JP5655589B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、カラー画像を撮像する撮像装置に関する。
一般的な撮像装置では、被写体光をRGBの3つの色成分に分解してカラー画像を撮像する。撮像素子の種類は、1つの撮像素子にRGBの各色成分に対応する画素を有する単板式と、3つの撮像素子でRGBの各色成分毎に撮像する多板式とがある。特に、処理速度が十分ではない多板式の撮像装置で動画撮影を行う場合、撮像素子から読み出す時間が短くなるように間引き処理が行われていた(例えば特許文献1参照)。
一方、ズームアップ時に高解像度の画像を撮影するために、撮影範囲を複数の領域に分けて領域毎に光学系と撮像素子とを配置して撮影する技術が検討されていた(例えば特許文献2参照)。
特開2008−042937号公報 特開2001−186404号公報
一般に、動画撮影の場合は、光学ズームや電子ズームなどのズーム機能が多用される。ところが、多板式の撮像装置では、撮像素子から読み出す時間が短くなるように間引き処理が行われているので、特に電子ズームを用いる場合は、画質が劣化するという問題がある。例えば撮影者が動画撮影中に画面に表示されている電子ズームで拡大された被写体を見てもフォーカス状態を確認できない、という問題が生じる。
本発明の目的は、多板式の撮像装置で間引き処理を用いて動画撮影を行う場合でも電子ズームで拡大された被写体の画質劣化を防止できる撮像装置を提供することである。
本発明に係る撮像装置は、複数の色成分に分解された被写体光を各色成分毎に同じ画素配置の画像を撮像する複数の撮像部と、前記複数の撮像部が撮像した前記各色成分に対応する複数の画像間で互いに重複しない画素位置から信号を読み出して予め設定された色配列の画像を生成する間引き補間部と、前記複数の撮像部が撮像した前記各色成分に対応する複数の画像の指定領域から前記各色成分毎に全画素読み出しを行う全画素読み出し部と、前記複数の撮像部で撮影される画像のズーム倍率を可変するズーム部と、前記ズーム部のズーム倍率が予め設定された閾値以下の場合に、前記間引き補間部が生成した前記色配列の画像に前記色配列特有の画像処理を施してカラー画像を生成し、前記ズーム部のズーム倍率が予め設定された閾値より大きい場合に、前記全画素読み出し部が全画素読み出しした前記各色成分毎の画像からカラー画像を生成する画像処理部と、前記画像処理部が生成した画像を表示媒体に表示する表示制御部とを有することを特徴とする。
本発明に係る撮像装置は、多板式の撮像装置で間引き処理を用いて動画撮影を行う場合でも電子ズームで拡大された被写体の画質劣化を防止できる。
実施形態に係る電子カメラ101の構成例を示す図である。 全画素読み出しの例を示す図である。 間引き読み出しの例を示す図である。 ベイヤー配列と色補間処理の例を示す図である。 ズーム範囲と読み出し方式の切り換え例を示す図である。 間引き読み出し時の拡大処理例を示す図である。 全画素読み出し時の拡大処理例を示す図である。 領域別に読み出し方式を切り換える例を示す図である。 実施形態に係る電子カメラ101の撮影時の処理を示すフローチャートである。 窓枠表示と窓枠内の拡大表示の例を示す図である。 間引き読み出し時と全画素読み出し時の画像イメージを示す図である。 空間周波数特性の例を示す図である。
以下、本発明に係る撮像装置の実施形態について図面を用いて詳しく説明する。ここでは、本発明に係る撮像装置を電子カメラ101に適用する例について説明するが、カメラ付携帯電話,ビデオカメラおよびカメラ付ゲーム機などの撮像機能を有する装置であれば同様に適用可能である。
[電子カメラ101の一例]
図1は、電子カメラ101の一例を示すブロック図である。図1において、電子カメラ101は、レンズ102と、メカニカルシャッタ103と、分光部104と、撮像素子105と、TG(タイミングジェネレータ)106と、バッファ107と、信号処理部108と、制御部109と、表示部110と、メモリカード111aを装着するためのメモリカードIF111と、操作部112とで構成される。
レンズ102は、入射する被写体光をメカニカルシャッタ103および分光部104を介して撮像素子105の受光面に結像する。
メカニカルシャッタ103は、制御部109の指令に応じたシャッタ速度で開閉される。
分光部104は、例えばダイクロイックミラーやダイクロイックプリズムなどの分光部材が用いられる。そして、レンズ102およびメカニカルシャッタ103を介して入射する被写体光は、分光部104でR(赤色)、G(緑色)およびB(青色)の3つの色成分に分光され、R成分の光はR用撮像素子105aに、G成分の光はG用撮像素子105bに、B成分の光はB用撮像素子105cにそれぞれ入射される。
撮像素子105は、RGBの3色に対応するR用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子を有する。これらの固体撮像素子の受光面には、複数の画素が行列状に配置され、各画素で光電変換された信号がTG106のタイミングに応じてバッファ107に読み出される。尚、本実施形態では、これらの固体撮像素子として、指定した画素位置から信号を読み出すことが可能なCMOSセンサを用いる。また、図1に示した撮像素子105は、各画素から読み出された画像信号をデジタルの画像データにA/D変換して出力し、バッファ107に直接記憶するようになっている。これに対して、撮像素子105がアナログの画像信号を出力する場合は、撮像素子105とバッファ107との間にA/D変換やゲイン調整を行うAFE(アナログフロントエンド)回路を設ければよい。
TG106は、制御部109の指令に応じて撮像素子105に各画素から画像信号を読み出すためのタイミング信号を出力する。ここで、TG106は、R用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子間で異なる位置の画素から信号を読み出すためのタイミング信号を出力する機能を有している。例えばTG106は、制御部109の指令に応じて、奇数行や偶数行の指定、さらに1行置きや1列置きなど間引き行数や間引き列数の指定を行うためのタイミング信号を出力する。
