JP5098057B2 - プロトン輸送材料、それを用いたイオン交換体、膜電極接合体、燃料電池 - Google Patents

プロトン輸送材料、それを用いたイオン交換体、膜電極接合体、燃料電池 Download PDF

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Description

本発明はプロトン輸送材料、それを用いたイオン交換体、膜電極接合体、燃料電池に関するものであり、さらに詳しくは、機械的特性に優れるとともに、低加湿下でも優れたプロトン輸送能を有し、かつ安定性に優れたプロトン輸送材料であって、イオン交換体、膜電極接合体(以下MEAと称す場合がある)、燃料電池用の電解質膜などの原料として有用なプロトン輸送材料に関するものである。
近年、特に環境問題やエネルギー問題の有効な解決策として、燃料電池が注目を浴びている。燃料電池とは、水素等の燃料を酸素等の酸化剤を用いて酸化し、これに伴う化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。
燃料電池は、電解質の種類によって、アルカリ型、リン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型等に分類される。固体高分子型燃料電池(PEFC)は、低温作動、高出力密度であり、小型化・軽量化が可能であることから、携帯用電源、家庭用電源、車載用動力源としての応用が期待されている。
固体高分子型燃料電池を用いて発電する際には、その発電性能を高めるため、アノードから加湿された水素をMEAに供給し、カソードから加湿された酸素をMEAに供給している。そのため、燃料電池システムには加湿器が必要となりコスト高になる問題がある。そこでコストの低下とコンパクト化のために、加湿器を必要としない燃料電池システムが求められており、低加湿あるいは無加湿型のMEAが望まれている。
固体高分子型燃料電池(PEFC)用電解質膜としては、パーフルオロカーボンスルホン酸膜が広く用いられているが、フッ素を有するため廃棄時の環境負荷が高いことが問題である。
そのため、フッ素を有しない炭化水素膜(特許文献1参照)が開発されている。このフッ素を有しない炭化水素膜中のスルホン酸基は、水素イオンを解離できることから、優れたプロトン伝導性を示す。
しかしながら、上記フッ素を有しない炭化水素膜の場合、図6に示すようにスルホン酸基(−SO3 H基)が、ランダムな位置に存在することから、低加湿条件下において、プロトン伝導性が低くなりやすいという問題がある。
この問題を解決するために、スメクチック相を有するスルホン酸型液晶モノマー材料の使用が検討されており、スルホン酸型液晶モノマー材料の液晶状態において、スルホン酸基のイオン伝導部位が密な状態で重ねられることが見出されており、さらに、スルホン酸型液晶モノマー材料の液晶状態という分子配列を維持した固体状態が、優れたプロトン伝導性を有することも見出されている(特許文献2参照)。
しかしこのスルホン酸型液晶モノマー材料は、優れた材料であるが、スルホン酸型液晶モノマー材料をそのまま、燃料電池用電解質膜として使用するには、スルホン酸型液晶モノマー自体に機械特性がないので、実用化に当たっては困難や問題が生じやすい。
ところで液晶状態の分子配列を維持したままで固体状態にすることができれば、液晶状態の固体の膜が得られるので、液晶を保持する材料の添加が必要でなくなり、使い勝手が飛躍的に向上する。
このとき、固体状態で乱雑であった分子配列を、一旦液晶状態に相転移させ、乱雑な分子配列を整えることが必要となるが、この相転移温度が200℃以上となるとスルホン酸基が脱離し、分子の分解が起こってしまう。最悪の場合、分解がひどく液晶性を発現しないということが起こる。
そこでスルホン酸型液晶モノマー材料を重合してポリマー化することが考えられるが、ポリマー化すると液晶となる相転移温度が極端に高くなる傾向があり、相転移温度が200℃以上となると前記のようにスルホン酸基が脱離し、分子の分解が起こってしまう。そのため、ポリマー化する場合にも、この相転移温度を低くする課題が生じる。
一方、相転移温度を低くすることができ、スルホン酸基の脱離や分子の分解を抑えることができたとしても、液晶状態から固体状態に相転移させた場合に、図7に示すようにスルホン酸基(−SO3H基)が欠落した欠陥箇所が生じると、プロトン伝導性が低くなってしまう可能性がある。このため、欠陥を減少させる課題も生じる。
特開2006−179448号公報 特開2003−55337号公報
本発明の第1の目的は、スルホン酸型液晶ポリマー材料の液晶状態から固体状態に戻す際に生じる欠陥を減少ないし無くし、かつスルホン基が脱離しないように相転移温度を200℃以下に低くして、低温で液晶相を発現させ、優れたプロトン伝導性を有する上、機械的特性に優れるので、特に燃料電池用の電解質膜に好適なプロトン輸送材料を提供することであり、
本発明の第2の目的は、このプロトン輸送材料を用いたイオン交換体、膜電極接合体(MEA)、燃料電池を提供することである。
以上の課題を解決するために、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、次のような知見を得た。
