以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の全体ブロック図である。撮像装置1は、静止画像及び動画像を撮影及び記録可能なデジタルビデオカメラである。尚、撮影と撮像は同義である。
撮像装置1は、符号10〜27によって参照される各部位を備えている。光学系10は、ズームレンズ30及びフォーカスレンズ31を含む複数枚のレンズと絞り32によって形成される。ズームレンズ30及びフォーカスレンズ31は、光学系10の光軸方向に沿って移動可能に光学系10に配置される。尚、本実施形態では、表示部23が撮像装置1内に設けられていると想定しているが、表示部23は、撮像装置1の外部の表示装置であてもよい。
撮像素子11は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子である。撮像素子11は、光学系10内の各レンズ(レンズ30及び31を含む)及び絞り32を介して入射した被写体を表す光学像(被写体像)を光電変換し、該光電変換によって得られた電気信号をAFE12に出力する。より具体的には、撮像素子11は、マトリクス状に二次元配列された複数の受光画素を備え、各画像の撮影において、各受光画素は露光時間の長さに応じた電荷量の信号電荷を蓄える。蓄えた信号電荷の電荷量に比例した大きさを有する各受光画素からのアナログ信号は、撮像装置1内で生成される駆動パルスに従って順次AFE12に出力される。
AFE(Analog Front End)12は、撮像素子11から出力されるアナログ信号を増幅し、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換してから補正処理部13に出力する。補正処理部13は、AFE12の出力信号に対して各種の必要な処理を実行し、その処理後の信号を出力する。例えば、補正処理部13は、AFE12の出力信号に対して、光学系10のレンズ特性に応じた所定のレンズ歪補正や、撮像素子11に含まれうる受光画素の欠陥に応じた画素欠陥補正を行う。補正処理部13の出力信号をRAWデータとも呼ぶ。
撮像素子11は、いわゆる単板方式のイメージセンサであり、撮像素子11としての1枚のイメージセンサにおける各受光画素の前面には、光の赤成分のみを透過させる赤フィルタ、光の緑成分のみを透過させる緑フィルタ、及び、光の青成分のみを透過させる青フィルタの何れかが配置されている。赤フィルタ、緑フィルタ及び青フィルタの配列は、ベイヤ配列である。従って、RAWデータによって表される二次元画像には、赤の色信号がベイヤ配列に従ってモザイク状に配置されている(緑及び青についても同様)。
デモザイキング処理部14は、RAWデータに対して周知のデモザイキング処理を実行することにより、RGB形式の画像データ又はYUV形式の画像データを生成する。デモザイキング処理部14が生成した画像データによって表される二次元画像を、以下、原画像と呼ぶ。原画像を形成する1つ1つの画素には、画素の赤、緑及び青の強度を表すR、G及びB信号の全てが割り当てられている、或いは、Y並びにU及びV信号の全てが割り当てられている。或る画素についてのR、G及びB信号は、夫々、その画素の赤、緑及び青の強度を表す色信号である。また、Y信号は輝度信号であり、U及びV信号は色差信号である。
主要被写体検出部15は、原画像の画像データに基づいて、原画像上における主要被写体の位置及び大きさを検出する。本実施形態では、顔検出機能を用いて主要被写体を設定する。具体的には、主要被写体検出部15は、原画像の画像データに基づいて原画像中から人物の顔を検出し、検出された顔を含む顔領域を抽出する。これを実現する処理を顔検出処理という。画像中に含まれる顔を検出する手法として様々な手法が知られており、主要被写体検出部15は何れの手法をも採用可能である。例えば、特開2000−105819号公報に記載の手法のように原画像から肌色領域を抽出することによって顔(顔領域)を検出しても良いし、特開2006−211139号公報又は特開2006−72770号公報に記載の手法を用いて顔(顔領域)を検出しても良い。
主要被写体検出部15は、原画像から顔領域を抽出した後、その顔領域に対応する人物の胴体部分を含む領域である胴体領域を原画像から抽出する。胴体領域は、顔領域の下方側(眉間から口に向かう方向側)に、顔領域に隣接して存在する領域とされる。胴体領域の大きさは、顔領域の大きさに依存して決定される。その後、顔領域及び胴体領域を含む矩形領域を主要被写体領域として設定する。尚、1枚の原画像から複数の顔領域が検出された場合は、原画像の中心に最も近い位置に中心位置が存在する顔領域を選択し、選択した顔領域と選択した顔領域に対応する胴体領域を含む矩形領域を主要被写体領域として設定する。
図2の画像300は、原画像の一例を表している。図2において、符号301が付された人物は、原画像300上における主要被写体である。破線矩形領域302は、主要被写体301の顔領域であり、顔領域302の下方に隣接する破線矩形領域303は、主要被写体301の胴体領域である。顔領域302と胴体領域303の合成領域に相当する実線矩形領域304が、原画像300の主要被写体領域である。
主要被写体検出部15は、例えば、主要被写体領域304の中心位置を原画像300上における主要被写体の位置として検出し、主要被写体領域304の大きさを原画像300上における主要被写体の大きさとして検出する。主要被写体検出部15にて、主要被写体領域の中心位置及び大きさを表す主要被写体情報が生成される。
狭角切出し制御部16は、主要被写体情報に基づいて、主要被写体領域を含む狭角切出し領域を原画像の全体画像領域内に設定する。そして、原画像上における狭角切出し領域の位置及び大きさを表す狭角切出し情報を生成する。広角切出し制御部17は、狭角切出し情報に基づいて狭角切出し領域を含む広角切出し領域を原画像の全体画像領域内に設定し、原画像から広角切出し領域内の画像を切り出す(抽出する)。
図2において、破線矩形領域305は、原画像300に対して設定される狭角切出し領域である。例えば、原画像300上における狭角切出し領域305の中心位置は、主要被写体領域304の中心位置と同じに設定される。狭角切出し領域305の大きさは、主要被写体領域304の大きさが増大するにつれて増大し、主要被写体領域304の大きさが減少するにつれて減少する。原画像300上における主要被写体301の大きさが増大すれば顔領域302、胴体領域303及び主要被写体領域304の大きさ(画素数)も増大し、原画像300上における主要被写体301の大きさが減少すれば顔領域302、胴体領域303及び主要被写体領域304の大きさ(画素数)も減少するため、原画像300上における主要被写体の大きさの増大/減少に連動して、狭角切出し領域305の大きさも増大/減少する。
