JP5100040B2 - 黒トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる黒トナー及び該黒トナーを用いた画像形成方法に関する。
近年、電子写真システムに対する要求が高まり、より高画質化、より高速化に対応することができ、そしてさらなる高信頼性を備えたトナーが要望されている。特に、高速連続印字においても安定した画像を形成するためには、トナーの耐久性及び帯電安定性が重要となる。トナーの耐久性を高める観点からは、結着樹脂として特定の構造単位を有する2種類のポリエステル樹脂を含有したトナーが開示されている(特許文献1参照)。また、トナーの帯電安定性を高める観点からは、特定の荷電制御剤を含有したトナー、例えば、鉄系アゾ錯体を含有したトナーや含金属アゾ染料を含有したトナーが開示されている(特許文献2参照)。
特開2004−258627号公報 特開2001−75312号公報
鉄アゾ系錯体を含有するトナーは帯電安定性に優れるが、高速連続印刷において、帯電量の低下による画像劣化が生じやすい。また、イエロートナーやマゼンタトナー等のカラートナーと共に用いて印字を行う画像形成方法では、一般的に黒トナーの印字率が高く、黒トナーの画像濃度の僅かな変化が画質に影響を与えやすい。このため、鉄アゾ系錯体を含有した場合でも、より安定した画像を供給することの出来る黒トナーの開発が要望される。
本発明の課題は、画像濃度が高く、高速連続印字においても、安定した画像形成を可能とする黒トナー、並びに該黒トナーとカラートナーを用いて画像を形成する画像形成方法を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 結着樹脂、鉄アゾ錯体及びスチレンを含有してなる黒トナーであって、トナー中のスチレン含有量が3〜100ppmである黒トナー、
〔2〕 スチレンの存在下で得られる結着樹脂及び鉄アゾ錯体を含有してなる黒トナーであって、トナー中のスチレン含有量が3〜100ppmである黒トナー、並びに
〔3〕 前記〔1〕又は〔2〕記載の黒トナーとカラートナーを用いて画像を形成する画像形成方法、
に関する。
本発明の黒トナーは、画像濃度が高く、高速連続印字においても、安定した画像品質を提供する画像形成が可能であるという優れた効果を奏するものであり、また、本発明の方法により、該黒トナーをカラートナーと共に用いた場合でも良好な画像を形成できる。
本発明の黒トナーは、結着樹脂、鉄アゾ錯体及びスチレンを含有してなるトナー(態様1)、並びにスチレンの存在下で得られる結着樹脂及び鉄アゾ錯体を含有してなるトナー(態様2)であって、それぞれのトナー中のスチレン量が3〜100ppmである点に大きな特徴を有する。前記構成により安定画像が得られる詳細な理由は不明なるも、スチレンと鉄アゾ錯体の化学構造が互いに影響を及ぼし合うことにより、鉄アゾ錯体の分散性が向上するとともに、トナー表面にスチレンがミクロに分散されることで、高速連続印字に伴う帯電のリークが抑制されるためと推定される。近年の画像の高画質化に伴いトナーの小粒径化が進む一方で、トナー1粒子あたりの表面積が大きくなるためにトナーの帯電制御の難しさが報告されている。しかし、本発明のトナーによれば、トナーを小粒径化した場合であっても安定した帯電量を保持できるため、高画質画像を得ることができる。なお、スチレンを含有する結着樹脂に、さらにスチレンを添加して得られるトナー、即ち、態様1と態様2のトナーを組み合わせたトナーもまた、本発明に含まれる。
態様1、2のトナー中のスチレン含有量は、長期の高速連続印字においても一定の画像濃度を得るために、トナーの帯電性を高める必要がある観点から、3〜100ppmであり、好ましくは5〜60ppmであり、より好ましくは10〜50ppmであり、さらに好ましくは10〜40ppmである。本明細書において、スチレンの含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
態様1のトナーは、結着樹脂、鉄アゾ錯体及びスチレンを含有する。
結着樹脂としては、ポリエステル、ポリエステル・アミド、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、スチレン−アクリル樹脂等が挙げられ、定着性及び帯電性の観点から、主成分としてポリエステルを含有する結着樹脂が好ましい。ポリエステルの含有量は、結着樹脂中、50〜100重量%が好ましく、80〜100重量%がより好ましく、実質的に100重量%が特に好ましい。
ポリエステルは、特に限定されないが、2価以上のアルコールからなるアルコール成分と、2価以上のカルボン酸化合物からなるカルボン酸成分を含む原料モノマーを縮重合させて得られる。
2価以上のアルコールとしては、トナーの保存安定性の観点から、式(I):
Figure 0005100040
