JP5099173B2 - アンテナユニット及びアンテナシステム - Google Patents
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Description
ただし、テレビ放送用の送信アンテナは、それほど多数設置されるものではないため、アンテナが組み付けられる鉄塔が、巨大であっても許容されていた。
そこで、本発明は、アンテナシステムを小型化するための新たな技術を提供することを目的とする。
また、複数のダイポールアンテナの合成インピーダンスが、同軸給電線のインピーダンスと略一致しているため、複数のダイポールアンテナがあっても、インピーダンス整合をとるための整合トランスが不要であり、小型化が図られている。つまり、本発明では、個々のダイポールアンテナのインピーダンスが、同軸給電線のインピーダンスよりも大きく設定されており、これにより並列的な接続関係にある複数のダイポールアンテナの合成インピーダンスが、同軸給電線のインピーダンスと略一致するまで小さくなっている。
なお、複数のダイポールアンテナの個々のインピーダンスを、略同じ値にした場合、ダイポールアンテナの数をnとし、同軸給電線のインピーダンスをZとすると、個々のダイポールアンテナのインピーダンスは、Zの略n倍とすればよい。この場合、複数のダイポールアンテナの合成インピーダンスは、略Zとなり、同軸給電線のインピーダンスと略一致する。
また、複数のダイポールアンテナの合成インピーダンスが、同軸給電線のインピーダンスと略一致しているため、複数のダイポールアンテナがあっても、インピーダンス整合をとるための整合トランスが不要であり、小型化が図られている。つまり、本発明では、個々のダイポールアンテナのインピーダンスが、同軸給電線のインピーダンスよりも大きく設定されており、これにより並列的な接続関係にある複数のダイポールアンテナの合成インピーダンスが、同軸給電線のインピーダンスと略一致するまで小さくなっている。
なお、複数のダイポールアンテナの個々のインピーダンスを、略同じ値にした場合、ダイポールアンテナの数をnとし、同軸給電線のインピーダンスをZとすると、個々のダイポールアンテナのインピーダンスは、Zの略n倍とすればよい。この場合、複数のダイポールアンテナの合成インピーダンスは、略Zとなり、同軸給電線のインピーダンスと略一致する。
そこで、複数のダイポールアンテナそれぞれにおいて、第1端子部から延びている第1平行導体、この第1平行導体と平行になって第2端子部から延びている第2平行導体、及び第1平行導体と第2平行導体とを短絡している短絡導体を備えることによって、同軸給電線の内部導体及び外部導体を平衡伝送線路でダイポールアンテナに接続した構成としている。そして、この構成により、交叉偏波を低減し、所望のアンテナ性能を得ることが可能となることが見出された。
この結果、保持部材によって取付支柱の周囲に取り付けられる複数のダイポールアンテナそれぞれと、給電線接続部との間に、従来知られている平衡不平衡変換回路部を設ける必要がなくなるため、例えば複数のダイポールアンテナを給電線接続部に近づけて設置することができ、所望のアンテナ性能を得ながらにして、アンテナユニットの小型化が可能となる。
(5)また、本発明は、複数のアンテナユニットを、取付支柱の高さ方向に並べて設けたアンテナシステムであって、前記アンテナユニットは、前記(1)又は(2)に記載のアンテナユニットであることを特徴とする。
本発明によれば、各アンテナユニットは小型化されるため、アンテナシステムも小型化が可能となる。また、複数のアンテナユニットを取付支柱の高さ方向に並べて多段化しており、利得を高くすることができる。
[1.アンテナシステムの全体構成]
図1は、本発明に係るアンテナシステム1を、建物Bの屋上に設置した例を示している。このアンテナシステム1は、VHF帯の垂直偏波無指向アンテナであり、利得を高くするため、取付支柱2の高さ方向に、複数のアンテナユニット3を設けて構成されている。