図2において、破線矩形領域306は、原画像300に対して設定される広角切出し領域である。原画像300上における広角切出し領域306の中心位置は、原画像300上における狭角切出し領域305の中心位置を基準にして決定される。可能であれば例えば、狭角切出し領域305の中心位置と広角切出し領域306の中心位置は一致せしめられる。
狭角切出し領域内の画像(より厳密には、狭角切出し領域の外枠と外枠が一致する画像)を狭角画像と呼ぶと共に、広角切出し領域内の画像(より厳密には、広角切出し領域の外枠と外枠が一致する画像)を広角画像と呼ぶ。広角切出し領域の大きさの設定方法については後に詳説されるが、広角切出し領域(図2の例において領域306)の大きさは必ず狭角切出し領域(図2の例において領域305)の大きさよりも大きい。従って、或る1枚の原画像から切り出された広角画像と狭角画像を比較した場合、前者の画角(視野)の方が後者のそれよりも広い(換言すれば、後者よりも前者の方が大きさが大きい)。
尚、以下の説明では、便宜上、図2の原画像300に対応する狭角切出し領域及び広角切出し領域を表す符合305及び306を、夫々、原画像300から切出される狭角画像及び広角画像を表す符合としても用いる。後述する他の原画像についても同様である。
圧縮処理部18は、広角画像の画像データを所定の圧縮方式を用いて圧縮する。記録媒体19は、SD(Secure Digital)メモリカード等の不揮発性メモリから成り、圧縮処理部18にて圧縮された広角画像の画像データを記録する。この際、広角画像の画像データに狭角切出し情報を関連付けて記録する。図2の原画像300に関しては、狭角画像305についての狭角切出し情報が広角画像306の画像データに関連付けられて記録される。このため、記録媒体19の記録データから広角画像306の画像データを生成可能であると共に、広角画像306の画像データ及び記録された狭角切出し情報から狭角画像305の画像データを生成可能である。尚、記録媒体19にRAWデータを記録させることも可能である。伸張処理部20は、記録媒体19に記録されている、圧縮された画像データを伸張し、伸張後の画像データを画像処理部21に送る。
ところで、撮像素子11は、所定のフレーム周期にて順次撮影を行うことが可能であり、この順次撮影によって原画像列が形成される。原画像列は、時系列で並ぶ原画像の集まりである。原画像列が、第1、第2、第3、・・・第i、第(i+1)・・・フレームの原画像から成るものとする。第iフレームの原画像は、第(i−1)フレームの原画像の次に撮影される原画像であるとする(iは整数)。第iフレームの原画像から抽出されるべき広角画像及び狭角画像を、夫々、第iフレームの広角画像及び狭角画像と呼ぶ。
画像の撮影及び記録時には、原画像ごとに、主要被写体情報、狭角切出し情報及び広角画像の生成がなされる。従って、第iフレームの原画像の画像データに基づいて第iフレームの原画像上における主要被写体の位置及び大きさが検出されて第iフレームの主要被写体情報が生成され、その第iフレームの主要被写体情報に基づき、第iフレームの狭角切出し情報が生成される。第iフレームの狭角切出し情報に応じて第iフレームの原画像から第iフレームの広角画像が抽出され、第iフレームの広角画像の画像データは圧縮処理を介して第iフレームの狭角切出し情報と共に記録媒体19に記録される。
画像データの再生時には、第1〜第iフレームの広角画像の圧縮画像データが順次記録媒体19から読み出されて伸張され、第1〜第iフレームの広角画像の画像データが、第1〜第iフレームの狭角切出し情報と共に画像処理部21に送られる。
画像処理部21は、第1〜第iフレームの広角画像の画像データを、そのまま液晶ディスプレイ等から成る表示部23に送ることにより、第1〜第iフレームの広角画像から成る動画像を表示部23に表示させることが可能である。また、第1〜第iフレームの狭角切出し情報に従って第1〜第iフレームの広角画像から第1〜第iフレームの狭角画像を切り出すことにより、第1〜第iフレームの狭角画像から成る動画像を表示部23に表示させることも可能である。
更に、画像処理部21には高解像度化処理部22が設けられており、高解像度化処理部22を利用することによって、高い解像度を有する狭角画像の動画像を再生表示することも可能である。高解像度化処理部22は、m枚の低解像度画像から1枚の高解像度画像を生成する超解像処理(高解像度化処理)を実行可能に形成されており、m枚の狭角画像をm枚の低解像度画像として用いることにより、1枚の高解像度の狭角画像(以下、狭角高解像度画像という)を生成する。ここで、mは2以上の整数である。高解像度化処理部22では、公知の任意の超解像処理を利用可能である。例えば、特開2005−197910号公報、特開2007−205号公報、特開2007−193508号公報などに記載の超解像処理方法を利用することが可能である。
図3を参照し、m=3である場合における超解像処理を説明する。高解像度化処理部22は、第(i−2)、第(i−1)及び第iフレームの狭角画像を、夫々、第1、第2、及び第3の観測低解像度画像として取り扱って超解像処理を行う。上述の説明から明らかなように、第(i−2)、第(i−1)及び第iフレームの狭角画像を、記録媒体19に記録された第(i−2)、第(i−1)及び第iフレームの狭角切出し情報を用いて、第(i−2)、第(i−1)及び第iフレームの広角画像から切り出すことが可能である。
高解像度化処理部22は、第1の観測低解像度画像を基準として、第1と第2の観測低解像度画像との間の位置ずれ量及び第1と第3の観測低解像度画像との間の位置ずれ量を検出する。位置ずれ量は、水平成分及び垂直成分を含む二次元量であり、動き量又は動きベクトルとも呼ばれる。位置ずれ量は、代表点マッチング法やブロックマッチング法、勾配法などを用いて、サブピクセルの分解能を有するように検出される。即ち、観測低解像度画像内の隣接する画素の間隔よりも短い距離を最小検出単位として位置ずれ量が検出される。
一方で、線形補間やバイキュービック補間を用いて第1の観測低解像度画像の水平及び垂直方向の画素数を増大させた画像を初期の高解像度画像として生成する。生成された高解像度画像はより最適なものへと更新されてゆく。即ち、高解像度化処理部22は、検出した上述の各位置ずれ量を用いて、現時点の高解像度画像を構築する3枚の低解像度画像を推定し、推定した各低解像度画像と各観測低解像度画像との誤差が最小化されるように高解像度画像を更新してゆく。最終的に得られた高解像度画像は、第(i−2)フレームにおける狭角高解像度画像に相当する。他の狭角画像も同様にして解像度が向上される。例えば、第(i−1)、第i及び第(i+1)フレームの狭角画像に基づいて、第(i−1)フレームにおける狭角高解像度画像が生成される。