バッファ107は、例えば揮発性の高速メモリが用いられ、撮像素子105から読み出される画像データが一時的に記憶される。ここで、バッファ107は、説明が理解し易いように、R用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子に対応するRバッファ107a,Rバッファ107bおよびRバッファ107cの3つの記憶領域を有するものとしたが、撮像素子105から間引いて読み出されたR画像データ、G画像データおよびB画像データを組み合わせて1画面分の画像データを作成しながら記憶するようにしてもよい。尚、バッファ107は信号処理部108が画像処理を行うための処理用バッファや表示部110に表示する画像を一時的に保持するための表示用バッファとしても用いられる。
信号処理部108は、バッファ107に取り込まれた画像データに対して制御部109から指示された所定の画像処理を行う。ここで、所定の画像処理とは、例えばホワイトバランス処理やガンマ補正処理あるいは画像圧縮処理などである。また、画像圧縮処理は、静止画撮影の場合は例えばJPEG規格などによる画像圧縮を行い、動画撮影の場合は例えばMotion−JPEG規格やMPEG規格などによる画像圧縮を行う。
制御部109は、例えば内部に予め記憶されているプログラムコードに従って動作するCPUを有し、操作部112に設けられた各種の操作ボタンの操作に応じて電子カメラ101全体の動作を制御する。例えば制御部109は、メカニカルシャッタ103の開閉制御、TG106に対する撮像素子105の読み出し画素の指定、信号処理部108への画像処理内容の指示、バッファ107への画像データの読み書き、表示部110への画像やメニュー画面の表示、メモリカードIF111に装着されているメモリカード111aへの画像データの読み書き、操作部112の各操作ボタンの操作内容の入力などの処理を行う。特に、本実施形態に係る電子カメラ101では、制御部109は、間引き読み出し部151と、全画素読み出し部152と、ズーム処理部153と、レンズ情報取得部154と、表示処理部155とを有する。
ここで、間引き読み出し部151は、撮像素子105の予め決められた間引き画素を除く画素から信号を読み出す処理を行う。全画素読み出し部152は、撮像素子105から画素を間引かずに全画素から信号を読み出す処理を行う。ズーム処理部153は、操作部112のズームボタン112eの操作に応じてレンズ部102のズームレンズの焦点距離を調節する処理を行う。レンズ情報取得部154は、レンズ部102のズームレンズの焦点距離情報を取得する。表示処理部155は、撮影された画像やメニュー画面を表示部110に表示したり、表示される画面の一部または全画面の拡大縮小処理を行って表示したり、窓枠の描画などを行う。
表示部110は、例えば液晶モニタが用いられ、制御部109が出力するメニュー画面や撮影画像を表示する。
メモリカードIF111は、電子カメラ101に脱着可能なメモリカード111aに撮影された画像データを記録するためのインターフェースである。例えば制御部109は、撮影した静止画や動画をメモリカードIF111を介してメモリカード111aに保存する。
操作部112は、電源ボタン112a、レリーズボタン112b、動画ボタン112c、静止画ボタン112d、ズームボタン112e、モード選択ダイヤル112fおよび窓枠表示ボタン112gなどの操作ボタンを有する。撮影者は、これらの操作ボタンを用いて電子カメラ101を操作し、これらの操作ボタンのオンオフなどの操作情報は制御部109に出力される。そして、制御部109は、操作部112から入力する操作情報に応じて、電子カメラ101全体の動作を制御する。例えば、動画ボタン112cが押下された場合は動画撮影モードが選択され、静止画ボタン112dが押下された場合は静止画撮影モードが選択される。続いて、レリーズボタン112bが押下されると、動画撮影モードの場合は所定のフレームレート(例えば30フレーム/秒)で動画撮影を開始し、静止画撮影モードの場合は所定のシャッタ速度でメカニカルシャッタ103を開閉して静止画撮影を行う。尚、動画撮影の場合は、動画撮影中に再びレリーズボタン112bが押下されると、動画撮影を終了する。
尚、本実施形態に係る電子カメラ101は、静止画撮影モードが選択されている場合は撮像素子105から全画素の画像データを読み出し、動画撮影モードが選択されている場合は撮像素子105から予め設定された一部の画素の画像データを間引いて読み出す機能を有する。
[間引き読み出し方式と全画素読み出し方式]
先ず、本実施形態に係る電子カメラ101の基本となる間引き読み出しの技術について説明する。尚、先に説明したように、間引き読み出しは、制御部109の間引き読み出し部151が行う。
一般に動画撮影の場合は、被写体の動きが滑らかになるように、ある程度以上のフレームレート(例えば30フレーム/秒以上)が必要である。ところが、本実施形態に係る電子カメラ101のように、RGB3色に対応する3板式の撮像素子105を有する場合は、全画素読み出しに時間が掛かる(撮像素子が3つあるので単純計算で3倍の時間が掛かる)ことや、読み出しが可能であっても情報量が3倍に増えて読み出し後の画像処理に時間が掛かるため、動画撮影に使用するためには高価で高性能な処理装置が必要になる。プロ用のカメラの場合は高性能が要求されるので高価でも受け入れられるが、普及型のカメラでは難しい。このため、普及型のカメラでは、動画撮影時に画素間引きを行うことによって処理負荷を軽減する方法が考えられているが、輝度モアレやジャギーおよび解像感などの点で問題があった。
そこで、本実施形態に係る電子カメラ101は、RGB3色に対応する3板式の撮像素子105から画像データを読み出す時に、各色成分に対応するR用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子の互いに重複しない位置の画素から画像データを読み出して予め設定された色配列の画像を生成する。この画像は、本実施形態ではベイヤー配列の画像である。特に、生成された画像には1画面の全画素位置にRGBのいずれかの画像データが撮像素子105から読み出されているので、色成分は異なるが全画素位置に対応する画像情報の欠落を防ぐことができる。これに対して、従来技術のように、同じ画素位置の画像データを間引いて読み出した場合は、共に間引かれた画素位置の画像情報が欠落してしまうという問題がある。このため、本実施形態に係る電子カメラ101のように全画素位置の画像情報が保持される場合に比べて補間処理を行った時の輝度モアレが生じ易くなる。また、間引かれた画素位置の画像情報が欠落するため、ジャギーや解像感も劣化する。