(式中、ROはアルキレンオキサイドであり、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す正の数であり、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。かかるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、40モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のRが炭素数2のエチレンオキサイド付加物、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のRが炭素数3のプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
また、2価以上のカルボン酸化合物としては、例えば、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸(例えば、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸)等の脂肪族カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、並びにこれらの酸の無水物及び低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。上記のような酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
本発明では、帯電安定性の観点から、カルボン酸成分として芳香族カルボン酸化合物が含有されていることが好ましく、芳香族カルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、40モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。また、カルボン酸成分中の芳香族カルボン酸を脂肪族カルボン酸と対比した場合、芳香族カルボン酸化合物と脂肪族カルボン酸化合物の重量比(脂肪族カルボン酸化合物/芳香族カルボン酸化合物)は0/10〜4/6が好ましく、0.5/9.5〜3/7がより好ましく、0.5/9.5〜2/8がさらに好ましい。
また、ポリエステルは、軟化点と粉砕性の観点から、アルコール成分及び/又はカルボン酸成分として3価以上のモノマーを用いて得られた架橋ポリエステルであることが好ましい。3価以上のモノマーの含有量は、アルコール成分及びカルボン酸成分の総量中、2〜20モル%が好ましく、4〜18モル%がより好ましい。3価以上のモノマーとしては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)及びその無水物が好ましい。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整や耐オフセット性向上の観点から、適宜含有されていてもよい。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で行うことができる。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
態様2のトナーは、スチレンの存在下で得られる結着樹脂及び鉄アゾ錯体を含有する。
スチレンの存在下で得られる結着樹脂としては、スチレンを含む原料モノマーを用いて得られる付加重合系樹脂のみからなるものに限定されない。前記以外に、スチレンの存在下で得られる縮重合系樹脂、並びに縮重合系樹脂の原料モノマー及びスチレンを含む付加重合系樹脂の原料モノマーを用いて得られる複合樹脂が好ましい。これらの中では、スチレンの分散性の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分とをスチレンの存在下で縮重合させて得られるポリエステル、アルコール成分とカルボン酸成分とを含むポリエステルの原料モノマー及びスチレンを含む付加重合系樹脂の原料モノマーを用いて得られる複合樹脂が好ましい。
付加重合系樹脂の原料モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン化合物;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸のエステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が挙げられ、これらの中では、スチレン以外に、重合反応の制御のし易さ及び安定性の観点から、エチレン性モノカルボン酸のエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステルがより好ましい。スチレンの含有量は、付加重合系樹脂の原料モノマー中、30〜95重量%が好ましく、60〜90重量%がより好ましい。
エチレン性モノカルボン酸のエステルの含有量は、保存性の観点から、付加重合系樹脂単量体中、5〜70重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましい。
さらに、スチレンとエチレン性モノカルボン酸のエステルの総含有量は、付加重合系樹脂単量体中、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。
