JP4916378B2 - 撮像装置、画像処理装置、画像ファイル及び階調補正方法 - Google Patents

撮像装置、画像処理装置、画像ファイル及び階調補正方法 Download PDF

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Description

本発明は画像の階調補正が可能な撮像装置及び画像処理装置に関し、特に撮像装置からの距離が異なる複数の被写体の画像の階調補正に関する。
現在広く普及しているデジタルカメラやデジタルビデオなどといった撮像装置では、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子の画素数の向上により高精細な画像が撮影できるようになっている。さらに、撮影した画像の階調を自動的に補正して、記録される画像を見栄えのよいものとする撮像装置も既に提案されている。従来の一般的な階調補正は、例えば、撮影画像の全体に鮮明な画像にするため、近景も遠景も同じように鮮明な画像とするものである。
ところで、コンパクトサイズのデジタルカメラのような小型の撮像装置においては、レンズの口径が小さいため撮影された画像は被写界深度の深いものとなっており、焦点が全体に合ったものとなっている。しかし、撮影者に実際に見えている光景では、撮影者からの距離が近い物体ほど鮮明であり、距離が遠い物体ほどぼやけている。つまり、撮影者の肉眼には奥行き感のある立体的な画像が見えている。
そこで、特許文献1では撮影レンズの焦点距離又は被写体の撮影距離の少なくとも一方を利用して階調の変換を変化させる方法が提案されている。マクロ撮影のように焦点距離が長く、撮影距離が短い場合は中間域の階調変化を強調して白とびや黒つぶれを抑制して画面全体の階調表現を視覚的に滑らかなものとし、一方、風景撮影のように焦点距離が短く、撮影距離が長い場合は中間域の階調変化を弱めて階調を変換し、中間域に集中した階調変化域を拡げてメリハリのある画像に変換させている。
特開2004−215100号公報
しかし、近景、遠景が混在し、焦点が全体に合った画像に対して特許文献1で提案された階調の変換方法を適用する場合、上述のマクロ撮影用の変換方法又は風景撮影用の変換方法のいずれかが適用されることとなる。マクロ撮影用の変換方法では画面全体の階調表現が視覚的に滑らかなものとなり、風景撮影用の変換方法では画面全体がメリハリのあるものとなる。
しかし、いずれにしても、近景、遠景の区別なく画面全体に同一の変換条件を適用するため、画面内では近景が遠景に埋もれてしまい、実際に撮影者に見えているような奥行き感は得られない。
そこで、本発明は、小型の撮像装置のように焦点が全体に合った画像しか撮影できない撮像装置でも撮影した画像を奥行き感のある立体的な画像とすることができる撮像装置並びに焦点が全体に合った画像でも、奥行き感のある立体的なものとする画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。又、焦点が全体に合った画像を奥行き感のある立体的なものとするための被写体までの距離情報を、その画像とともに関連づけて記録できる撮像装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、複数の被写体が含まれる撮像画像を取得する撮像部と、前記撮像部から前記各被写体までの距離である撮像距離を検出する撮像距離検出部と、前記各被写体の撮像距離に応じた階調補正特性に基づいて、前記撮像画像に階調補正を施す階調補正部と、を、備えることを特徴とする。
又、前記階調補正特性は、さらに前記撮像画像に含まれる各被写体の平均輝度に応じてなるものとしても構わない。
又、本発明の撮像装置は、複数の被写体が含まれる撮像画像を取得する撮像部と、前記撮像画像を複数の分割領域に分割する領域分割部と、前記各分割領域を、前記撮像部から当該分割領域に含まれる被写体までの距離である撮像距離を検出する撮像距離検出部と、前記各撮像距離に応じた階調補正特性に基づいて、前記分割領域ごとに階調補正を施す階調補正部と、を、備えることを特徴とする。
又、前記検出された撮像距離に基づいて、前記複数の分割領域を複数の距離グループに区分する距離グループ生成部を備え、前記階調補正部では、前記各距離グループに応じた階調補正特性に基づいて、前記分割領域を属する前記各距離グループごとに階調補正を施すものとしても構わない。
又、前記階調補正特性は、前記撮像距離が所定の距離より長い場合はコントラストが低くなるように変換し、所定の距離より短い場合はコントラストが高くなるように変換するものとしても構わない。又、前記階調補正特性は、さらに前記各分割領域の平均輝度に応じてなるものとしても構わない。又、近接する領域で適用される階調補正特性が異なる場合は、近接する領域の中心点で囲まれた画素については、近接する領域で適用される階調補正特性をその画素から近接する領域の中心点までの距離に基づいて線形補完した階調補正特性を適用しても構わない。又、複数の特定の距離について階調補正特性を設定し、前記領域の前記被写体までの距離が前記特定の距離以外の距離である場合は、隣接する前記特定距離に設定された階調補正特性を前記領域の前記被写体までの距離について線形補完した階調補正特性を適用しても構わない。
又、本発明の撮像装置は、複数の被写体が含まれる撮像画像を取得する撮像部と、前記撮像部から前記各被写体までの距離である撮像距離を検出する撮像距離検出部と、前記撮像画像と前記各被写体の撮像距離に関する情報を互いに関連づけて記録する記録部と、を、備えることを特徴とする。
又、本発明の画像処理装置は、複数の被写体を含む撮像画像に階調補正を施す画像処理装置であって、前記撮像画像を撮像した撮像装置から前記各被写体までの距離である撮像距離に応じた階調補正特性に基づいて、前記撮像画像に階調補正を施す階調補正部を備えることを特徴とする。
又、本発明の画像ファイルは、複数の被写体が含まれる撮像画像と、前記撮像画像を撮像した撮像装置から前記各被写体までの距離である撮像距離に関する情報とが、互いに関連づけて構成されることを特徴とする。
又、本発明の階調補正方法は、被写体までの距離である撮像距離を検出する撮像距離検出ステップと、複数の前記被写体が含まれる撮像画像を取得する撮像ステップと、前記撮像距離検出ステップで検出した前記各被写体の撮像距離に応じた階調補正特性に基づいて、前記撮像ステップで取得した前記撮像画像に階調補正を施す階調補正ステップと、を、備えることを特徴とする。