超解像処理によって生成された第1〜第iフレームの狭角高解像度画像の画像データを表示部23に送ることにより、第1〜第iフレームの狭角高解像度画像から成る動画像を表示部23に表示させることが可能である。
尚、撮影時に、デモザイキング処理部14から出力される原画像の画像データを表示部23に送ることにより、原画像についての動画像又は静止画像を表示部23にて表示させることも可能である。同様に、撮影時に、広角切出し制御部17から出力される広角画像の画像データを表示部23に送ることにより、広角画像についての動画像又は静止画像を表示部23にて表示させることも可能である。また、撮影時に、狭角切出し情報と広角画像の画像データから狭角画像の画像データを抽出して、それを表示部23に送ることにより、狭角画像についての動画像又は静止画像を表示部23にて表示させることも可能である。
以下、表示部23に表示される画像を表示画像と呼ぶ。例えば、第1〜第iフレームの狭角高解像度画像から成る動画像を表示部23に表示させる場合、表示画像は狭角高解像度画像である。
AE/AF評価値検出部24は、RAWデータから撮影画像の明るさに応じたAE評価値を算出する共にRAWデータからオートフォーカス用のAF評価値を算出する。絞り制御部25は、原画像の明るさが所望の明るさになるように、AE評価値に基づいて絞り32の開度(即ち、絞り値)及びAFE12における信号増幅の増幅度を制御する。フォーカス制御部26は、TTL(Through The Lens)方式のコントラスト検出法を利用したオートフォーカス制御を実現すべく、AF評価値に基づきフォーカスレンズ31の位置を制御する。
ズームレンズ駆動部27は、ユーザの指示に従って又は狭角切出し制御部16による制御の下、ズームレンズ30の位置を制御することにより光学系10の焦点距離を調節し、これによって光学ズームを実現する。狭角切出し制御部16の制御によるズームレンズ30の位置制御については後述される。
図4に示す如く、ズームレンズ30は、ワイド端からテレ端までの間を移動可能である。ワイド端からテレ端は、ズームレンズ30の全移動範囲における両端を表し、ズームレンズ30の位置がワイド端からテレ端に向かうにつれて、撮像素子11による撮影画角(即ち、原画像の画角)は減少すると共に光学ズーム倍率が増大する。光学ズーム倍率を、所定の下限倍率から所定の上限倍率まで変化させることが可能である。ズームレンズ30がワイド端に位置しているとき、光学ズーム倍率は下限倍率と一致し、ズームレンズ30がテレ端に位置しているとき、光学ズーム倍率は上限倍率と一致する。主要被写体の被写体距離が一定である場合において、光学ズーム倍率が増大すれば原画像上の主要被写体の大きさは増大し、光学ズーム倍率が減少すれば原画像上の主要被写体の大きさは減少する。主要被写体の被写体距離とは、主要被写体と撮像装置1との、実空間上における距離を指す。
画像の大きさ及び画像における領域の大きさは、画素数によって表現される。着目画像の大きさを表す着目画像の画素数は、着目画像を形成する画素の総数を表し、着目領域の大きさを表す着目領域の画素数は、着目領域を形成する画素の総数を表す。着目画像は、原画像、広角画像、狭角画像、狭角高解像度画像などの、任意の着目した画像を指す。着目領域は、顔領域、胴体領域、主要被写体領域、広角切出し領域、狭角切出し領域などの、任意の着目した画像領域を指す。着目画像又は着目領域の外形が矩形である場合、着目画像又は着目領域の画素数は、着目画像又は着目領域における水平方向の画素数と垂直方向における画素数の積である。以下の説明では、矩形の着目画像又は着目領域の画素数を(PH×PV)にて表現することがある。ここで、PH及びPVは、夫々、着目画像又は着目領域における水平及び垂直方向の画素数である。例えば、着目画像の水平及び垂直方向の画素数が夫々1280個及び720個である時、着目画像の画素数を(1280×720)と表記する。
上述したように、高解像度化処理部22の超解像処理によって、狭角画像の解像度よりも高い解像度を有する狭角高解像度画像が生成される。即ち、狭角画像の画素数を(LH×LV)にて表すと共に画素数(LH×LV)の狭角画像を用いて生成された狭角高解像度画像の画素数を(HH×HV)にて表した場合、LH<HH且つLV<HVが成立する。LH:LV≠HH:HVとすることも可能であるが、説明の簡略化上、LH:LV=HH:HVが成立するものとする。EL=(HH×HV)/(LH×LV)は、狭角画像の画素数に対する狭角高解像度画像の画素数の拡大倍率を表している。この拡大倍率ELには上限が存在する。この上限を、上限拡大倍率ELMAXと呼ぶ。上限拡大倍率ELMAXは、高解像度化処理部22の超解像処理の性能に依存して、予め規定される。高解像度化処理部22は、1<EL≦ELMAXを満たす範囲内で拡大倍率ELを任意に設定した上で超解像処理を行うことができる。
以下、説明の具体化のため、上限拡大倍率ELMAXは4.0であるとする。従って例えば、画素数(640×360)の狭角画像から生成可能な狭角高解像度画像の最大画素数は(1280×720)である。
上述のような狭角高解像度画像の生成機能を撮像装置1に持たせておくことにより、撮影時に主要被写体を撮影画角内に収めておくだけで、ユーザは、主要被写体が比較的大きく映し出された、高精細な画像(狭角高解像度画像)を鑑賞することが可能となる。また、記録媒体19には広角画像の画像データが記録されるため、ユーザは広画角の画像を鑑賞することもできる。但し、超解像処理の拡大倍率ELには上限があるので、これを考慮した広角画像の切出し制御及び光学ズーム倍率制御などが必要となる。以下、拡大倍率ELの上限を考慮した、これらの制御について説明する。
以下の説明では、記録媒体19に記録されるべき広角画像の画素数が規定画素数NPREFと一致するよう予め定められているものとし、説明の具体化のため、規定画素数NPREFは(1280×720)であるとする。ユーザは、この規定画素数NPREFを指定することができる。また、画像再生時に画像処理部21から表示部23に出力される表示画像の画素数も規定画素数NPREFであることが予め決まっているものとする。以下、画像再生時に、超解像処理が行われることを想定する。従って、画像再生時における表示画像は、記録媒体19に記録された広角画像に基づく狭角高解像度画像である。また更に、原画像の画素数は(1600×1200)であるとする。加えて、広角画像、狭角画像及び狭角高解像度画像の夫々において、水平方向の画素数と垂直方向の画素数との比は16:9であるとする。
