JP5099035B2 - デジタルフィルタ - Google Patents

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本発明は、デジタルフィルタのフィルタ係数(タップ係数)の最適化および適応等化の学習アルゴリズムに関する。特に、ディスク装置のリードチャネル回路等に用いられるパーシャルレスポンス(Partial Response,PR)等化におけるフィルタ係数の最適化および適応等化の学習アルゴリズムに関する。また、信号補間型タイミングリカバリ方式を用いた場合のフィルタ係数の最適化および適応等化の学習アルゴリズムに関する。
磁気ディスクや光ディスクのリードチャネル回路では、ヘッドにより記録メディアから読み出されたデータのアナログ信号は、ヘッドアンプ、自動利得調整器(Automatic Gain Controller ,AGC)、およびアナログフィルタにより適当な振幅に増幅される。このとき、アナログ信号に対するアンチエイリアス、高域ノイズの除去、および波形等化の一部が行われる。その後、アナログ−デジタル変換器(Analog Digital Converter,ADC)による離散化量子化によりアナログ信号がデジタル信号に変換され、等化フィルタにより波形整形されて出力される。
記録データの再生方法として現在主として用いられているPRML(Partial Response Maximum Likelihood )方式や、今後の発展が期待される繰り返し復号を用いた方式では、等化出力は有限長の符号間干渉を含むPR信号として出力される。得られたPR信号は、信号に誤差が含まれなければ有限の状態間の遷移により表される。そして、ビタビ(Viterbi )復号器による最尤判定や最大事後確率(Maximum a posteriori Probability ,MAP)判定器を用いた繰り返し復号法により、どの入力信号系列と仮定すれば等化後信号の誤差が最も小さくなるか(その結果として最も誤り確率が低くなるか)が計算され、元の信号系列の推定が行われる。
このPR等化信号を得るために等化フィルタが用いられるが、記録メディアやヘッドのバラツキおよび時間変動や記録場所(シリンダ)による特性の変動を吸収するため、そのフィルタ係数は固定値ではなく、適当な学習アルゴリズムにより適応的に変化させることが必要である。通常、この学習アルゴリズムとして最小2乗(Least Mean Square ,LMS)アルゴリズムが用いられる。LMSアルゴリズムとは以下のようなものである。
m番目の時刻に等化フィルタに入る入力信号をx(m)、i番目のフィルタ係数をf(i)とすると、等化フィルタの出力信号y(m)は以下のように表される。
理想出力
(以後y(m)ハットと記す)と実際の出力y(m)の差である誤差信号e(m)=y(m)−y(m)ハットの2乗の期待値をmseとすると、mseのf(i)に対する勾配は以下のように表される。
したがって、この勾配は誤差信号e(m)とi番目のタップの入力信号x(m−i)の積の期待値であることが判る。
LSMアルゴリズムは、期待値である<e(m)x(m−i)>の代わりに各時刻における瞬時値e(m)x(m−i)を用いて、2乗誤差のフィルタ係数に対する勾配ベクトルを推定し、その値に適当な係数を掛けてフィードバックすることにより、2乗誤差の期待値を最小にするフィルタ係数を得る適応アルゴリズムである。
図15は、LSMアルゴリズムを用いた適応型線形等化器の原理図である。ここでは、6タップの場合が図示されている。図15の等化器は、LMS適応学習回路11、可変係数FIR(Finite Impulse Response )フィルタ12、および判定回路13を備え、学習回路11およびFIRフィルタ12は、遅延器21、加算器22、および乗算器23からなる。遅延器21は、入力信号をビット周期分の遅延Dだけ遅らせて出力し、加算器22は、入力される2つの信号の加算結果を出力し、乗算器23は、入力される2つの信号の乗算結果を出力する。
学習回路11は、判定回路13からフィードバックされる信号に基いて、n番目の時刻におけるi番目のフィルタ係数f(n)(i=0,1,2,3,4,5)を生成し、FIRフィルタ12に出力する。判定回路13は、FIRフィルタ12からのPR信号y(n)から誤差信号e(n)と判定信号a(n)を生成する。e(n)には係数−mが乗算され、−me(n)が学習回路11にフィードバックされる。
図16は、図15の原理図に基いて、実際に用いられる回路を構成した例を示している。図16の回路をブロック図で表すと、図17のようになる。
図16の回路では、判定や誤差計算のためのレイテンシを考慮するとともに、FIRフィルタ12の構成も高速化に適したものとしている。ここでは、判定回路13がl段分の遅延D(l=1,2,3,...)だけ遅れて誤差信号e(n−l)を出力し、m段分の遅延D(m=1,2,3,...)だけ遅れて判定信号a(n−m)を出力するものと仮定している。このため、−me(n−l)が学習回路11にフィードバックされ、学習回路11には入力信号x(n)をDだけ遅らせる遅延器24が設けられている。
次に、タイミングリカバリについて説明する。連続時間の信号を離散化するためのサンプリングタイミングがずれると正しい出力が得られないので、回路の等化出力と判定結果に基づく理想的な等化信号からサンプリングの位相誤差を検出し、位相同期ループ(Phase-Locked Loop ,PLL)や遅延同期ループ(Delay-Locked Loop ,DLL)等のループ制御によりADCのサンプリングタイミングを調節している。
この際、最尤判定やMAP判定器を用いた繰り返し復号法では、判定を行うのにかなりの時間遅れが必要であるため、タイミング調節のための誤差信号を計算するのに、判定回路13で用いるPR信号y(n)とは異なるより簡単なPR信号を用いる場合もある。この場合、通常は、2つのPR信号を別々に生成するのではなく、まず適応フィルタによりタイミング調整のための低次のPR信号を生成し、その後に固定係数のフィルタを通すことで判定回路13で用いるPR信号を得る方式が用いられる。
例えば、MEEPR(Modified Extended Extended Partial Response)方式では単一パルスに対する理想応答として(1−D)(1+aD+bD)となるようなPR等化が行われるが、まず適応等化でPR4(Partial Response class 4)特性(1−D)の信号を得て、その後(1+aD+bD)の特性を持つ3タップの固定係数のFIRフィルタを用いて判定に必要な特性を得ることができる。この時、タイミングリカバリのためにはPR4出力を簡易判定して、位相誤差信号を生成する。
また、別のタイミングリカバリ方式として、信号補間型タイミングリカバリ方式がある。この方式では、上述のようにサンプリングのタイミングを調整する代わりに、一定間隔でサンプリングした信号を補間することで任意のタイミングにおける入力信号の推定値を得る。これにより、実質的にサンプリングのタイミングを調整したのと同じ効果が得られる。
このタイミングリカバリ方式は、サンプリングタイミングを調節する方法に比べて、以下のような優れた特徴を持つ。
(1)適応等化のためのフィルタをタイミングリカバリループの前に置くことができるため、ループ遅延が少ない。
(2)タイミングリカバリがすべてデジタルで動作するため、安定で高速な制御が容易に実現される。
(3)サンプルしたデータを保存しておけば、補間をやり直すことによりリトライが高速にできる。
(4)保存したデータを必ずしも前から順に補間する必要はなく、サンプリングタイミングを調節する方法とは異なるタイミングリカバリが可能である。
しかしながら、適応等化フィルタをループの外に置いた場合、適応等化器が扱う信号の時刻とタイミングリカバリ後の補間出力に対応する信号の時刻が異なるため、出力の誤差を単純にはフィードバックできない。このため、通常は逆補間により出力誤差信号を入力信号の時刻の値に変換してからフィードバックを行う。この逆補間には、通常、零次ホールドや直線補間が用いられる。信号補間型タイミングリカバリ方式では、補間精度を上げるため、通常は信号のシンボルレートよりも高いレートでサンプリングが行われる。