また、スチレンのエチレン性モノカルボン酸のエステルに対するモノマー比(スチレン/エチレン性モノカルボン酸のエステル)は、50/50〜95/5が好ましく、70/30〜95/5がより好ましい。
なお、付加重合系樹脂の原料モノマーの付加重合には、重合開始剤、架橋剤等を必要に応じて使用してもよい。
付加重合反応は、例えば、重合開始剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、例えば、温度条件は、好ましくは110〜200℃、より好ましくは140〜170℃である。
付加重合反応の際に用いられる有機溶媒としては、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。有機溶媒の使用量は、付加重合系樹脂単量体100重量部に対して、10〜50重量部程度が好ましい。
スチレンの存在下で得られる縮重合系樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステル・ポリアミド等が挙げられるが、水とスチレンとの反応物との結合し易さの観点から、ポリエステルが好ましい。
ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合をスチレンの存在下で行う以外は態様1と同様にして得られ、スチレンの使用量は、縮重合反応工程時におけるスチレンの揮発量を考慮すると、縮合系樹脂の全原料モノマー100重量部に対して、0.01〜0.5重量部が好ましく、0.05〜0.3重量部がより好ましい。
複合樹脂における縮重合系樹脂成分としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステル・ポリアミド等が挙げられるが、水とスチレンとの反応物との結合し易さの観点から、ポリエステルが好ましい。従って、複合樹脂としては、ポリエステルユニットとスチレンを含むビニル系樹脂等の付加重合系樹脂ユニットを有する樹脂が好ましい。
ポリエステルユニットの原料モノマーとしては、態様1で挙げたアルコール成分とカルボン酸成分が同様に挙げられる。
付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーとしては、上記で挙げた成分が同様に挙げられる。
本発明において、複合樹脂は、微量のスチレンの含有量の制御の容易さの観点から、ポリエステルユニットの原料モノマーと付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーに加えて、さらにポリエステルユニットの原料モノマー及び付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物(両反応性モノマー)を用いて得られる樹脂(ハイブリッド樹脂)であることが好ましい。ハイブリッド樹脂は、縮重合系樹脂成分と付加重合系樹脂成分とが部分的に両反応性モノマーを介して結合し、縮重合系樹脂成分中に付加重合系樹脂成分がより微細に、かつ均一に分散している。
両反応性モノマーとしては、分子内に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましく、このような両反応性モノマーを用いることにより、分散相となる樹脂の分散性をより一層向上させることができる。両反応性モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、フマル酸、メタクリル酸、シトラコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、及びこれらのカルボン酸の無水物、アルキル(炭素数1〜2)エステル等の誘導体等が挙げられ、これらのなかでは反応性の観点からアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及びこれらのカルボン酸の誘導体が好ましい。
本発明において、両反応性モノマーのうち、官能基を2個以上有するモノマー(ポリカルボン酸等)及びその誘導体はポリエステルユニットの原料モノマーとして、官能基を1個有するモノマー(モノカルボン酸等)及びその誘導体は付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーとして扱う。両反応性モノマーの使用量は、官能基を2個以上有するモノマー及びその誘導体については縮重合系樹脂単量体中、官能基を1個有するモノマー及びその誘導体については付加重合系樹脂単量体中、それぞれ1〜10モル%が好ましく、4〜10モル%がより好ましい。
本発明において、複合樹脂は、縮重合反応と付加重合反応を同一反応容器中で並行して行うことにより得られるが、縮重合反応と付加重合反応の進行及び完結は、時間的に同時である必要はなく、それぞれの反応機構に応じて反応温度及び時間を適当に選択し、反応を進行、完結させればよい。
また、複合樹脂は、スチレン量を効率よく調整する観点から、少なくとも後述の工程(A)及び(B)を経て製造することができる。
即ち、スチレンを含む付加重合系樹脂単量体を付加重合反応させる工程(A)、(A)の途中及び/又は終了後に、工程(A)で生じる反応混合物と水とを混合する工程(B)、並びに工程(A)及び工程(B)の前、中及び後の少なくともいずれかの時点で、さらに縮重合系樹脂単量体を前記の反応系に存在させて縮重合反応させる工程(C)を経て得ることもできる。