本発明によると、従来のように画面全体に同一の条件で階調を補正するのではなく、画面を区分した領域に含まれる被写体までの距離に基づいて、領域毎に補正の条件を設定するため、焦点が全体に合った画像でも奥行き感のある立体的なものとすることができる。
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、以下では、本発明における撮影方法を行うデジタルカメラやデジタルビデオなどの撮像装置を例に挙げて説明する。撮像装置は静止画を撮影できるものであれば、動画撮影が可能なものであっても構わない。
(撮像装置の構成)
まず、撮像装置の内部構成について、図面を参照して説明する。図1は、撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
図1の撮像装置は、入射される光を電気信号に変換するCCD又はCMOSセンサなどの固体撮像素子(イメージセンサ)1と、被写体の光学像をイメージセンサ1に結像させるレンズとレンズの焦点を合わせるためのモータを有するレンズ部18と、イメージセンサ1から出力されるアナログ信号である画像信号をデジタル信号に変換するAFE(Analog Front End)2と、外部から入力された音声を電気信号に変換するマイク3と、AFE2からのデジタル信号となる画像信号に対して、階調補正を含む各種画像処理を施す画像処理部4と、マイク3からのアナログ信号である音声信号をデジタル信号に変換する音声処理部5と、静止画を撮影する場合は画像処理部4からの画像信号に対してJPEG(Joint Photographic Experts Group)圧縮方式や、動画を撮影する場合は画像処理部4からの画像信号と音声処理部5からの音声信号とに対してMPEG(Moving Picture Experts Group)圧縮方式などの圧縮符号化処理を施す圧縮処理部6と、圧縮処理部6で圧縮符号化された圧縮符号化信号をSDカードなどの外部メモリ20に記録するドライバ部7と、ドライバ部7で外部メモリ20から読み出した圧縮符号化信号を伸長して復号する伸長処理部8と、伸長処理部8で復号されて得られた画像信号による画像の表示を行うディスプレイ部9と、伸長処理部8からの音声信号をアナログ信号に変換する音声出力回路部10と、音声出力回路部10からの音声信号に基づいて音声を再生出力するスピーカ部11と、各部ロックの動作タイミングを一致させるためのタイミング制御信号を出力するタイミングジェネレータ(TG)12と、撮像装置内全体の駆動動作を制御するCPU(Central Processing Unit)13と、各動作のための各プログラムを記憶するとともにプログラム実行時のデータの一時保管を行うメモリ14と、静止画撮影用のシャッターボタンを含むユーザからの指示が入力される操作部15と、CPU13と各ブロックとの間でデータのやりとりを行うためのバス回線16と、メモリ14と各ブロックとの間でデータのやりとりを行うためのバス回線17と、を備える。レンズ部18は、画像処理部4で検出した画像信号に応じてCPU13が、モータを駆動して焦点、絞りの制御を行うものである。
(撮像装置の基本動作 静止画撮影時)
次に、この撮像装置の静止画撮影時の基本動作について図2のフローチャートを用いて説明する。まず、ユーザが撮像装置の電源をONにすると(STEP201)、撮像装置の撮影モードつまりイメージセンサ1の駆動モードについて階調補正モードが選択されているかどうかを検出する(STEP202)。階調補正モードについては後述する。階調補正モードが選択されていない場合、イメージセンサ1の駆動モードを自動的にプレビューモードに設定する(STEP215)。プレビューモードでは、イメージセンサ1の光電変換動作によって得られたアナログ信号である画像信号がAFE2においてデジタル信号に変換されて、画像処理部4で画像処理が施され、圧縮処理部6で圧縮された現時点の画像に対する画像信号が外部メモリ20に一時的に記録される。この圧縮信号は、ドライバ部7を経て、伸長処理部8で伸長され、現時点の画像がディスプレイ部9に表示される。
続いて、画像処理部4に入力された画像信号を基にCPU13によってレンズ部18を制御して、最適な露光制御(Automatic Exposure;AE)・フォーカス制御(Auto Focus;AF)が行われる(STEP216)。ユーザが撮影画角、構図を決定し、操作部15のシャッターボタンを半押しすると(STEP217)、AE及びAFの最適化処理を行う(STEP218)。
撮影用のAE・AFが設定された後、シャッターボタンが全押しされると(STEP219)、タイミングジェネレータ12より、イメージセンサ1、AFE2、画像処理部4及び圧縮処理部6それぞれに対してタイミング制御信号が与えられ、各部の動作タイミングを同期させ、イメージセンサ1の駆動モードを静止画撮影モードに設定し(STEP220)、イメージセンサ1から出力されるアナログ信号である画像信号(生データ)をAFE2でデジタル信号に変換して一旦画像処理部4内のフレームメモリに書き込む(STEP221)。このデジタル信号がこのフレームメモリから読み込まれ、画像処理部4において輝度信号及び色差信号の生成を行う信号変換処理などの各種画像処理が施され、画像処理が施された信号が圧縮処理部6においてJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式に圧縮された(STEP222)後、外部メモリ20に圧縮画像を書き込み(STEP214)、撮影を完了する。その後、撮影待機状態とするため階調補正モードが選択されているかどうかの検出状態に戻る(STEP202)。
(撮像装置の基本動作 動画撮影時)
動画撮影時の動作について説明する。この撮像装置において、撮像動作を行うことが操作部15によって指示されると、イメージセンサ1の光電変換動作によって得られたアナログ信号である画像信号がAFE2に出力される。このとき、イメージセンサ1では、TG12からのタイミング制御信号が与えられることによって、水平走査及び垂直走査が行われて、画素毎のデータとなる画像信号が出力される。そして、AFE2において、アナログ信号である画像信号(生データ)がデジタル信号に変換されて、画像処理部4に入力されると、輝度信号及び色差信号の生成を行う信号変換処理などの各種画像処理が施される。