この支柱2は、複数の分割支柱2a,2bを高さ方向に接続して構成されている。したがって、複数の分割支柱2a,2bを分離させた状態で、アンテナシステムの設置現場まで運搬することが可能である。
各アンテナユニット3は、図3に示すように、複数(本実施形態では2個)の折り返しダイポールアンテナ31,32を有している。折り返しダイポールアンテナ31,32は、それぞれ、平行に配置されたダイポール本体部31a,32aと、折り返し部(折り返しエレメント)31b,32bと、を有している。ダイポール本体部31a,32aと、折り返し部31b,32bとは、その長手方向両端側(上下両端)において、接続部(第1の接続部材)31c,32cを介して、接続されている。
なお、ダイポール本体部31a,32a、折り返し部31b,32b、及び接続部31c、32cは、アルミ、真鍮等の銅合金、又は鉄などの金属材料(導電体)の棒材又は板材よりなる。
各折り返しダイポールアンテナ31,32は、長手方向が、垂直方向(鉛直方向)に向けられており、それぞれ垂直偏波アンテナとして機能する。
図3では左側の給電部31dは、主給電線側と接続される一対の第1と第2の端子部31d−1,31d−2が、ダイポール本体部31aの長手方向に間隔を持って配置されることで構成されている。そして、右側の給電部32dは、主給電線側と接続される一対の第1と第2の端子部32d−1,32d−2が、ダイポール本体部32aの長手方向に間隔を持って配置されることで構成されている。
第1のアンテナエレメント31a−1,32a−1及び第2のアンテナエレメント31a−2,32a−2それぞれは、接続部31c,32cを通じて、折り返し部31b,32bに電気的に接続されている。
そして、第1のアンテナエレメント31a−1,32a−1の第2のアンテナエレメント31a−2,32a−2側端部には、前記第1端子部31d−1,32d−1が設けられ、第1のアンテナエレメント31a−1,32a−1と第1端子部31d−1,32d−1とは電気的に接続されており、第2のアンテナエレメント31a−2,32a−2の第1のアンテナエレメント31a−1,32a−1側端部には、第2端子部31d−2,32d−2が設けられており、第2のアンテナエレメント31a−2,32a−2と第2端子部31d−2,32d−2とは電気的に接続されている。
この補強部材31f,32fによって折り返しダイポールアンテナ31,32全体の強度が更に向上すると共に、後にも説明するが、補強部材31f,32fは、金属材料(導電体)の棒材や板材よりなる保持部材33を介して、取付支柱2と電気的に接続されており、避雷機能を有している。
なお、補強部材31f,32fは、導電性であるが、折り返しダイポールアンテナ31,32の長手方向中央に位置するため、補強部材31f,32の存在がアンテナ性能に与える影響は少ない。
保持部材33は、2個の折り返しダイポールアンテナ31,32を一体的に固定して、アンテナユニット3を一体的に取付支柱2に取り付けるためのものである。本実施形態では、保持部材33は、取付支柱2に取り付けられた状態において水平方向(横方向)に延びる棒状の部材であり、その長手方向両端に折り返しダイポールアンテナ31,32の絶縁部材31e,32eが取り付けられている。
したがって、保持部材33によって、アンテナユニット3が取付支柱2に取り付けられたときに、複数の折り返しダイポールアンテナ31,32は、取付支柱2の周囲に取り付けられていると共に、取付支柱2の略同じ高さに位置する。なお、保持部材33は、例えば、溶接や、ボルト(Uボルト)等の締結具によって、取付支柱2に固定される。
また、補強部材31f,32fは、その長手方向一端側が、折り返し部31b,32bの長手方向中央部31h,32hに電気的(DC的)に接続されているとともに、その長手方向他端が、保持部材33に電気的(DC的)に接続されている。そして、保持部材33は、取付支柱2に取り付けられたときに、取付支柱2の金属製の部分に接触するため、補強部材31f,32fは、取付支柱2に接地された状態となる。このため、折り返しダイポールアンテナ31,32は、補強部材31f,32f及び保持部材33を介して、取付支柱2に電気的に接続され、当該取付支柱2に接地されていることになる。これにより、耐雷特性が良好となる。