図18は、信号補間型タイミングリカバリ方式を用いたリードチャネル回路の構成図である。図18のリードチャネル回路は、AGC/アナログ増幅器31、AD変換器32、等化フィルタ33、補間器34、判定器35、位相誤差検出器36、ループフィルタ37、係数発生器38、39、等化誤差検出器40、逆補間器41、LMS適応学習回路42、および利得誤差検出器43を備える。このうち、等化フィルタ33および学習回路42は、それぞれ、図17のFIRフィルタ12および学習回路11に対応し、判定器35および等化誤差検出器40は、図17の判定回路13に対応する。
AGC/アナログ増幅器31は、ヘッドからのアナログ信号を増幅し、AD変換器32は、サンプリングによりアナログ信号をデジタル信号に変換する。等化フィルタ33は、LMS適応学習回路42から出力されるフィルタ係数を用いてデジタル信号の波形整形を行い、補間器34は、等化フィルタ33の出力信号を補間して必要なタイミングの信号を生成し、判定器35は、元の信号系列の推定を行って判定信号を出力する。
位相誤差検出器36は、判定器35の出力を用いてサンプリングの位相誤差を検出し、ループフィルタ37は、その位相誤差から補間のための位相情報を生成する。係数発生器38および39は、それぞれ、ループフィルタ37の出力を用いて補間係数および逆補間係数を生成し、補間器34および逆補間器41に出力する。
等化誤差検出器40は、判定器35の出力を用いて等化誤差を検出して、誤差信号を出力し、逆補間器41は、等化誤差検出器40からの誤差信号を逆補間して元のタイミングにおける誤差信号を生成する。LMS適応学習回路42は、逆補間器41からの誤差信号を用いてLMSアルゴリズムによりフィルタ係数を生成し、等化フィルタ33に出力する。
利得誤差検出器43は、判定器35の出力を用いて利得誤差を検出し、AGC/アナログ増幅器31は、その利得誤差に基いて利得を変化させる。
このように、サンプリングした信号を補間することで元の信号系列を正しく推定することができ、誤差信号を逆補間してフィードバックすることで等化フィルタ33が扱う信号に適したフィルタ係数を生成することができる。
適応フィルタの学習アルゴリズムとしてLMS以外のものも存在する。例えば、適応等化器の出力そのものではなくその線形演算出力の誤差を最小化する方法として、雑音除去等に用いられるFiltered X LMSアルゴリズムがある。このアルゴリズムでは、適応等化器の出力に比例するスピーカ出力から測定点までの伝達関数を近似するフィルタを信号入力に作用させた結果と誤差信号との相関が、フィルタ係数更新のための信号として用いられる。これにより、測定点での誤差(残留雑音)の電力を最小化するフィルタ係数が得られる。
上述した従来の線形等化器におけるフィルタ係数の最適化および適応等化の学習アルゴリズムには、次のような問題がある。
フィルタ係数が適応的に変化する適応フィルタを含む従来のPR等化回路では、フィルタ係数の学習アルゴリズムとしてLMSアルゴリズムを用いている。このアルゴリズムは、各時刻における出力から得られる誤差信号により、フィルタ係数に対する2乗誤差の勾配を推定し、推定された勾配をフィルタ係数の補正に用いる方式であり、フィルタ係数を少ない計算量で出力の2乗誤差の期待値を最小とする値に収束させることができるという優れた特徴を有する。
しかしながら、実際のシステムでは、適応フィルタの出力そのものの誤差を最小化するフィルタ係数が最も優れた特性を持つフィルタを実現するとは言えない場合がある。例えば、以下のようなケースである。
第1のケースは、等化フィルタが適応フィルタと固定係数のフィルタの2つの線形フィルタの縦続接続で構成されている場合である。この場合、中間出力である適応フィルタの出力ではなく、最終的な出力である固定係数のフィルタの出力の2乗誤差の期待値を最小化すべきである。例えば、まず適応フィルタによりタイミングリカバリ用のPR4特性(1−D)を得て、それに縦続接続された固定係数のFIRフィルタ(1+aD+bD)を用いてMEEPR特性(1−D)(1+aD+bD)を得るようにMEEPR方式を構成した場合が、このケースに相当する。
第2のケースは、信号補間型タイミングリカバリ方式を用いた等化器の場合である。この場合、図18に示したように、通常の構成では適応フィルタの後に信号補間のための補間器が接続されるため、適応フィルタの出力は中間出力であり、最終的な出力である補間器の出力の2乗誤差の期待値を最小化すべきである。補間器を時変の線形フィルタとみなせば、第1のケースの拡張として捉えることもできるが、適応フィルタの入力のサンプル間隔と補間器出力のサンプル間隔は一般に異なるため、異なるクロックドメイン間でのフィードバックが必要になる。
第3のケースは、等化器の出力をレベル判定することで入力信号系列を推定するのではなく、最尤判定やMAP判定器を用いた繰り返し復号法により判定を行う場合である。この場合、適応フィルタの出力そのものの値で判定を行うのではなく、出力を用いて適当な演算を行った後に判定を行う。したがって、判定の誤り率を最小化するフィルタ係数は、適応フィルタの出力そのものの誤差を最小化するものではない。
これらの状況は、実際のシステムではしばしば発生するものであり、必ずしも単独で起こるのではなく、様々な組み合わせがあり得る。
特に、第3のケースの最尤判定やMAP判定器による判定は、現在のリードチャネル回路では必須の技術である。しかしながら、現状では、適応等化器の学習アルゴリズムとしてレベル判定に適したLMSアルゴリズムが用いられているため、最適なフィルタ係数が得られていないのが実情である。これを避けるために、最尤判定を行うビタビ復号器内の信号を用いて係数学習を行う方法もあるが、学習にかかる時間が非常に長くなってしまうという問題がある。
本発明の課題は、上記のようなケースにおいて最適なフィルタ係数が得られるデジタルフィルタを提供し、フィルタ係数をそのような最適値に収束させる適応学習アルゴリズムを実現することである。
上述した第1〜第3のケースにおいては、適応フィルタの出力信号を適当な線形フィルタに通した後、または適応フィルタの出力信号に適当な線形演算を行った後に得られる信号に対して、その2乗誤差の期待値を最小化するのが望ましいと考えられる。さらに、本発明では、これらのケースをより大きな概念で統一的に捉えることにより、2つ以上のケースの組み合わせも容易に扱えるようにするとともに、同様な定式化ができる他の最適化問題に対する適応学習アルゴリズムを提供する。
図1は、第1および第3のケースにおける本発明のデジタルフィルタの原理図である。図1のデジタルフィルタは、適応フィルタ51、時不変の線形フィルタ52、および学習回路53を備える。
適応フィルタ51は、適応的に変化させることのできる係数を有し、線形フィルタ52は、適応フィルタ51の出力を用いて生成される誤差信号からフィードバックのための誤差信号を生成する。学習回路53は、線形フィルタ52からフィードバックされる誤差信号を用いて、適応フィルタ51の係数を適応的に学習する。
第1のケースにおいては、適応フィルタ51の後にもう1つの時不変の線形フィルタが接続され、その線形フィルタの出力の誤差信号が線形フィルタ52に入力される。この場合、適応フィルタ51の後に接続された後置線形フィルタの特性を考慮して線形フィルタ52の特性を決定することで、後置線形フィルタの出力の2乗誤差の期待値を最小化するフィードバック信号を得ることができる。
第3のケースにおいては、最尤判定または最大事後確率判定を行う判定回路において判定誤りが起こった場合の適応フィルタ51の出力の2乗誤差の変化を考慮すると、適応フィルタ51の出力信号を用いて適当な線形演算を行い、得られた信号の誤差信号を線形フィルタ52に入力する必要がある。このように線形フィルタ52の特性を決定することで、線形演算により得られる信号の2乗誤差の期待値を最小化するフィードバック信号を得ることができる。
適応フィルタ51は、例えば、後述する可変係数FIRフィルタ62に対応し、線形フィルタ52は、例えば、後述する固定係数FIRフィルタ65、71、および112に対応する。また、学習回路53は、例えば、後述するLMS適応学習回路61に対応する。
また、第2のケースにおいて、本発明のデジタルフィルタは、適応フィルタ、補間フィルタ、逆補間フィルタ、および学習回路を備える。
適応フィルタは、適応的に変化させることのできる係数を有し、補間フィルタは、適応フィルタの出力信号を補間して所定のタイミングの信号を生成する。逆補間フィルタは、補間フィルタの補間係数またはその近似値の順序を反転させたフィルタ係数を有し、補間フィルタの出力の誤差信号を逆補間して補間前のタイミングの誤差信号を生成する。そして、学習回路は、逆補間フィルタからフィードバックされる誤差信号を用いて、適応フィルタの係数を適応的に学習する。