そして、画像処理部4で画像処理が施された画像信号が圧縮処理部6に与えられる。このとき、マイク3に音声入力されることで得られたアナログ信号である音声信号が、音声処理部5でデジタル信号に変換されて、圧縮処理部6に与えられる。これにより、圧縮処理部6では、デジタル信号である画像信号及び音声信号に対して、MPEG圧縮符号方式に基づいて、圧縮符号化してドライバ部7に与えて、外部メモリ20に記録させる。又、このとき、外部メモリ20に記録された圧縮信号がドライバ部7によって読み出されて伸長処理部8に与えられて、伸長処理が施されて画像信号が得られる。この画像信号がディスプレイ部9に与えられて、現在、イメージセンサ1を通じて撮影されている被写体画像が表示される。
このように撮像動作を行うとき、タイミングジェネレータ12によって、AFE2、画像処理部4、音声処理部5、圧縮処理部6、及び伸長処理部8に対してタイミング制御信号が与えられ、イメージセンサ1による1フレームごとの撮像動作に同期した動作が行われる。
又、外部メモリ20に記録された動画を再生することが、操作部15を通じて指示されると、外部メモリ20に記録された圧縮信号は、ドライバ部7によって読み出されて伸長処理部8に与えられる。そして、伸長処理部8において、MPEG圧縮符号方式に基づいて、伸長復号されて、画像信号及び音声信号が取得される。そして、画像信号がディスプレイ部9に与えられて画像が再生されるとともに、音声信号が音声出力回路部10を介してスピーカ部11に与えられて音声が再生される。これにより、外部メモリ20に記録された圧縮信号に基づく動画が音声とともに再生される。
画像を再生することが指示された場合は、外部メモリ20に記録された圧縮信号が伸長処理部8において、JPEG圧縮符号方式に基づいて、伸長復号されて、画像信号が取得される。そして、画像信号がディスプレイ部9に与えられて画像が再生される。
(階調補整モード)
次に階調補正モードについて説明する。本発明の撮像装置では、画像処理部4に、画像中の被写体の距離情報と輝度情報を算出してそれに基づいた階調補正を撮影した画像に施すことができる距離依存階調補正部40を備え、このような撮影モードを階調補正モードと呼ぶ。距離依存階調補正部40の構成及びその階調補正モードにおける動作について以下に説明する。
図3は距離依存階調補正部40の構成を示すブロック図である。距離依存階調補正部40は、シャッターボタンを半押した際にAFE2でデジタル信号とされた距離検出用画像及びシャッターボタンを全押しした際にAFE2でデジタル信号とされた記録用画像を一時的に記憶するフレームメモリ41と、フレームメモリ41に記憶された距離検出用画像(デジタル信号)を所定の領域に区分し各領域における撮像装置から被写体までの距離を検出する距離情報検出部42と、距離情報検出部42で検出した各領域の被写体までの距離を記憶する距離情報記憶部44と、フレームメモリ41に記憶された記録用画像のデジタル信号を読み込んで上述の所定の領域に区分し各領域の平均輝度を算出する輝度情報算出部45と、輝度情報算出部45で算出された各領域の平均輝度を記憶する輝度情報記憶部46と、距離情報記憶部44に記憶された各領域の被写体までの距離と輝度情報記憶部46に記憶された各領域の平均輝度とメモリ14に記憶された階調補正テーブルに基づいてフレームメモリ41から読み込んだ記録用画像信号(デジタル信号)に対して階調補正を施す階調補正部47と、階調補正部47で階調補正が施された記録用画像信号より輝度信号及び色差信号を生成する信号処理部48と、を備える。
次にこのように構成される距離依存階調補正部40の動作について説明する。図2のSTEP202で階調補正モードが選択されていることを検出し、シャッターボタンが半押しにされていることを検出する(STEP203)と、距離検出用画像を撮影し、フレームメモリ41に記憶させる。距離情報検出部42ではフレームメモリ41に記憶された距離検出用画像を所定の領域に区分し各領域の撮像装置から被写体までの距離を検出し、距離情報記憶部44では距離情報検出部42で検出した各領域における被写体までの距離(以下距離情報とする場合もある)を記憶する(STEP204)。
ここで、距離情報検出部42の構成及び動作の一例について図を用いて説明する。図4は距離情報検出部の構成を示すブロック図、図5は距離情報を検出する動作を説明するためのフローチャートである。距離情報検出部42は、図4に示すように、合焦距離を変化させて撮影された複数枚の画像からなる距離検出用画像(デジタル信号)をフレームメモリ41から合焦距離の長いものの順に読み込んで所定の領域に区分し各領域の輝度信号の高周波成分の強度を検出する高周波成分検出部42aと、高周波成分検出部42aで検出されたある合焦距離での画像信号の各領域での高周波成分の強度とそれより長い合焦距離での画像信号の各領域での高周波成分の最高強度とを比較する高周波成分比較部42bとを備える。
次に動作について説明する。図5に示すように、階調補正モードでシャッターボタンを半押しされていることを検出する(STEP203)と、レンズ部18の全合焦範囲で無限遠から最短距離まで所定の間隔(1段階)毎に合焦距離を変化させて複数枚の距離検出用画像を撮影し、AFE2でデジタル信号に変換してフレームメモリ41に書き込む(STEP501)。高周波成分検出部42aでは、フレームメモリ41に記憶された距離検出用画像のデジタル信号を無限遠から最短距離まで合焦距離の長いものの順に読み込んで所定の領域に区分し各領域の輝度信号の高周波成分の強度を検出する(STEP502)。
高周波成分比較部42bでは、最初に合焦距離が無限遠の画像の各領域の高周波成分の強度を高周波成分検出部42aから読み込み(STEP503)、続いて1段階合焦距離の短い画像の各領域の高周波成分の強度を読み込み(STEP504)、各領域での高周波成分の強度を比較し、各領域について高い方の強度及びその合焦距離を記憶する(STEP505)。ある領域について、無限遠での高周波成分の強度をh1、1段階短い合焦距離での高周波成分の強度をh2とするとき、h1≧h2であればh1、h1<h2であればh2を、その合焦距離範囲での最高の強度Hとして合焦距離とともに記憶する。
