JP5099416B2 - ポリエステルの高温水による分解法 - Google Patents

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Description

本発明は、高温水を用いてポリエステルを原材料まで分解する方法に関するものであり、更に詳しくは、高温水を用いてポリエステルを効率よく原材料のモノマーまで分解し、更に、該原材料を用いてポリエステル製品を再生産することを可能とする環境調和型ケミカルリサイクルプロセスに関するものである。
例えば、ポリエステルであるポリエチレンテレフタレートは、飲料用ボトル、食品容器として広く用いられている。このポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸とエチレングリコールの共重合により製造されている。使用後のポリエチレンテレフタレート製品は、オリゴマーを経てモノマーであるテレフタル酸とエチレングリコールへ分解し、得られたモノマーを更に重合させることで、ポリエチレンテレフタレートを製造でき、これらは、何度でも繰りかえし使用することができる。
本発明は、ポリエステル製品であるポリエチレンテレフタレート(PET)製品又はポリエチレンナフタレート(PEN)製品をモノマーへ分解する際に、有機溶媒等を使用せず、水を用いて効率的に分解し、モノマーを製造する方法、及び該モノマーを原材料として用いてPET製品又はPEN製品を再生産する方法を提供し、新しいポリエステルのケミカルリサイクル技術を確立することを実現するものである。
従来、ポリエステル製品であるポリエチレンテレフタレート製ボトル(PETボトル)等をリサイクルするシステムの構築が強く求められている。そこで、先行技術として、例えば、ポリエステルの一種であるポリエチレンテレフタレートをエチレングリコールによる解重合反応及びメタノールによるエステル交換反応を実施して、テレフタル酸ジメチル及びエチレングリコールを分離精製するプロセスを利用して、市販と同等品質のポリエチレンテレフタレート製品を製造し、更に、これらの原料によりポリエステル製品を製造して市場に循環・供給するポリエステルのリサイクルシステムが提案されている(特許文献1)。
しかし、上記の特許文献1の発明では、メタノールによるエステル交換反応の過程で、メタノールやエステル交換触媒である金属触媒を使用する必要があり、上記反応系では、メタノールを用いることが必須とされており、環境及び人体に有害な影響を及ぼす恐れがあり、より環境調和型のポリエチレンテレフタレートの分解技術の開発が強く望まれている。
また、先行技術として、水を用いてポリエステルであるポリエチレンテレフタレートを原料モノマーであるテレフタル酸とエチレングリコールへ分解することが報告されている。該方法では、反応温度400℃の水中でポリエチレンテレフタレート処理すると、ポリエチレンテレフタレートを分解でき、反応時間12.5分で91%の収率でテレフタル酸と20%の収率でエチレングリコールが得られている。反応温度300℃では90%以上のテレフタル酸収率を得るのに90分を要している(非特許文献1)。
上記非特許文献1に示されるように、上記方法では、ポリエチレンテレフタレートは、400℃の非常に高い温度で分解されており、テレフタル酸は得やすいが、高収率でエチレングリコールを得ることはかなり困難であることがわかる。更に温度を下げると、10分程度の短時間反応では、テレフタル酸モノマーの収率が低下することが報告されており、収率を向上させるには、長時間の反応を要する技術的問題点が認められる。
また、400℃の高温水中では、エチレングリコールは容易に分解しやすく、あるいは重合するために、収率が低くなるという問題点が認められる。そのため、当該技術分野においては、より高効率で、且つ短時間でポリエステルを分解することを可能とする簡便な環境調和型プロセスの開発が望まれていた。
即ち、従来の400℃の高温水を利用するポリエチレンテレフタレートのケミカルリサイクル技術では、ポリエチレンテレフタレートがオリゴマーを経てモノマーへ分解されるが、テレフタル酸に比較して、原料であるエチレングリコール収率が大きく減少するなどの問題点があった。
また、400℃という高温水を得るには、かなりのエネルギーコストを要する。そのため、より低温の水を用いてエネルギーコストを下げ、且つできる限り効率的にポリエチレンテレフタレートを分解できるプロセスの開発が強く要望されていた。
