり、画像形成ユニット2本体の幅寸法をL1、後処理装置5本体の幅寸法をL2とすると、記録材供給装置6の幅寸法Lは、L1+L2にほぼ等しくなるよう設計されている。
画像形成ユニット2は、光走査ユニット22の上側に、制御部24および画像生成部25を備える。画像形成ユニット2は、光走査ユニット22の下側に、電源ユニット26を備える。電源ユニット26は、制御部24、画像生成部25、ならびにデジタル複合機1の各ユニットおよび各装置に電源を供給する。
制御部24は、デジタル複合機1の外部からの画像形成ジョブデータを受信し、デジタル複合機1の画像形成プロセスを制御する。画像形成ジョブデータは、記録シートサイズ、印刷枚数、片面両面印刷、および印刷レイアウト等の画像形成に関する条件の情報と、画像形成されるページ画像を表す画像データとを含む。画像データは単数または複数ページのページ画像(画像)を表すデータである。なお、複数ページのページ画像を表す場合、画像データは、予め設定された各ページ画像の順番を示す情報も含んでいる。すなわち、画像データは、所定順に並べられた複数のページ画像を有することとなる。制御部24は、受信した画像形成ジョブデータに基づき、記録シートに画像形成するための印刷画像データを生成し、印刷画像データを画像生成部25に入力する。なお、制御部24は、複数ページのページ画像に対応する複数の印刷画像データを画像生成部25に入力する場合、各ページ画像に対応する印刷画像データを予め設定された順番(所定順)に従って画像生成部25に入力する。
また、制御部24は、スキャナ3が読み取った原稿画像を受信し、画像データとして記憶部102に保存する。この際に、空白のページについては、そのページ画像を保存せずに省略してもよい。デジタル複合機1に設けられる指示入力パネル(図示せず)等により、利用者から記憶部102に保存されている画像データを印刷する指示を受け付けると、制御部24は、利用者の指示に基づき記憶部102に保存されている画像データを用いて印刷画像データを生成して、印刷画像データを画像生成部25に入力する。
画像生成部25は、制御部24から入力された印刷画像データに対して所定の画像処理を施し、光走査ユニット22によって感光体200上に画像(潜像)を形成する。ここで、所定の画像処理は、利用者の指定(画像形成ジョブデータの指定)に基づく明度調整またはコントラスト調整等を含む。
<制御部の構成>
図2は、制御部24が備える機能ブロックを示すブロック図である。制御部24は、インターフェース部101、記憶部102、装置制御部103、穴跡検出部(検出部)104、表裏判定部(面判定部)105、およびレイアウト処理部(レイアウト決定部)106を備える。
インターフェース部101は、デジタル複合機1に接続された外部のネットワークからの画像形成ジョブデータを受け取り、画像形成ジョブデータを記憶部102に保存する。
記憶部102は、HDDまたは/およびRAM等を含み、制御部24が扱う各種データを記憶する。
装置制御部103は、デジタル複合機1の各ユニットおよび各装置の動作を制御する。例えば、装置制御部103は、記録材供給部21、光走査ユニット22、および電子写真プロセス部20等を動作させ、記録シートに画像形成を行う。また、画像形成ジョブデータにより記録シートの両面へ画像形成するモード(両面印刷モード)が指定されている場合、さらに両面搬送装置10を動作させ、記録シートの両面に画像形成を行う。また、装置制御部103は、必要に応じて周辺機器である、スキャナ3、自動原稿搬送装置4、後処理装置5、記録材供給装置6、および中継搬送ユニット8等を動作させる。
穴跡検出部104は、画像形成ジョブデータに含まれる画像データの各ページ画像のパンチ穴跡またはステープル穴跡を検出する。検出の詳しい処理方法は後述する。
表裏判定部105は、穴跡検出部104のパンチ穴跡またはステープル穴跡の検出結果に基づいて、ページ画像が原稿の表の面および裏の面のいずれに対応するかを判定する。判定の詳しい処理方法は後述する。
レイアウト処理部106は、表裏判定部105の判定結果に基づいて、記録シート上に形成する画像の配置、すなわちレイアウトを決定する。例えば、画像データが複数のページ画像を含み、両面印刷モードが指定されている場合、レイアウト処理部106は、画像データが示す各ページ画像について、記録シートのいずれの面に形成するかを決定する。
また、Nページ分のページ画像を1つの記録シートの1つの面に形成(Nin1印刷:縮小レイアウト印刷等と呼ばれる)する複数画像集約印刷モードが指定されている場合、レイアウト処理部106は、記録シートの各面に形成するページ画像のレイアウトを決定する。ここで、複数画像集約印刷モードは、記録シートの一つの面をN個(Nは偶数)の領域に分割し、各領域に対して予め定められた配置順序に従ってページ画像が各領域に配置された記録シートを排出するモードである。この配置順序は利用者によって設定される。
例えば、「2in1印刷」が指定されていた場合、記録シートの1つの面を、当該記録シートの短辺に平行な分割線で2つの均等な領域に分割する。そして、ユーザにより設定された順番に従って、1ページ分のページ画像を適宜縮小して1つの領域に配置し、記録シートの1つの面に2ページ分のページ画像を形成する。また、「4in1印刷」が指定されていた場合、記録シートの1つの面を、当該記録シートの短辺に平行な分割線で2つの均等な領域に分割し、さらに、当該2つの分割領域の各々を記録シートの長辺に平行な分割線で2つの均等な領域に分割する。そして、ユーザにより設定された順番(例えば、左上、右上、左下、右下の順)に従って、1ページ分のページ画像を適宜縮小して1つの領域に配置し、記録シートの1つの面に4ぺージ分のページ画像を形成する。