この場合、補間フィルタおよび逆補間フィルタを時変の線形フィルタとみなし、補間フィルタで用いられる補間係数またはその近似値の順序を反転させて逆補間フィルタのフィルタ係数を生成することで、補間フィルタの出力の2乗誤差の期待値を最小化するフィードバック信号を得ることができる。
本発明によれば、適応フィルタの係数学習においてLMSアルゴリズムのように誤差信号をそのままフィードバックする代わりに、時変または時不変の線形フィルタを通してフィードバックし、タップ入力信号との相関をとることにより、単なるLMSアルゴリズムでは得られない最適なフィルタ係数を得ることができる。
また、入力信号を時変または時不変の線形フィルタに通して得られる信号と誤差信号の相関をとる方法によっても同様の効果を得ることができ、さらに両者を組み合わせることもできる。
本発明は、現在のリードチャネル回路で必須の技術となっている最尤判定器やMAP判定器により信号の判定を行う場合に特に有効であるが、適応フィルタの後に線形フィルタや補間器がある場合も含めて、その適用対象は広い範囲に渡る。本発明では、これらの適用対象を統一的に扱っているので、それらの組み合わせに対しても容易に適用することができる。
本発明のデジタルフィルタの原理図である。 第1の線形等化器のブロック図である。 第2の線形等化器のブロック図である。 第3の線形等化器のブロック図である。 第4の線形等化器のブロック図である。 第5の線形等化器のブロック図である。 第6の線形等化器のブロック図である。 第7の線形等化器のブロック図である。 第8の線形等化器のブロック図である。 第9の線形等化器のブロック図である。 データ信号の補間を示す図である。 誤差信号の第1の逆補間を示す図である。 誤差信号の第2の逆補間を示す図である。 第10の線形等化器のブロック図である。 従来の線形等化器の原理図である。 従来の線形等化器の構成図である。 従来の線形等化器のブロック図である。 リードチャネル回路の構成図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本実施形態では、適応的に係数を変化させることのできる適応フィルタによりチャネル特性を補償し、望ましい出力信号を得る適応型信号処理において、適応フィルタの出力信号と望ましい出力信号の差として得られる誤差信号をそのままフィードバックするのではなく、適当な線形フィルタを通した後にフィードバックすることで、適応フィルタの係数学習のための信号を得る。
より具体的には、係数学習のためのフィードバック回路において、係数学習を行う第1の線形フィルタの後に時変または時不変の第2の線形フィルタを通した結果の誤差の2乗の期待値を最小化するため、第2の線形フィルタのタップ係数を反転した第3の線形フィルタ3を設ける。そして、第2の線形フィルタの出力誤差を第3の線形フィルタを通してフィードバックし、入力信号列と掛け合わせることにより、タップ係数の適応学習のための勾配ベクトルを求める。当然のことながら、第2の線形フィルタが時変であれば第3の線形フィルタも時変である。
また、第2の線形フィルタに相当する回路は実際には存在しないが、第2の線形フィルタに相当する演算を行った結果の誤差を最小化したい場合には、フィードバックのために第2の線形フィルタと第3の線形フィルタの両方が必要となる。この場合は、第1の線形フィルタの出力を用いて誤差を計算し、第2および第3の線形フィルタの縦続接続に相当する第4の線形フィルタを用いてそれをフィードバックすることができる。後述するように、この第4の線形フィルタのタップ係数は、誤りパターン系列に対する出力信号系列の自己相関関数となる。
まず、図2および図3を参照しながら、適応フィルタの後に時不変の線形フィルタを挿入して多段構成とした線形等化器の構成と適応学習アルゴリズムについて説明する。この場合、後置線形フィルタの出力信号と望ましい出力信号の差として得られる誤差信号をそのままフィードバックするのではなく、後置線形フィルタの出力を別の線形フィルタを通した後にフィードバックすることで、適応フィルタの係数学習のための信号を得る。
ここでは、通常のLMSアルゴリズムを元に、可変係数の適応FIRフィルタと固定係数のFIRフィルタの縦続接続で構成されているフィルタ回路の学習アルゴリズムを考える。
もし、可変係数のFIRフィルタの前段に固定係数のフィルタが接続されていたとしても、前段のフィルタは、係数学習アルゴリズムのフィードバックループの外に位置するため、係数学習アルゴリズムに何の影響も与えない。したがって、このフィルタを考慮する必要はない。
問題なのは、可変係数のFIRフィルタの後段に固定係数のフィルタが接続されている場合である。この場合、可変係数の適応FIRフィルタ単独で通常のLMSアルゴリズムによる係数学習を行うと、得られるフィルタ特性は、適応FIRフィルタの出力の2乗誤差の期待値を最小とするものになり、フィルタ回路全体の出力(すなわち固定係数フィルタの出力)の2乗誤差の期待値を最小化するものとは異なる。したがって、最小2乗解を得るにはLMSアルゴリズムの変形が必要である。
そこで、まず、通常のLMSアルゴリズムと同様に、出力誤差のフィルタ係数依存性を求める。可変係数フィルタおよび固定係数フィルタのi番目のフィルタ係数をそれぞれf(i)およびf(i)とすると、m番目の時刻におけるこれらのフィルタの出力信号y(m)およびy(m)は、それぞれ以下のように表される。
したがって、理想出力と実際の出力の差である誤差信号e(m)=y(m)−y(m)ハットの2乗の期待値のi番目のフィルタ係数f(i)に対する勾配は、以下のように表される。
ただし、eeff(m)は実効的な誤差信号であり、以下のように表される。
(5)式より、2乗誤差の期待値の勾配は、実効的な誤差信号eeff(m)とi番目のタップの入力信号x(m−i)の積の期待値であることが判る。したがって、e(m)の代わりにeeff(m)を用いて2乗誤差の期待値のフィルタ係数に対する勾配を推定し、その値に適当な係数を掛けてフィードバックすれば、通常のLMSアルゴリズムと同様に、2乗誤差の期待値を最小とするフィルタ係数を得ることができる。
また、実効的な誤差信号eeff(m)は、誤差信号e(m)をFIRフィルタを通すことで得られ、そのフィルタ係数は信号に対する固定係数フィルタのフィルタ係数を時間反転したものであることが判る。ここで、時間反転したフィルタ係数とは、対応するタップの遅延段数に対応してタップ係数を並べたとき、元のフィルタの係数と順序を反転したタップ係数を意味する。ただし、実際のフィルタでは因果律を満たす必要があるため、入力信号との同期をとるために、入力信号に遅延を加える必要がある。
図2は、このような実効的な誤差信号を生成する線形等化器のブロック図である。図2の線形等化器は、LMS適応学習回路61、可変係数FIRフィルタ62、固定係数FIRフィルタ63、65、判定回路64、および乗算器23を備える。
学習回路61は、図17の学習回路11に対応し、FIRフィルタ62は、図17のFIRフィルタ12に対応する適応フィルタである。FIRフィルタ63は、適応フィルタの後段の固定係数フィルタであり、信号y(n)(=y(n))を出力する。判定回路64は、y(n)から誤差信号e(n−l)と判定信号a(n−m)を生成する。
FIRフィルタ65は、判定回路64の後段に設けられ、FIRフィルタ63のフィルタ係数を時間反転した係数を有し、誤差信号e(n−l)から誤差信号eeff(n−l′)を生成する。乗算器23は、誤差信号eeff(n−l′)に係数−mを掛けて−meeff(n−l′)を生成し、学習回路61にフィードバックする。ここでは、判定回路64の遅延D(l=1,2,3,...)に加えてFIRフィルタ65でも遅延が発生するため、l<l′となる。
また、(5)式のxeff(m)は実効的な入力信号で、Filtered X LMSアルゴリズムにおけるFiltered Xに相当し、以下のように表される。
(5)式より、2乗誤差の期待値の勾配は、i番目のタップの入力信号x(m−i)を固定係数フィルタを通して得られる信号xeff(m−i)と誤差信号e(m)の積の期待値であることが判る。
したがって、x(m−i)の代わりに実効的な入力信号xeff(m−i)を用いて2乗誤差の期待値のフィルタ係数に対する勾配を推定し、その値に適当な係数を掛けてフィードバックすれば、通常のLMSアルゴリズムと同様に、2乗誤差の期待値を最小とするフィルタ係数を得ることができる。