また、この折り返しダイポールアンテナ32は、第2のアンテナエレメント32a−2に給電する前記第2端子部32d−2を有しており、この第2端子部32d−2は、前記給電線接続部35に接続された主給電線(同軸ケーブル)5の外部導体5oと、後に説明する給電ユニット34(外部導体34o)を介して、電気的に接続されている。
第1平行導体12aと第2平行導体12bとは同じ形状(同じ断面形状であり同じ長さ)であり、また、本実施形態では、図4に示しているように、第1平行導体12aと第1端子部32d−1とは単一の部材からなり、第2平行導体12bと第2端子部32d−2とは単一の部材からなり、ダイポールアンテナ32の組み立てを容易としている。
第1平行導体12a、第2平行導体12b及び短絡導体12cは、ダイポール本体部32aなどと同様にアルミ、真鍮等の銅合金、又は鉄などの金属材料(導電体)よりなる。
このため、図4に示しているように、補強部材32fには孔(長孔)32gが形成されており、短絡導体12cはこの孔32gを通過している。この構成により、短絡部材12cは、孔32gに沿って移動可能であると共に、補強部材32fの途中部で支持された状態となる。また、短絡導体12cと補強部材32fとは接触しており電気的に接続された状態にある。
また、後に説明するが、第1平行導体12a、第2平行導体12b及び短絡導体12cによって、主給電線(同軸ケーブル)5の内部導体5i及び外部導体5oを、平衡伝送線路でアンテナ32に接続した構成となるため、平衡不平衡変換回路部(バルン)と同様の機能を有することができる。
さらに、短絡導体12cは、その両端部が例えばねじ部材によって締め付けられることで、第1平行導体12a及び第2平行導体12bに固定され、短絡導体12cは、第1平行導体12a及び第2平行導体12bに位置決めされ、また、このねじ部材を緩めることで移動可能となる。
このように、短絡導体12cを給電部32dに近づけたり離したりできるが、給電部32dに近づけすぎないように構成するのが好ましい。具体的に説明すると、例えば、使用周波数が214MHzである場合(波長λは約1400mm)、第1平行導体12aと第2平行導体12bとによる平衡伝送線路の端部(給電部32dと接続されている端部)から、短絡導体12cによる短絡位置12a−1,12b−1までの長さL(図5参照)は、λ/35(40mm)以上であるのが好ましい。
これは、短絡導体12cが本実施形態のように移動可能であっても、固定型であっても同様である。なお、図3の実施形態では、前記長さL(図5参照)の最大値は、短絡導体12cが折り返し部32bに接触しない位置として制限されるが、長さLの最大値は、短絡部材12cが折り返し部32bに接触する位置までとすることができる。
また、前記長さLの最大値を得るためには、第1平行導体12aと第2平行導体12bとを折り返し部32bに接触するまで延長すればよい。なお、短絡部材12cを移動させるための長孔(長孔12a−2、長孔12b−2、及び長孔32g:図4参照)は、折り返し部32bまで延長して形成される。そして、短絡部材12cを取り外し可能である構成とし、当該短絡部材12cを取り外した場合に、前記長さLの最大値を得ることができる。つまり、この場合、折り返し部31bの一部が、短絡部材12cを兼ねることとなる。
そして、この仮想鉛直面Fを挟んで左右に隣り合う一対の折り返しダイポールアンテナ31,32の、左右の第1平行導体11a,12a同士は、当該仮想鉛直面Fを挟んで左右対称に配置されており、第2平行導体同士11b,12bは、当該仮想鉛直面Fを挟んで左右対称に配置されている。
この構成によれば、隣り合う一対の折り返しダイポールアンテナ31,32の指向性を等しくすることができ、水平面の指向性を無指向にしやすくなる。なお、左右の短絡導体11c,12cの配置は、図6ではX軸方向に位置調整されるため、仮想鉛直面Fを挟んで左右対称とならない場合がある。