なお、Nin1印刷は、記録シートの片面だけに行うことも、記録シートの両面に行うこともできる。レイアウト処理部106は、決定したレイアウトに応じて記録シートに画像形成するために、記録シートの各ページに対応する印刷画像データを画像生成部25に入力する。表裏判定部105の判定結果に基づくレイアウトの決定方法については後述する。
<穴跡検出・表裏判定処理>
次に、穴跡検出部104によるパンチ穴跡またはステープル穴跡の検出処理、および表裏判定部105によるページ画像の表裏の判定処理について説明する。
図3(a)は、1枚の原稿の表の面をスキャナ等で読み取ることにより電子データ化した画像データの示すページ画像を示す図である。図3(b)は、該原稿の裏の面を読み取ることにより電子データ化した画像データの示すページ画像を示す図である。図3(a)、図3(b)には、説明のため、パンチ穴跡およびステープル穴跡の両方がある例を示している。
図3(a)、図3(b)から分かるように、通常、原稿をスキャナで読み取り生成したページ画像においては、パンチ穴は円状の輪郭を有する跡として残り、ステープル穴は点状の跡として残る。
左から読む原稿の場合、パンチ穴は、原稿の表の面においては左側の辺の近傍に設けられ(図3(a)参照)、原稿の裏の面においてはそれとは対称に右側の辺の近傍に設けられる(図3(b)参照)。また、ステープル穴も同様に、通常は原稿の表の面においては左側の辺または左上隅の近傍に設けられ(図3(a)参照)、原稿の裏の面においてはそれとは対称に右側の辺または右上隅の近傍に設けられる(図3(b)参照)。なお、以下では左から読む原稿について説明するが、右から読む原稿の場合、パンチ穴およびステープル穴を設ける位置は、左右が入れ替わる。
そのため、画像データが示すページ画像における、パンチ穴跡またはステープル穴跡の位置を検出し、その検出位置に基づいて画像データのページ画像が元の原稿の表裏のいずれの面に対応するものかを判定することができる。具体的には、穴跡検出部104は、パンチ穴跡またはステープル穴跡の位置と原稿の表裏との対応関係を示す表裏情報を予め記憶しておき、当該表裏情報に基づいて、ページ画像から検出されたパンチ穴跡またはステープル穴跡の位置に対応する原稿の面(表または裏の面)を特定する。そして、表裏判定部105は、当該ページ画像が特定した面の画像を示すものであると判定する。なお、ここでは、左から読む原稿を前提としているため、表裏情報は、パンチ穴跡またはステープル穴跡の位置「基準点よりも左」と元の原稿の面「表」とを対応付け、かつ、パンチ穴跡またはステープル穴跡の位置「基準点よりも右」と元の原稿の面「裏」とを対応付けている。
図4は、穴跡検出部104および表裏判定部105が行うパンチ穴跡の検出処理およびページ画像の表裏判定処理を示すフローチャートである。穴跡検出部104は、画像データが示す各ページ画像の四辺の近傍の所定の領域(図3(a)および図3(b)に破線で示す外側の領域82)を解析し、円状の跡(マーク)を検出する(S1)。円状の跡の検出は、円状の輪郭を有する図形をパターンマッチングにより検出してもよいし、他の方法を用いてもよい。また、円状の輪郭は部分的に欠けていても検出するようにしてもよい。なお、解析する所定の領域は、利用者がデジタル複合機に印刷指示を行うときに利用者が指定してもよい。
次に、検出された円状の跡が2つ以上ある場合(S2でYES)、該円状の跡の中にパンチ穴跡に一致する跡があるか否かを判定する。パンチ穴は所定のサイズに規格化されており、パンチ穴の直径は6mm、パンチ穴の中心の間隔は80mmである。穴跡検出部104は、画像形成ジョブデータに含まれる記録シートのサイズの情報から、該画像データが示すページ画像の寸法を決定することができ、検出された円状の跡のサイズを判定することができる。そして、穴跡検出部104は、検出された円状の跡のサイズが(6−α1)mmから(6+α2)mmの範囲(つまり、6mmを含む所定範囲)内であるか否かを判定する。なお、α1、α2は予め設定された値である。検出された円状の跡のサイズが当該範囲内である場合、穴跡検出部104は、直径が約6mmの円状の跡が2つ以上存在すると判断する。
また、例えばPDF(Portable Document Format)ファイル等は、各ページ毎のサイズ情報(A4、A3等)を有しているので、画像形成ジョブデータに各ページのサイズ情報を付加することができる。これにより、電子文書が縮小または拡大して印刷される場合でも、元の原稿における円状の跡のサイズを正確に判定することができる。また、例えばページ毎のサイズ情報を有していない電子文書を印刷する場合でも、ページ画像中の円状の跡のサイズを印刷する記録シート上でのサイズに換算し、パンチ穴の規定のサイズであるか否かを判定することができる。
直径が約6mmの円状の跡が2つ以上ある場合(S3でYES)、穴跡検出部104は、それらの跡の間隔を求める。そして、穴跡検出部104は、検出された跡の間隔が(80−β1)mmから(80+β2)mmの範囲(つまり、80mmを含む所定範囲)内であるか否かを判定する。なお、β1、β2は予め設定された値である。検出された跡の間隔が当該範囲内である場合、穴跡検出部104は、間隔が約80mmである2つの円状の跡が存在すると判断する。
間隔が約80mmである2つの円状の跡がある場合(S4でYES)、穴跡検出部104は、該当する2つの円状の跡をパンチ穴跡と判定する(S5)。
続いて表裏判定部105は、ページ画像の略中央に基準点を設定し(図3(a)、図3(b)参照)、パンチ穴跡と判定された円状の跡の全てについて、各円状の跡が存在する位置が基準点より左側であるか右側であるかを判定する(S6)。