すなわち、スルホン酸型液晶モノマーを重合させてメソゲン基(芳香環などの環が二環以上連結した構造の剛直性に富むユニット)を持つ特定の分子構造を有するスルホン酸型液晶ポリマー材料を合成し、このスルホン酸型液晶ポリマー材料に、メソゲン基とともにホスホン酸基を有する特定の分子構造を有する材料を添加・混合することにより、両メソゲン基がスタックして、両メソゲン基間にスルホン酸基とホスホン酸基が存在するようになり、この結果、図1に示すように、液晶状態から固体状態に戻した際に生じる欠陥をホスホン酸基が補完し、しかもホスホン酸基を有する材料自体もプロトン輸送能を有するため、プロトン伝導性が向上するとともに、相転移温度が200℃以下に低くなり、低温で液晶相を発現できることを見い出し、本発明を成すに至った。
本発明の請求項1記載のプロトン輸送材料は、スルホン酸型液晶ポリマー材料と、ホスホン酸基を有する材料とを必須成分として混合してなるプロトン輸送材料であって、前記スルホン酸型液晶ポリマー材料が、下記一般式(2)で表され、前記ホスホン酸基を有する材料が、下記一般式(4)で表されることを特徴とする。
前記一般式(2)中、R はメチル基、Aは−CO−O(CH )n2、Bは−(CH )n3 −を示し、n1は2以上の整数を示し、n2 は7〜18の整数を示し、n3は3〜10の整数を示す。
前記一般式(4)中、Aはアルキレン基、−C −CH −、−CO−O(CH )n2 −または−CO−、Bはアルキレン基を示し、n2 は1以上の整数を示す。
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本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項記載のプロトン輸送材料において、前記ホスホン酸基を有する材料が、前記一般式(4)中のAが−(CH2 )n4 −、Bが−(CH2 )n3 −で表されるホスホン酸基を有する材料であることを特徴とする。
[前記一般式(4)中、n3 、n4 は1以上の整数を示す。]
本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項記載のプロトン輸送材料において、前記ホスホン酸基を有する材料が、前記一般式(4)中のn4 が1〜17、n3 が3〜10で表されるホスホン酸基を有する材料であることを特徴とする。
本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料において、前記スルホン酸型液晶ポリマー材料に対して0.1〜60質量%の前記ホスホン酸基を有する材料を混合したことを特徴とする。
本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料において、前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマーと、前記一般式()で表されるホスホン酸基を有する材料との混合物の液晶状態の分子配列を、液晶状態で利用することを特徴とする。
本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料において、前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料と、前記一般式()で表されるホスホン酸基を有する材料の混合物との液晶状態の分子配列を、固体状態で利用することを特徴とする。
本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項あるいは請求項記載のプロトン輸送材料において、液晶状態がスメクチックであることを特徴とする。
本発明の請求項は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とするイオン交換体である。
本発明の請求項は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とする膜電極接合体(MEA)である。
本発明の請求項10は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とする燃料電池である。
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本発明の請求項1記載のプロトン輸送材料は、スルホン酸型液晶ポリマー材料と、ホスホン酸基を有する材料とを必須成分として混合してなるプロトン輸送材料であって、前記スルホン酸型液晶ポリマー材料が、前記一般式(2)で表され、前記ホスホン酸基を有する材料が、前記一般式(4)で表されることを特徴とするものであり、
スルホン酸型液晶モノマーを重合させてビフェニル基を有し液晶性をさらに示し易い前記一般式(2)で表される特定の分子構造を有するスルホン酸型液晶ポリマー材料を合成し、このスルホン酸型液晶ポリマー材料に、前記一般式(4)で表されるビフェニル基とともにホスホン酸基を有する特定の分子構造を有する材料を添加・混合することにより、図1に示すように、両メソゲン基がスタックして液晶性を示し易く、両メソゲン基間にスルホン酸基とホスホン酸基が密に連なって存在するようになり、この結果、液晶状態から固体状態に戻した際に生じる欠陥をホスホン酸基が補完し、しかも、ホスホン酸基を有する材料自体もプロトン輸送能を有するため、プロトン伝導性が向上するとともに、相転移温度が200℃以下に低くなり、低温で液晶相を発現でき、スルホン酸基の脱離によるプロトン伝導の低下を避けることができる上、このスルホン酸型液晶ポリマー材料とホスホン酸基を有する材料の混合物は、スルホン酸基とホスホン酸基が密に連なっているため、低加湿でプロトン伝導性が高く、燃料電池などの低温での作動も期待され、燃料電池のコストダウンも見込まれ、そして、スルホン酸型液晶モノマーを重合させて高分子量から超高分子量までのスルホン酸型液晶ポリマー材料が容易に得られるので、機械的特性により優れ、燃料電池の電解質膜としてより好適に使用することができるという顕著な効果を奏する。