規定画素数NPREFが(1280×720)であって且つ上限拡大倍率ELMAXが4であるため、狭角切出し情報によって定まる狭角画像の画素数は(640×360)であることが最も望ましい。この理由は、以下の通りである。
狭角切出し情報によって定まる狭角画像の画素数が(640×360)よりも小さい場合、即ち例えば(480×270)である場合、上限拡大倍率ELMAXを用いても狭角高解像度画像の画素数は(960×540)にしかならないため、表示画像を生成するために、その狭角高解像度画像の画素数を単なる電子ズームによって(960×540)から(1280×720)に増大させなければならない。ここにおける電子ズームとは、1枚の着目した画像の画像データに基づき、補間処理を用いて、その着目した画像の画素数を増大させる解像度変換を指す。電子ズームによる解像度変換は、画質劣化を招くため、避けた方がよい。
逆に、狭角切出し情報によって定まる狭角画像の画素数が(640×360)よりも大きい場合、即ち例えば(960×540)である場合、画素数(1280×720)の表示画像を生成するために、超解像処理の拡大倍率ELを上限拡大倍率ELMAXよりも小さな倍率(1280×720)/(960×540)に設定する必要がある。超解像処理の拡大倍率ELを上限拡大倍率ELMAXよりも小さく設定すると、超解像処理の効果が最大限に発揮されない。究極的には例えば、狭角画像の画素数が(1279×719)である時、狭角画像と狭角高解像度画像との画素数差は殆どないため、そのような狭角画像を用いて狭角高解像度画像を作成しても、解像度向上効果は殆どない。
以上のことから、狭角切出し情報によって定まる狭角画像の画素数は(640×360)であることが最も望ましい。
[撮影時の動作説明]
このような観点の下、狭角切出し制御部16は、狭角切出し情報によって定まる狭角画像の画素数がなるだけ画素数(640×360)と一致するようにズームレンズ駆動部27を制御することにより光学ズーム倍率を調節する。この光学ズーム倍率の調節動作を含む撮像装置1による動画像撮影動作の流れを、図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、動画像撮影動作の流れを表すフローチャートである。
図5及び図6は、或る時刻tnの撮影によって得られた原画像に対する処理内容を表している。時刻tn+1は時刻tnよりも後に訪れる時刻である。時刻tnの撮影によって得られた原画像を時刻tnの原画像と呼び、時刻tnの原画像に基づく狭角画像及び広角画像を、夫々、時刻tnの狭角画像及び広角画像と呼ぶ。同様に、時刻tn+1の撮影によって得られた原画像を時刻tn+1の原画像と呼び、時刻tn+1の原画像に基づく狭角画像及び広角画像を、夫々、時刻tn+1の狭角画像及び広角画像と呼ぶ。時刻tn+2以降についても同様である。
まず、ステップS11において、撮像素子11を用いた時刻tnにおける撮影により時刻tnの原画像が得られる。ステップS12において、主要被写体検出部15は、時刻tnの原画像上における主要被写体の位置及び大きさを検出し、時刻tnの原画像に対する主要被写体情報を生成する。
続くステップS13において、狭角切出し制御部16は、ステップS12の検出結果に基づいて、即ち時刻tnの原画像に対する主要被写体情報に基づいて、主要被写体領域を含む狭角切出し領域を時刻tnの原画像の全体画像領域内に設定し、これによって時刻tnの狭角画像の位置及び大きさを設定すると共に時刻tnの狭角切出し情報を生成する。ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報によって、時刻tnの原画像上における、時刻tnの狭角画像の位置及び大きさ(狭角切出し領域の位置及び大きさ)が指定される。ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報によって定まる、時刻tnの狭角画像の画素数をNPnによって表す。
その後、ステップS14において、狭角切出し制御部16は、時刻tnの狭角切出し情報に基づき、時刻tnの狭角画像の大きさ(即ち、画素数NPn)に対する規定の大きさの比率を求める。ここで、規定の大きさとは、上述の規定画素数NPREF=(1280×720)である。従って、ステップS14において求められる比率は、NPREF/NPnである。ステップS14による比率算出処理を終えるとステップS15に移行する(図6参照)。
ステップS15において、狭角切出し制御部16は、比率NPREF/NPnが上限拡大倍率ELMAXと一致しているか否かを判定する。そして、等式「NPREF/NPn=ELMAX」が成立する場合はステップS15からステップS16に移行する一方、そうでない場合はステップS15からステップS19に移行する。尚、ステップS15において
、比率NPREF/NPnが上限拡大倍率ELMAXと略一致しているか否かを判定するようにてもよい。この場合、不等式「ELMAX−ΔEL≦NPREF/NPn≦ELMAX+ΔEL」が成立する場合はステップS15からステップS16に移行する一方、その不等式が成立しない場合はステップS15からステップS19に移行する。ここで、ΔELは、0<ΔEL<ELMAXを満たす所定値であり、例えば数10程度に設定される。
ステップS15からステップS16に移行した場合は、ステップS16〜S18の各処理が順次実行される。図7の画像400は、ステップS16〜S18の各処理が順次実行される場合における時刻tnの原画像の例を示している。図7において、破線矩形領域401及び402内の画像は、それぞれ原画像401から抽出されるべき狭角画像及び広角画像を表している。
ステップS16において、狭角切出し制御部16は、時刻tn及びtn+1間においてズームレンズ30の位置が変化しないように(即ち、光学ズーム倍率が変化しないように)ズームレンズ駆動部27を制御する。これにより、時刻tn及びtn+1間においてズームレンズ30の位置は固定される。
ステップS17において、広角切出し制御部17は、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報に基づき、ステップS13にて設定された時刻tnの狭角画像を内包し且つ規定の大きさ(即ち規定画素数NPREF)を有する画像を、時刻tnの広角画像として時刻tnの原画像から切り出す。例えば、図7の画像400が時刻tnの原画像として取得され、破線矩形領域401内の画像が時刻tnの狭角画像として設定された場合は、破線矩形領域402内の画像が時刻tnの広角画像として切り出される。