この場合、適応フィルタの出力信号と望ましい出力信号の差として得られる誤差信号をそのままフィードバックし、適応フィルタの入力信号を適当な線形フィルタを通して得られる信号と相関をとることで、適応フィルタの係数学習のための信号を得る。このとき、実効的な入力信号xeff(m−i)は、入力信号x(m−i)をFIRフィルタを通すことで得られ、そのフィルタ係数は後段の固定係数フィルタの係数と同じである。
図3は、このような実効的な入力信号を生成する線形等化器のブロック図である。図3の線形等化器は、図2の構成からFIRフィルタ65を取り除き、学習回路61とFIRフィルタ62の間に固定係数FIRフィルタ66を挿入した構成を有する。
FIRフィルタ66は、FIRフィルタ63と同じフィルタ係数を有し、入力信号x(n)から実効的な入力信号xeff(n)を生成する。乗算器23は、誤差信号eeff(n−l)に係数−mを掛けて−meeff(n−l)を生成し、学習回路61にフィードバックする。
次に、図4から図6までを参照しながら、PR等化信号の最尤判定またはMAP判定を行う線形等化器の構成と適応学習アルゴリズムについて説明する。この場合、判定回路は、等化後の信号をレベル判定するのではなく、ビタビ復号器やMAP判定器等を用いて元の信号ビット系列を復元する復号器として動作する。そして、線形等化器は、適応フィルタの出力の2乗誤差が最小の期待値を持つのではなく、適応フィルタの出力に適当な線形演算を行った結果の2乗誤差が最小の期待値を持つように、係数学習を行う。
PR等化された信号系列から元のデータ系列を推定する場合、実際に得られたPR信号と同じ信号が得られる確率が最も高くなる入力ビット系列を最尤判定やMAP判定等で求める。相加性ガウス雑音を仮定すると、実際に得られたPR信号と考えている入力ビット系列から得られるPR信号の差の2乗の時間和が小さいほど、確からしい入力ビット系列と言うことができる。
したがって、最適な等化フィルタとは、正しい信号ビット系列に対する2乗誤差が誤った信号ビット系列に対する2乗誤差より大きくなってしまう確率を最も小さくするものである。そこで、正しいビット系列に対する出力誤差信号系列の2乗和と判定誤りがあった場合の出力誤差信号系列の2乗和の差の期待値が大きくなるように、適応フィルタのフィルタ係数を決定する。これにより、復号器が判定誤りを起こす確率を低下させることができる。
まず、正しいビット系列a(m)(−∞<m<∞)に対する2乗誤差と誤りパターンaerr(m)が加わったビット系列a(m)+aerr(m)に対する2乗誤差の差を計算する。フィルタ出力y(m)、理想等化出力y(m)ハット、および判定誤りによる出力yerr(m)ハットは、それぞれ以下のように表されるものとする。
このとき、判定を誤ることによる2乗誤差の変化(パスメトリックの増加)は、以下のように表される。
(11)式の第1項は、判定誤りにより誤差が増えることを示しており、信号間の距離に対応する項である。第2項は、出力の誤差(等化誤差と等化後雑音)による誤差の変化を表している。この第2項は、前後のビットパターンや雑音により変動する成分を表しているので、この項の変動が大きいとΔmseが負になり、判定を誤ってしまう場合が生ずる。
この問題は、レベル判定において、第1項をレベル間の間隔、第2項を信号の誤差(等化誤差と等化後雑音の和)の2倍としたときの判定誤りを考えるのと基本的に同じ問題である。したがって、通常の誤差信号の代わりに、誤りパターン系列に対する出力信号系列と相関をとった誤差信号を用い、その2乗期待値を最小化してやればよいことが判る。
ある信号と相関をとる操作は、時間反転した信号と畳み込みを行うことと等価である。したがって、上述の問題は、誤りパターン系列に対する出力信号系列を時間反転したものをフィルタ係数とする後置FIRフィルタに誤差信号を通して得られる信号の2乗誤差を最小化する問題に帰着される。
前述したように、後置FIRフィルタがある場合、その出力の2乗誤差を最小化するには、後置FIRフィルタの係数を時間反転した係数を持つFIRフィルタを通して誤差信号をフィードバックすればよいことが判っている。このことから、結局、誤りパターン系列に対する出力信号系列の自己相関関数をフィルタ係数とするFIRフィルタを通して出力の誤差信号をフィードバックしてやれば、フィルタ係数をその誤りパターンに対する判定誤りを最小とする値に収束させるアルゴリズムとなることが判る。
このことを数式を用いて表すと、以下のようになる。以下の数式において、mは誤りパターンの起こり得る時刻を表している。
(12)式より、2乗誤差の期待値の勾配は、実効的な誤差信号eeff(m)とi番目のタップの入力信号x(m−i)の積の期待値であることが判る。このeeff(m)は、(13)式に示されるように、e(m)をFIRフィルタを通すことで得られ、そのフィルタ係数f(k)は、(14)式に示されるように、誤りパターン系列に対する出力信号系列の自己相関関数である。
そこで、最尤判定またはMAP判定を行う線形等化器においては、誤差信号をフィードバックするFIRフィルタとして、判定回路が特定のパターンの判定誤りを起こした場合に対応する適応フィルタの出力誤り信号の自己相関関数に相当するインパルス応答を持つものを用いる。これにより、その誤りパターンに対する判定回路のエラー耐性を高めることができる。
図4は、このような実効的な誤差信号を生成する線形等化器のブロック図である。図4の線形等化器は、図2の構成からFIRフィルタ63を取り除き、FIRフィルタ65の代わりにFIRフィルタ71を用いた構成を有する。判定回路64は、FIRフィルタ62の出力に線形演算を行った後に判定を行い、FIRフィルタ71のフィルタ係数は、誤りパターン系列に対する出力信号系列の自己相関関数となる。
ただし、誤りパターンと信号系列は独立ではないので、判定後の信号系列のビットパターンが想定している誤りパターンを生じ得る場合のみ係数学習のためのフィードバックを行うことが望ましい。そのためには、そのような誤りパターンが起こり得る時刻mのみでフィードバックを行うようにすればよい。
誤りパターンとしては、最も誤りを起こしやすいもの、すなわち(11)式の第1項が最も小さくなるようなパターンを用いるのが、最も簡単で効果が大きいと考えられる。そこで、望ましい実施形態においては、誤りパターンとして、単一ビット(単一パルス)誤りや(1,−1,1)誤りのように、入力信号や理想出力信号で決まる最も誤りを起こしやすいパターンを用いるようにする。
また、適応学習アルゴリズムにおける係数最適化のための評価関数として、単一ビットの誤りパターンに対する2乗誤差の差の期待値を用いるのではなく、複数の誤りパターンに対する2乗誤差の差の期待値の重み付き平均値を用いることも可能である。これにより、複数の誤りパターンに対する判定誤りを減少させることができる。
また、図3の線形等化器と同様に、入力信号の代わりに実効的な入力信号を用いて2乗誤差の期待値のフィルタ係数に対する勾配を推定し、その値に適当な係数を掛けてフィードバックすることも可能である。この場合、入力信号に誤りパターンの相関関数の特性を掛けることで実効的な入力信号を生成すれば、通常のLMSアルゴリズムと同様に、想定している誤りパターンに対する2乗誤差の時間和の期待値の増加を最大とするフィルタ係数を得ることができる。
図5は、このような実効的な入力信号を生成する線形等化器のブロック図である。図5の線形等化器は、図3の構成からFIRフィルタ63を取り除き、FIRフィルタ66の代わりにFIRフィルタ72を用いた構成を有する。
この場合、FIRフィルタ72の特性としては、判定回路64内において2乗誤差の期待値を最小とする操作の対象となる信号を得るために必要な線形演算相当の伝達特性またはそれを近似した特性が用いられる。
また、図4のFIRフィルタ62の後に時不変の線形フィルタを挿入して多段構成とすることも考えられる。この場合、FIRフィルタ71の前または後に、判定回路64が特定のパターンの判定誤りを起こした場合に対応するその線形フィルタの出力誤り信号の自己相関関数に相当するインパルス応答を持つような別の線形フィルタを挿入する。これにより、その誤りパターンに対する判定回路のエラー耐性を高めることができる。