水の混合量は、スチレンを反応系から排出し、残存スチレン量を適量に調整する観点から、樹脂の物性への影響を制御する観点から、付加重合系樹脂単量体100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、0.5〜40重量部がより好ましく、1〜35重量部がさらに好ましい。
工程(A)で生じる反応混合物と水とを混合する際の系内の温度は、水の蒸発効率及び反応混合物の粘度の観点から、100〜300℃が好ましく、130〜250℃がより好ましく、150〜240℃がさらに好ましい。
工程(A)で生ずる反応混合物と水とを接触及び/又は混合する方法は特に限定されないが、水との共沸効果により、スチレン量を効率よく調整する観点から、かかる反応混合物に水を滴下したり、蒸気を添加したりする方法が好ましい。水は、混合後蒸発するが、樹脂中の含水量は、トナーの帯電特性の観点から、0.2重量%以下が好ましく、含水量を低減する方法としては、水の混合終了後、100℃以上で保持する、又は減圧により除去する等の方法が好ましい。
工程(A)と工程(B)は、それぞれ別々に行う必要はなく、両工程を一部並行して行ってもよい。従って、反応混合物と水とを混合する時期は、工程(A)における付加重合反応の終了後であっても、付加重合反応の途中であってもよいが、本発明では、水と樹脂との混合性の観点から、工程(A)における付加重合反応が終了した後に水を添加することが好ましい。付加重合反応の進行度は、使用した開始剤の半減期、反応熱量等から予測、確認することができる。
複合樹脂の製造方法における、工程の手順としては、
i)縮重合反応を行う工程(C)の後に、工程(A)を行う方法、
ii)縮重合反応を行う工程(C)を、工程(A)に先立って開始し、工程(A)の後に、再度反応温度を上昇させ、必要に応じて架橋剤となる3価以上の縮重合系樹脂単量体を重合系に添加し、工程(C)の縮重合反応をさらに進める方法、
iii)付加重合反応に適した温度条件下で付加重合反応を行う工程(A)と縮重合反応を行う工程(C)を並行して行い、反応温度を前記条件下で保持して工程(A)を完結させた後、反応温度を上昇させ、必要に応じて架橋剤となる3価以上の縮重合系樹脂単量体を重合系に添加し、工程(C)の縮重合反応をさらに進める方法、
等が挙げられる。これらの方法において、工程(B)の実施は前記のように工程(A)の開始後であればよいが、工程(A)の終了後であることが好ましく、工程(A)及び工程(C)の終了後であることがより好ましい。また、iii)の方法において、工程(A)と工程(C)を並行して行う際には、縮重合系樹脂単量体を含有した混合物中に、付加重合系樹脂単量体を含有した混合物を滴下して反応させることが好ましい。このように反応容器中で独立した2つの重合反応を並行して進行させる方法により2種類の樹脂成分が効果的に混合分散した複合樹脂を得ることができる。
また、複合樹脂が両反応性モノマーを用いて得られるハイブリッド樹脂である場合にも、両反応性モノマーを縮重合系樹脂の原料モノマー及び/又は付加重合系樹脂の原料モノマーと共に用い、好ましくは付加重合系樹脂の原料モノマーと共に用いて、上記工程(A)〜(C)を経て得ることができる。
定着性を向上させる観点からは、本発明のトナーには離型剤を含有させることが好ましく、ワックスの分散性を向上させる観点からは、複合樹脂は、ワックスの存在下で縮重合系樹脂の原料モノマー及びスチレンを含む付加重合系樹脂の原料モノマーを重合させることにより得られる樹脂が好ましい。
ワックスとしては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらのなかでは、離型性及び安定性の観点から、脂肪族炭化水素系ワックスが好ましい。
ワックスの添加量は、結着樹脂の製造に用いられる樹脂単量体の総量100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。
ワックスの添加時期は特に限定されず、重合開始当初であっても、重合反応途中であってもよい。
本発明においては、縮重合系樹脂の付加重合系樹脂に対する重量比、即ち縮重合系樹脂の原料モノマーの付加重合系樹脂の原料モノマーに対する重量比(縮重合系樹脂の原料モノマー/付加重合系樹脂ユニットの原料モノマー)は、連続相が縮重合系樹脂であり、分散相が付加重合系樹脂であることが好ましいことから、55/45〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましく、70/30〜90/10がさらに好ましい。
態様2の結着樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、スチレン−アクリル樹脂等の他の結着樹脂を含有していてもよい。