次に、さらに1段階合焦距離の短い画像があるかどうかを確認する(STEP506)。このとき1段階合焦距離の短い画像があれば(STEP506でYes)、その各領域の高周波成分の強度を読み込み(STEP504)、記憶しているそれより長い合焦距離範囲(それまでに読み込んだ合焦距離範囲)での各領域の高周波成分の最高強度Hと比較する。そして、各領域について高い方の強度及びその合焦距離を記憶する。ある領域について、ある合焦距離での高周波成分の強度をhnとするとき、hn≧Hであればhn、を新たにHの値としてその合焦距離とともに更新し、hn<HであればそれまでのHの値と合焦距離とを維持する。
高周波成分の強度は撮像装置から被写体までの距離と合焦距離とが近いほど高くなる。この比較動作を全ての段階の画像について完了する(STEP506でNo)と、高周波成分比較部42bには各領域について高周波成分の最高の強度Hとその強度を示した合焦距離が記憶されており、これは各領域における撮像装置から被写体までの距離情報である。距離情報記憶部44では、各領域における最高強度を示した合焦距離を高周波成分比較部42bから読み込む(STEP204)。
図6は距離検出用画像及び記録用画像の一例である。図7は図6の画像を所定の領域に区分した一例であり、所定の領域を縦16列、横16行の合計256個からなるものとしている。各領域は複数の画素からなる。又、図8は縦軸を高周波成分の強度、横軸を合焦距離とした各領域の高周波成分の強度と合焦距離との関係を示すグラフである。図8の1本の曲線が1個の領域に対応する。上述のように、高周波成分は撮像装置から被写体までの距離と合焦距離とが近いほど強度が高くなる。
近景部分に最大強度を有する3本の曲線a1〜a3はいずれも図6の画像中の右側の人物を含む3個の領域のものである。曲線a1〜a3では、高周波成分が最大強度となる合焦距離は同じであるものの、最大強度の大きさは異なる。いずれの領域も被写体の位置が同じであるため最大強度となる合焦距離は同じとなる。しかし、領域に被写体のエッジを含んでいる、領域の全面を被写体が覆っているなど、領域毎に含まれる被写体の状態が異なるため、最大強度が異なるものとなる。
同様に、中景部分に最大強度を有する曲線b1〜b3は図6の画像中の路面電車を含む3個の領域、遠景部分に最大強度を有する曲線c1〜c5は図6の画像中の建物を含む5個の領域のものであり、いずれも最大強度の合焦距離は同じであるが、最大強度が異なっている。
図9は1個の領域中に撮像装置からの距離の異なる複数の被写体が存在している場合の画像の一例であり、図10は撮像装置からの距離の異なる複数の被写体が存在している領域における高周波成分の強度と合焦距離との関係を示すグラフである。図9では領域中に近景であるうちわ及び人物と、中景である路面電車が含まれている。このような領域では、図10に示すように、近景の範囲と中景の範囲の2箇所に高周波成分の強度の極大値が現れることとなる。このように1個の領域中に高周波成分の強度の極大値が2箇所以上現れた場合、最大の強度となる合焦距離をその領域での被写体までの距離として採用してもよい。
又、所定の閾値以上の極大値を検出し、そのうち合焦距離の最も短いもの又は最も長いものを採用してもよい。又、所定の閾値以上の極大値を合焦距離の順に並べた際に中心となるものを合焦距離を採用してもよい。所定の閾値以上の極大値が偶数個の場合は中心がないため、中心に近い2個の閾値のうちいずれかを採用してもよい。
STEP204において、距離情報記憶部44で距離情報を記憶した後、階調補正部47では、距離情報記憶部44で記憶された距離情報を読み込んで、各領域を被写体までの距離によって複数のグループにグループ化する(STEP205)。例えば近景、中景、遠景からなる3個のグループにグループ化し、近景は例えば被写体までの距離が0〜4m、中景は4m〜10m、遠景は10m以遠とすることができる。尚、本実施形態では各領域のグループ化は階調補正部47で行うものとしたが、距離依存階調補正部40に各領域のグループ化を行う距離グループ生成部を階調補正部47の他に設けてもよい。
図11は図6の画像を距離情報記憶部44に記憶された、各領域における最高強度を示した合焦距離に基づいて、各領域を近景、中景、遠景の3個のグループにグループ化した例であり、近景を右下がりの斜線、中景を縦線、遠景を右上がりの斜線で網掛けしている。
階調補正部47で各領域を距離別にグループ化した後、構図、画角が変化したかどうかを検出する(STEP206)。構図、画角が変化したことを検出した場合については後述する。構図、画角が変化したことを検出せず、シャッターボタンが全押しされていることを検出する(STEP207)と、AE及びAFの最適化処理を行い、イメージセンサ1から出力されるアナログ信号である記録用画像をAFE2でデジタル信号に変換してフレームメモリ41に記憶させる(STEP208)。輝度情報算出部45ではフレームメモリ41に記憶された記録用画像(デジタル信号)を読み込んで、上述の距離情報検出部42で区分したものと同じ所定の領域に区分して各領域について平均輝度を算出し、輝度情報記憶部46では輝度情報算出部45で算出された平均輝度を記憶する(STEP209)。
階調補正部47では、輝度情報記憶部46から各領域の平均輝度を読み込んで、各領域を平均輝度によってグループ化する。例えば平均輝度がLa以上の高輝度、平均輝度がLb以上La未満の中輝度、平均輝度がLb未満の低輝度の3個のグループにグループ化する。ここで、La、Lbは撮像装置に応じて設定可能な任意の値である。さらに、メモリ14に記憶された合焦距離のグループ及び平均輝度のグループ毎に設定された階調補正テーブルを読み込み、各領域の属する合焦距離のグループ及び平均輝度のグループに基づいて階調補正の入出力特性を割り当てる(STEP210)。
続いて、フレームメモリ41に記憶された記録用画像を読み込んで各領域にこの階調補正テーブルを適用して階調補正を行う(STEP211)。階調補正を行った画像について、圧縮処理部6においてJPEG形式に圧縮(STEP212)後、外部メモリ20に圧縮画像を書き込み(STEP214)、撮影を完了する。その後、撮影待機状態とするため階調補正モードが選択されているかどうかの検出状態に戻る(STEP202)。