続くステップS18では、ステップS17にて切り出された時刻tnの広角画像の画像データが、圧縮処理部18による圧縮処理を介して記録媒体19に記録される。この際、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報も、時刻tnの広角画像の画像データに関連付けられつつ記録媒体19に記録される。但し、時刻tnの狭角切出し情報は、時刻tnの広角画像上における時刻tnの狭角画像の位置及び大きさを指定する情報に変形された上で記録媒体19に記録される。
一方、ステップS15からステップS19に移行した場合は、まず、ステップS19において、狭角切出し制御部16が不等式「NPREF/NPn>ELMAX」が成立するか否かを判定する。ステップS19において、不等式「NPREF/NPn>ELMAX」が成立する場合はステップS19からステップS20に移行する一方、不等式「NPREF/NPn>ELMAX」が成立しない場合はステップS19からステップS24に移行する。
図8の画像410は、不等式「NPREF/NPn>ELMAX」が成立する場合における時刻tnの原画像の例を示している。図8において、破線矩形領域411及び412内の画像は、それぞれ原画像410から抽出されるべき狭角画像及び広角画像を表している。原画像410では、主要被写体の被写体距離が比較的大きいことなどに起因して、画像上の主要被写体の大きさが比較的小さく、これに伴って狭角画像の大きさが比較的小さくなっている。
画像410のような原画像が時刻tnにおいて取得された時、画像上の主要被写体の大きさを増大させるべく、光学ズーム倍率の増加処理を試みる。即ち、不等式「NPREF/NPn>ELMAX」が成立することによりステップS19から移行するステップS20において、狭角切出し制御部16は、光学ズーム倍率を現時点の光学ズーム倍率よりも増大可能であるか否かを判定する。時刻tnの原画像の撮影時における光学ズーム倍率ZFnが上限倍率よりも小さい場合は、光学ズーム倍率を増大させることが可能であるため、ステップS20からステップS21に移行し、ステップS21〜S23の処理を順次実行する。一方、時刻tnの原画像の撮影時における光学ズーム倍率ZFnが上限倍率と一致している場合は、光学ズーム倍率を更に増大させることが不可能であるため、ステップS20からステップS22に直接移行し、ステップS21の処理を行うことなく、ステップS22及びS23の処理を順次実行する。
ステップS21において、狭角切出し制御部16は、時刻tn+1の狭角画像の大きさ(即ち、画素数NPn+1)に対する規定の大きさ(即ち、規定画素数NPREF)の比率NPREF/NPn+1が上限拡大倍率ELMAXに一致するように、或いは、不等式「(NPREF/NPn)−ELMAX>(NPREF/NPn+1)−ELMAX」が成立するように、ズームレンズ駆動部27を用い、時刻tn及びtn+1間において光学ズーム倍率を増大させる。即ち、比率NPREF/NPnと比べて比率NPREF/NPn+1が上限拡大倍率ELMAXに近づくように、時刻tn及びtn+1間において光学ズーム倍率を増大させる。
この光学ズーム倍率の増大処理は、時刻tn及びtn+1間において主要被写体の被写体距離が変化しないと仮定した上で行われる。従って仮に、NPREF/NPnが上限拡大倍率ELMAXの4倍であるならば、不等式「ZFn<ZFn+1≦ZFn×2」が成立するように、望ましくは等式「ZFn+1=ZFn×2」が成立するように、時刻tn及びtn+1間において光学ズーム倍率を増大させる。ZFn及びZFn+1は、夫々、時刻tn及びtn+1の原画像の撮影時における光学ズーム倍率を表す。
尚、時刻tn及びtn+1間において主要被写体の被写体距離が実際に変化していない場合、光学ズーム倍率ZFn+1を光学ズーム倍率ZFnのK倍にすることによって、時刻tn+1における原画像上の主要被写体の水平方向及び垂直方向の大きさは時刻tnにおけるそれらに対してK倍になり、それに伴って、時刻tn+1の原画像に対して設定される狭角画像の水平方向及び垂直方向の大きさは時刻tnにおけるそれらに対してK倍になるものとする(換言すれば、時刻tn+1の原画像に対して設定される狭角画像の画素数NPn+1は、時刻tnにおけるそれ(NPn)のK2倍になるものとする)。Kは任意の整数又は分数である。
ステップS22及びS23の処理内容は、ステップS17及びS18のそれらと同様である。即ち、ステップS22において、広角切出し制御部17は、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報に基づき、ステップS13にて設定された時刻tnの狭角画像を内包し且つ規定の大きさ(即ち規定画素数NPREF)を有する画像を、時刻tnの広角画像として時刻tnの原画像から切り出す。例えば、図8の画像410が時刻tnの原画像として取得され、破線矩形領域411内の画像が時刻tnの狭角画像として設定された場合は、破線矩形領域412内の画像が時刻tnの広角画像として切り出される。
続くステップS23では、ステップS22にて切り出された時刻tnの広角画像の画像データが、圧縮処理部18による圧縮処理を介して記録媒体19に記録される。この際、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報も、時刻tnの広角画像の画像データに関連付けられつつ記録媒体19に記録される。但し、時刻tnの狭角切出し情報は、時刻tnの広角画像上における時刻tnの狭角画像の位置及び大きさを指定する情報に変形された上で記録媒体19に記録される。
図9の画像420は、不等式「NPREF/NPn<ELMAX」が成立する場合における時刻tnの原画像の例を示している。図9において、破線矩形領域421及び422内の画像は、それぞれ原画像420から抽出されるべき狭角画像及び広角画像を表している。原画像420では、主要被写体の被写体距離が比較的小さいことなどに起因して、画像上の主要被写体の大きさが比較的大きく、これに伴って狭角画像の大きさが比較的大きくなっている。
画像420のような原画像が時刻tnにおいて取得された時、画像上の主要被写体の大きさを減少させるべく、光学ズーム倍率の減少処理を試みる。即ち、ステップS19からステップS24に移行した場合、ステップS24において、狭角切出し制御部16は、光学ズーム倍率を現時点の光学ズーム倍率よりも減少させることが可能であるか否かを判定する。時刻tnの原画像の撮影時における光学ズーム倍率ZFnが下限倍率よりも大きい場合は、光学ズーム倍率を減少させることが可能であるため、ステップS24からステップS25に移行し、ステップS25〜S27の処理を順次実行する。一方、時刻tnの原画像の撮影時における光学ズーム倍率ZFnが下限倍率と一致している場合は、光学ズーム倍率を更に減少させることが不可能であるため、ステップS24からステップS26に直接移行し、ステップS25の処理を行うことなく、ステップS26及びS27の処理を順次実行する。