一般に、限りある石油資源を原料とするプラステック系高分子を、使用後にモノマーまで分解し、再び重合されて新たな製品に化学合成するケミカルリサイクル技術の開発が、持続可能な社会の構築のために重要である。近年、飲料用ボトルとしての利用が増加しているポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸とエチレングリコールの縮重合ポリマーであり、グリコリシス法などによりケミカルリサイクルされている。しかし、現在の分別回収システムを利用し、簡便で有害物質を使用せず、且つ経済的に成り立つプロセスの開発が望まれる。
特開2002−167469号公報 阿尻雅文、佐藤修、町田勝彦、斉藤功夫、新井邦夫、高分子論文集、第23巻、第4号pp.505−511(1997)
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、これらの問題点を抜本的に解決すべく長年鋭意研究を積み重ねた結果、ポリエチレンテレフタレートの水による分解反応の際に、生成物であるテレフタル酸を反応に関与させることによって、より低い反応温度で、効率的に、ポリエチレンテレフタレートの分解反応が進行することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、例えば、従来法と比べて、より低温の150〜350℃の水を用い、反応系に反応の生成物モノマーであるジカルボン酸を添加することによって、ポリエステルを効率よく分解することが可能な環境調和型及び省エネルギー型のポリエステルのモノマーへの分解法、及び該分解法を利用して得られるモノマーを原材料として用いてPET製品を再生産するリサイクルシステムを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)温度150〜350℃の高温水を用いてポリエステルを分解する方法であって、1)該高温水を含む反応系内に分解対象のポリエステルの構成成分であるジカルボン酸を添加してポリエステルを加水分解すること、2)上記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)であること、3)上記ジカルボン酸が、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸であること、を特徴とするポリエステルの分解法。
)ポリエステルに対する水のグラム比が、1〜100の範囲である、前記(1)に記載のポリエステルの分解法。
)ポリエチレンテレフタレートが、廃PET樹脂である、前記(1)に記載のポリエステルの分解法。
)ポリエステルを加水分解して該ポリエステルの構成成分であるテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールに分解し、分離する、前記(1)に記載のポリエステルの分解法。
)反応系を冷却して、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を固体の状態で分離し、水に溶けた状態のエチレングリコールを蒸留して水と分離する、前記()に記載のポリエステルの分解法。
)前記(1)から()のいずれかに記載の方法で分離したテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸及び/又はエチレングリコールを原材料として用いて、PET又はPEN製品を再生産することを特徴とするPET又はPEN製品の再生産方法。
)前記()から()のいずれかに記載の方法を利用してポリエステルを水だけで加水分解して分離したテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを原材料として、PET又はPEN製品を再生産することを特徴とするPET又はPEN製品のリサイクルシステム。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、150℃を上回る高温水を用いてポリエステルを分解する方法であって、該高温水を含む反応系内にポリエステルの構成成分であるジカルボン酸を添加してポリエステルを加水分解することを特徴とするものである。本発明では、上記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)であること、上記ポリエチレンテレフタレートが、廃PET樹脂であること、を好ましい実施態様としている。