STEP212で階調補正を行った画像信号を圧縮処理部6において圧縮する際に、階調補正を行った画像信号のみならず階調補正を行っていない画像信号についても圧縮し、図12に示すように、外部メモリ20に書き込むファイル80には圧縮した階調補正を行っていない画像信号81に付加したヘッダ部82に、STEP204で距離情報記憶部44に記憶された各領域における最高強度を示した合焦距離情報82a及びSTEP209で輝度情報記憶部46に記憶された各領域についての平均輝度情報82bを併せて書き込んでもよい。このようなヘッダ部82に合焦距離情報及び平均輝度情報を書き込む形式としては例えばexif形式を用いることができる。なお、外部メモリ20には、圧縮した階調補正を行った画像信号については書き込まず、ヘッダ部に合焦距離情報及び平均輝度情報を有する圧縮した階調補正を行っていない画像信号のみを書き込むことをユーザが選択できるようにしても構わない。又、合焦距離情報の代わりに属する距離範囲のグループ情報をヘッダ部に書き込んでもよい。又、階調補正を行っていない画像信号では平均輝度情報は改めて算出することができるためヘッダ部82に書き込まなくてもよい。又、合焦距離情報や属する距離範囲のグループ情報、平均輝度情報は、圧縮符号としてヘッダ部82に書き込んでもよい。
(構図、画角が変化したことを検出した場合)
ここで、STEP206で構図、画角が所定量以上変化したことを検出した場合、ユーザに対して画角が変化したこと及びシャッターボタンを開放して半押しし直すことをディスプレイ部9での表示やスピーカ部11からの音声によって通知し、シャッターボタンが半押しし直されたかどうかを検知する(STEP213)。半押しし直された場合は再び距離検出用画像を撮影して各領域における最高強度を示した合焦距離を検出し、記憶する(STEP204)。ここで、構図、画角の変化の検出は、CPU13で逐次算出されているAE評価値の変化や、逐次取り込まれてAFE2でデジタル信号化されるイメージセンサ1上の画像からCPU13で検出した被写体の動きベクトルの変化、又は加速度センサのような動きを検出するセンサによって検出することができる。
STEP213で半押しし直されず、全押しされた場合はSTEP207以降の処理を階調補正を省略して続けてもよい。又、動きベクトルの変化や加速度センサによってシャッターボタンの半押しから全押しまでの間に構図、画角の変化した量を検出している場合は、その検出した変化量に基づいて変化する前の画像の距離情報を変化した後の画像に適合するようにシフトさせ、変化した後の画像の各領域に階調補正の入出力特性を割り当て(STEP210)、階調補正を行ってもよい(STEP211)。この場合、距離情報のない領域については階調補正は行わないでもよい。
(階調補正テーブル)
次に、階調補正テーブルについて説明する。本実施形態の階調補正テーブルは、近景、中景、遠景の3個の距離グループ及び高輝度、中輝度、低輝度の3個の平均輝度グループに対して割り当てられた図13(a)〜図13(i)のグラフに示す9個の入出力特性からなる。各グラフは横軸を階調補正前の入力輝度値、縦軸を階調補正後の出力輝度値とするものである。この入出力特性に基づいて各領域を構成する各画素は輝度が変換される。
まず、中景のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性について説明する。図13(d)〜図13(f)はいずれも中景のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性であり、領域内の画素の輝度にかかわらずグラフの傾きkは例えば1として一定とし、特に変換しない。これにより、補正後の近景及び遠景の中間的な輝度の画像となる。
次に近景のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性について説明する。近景に属する領域は、画像中で中景、遠景よりも強調するように補正する。
図13(a)は近景かつ高輝度のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性である。これは、全体の輝度を低く変換するもので、輝度がL11以上の部分のグラフの傾きをk11、L11以下の部分の傾きをk13とすると、k13<k<k11として(kは中景のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性の傾き)、輝度の高い部分では階調幅を広げるように変換する。ここでは輝度L11と、平均輝度で画面の各領域をグループ化する際の基準としたLaとの関係をL11<Laとして、対象となる領域の属する高輝度範囲全体で階調幅を広げるように変換することとしている。
図13(b)は近景かつ中輝度のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性である。これは、輝度がL21以上の部分でのグラフの傾きをk21、L22以上L21以下の部分の傾きをk22、L22以下の部分での傾きをk23とすると、k21(k23)<k<k22として、輝度の高い部分ではより輝度を高く変換し、輝度の低い部分ではより輝度を低く変換してコントラストをはっきりさせる。傾きk21とk23はどちらが大きくてもよいし、同じであってもよい。ここでは輝度L21及びL22とLa及びLbとの関係をL22<Lb<La<L21として対象となる領域の属する中輝度範囲全体の階調幅を広げるように変換することとしている。
図13(c)は近景かつ低輝度のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性である。これは、全体の輝度を高くして強調するもので、輝度がL32以上の部分の傾きをk31、L32以下の部分の傾きをk33とすると、k31<k<k33として、低輝度部分の階調幅を広げるように変換する。ここでは輝度L32とLbとの関係をLb<L32として、対象となる領域の属する低輝度範囲全体の階調幅を広げるように変換することとしている。
次に遠景のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性について説明する。遠景に属する領域は、画像中で近景、中景よりも目立たないように補正する。
図13(g)は遠景かつ高輝度のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性である。これは、輝度がL71以上の部分の傾きをk71、L71以下の部分の傾きをk73とすると、k71<k<k73として、高輝度部分の階調幅を狭くするように変換してコントラストを低くする。さらに出力輝度値の高輝度部分をカットして全体に暗くする。ここでは輝度L71とLaとの関係をL71<Laとして対象となる領域の属する高輝度範囲全体で階調幅を狭くするように変換している。