さらに、本実施形態に係る電子カメラ101は、ベイヤー配列になるようにR用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子の互いに重複しない画素位置からそれぞれの画像データを読み出すので、単板式のカメラで確立されたベイヤー配列専用の色補間処理などの優れた画像処理技術を適用でき、この点においてもジャギーの軽減や解像感の向上を図ることができる。
図2は、静止画撮影モードにおいて撮像素子105から全画素読み出しされる画素位置の一例を示す図である。尚、全画素読み出しは、先に説明したように、制御部109の全画素読み出し部152が行う。ここで、本実施形態に係る電子カメラ101の静止画撮影モードでは、動画撮影モードとの違いが理解し易いように、R用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子の全画素から画像データを読み出すものとしたが、これに限定されない。例えば高画質モード、標準モード、エコノミーモードなど予め設定された解像度に従って一部の画像データを読み出すようにしてもよい。
また、図2(a)から図2(c)において、x方向に4画素、y方向に4画素の1画面が16画素の例を示しているが、実際のカメラに搭載される撮像素子105は例えば1000画素×1000画素など百万画素程度の画素数を有する。
図2(a)において、Pr(x,y)はR用撮像素子105aの1画面の画素座標を示し、Pr(1,1)からPr(4,4)までの16画素を有する。同様に、図2(b)において、Pg(x,y)はG用撮像素子105bの1画面の画素座標を示し、Pg(1,1)からPg(4,4)までの16画素を有する。また、図2(c)において、Pb(x,y)はB用撮像素子105cの1画面の画素座標を示し、Pb(1,1)からPb(4,4)までの16画素を有する。そして、R用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子の全画素から読み出された画像データは、それぞれRバッファ107a、Gバッファ107bおよびBバッファ107cに取り込まれる。
図3は、動画撮影モードにおいて撮像素子105から間引き読み出しされる画素位置の一例を示す図である。ここで、動画撮影モードにおいて、制御部109の間引き読み出し部151は、R用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子の全画素から所定の画素位置の画像データを間引いて読み出すようにTG106に指令する。尚、図2と同様に、図3の各図において、R用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子は、x方向に4画素、y方向に4画素の1画面が16画素を有する。図3(a)はR用撮像素子105aから間引き読み出しされてRバッファ107aに取り込まれる画素Pr(x,y)の一例を示している。尚、図3の各図において、×印の画素位置の画像データは読み出されないことを示す。
図3(a)において、R用撮像素子105aから読み出される画素は奇数行且つ奇数列の画素で、画素Pr(1,1)、画素Pr(1,3)、画素Pr(3,1)、画素Pr(3,3)の4つの画素である。同様に、図3(b)において、G用撮像素子105bから読み出される画素は奇数行且つ偶数列および偶数行且つ奇数列の千鳥状の画素で、画素Pg(1,2)、画素Pg(1,4)、画素Pg(2,1)、画素Pg(2,3)、画素Pg(3,2)、画素Pg(3,4)、画素Pg(4,1)、画素Pg(4,3)の8つの画素である。また、図3(c)において、B用撮像素子105cから読み出される画素は偶数行且つ偶数列の画素で、画素Pb(2,2)、画素Pb(2,4)、画素Pb(4,2)、画素Pb(4,4)の4つの画素である。
そして、図3(a)のR画素、図3(b)のG画素および図3(c)のB画素を組み合わせると、図4(a)に示すようなベイヤー配列の画像データPbayer(x,y)が得られる。図4(a)の例では、1画面がPbayer(1,1)からPbayer(4,4)の16画素のベイヤー配列の画像データPbayer(x,y)である。ここで、ベイヤー配列の画像データPbayer(x,y)はバッファ107に作成される。
そして、信号処理部108は、バッファ107に作成されたベイヤー配列の画像データPbayer(x,y)に対して、単板式の固体撮像素子で用いられるベイヤー配列用の色補間処理を適用して各画素にRGB3色の色成分を有する画像データPrgb(x,y)を作成する。ここで、ベイヤー配列用の色補間処理は単板式の電子カメラで広く用いられ、高画質化のための様々な技術が用いられた高精度の補間技術が使われている。特に本実施形態では、独自の色配列による間引き処理を行わずに、ベイヤー配列のような既存の色配列になるように間引き処理を行うので、広く利用されている高精度な補間技術を適用できるという利点がある。
このようにして、動画1フレーム分の画像データPrgb(x,y)が得られる。尚、動画撮影モードでは、上述のような処理を所定のフレームレート(例えば30フレーム/秒)で繰り返し行う。また、動画圧縮処理を行う場合、信号処理部108は、例えばフレーム間で動きベクトルを求めるなどの圧縮処理を行って圧縮後の動画データを制御部109に出力する。そして、制御部109は信号処理部108から入力する動画データをメモリカードIF111を介してメモリカード111aに記録する。
尚、静止画撮影モードの場合は、図2に示したように、R用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子から読み出された全画素の画像データを有するので、ベイヤー配列のように色補間処理を行う必要がなく、図4(b)に示すような各画素にRGB3色の色成分を有する高品質の画像データPrgb(x,y)が得られる。