ステップS25において、狭角切出し制御部16は、時刻tn+1の狭角画像の大きさ(即ち、画素数NPn+1)に対する規定の大きさ(即ち、規定画素数NPREF)の比率NPREF/NPn+1が上限拡大倍率ELMAXに一致するように、或いは、不等式「ELMAX−(NPREF/NPn)>ELMAX−(NPREF/NPn+1)」が成立するように、ズームレンズ駆動部27を用い、時刻tn及びtn+1間において光学ズーム倍率を減少させる。即ち、比率NPREF/NPnと比べて比率NPREF/NPn+1が上限拡大倍率ELMAXに近づくように、時刻tn及びtn+1間において光学ズーム倍率を減少させる。
この光学ズーム倍率の減少処理は、時刻tn及びtn+1間において主要被写体の被写体距離が変化しないと仮定した上で行われる。従って仮に、NPREF/NPnが上限拡大倍率ELMAXの1/4倍であるならば、不等式「ZFn×1/2≦ZFn+1<ZFn」が成立するように、望ましくは等式「ZFn+1=ZFn×1/2」が成立するように、時刻tn及びtn+1間において光学ズーム倍率を減少させる。
ステップS26及びS27の処理内容は、ステップS17及びS18のそれらと同様である。即ち、ステップS26において、広角切出し制御部17は、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報に基づき、ステップS13にて設定された時刻tnの狭角画像を内包し且つ規定の大きさ(即ち規定画素数NPREF)を有する画像を、時刻tnの広角画像として時刻tnの原画像から切り出す。例えば、図9の画像420が時刻tnの原画像として取得され、破線矩形領域421内の画像が時刻tnの狭角画像として設定された場合は、破線矩形領域422内の画像が時刻tnの広角画像として切り出される。
続くステップS27では、ステップS26にて切り出された時刻tnの広角画像の画像データが、圧縮処理部18による圧縮処理を介して記録媒体19に記録される。この際、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報も、時刻tnの広角画像の画像データに関連付けられつつ記録媒体19に記録される。但し、時刻tnの狭角切出し情報は、時刻tnの広角画像上における時刻tnの狭角画像の位置及び大きさを指定する情報に変形された上で記録媒体19に記録される。
尚、ステップS17、S22及びS26の夫々において、可能であれば、時刻tnの狭角画像及び広角画像の中心位置同士が一致するように、時刻tnの広角画像を抽出するとよい。これは、後述のステップS31、S42及びS44についても同様である。仮に、図10の画像430のような原画像が時刻tnの原画像として取得され、時刻tnの狭角画像及び広角画像の中心位置同士を一致させることができない場合は、時刻tnの狭角画像を内包し且つ規定画素数NPREFを有する時刻tnの広角画像が時刻tnの原画像から抽出することができるように、時刻tnの広角画像の中心位置を時刻tnの狭角画像の中心位置からシフトさせるとよい(後述のステップS31、S42及びS44についても同様)。図10において、破線矩形領域431及び432内の画像は、それぞれ原画像430から抽出されるべき狭角画像及び広角画像を表している。
時刻tnに対してS11〜S27から成る処理群が実行された後、時刻tn+1に対してS11〜S27から成る処理群が実行される。時刻tn+1に対して該処理群を実行する際、時刻tnに対する処理群の説明文中の“n”及び“n+1”は、夫々、“n+1”及び“n+2”に読み替えられる。時刻tn+2以降についても同様である。
[第1変形動作]
図6のステップS22及びS23にて実行される処理を、図11に示すステップS31及びS32の処理に置き換えても良い。即ち、図6のステップS20において、光学ズーム倍率を増大可能であると判断された時は、ステップS21の処理の実行後、ステップS22及びS23の処理の代わりに図11のステップS31及びS32の処理を実行しても良く、図6のステップS20において、光学ズーム倍率を増大不可能であると判断された時は、ステップS20からステップS31に移行してステップS22及びS23の処理の代わりに図11のステップS31及びS32の処理を実行しても良い。ステップS31及びS32の処理を実行する変形動作を、第1変形動作と呼ぶ。第1変形動作を説明する。
ステップS31において、広角切出し制御部17は、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報に基づき、ステップS13にて設定された時刻tnの狭角画像を内包し且つ該狭角画像の画素数NPnのELMAX倍の画素数(即ち、NPn×ELMAX)を有する画像を時刻tnの原画像から切り出す。ここにおいて切り出された画像を第1暫定広角画像と呼ぶ。ステップS31の処理が実行される時には比率NPREF/NPnが上限拡大倍率ELMAXよりも大きいため、ステップS31にて切り出された第1暫定広角画像の画素数は、規定画素数NPREFよりも小さい。広角切出し制御部17は、この第1暫定広角画像の画素数を電子ズームによって規定画素数NPREFにまで増大させ、第1暫定広角画像の画素数を増大させて得られた画像を、時刻tnの原画像から抽出されるべき時刻tnの広角画像として生成する。
上述したように、電子ズームとは、1枚の着目した画像の画像データに基づき、補間処理を用いて、その着目した画像の画素数を増大させる解像度変換を指す。尚、1枚の画像の画像データに基づく解像度変換を、超解像処理による解像度変換と区別すべく、以下、単純解像度変換と呼ぶ。1枚の着目した画像の画像データに基づき、間引き処理や補間処理を用いて、その着目した画像の画素数を減少させる解像度変換も単純解像度変換と呼ぶ。単純解像度変換における補間処理の手法として、ニアレストネイバー法、バイリニア法、バイキュービック法などの各種の手法を利用可能である。
ステップS31に続くステップS32では、ステップS31にて生成された時刻tnの広角画像の画像データが、圧縮処理部18による圧縮処理を介して記録媒体19に記録される。この際、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報も、時刻tnの広角画像の画像データに関連付けられつつ記録媒体19に記録される。但し、時刻tnの狭角切出し情報は、時刻tnの広角画像上における時刻tnの狭角画像の位置及び大きさを指定する情報に変形された上で記録媒体19に記録される。