前記一般式(2)で表される特定の分子構造を有するスルホン酸型液晶ポリマー材料にこの前記一般式(4)で表されるホスホン酸基を有する材料を添加・混合することで、液晶性をさらに示し易い。
前記一般式(2)中のR 1 がメチル基、Aが−CO−O(CH 2 )n2 −、Bが−(CH 2 )n3 −で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料であるので、液晶性をさらに示し易い。
前記一般式(2)中のR 1 がメチル基、n1が2以上の整数を示し、n2 が7〜18の整数を示し、n3が3〜10の整数であるので、疎水性が高まり過ぎず、耐水性を有しつつ、液晶性を示しやすい。
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本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項記載のプロトン輸送材料において、前記ホスホン酸基を有する材料が、前記一般式(4)中のAが−(CH2 )n4 −、Bが−(CH2 )n3 −で表されるホスホン酸基を有する材料であることを特徴とするものであり、前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料のメソゲン基とさらにスタックして液晶性を示し易いというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項記載のプロトン輸送材料において、前記ホスホン酸基を有する材料が、前記一般式(4)中のn4 が1〜17、n3 が3〜10で表されるホスホン酸基を有する材料であることを特徴とするものであり、前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料のメソゲン基とさらにスタックして液晶性を示し易いというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料において、前記スルホン酸型液晶ポリマー材料に対して0.1〜60質量%の前記ホスホン酸基を有する材料を混合したことを特徴とするものであり、液晶性を確実に示し易く、プロトン伝導性が確実に向上するとともに、相転移温度が200℃以下に低くなり、低温で液晶相を発現でき、機械的特性に優れ、燃料電池の電解質膜として好適に使用できるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項5記載のプロトン輸送材料は、請求項から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料において、前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマーと、前記一般式()で表されるホスホン酸基を有する材料との混合物の液晶状態の分子配列を、液晶状態で利用することを特徴とするものであり、例えばプロトン伝導性に優れた電解液として使用できるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料において、前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料と、前記一般式()で表されるホスホン酸基を有する材料の混合物との液晶状態の分子配列を、固体状態で利用することを特徴とするものであり、
液晶状態の分子配列を保持した固体であるので、優れた機械的特性や優れたプロトン輸送能などを有する例えば燃料電池用の電解質膜に好適であるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項記載のプロトン輸送材料は、請求項あるいは請求項記載のプロトン輸送材料において、液晶状態がスメクチックであることを特徴とするものであり、より優れた機械的特性や優れたプロトン輸送能などを有する例えば燃料電池用の電解質膜に好適であるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とするイオン交換体であり、
優れたイオン交換特性を有するイオン交換体として利用できるという顕著な効果を奏する。
本発明の請求項は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とする膜電極接合体(MEA)であり、優れた機械的特性を有し、低加湿でプロトン伝導性が高く、燃料電池などの低温での作動も期待され、燃料電池のコストダウンも図れるという顕著な効果を奏する。
本発明の請求項10は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とする燃料電池であり、