また、動画撮影時やスルー画像表示時において、ズームボタン112eにより予め設定されたズーム倍率より大きくズームアップされた場合、或いは電子ズームを行う場合やフォーカス状態を確認する場合など、予め設定された所定の条件に合致する場合にも、図4(b)のように、撮像素子105から全画素読み出しを行う。
このように、本実施形態に係る電子カメラ101は、通常の動画撮影は間引き読み出し方式で行うが、撮影中にズームアップなど撮影画像を拡大する場合に、撮影画像の一部の領域または全領域を全画素読み出し方式に切り換えて、画質の劣化を防止できる機能を有している。
尚、全領域を全画素読み出しする場合は、多大な情報を高速に処理する必要があり、処理遅延が生じる場合があるが、スルー画像表示中にピント合わせのためにズームアップして被写体を表示部110に拡大表示した際、撮影者は拡大した部分を見続ける。これは、撮影者にピントをあわせたいという心理が働くためで、この時は被写体があまり動かないことが前提となり、全画素読み出しによる表示の遅れはあまり目立たないので、全画素読み出しでの表示でも対応可能である。また、中央部分など一部の領域を全画素読み出しする場合は、読み出す情報量が少なくなるので、領域の大きさにも依存するが処理遅延の影響は生じにくい。
以下、間引き読み出し方式から全画素読み出し方式に切り換える場合のいくつかの例を挙げて説明する。
(応用例1)
応用例1として、ズーム倍率(または焦点距離)に応じて間引き読み出し方式から全画素読み出し方式に切り換える例について説明する。
一般に用いられている光学ズームはズーム倍率がそれほど高くないので、高倍率の撮影では撮影画像を電気的に拡大する電子ズームが用いられている。ところが、動画の撮影では、間引き読み出しで画像を撮影しているので、拡大表示された小さな被写体は、ジャギーや解像感などの点で問題があり、撮影者がフォーカス状態を確認するのは難しい。ここで、一般的な撮影者の心理として、オートフォーカスを用いて撮影している場合でも、目的の被写体にフォーカスが合っているか否かの確認を表示部110に表示されている画像を見て確認したくなる傾向が強い。このような場合でも、本実施形態に係る電子カメラ101は、表示部110に表示されている画像でフォーカス状態を確認可能な高品質の画像を得ることができる。
応用例1の電子カメラ101において、制御部109は、レンズ部102から取得した焦点距離情報に基づいて、撮像素子105の読み出し方法を切り換える。尚、レンズ情報は、制御部109のレンズ情報取得部154によってレンズ部102から取得される。
図5は、横軸にレンズ部102の焦点距離を示している。レンズ部102の光学ズームの範囲は、焦点距離が28mmから100mmである。また、制御部109のズーム処理部153によって処理される電子ズームの範囲は、100mmから300mmである。尚、操作部112のズームボタン112eによるズーム操作は、光学ズーム範囲から電子ズーム範囲まで連続して行うことができ、ズーム処理部153は、表示部110の画面に表示される被写体画像もズーム操作に連動して拡大表示または縮小表示を行う。尚、本実施形態では、基準倍率に対する相対的なパラメータであるズーム倍率ではなく、レンズ部102から取得する焦点距離情報を用いる。例えば図5の場合、レンズ部102から取得した焦点距離情報が予め設定した焦点距離100mm以下の場合は、間引き処理により撮影を行う。或いは、レンズ部102から取得した焦点距離情報が予め設定した焦点距離100mmより大きい場合は、ズームアップした領域(例えば表示部110に表示されている領域)を撮像素子105から全画素読み出しする。
例えば図6(a)に示すように、撮像素子105が横3000画素、縦2000画素の解像度を有する場合、R用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの解像度はそれぞれ3000×2000画素である。そして、図6(b)に示すように、間引き読み出し後に生成されるベイヤー配列の画像の解像度も3000×2000画素である。さらに、図6(c)に示すように、ベイヤー補間処理を行った後の画像データPm(x,y)の解像度も3000×2000画素となり、この解像度で画像が撮影され、メモリカード111aに記録される。尚、本実施形態ではわかり易いように、表示部110の解像度は、撮像素子105から間引き読み出しされるベイヤー配列の解像度以上の解像度を有するものとする。
ここで、光学ズーム範囲内であれば、ズームボタン112eによるズーム操作が行われても、R用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの各受光面に結像される画像の解像度は、図6(a)に示した3000×2000画素で、光学ズームの焦点距離に依らず、図6(c)の解像度で動画撮影を行うことができる。ところが、光学ズーム範囲より大きいズーム操作が行われた場合、光学ズームの最大焦点距離で撮影される画像よりも大きくできないので、図6(d)に示すように、図6(c)の画像の一部を画像処理によって拡大して3000×2000画素の解像度の画像を作成する電子ズームを用いる。この拡大処理は、例えば中央の1500×1000画素の領域を縦2倍、横2倍に拡大するので、例えば1画素を4画素に置き換える処理を行うので画質が劣化し、ジャギーが目立ち、解像感も悪くなる。但し、実際には、画像が粗くならないように、周辺の画素の情報から数学的な演算処理を行って補間する処理が行われるが、図6(b)の画像を作成する際に間引き処理を行っているので、情報の欠落による画質の劣化は避けられない。
そこで、本実施形態に係る電子カメラ101は、図7に示すように、電子ズームによって拡大処理を行う領域は、撮像素子105から全画素読み出し方式によって画像を読み出す。例えば図7(a)に示すように、R用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの各受光面の3000×2000画素のうち電子ズームによって拡大する中央部分の1500×1000画素の領域だけ全画素読み出しする。そして、この画像データPa(x,y)を縦2倍、横2倍に拡大する。尚、拡大処理によって画質の劣化はあるが、図7(b)の拡大前の画像データPa(x,y)は、図6(c)の場合の拡大前の画像データPm(x,y)のように間引かれた画素情報の欠落がないので、細かい部分の再現性も良く、品質の高い拡大処理を行うことができる。