ページ画像に、左側と判定された円状の跡および右側と判定された円状の跡の両方が存在する場合(S7でYES)、表裏判定部105は、ページ画像の表裏は不明、すなわちページ画像が元の原稿の表の面に対応するのか裏の面に対応するのか不明であると判定する(S8)。
ページ画像に、左側と判定された円状の跡のみが存在する場合(S7でNO、かつ、S9でYES)、表裏判定部105は、上記の表裏情報に基づいて、ページ画像は元の原稿の表の面に対応すると判定する(S10)。
ページ画像に、右側と判定された円状の跡のみが存在する場合(S7でNO、かつ、S9でNO)、表裏判定部105は、上記の表裏情報に基づいて、ページ画像は元の原稿の裏の面に対応すると判定する(S11)。
なお、検出された円状の跡が2つ以上ない場合(S2でNO)、直径が約6mmの円状の跡が2つ以上ない場合(S3でNO)、および、間隔が約80mmである2つの円状の跡がない場合(S4でNO)のいずれの場合においても、表裏判定部105は、ページ画像の表裏は不明であると判定する(S8)。
図5は、穴跡検出部104および表裏判定部105が行うステープル穴跡の検出処理およびページ画像の表裏判定処理を示すフローチャートである。穴跡検出部104は、画像データが示す各ページ画像の四辺の近傍の所定の領域(図3(a)および図3(b)に破線で示す外側の領域82)を解析し、点状の跡(マーク)を検出する(S21)。点状の跡の検出は、パターンマッチングにより検出してもよいし、他の方法を用いてもよい。
次に、検出された点状の跡が2つ以上ある場合(S22でYES)、穴跡検出部104は、それらの跡の間隔を判定する。ステープルの針は所定のサイズに規格化されており、ステープル穴の間隔は11.5mm(3号針)または8.4mm(10号針)等である。穴跡検出部104は、画像形成ジョブデータに含まれる記録シートのサイズの情報から、該画像データが示すページ画像の寸法を決定することができ、検出された点状の跡の間隔を判定することができる。具体的には、穴跡検出部104は、検出された2つの点状の跡の間隔が、11.5mmを含む所定範囲または8.4mmを含む所定範囲内である否かを判定する。検出された跡の間隔が当該範囲内である場合、穴跡検出部104は、間隔が約11.5mmまたは約8.4mmである2つの点状の跡が存在すると判断する。
間隔が約11.5mmまたは約8.4mmである2つの点状の跡がある場合(S23でYES)、穴跡検出部104は、該当する2つの点状の跡をステープル穴跡と判定する(S24)。
続いて表裏判定部105は、ページ画像の略中央に基準点を設定し(図3(a)、図3(b)参照)、ステープル穴跡と判定した点状の跡の全てについて、各点状の跡が存在する位置が基準点より左側であるか右側であるかを判定する。
ページ画像に、左側と判定された点状の跡および右側と判定された点状の跡の両方が存在する場合(S26でYES)、表裏判定部105は、ページ画像の表裏は不明、すなわちページ画像が元の原稿の表の面に対応するのか裏の面に対応するのか不明であると判定する(S27)。
ページ画像に、左側と判定された点状の跡のみが存在する場合(S26でNO、かつ、S28でYES)、表裏判定部105は、ページ画像は元の原稿の表の面に対応すると判定する(S29)。
ページ画像に、右側と判定された点状の跡のみが存在する場合(S26でNO、かつ、S28でNO)、表裏判定部105は、ページ画像は元の原稿の裏の面に対応すると判定する(S30)。
なお、検出された点状の跡が2つ以上ない場合(S22でNO)、および、間隔が約11.5mmまたは約8.4mmである2つの点状の跡がない場合(S23でNO)のいずれの場合においても、表裏判定部105は、ページ画像の表裏は不明であると判定する(S27)。
以上のようにして、穴跡検出部104は、ページ画像に残るパンチ穴跡またはステープル穴跡を検出し、表裏判定部105は、穴跡の位置からページ画像が原稿の表の面に対応するものであるか、裏の面に対応するものであるかを判定することができる。
なお、穴跡検出部104は、画像データが示す各ページ画像の左右の辺の近傍の所定の領域を解析して、円状の(または点状の)跡を検出する構成としてもよい。また、いずれか1つの辺の近傍の所定の領域のみを解析する構成としてもよい。
<レイアウト処理>
次に、レイアウト処理部106による記録シート上に形成する画像のレイアウト処理について説明する。
図6は、複数のページからなるオリジナルの原稿の各ページを示す図である。原稿の1ページ目は1枚目の用紙の表の面に当たり、2ページ目は1枚目の用紙の裏の面に当たる。また、原稿の3ページ目は2枚目の用紙の表の面に当たり、4ページ目は2枚目の用紙の裏の面に当たり、5ページ目は3枚目の用紙の表の面に当たり、6ページ目は3枚目の用紙の裏の面に当たる。この原稿は、表の面の左側の辺の近傍にパンチ穴が形成されている。原稿がバインダー等に綴じられていた場合、例えば4ページ目と5ページ目は見開きで参照することが可能であり、利用者は4ページ目と5ページ目とに描かれている回路図を同時に並べて閲覧することが可能である。また、2ページ目は白紙のページである。
この原稿をスキャナ等で読み取りPDF等の電子文書にする場合、白紙の2ページ目は省略されることがある。その結果、電子文書にはオリジナル原稿の2ページ目が含まれず、例えばオリジナル原稿の3ページ目が、電子文書の2ページ目になる。