態様2の結着樹脂中のスチレン含有量は、帯電性の観点から、好ましくは3〜100ppmであり、より好ましくは10〜50ppmであり、さらに好ましくは20〜50ppmである。特に、前記方法により得られる結着樹脂は、結着樹脂中のスチレン量が効率よく調整された樹脂となる。なお、本明細書において、スチレンの含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
態様1及び2の結着樹脂の軟化点は、低温定着性、定着可能領域及び保存性の観点から、好ましくは70〜170℃、より好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜130℃である。また、態様1及び2の結着樹脂のガラス転移点は40〜80℃が好ましく、酸価は5〜40mgKOH/gが好ましい。本明細書において、軟化点、ガラス転移点、酸価は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
本発明において、鉄アゾ錯体としては、帯電性の観点から、式(II):
Figure 0005100040
(式中、R1 及びR2は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、スルホンアミド基、スルホン酸基、カルボキシエステル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基又はハロゲン原子を示し、R1とR2 は同じであっても異なっていてもよく、X1 及びX2 は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、X1とX2 は同じであっても異なっていてもよく、A は水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンを示し、m及びnは1〜3の整数を示す)
で表される化合物が好ましい。
本発明では、式(II)で表される鉄アゾ錯体のなかでも、R1 及びR2 がハロゲン原子、特には塩素原子、X1 及びX2 がアリール基、特にはフェニル基、Aが水素イオン、ナトリウムイオン又はアンモニウムイオン、m及びnが1である金属錯塩化合物が好ましい。
なお、式(II)で表される鉄アゾ錯体は、特開昭61−155464号公報等にその製造方法が詳細に記載されており、これに準じて容易に合成することができるが、市販の製品としては、例えば、「T-77」(保土谷化学工業社製)が挙げられる。
式(II)で表される鉄アゾ錯体の含有量は、帯電性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。
さらに、本発明のトナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、式(II)で表される鉄アゾ錯体以外の他の荷電制御剤を含有していてもよい。他の荷電制御剤としては、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等の正帯電性荷電制御剤及びベンジル酸のホウ素錯体等の負帯電性荷電制御剤が挙げられるが、本発明の目的である高い帯電性を得るためには、荷電制御剤中の式(II)で表される鉄アゾ錯体の含有量は、70重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%がさらに好ましく、実質的に100重量%であることがさらに好ましい。
本発明のトナーには、さらに、着色剤、離型剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができるが、黒色度の観点から、カーボンブラック、アニリンブラック、チタンブラック、ペリレンブラック、ボーンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、金属酸化物、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、及びマグネタイト等が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。これらは単独で又は2種以上を混合して含有されていても良い。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
離型剤としては、前述したものが同様に挙げられる。これらのなかでは、離型性及び安定性の観点から、脂肪族炭化水素系ワックス及びエステル系ワックスが好ましく、これらは単独で又は2種以上を混合して含有されていても良い。離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。離型剤は分散性向上の観点から、結着樹脂製造時に樹脂の原料モノマーと共に用いられ、結着樹脂に内添されていてもよい。