例えば、図12に示す原画像410のような原画像が時刻tnにおいて取得されたときにおいてステップS31の処理を実行する場合、破線矩形領域411及び413内の画像が、それぞれ狭角画像及び第1暫定広角画像として原画像410から抽出される。図12の原画像410と図8のそれは同じものである。この場合、原画像410から抽出される第1暫定広角画像の画素数を単純解像度変換によって規定画素数NPREFにまで増加させることで規定画素数NPREFを有する時刻tnの広角画像413aを生成し、時刻tnの広角画像413aの画像データを時刻tnの狭角切出し情報(即ち、広角画像413aから時刻tnの狭角画像411aを切り出すための情報)に関連付けて記録媒体19に記録する。
時刻tnに対してS11〜S21並びにステップS31及びS32を含む処理群が実行された後(図5、図6及び図11参照)、時刻tn+1に対してS11〜S21並びにステップS31及びS32を含む処理群が実行される。時刻tn+1に対して該処理群を実行する際、時刻tnに対する処理群の説明文中の“n”及び“n+1”は、夫々、“n+1”及び“n+2”に読み替えられる。時刻tn+2以降についても同様である。
[第2変形動作]
また、図6のステップS26及びS27にて実行される処理を、図13に示すステップS41〜S45の処理に置き換えても良い。即ち、図6のステップS24において、光学ズーム倍率を減少させることが可能であると判断された時は、ステップS25の処理の実行後、ステップS26及びS27の処理の代わりに図13のステップS41以降の処理を実行しても良く、図6のステップS24において、光学ズーム倍率を減少させることが不可能であると判断された時は、ステップS24からステップS41に移行してステップS26及びS27の処理の代わりに図13のステップS41以降の処理を実行しても良い。ステップS41以降の処理を実行する変形動作を、第2変形動作と呼ぶ。第2変形動作を説明する。
図6のステップS24又はS25から移行するステップS41において、広角切出し制御部17は、まず、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報に基づき、時刻tnの狭角画像を内包し且つ時刻tnの狭角画像の画素数NPnのELMAX倍の画素数(即ち、NPn×ELMAX)を有する画像を時刻tnの原画像から切り出せるか否かを判断する。
その画像が切り出せる場合は、ステップS42において、実際に、その画像を切り出す。即ち、ステップS42において、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報に基づき、ステップS13にて設定された時刻tnの狭角画像を内包し且つ該狭角画像の画素数NPnのELMAX倍の画素数(即ち、NPn×ELMAX)を有する画像を時刻tnの原画像から切り出す。ここにおいて切り出された画像を第2暫定広角画像と呼ぶ。尚、原画像tnから切り出される第2暫定広角画像は、原画像tnそのものであることもある。ステップS42の処理が実行される時には比率NPREF/NPnが上限拡大倍率ELMAXよりも小さいため、ステップS42にて切り出された第2暫定広角画像の画素数は、規定画素数NPREFよりも大きい。広角切出し制御部17は、この第2暫定広角画像の画素数を単純解像度変換によって規定画素数NPREFにまで減少させ、第2暫定広角画像の画素数を減少させて得られた画像を、時刻tnの原画像から抽出されるべき時刻tnの広角画像として生成する。
ステップS42に続くステップS43では、ステップS42にて生成された時刻tnの広角画像の画像データが、圧縮処理部18による圧縮処理を介して記録媒体19に記録される。この際、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報も、時刻tnの広角画像の画像データに関連付けられつつ記録媒体19に記録される。但し、時刻tnの狭角切出し情報は、時刻tnの広角画像上における時刻tnの狭角画像の位置及び大きさを指定する情報に変形された上で記録媒体19に記録される。
例えば、図14に示す原画像420のような原画像が時刻tnにおいて取得されたときにおいてステップS42の処理を実行する場合、破線矩形領域421及び423内の画像が、それぞれ狭角画像及び第2暫定広角画像として原画像420から抽出される。図14の原画像420と図9のそれは同じものである。この場合、原画像420から抽出される第2暫定広角画像の画素数を単純解像度変換によって規定画素数NPREFにまで減少させることで規定画素数NPREFを有する時刻tnの広角画像423aを生成し、時刻tnの広角画像423aの画像データを時刻tnの狭角切出し情報(即ち、広角画像423aから時刻tnの狭角画像421aを切り出すための情報)に関連付けて記録媒体19に記録する。
一方、ステップS41において、時刻tnの狭角画像を内包し且つ時刻tnの狭角画像の画素数NPnのELMAX倍の画素数(即ち、NPn×ELMAX)を有する画像を時刻tnの原画像から切り出すことができないと判断された場合は、ステップS42及びS43の代わりに、ステップS44及びS45の処理が実行される。例えば、ステップS13にて設定された時刻tnの狭角画像の画素数が(960×540)である場合、原画像の画素数が(1600×1200)であって且つELMAXが4であるため、画素数(960×540)のELMAX倍の画素数を有する画像を原画像から切り出すことはできない。
ステップS44において、広角切り出し制御部17は、時刻tnの原画像そのものの縮小画像を時刻tnの広角画像として生成する。即ち、ステップS44において、広角切り出し制御部17は、元々(1600×1200)の画素数を有していた時刻tnの原画像の画素数を単純解像度変換によって規定画素数NPREFにまで減少させ、時刻tnの原画像の画素数を減少させて得られた画像を、時刻tnの原画像から抽出されるべき時刻tnの広角画像として生成する。
ステップS44に続くステップS45では、ステップS44にて生成された時刻tnの広角画像の画像データが、圧縮処理部18による圧縮処理を介して記録媒体19に記録される。この際、ステップS13にて生成された時刻tnの狭角切出し情報も、時刻tnの広角画像の画像データに関連付けられつつ記録媒体19に記録される。但し、時刻tnの狭角切出し情報は、時刻tnの広角画像上における時刻tnの狭角画像の位置及び大きさを指定する情報に変形された上で記録媒体19に記録される。