このような電子文書を従来通りに記録シートに両面印刷する場合、オリジナル原稿の2ページ目が欠落しているので、オリジナル原稿とページ構成が変わってしまう。すなわち、記録シートの1枚目の表の面にオリジナル原稿の1ページ目の画像が形成され、1枚目の裏の面にオリジナル原稿の3ページ目の画像が形成され、2枚目の表の面にオリジナル原稿の4ページ目の画像が形成され、2枚目の裏の面にオリジナル原稿の5ページ目の画像が形成される。ここで、互いに関連する回路図を描いたオリジナル原稿の4ページ目の画像と5ページ目の画像とは、1つの記録シートの表と裏とにそれぞれ印刷される。そのため、オリジナル原稿においては閲覧しやすいページ構成になるよう配慮されていたとしても、一旦電子データ化した電子文書を従来通りに記録シートに両面印刷した場合、利用者にとって閲覧しづらいページ構成になり得る。
そこで、レイアウト処理部106は、両面印刷モードが指定されている場合、表裏判定部105の判定結果に応じて、電子文書の各ページ画像を印刷する記録シートの面(表または裏)を決定する。
図7は、両面印刷が指定されている場合にレイアウト処理部106が行うレイアウト処理を示すフローチャートである。通常、記録シート自体に表裏の区別はないが、便宜的に、画像形成ユニット2によって先に画像が形成される面を表の面、両面搬送装置10を経た後で画像が形成される面を裏の面とする。
表裏判定部105により、ページ画像が元の原稿の表の面に対応すると判定された場合(S41でYES)、レイアウト処理部106は、当該ページ画像を記録シートの表の面に配置する(S42)。もし前のページ画像が記録シートの表の面に配置されたのならば、該記録シートの裏の面は白紙のまま、当該ページ画像は次の記録シートの表の面に配置される。前のページ画像が記録シートの裏の面に配置されたのならば、当該ページ画像は次の記録シートの表の面に配置される。
表裏判定部105により、ページ画像が元の原稿の裏の面に対応すると判定された場合(S41でNO、かつ、S43でYES)、レイアウト処理部106は、当該ページ画像を記録シートの裏の面に配置する(S44)。もし前のページ画像が記録シートの表の面に配置されたのならば、当該ページ画像は同じ記録シートの裏の面に配置される。前のページ画像が記録シートの裏の面に配置されたのならば、次の記録シートの表の面は白紙のまま、当該ページ画像は上記次の記録シートの裏の面に配置される。
表裏判定部105により、ページ画像が元の原稿の表の面に対応するのか裏の面に対応するのか不明であると判定された場合(S41でNO、かつ、S43でNO)、レイアウト処理部106は、通常通りに、当該ページ画像を前のページ画像に連続するよう配置する(S45)。すなわち、前のページ画像が記録シートの表の面に配置されたのならば当該ページ画像は同じ記録シートの裏の面に配置され、前のページ画像が記録シートの裏の面に配置されたのならば当該ページ画像は次の記録シートの表の面に配置される。
印刷対象の全てのページ画像について上記S41〜S45の配置処理が完了していない場合(S46でNO)、レイアウト処理部106は、処理が完了していない残りのページ画像についてS41〜S45の配置処理を繰り返す。
印刷対象の全てのページ画像について上記S41〜S45の配置処理が完了した場合(S46でYES)、レイアウト処理部106は、決定した配置(レイアウト)に応じて記録シートに画像形成するために、印刷画像データとその配置に関するレイアウト情報とを画像生成部25に入力する(S47)。また、レイアウト処理部106は、レイアウト情報を装置制御部103にも入力する。なお装置制御部103は、レイアウト情報に含まれる配置の情報(例えば、いずれの記録シートのいずれの面に印刷するかの情報)に応じて両面印刷を行う。
画像生成部25および装置制御部103は、レイアウト処理部106から入力された印刷画像データとレイアウト情報とに基づき、印刷画像データと記録シートの表裏いずれかの面とを対応付けて印刷処理を行う。これにより、表裏判定部105が、連続する2つのページ画像に対して、前のページ画像が元の原稿の裏の面の画像に対応し、後のページ画像が元の原稿の表の面の画像に対応すると判定したとき、レイアウト処理部106は、当該前のページ画像を記録シートの裏の面に形成し、当該後のページ画像を次の記録シートの表の面に配置することとなる。そのため、あるページが欠落した電子文書を記録シートに印刷する場合であっても、オリジナル原稿において、見開きの左右に連続したページにまたがって記載された回路図、地図、またはその他の画像は、連続する2枚の記録シートの先の記録シートの裏の面と、後の記録シートの表の面とに印刷されることとなる。そのため、この2枚の記録シートの表の面における左側を綴じたとき、オリジナル原稿と同様に、見開きの左右に連続したページにまたがって記載された回路図、地図、またはその他の画像を示すこととなる。このように、オリジナル原稿において、見開きの左右に連続したページにまたがって記載された回路図、地図、またはその他の画像を、オリジナル原稿と同様のページ構成で印刷することができるので、利用者の閲覧を容易にすることができる。
また、上記のフローに従えば、ページが欠落した電子文書を記録シートに印刷する場合であっても、全てのページにおいて、オリジナル原稿のページ構成(表裏)を再現して印刷することができる。そのため、利用者が閲覧しやすいページ構成で電子文書を印刷することができる。これにより、例えば、紙の事務ファイルまたは病院のカルテ等に、両面印刷のページと片面印刷のページとが混じっており、これらの原稿の印刷された面だけを電子化した場合(すなわち片面印刷の裏の面は電子化されない場合)でも、元の原稿のページ構成を再現して印刷することが可能になる。
なお、上記の例では、ページ画像が元の原稿の表の面に対応するのか裏の面に対応するのか不明であると判定された場合は、当該ページ画像を前のページ画像に連続するように配置する構成としたが、対応する面が不明である当該ページ画像を表(または裏)の面として扱う構成とすることもできる。すなわちこの場合、パンチ穴跡等が検出されないページ画像は表(または裏)の面として扱われる。