また、本発明では、上記ポリエステルを加水分解して該ポリエステルの構成成分であるテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールに分解し、分離すること、上記ポリエステルの分解法において、反応系を冷却して、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を固体の状態で分離し、水に溶けた状態のエチレングリコールを蒸留して水と分離すること、を好ましい実施態様としている。本発明では、反応系に添加するジカルボン酸として、上記分離したテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることも適宜可能である。
また、本発明は、PET又はPEN製品の再生産方法であって、上記の方法で分離したテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸及び/又はエチレングリコールを原材料として用いて、PET又はPEN製品を再生産することを特徴とするものである。更に、本発明は、PET又はPEN製品のリサイクルシステムであって、上記の方法を利用してポリエステルを水だけで加水分解して分離したテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを原材料として、PET又はPEN製品を再生産することを特徴とするものである。
本発明のポリエステルの高温水による分解技術についての説明を容易にするために、以下、主に、ポリエチレンテレフタレートの場合を例として、ポリエチレンテレフタレートと水を内容積10mlの反応容器に導入してモノマーへ加水分解する反応を例にとって詳細に説明するが、ポリエチレンナフタレートの場合についても、同様に実施することができる。
本発明において用いられるポリエステル系樹脂としては、好適には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が例示される。本発明において、廃PET樹脂とは、ポリエチレンテレフタレート製の原材料及び製品のあらゆる種類のリサイクル品を含むものとして定義される。
本発明では、反応系の反応温度は、150℃以上であれば特に限定されないが、通常用いられる反応温度は150〜350℃であり、好ましい反応温度は200〜350℃であり、より好ましい反応温度は230〜330℃であり、最も好ましい反応温度は250〜320℃である。反応温度があまりに低ければ、反応速度は低下して、効率の良い分解法とはならない。また、反応温度が、極端に高くなればランニングコストが増大し、生成物の分解や重合反応が起きてモノマー収率が低下し、経済的な方法とはならない。
本発明においては、ポリエチレンテレフタレートに対するジカルボン酸のテレフタル酸の添加量は、ポリエチレンテレフタレート中のジカルボン酸ユニット基準で通常用いられる値は、0.1〜10倍であり、好ましい値は0.1〜5倍、より好ましい値は0.5〜5倍、最も好ましい値は0.5〜3倍の範囲である。
勿論、本発明においては、これらの範囲の値のみに限定されるものではないが、添加量があまりに少なければ、反応速度が低下して効率の良い分解反応が進行しない。また、添加量が極端に多くなれば、生成物の純度には影響が無いが、反応物の量が制限されるなど効率的な方法とはなり難い。
ポリエステルの分解反応を実施するに際し、原料であるポリエステルと水の仕込み組成は、ポリエステルと水が十分に接触することができるものであればどんな割合であっても一向に差し支えないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートの分解反応において高い転化率を達成するのであれば、ポリエステルに対する水の量を高くすることが望ましい。
本発明においては、ポリエチレンテレフタレートに対する水のグラム比の通常用いられる値は、1〜100の範囲であり、好ましい値は1〜50の範囲であり、より好ましい値は3〜50の範囲であり、最も好ましい値は5〜20の範囲である。勿論、本発明においては、これらの範囲の値のみに限定されるものではないが、水の割合が極端に高くなればランニングコストが増大し、経済的な方法とはならない。
本発明の好適な反応の方式について述べると、本発明を実施するに際し、その反応方法としては、バッチ式、セミバッチ式、又は連続流通式のいずれかの方法又はこれら二つあるいは三つを組み合わせた方式を使用することができる。更に、本発明を実施するにあたり、例えば、バッチ反応を実施する際には、特にその雰囲気は限定されるものではないが、アルゴンや窒素などの不活性雰囲気で行うことが、酸化反応を抑えることができ、高い収率でモノマーが得られるという点で、好ましい。
従来法では、ポリエチレンテレフタレートをエチレングリコールによる解重合反応及びメタノールによるエステル変換反応により、テレフタル酸ジメチル及びエチレングリコールを分離、精製するプロセスが利用されており、また、反応温度400℃の水中でポリエチレンテレフタレートを処理してテレフタル酸とエチレングリコールに分解する方法が知られていたが、前者では、反応系にメタノールを用いている、また、後者では、高温であるためにエチレングリコールの収率が下がる、等の問題点があった。