高い発電効率および低温での作動も期待され、燃料電池のコストダウンも図れるという顕著な効果を奏する。
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図1は、液晶状態の分子配列を有する本発明のプロトン輸送材料のプロトン輸送の状態を模式的に説明する説明図である。
スルホン酸型液晶モノマー材料を重合してポリマー化した従来のスルホン酸型液晶ポリマーが、図7に示すようにスルホン酸基(−SO3 H基)が欠落した欠陥箇所が生じて、プロトン伝導性が低くなってしまう可能性があるのに対して、図1に示す本発明のプロトン輸送材料は、スルホン酸型液晶ポリマー材料にホスホン酸基を有する材料を添加・混合することにより、液晶状態から固体状態に戻した際に生じる欠陥をホスホン酸基が補完するために、このような欠陥がなくなり、図1に示すようにプロトンが容易に伝導できるようになる。しかもホスホン酸基を有する材料自体もプロトン輸送能を有するため、プロトン伝導性がさらに向上するとともに、相転移温度が200℃以下に低くなり、低温で液晶相を発現できるので、スルホン酸基の脱離によるプロトン伝導の低下を避けることができる効果や、機械的特性に優れるなどの効果を得ることができる。
(プロトン輸送材料)
本発明のプロトン輸送材料は、スルホン酸型液晶ポリマー材料と、ホスホン酸基を有する材料とを必須成分として混合したプロトン輸送材料であり、好ましくは、例えば前記一般式(2)で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料と、前記一般式()で表されるホスホン酸基を有する材料を含有した混合物である。
かかる混合物は、前記一般式()で表されるホスホン酸基を有する材料を、前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料に対して、0.1〜60質量%、好ましくは3〜20質量%含有する。
0.1質量%未満では、前記一般式()で表されるホスホン酸基を有する材料の補完効果が低く、60質量%を超えると液晶性を発現しにくくなる恐れがある。
(スルホン酸型液晶ポリマー材料)
前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料は、下記一般式(5)で表されるスルホン酸型液晶モノマーを単独重合して得られるホモポリマーであってもよく、あるいは共重合成分として、アクリル酸、メタクリル酸又はスチレン等の共重合成分を共重合して誘導される繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。
前記一般式()で表される繰り返し単位は、共重合体中50モル%以上であることが好ましい。その中でもスルホン酸基のイオン伝導部位を密な状態で重ねられることから異成分のない100モル%のホモポリマーが特に好ましい。
ポリマーの分子量は、数平均分子量が1000〜数千万の範囲、好ましくは数万〜数百万の範囲である。数平均分子量が1000未満であると、機械特性が得られず、数千万を超えるとポリマーの製造が難しくなり、収率が悪くなる恐れがある。
前記一般式()中のn1は、2以上の整数であり、好ましくは2〜数万、さらに好ましくは20〜2000の範囲である。
[一般式(5)中、R1 は水素原子またはメチル基、Aはアルキレン基、−C6 H4 −CH2 −、−CO−O(CH2 )n2 −または−CO−、Bはアルキレン基、Zはメソゲン基を示し、n2 は1以上の整数を示す。]
本発明で用いるスルホン酸型液晶ポリマー材料の製造方法を次に述べる。
例えば、スルホン酸型液晶モノマーである前記一般式(5)のホモポリマー、あるいは共重合体、あるいは架橋剤により架橋されている高分子量のスルホン酸型液晶ポリマー材料を製造するには、所望のスルホン酸型液晶モノマーまたは所望のスルホン酸型液晶モノマーと共重合成分や架橋剤とを重合開始剤の存在下に、公知の重合法、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法、光重合、熱重合、気相重合法などのラジカル重合法により重合反応を行うことにより製造することができる。中でも溶液重合法は操作し易いので好ましく使用できる。
ここで、前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料において式中、メソゲン基Zとしては以下のようなものが挙げられる。メソゲン基Zは、通常2〜3個の環と結合基から構成される。
環構造としては、ベンゼン環、ビフェニル環、シクロヘキサン環、ビシクロオクタン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環などの六員環、フラン環などの五員環が挙げられる。
一方、結合基は三重結合や二重結合などの直線性や分極性に寄与する場合のほか、形状にも極性にも影響の大きいエステル結合、アゾ結合、オキシアゾ結合、アゾメチレン結合、ジメチレンやオキシメチレンなども挙げられる。また、液晶の種類としては、液晶分子同士がより密につらなることができるスメクチック液晶が好ましい。
記一般式(2)で表されるようなビフェニル骨格を持つスルホン酸型液晶ポリマー材料は、液晶性を有し易く、特に優れている。
記一般式(2)中のR1 は水素原子またはメチル基、Aはアルキレン基、−C6 H4 −CH2 −、−CO−O(CH2 )n2 −または−CO−で表される基を示し、アルキレン基は直鎖状または分岐状のどちらでもよい。