図7は、アンテナユニット3の一部を示している正面図である。アンテナユニット3は、2個の折り返しダイポールアンテナ31,32にそれぞれ給電するための給電ユニット34を、アンテナ31,32間に備えている。
給電ユニット34は、無線機4(図1参照)から延びる主給電線(同軸ケーブル)5のアンテナユニット側端部6が接続される給電線接続部35と、この給電線接続部35から分岐して複数のダイポールアンテナ31,32それぞれの給電部31d,32dに並列的に延びる分岐給電線36と、を有している。この給電線接続部35に主給電線(同軸ケーブル)5が接続されることにより、前記分岐給電部36と共同して、折り返しダイポールアンテナ31,32それぞれに給電を行うことができる。
よって、主幹給電線35bと分岐給電線36とはインピーダンス整合がとれており、これらの間に整合トランスは不要である。
なお、同軸管(主幹給電線35b・分岐給電線36a,36b)のインピーダンスは、内部導体の径と外部導体の径との比率によって決まる。したがって、内部導体ないし外部導体の径を適宜設定すれば、上記のような所望のインピーダンスが得られる。
また、第1分岐給電線36a(第1折り返しダイポールアンテナ31)のインピーダンスと、第2分岐給電線36b(第2折り返しダイポールアンテナ32)のインピーダンスとは、等しいため、第1分岐給電線36aと第2分岐給電線36bとには電力が均等に分配される。また、電力分配比を代えるには、分配したい比率の逆数でかつ合成インピーダンスが50Ωとなるように、第1分岐給電線36a(第1折り返しダイポールアンテナ31)のインピーダンスと、第2分岐給電線36b(第2折り返しダイポールアンテナ32)のインピーダンスとを設定すればよい。
なお、折り返しダイポールアンテナ31,32の数は、本実施形態の2個に限定されるものではないが、複数の分岐給電線36a,36bへの均等分配を確保するには、2個が有利である。
よって、各折り返しダイポールアンテナ31,32と各分岐給電線36a,36bとはインピーダンス整合がとれており、これらの間に整合トランスは不要である。
したがって、並列接続された2個の折り返しダイポールアンテナ31,32の合成インピーダンスは50Ωであり、主給電線5のインピーダンス(50Ω)と略一致する。このため、主給電線5と折り返しダイポールアンテナ31,32との間には、整合トランスは不要である。
ここで、図8は、分岐導体81を用いた一般的な平衡不平衡変換回路部を示している説明図である。この平衡不平衡変換回路部は、同軸給電線(同軸ケーブル)82と平行であって、当該同軸給電線82と同径の分岐導体81が配置されている。この分岐導体81の一端側は、同軸給電線82の外部導体82oと第1短絡線83によって短絡されており、分岐導体81の他端側は、同軸給電線82の内部導体82iと第2短絡線84によって短絡された構成である。そして、分岐導体81の他端側に負荷としてアンテナエレメント85が接続されており、同軸給電線82の外部導体82oの端部にアンテナエレメント86が接続されている。
この回路部を用いることにより、同軸線路の伝送モードである不平衡モードを、ダイポールアンテナの伝送モードである平衡モードに変換するので、不要放射を抑制することができる。なお、この回路部による平衡不平衡変換機能に関しては、文献[遠藤敬二、佐藤源貞、永井淳 著者、「アンテナ工学」257頁、総合電子出版社、昭和59年3月21日(第3版)]に記載されている。
しかし、折り返しダイポールアンテナ31,32それぞれは、前記のとおり第1平行導体12a、第2平行導体12b、及び短絡導体12cを備えていることによって、平衡不平衡変換回路部と同様の機能を有することができ、交叉偏波を低減し、所望のアンテナ性能を得ることが可能となる。
この結果、本実施形態によれば、2つの折り返しダイポールアンテナ31,32を相互に近づけて設置することが可能となり、アンテナユニット3の小型化が可能となる。