また、レイアウト処理部106は、S42において、もし対象となるページ画像の前のページ画像が元の原稿の表の面に対応すると判定されている場合、S45と同様に、対象となるページ画像を前のページ画像に連続するように配置するように決定してもよい。さらに、レイアウト処理部106は、S44において、もし対象となるページ画像の後のページ画像が元の原稿の裏の面に対応すると判定されている場合、S45と同様に、対象となるページ画像を前のページ画像に連続するように配置するように決定してもよい。つまり、元の原稿の表の面に対応すると判定されたページ画像が連続する場合、もしくは、元の原稿の裏の面に対応すると判定されたページ画像が連続する場合、対象となるページ画像を前のページ画像に連続するように配置する。元の原稿の表の面または裏の面が連続する場合、これら連続する画像は、元の原稿において見開きの左右のページに配置されるものではなく、単独で配置されても読み難さを生じさせる可能性が低い。そのため、このように構成することで、記録シートの両面を無駄なく活用することができる。
なお、この場合であっても、表裏判定部105が、連続する2つの上記ページ画像に対して、前のページ画像が裏の面の画像を示し、後のページ画像が表の面の画像を示すと判定したとき、レイアウト処理部106は、S44において、当該前のページ画像を記録シートの裏の面に形成し、S42において、当該後のページ画像を次の記録シートの表の面に配置することとなる。その結果、オリジナル原稿において、見開きの左右に連続したページにまたがって記載された回路図、地図、またはその他の画像を、オリジナル原稿と同様のページ構成で印刷することができる。
図8は、2in1印刷が指定されている場合にレイアウト処理部106が行うレイアウト処理を示すフローチャートである。ここでは、記録シートの片面に2in1印刷を行う場合について説明する。元の原稿が左から読む原稿であり、2in1印刷を指定する場合、ユーザは、通常、1つの記録シート(A4横)を左右に分割した左側の領域、右側の領域にの順に、連続した2つのページ画像(A4縦)を配置する配置順序を選択することとなる。そのため、ここでは、2in1の配置順序として、左側の領域を1番目、右側の領域を2番目とする配置順序が設定されたものとして説明する。
表裏判定部105により、ページ画像が元の原稿の裏の面に対応すると判定された場合(S61でYES)、レイアウト処理部106は、当該ページ画像を適宜縮小し、記録シートにおける配置順序が1番目の左側の領域に配置する(S62)。もし前のページ画像が記録シートの左側の領域に配置されたのならば、該記録シートの右側の領域は空白のまま、縮小された当該ページ画像は次の記録シートにおける配置順序が1番目の左側の領域に配置される。前のページ画像が記録シートの右側の領域に配置されたのならば、縮小された当該ページ画像は次の記録シートの左側の領域に配置される。
表裏判定部105により、ページ画像が元の原稿の表の面に対応すると判定、または、ページ画像が元の原稿の表の面に対応するのか裏の面に対応するのか不明であると判定された場合(S61でNO)、レイアウト処理部106は、通常通りに、当該ページ画像を適宜縮小し前のページ画像に連続するよう配置する(S63)。すなわち、前のページ画像が記録シートの左側の領域に配置されたのならば縮小された当該ページ画像は同じ記録シートの右側の領域に配置され、前のページ画像が記録シートの右側の領域に配置されたのならば縮小された当該ページ画像は次の記録シートの左側の領域に配置される。
印刷対象の全てのページ画像について上記S61〜S63の配置処理が完了していない場合(S64でNO)、レイアウト処理部106は、処理が完了していない残りのページ画像についてS61〜S63の配置処理を繰り返す。
印刷対象の全てのページ画像について上記S61〜S63の判定が完了した場合(S64でYES)、レイアウト処理部106は、決定した配置(レイアウト)に応じて記録シートに画像形成するために、各ページ画像を縮小して配置した後の記録シートの各ページに対応する印刷画像データを画像生成部25に入力する(S65)。また、レイアウト処理部106は、レイアウト情報を装置制御部103にも入力する。なお装置制御部103は、レイアウト情報に含まれる配置の情報(例えば、結局何枚の記録シートに印刷するかの情報)に応じて印刷を行う。
図9は、電子文書の各ページ画像と、該電子文書を本実施の形態において2in1印刷した場合の例とを示す図である。
図9の上部に示すように電子文書の各ページ画像にはパンチ穴跡がある。ページ画像の左側にパンチ穴跡がある電子文書の1ページ目〜3ページ目、および5ページ目は、オリジナル原稿の表の面に対応するものであると分かる。一方、電子文書の4ページ目は、ページ画像の右側にパンチ穴跡があり、オリジナル原稿の裏の面に対応するものであると分かる。
本実施の形態のデジタル複合機1によって、上記図8のフローチャートにしたがって該電子文書を2in1印刷した場合、図9の下部に示すように、1枚目の記録シートの左側に電子文書の1ページ目、1枚目の記録シートの右側に電子文書の2ページ目、2枚目の記録シートの左側に電子文書の3ページ目、3枚目の記録シートの左側に電子文書の4ページ目、3枚目の記録シートの右側に電子文書の5ページ目が印刷される。2枚目の記録シートの右側は空白のままであり、あたかも白紙のページが挿入されたようになっている。オリジナル原稿では見開きの位置にあったであろう電子文書の4ページ目(裏の面に対応)と5ページ目(表の面に対応)とは、1枚の記録シート(3枚目)に並べて印刷されており、利用者は見開きのように並べて閲覧することができる。すなわち、電子文書の4ページ目(裏の面に対応)と5ページ目(表の面に対応)が互いに関連する図を描いたページである場合でも、利用者の利便性は損なわれない。