これに対し、本発明では、150〜350℃の高温水を用いるだけで、有機溶媒を使用することなく、また、400℃という高温水を使用することなく、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを原料モノマーへ高い収率で分解することが可能であり、本発明は、ペットボトルなどに使われるPET又はPEN樹脂を水だけでリサイクルすることが可能な新しいペット樹脂等のリサイクルシステムを構築し、提供することを可能とするものである。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)高温水を用いたポリエステルの分解反応系に、反応生成物であるジカルボン酸を添加することによって、従来技術よりも、低温、且つ短時間でポリエステルを分解でき、エネルギーコストを低下することができる。
(2)高効率、且つ高収率でポリエステルを分解することができる。
(3)本発明のポリエステルの分解法は、有害なメタノールなどの有機溶媒を使用しない環境調和型のプロセスである。
(4)廃棄ポリエステル資源から、工業製品であるポリエステルのモノマー原料を高効率で回収して再利用することができる。
(5)PET樹脂又はPEN樹脂の新しいリサイクルシステムを構築し、提供することができる。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、以下の実施例は、本発明の好適な例を具体的に説明するものであり、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(反応生成物の分析)
以下の実施例において、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート)の分解による反応生成物の分析は、以下の手順に従って実施した。即ち、高温水で分解した生成物を蒸留水を用いて回収し、メンブレンフィルター(日本ミリポア(株)製、孔径0.2μm)によって吸引ろ過し、固体(固体A)とろ液(ろ液A)を得た。固体Aは、水酸化ナトリウム水溶液で処理し、メンブレンフィルター(日本ミリポア(株)製、孔径0.2μm)を用いて吸引ろ過し、固体(固体B)とろ液(ろ液B)を得た。次に、ろ液Bは、塩酸水溶液で処理し、メンブレンフィルター(日本ミリポア(株)製、孔径0.2μm)を用いて吸引ろ過し、固体(固体C)とろ液(ろ液C)を得た。
固体Bを乾燥秤量し、未反応ポリエチレンテレフタレートを得た。ろ液A中に含まれるエチレングリコール量をガスクロマトグラフにより決定した。固体Cを乾燥処理したものと、ろ液Aからエチレングリコールと水を除去して得られる固体分を合わせてテレフタル酸量とした。ろ液Cに含まれるエチレングリコールは、オリゴマー由来のエチレングリコールとしてガスクロマトグラフにより定量した。
以下の実施例において、ポリエチレンテレフタレートを高温の水とテレフタル酸により処理する方法では、テレフタル酸収率、エチレングリコール収率、及びオリゴマー収率は、以下の様に計算した。また、ポリエチレンナフタレートを処理する場合についても、同様に計算した。
テレフタル酸収率=(固体C及びろ液Aから得られたテレフタル酸量)/(ポリエチレンテレフタレート中に含まれるテレフタル酸ユニット数)×100
エチレングリコール収率=(ろ液A中のエチレングリコール量)/(ポリエチレンテレフタレート中に含まれるエチレングリコールユニット数)×100
オリゴマー収率=(ろ液C中に含まれるオリゴマー由来のエチレングリコール量)/(ポリエチレンテレフタレート中に含まれるエチレングリコールユニット数)×100
内容積10mlのステンレス製反応容器に、ポリエチレンテレフタレート(Aldrich社製5×5×5mm、平均分子量18000)0.530g、水5.0gとテレフタル酸0.460gを入れ、系内をアルゴンで置換した後、反応温度300℃で10分間分解反応を行った。反応終了後、反応温度を下げ、生成物を蒸留水で回収し、上記の手順により、未反応ポリエチレンテレフタレート、テレフタル酸、エチレングリコール、オリゴマー量を測定した。その結果、ポリエチレンテレフタレートの分解率は100%であった。生成物の収率は、テレフタル酸100%、エチレングリコール100%であった。オリゴマーは生成していなかった。