本発明のトナーは、結着樹脂、鉄アゾ錯体、態様1においてはさらにスチレン等を含む原料を、混練粉砕法、転相乳化法、乳化分散法、懸濁重合法等の従来公知のいずれの方法により製造してもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法により製造することが好ましい。例えば、混練粉砕法による場合、結着樹脂等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。さらに、必要に応じて外添剤により表面処理する工程を経て得ることもできる。表面処理は、疎水性シリカ等の流動性向上剤等の外添剤をヘンシェルミキサー等の混合機によりトナー表面に外添する方法が好ましい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、画質及び帯電性の観点から、2〜15μmが好ましく、2〜10μmがより好ましく、2.5〜7μmがさらに好ましく、2.5〜6μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
さらに、本発明は、前記黒トナーと、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー等のカラートナーと共に用いて印字を行う画像形成方法を提供する。カラー画像形成では、黒トナーの印字率が有彩色のトナーに比べて高いため、トナーに対するストレスが強く、耐刷前後における画質の劣化が顕著であった。しかし、本発明の黒トナーは、帯電安定性に優れ耐刷前後の画像濃度の変化率が小さいことから、極めて優れたカラー画像を提供できる。
画像形成方法の工程自体は特に限定されず、公知の工程を経て画像を形成することができる。画像形成方法における代表的な工程としては、感光体表面に静電潜像を形成させる工程(帯電・露光工程)、静電潜像を現像する現像工程、現像したトナー像を紙等の被転写材に転写する工程(転写工程)、転写したトナー像を定着させる工程(定着工程)感光体ドラム等の現像部材に残存したトナーを除去する工程(クリーニング工程)等がある。
カラー画像形成における転写工程においては、黒トナーとカラートナーが同じレベルで転写する必要があり、このため、両トナーの帯電量のバランスを調整することが好ましい。従って、本発明の画像形成方法で使用されるカラートナーとしては、スチレンを含有するものが好ましい。スチレンを含有するカラートナーとしては、少なくとも結着樹脂及びスチレンを含有するトナー、及び少なくともスチレンの存在下で得られる結着樹脂を含有するトナーが挙げられる。
黒トナーとの帯電のバランスの観点から、カラートナーの少なくとも1種、好ましくは2種、さらに好ましくは3種がスチレンを含有するカラートナーであることが好ましく、カラートナーに含まれるスチレンと黒トナーに含まれるスチレンの重量比(黒トナー/カラートナー)は、0.2/1〜2/1が好ましく、0.3/1〜1.5/1がより好ましく、0.5/1〜1.3/1がさらに好ましい。ここで、カラートナーに含まれるスチレンの重量とは、全カラートナーに含まれるスチレンの総量を意味する。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔スチレン含有量〕
スチレンの含有量は、TD−GC/MS(加熱脱着-ガスクロマトグラフ質量分析計)を用いて、以下の方法により測定する。
(1) 測定装置
TD:Turbo Matrix ATD(自動加熱脱着(ATD)装置、Perkin Elmer社製)
GC:6890N(Agilent Technologies社製)
MS:5973N(Agilent Technologies社製)
(2) 測定条件
<TD>
出口スプリット使用
分析モード:2段階脱着
注入:2回
チューブからの加熱脱着条件:120℃で1時間
トラップ管への吸着条件:-30℃で50分
トラップ管からの脱着条件:-30℃から開始し、40℃/minで300℃まで昇温
パージ時間:1分
バルブ温度:150℃
トランスファー温度:160℃
カラム圧力:150kPa
入口スプリット:50mL/min
出口スプリット:5mL/min
脱着:50mL/min
<GC>
分析カラム:HP5-MS(60m×250μm×0.25μm)
キャリアー:He
流量条件:1mL/min
注入口温度:250℃
カラム圧力:150kPa(TDから制御)
オーブン温度条件:<temperature time (ratio)>
40℃ 3min
70℃ (2℃/min)
150℃ (5℃/min)
300℃ (10℃/min)
<MS>
イオン化法:EI(電子イオン化)法
インターフェイス温度:300℃
イオン源温度:230℃
四重極温度:150℃
検出モード:Scan (range m/z = 40-460)
Initial Area Reject:0
Initial Peak Width:0.097
Shoulder Detection:off
Initial Threshold:12.0
(3) スチレンの定量
テナックスTA入りチューブに標品「重トルエン/メタノール溶液(10mg/L)」を5μL注入する。次に、試料5mgを秤量し、上記チューブに添加する。その後、チューブを測定装置にセットし、測定を行う。なお、定量は一点検量で行い、重トルエンはm/z=98、スチレンはm/z=104のマスクロマトグラムのピークについてピーク面積を測定し、得られたピーク面積比よりスチレン濃度を求める。
樹脂製造例1