図12は、電子文書の各ページ画像と、該電子文書を本実施の形態において中綴じ印刷した場合の例とを示す図である。中綴じ印刷とは、複数のページ画像について2in1印刷と両面印刷を同時に行い、かつ、印刷後の記録シートを重ねて中央で半分に折り曲げ、中央部分をステープル等で綴じたときにページ画像が所定順に並ぶように、ページ画像の配置順を変更して印刷する方法である。
図12に示すように、1ページ目のページ画像が表の面、2ページ目のページ画像が表の面、3ページ目のページ画像が裏の面、4ページ目のページ画像が表の面、5ページ目のページ画像が裏の面、6ページ目のページ画像が表の面、7ページ目のページ画像が裏の面である電子文書を印刷する例を以下に説明する。レイアウト処理部106は、表の面が連続する1ページ目のページ画像と2ページ目のページ画像との間に、白紙のページ画像を挿入する。白紙のページ画像を挿入した後の印刷べきページ数は8ページである。
なお、この例では、デジタル複合機1は、複数の記録シートに両面印刷する場合、1枚目の記録シートの表の面、2枚目の記録シートの表の面、1枚目の記録シートの裏の面、2枚目の記録シートの裏の面という順序で印刷する。
この場合、中綴じ印刷においては、白紙のページ画像を挿入した後のページ画像を以下の順序で配置する。すなわち、1枚目の記録シートの左側に8ページ目のページ画像(元の電子文書における7ページ目)、1枚目の記録シートの右側に1ページ目のページ画像(元の電子文書における1ページ目)、2枚目の記録シートの左側に6ページ目のページ画像(元の電子文書における5ページ目)、2枚目の記録シートの右側に3ページ目のページ画像(元の電子文書における2ページ目)、3枚目の記録シートの左側に2ページ目のページ画像(挿入された白紙のページ画像)、3枚目の記録シートの右側に7ページ目のページ画像(元の電子文書における6ページ目)、4枚目の記録シートの左側に4ページ目のページ画像(元の電子文書における3ページ目)、4枚目の記録シートの右側に5ページ目のページ画像(元の電子文書における4ページ目)、の順に配置する。
このように配置することで、印刷後の記録シートを重ねて中央で半分に折り曲げたときに、各ページが順番に並ぶ。また、白紙ページを挿入することで、例えば、元の電子文書における3ページ目(裏)と4ページ目(表)とが見開きの位置に配置される。このように、電子文書におけるページ画像の順序と、画像形成時の配置順序は異なっている場合もある。
なお、上記の例ではオリジナル原稿が横綴じの場合(ページの左右が綴じられている場合)について説明したが、縦綴じの場合(ページの上下が綴じられている場合)でも同様の処理を行うことができる。縦綴じの場合、パンチ穴跡またはステープル穴跡がページ画像の上辺にあるか下辺にあるかによって、元の原稿の表の面に対応するのか裏の面に対応するのかを判定する。
<他の表裏判定方法>
以下では、パンチ穴跡またはステープル穴跡以外を利用した表裏判定方法を説明する。
図10は、ページにインデックスおよびページ番号を有する原稿のページ画像を示す図である。図10(a)は表の面(見開きの右側に位置する面:左側が綴じられる)のページ画像を示し、図10(b)は裏の面(見開きの左側に位置する面:右側が綴じられる)のページ画像を示している。
この原稿は、見開きの右側のページ(表の面)の右側端部に、章を表すインデックスが設けられている。このようなインデックスは、例えば電話帳および製品説明書等において多く設けられている。そして、インデックスは、文書を閉じた状態で利用者に認識できるように、通常、ページの外側(綴じられる位置とは逆側)の端部に周囲の色とは異なる色で着色された領域を有する。
すなわち、穴跡検出部104は、穴跡の代わりに、ページ画像の左右の辺の近傍の所定の領域(破線で示す外側の領域)80を解析しインデックスを検出してもよい。インデックスの検出はパターンマッチング、またはコントラストの変化の検出等により行ってもよいし、他の方法で行ってもよい。インデックスの検出方法は、例えば、特許文献3、4に開示されている。
表裏判定部105は、インデックスがページ画像の右側に検出された場合、当該ページ画像は元の原稿の表の面に対応するものであると判定する。また、インデックスがページ画像の左側に検出された場合、表裏判定部105は、当該ページ画像は元の原稿の裏の面に対応するものであると判定する。また、原稿の一方のページ、例えば見開きの右側のページだけにインデックスが設けられている場合もある(図10(b)参照)。そのため、ページ画像にインデックスが検出されなかった場合、表裏判定部105は、当該ページ画像は元の原稿の裏の面に対応するものであると判定してもよい。
また、表裏判定部105は、ページ番号の位置からページ画像の表裏を判定してもよい。ページ番号は、多くの場合、ページの外側(綴じられる位置とは逆側)の下部または上部に設けられている。
すなわち、穴跡検出部104は、穴跡の代わりに、ページ画像の上下の辺の近傍の所定の領域(破線で示す外側の領域)81を解析しページ番号を検出してもよい。ページ番号の検出は従来の光学文字認識(OCR:Optical Character Recognition)技術を用いて行ってもよいし、他の方法で行ってもよい。ページ番号の検出方法は、例えば、特許文献5〜7に開示されている。
表裏判定部105の処理は、インデックスを検出する場合と同様である。