このアルキレン基としては、具体的には、炭素数1〜18のものが好ましく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、エチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクタデシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基等が挙げられ、この中、炭素数6〜10のアルキレン基がさらに好ましい。
また、−CO−O(CH2 )n2 −のn2 は1〜18のものが好ましく、n2 が7〜18のものは耐水性を有しつつ、液晶性が発現しやすく、特に好ましい。その理由は、n2 が7未満であると耐水性に乏しくなり、18を超える疎水性が強まるためである。
記一般式(2)中のBはアルキレン基[ −(CH2 )n3 −]を表し、直鎖状又は分岐状のどちらでもよい。
具体的には、炭素数1〜18のものが好ましく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、エチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクタデシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基等が挙げられ、この中、炭素数(n3)3〜10のアルキレン基が好ましい。この理由は、炭素数(n3)が3未満であると耐水性に乏しく、また液晶性を示しにくく、(n3)が10を超えると疎水性が高まるためである。AおよびBは同じアルキレン基であっても、異なるアルキレン基であってもよい。
(ホスホン酸基を有する材料)
本発明で用いるホスホン酸基を有する材料としては、前記一般式()で表されるホスホン酸基を有する材料が好ましく使用できる。前記一般式()中、前記一般式()と同様、Aはアルキレン基、−C6 H4 −CH2 −、−CO−O(CH2 )n2 −または−CO−で表される基を示し、アルキレン基は直鎖状または分岐状のどちらでもよい。n2 は1以上の整数を示し、1〜17が好ましい。
このアルキレン基[ −(CH2 )n4 −]としては、例えば、ヘキシレン基、オクタデシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基等が挙げられ、炭素数(n4)1〜17のものが好ましい。これは、スルホン酸型液晶ポリマーのビフェニル骨格とホスホン酸基を有する材料のビフェニル骨格がスタックしやすく、液晶相温度を低下させる効果が高まるためである。
前記一般式()において、前記一般式()と同様、Bはアルキレン基[ −(CH2 )n3 −]を表し、直鎖状又は分岐状のどちらでもよい。
具体的は、炭素数(n3)3〜10のものが好ましく、例えばトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、エチルメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクタデシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基等が挙げられる。A及びBは同じアルキレン基であってもよいし、異なるアルキレン基であってもよい。
前記一般式()中のA、Z、Bは、前記一般式()中のA、Z、Bと同じであってもよく、異なっていてもよい。
前記スルホン酸型液晶ポリマー材料として、前記一般式()中のR1 がメチル基、Aが−CO−O(CH2 )n2 −、Bが−(CH2 )n3 −で表され、且つ、n2 が7〜18、n3 が3〜10のスルホン酸型液晶ポリマー材料を用い、前記ホスホン酸基を有する材料として、前記一般式()中のAが−(CH2 )n4 −、Bが−(CH2 )n3 −で表されるホスホン酸基を有する材料を用い、両者を混合した混合物からなるプロトン輸送材料はより好ましい。
それは、耐水性を有しつつ、メソゲン基からスルホン酸基やホスホン酸基などのイオン伝導部位を密に連ねることができるからであり、前記ホスホン酸基を有する材料の添加量を増加させても液晶性を失わなく、且つ、プロトン伝導性を向上させることができるためである。この場合、ホスホン酸基を有する材料が液晶材料であると特に好ましい。
本発明のプロトン輸送材料の調製の1例を次に説明する。
例えばスルホン酸型液晶ポリマー材料とホスホン酸基を有する材料の両者を溶解できる溶媒に溶かした後、溶媒を撹拌、混合しした後、例えば基材上に広げて加熱、減圧することにより溶媒を除去してフィルム、シート状の製品を調製できる。
本発明のプロトン輸送材料は、プロトン輸送性に優れ、また、イオン交換容量も高いことから、電解質や電解質膜やイオン交換体として利用できる。更に、本発明のプロトン輸送材料を利用して固体電解質膜を作製し、これを用いて膜電極接合体(MEA)や燃料電池を作製することも可能である。
本発明のプロトン輸送材料を用いて、MEAを製造する方法の一例としては、以下の方法を示すことができる。まず、本発明のプロトン輸送材料を支持体に積層し乾燥などを行う。次に液晶状態にして分子配列を整えた後、その分子配列を維持したまま固体状態にして電解質層を形成する。この時、分子配向膜やラビング等を行うと分子配列がさらに整然と並び、プロトン伝導性が向上することがある。