表1に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル単量体の原料モノマー及びエステル化触媒としてオクチル酸スズ16gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃でテレフタル酸の粒が確認できなくなるまで縮重合反応させた。さらに、8kPaで1時間反応させ、表1に示すポリエチレンワックス「パラフリントH105」(サゾール社製)を添加し、160℃に冷却後、表1に示すビニル系樹脂単量体の原料モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8kPaで1時間保持して、ビニル系樹脂単量体の重合度の調整をおこなった。その後、表1に示す無水トリメリット酸を加えて、架橋反応を所定の軟化点に達するまで行い樹脂Aを得た。なお、樹脂Aにおける、ポリエステル単量体とビニル系樹脂単量体の重量比(ポリエステル単量体/ビニル系樹脂単量体の重量比)は74/18である。
樹脂製造例2
表1に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル単量体の原料モノマー及びエステル化触媒としてオクチル酸スズ16gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃でテレフタル酸の粒が確認できなくなるまで縮重合反応させた。さらに、8kPaで1時間反応させ、表1に示すポリエチレンワックス「パラフリントH105」(サゾール社製)を添加し、160℃に冷却後、表1に示すビニル系樹脂単量体の原料モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8kPaで0.5時間保持した。次いで、210℃で40kPaにおいて攪拌しながら、2時間かけて140℃の蒸気を、800g (付加重合系樹脂単量体の総量100重量部に対して、31重量部)/時間の速度で樹脂中に添加した。その後、表1に示す無水トリメリット酸を加えて、架橋反応を所定の軟化点に達するまで行い樹脂Bを得た。なお、樹脂Bにおける、ポリエステル単量体とビニル系樹脂単量体の重量比(ポリエステル単量体/ビニル系樹脂単量体の重量比)は74/18である。
樹脂製造例3
表1に示すフマル酸及び無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒としてオクチル酸スズ16gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃でテレフタル酸の粒が確認できなくなるまで縮重合反応させた。さらに、8kPaで1時間反応させ、表1に示すポリエチレンワックス「パラフリントH105」(サゾール社製)を添加し、160℃に冷却後、表1に示すビニル系樹脂単量体の原料モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8kPaで0.5時間保持した。その後、表1に示すフマル酸と重合禁止剤としてターシャルブチルカテコール5gを加えて、10℃/時間で昇温しながら210℃まで反応させた。更に表1に示す無水トリメリット酸を加えて、架橋反応を所定の軟化点に達するまで行い樹脂Cを得た。なお、樹脂Cにおける、ポリエステル単量体とビニル系樹脂単量体の重量比(ポリエステル単量体/ビニル系樹脂単量体の重量比)は70/17である。
樹脂製造例4〜6
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及びエステル化触媒としてオクチル酸スズ40gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で8時間縮重合反応させた。さらに、8.3kPaで1時間反応させた後、210℃に冷却し、表1に示す無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応を行い、樹脂D〜Fを得た。
Figure 0005100040
トナー製造例1〜9
表2に示すトナー原料をヘンシェルミキサーにて攪拌混合後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱温度は120℃であり、混合物の供給速度は10kg/時間、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を冷却ローラーで圧延冷却した後、ジェットミルで粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)4.5μmの粉体を得た。得られた粉体100重量部に対して、外添剤として「アエロジル R-974」(日本アエロジル社製)1.3重量部を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナーを得た。
Figure 0005100040
実施例1〜6及び比較例1〜2(実施例2、5、6は参考例である)
得られた黒トナー又はイエロートナー5重量部とシリコーン樹脂にて被覆した平均粒子径50μmの鉄粉キャリア95重量部とをボールミルにて混合し、二成分現像剤を得た。