ページ画像に含まれるインデックスまたはページ番号から、対応する元の原稿のページが綴じられていた側を特定することができるので、インデックスおよびページ番号は、パンチ穴跡およびステープル穴跡と同様に、元の原稿において対応するページが綴じられていた側を示すマークということができる。本実施の形態では、特定の条件を満たす画像であるマークの位置または有無に基づき、表裏判定部105が、ページ画像が元の原稿の表の面の画像を示すものか裏の面の画像を示すものであるかを判定する。
図13は、元の原稿の表の面に対応するページと、裏の面に対応するページとで、形成されているマークの形状が異なる例を示す図である。このように、表の面と裏の面とで所定の位置に形成されているマークの形状(パターン)が異なる場合は、それぞれのマークの形状を識別する(または、一方の形状のマーク(例えば、表の面にのみ形成されている黒い四角のパターンにマッチするマーク)のみを検出する)ことにより、表裏を識別することが可能である。
<その他の変形例>
上記の説明では、左から読む原稿の場合を例を述べた。しかしながら、原稿には、左から読む原稿もあれば、右から読む原稿もある。そのため、制御部24は、ユーザから、元の原稿が右から読む原稿であるのか左から読む原稿であるのかを示す原稿方向情報の入力を受け付けてもよい。そして、穴跡検出部104およびレイアウト処理部106は、入力された原稿方向情報に応じた処理を実行してもよい。
上述したように、右から読む原稿の場合、パンチ穴およびステープル穴を設ける位置は、左から読む原稿と比較して、左右が入れ替わることになる。
そこで、穴跡検出部104は、パンチ穴跡またはステープル穴跡の位置と原稿の表裏との対応関係を示す表裏情報として、左から読む原稿用の第1表裏情報と、右から読む原稿用の第2表裏情報とを予め記憶しておけばよい。ここで、第1表裏情報とは、上述した表裏情報と同じであり、パンチ穴跡またはステープル穴跡の位置「基準点よりも左」と表の面とを対応付け、かつ、パンチ穴跡またはステープル穴跡の位置「基準点よりも右」と裏の面とを対応付けている。一方、第2表裏情報は、パンチ穴跡またはステープル穴跡の位置「基準点よりも左」と元の原稿の面「裏」とを対応付け、かつ、パンチ穴跡またはステープル穴跡の位置「基準点よりも右」と元の原稿の面「表」とを対応付けている。
そして、穴跡検出部104は、入力された原稿方向情報が左から読む原稿を示している場合に第1表裏情報を選択し、入力された原稿方向情報が右から読む原稿を示している場合に第2表裏情報を選択し、選択した表裏情報に基づいて、ページ画像が元の原稿の表裏のいずれの面に対応するものかを判定すればよい。
なお、両面印刷モードが選択されている場合、レイアウト処理部106は、入力された原稿方向情報に拘わらず、図7に示した処理を実行すればよい。これにより、表裏判定部105が、連続する2つの上記ページ画像に対して、前のページ画像が裏の面の画像を示し、後のページ画像が表の面の画像を示すと判定したとき、レイアウト処理部106は、当該前のページ画像を記録シートの裏の面に形成し、当該後のページ画像を次の記録シートの表の面に配置することとなる。その結果、オリジナル原稿において、見開きの左右に連続したページにまたがって記載された回路図、地図、またはその他の画像を、オリジナル原稿と同様のページ構成で印刷することができる。
一方、複数画像集約印刷モード(Nin1印刷)が選択された場合でも、レイアウト処理部106は、入力された原稿方向情報に拘わらず、図8に示した処理を実行すればよい。ただし、表裏判定部105により、ページ画像が元の原稿の裏の面に対応すると判定された場合(S61でYES)、レイアウト処理部106は、S62において、当該ページ画像を適宜縮小し、記録シートにおける配置順序が奇数番目の領域に配置すればよい。
Nin1印刷(例えば、2in1印刷)を行う場合、元の原稿が左から読む原稿であるか右から読む原稿であるかに応じて、ユーザは、通常、記録シートの分割された偶数個の領域の配置順序を選択することとなる。例えば、ユーザは、元の原稿が左から読む原稿であり、2in1印刷を選択する場合、1つの記録シート(A4横)を左右に分割した左側の領域を1番目、右側の領域を2番目とする配置順序を選択する。また、ユーザは、元の原稿が左から読む原稿であり、4in1印刷を選択する場合、1つの記録シート(A4横)を分割した左上の領域を1番目、右上の領域を2番目、左下の領域を3番目、右下の領域を4番目とする配置順序を選択する。また、ユーザは、元の原稿が右から読む原稿であり、2in1印刷を選択する場合、1つの記録シート(A4横)を左右に分割した右側の領域を1番目、左側の領域を2番目とする配置順序を選択する。また、ユーザは、元の原稿が右から読む原稿であり、4in1印刷を選択する場合、1つの記録シート(A4横)を分割した右上の領域を1番目、左上の領域を2番目、右下の領域を3番目、左下の領域を4番目とする配置順序を選択する。
そのため、S62において、元の原稿の裏の面に対応すると判定されたページ画像を、記録シートにおける配置順序が奇数番目の領域に配置することにより、元の原稿が左から読む原稿である場合、当該裏の面に対応するページ画像が左側の領域に配置される。そして、次のページ画像が元の原稿の表の面に対応する場合、当該ページ画像がその隣の右側の領域に配置される。一方、元の原稿が右から読む原稿である場合、当該裏の面に対応するページ画像が右側の領域に配置される。そして、次のページ画像が元の原稿の表の面に対応する場合、当該ページ画像がその隣の左側の領域に配置される。その結果、オリジナル原稿において、見開きの左右に連続したページにまたがって記載された回路図、地図、またはその他の画像を、オリジナル原稿と同様のページ構成で印刷することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1の、穴跡検出部104、表裏判定部105、およびレイアウト処理部106の処理の少なくとも一部を、ネットワーク等を介してプリンタ(またはデジタル複合機)に接続されるコンピュータデバイスによって実行してもよい。