これに対し、図10の本実施形態では、全ての方向(角度)において、主偏波と交叉偏波との成分の差が20dB以上確保されている。このように、本実施形態によれば、交叉偏波を低減することができ、所望のアンテナ性能を得ることが可能となる。
この図12それぞれのグラフに示しているように、VSWRが最も低い周波数は、(a)が216MHz、(b)が227MHz、(c)が232MHz、(d)が236MHzである。なお、(a)(b)(c)(d)それぞれにおいて、VSWRが好ましい帯域(VSWRが1.5以下である帯域)に、大きな変化はなく、狭くなることもない。
このように、短絡部材12cの位置を変化させることにより、簡単に、折り返しダイポールアンテナ32のインピーダンスを調整することができ、また、使用したい周波数帯においてVSWRを良好にすることができる。
図13において、符号71(0mm)から符号75(40mm)までは、短絡位置12a−1の移動ピッチは10mmであるが、移動ピッチ毎にインピーダンスの変化が大きい。これに対し、符号76(60mm)から符号78(100mm)までは、短絡位置12a−1の移動ピッチは20mmであるにも関わらず、移動ピッチ毎のインピーダンスの変化は、移動ピッチが10mmである場合よりも、小さくなっている。
つまり、これは、前記距離(長さL)がλ/35(40mm)未満では、短絡導体12cの位置変化に対して過敏にインピーダンスが変化していることを意味しており、インピーダンスの微妙な調整が難しくなるおそれがある。
そこで、前記距離つまり、前記長さLはλ/35(40mm)以上であるのが好ましい。
図14は、図6の断面図からダイポール本体部31a,32a、折り返し部32a,3b、連結部31c,32c及び取付支柱2を抜き出して描いたものである。
図14に示すように、取付支柱2の断面中心Oを座標中心とする水平面のXY直交座標系を考える。このXY直交座標系の4つの象限をそれぞれ、A1,A2,A3,A4とした場合、これらの4つの象限A1,A2,A3,A4の全てに、ダイポール本体部31a,32a又は折り返し部31b,32bのいずれかが存在している。
したがって、個々のアンテナ31,32が無指向性であっても、取付支柱2が金属性である場合に、この取付支柱2が反射板として機能し、個々のアンテナ31,32から取付支柱2へ向かう方向への電波放射が阻害される。
つまり、例えば、一方のアンテナ31のダイポール本体部31aから、他方のアンテナ32の折り返し部32bの方向へ放射される第1の電波は、取付支柱2により反射されて、他方のアンテナ32の折り返し部32bの方向へは伝わらないが、代わりに、他方のアンテナの折り返し部32bから放射される第2の電波が、前記第1の電波の代わりとなるので、無指向性が確保できる。
なお、ダイポール本体部31a,32aと折り返し部31b,32bとの間隔は、取付支柱2のX方向の横幅W2と略同程度であってもよいし、2個のダイポールアンテナ31,32の間隔(Y方向の間隔)は、取付支柱2のY方向の間隔W1と略同程度であってもよい。
図15は、アンテナユニット3の他の実施形態を示している斜視図である。このアンテナユニット3は、前記実施形態(図3)と同様に、2個の折り返しダイポールアンテナ31,32と、これらアンテナ31,32にそれぞれ給電するための給電ユニット134を備えている。なお、図15のアンテナユニット3と図3のアンテナユニット3との異なる点は、給電ユニット134と給電ユニット34との構成である。また、図15では、保持部材33として、絶縁部材31e,32eにそれぞれ取り付けられている左右のアーム部33aと、左右のアーム部33aの間に介在している板状部33bとを有しており、この板状部33bによってアンテナユニット3が取付支柱2に固定されている。
この給電ユニット134はアンテナ31,32の間に設けられており、無線機4(図2参照)から延びる主給電線(同軸ケーブル)5の端部が接続される給電線接続部135と、この給電線接続部135から複数のダイポールアンテナ31,32それぞれの給電部31d,32dへと電気的に並列となって設けられている給電中継部138とを有している。