得られた黒トナーの二成分現像剤、及びイエロートナーの二成分現像剤を「プリテール550」(リコー社製)に実装し、Hammermill(LaserPrint、90g紙)上に、5cm四方の黒ベタ部と黄色のベタ部を有する画像の印刷(定着温度180℃、定着速度50mm/sec)を行った。得られた定着画像について、反射型画像濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて印刷初期の画像濃度を測定した。また、Xerox社製50g紙に印字率5%の画像を未定着で3000枚印字した後に、Hammermill(LaserPrint、90g紙)上に、5cm四方のベタ画像の印刷(定着温度180℃、定着速度50mm/sec)を行い、連続印刷後の画像濃度を測定した。黒トナーの画像濃度については、印刷初期の画像濃度と連続印刷後の画像濃度の差を、黒トナーとイエロートナーの画像濃度の差については、連続印刷後の画像濃度差を、下記の評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
〔黒トナーの画像濃度の評価基準〕
◎:0.15未満
○:0.15以上、0.20未満
△:0.20以上、0.25未満
×:0.25以上
〔黒トナーとイエロートナーの画像濃度差の評価基準〕
◎:0.15未満
○:0.15以上、0.20未満
△:0.20以上、0.25未満
×:0.25以上
Figure 0005100040
以上の結果より、実施例のトナーは、比較例と対比して、黒色安定性を示し、また、カラートナーと共に使用した場合であっても、濃度差が少なく安定した高画質を実現できていることが分かる。
本発明の黒トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられる。



Claims (5)

  1. スチレンの存在下で得られる結着樹脂及び鉄アゾ錯体を含有してなる黒トナーであって、トナー中のスチレン含有量が5〜60ppmであり、前記鉄アゾ錯体が、式(II):
    Figure 0005100040
    (式中、R1 及びR2は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、スルホンアミド基、スルホン酸基、カルボキシエステル基、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルコキシ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基又はハロゲン原子を示し、R1とR2 は同じであっても異なっていてもよく、X1 及びX2 は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、ニトロ基又はハロゲン原子を示し、X1とX2 は同じであっても異なっていてもよく、A は水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンを示し、m及びnは1〜3の整数を示す)
    で表される化合物であり、前記鉄アゾ錯体の含有量が、結着樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部である黒トナーであり、
    前記結着樹脂が、アルコール成分とカルボン酸成分とを含むポリエステルの原料モノマー及びスチレンを含む付加重合系樹脂の原料モノマーを用いて得られる複合樹脂であり、スチレンを含む付加重合系樹脂単量体を付加重合反応させる工程(A)、(A)の終了後に、工程(A)で生じる反応混合物に蒸気を添加する工程(B)、及び工程(B)の後の時点で、さらに架橋剤となる3価以上の縮重合系樹脂単量体を反応系に存在させて縮重合反応させる工程(C)を含む方法により得られ複合樹脂であり、
    該複合樹脂が、ポリエステルの原料モノマーと付加重合系樹脂の原料モノマーに加えて、さらにポリエステルの原料モノマー及び付加重合系樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物を用いて得られる樹脂である、黒トナー。
  2. カルボン酸成分が芳香族カルボン酸化合物を40モル%以上含有してなる、請求項1記載の黒トナー。
  3. アルコール成分が、式(I):
    Figure 0005100040
    (式中、ROはアルキレンオキサイドであり、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す正の数であり、xとyの和は1〜16である)
    で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を、アルコール成分中、40モル%以上含有してなる、請求項1又は2記載の黒トナー。
  4. 請求項1〜いずれか記載の黒トナーとカラートナーを用いて画像を形成する画像形成方法。
  5. カラートナーが少なくともスチレンの存在下で得られる結着樹脂を含有してなるものであって、カラートナーに含まれるスチレンと黒トナーに含まれるスチレンの重量比(黒トナー/カラートナー)が、0.2/1〜2/1である、請求項記載の画像形成方法。
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