図11は、プリンタ110と本実施の形態のコンピュータデバイス111とを示すブロック図である。プリンタ110は、従来の両面印刷可能な一般的なプリンタであり、ネットワーク112で接続されたコンピュータデバイス111からの指示(画像形成ジョブデータ)に基づき画像形成処理を行う画像形成装置である。コンピュータデバイス(画像処理装置)111は、画像形成指示部113を備える。
画像形成指示部113は、コンピュータデバイス111上で動作するアプリケーションの印刷要求を受信し、外部のプリンタ110に画像形成ジョブデータを出力し、記録シートへの印刷を指示するものである。画像形成指示部113は、穴跡検出部114、表裏判定部115、レイアウト処理部116、条件入力部117、および指示出力部(出力部)118を備える。
条件入力部117は、利用者による記録シートサイズ、片面両面印刷、および印刷レイアウト等の画像形成に関する条件の入力を受け付ける。以下では、利用者によって両面印刷が指定された場合について説明する。
穴跡検出部114は、実施の形態1の穴跡検出部104と同様の処理を行う。アプリケーションによって、複数ページを有する電子文書の印刷要求が画像形成指示部113に入力されると、穴跡検出部114は、該電子文書に含まれる各ページ画像について、パンチ穴跡の検出処理を行う。
表裏判定部115は、実施の形態1の表裏判定部105と同様の処理を行う。穴跡検出部114の検出結果に基づき、表裏判定部115は、各ページ画像が元の原稿の表裏のいずれの面に対応するものであるかを判定する。
レイアウト処理部116は、実施の形態1のレイアウト処理部106と同様の処理を行う。表裏判定部115の判定結果に基づき、各ページ画像のレイアウト(記録シートのいずれの面に印刷するか)を決定する。レイアウトを決定した結果、表の面が空白であるようにレイアウトされる記録シートがある場合、レイアウト処理部116は、白紙のページ画像が空白の面に該当する位置に挿入されるように、白紙のページ画像の画像データを電子文書の画像データに追加する。裏の面が空白であるようにレイアウトされる記録シートがある場合も同様に行ってもよい。また、裏の面が空白であるようにレイアウトされる記録シートがある場合、その表の面のページ画像については片面印刷を指定してもよい。
指示出力部(出力部)118は、レイアウト処理部116によって修正された(白紙のページ画像が追加された)電子文書の画像データと、記録シートサイズ、片面両面印刷、および印刷レイアウト等の画像形成に関する条件の情報とを画像形成ジョブデータとしてプリンタ110に出力する。プリンタ110は、入力された画像形成ジョブデータに基づいて通常通り印刷処理を行うことができる。
このように、穴跡検出処理、表裏判定処理、およびレイアウト処理をプリンタ110に接続されたコンピュータデバイス111が行うことで、従来のプリンタ110を用いて、電子文書の印刷の際にそのオリジナル原稿のページ構成を再現して電子文書を印刷することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
最後に、制御部24および画像形成指示部113の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPU(central processing unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、制御部24または画像形成指示部113は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである制御部24または画像形成指示部113の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記制御部24または画像形成指示部113に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU(microprocessor unit))が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(compact disc read-only memory)/MO(magneto-optical)/MD(Mini Disc)/DVD(digital versatile disk)/CD−R(CD Recordable)等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM(erasable programmable read-only memory)/EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、制御部24または画像形成指示部113を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(local area network)、ISDN(integrated services digital network)、VAN(value-added network)、CATV(community antenna television)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(asynchronous digital subscriber loop)回線等の有線でも、IrDA(infrared data association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。