これにより、第1中継給電部141及び第2中継給電部142は、前記給電線接続部135(内部導体接続部135a及び外部導体接続部135b)からアンテナ31,32の給電部31d,32dへと電気的に並列となって設けられた構成となる。
そして、第1中継給電部141及び第2中継給電部142それぞれのインピーダンスは、主給電線5のインピーダンスの略2倍に設定されている。例えば、主給電線5のインピーダンスが50Ωであれば、第1中継給電部141及び第2中継給電部142それぞれのインピーダンスは100Ωとなる。
なお、前記左側の平行2線(第1中継給電部141)は、その端部同士で短絡されておらず、また、前記右側の平行2線(第2中継給電部142)は、その端部同士で短絡されておらず、前記平衡不平衡回路部の平行2線(平衡伝送線路)とは異なる性質のものである。
また、第1中継給電部141(第1折り返しダイポールアンテナ31)のインピーダンスと、第2中継給電部142(第2折り返しダイポールアンテナ32)のインピーダンスとは、等しいため、第1中継給電部141と第2中継給電部142とには電力が均等に分配される。
図7に示した第1の形態の給電ユニット34では、主給電線(同軸給電線)5とアンテナ31,32の給電部31d,32dとを電気的に並列として繋ぐ中継給電部として機能している分岐給電線36a,36bは、前記のとおり同軸管により構成されている(なお、給電接続部35も同軸管により構成されている)のに対し、図15に示した第2の形態の給電ユニット135では、中継給電部141,142は、前記のとおり平行2線により構成されている。
特に、図7では、分岐部37には大きなブロック材が用いられている。つまり、ブロック材に削り出しによる加工を施し、同軸管からなる分岐給電線36a,36b及び主幹給電線35bを接続する分岐部37としており、構造が比較的複雑である。
また、分岐部37に、分岐給電線36a,36b及び主幹給電線35bそれぞれを接続するために、例えば、ろう付けが行われる。分岐部37(及び給電線36a,36b,35b)を軽量化するために、アルミニウム製とすることができるが、この場合、ろう付けの作業は難易度が高く、製造時間を要するため、製造コストが高くなるおそれがある。このため、ろう付けを比較的容易とするために、分岐部37を真鍮とすることができるが、この場合、重量が大きくなってしまう。
しかし、平行2線を採用する場合、構造が簡単であり、また、製造も容易となる。
以上説明したように、前記各実施形態のアンテナユニット3によれば、当該アンテナユニット3を小型化することができ、また、軽量化することができる。このため、取付支柱2を細径化できる。
したがって、本実施形態のアンテナシステム1は、図1に示しているように、取付支柱2の他、前記アンテナユニット3を複数、取付支柱2の高さ方向に並べて設けた構成であるため、アンテナシステム1も小型化、軽量化が可能である。さらに、少ない数のアンテナ31,32で無指向性を確保でき、また、複数のアンテナユニット3を取付支柱2の高さ方向に並べて多段化しており、利得を高くすることができる。
また、次に説明する発明によれば、アンテナシステムを小型化するという課題を解決することができる。すなわち、図3(図15)により説明すると、その発明は、取付支柱2に取り付けられるアンテナユニット3であって、複数のダイポールアンテナ31,32と、無線機4から延びる同軸給電線5が接続される給電線接続部35(135)と、前記給電線接続部35(135)から複数のダイポールアンテナ31,32それぞれの給電部31d,32dへと電気的に並列となって設けられている複数の中継給電部と、を備え、前記複数のダイポールアンテナ31,32の合成インピーダンスが、前記同軸給電線5のインピーダンスと略一致していることを特徴とする。
また、複数のダイポールアンテナ31,32の合成インピーダンスが、同軸給電線5のインピーダンスと略一致しているため、複数のダイポールアンテナ31,32があっても、インピーダンス整合をとるための整合トランスが不要であり、小型化が図られている。