図6は、このような線形等化器のブロック図である。図6の線形等化器は、図4のFIRフィルタ62および71の後にそれぞれFIRフィルタ63および65を挿入した構成を有する。あるいは、FIRフィルタ71とFIRフィルタ65を縦続に接続する代わりに、それぞれの伝達特性の積で表される伝達特性を持つ線形フィルタを用いることで、同じ動作を実現してもよい。
さらに、図5の線形等化器と同様に、入力信号の代わりに実効的な入力信号を用いて係数学習を行うことで、FIRフィルタ62の出力にFIRフィルタ63および誤りパターンの自己相関特性を作用させた結果の2乗誤差を最小とすることもできる。
この場合の線形等化器は、図6の構成からFIRフィルタ71および65を取り除き、学習回路61とFIRフィルタ62の間に1つまたは2つの線形フィルタを挿入した構成を有する。そして、挿入された線形フィルタにより、FIRフィルタ62の入力信号にFIRフィルタ63の特性と誤りパターンの自己相関特性を作用させ、判定回路64が生成するFIRフィルタ62の出力の誤差信号と相関をとることにより、係数学習のための信号を得る。
次に、図7および図8を参照しながら、信号補間型タイミングリカバリ方式を用いた線形等化器の構成と適応学習アルゴリズムについて説明する。
信号補間型タイミングリカバリ方式では、もともとのシンボル間隔Tとは異なる時間間隔Tでサンプリングを行ってデータを補間することで、所望の時刻の信号を得る。これにより、信号の実効的なサンプリングタイミングが調整される。通常、タイミングリカバリのループ内に等化フィルタの遅延時間が影響しないようにするため、等化後に補間が行われる。したがって、等化フィルタの後に、時変の線形フィルタである補間フィルタ(補間器)が接続される構成となる。ここでは、さらにその後に固定係数のフィルタが接続された場合について解析する。
可変係数フィルタ(適応フィルタ)の出力z(lT)、補間フィルタの出力w(mT)、後置固定係数フィルタの出力y(mT)、および2乗誤差mseは、以下のように表されるものとする。
(18)式においてy(mT)ハットは後置固定係数フィルタの理想出力信号を表し、e(mT)は誤差信号を表す。このとき、2乗誤差の適応フィルタの係数に対する依存性は、以下のように求められる。
(19)式のe(lT)は、(20)式で表される実効的な誤差信号に対応する。ただし、サンプリング周期での加算においては間引きが必要である。具体的には、e(lT)の計算においてμ(l+j)が定義されないjに関しては加算を行わない。したがって、e(mT)の代わりにe(lT)を用いて2乗誤差の期待値のフィルタ係数に対する勾配を推定し、その値に適当な係数を掛けてフィードバックすれば、通常のLMSアルゴリズムと同様に、2乗誤差の期待値を最小とするフィルタ係数を得ることができる。
(20)式より、実効的な誤差信号e(lT)は、誤差信号e(mT)をまず後置固定係数フィルタのフィルタ係数を時間反転したものを係数とするFIRフィルタに通し、その後時間反転した補間器逆補間フィルタ(逆補間器)に通すことで得られることが判る。ただし、実際のフィルタでは因果律を満たす必要があるため、入力信号との同期をとるために、入力信号に遅延を加える必要がある。また、補間フィルタの出力が間引きされる場合には、誤差信号を0として扱う必要がある。
このように、補間器を用いる場合でも、フィルタ係数が時変であることを除けば、補間を行わない場合と同様な扱いをすることができる。
また、後置固定係数フィルタが存在しない場合には、補間フィルタの出力の誤差信号を、時間反転した係数を持つ時変の線形フィルタを通してフィードバックすることにより、補間フィルタの出力の2乗誤差の期待値を最小とすることができる。
図7は、このような実効的な誤差信号を生成する線形等化器のブロック図である。図7の線形等化器は、LMS適応学習回路61、可変係数FIRフィルタ62、判定回路64、乗算器23、補間フィルタ81、逆補間フィルタ82、位相発生器83、および補間係数発生器84を備える。
補間フィルタ81および逆補間フィルタ82は、それぞれ図18の補間器34および逆補間器41に対応し、位相発生器83は、図18の位相誤差検出器36およびループフィルタ37に対応する。補間係数発生器84は、係数発生器38および39に対応し、補間フィルタ81および逆補間フィルタ82のフィルタ係数を生成する。そして、補間フィルタ81の出力に対応する補間係数またはその近似値を逆に並べたフィルタ係数を、逆補間フィルタ82の係数として出力する。
図8は、後置固定係数フィルタを備えた線形等化器のブロック図である。図8の線形等化器は、図7の構成において補間フィルタ81と判定回路64の間に固定係数FIRフィルタ63を挿入し、判定回路64と逆補間フィルタ82の間に固定係数FIRフィルタ65を挿入した構成を有する。FIRフィルタ65は、FIRフィルタ63のフィルタ係数を時間反転した係数を有する。
この場合のように、可変係数の等化フィルタの後に複数の線形演算を順次行った後の2乗誤差を最小とするには、誤差信号のフィードバックにおいて時間反転した係数を持つ複数の線形フィルタを逆の順序で作用させればよい。
原理的には図7および図8の構成で十分であるが、実際の応用を考慮すると、実効的な誤差信号の生成をもっと簡素化できることが望ましい。誤差信号をフィードバックさせて得られるのは勾配ベクトルの推定値であるので、必要以上に精度を高めてもあまり意味がないからである。
簡素化の方法としては、例えば、逆補間フィルタの係数として補間フィルタのフィルタ係数(補間係数)をすべて用いるのではなく、絶対値の大きな補間係数のみを用い、絶対値の小さな補間係数を0とする方法が考えられる。最も簡素化する場合には、絶対値の大きな上位2つの補間係数だけを用いて実効的な誤差信号を生成すればよい。このような簡素化により回路構成を簡単にすることができ、ハードウェアコストを削減することが可能となる。
さらに、上位2つの補間係数の変化を直線近似することも可能である。このような近似を採用した場合には、従来の直線による逆補間に極めて近い方法となる。ただし、本発明の方法では、補間フィルタの出力が間引きされる場合に誤差信号を0として扱うのに対し、直線逆補間法では余分な誤差信号の生成が必要となる。
また、2乗誤差の適応フィルタの係数に対する依存性は、実効的な入力信号xeff(l(m)T)を用いて以下のように表される。
したがって、入力信号を補間フィルタおよび後置固定係数フィルタに通したものを実効的な入力信号として、LMSアルゴリズムと同様の係数学習を行えば、出力の2乗誤差の期待値が最小となるフィルタ係数を得ることができる。間引きは補間フィルタで実現され、前述と同様な補間係数の簡素化を行うことも可能である。
また、図7の構成において、判定回路64がビタビ復号器やMAP判定器等で判定を行う場合も、図8の構成と同様に、判定回路64と逆補間フィルタ82の間に固定係数FIRフィルタを挿入すればよい。この場合、判定回路64からの出力誤差信号をFIRフィルタに通した後に逆補間フィルタ82に通して学習回路61にフィードバックすることにより、出力の2乗誤差または判定器の誤り率が最小となるフィルタ係数を得ることができる。
次に、上述した線形等化器のいくつかの具体例について説明する。
まず、線形等化器が、等化ターゲット(判定回路の入力)としてMEEPR特性(1−D)(1+aD+bD)を用い、タイミングリカバリ用の位相誤差を検出するための等化特性としてPR4特性(1−D)を用いて、出力の2乗誤差を最小とするフィルタ係数を得る場合を考える。
この場合、線形等化器は図2の構成で実現され、FIRフィルタ62および63の特性をそれぞれ(1−D)および(1+aD+bD)とし、FIRフィルタ62の出力を用いて位相誤差を検出すればよい。出力をフィードバックするFIRフィルタ65の特性は、FIRフィルタ63の係数を反転することにより得られ、(b+aD+D)となる。ただし、(1+aD−1+bD−2)と(b+aD+D)の遅延差がDであることからl′−l=2となり、タップ入力信号にはFIRフィルタ63および判定回路64の遅延以外に2段分の遅延を加える必要がある。
また、図2、7、および8のような多段構成の線形等化器または図4のように最尤判定またはMAP判定を行う線形等化器において、適応フィルタの出力をそのまま用いるかもしくは線形フィルタを通した後の信号を用いることで、誤差が最適化される本来の等化出力とは異なる特性を持つ出力信号を得ることも可能である。この場合、1つの出力を判定に用いる本来の等化出力として用い、他の1つの出力をタイミングリカバリ用の等化出力として用いることで、比較的短い遅延時間でタイミングリカバリのための位相誤差信号をフィードバックすることができる。