このように、ズーム倍率(または焦点距離)に応じて間引き読み出し方式から全画素読み出し方式に切り換えるので、ズームアップした領域の画像のジャギーを少なくし、解像感のある動画像を撮影することができる。また、スルー画像の撮影時にも同様の処理を行うことにより、撮影者は表示部110に表示されるスルー画像を見て、ズームアップした被写体にフォーカスが合っているか否かの確認を容易に行うことができる。一般に、撮影者の心理として、オートフォーカスを用いて撮影している場合でも、目的の被写体にフォーカスが合っているか否かを表示部110の画面上で確認したくなる。このような場合でも、本実施形態に係る電子カメラ101は、フォーカス状態を確認可能な高品質の画像を撮影することができる。
尚、上記の説明では、図5において、焦点距離が100mmより大きい電子ズームの範囲で全画素読み出しを行うようにしてもよいし、画質劣化が比較的少ない電子ズームの範囲で処理負荷の大きい全画素読み出しを行わないようにしてもよい。例えば図5の括弧内に示したように、100mmから210mmの電子ズーム範囲では間引き読み出し方式を用い、210mmから300mmの電子ズーム範囲で全画素読み出し方式を用いるようにしてもよい。
或いは、光学ズーム範囲であっても中央部分など予め設定された領域を全画素読み出しするようにしてもよい。この場合も光学ズームの焦点距離が予め設定された範囲で中央部分を全画素読み出しするようにしてもよい。例えば、焦点距離が28mmなどの広角側にある場合のみ中央部分を全画素読み出しするようにしてもよい。これにより、画面中央に撮影される目標被写体を高画質で撮影することができる。この場合は、図8に示すように、撮影される画像161は、全画素読み出しされた中央部分162と、間引き読み出しされた周辺部分163とが組み合わされた画像が信号処理部108または制御部109によって生成され、メモリカード111aに記憶される。
[撮影時の処理例]
次に、応用例1における撮影時の処理の流れについて図9のフローチャートを用いて説明する。図9のフローチャートは、制御部109の内部に予め記憶されたプログラムに従って実行される処理の流れを示している。
(ステップS101)撮影者が操作部112の電源ボタン112aを押下すると、制御部109は電子カメラ101を使用可能な状態にする。
(ステップS102)撮影者が操作部112の動画ボタン112cまたは静止画ボタン112dのいずれかを押下して撮影モードを選択すると、制御部109は選択された撮影モードを内部レジスタなど一時的な記憶領域に保持しておく。
(ステップS103)制御部109は、構図確認用のスルー画像を表示部110に表示する処理を開始する。ここで、スルー画像を撮影するために、例えば制御部109は、メカニカルシャッタ103を開放状態にし、予め設定された所定の解像度(例えば320×240画素)且つ所定のフレームレート(例えば15フレーム/秒)をTG106に指令して、撮像素子105からバッファ107に読み出される画像データをスルー画像として表示部110に表示する。
(ステップS104)制御部109は、操作部112のレリーズボタン112bが押下されたか否かを判別する。そして、制御部109は、レリーズボタン112bが押下された場合はステップS105に進み、押下されていない場合はレリーズボタン112bが押下されるまでステップS104で待機する。尚、この状態でもスルー画像は表示部110に表示されている。
(ステップS105)ステップS104でレリーズボタン112bが押下されたことを検出した制御部109は、ステップS102で内部の一時的な記憶領域に保持された撮影モードに対応する処理を行う。例えば撮影モードが静止画撮影モードである場合はステップS111に進み、動画撮影モードである場合はステップS106に進む。
(ステップS106)制御部109は、レンズ部102のズームレンズの焦点距離が予め設定された閾値(例えば100mm)より大きいか否かを判別する。そして、閾値より大きい場合はステップS107に進み、閾値以下の場合はステップS108に進む。
ここで、レンズ部102のズームレンズは、操作部112のズームボタン112eにより常時操作可能で、ズームレンズの焦点距離が変わる毎に、レンズ部102から制御部109に焦点距離情報が出力される。さらに、レンズ部102の光学ズームの範囲(例えば、焦点距離が100mm)を超えてズームボタン112eが操作された場合、制御部109は、電子ズームに切り替えて、ズームボタン112eの操作量に応じた焦点距離(例えば200mm)を検出し、その焦点距離に対応する画像サイズになるように拡大して表示部110に撮影画像を表示する
(ステップS107)制御部109は、表示部110に拡大表示されている画像サイズに対応する撮像素子105の領域から全画素読み出しして動画撮影を行う。具体的には、制御部109は全画素読み出しする画素位置(例えば図7参照)且つ所定のフレームレート(例えば30フレーム/秒)をTG106に指令する。尚、この時、信号処理部108または制御部109は、図7で説明したように、全画素読み出しされた画像データPa(x,y)を拡大処理した画像データPz(x,y)を作成する。そして、作成された画像データPz(x,y)はバッファ107に一時的に記憶される。
(ステップS108)制御部109は、間引き読み出しにより動画撮影処理を行う。具体的には、制御部109は予め設定された間引き画素位置(例えば図3参照)且つ所定のフレームレート(例えば30フレーム/秒)をTG106に指令する。そして、撮像素子105から間引き読み出しされる1フレーム分の画像データをバッファ107に一時的に記憶する。この時点で、バッファ107には図4(a)に示すようなベイヤー配列の画像データPbayer(x,y)が記憶されている。
(ステップS109)制御部109は、バッファ107に取り込まれたベイヤー配列の画像データPbayer(x,y)に対して、ベイヤー配列用の色補間処理を行うように信号処理部108に指令する。制御部109から指令を受けた信号処理部108は、ベイヤー配列の画像データPbayer(x,y)に対してベイヤー配列用の色補間処理を施して各画素にRGB3色の色成分を有する画像データPrgb(x,y)を作成する。信号処理部108が作成した画像データPrgb(x,y)は、バッファ107に一時的に記憶される。