図13(h)は遠景かつ中輝度のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性である。これは、輝度がL81以上の部分での傾きをk81、L82以上L81以下の部分での傾きをk82、L82以下の部分での傾きをk83とすると、k82<k<k81(k83)として、輝度の高い部分では輝度を低くし、輝度の低い部分では輝度を高くするように変換し、中輝度部分では階調幅を狭くするように変換して全体的に輝度を平均化しコントラストを低くする。傾きk81とk83はどちらが大きくてもよいし、同じであってもよい。ここでは輝度L81及びL82とLa及びLbとの関係をL82<Lb<La<L81として対象となる領域の属する中輝度範囲全体の階調幅を狭くするように変換することとしている。
図13(i)は遠景かつ低輝度のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性である。これは、出力輝度値の低輝度部分をカットして(オフセットを設けて)全体に明るくし、輝度がL92以上の部分のグラフの傾きをk91、L91以下の部分の傾きをk93とすると、k93<k<k91として、高輝度部分の階調幅を広くするように変換し、低輝度部分の階調幅を狭くするように変換してコントラストを低くする。ここでは輝度L92とLbとの関係をLb<L92として、対象となる領域の属する低輝度範囲全体の階調幅を広くするように変換しすることとしている。
以上のような階調補正テーブルを用いて距離依存階調補正を行うことにより、近景はコントラストが高く、遠くなるにしたがってコントラストが低くなり、奥行き感のある立体的な画像を得ることができる。
(入出力特性の補完1)
しかし、領域間で階調補正に用いる入出力特性が異なると、領域の境界では画像に特性の違いによって境界が現れることとなる。そこで、領域間で境界をぼかして目立たなくするように、入出力特性の異なる隣接する領域を構成する画素の階調補正に用いる入出力特性にグラデーションを与える。
図14に4個の領域の模式図を示す。領域71〜74の中心をそれぞれ71a〜74a、領域71〜74の4個の領域が共有する点を原点O、図面横方向をx軸、縦方向をy軸とし、各領域の1辺の長さを2aとする。このとき中心71aの座標は(a,a)、中心72aの座標は(−a,a)、中心73aの座標は(−a,−a)、中心74aの座標は(a,−a)である。
各領域の中心に位置する画素では各領域に設定された入出力特性を階調補正に用い、原点Oを共有する4個の領域の中心に囲まれた画素では各領域に設定された入出力特性をその画素から各領域の中心までの距離で線形補完したものを階調補正に用いる。ここでは、図14に示す領域71に属し、中心71a〜74aに囲まれた画素71bについて考える。領域71〜74に設定された入出力特性の或る入力輝度値での出力輝度値をそれぞれA、B、C、Dとし、その入力輝度値での画素71bにおける出力輝度値をZ、画素71bの中心座標を(x,y)とすると、
Z=[{(a+x)A+(a−x)B}/2a](a+y)/2a
+[{(a+x)C+(a−x)D}/2a](a−y)/2a
となる。なお、隣接する2個の領域の中心を結ぶ線上の画素ではこれらの2個の領域に設定された入出力特性を線形補完したものを階調補正に用いる。
図15は異なる入出力特性の間を線形補完によりグラデーションを与えて変化させた入出力特性のグラフである。図15に5本の入出力特性のグラフp1〜p5を示す。p2〜p3は、p1とp5の間を等間隔で線形補完したものである。p1は図14の領域71の入出力特性であり、図13(c)である。p5は領域72の入出力特性であり、図13(f)である。中心71aにはp1、中心72aにはp2が適用される。p2〜p4はそれぞれ、中心71aと中心72aとを結ぶ線上に、中心71aと中心72aを含めて略等間隔に並んだ3個の画素である、画素71c、画素71d、画素72b(中心71a側から順に)について適用される。このようにして入出力特性を補完して画素毎にグラデーションを与えて変化させることにより、距離依存階調補正後の画像は領域間での境界がぼかされ目立たないものとなる。
(入出力特性の補完2)
尚、本実施形態において、各領域を属する距離範囲によってグループ化せず、各領域の被写体までの距離によって階調補正に適用する入出力特性を変化させてもよい。複数の特定の距離の領域に対して入出力特性を設定し、特定の距離の間の距離の領域については、入出力特性としてその距離に隣接する特定の距離の領域に設定された入出力特性から補完したものを適用する。距離sと距離tは入出力特性が設定されており、距離sについて設定された入出力特性がS、距離tについて設定された入出力特性がTであるとき、距離sと距離tの間の入出力特性が設定されていない距離uについての入出力特性Uは、入出力特性T、Sを距離uに対して線形補完して、
U={S(t−u)+T(u−s)}/(t−s) …(1)
とすることができる。尚、入出力特性が設定された最も短い距離より短い距離については最も短い距離に設定された入出力特性を適用し、入出力特性が設定された最も長い距離より長い距離については最も長い距離に設定された入出力特性を適用する。
例として図13の階調補正テーブルの図13(a)〜図13(c)を被写体までの距離が2m、図13(d)〜図13(f)を距離が6m、図13(g)〜図13(i)を距離が10mの領域に適用する入出力特性とする。このとき、被写体までの距離が5mであり、平均輝度が中輝度である領域については、図13(b)と図13(e)を線形補完した入出力特性を適用する。図13(b)の入出力特性をS、図13(e)の入出力特性をTとして上述の数式(1)を適用すると、この領域に適用する入出力特性Uは、s=2、t=6、u=5より、U=(S+3T)/4となる。図16にこのときの入出力特性Uのグラフを示す。図16において、q1は図13(b)、q2は図13(e)、q3は入出力特性Uのグラフである。
このようにすることで、各領域を属する距離範囲によってグループ化する必要がなくなる。この場合においても、(入出力特性の補完1)で説明したように、ある点を共有する領域の4個の中心に囲まれた画素について、入出力特性を線形補完しても構わない。