例えば、線形等化器が、等化ターゲットとして上述の例とは異なるMEEPR特性(1−D)(1+aD+bD+cD)を用い、タイミングリカバリ用の等化特性としてPR4特性(1−D)を用いる場合を考える。この場合、MEEPR特性がPR4特性と固定係数フィルタ特性の積で表されないため、適応フィルタでPR1特性(1−D)を得た後に、特性(1+aD+bD+cD)および(1+D)を有する固定係数フィルタでそれぞれMEEPR特性およびPR4特性を得る必要がある。
図9は、このような線形等化器のブロック図である。図9の線形等化器は、図2の構成においてFIRフィルタ62の後にもう1つの固定係数FIRフィルタ91を設け、その出力を判定回路92に接続した構成を有する。判定回路92は、位相誤差を検出してタイミングリカバリのための信号を出力する。
FIRフィルタ62および63の特性はそれぞれ(1−D)および(1+aD+bD+cD)であり、FIRフィルタ91の特性は(1+D)である。出力をフィードバックするFIRフィルタ65の特性は、FIRフィルタ63の係数を反転することにより得られ、(c+bD+aD+D)となる。ただし、(1+aD−1+bD−2+cD−3)と(c+bD+aD+D)の遅延差がDであることからl′−l=3となり、タップ入力信号には3段分の遅延を加える必要がある。
次に、線形等化器が、等化ターゲットとしてMEEPR特性(1−D)(1+aD+bD)を用い、単一パルスの判定誤り(単一判定誤り)に対するパスメトリックの増加(Δmse)を最大とするように動作する場合を考える。
この場合、線形等化器は図4の構成で実現され、FIRフィルタ62の特性を(1−D)とし、判定回路が行う線形演算を(1+aD+bD)とすればよい。単一判定誤りに対する単一パルス応答は(1−D)(1+aD+bD)であり、その自己相関関数が(1−D)(1+aD+bD)(1−D−2)(1+aD−1+bD−2)であることから、フィードバックのためのFIRフィルタ71の特性は(1−D)(1+aD+bD)(−1+D)(b+aD+D)となる。ただし、自己相関関数とFIRフィルタ71の特性の遅延差がDであることからl′−l=4となり、タップ入力信号には4段分の遅延を加える必要がある。
次に、判定誤りパターン(1,−1,1)に対するパスメトリックの増加を最大とする場合を考える。
この場合、誤りパターンに対する単一パルス応答は(1−D)(1+aD+bD)(1−D+D)であり、その自己相関関数が(1−D)(1+aD+bD)(1−D+D)(1−D−2)(1+aD−1+bD−2)(1−D−1+D−2)であることから、FIRフィルタ71の特性は(1−D)(1+aD+bD)(−1+D)(b+aD+D)(1−D+Dとなる。ただし、タップ入力信号には、自己相関関数とFIRフィルタの遅延差に対応して6段分の遅延を加える必要がある。
ところで、判定誤りパターン(1,−1,1)が発生し得るのは、信号系列が(0,1,0)または(1,0,1)のときだけなので、それ以外の場合は誤差信号が0となるようにすることで、余分なフィードバックが起こらないようにすることもできる。
図10は、このような線形等化器のブロック図である。図10の線形等化器は、図4の構成において判定回路64とFIRフィルタ71の間に選択回路93を挿入した構成を有する。選択回路93は、判定信号a(n−m)を制御入力として動作し、判定信号が信号系列(0,1,0)または(1,0,1)に対応するとき、誤差信号e(n−l)を選択して出力し、それ以外の場合は固定値0の信号を出力する。
次に、信号補間型タイミングリカバリ方式を用いた線形等化器の出力の2乗誤差を最小とする場合を考える。この場合、線形等化器は図7の構成で実現され、フィードバックのための逆補間フィルタ82のフィルタ係数としては、補間フィルタ81の時変のフィルタ係数をそのまま逆に並べて用いればよい。絶対値の小さな係数を0としたり、係数の近似値を用いることにより、逆補間フィルタ82の構成を簡単化することもできる。オーバーサンプリングを行っている場合、補間フィルタ81の出力が間引かれる時刻が生ずるが、この時刻では誤差信号を0とすることで、余計なフィードバックが起こらないようにする。
また、補間フィルタ81のフィルタ係数のうち絶対値の大きな上位2つの係数のみを用い、それらを逆に並べたものを逆補間フィルタ82のフィルタ係数として、逆補間フィルタ82の構成を簡単化することもできる。
さらに、上位2つの補間係数を補間位相に関して直線近似して用いることも可能である。この場合を例として逆補間の方法について、図11から図13までを参照しながら説明する。
図11は、データ信号の補間の例を示している。ここでは、簡単のため、データ点の前後の2つのサンプル点の値(サンプル値)を用いる直線補間の例が示されている。dは2つのサンプル時刻の間のどの位置にデータ点があるかを示す値であり、補間位相と呼ばれる。直線補間の場合、2つのサンプル値x0とx1から生成される補間値y0は、補間位相dと(1−d)を補間係数として、以下のように計算される。

y0=(1−d)x0+dx1 (23)

したがって、直線近似においては、dと(1−d)を補間係数の近似値として用いて逆補間フィルタ82のフィルタ係数を生成すればよい。図11では、2つのサンプル点101および102を用いたデータ点は生成されておらず、データ点(補間出力)が間引かれていることが判る。
また、4点補間の場合には、y0は、4つのサンプル値x(i=−1,0,1,2)と補間位相dにより定められる補間係数cを用いて、以下のように計算される。

y0=c−1(d)x−1+c(d)x
+c(d)x+c(d)x (24)

図12は、従来の誤差信号の逆補間を示している。この場合、データ点の誤差値から補間によりサンプル点での誤差が求められるが、基本的には補間と逆補間は別な操作となるので、逆補間のための係数は補間係数とは別に定める必要がある。このため、データの補間には次数の高い補間を行う場合でも、誤差信号の逆補間では簡素化のため精度の低い直線補間や零次ホールドが用いられる。また、データ点の間引きがあった場合でも誤差信号がフィードバックされるので、2つのデータ点103および104を用いた逆補間が2回行われている。
これに対して、本発明の逆補間では、補間と逆の演算を行うため、補間係数をそのまま転用することができ、逆補間係数を生成する別の係数発生器は不要となる。また、補間において間引きが行われる時刻において誤差信号を0とすれば、図13に示すように、逆補間でも余計な誤差信号のフィードバックが不要となる。このように、従来の方法と本発明の方法では、補間出力の間引きが行われた場合の誤差信号のフィードバックの仕方が異なっている。
以上説明した実施形態においては、適応フィルタの入力信号と等化ターゲット(2乗誤差の期待値を最小とする操作の対象となる信号)との間の伝達特性から適応フィルタの伝達特性を除いた残りの部分と等しい特性またはそれを近似した特性を入力信号に作用させるか、または時間反転を用いて出力誤差信号に作用させている。しかし、この特性の一部を入力信号に作用させ、残りを出力誤差信号に時間反転を用いて作用させることで、係数学習のための信号を得ることも可能である。
図14は、このような線形等化器のブロック図である。図14の線形等化器は、図2の構成においてFIRフィルタ65を固定係数FIRフィルタ112に置き換え、学習回路61とFIRフィルタ62の間に固定係数FIRフィルタ111を挿入した構成を有する。この場合、FIRフィルタ63の特性が残りの伝達特性に相当する。この特性を2つの伝達特性AおよびBの積で表すと、AをFIRフィルタ111の特性として用い、Bを時間反転して得られる特性をFIRフィルタ112の特性として用いればよい。
また、上述した実施形態の線形等化器のモデルを用いた計算機シミュレーションにおいて、入力信号の統計的な性質が一定であると仮定して、その入力信号を線形等化器に与えたときに得られるタップ係数をあらかじめ求めておき、その値を固定的に用いることも可能である。例えば、可変係数FIRフィルタ62を、シミュレーションにより得られたタップ係数を有する固定係数FIRフィルタに置き換えれば、誤差信号を用いた係数学習が不要となり、線形等化器の構成を簡単化することができる。
さらに、本発明の線形等化器は、ディスク装置のリードチャネル回路以外の様々な装置において適応等化を行うために用いることができる。