そして、この発明においても、その他について前記各実施形態と同様の構成を備えている。
例えば、本発明のアンテナシステムは、建物の屋上に設置するものに限られず、あらゆる場所に設置が可能である。また、取付支柱に取り付けられるアンテナユニットの数も特に限定されない。
Claims (5)
- 取付支柱に取り付けられるアンテナユニットであって、
アンテナエレメント、及び、このアンテナエレメントと電気的に接続された折り返し部を有する2つの折り返しダイポールアンテナと、
無線機から延びる同軸給電線が接続される給電線接続部と、
前記給電線接続部から前記2つの折り返しダイポールアンテナそれぞれの給電部へと電気的に並列となって設けられている2つの中継給電部と、
前記2つの折り返しダイポールアンテナが、前記取付支柱に取り付けられたときに前記取付支柱の略同一高さにおいて前記取付支柱の周囲に位置するように、前記2つの折り返しダイポールアンテナを保持する保持部材と、
を備え、
前記中継給電部それぞれは、前記同軸給電線が有する内部導体及び外部導体とそれぞれ電気的に接続される内部導体及び外部導体を有し、前記給電線接続部から分岐した同軸管からなり、
前記2つの折り返しダイポールアンテナの合成インピーダンスが、前記同軸給電線のインピーダンスと略一致しており、
前記同軸給電線と前記中継給電部を介して接続される前記2つの折り返しダイポールアンテナは、前記取付支柱の略同一高さにおいて当該取付支柱を挟んで対向配置された姿勢で、当該取付支柱に前記保持部材により取り付けられることを特徴とするアンテナユニット。 - 取付支柱に取り付けられるアンテナユニットであって、
アンテナエレメント、及び、このアンテナエレメントと電気的に接続された折り返し部を有する2つの折り返しダイポールアンテナと、
無線機から延びる同軸給電線が接続される給電線接続部と、
前記給電線接続部から前記2つの折り返しダイポールアンテナそれぞれの給電部へと電気的に並列となって設けられている2つの中継給電部と、
前記2つの折り返しダイポールアンテナが、前記取付支柱に取り付けられたときに前記取付支柱の略同一高さにおいて前記取付支柱の周囲に位置するように、前記2つの折り返しダイポールアンテナを保持する保持部材と、
を備え、
前記中継給電部それぞれは、前記同軸給電線が有する内部導体と電気的に接続される導電部材と前記同軸給電線が有する外部導体と電気的に接続される導電部材とによる平行2線からなり、
前記2つの折り返しダイポールアンテナの合成インピーダンスが、前記同軸給電線のインピーダンスと略一致しており、
前記同軸給電線と前記中継給電部を介して接続される前記2つの折り返しダイポールアンテナは、前記取付支柱の略同一高さにおいて当該取付支柱を挟んで対向配置された姿勢で、当該取付支柱に前記保持部材により取り付けられることを特徴とするアンテナユニット。 - 前記2つの折り返しダイポールアンテナそれぞれは、第1のアンテナエレメント、第2のアンテナエレメント、前記給電線接続部に接続された前記同軸給電線の内部導体と前記中継給電部を介して電気的に接続され前記第1のアンテナエレメントに給電する第1端子部、前記給電線接続部に接続された前記同軸給電線の外部導体と前記中継給電部を介して電気的に接続され前記第2のアンテナエレメントに給電する第2端子部、前記第1端子部から延びている第1平行導体、前記第1平行導体と平行になって前記第2端子部から延びている第2平行導体、及び前記第1平行導体と前記第2平行導体とを短絡している短絡導体を有している請求項1又は2に記載のアンテナユニット。
- 前記取付支柱は、金属製である請求項1又は2に記載のアンテナユニット。
- 複数のアンテナユニットを、取付支柱の高さ方向に並べて設けたアンテナシステムであって、前記アンテナユニットは、請求項1又は2に記載のアンテナユニットであることを特徴とするアンテナシステム。
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