(撮影後に距離依存階調補正を行う場合)
尚、上述の説明において、図1に示すような構成の撮像装置を例に挙げて、本発明における画像処理方法について説明したが、撮像装置に限らず、液晶ディスプレイやプラズマテレビなどの画像のデジタル処理を行う表示装置においても、本発明における画像処理方法を利用可能である。図17に、本発明における画像処理方法(距離依存階調補正)を行う画像処理装置(「画像処理部」に相当)を備えた表示装置を示す。
図17に示す表示装置は、図1に示す撮像装置と同様、ドライバ部7、伸長処理部8、ディスプレイ部9、音声出力回路部10、スピーカ部11、TG12、CPU13、メモリ14、操作部15、バス回線16,17、及び外部メモリ20を備える。そして、図1と異なり、画像処理部4に代えて伸長処理部8で取得した画像信号を処理する画像処理装置4aを備える。画像処理装置4aは、図3に示す距離依存階調補正部40を有する。外部メモリ20では、本実施形態の撮像装置において撮影時に階調補正を行っていない画像信号に領域毎の距離情報及び平均輝度情報を有するヘッダを有する画像ファイルを保持している。
図18は、本実施形態の表示装置において距離依存階調補正を行う場合のフローチャートである。ユーザが表示装置を階調補正モードにし(STEP1801)、ディスプレイ部9に表示する画像を選択する(STEP1802)と、選択した画像の信号が外部メモリ20からドライバ部7を経て、伸長処理部8で伸長され、画像処理装置4aでディスプレイ部9に表示可能な信号に変換して、ディスプレイ部9に選択した画像を表示する。次にユーザが距離依存階調補正の実行を選択するかどうかを検出する(STEP1803)。距離依存階調補正の実行を選択すると、ヘッダに書き込まれた画像の各領域の合焦距離情報が階調補正部47に読み込まれ、各領域を属する合焦距離範囲毎にグループ化する(STEP1804)。ヘッダに各領域の属する距離範囲のグループ情報が記憶されている場合はそれを読み込んでもよい。合焦距離情報や属する距離範囲のグループ情報は、外部メモリ20から直接読み込んでもよいし、圧縮符号として記憶されている場合は伸張処理部8で伸張してから与えられるものとしてもよい。これは、後述の平均輝度情報についても同様である。
続いて、輝度情報算出部45で画像情報から画像の各領域の平均輝度を算出し、輝度情報記憶部46でそれを記憶し、階調補正部47で輝度情報記憶部46に記憶された各領域の平均輝度情報を読み取る(STEP1805)。ヘッダに各領域の平均輝度情報が書き込まれている場合は、階調補正部47で直接それを読み込んでもよい。
階調補正部47では、輝度情報記憶部46又は外部メモリ20から直接読み込んだ各領域の平均輝度に基づいて、各領域を例えば高輝度、中輝度、低輝度にグループ化する。次に、メモリ14に記憶された合焦距離のグループ及び平均輝度のグループ毎に設定された階調補正テーブルを読み込み、各領域の属する合焦距離のグループ及び平均輝度のグループに基づいて階調補正の入出力特性を割り当て(STEP1806)、各領域に割り当てられた入出力特性によって階調補正部47で階調を補正した画像の信号を保持する(STEP1807)。
次に階調補正の入出力特性の強度を変更する補正強度値の入力待ち状態となる。ユーザが補正強度値を入力し、その値が画像処理部4aに読み込まれる(STEP1808)。図19に補正強度値を入力する表示の例を示す。表示装置のパネル上にディスプレイ部9と、上下左右及び中央の5個のボタンからなる操作部15の入力ボタン15aとが設けられており、左右の入力ボタン15aを押下することでディスプレイ部9に表示された選択した画像上のスライドバーによる補正強度値の表示を目安として補正強度値の強弱を変更することができる。
補正強度値が入力されると、階調補正部47において、保持された通常の階調補正が施された画像の信号と、階調補正が施されていない画像の信号とを入力された補正強度値で荷重加算し、その荷重加算された画像をディスプレイ部9に表示する。(STEP1809)。
ここで、画像を構成する各画素における荷重加算について説明する。荷重加算後の画素の輝度をY、階調補正が施されていない画素の輝度をYin、通常の階調補正が施された画素の輝度をYconv、荷重加算係数をKとする。このとき、Yは
Y=(1−K)Yin+K・Yconv
と表すことができる。荷重加算係数と補正強度値とは図20に示すように線形の関係を有し、最も強い補正強度に対応する加重加算係数K_maxは1以下の正の数であればよい。
その後ユーザが階調補正の終了を指示せず(STEP1810)、左右の入力ボタン15aを押下して補正強度値を変更する(STEP1808)とその補正強度値に基づいて強度を変更した入出力特性によって階調補正をし、補正した画像をディスプレイ部9に表示する。つまり、ディスプレイ部9で階調補正の度合いを確認しながら階調補正の強度を変更することができる。そして、階調補正の終了を指示する(STEP1810)と終了する(STEP1811)。
尚、本実施形態において、階調補正テーブルは3段階の輝度範囲及び3段階の距離範囲に対する9個の入出力特性からなるものに限られず、距離範囲が2段階以上であればよく、更には輝度範囲及び距離範囲の少なくとも一方が2段階以上であってもよい。又、輝度範囲と距離範囲とは同数でなくてもよく、輝度範囲は単数であってもよい。又、入出力特性は図13に示したような直線からなるものではなく、曲線からなるものであってもよい。
図21に、高輝度と低輝度の2段階の輝度範囲及び近景と遠景の2段階の距離範囲に対する4個の入出力特性からなる階調補正テーブルの例を示す。この場合も、近景に属する領域は画像中で遠景よりも強調するように補正し、遠景に属する領域は画像中で近景よりも目立たないように補正する。
図21(a)は、近景かつ高輝度領域のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性である。これは、より輝度を高く変換し、輝度の低い部分ではより輝度を低く変換してコントラストをはっきりさせる。図21(a)に示す右上がりの破線で表される入力と出力が等しい直線の傾き(=1)と比較すると、輝度がLa1よりも高い部分とLa2よりも低い部分では曲線の接線の傾きは1よりも小さい。輝度がLa2よりも高くLa1よりも低い部分では曲線の接線の傾きは1よりも大きく、階調幅を広くするように変換する。