内容積10mlのステンレス製反応容器に、ポリエチレンテレフタレート(Aldrich社製5×5×5mm、平均分子量18000)0.530g、水5.0gとテレフタル酸0.460gを入れ、系内をアルゴンで置換した後、反応温度265℃で10分間分解反応を行った。反応終了後、反応温度を下げ、生成物を蒸留水で回収し、未反応ポリエチレンテレフタレート、テレフタル酸、オリゴマー量を測定した。その結果、ポリエチレンテレフタレートの分解率は100%であった。生成物の収率は、テレフタル酸56%、エチレングリコール56%であり、オリゴマー収率44%であった。
比較例1
内容積10mlのステンレス製反応容器に、ポリエチレンテレフタレート(Aldrich社製5×5×5mm、平均分子量18000)0.530g、水5.0gを入れ、系内をアルゴンで置換した後、反応温度265℃で10分間分解反応を行った。未反応ポリエチレンテレフタレート、テレフタル酸、オリゴマー量を測定した。その結果、ポリエチレンテレフタレートの分解率は95%であった。生成物の収率は、テレフタル酸34%、エチレングリコール34%であり、オリゴマー収率61%であった。
(1)実験方法
ポリエチレンテレフタレート(Aldrich社製)530mgあるいはポリエチレンナフタレート(Aldrich社製)670mgと精製水5gをステンレス製反応容器(内容積10ml)に封管後、金属溶融塩浴を用いて昇温加熱処理した。反応終了後、反応管を急速に冷却し、生成物を精製水と共に回収し、GC、TOCを用いて定量分析した。なお、本実験での回収率は94%であった。
(2)結果
反応温度200℃では、長時間処理してもポリエチレンテレフタレートの加水分解は起こらなかったが、反応温度250℃では20分処理でポリエチレンテレフタレートはオリゴマーに分解した。反応時間と共にモノマーへと加水分解し、60分処理で89%及び88%の収率でテレフタル酸とエチレングリコールを得た。反応温度300℃では、反応時間10分でポリエチレンテレフタレートがほぼ完全に加水分解し、収率89%及び93%でテレフタル酸とエチレングリコールが得られた。反応時間20分で、オリゴマーも完全に消失し、テレフタル酸とエチレングリコール収率は94%となった。更に、長時間反応させたところ、テレフタル酸収率は一定であったが、エチレングリコール収率は徐々に減少した。
反応温度350℃で、テレフタル酸収率は94%であったが、エチレングリコール収率は反応時間と共に大きく減少し、処理時間60分で33%となった。エチレングリコールは350℃の水中では安定であるが、テレフタル酸が系内に共存すると、テレフタル酸由来のプロトンにより脱水反応を起こし、アルデヒドやジエチレングリコールになる。350℃以上の加水分解では、十分なエチレングリコール収率が得られないことがわかった。
ポリエチレンナフタレートの高温高圧水中での挙動は、ポリエチレンテレフタレートとほぼ同様であり、300℃で加水分解され、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDA)とエチレングリコールがそれぞれ94%及び94%の収率で得られた。また、ポリエチレンテレフタレートの分解と同様に、ポリエチレンナフタレート分解反応では、反応温度350℃以上では、生成物である2,6−ナフタレンジカルボン酸由来のプロトンにより、エチレングリコール収率が低下することがわかった。
内容積10mlのステンレス製反応容器に、ポリエチレンナフタレート(Aldrich社製)670mg、水5gと2,6−ナフタレンジカルボン酸300mgを入れ、系内をアルゴンで置換した後、反応温度275℃で10分間分解反応を行った。反応終了後、反応温度を下げ、生成物を蒸留水で回収し、未反応ポリエチレンナフタレート、2,6−ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコール、オリゴマー量を測定した。その結果、ポリエチレンナフタレートの分解率は100%であった。生成物の収率は、2,6−ナフタレンジカルボン酸57%、エチレングリコール57%であり、オリゴマー収率43%であった。
比較例2
内容積10mlのステンレス製反応容器に、ポリエチレンナフタレート(Aldrich社製)670mgと水5gを入れ、系内をアルゴンで置換した後、反応温度275℃で10分間分解反応を行った。反応終了後、反応温度を下げ、生成物を蒸留水で回収し、未反応ポリエチレンナフタレート、2,6−ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコール、オリゴマー量を測定した。その結果、ポリエチレンナフタレートの分解率は90%であった。生成物の収率は、2,6−ナフタレンジカルボン酸25%、エチレングリコール25%であり、オリゴマー収率65%であった。