(付記1) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力を用いて生成される誤差信号からフィードバックのための誤差信号を生成する時不変の線形フィルタと、
前記時不変の線形フィルタからフィードバックされる誤差信号を用いて、前記適応フィルタの係数を適応的に学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記2) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号が入力される時不変の第1の線形フィルタと、
前記第1の線形フィルタの出力の誤差信号からフィードバックのための誤差信号を生成する時不変の第2の線形フィルタと、
前記第2の線形フィルタからフィードバックされる誤差信号を用いて、前記適応フィルタの係数を適応的に学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記3) 前記第2の線形フィルタは、前記第1の線形フィルタのフィルタ係数の順序を反転させたフィルタ係数を有することを特徴とする付記2記載のデジタルフィルタ。
(付記4) 前記適応フィルタの出力信号から前記第1の線形フィルタとは異なる特性の信号を生成する第3の線形フィルタをさらに備えることを特徴とする付記2記載のデジタルフィルタ。
(付記5) 前記第3の線形フィルタの出力信号を用いて位相誤差を検出し、タイミングリカバリ用の信号を生成する判定回路をさらに備えることを特徴とする付記4記載のデジタルフィルタ。
(付記6) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号を用いた線形演算を行って、得られた信号の誤差信号を生成する判定回路と、
前記判定回路が生成する誤差信号からフィードバックのための誤差信号を生成する時不変の線形フィルタと、
前記線形フィルタからフィードバックされる誤差信号を用いて、前記適応フィルタの係数を適応的に学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記7) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
最尤判定または最大事後確率判定により前記適応フィルタの出力信号から前記入力信号の信号系列を推定し、誤差信号を生成する判定回路と、
前記判定回路からフィードバックされる誤差信号を用いて、正しい信号系列に対する出力誤差信号系列の2乗和と判定誤りがあった場合の出力誤差信号系列の2乗和との差の期待値が大きくなるように、前記適応フィルタの係数を学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記8) 前記判定回路が特定のパターンの判定誤りを起こした場合に対応する前記適応フィルタの出力誤り信号の自己相関関数に相当するインパルス応答を有し、前記判定回路が生成する誤差信号からフィードバックのための誤差信号を生成する線形フィルタをさらに備え、前記学習回路は、該線形フィルタが生成する誤差信号を用いて該適応フィルタの係数を学習することを特徴とする付記7記載のデジタルフィルタ。
(付記9) 前記特定のパターンは、前記適応フィルタの入力信号および理想出力信号により決まる最も誤りを起こしやすい誤りパターンであることを特徴とする付記8記載のデジタルフィルタ。
(付記10) 前記特定のパターンは、単一ビットの誤りパターンであることを特徴とする付記8記載のデジタルフィルタ。
(付記11) 判定後の信号系列が前記特定のパターンを生じ得る場合にのみ、前記線形フィルタから前記学習回路に誤差信号がフィードバックされることを特徴とする付記8記載のデジタルフィルタ。
(付記12) 前記学習回路は、複数の誤りパターンに対する誤差の2乗和の差の期待値の重み付き平均値が大きくなるように、前記適応フィルタの係数を学習することを特徴とする付記7記載のデジタルフィルタ。
(付記13) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号が入力される第1の線形フィルタと、
最尤判定または最大事後確率判定により前記第1の線形フィルタの出力信号から前記入力信号の信号系列を推定し、誤差信号を生成する判定回路と、
前記判定回路が特定のパターンの判定誤りを起こした場合に対応する前記適応フィルタの出力誤り信号の自己相関関数に相当するインパルス応答を有し、前記判定回路が生成する誤差信号が入力される第2の線形フィルタと、
前記第2の線形フィルタの出力信号からフィードバックのための誤差信号を生成する第3の線形フィルタと、
前記第3の線形フィルタからフィードバックされる誤差信号を用いて、正しい信号系列に対する出力誤差信号系列の2乗和と判定誤りがあった場合の出力誤差信号系列の2乗和との差の期待値が大きくなるように、前記適応フィルタの係数を学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記14) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号が入力される第1の線形フィルタと、
最尤判定または最大事後確率判定により前記第1の線形フィルタの出力信号から前記入力信号の信号系列を推定し、誤差信号を生成する判定回路と、
前記判定回路が生成する誤差信号が入力される第2の線形フィルタと、
前記判定回路が特定のパターンの判定誤りを起こした場合に対応する前記適応フィルタの出力誤り信号の自己相関関数に相当するインパルス応答を有し、前記第2の線形フィルタの出力信号からフィードバックのための誤差信号を生成する第3の線形フィルタと、
前記第3の線形フィルタからフィードバックされる誤差信号を用いて、正しい信号系列に対する出力誤差信号系列の2乗和と判定誤りがあった場合の出力誤差信号系列の2乗和との差の期待値が大きくなるように、前記適応フィルタの係数を学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記15) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号が入力される第1の線形フィルタと、
最尤判定または最大事後確率判定により前記第1の線形フィルタの出力信号から前記入力信号の信号系列を推定し、誤差信号を生成する判定回路と、
前記第1の線形フィルタのフィルタ係数の順序を反転させて得られるフィルタ特性と、前記判定回路が特定のパターンの判定誤りを起こした場合に対応する前記適応フィルタの出力誤り信号の自己相関関数に相当するインパルス応答との積で表される伝達特性を有し、前記判定回路が生成する誤差信号からフィードバックのための誤差信号を生成する第2の線形フィルタと、
前記第2の線形フィルタからフィードバックされる誤差信号を用いて、正しい信号系列に対する出力誤差信号系列の2乗和と判定誤りがあった場合の出力誤差信号系列の2乗和との差の期待値が大きくなるように、前記適応フィルタの係数を学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記16) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号を補間して所定のタイミングの信号を生成する補間フィルタと、
前記補間フィルタの出力に対応する補間係数または該補間係数の近似値の順序を反転させたフィルタ係数を有し、該補間フィルタの出力の誤差信号を逆補間して補間前のタイミングの誤差信号を生成する逆補間フィルタと、
前記逆補間フィルタからフィードバックされる誤差信号を用いて、前記適応フィルタの係数を適応的に学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記17) 前記逆補間フィルタは、前記補間係数のうち絶対値の大きな複数の係数の順序を反転させたフィルタ係数を有することを特徴とする付記16記載のデジタルフィルタ。
(付記18) 前記逆補間フィルタは、前記補間係数のうち絶対値の大きな2つの係数の順序を反転させたフィルタ係数を有することを特徴とする付記16記載のデジタルフィルタ。
(付記19) 前記逆補間フィルタは、前記補間係数のうち絶対値の大きな2つの係数を補間位相に関して直線近似して得られた係数の順序を反転させたフィルタ係数を有することを特徴とする付記16記載のデジタルフィルタ。