図21(b)は近景かつ低輝度のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性である。これは、全体の輝度を高くするもので、輝度がLb1より高い部分では接線の傾きを1より小さく、Lb1より低い部分では1より大きくして、低輝度部分の階調幅を広くするように変換する。
図21(c)は遠景かつ高輝度のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性である。これは、輝度がLc1より高い部分では接線の傾きを1より小さく、Lc1より低い部分では1より大きくして、高輝度部分の階調幅を狭くするように変換してコントラストを低くする。さらに出力輝度値の高輝度部分をカットして全体に暗くする。
図21(d)は遠景かつ低輝度のグループに属する領域に対して割り当てられた入出力特性である。これは、出力輝度値の低輝度部分をカットして(オフセットを設けて)全体に明るくし、接線の傾きを全体に1より小さいものとして、コントラストを低くするように変換する。
このような階調補正テーブルを用いることにより、近景は明るく鮮鋭感を持つように、遠景ではコントラストの低い眠たいものとなるように変換することによって、奥行き感のある画像に変換することができる。
又、図21の階調補正テーブルにおいて、遠景かつ高輝度のグループに属する領域に対しては図13(c)に代えて図22に示す入出力特性を、遠景かつ低輝度のグループに属する領域に対しては図13(d)に代えて図23に示す入出力特性を適用してもよい。
図22は、S字状のカーブの膨らみを図21(a)よりも小さくしてコントラストの強調を抑えたものである。図23は、輝度がLd1以下の部分を真っ黒なものとし、カーブの膨らみを図21(b)よりも小さくして全体の輝度の高め方を抑えたものである。このような階調補正テーブルを用いることにより、コントラストの強調を近景では強め、遠景では弱めることによって、自然に近景の被写体を強調した画像に変換することができる。
本発明は、オートフォーカス機能及び階調補正機能を有する撮像装置に適用することができる。
は、本発明の撮像装置の内部構成を示すブロック図である。 は、本発明の撮像装置の基本動作及び階調補正モードの動作を説明するためのフローチャートである。 は、距離依存階調補正部の構成を示すブロック図である。 は、距離情報検出部の構成を示すブロック図である。 は、距離情報を検出する動作を説明するためのフローチャートである。 は、距離検出用画像及び記録用画像の一例である。 は、図6の画像を所定の領域に区分した一例である。 は、画像を区分した領域の高周波成分の強度と合焦距離との関係を示すグラフである。 は、1個の領域中に撮像装置からの距離の異なる複数の被写体が存在している場合の画像の一例である。 は、撮像装置からの距離の異なる複数の被写体が存在している領域における高周波成分の強度と合焦距離との関係を示すグラフである。 は、図6の画像の各領域を被写体までの距離毎にグループ化した例である。 は、本発明の画像ファイルの模式図である。 は、距離グループ及び平均輝度グループ毎に割り当てられた入出力特性の一例である。 は、画像を区分した領域のうち4個の模式図である。 は、異なる入出力特性の間を線形補完によりグラデーションを与えて変化させた入出力特性のグラフである。 は、2個の所定の距離に設定された入出力特性及びその間の距離に適用される入出力特性のグラフである。 は、本発明の表示装置の内部構成を示すブロック図である。 は、本実施形態の表示装置において距離依存階調補正を行う場合のフローチャートである。 は、補正強度値を入力する表示の例である。 は、荷重加算係数と補正強度値の関係を示すグラフである。 は、距離グループ及び平均輝度グループ毎に割り当てられた入出力特性の別の例である。 は、遠景かつ高輝度のグループに属する領域に適用する入出力特性の別の例である。 は、遠景かつ低輝度のグループに属する領域に適用する入出力特性の別の例である。
符号の説明
1 イメージセンサ
2 AFE
3 マイク
4 画像処理部
4a 画像処理装置
5 音声処理部
6 圧縮処理部
7 ドライバ部
8 伸長処理部
9 ディスプレイ部
10 音声出力回路部
11 スピーカ部
12 タイミングジェネレータ
13 CPU
14 メモリ
15 操作部
16 バス回線
17 バス回線
18 レンズ部
20 外部メモリ
40 距離依存階調補正部
41 フレームメモリ
42 距離情報検出部
44 距離情報記憶部
45 輝度情報算出部
46 輝度情報記憶部
47 階調補正部
48 信号処理部
80 ファイル
81 画像信号
82 ヘッダ部
82a 距離情報
82b 平均輝度情報

Claims (4)

  1. 複数の被写体が含まれる撮像画像を取得する撮像部と、
    前記撮像画像を複数の分割領域に分割する領域分割部と、
    前記各分割領域について、前記撮像部から当該分割領域に含まれる被写体までの距離である撮像距離を検出する撮像距離検出部と、
    前記各撮像距離に応じて異なる階調補正特性を用いて、前記分割領域ごとに階調補正を施す階調補正部と、
    を、備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記検出された撮像距離に基づいて、前記複数の分割領域を複数の距離グループに区分する距離グループ生成部を備え、
    前記階調補正部では、前記各距離グループに応じて異なる階調補正特性を用いて、前記分割領域を属する前記各距離グループごとに階調補正を施すことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記階調補正特性は、さらに前記各分割領域の平均輝度に応じて異なることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の撮像装置。
  4. 前記階調補正特性は、前記撮像距離が所定の距離より長い場合はコントラストが低くなるように変換し、所定の距離より短い場合はコントラストが高くなるように変換するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の撮像装置。
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