内容積10mlのステンレス製反応容器に、ポリエチレンナフタレート(Aldrich社製)670mg、水5gと2,6−ナフタレンジカルボン酸300mgを入れ、系内をアルゴンで置換した後、反応温度275℃で60分間分解反応を行った。反応終了後、反応温度を下げ、生成物を蒸留水で回収し、未反応ポリエチレンナフタレート、2,6−ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコール、オリゴマー量を測定した。その結果、ポリエチレンナフタレートの分解率は100%であった。生成物の収率は、2,6−ナフタレンジカルボン酸95%、エチレングリコール95%であった。
比較例3
内容積10mlのステンレス製反応容器に、ポリエチレンナフタレート(Aldrich社製)670mgと水5gを入れ、系内をアルゴンで置換した後、反応温度275℃で60分間分解反応を行った。反応終了後、反応温度を下げ、生成物を蒸留水で回収し、未反応ポリエチレンナフタレート、2,6−ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコール、オリゴマー量を測定した。その結果ポリエチレンナフタレートの分解率は100%であった。生成物の収率は、2,6−ナフタレンジカルボン酸95%、エチレングリコール95%であった。
以上詳述したように、本発明は、水によってポリエステルをモノマーに分解し、これを原材料としてPET又はPEN製品を再生産する方法に係るものであり、本発明により、有害なメタノールなどの有機溶媒を使用しない環境調和型のポリエステルの分解方法を提供することができる。本発明によれば、分解生成物であるジカルボン酸を添加することによって、従来技術よりも高効率でポリエステルを分解し、原料モノマーを得ることができる。これにより、水だけでポリエステルをモノマーに分解して高効率で原料回収及びPET又はPEN製品の再生産を可能とする新しい工業的リサイクル技術を確立することを実現できる。本発明では、例えば、ペットボトルなどに使われるPET樹脂を水だけでリサイクルすることが可能であり、本発明は、PET製品又はPEN製品の新しいリサイクルシステムを提供するものとして高い技術的意義を有する。
PET及びPENの加水分解を示す。 300℃におけるPETの加水分解における反応時間と回収率の関係を示す。

Claims (7)

  1. 温度150〜350℃の高温水を用いてポリエステルを分解する方法であって、1)該高温水を含む反応系内に分解対象のポリエステルの構成成分であるジカルボン酸を添加してポリエステルを加水分解すること、2)上記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)であること、3)上記ジカルボン酸が、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸であること、を特徴とするポリエステルの分解法。
  2. ポリエステルに対する水のグラム比が、1〜100の範囲である、請求項1に記載のポリエステルの分解法。
  3. ポリエチレンテレフタレートが、廃PET樹脂である、請求項1に記載のポリエステルの分解法。
  4. ポリエステルを加水分解して該ポリエステルの構成成分であるテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールに分解し、分離する、請求項1に記載のポリエステルの分解法。
  5. 反応系を冷却して、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を固体の状態で分離し、水に溶けた状態のエチレングリコールを蒸留して水と分離する、請求項に記載のポリエステルの分解法。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の方法で分離したテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸及び/又はエチレングリコールを原材料として用いて、PET又はPEN製品を再生産することを特徴とするPET又はPEN製品の再生産方法。
  7. 請求項からのいずれかに記載の方法を利用してポリエステルを水だけで加水分解して分離したテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを原材料として、PET又はPEN製品を再生産することを特徴とするPET又はPEN製品のリサイクルシステム。
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