(付記20) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号を補間して所定のタイミングの信号を生成する補間フィルタと、
前記補間フィルタの出力信号が入力される第1の線形フィルタと、
前記第1の線形フィルタの出力の誤差信号が入力される第2の線形フィルタと、
前記補間フィルタの出力に対応する補間係数または該補間係数の近似値の順序を反転させたフィルタ係数を有し、前記第2の線形フィルタの出力信号を逆補間して補間前のタイミングの誤差信号を生成する逆補間フィルタと、
前記逆補間フィルタからフィードバックされる誤差信号を用いて、前記適応フィルタの係数を適応的に学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記21) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号を補間して所定のタイミングの信号を生成する補間フィルタと、
前記補間フィルタの出力信号を用いた線形演算を行って、得られた信号の誤差信号を生成する判定回路と、
前記判定回路が生成する誤差信号が入力される線形フィルタと、
前記補間フィルタの出力に対応する補間係数または該補間係数の近似値の順序を反転させたフィルタ係数を有し、前記線形フィルタの出力信号を逆補間して補間前のタイミングの誤差信号を生成する逆補間フィルタと、
前記逆補間フィルタからフィードバックされる誤差信号を用いて、前記適応フィルタの係数を適応的に学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記22) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力の誤差信号を生成する判定回路と、
前記適応フィルタの入力信号から実効的な入力信号を生成する線形フィルタと、
前記線形フィルタからの実効的な入力信号と前記判定回路からフィードバックされる誤差信号との相関をとることで、前記適応フィルタの係数を適応的に学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記23) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号を用いた線形演算を行って、得られた信号の誤差信号を生成する判定回路と、
前記適応フィルタの入力信号から実効的な入力信号を生成する線形フィルタと、
前記線形フィルタからの実効的な入力信号と前記判定回路からフィードバックされる誤差信号との相関をとることで、前記適応フィルタの係数を適応的に学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記24) 前記線形フィルタは、前記適応フィルタの入力信号と前記線形演算を行って得られる信号との間の伝達特性から該適応フィルタの伝達特性を除いた残りの部分と等しい特性または該残りの部分を近似した特性を有することを特徴とする付記23記載のデジタルフィルタ。
(付記25) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号が入力される第1の線形フィルタと、
前記第1の線形フィルタの出力信号を用いた線形演算を行って、得られた信号の誤差信号を生成する判定回路と、
前記適応フィルタの入力信号から実効的な入力信号を生成する第2の線形フィルタと、
前記第2の線形フィルタからの実効的な入力信号と前記判定回路からフィードバックされる誤差信号との相関をとることで、前記適応フィルタの係数を適応的に学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記26) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
前記適応フィルタの出力信号を用いた線形演算を行って、得られた信号の誤差信号を生成する判定回路と、
前記判定回路が生成する誤差信号からフィードバックのための誤差信号を生成する第1の線形フィルタと、
前記適応フィルタの入力信号から実効的な入力信号を生成する第2の線形フィルタと、
前記第2の線形フィルタからの実効的な入力信号と前記第1の線形フィルタからフィードバックされる誤差信号との相関をとることで、前記適応フィルタの係数を適応的に学習する学習回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
(付記27) 前記第1の線形フィルタの伝達特性と前記第2の線形フィルタの伝達特性の積は、前記適応フィルタの入力信号と前記線形演算を行って得られる信号との間の伝達特性から該適応フィルタの伝達特性を除いた残りの部分の特性または該残りの部分を近似した特性で表されることを特徴とする付記26記載のデジタルフィルタ。
(付記28) 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタの出力を用いて生成される誤差信号を時不変の線形フィルタを通してフィードバックすることで該適応フィルタの係数を学習するデジタルフィルタのモデルに、一定の統計的性質を有する入力信号を与えて係数学習を行わせるシミュレーションにより決められたフィルタ係数を有する固定係数フィルタと、
前記固定係数フィルタの出力信号から入力信号の信号系列を推定する判定回路と
を備えることを特徴とするデジタルフィルタ。
11、42、61 LMS適応学習回路
12、62 可変係数FIRフィルタ
13、64、92 判定回路
21、24 遅延器
22 加算器
23 乗算器
31 AGC/アナログ増幅器
32 AD変換器
33 等化フィルタ
34 補間器
35 判定器
36 位相誤差検出器
37 ループフィルタ
38、39 係数発生器
40 等化誤差検出器
41 逆補間器
43 利得誤差検出器
51 適応フィルタ
52 線形フィルタ
53 学習回路
63、65、66、71、72、91、111、112 固定係数FIRフィルタ
81 補間フィルタ
82 逆補間フィルタ
83 位相発生器
84 補間係数発生器
93 選択回路
101、102 サンプル点
103、104 データ点

Claims (4)

  1. 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
    前記適応フィルタの出力が入力される第1の固定係数を有する第1のフィルタと、
    前記第1のフィルタの出力を用いて誤差信号を生成する判定回路と、
    前記判定回路から出力される誤差信号が入力される第2の固定係数を有する第2のフィルタと、
    前記適応フィルタへの入力信号と前記第2のフィルタの出力を用いて、前記第1のフィルタの出力信号の2乗誤差が最小になるように適応学習を行う学習回路とを備え、
    前記第2の固定係数は、前記第1の固定係数を時間反転した係数であることを特徴とするデジタルフィルタ。
  2. 前記第1のフィルタ及び第2のフィルタが時不変の線形フィルタであることを特徴とする請求項1に記載のデジタルフィルタ。
  3. 前記第1のフィルタ及び第2のフィルタが補間フィルタであり、
    前記第2の固定係数は、前記第1の固定係数を時間反転した係数またはその近似値であり、
    前記適応フィルタに入力される信号の位相に応じて前記第1の固定係数及び前記第2の固定係数を決定することを特徴とする請求項1に記載のデジタルフィルタ。
  4. 適応的に変化させることのできる係数を有する適応フィルタと、
    前記適応フィルタの出力が入力される第1の固定係数を有する第1の線形フィルタと、
    前記第1の線形フィルタの出力を用いて誤差信号を生成する判定回路と、
    前記適応フィルタの入力信号が入力され実効的な入力信号を生成する第2の固定係数を有する第2の線形フィルタと、
    前記判定回路から出力される誤差信号が入力される第3の固定係数を有する第3の線形フィルタと、
    前記第2の線形フィルタの出力と前記第3の線形フィルタの出力を用いて、前記第1の線形フィルタの出力信号の2乗誤差が最小になるように適応学習を行う学習回路とを備え、
    前記第2の線形フィルタの特性と第3の線形フィルタのタップ係数を時間反転したフィルタの特性との積が、前記第1の線形フィルタの特性と等しいことを特徴とするデジタルフィルタ。
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