(ステップS110)制御部109は、バッファ107に作成された画像データPrgb(x,y)に対して、所定の画像処理を行うよう指令する。例えば、信号処理部108は、画像データPrgb(x,y)に対して、ホワイトバランス処理やガンマ補正処理を行う。さらに、信号処理部108は、例えばMotion−JPEG規格やMPEG規格などによる動画用の画像圧縮処理を行う。
(ステップS111)制御部109は、動画用の画像圧縮処理が行われた動画データをメモリカードIF111を介してメモリカード111aに記録する。ここで、ステップS106からステップS109までの処理は、ステップS110でレリーズボタン112bの再押下を検出するまで、1フレーム毎に繰り返し行われるが、メモリカード111aに記録される動画データは、1フレーム毎に記録されるとは限らない。例えば、使用する動画用の画像圧縮処理がMotion−JPEG規格である場合は1フレーム毎に圧縮処理が完結するので1フレーム毎に動画データの記録が可能であるが、MPEG規格などフレーム間の動き検出を行う圧縮処理の場合は複数のフレーム単位で画像圧縮された動画データが記録される。
(ステップS112)制御部109は、操作部112のレリーズボタン112bが押下されたか否かを判別する。そして、制御部109は、レリーズボタン112bが押下された場合はステップS116に進み、押下されていない場合はステップS106に戻って動画撮影を継続する。
(ステップS113)制御部109は静止画撮影処理を行う。静止画撮影処理では、例えば図2で説明したように、制御部109は撮像素子105の全画素から画像データを読み出すようにTG106に指令する。そして、撮像素子105から読み出される1画面分の画像データをバッファ107に一時的に記憶する。この時点で、図4(b)に示すように各画素にはRGB3色の色成分を有する画像データPrgb(x,y)がバッファ107に記憶されている。
(ステップS114)制御部109は、バッファ107に取り込まれた画像データPrgb(x,y)に対して、所定の画像処理を行うよう指令する。そして、信号処理部108は、画像データPrgb(x,y)に対して、例えばホワイトバランス処理やガンマ補正処理を行う。さらに、信号処理部108は、JPEG規格などによる静止画用の画像圧縮処理を行う。尚、制御部109は、先に表示部110に表示していたスルー画像に続いて、画像データPrgb(x,y)を撮影中の動画像として表示部110に表示する。
(ステップS115)制御部109は、静止画用の画像圧縮処理が行われた静止画データをメモリカードIF111を介してメモリカード111aに記録する。
(ステップS116)制御部109は、一連の動画撮影処理または静止画撮影処理を終了する。この時点で、メモリカード111aには、動画撮影の場合は動画データのファイル(例えばabc.mpg)が作成され、静止画撮影の場合は静止画データのファイル(例えばabc.jpg)が作成される。
以上説明したように、本実施形態に係る電子カメラ101は、ズーム倍率(または焦点距離)に応じて間引き読み出し方式から全画素読み出し方式に切り換えるので、ズームアップした領域の画像のジャギーを少なくし、解像感のある動画像を撮影することができる。特に、本実施形態に係る電子カメラ101は、通常の動画撮影において、各色成分に対応するR用撮像素子105a、G用撮像素子105bおよびB用撮像素子105cの3つの固体撮像素子の互いに重複しない画素位置の画像データを読み出すので輝度モアレを防止やジャギーの軽減および解像感の向上を図ることができる。さらに、単板式の撮影画像に用いられる実績のある優れた画像処理技術を適用できるので、この点においてもジャギーの軽減や解像感の向上を図ることができる。
尚、上記の実施形態では、動画撮影時にズーム操作を行う場合の処理について説明したが、スルー画像を撮影する場合にも動画撮影の場合と同様に、図9のステップS106からS110までの処理を行うようにすればよい。
(応用例2)
次に、応用例2として、フォーカス機能と連動して間引き読み出し方式から全画素読み出し方式に切り換える例について説明する。
光学ズームの場合でも、光学ズームの最大倍率でも画面上に小さくしか捉えられない被写体は、撮影者が表示部110に表示される画像を見てピントが合っているか否かの判断が難しい。そこで、電子的に画像全体或いはフォーカス対象の小さな被写体部分のみを拡大して表示部110に表示する機能が考えられる。ところが、動画やスルー画像は間引き読み出し方式による撮影を行っているので、電子ズームの場合と同様に、表示部110の画面上に拡大表示された小さな被写体は、ジャギーや解像感などの点で問題があり、撮影者がフォーカス状態を確認するのは難しい。
そこで、本実施形態に係る電子カメラ101の制御部109は、撮影者が操作部112の窓枠ボタン112gで部分的な拡大表示を選択した場合に、窓枠ボタン112gで選択された表示部110の画面領域を撮像素子105から全画素読み出しする。尚、窓枠ボタン112gは、例えば電子カメラ101がオートフォーカス機能を有する場合に、フォーカスエリアとして予め設定されている領域(例えば中央部分)に窓枠を表示するための操作ボタンである。一例として、フォーカスエリアが画面中央部分に設定されている場合の様子を図10(a)に示す。図10(a)において、窓枠201が画面200の中央部分に表示されている。尚、窓枠201の表示は、制御部109の表示処理部155が行う。
そして、本実施形態に係る電子カメラ101では、表示部110に窓枠201が表示された状態でズームボタン112eのボタンTを操作すると、図10(b)に示すように、窓枠201内の被写体画像が拡大表示される。或いは、予め設定した固定倍率(2倍など)で窓枠201内に被写体画像を拡大表示する。また、図10(b)では、窓枠201の大きさを固定にしたが、拡大表示に合わせて窓枠自体も拡大するようにしてもよい。尚、窓枠201を中央部分に表示する例について説明したが、拡大表示するためのもう一つの窓枠を画面200の別の部分(角部分など)に表示するようにしてもよい。