時刻tnに対してS11〜S19、S24及びS25並びにステップS41〜S45を含む処理群が実行された後(図5、図6及び図13参照)、時刻tn+1に対してS11〜S19、S24及びS25並びにステップS41〜S45を含む処理群が実行される。時刻tn+1に対して該処理群を実行する際、時刻tnに対する処理群の説明文中の“n”及び“n+1”は、夫々、“n+1”及び“n+2”に読み替えられる。時刻tn+2以降についても同様である。
尚、上述の第1及び第2変形動作を組み合わせて実行することも可能である。また、時刻tnの原画像は、上述の第1〜第iフレームの原画像の何れかである。更に、時刻tn及びtn+1間の時間差は上記フレーム周期である。従って例えば、時刻tnの原画像が第2フレームの原画像であるならば、時刻tn+1の原画像は第3フレームの原画像である。但し、時刻tn及びtn+1間の時間差は上記フレーム周期の整数倍であってもよい。
図5及び図6を参照して説明した動画像撮影動作、又は、それに第1及び/又は第2変形動作を組み合わせた動作は原画像が撮影されるたびに実行され、順次、第1〜第iフレームの広角画像の画像データが所定の圧縮処理を介して、第1〜第iフレームの狭角切出し情報(即ち、第1〜第iフレームの広角画像上における第1〜第iフレームの狭角画像の位置及び大きさを指定する情報)と共に記録媒体19に記録される。
[画像再生時の動作]
そして、狭角高解像度画像を表示する際には以下のような処理が行われる。記録媒体19から読み出された、第1〜第iフレームの広角画像の圧縮された画像データが、伸張処理部20に送られる。伸張処理部20は、与えられた画像データを伸張することにより圧縮前の画像データを生成する。従って、伸張処理部20では、第1〜第iフレームの広角画像の画像データが生成される。
伸張処理部20からの第1〜第iフレームの広角画像の画像データと記録媒体19から読み出された第1〜第iフレームの狭角切出し情報は、高解像度化処理部22に与えられる。高解像度化処理部22は、第1〜第iフレームの狭角切出し情報に基づいて、第1〜第iフレームの広角画像から第1〜第iフレームの狭角画像を順次切り出し、m枚の狭角画像から超解像処理によって1枚の狭角高解像度画像を生成する。m枚の狭角画像から1枚の狭角高解像度画像を生成する超解像処理の内容は上述した通りであり、m=3である場合、第1、第2及び第3フレームの狭角画像から第1フレームの狭角高解像度画像が生成され、第2、第3及び第4フレームの狭角画像から第2フレームの狭角高解像度画像が生成される。第3フレーム以降の狭角高解像度画像についても同様にして生成される。
高解像度化処理部22は、超解像処理によって生成された第1〜第iフレームの狭角高解像度画像の画像データを表示部23に送ることにより、第1〜第iフレームの狭角高解像度画像から成る動画像を表示部23に表示させる。
高解像度化処理部22にて切り出される狭角画像の画素数が(640×360)と一致することを目指して、撮影時における光学ズーム倍率調整がなされるが、高解像度化処理部22にて切り出される狭角画像の幾つかは、画素数が(640×360)と一致しないこともある。
例えば、第iフレームの原画像が時刻tnの原画像であって、且つ、比率NPREF/NPnが上限拡大倍率ELMAXと一致することによって図6のステップS17及びS18の処理が実行された場合、高解像度化処理部22にて切り出される第iフレームの狭角画像の画素数は(640×360)と一致している。一方において例えば、第iフレームの原画像が時刻tnの原画像であって、且つ、図6のステップS19にて不等式「NPREF/NPn>ELMAX」が成立すると判断されることによって図6のステップS22及びS23の処理が実行された場合においては、高解像度化処理部22にて切り出される第iフレームの狭角画像の画素数は(640×360)より小さい。
高解像度化処理部22は、狭角切出し情報に従って高解像度化処理部22にて切り出される第iフレームの狭角画像の画素数が(640×360)と一致しない場合、その狭角画像の画素数を単純解像度変換によって画素数(640×360)にまで増大又は減少させてから超解像処理を行う。第iフレーム以外の狭角画像についても同様である。
例えば、狭角切出し情報に従って第1、第2及び第3フレームの広角画像から切り出した第1、第2及び第3フレームの狭角画像の画素数が、それぞれNPA、NPB及びNPCであって、且つ、画素数NPA及びNPBが(640×360)と一致する一方で画素数NPCが(640×360)と一致しない場合、第3フレームの狭角画像の画素数NPCを単純解像度変換によって画素数(640×360)にまで増大又は減少させることにより画素数(640×360)を有する狭角画像を生成し、生成した画素数(640×360)を有する狭角画像を第3フレームの狭角画像として新たに取り扱った上で、第1、第2及び第3フレームの狭角画像から第1フレームの狭角高解像度画像を生成する。
<<変形等>>
上述した説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態の変形例または注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
上述の実施形態では、主要被写体が人物である場合を例示したが、主要被写体は人物以外でもよい。例えば、主要被写体を、自動車等の車両や移動するロボットとしてもよい。
[注釈2]
本発明に係る撮像装置1は、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現可能である。特に、図1の符号15、16、17及び21によって参照される各部位が実行する演算処理は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現可能である。ソフトウェアを用いて撮像装置を構成する場合、ソフトウェアにて実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すことになる。演算処理の全部または一部を、プログラムとして記述し、該プログラムをプログラム実行装置(例えばコンピュータ)上で実行することによって、その演算処理の全部または一部を実現するようにしてもよい。
[注釈3]
例えば、以下のように考えることができる。図1のズームレンズ駆動部27、又は、ズームレンズ駆動部27及び狭角切出し制御部16は、光学ズームによって原画像上の被写体像の大きさを変化させる光学ズーム制御部を形成する。