ここで、動画撮影時は間引き読み出しにより画像を撮影しているので、窓枠201内に拡大表示された被写体画像は、図11(a)に示すように、ジャギーが目立ち解像感が無い画像になるのでフォーカス状態を確認するのは難しい。そこで、本実施形態に係る電子カメラ101の制御部109は、表示部110に窓枠201が表示された状態でズームボタン112eのボタンTを操作された場合に、窓枠ボタン112gで選択された表示部110の窓枠202の領域を撮像素子105から全画素読み出しする。これにより、図11(b)に示すように、ジャギーが少なく解像感が有る画像を表示部110の窓枠202に表示することができ、容易にフォーカス状態を確認することができる。
また、上記の説明では、表示部110の画面にフォーカスエリアを示す窓枠201を表示してズームボタン112eのTボタンが操作されると、図10(b)に示すように窓枠201内を拡大表示するようにしたが、レリーズボタン112bの操作に連動させてもよい。ここで、レリーズボタン112bは、「半押し」状態を検出する第1スイッチと、「全押し」状態を検出する第2スイッチとを有し、制御部109は「半押し」を検知するとオートフォーカス処理を行い、「全押し」を検知すると撮影を行うものとする。そして、レリーズボタン112bが半押しされるまでは図10(a)の状態にしておき、レリーズボタン112bが半押しされると、制御部109は窓枠202の領域を撮像素子105から全画素読み出しし、さらに窓枠201内の拡大処理を行った後、図10(b)のように拡大した画像を表示部110に表示する。
このようにして、拡大された画像は、図11(a)に示すようなジャギーや解像感の無い画像ではなく、図11(b)に示すような高品質の画像なので、撮影者は目標被写体のフォーカス状態を容易に確認することができる。
(応用例3)
次に、応用例3として、撮像素子105で撮影された画像の空間周波数に応じて読み出し方式を切り換える場合について説明する。この場合、制御部109は撮像素子105で撮影された画像の空間周波数を計算し、例えば図12に示すような周波数特性を求める。そして、制御部109は、空間周波数が予め設定した閾値fs(所定周波数)よりも高い場合に、予め設定した画像の一部(または全画面)を全画素読み出しする。これにより、空間周波数が高い部分(画像の細かい部分)を高品質な画像で明瞭に撮影することができる。尚、空間周波数を計算する時は、オートフォーカスなどでフォーカスが合った状態にあるものとする。
さらに、撮影画面を複数の領域に分割して、各領域で空間周波数を計算し、空間周波数が閾値fsよりも高い領域のみを全画素読み出しするようにしてもよい。これにより、信号処理部108や制御部109の処理負荷を低減できる。
(その他の応用例)
次に、その他の応用例について説明する。ここでは、高画質が求められる被写体を撮影する場合に、画面の一部または全領域を全画素読み出しする。
例えば、操作部112のモード選択ダイヤル112fでマクロモードが選択された場合に、画面の一部または全画面を全画素読み出しする。これは、花や昆虫などをマクロ撮影する時は高画質で撮影したいからである。しかも、マクロ撮影の場合は、被写体の動きが少なく、全画素読み出しによる処理遅延はあまり目立たないので、全画面の全画素読み出しも可能である。
或いは、操作部112のモード選択ダイヤル112fで風景撮影モードが選択された場合に、画面の一部または全画面を全画素読み出しする。一般に樹木や建造物などの被写体は、図12で説明したように、空間周波数が高い場合が多いので間引き読み出しよりも全画素読み出して撮影した方が高品質な画像が得られる。しかも、マクロ撮影と同様に、被写体の動きが少ないシーンが多いと考えられるので、多少の処理遅延は許容でき、全画面の全画素読み出しも可能である。
尚、マクロモードや風景モードなどの撮影モード以外でも画面の一部または全画面に高画質が求められる撮影を行う場合は、同様に間引き読み出しから全画素読み出しに切り換えることによって、画質を向上させることができる。この場合でも、通常の動画撮影やスルー画像表示においては、間引き読み出しによる撮影を行うので、処理遅延などの問題は生じない。且つ、RGB3色の撮像素子105から各色成分毎にベイヤー配列に適した間引き読み出しを行い、既存の優れたベイヤー補間処理を適用できるので、高品質な画像を得ることができる。
このようにして、本実施形態に係る電子カメラ101は、多板式の撮像装置で間引き処理を用いて動画撮影を行う場合でも拡大された被写体の画質劣化を防止できる。
特に、ズーム倍率(または焦点距離)に応じて間引き読み出し方式から全画素読み出し方式に切り換えるので、ズームアップした画像のジャギーを少なくし、解像感のある動画像やスルー画像を撮影することができる。
また、スルー画像の撮影時に、撮影者は表示部110に表示されるスルー画像を見て、ズームアップした被写体にフォーカスが合っているか否かの確認を容易に行うことができる。
以上、本発明に係る撮像装置について、各実施形態で例を挙げて説明してきたが、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の多様な形で実施することができる。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、特許請求の範囲によって示されるものであって、本発明は明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。
101・・・電子カメラ
102・・・レンズ
103・・・メカニカルシャッタ
104・・・分光部
105・・・撮像素子
105a、115a・・・R用撮像素子
105b、115b・・・G用撮像素子
105c、115c・・・B用撮像素子
106・・・TG
107、117,217・・・バッファ
107a、117a・・・Rバッファ
107b、117b・・・Gバッファ
107c、117c・・・Bバッファ
108・・・信号処理部
109・・・制御部
110・・・表示部
111・・・メモリカードIF
111a・・・メモリカード
112・・・操作部
151・・・間引き読み出し部
152・・・全画素読み出し部
153・・・ズーム処理部
154・・・レンズ情報取得部
155・・・表示処理部

Claims (8)

  1. 複数の色成分に分解された被写体光を各色成分毎に同じ画素配置の画像を撮像する複数の撮像部と、
    前記複数の撮像部が撮像した前記各色成分に対応する複数の画像間で互いに重複しない画素位置から信号を読み出して予め設定された色配列の画像を生成する間引き補間部と、
    前記複数の撮像部が撮像した前記各色成分に対応する複数の画像の指定領域から前記各色成分毎に全画素読み出しを行う全画素読み出し部と、
    前記複数の撮像部で撮影される画像のズーム倍率を可変するズーム部と、
    前記ズーム部のズーム倍率が予め設定された閾値以下の場合に、前記間引き補間部が生成した前記色配列の画像に前記色配列特有の画像処理を施してカラー画像を生成し、前記ズーム部のズーム倍率が予め設定された閾値より大きい場合に、前記全画素読み出し部が全画素読み出しした前記各色成分毎の画像からカラー画像を生成する画像処理部と、
    前記画像処理部が生成した画像を表示媒体に表示する表示制御部と
    を有することを特徴とする撮像装置。
  2. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記画像処理部は、前記ズーム部のズーム倍率の代わりに前記撮像部に備えられたズームレンズの焦点距離を参照し、前記焦点距離が予め設定された閾値以下の場合に、前記間引き補間部が生成した前記色配列の画像に前記色配列特有の画像処理を施してカラー画像を生成し、前記焦点距離が予め設定された閾値より大きい場合に、前記全画素読み出し部が全画素読み出しした前記各色成分毎の画像からカラー画像を生成する
    ことを特徴とする撮像装置。
  3. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記撮像部で撮影される画像を表示する表示部と、
    前記表示部にフォーカス領域を示す窓枠を表示する窓枠表示指示部と
    を更に設け、
    前記画像処理部は、前記窓枠表示指示部により前記表示部に窓枠の表示を指示された場合に、前記窓枠内を前記全画素読み出し部が全画素読み出しした前記各色成分毎の画像からカラー画像を生成し、前記窓枠外を前記間引き補間部が生成した前記色配列の画像に前記色配列特有の画像処理を施してカラー画像を生成する
    ことを特徴とする撮像装置。
  4. 請求項3に記載の撮像装置において、
    前記撮像部にフォーカス動作を指示する第1スイッチと、前記撮像部に撮影を指示する第2スイッチとで構成される撮影指示ボタンを更に設け、
    前記画像処理部は、前記撮影指示ボタンの第1スイッチが押下された場合に、前記窓枠内を全画素読み出ししたカラー画像を拡大して表示する
    ことを特徴とする撮像装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置において、
    動画撮影と静止画撮影とを選択する操作部と、
    前記撮像装置が撮影した画像を記憶媒体に保存する記録部とを更に設け、
    前記画像処理部は、前記操作部で動画撮影が選択されている場合は前記間引き補間部が生成した色配列の画像に前記色配列特有の画像処理を施してカラー画像を生成し、前記操作部で静止画撮影が選択されている場合は前記複数の撮像部が撮像した前記各色成分に対応する前記複数の画像からカラー画像を生成する
    ことを特徴とする撮像装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置において、
    前記撮像部が撮影する画像をスルー画表示する表示部を更に設け、
    前記画像処理部は、前記表示部にスルー画を表示する場合は前記間引き補間部が生成した色配列の画像に前記色配列特有の画像処理を施してカラー画像を生成する
    ことを特徴とする撮像装置。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像装置において、
    前記撮像部は、被写体光をRGB3色の色成分に分解して前記色成分毎にn行m列の画素からなる画像を撮像するG成分用撮像部,R成分用撮像部およびB成分用撮像部の3つの撮像部を有し、
    前記間引き補間部は、前記G成分用撮像部が撮像したn行m列のG成分の画素からなるG成分の画像から行列方向にそれぞれ1画素置きに千鳥状にG成分の画素を読み出し、前記R成分用撮像部が撮像したn行m列のR成分の画素からなるR成分の画像から前記G成分の画素位置と重複しないように1行置き且つ1列置きにR成分の画素を読み出し、前記B成分用撮像部が撮像したn行m列のB成分の画素からなるB成分の画像から前記G成分の画素位置および前記R成分の画素位置と重複しないように1行置き且つ1列置きにB成分の画素を読み出し、読み出されたG成分の画素,R成分の画素およびB成分の画素を組み合わせてn行m列のベイヤー配列の画像を生成し、
    前記画像処理部は、前記間引き補間部が生成したベイヤー配列の画像に前記ベイヤー配列特有の画像処理を施してカラー画像を生成する
    ことを特徴とする撮像装置。
  8. 被写体光を複数の色成分に分光する分光部と、
    前記分光部によって分光された色成分毎に設けられた複数の撮像素子と、
    前記複数の撮像素子が撮像した各色成分に対応する複数の画像間で互いに重複しない画素位置から信号を間引き読み出しする間引き読み出し部と、
    前記複数の撮像素子が撮像した前記各色成分に対応する複数の画像から前記色成分毎に全画素読み出しを行う全画素読み出し部と、
    前記複数の撮像素子で撮影される画像のズーム倍率を設定するズーム部と、
    前記ズーム倍率が、予め設定された閾値以下の場合に前記間引き読み出し部により読み出しを行い読み出した画像に画像処理を施してカラー画像を生成し、予め設定された閾値より大きい場合に前記全画素読み出し部により読み出しを行い読み出した前記色成分毎の画像からカラー画像を生成する画像処理部と、
    前記画像処理部が生成した画像を表示媒体に表示する表示制御部と
    を有することを特徴とする撮像装置。
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