必要に応じて電解質層へ保護フィルムを積層して保存してもよい。使用時、この支持体、保護フィルムを剥離させた後、電解質層の両側にガス拡散層、触媒層を含有する電極層を形成し、これによりMEAが得られる。ここにセパーレタや補助的な装置(ガス供給装置、冷却装置など)を組み立て、単一あるいは積層することにより燃料電池を作製することができる。
また、本発明におけるプロトン輸送材料によって形成された電解質層の好適な厚さは、通常0.1〜500μm程度であるが、より好ましくは10μm〜150μmである。これは形成された抵抗素子が厚すぎると抵抗値が大きくなり、薄すぎると電解質層の機械特性が悪くなってしまうためである。
図8は本発明の膜電極結合体の一実施態様の断面説明図である。
前記電解質膜1をその両面に常法により電極触媒層2、3を接合・積層して膜電極結合体12が形成される。
図9は、この膜電極結合体12を装着した固体高分子型燃料電池の単セルの一実施態様の構成を示す分解断面図である。膜電極結合体12の電極触媒層2および電極触媒層3と対向して、それぞれカーボンペーパーにカーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の混合物を塗布した構造を持つ空気極側ガス拡散層4および燃料極側ガス拡散層5が配置される。これによりそれぞれ空気極6および燃料極7が構成される。そして、単セルに面して反応ガス流通用のガス流路8を備え、相対する主面に冷却水流通用の冷却水流路9を備えた導電性でかつガス不透過性の材料よりなる一組のセパレータ10により挟持して単セル11が構成される。単セル11あるいは単セル11を積層することにより燃料電池を作製することができる。
本発明のプロトン輸送材料は、液状若しくは、フィルムとして用いることができる。フィルムとして用いる場合に支持体を用いることが出来る。例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、シクロオレフィン、ノルボルネン、アルミペット、アルミニウム箔などからなるフィルムが用いられる。これらに表面加工を施したり、数種類のフィルムを積層して用いてもよい。液状のプロトン輸送材料を支持体に均一に塗布し、熱風等による乾燥を行った後、溶剤を除去して電解質層を形成する。このままでも用いることもできるが、通常は電解質層保護のために電解質層上に保護フィルムを積層し、例えばロール状に巻くなどして保存される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
<一般式(1)で表されるスルホン酸化液晶ポリマー材料の合成>
50mlのなす型フラスコにジメチルホルムアミド(DMF)溶媒を5ml加え、一般式(5)で表されるスルホン化液晶型モノマー[一般式(5)中のR1 がメチル基、Aが−CO−O(CH2 )6 −、Bが−(CH2 )3 −であって、分子量476のスルホン化液晶モノマー]を500mg、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)を7mgを加え、窒素置換を行い、減圧状態にした。その後、オイルバスにて約60℃で96時間攪拌、反応させた。
反応後、アセトン100ml中に注ぎ、沈殿をろ過し、目的物を得た(収率:72.0%)。
<熱重合によって得られたスルホン酸型液晶ポリマー材料のGPC測定>
(1)試料の調整
0.5質量%のスルホン酸型液晶ポリマー溶液(溶媒:DMF)を作成し、メンブレンフィルタ(孔径:0.2μm)でろ過する。次に、ろ液20μlをGPCに注入する。
(2)分析条件
カラム:SHIMAZU GPC−P(ガードカラム)、GPC−80MD(8mm×300mm)
移動相:ジメチルホルムアミド(DMF)
流量:1.0ml/min
検出器:アライアンスGPC2695・2414(RI) Water製
(3)分析結果
上記分析条件で分析した結果を、図2[縦軸:信号強度、横軸:保持時間(分)]に示す。
図2はスルホン酸型液晶ポリマー材料を示差屈折率検出器で検出したクロマトグラフである。60℃で96時間熱重合することにより、分子量約161万という高分子量のポリマーが得られたことが確認できた。これは液晶モノマーを使うことで、効率的に重合ができたからだと考えられる。
<スルホン酸型液晶モノマー材料と熱重合によって得られたスルホン酸型液晶ポリマー材料の熱分析>
(1)熱分析条件
試料:約5mg
熱分析装置:EXSTAR6000 Tg/DTA6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー製)
窒素流量:200ml/min
[Tg:熱重量測定、 Thermo−Gravimetry]、[示差熱重量分析:DTA:Differntial Thermal Analysis]、[微分熱重量:DTg:Differential Thermo−Gravimetry]
(2)スルホン酸型液晶モノマー材料とスルホン酸型液晶ポリマー材料のDTG
上記の条件で分析した結果を図3[縦軸:重量変化を単位時間で微分した値(μg/min)、横軸:試料温度(℃)]に示す。
スルホン酸型液晶モノマー材料では150℃付近からスルホン酸基の脱離と推測される立ち上がりが観察され、スルホン酸型液晶ポリマー材料では、200℃付近からスルホン酸基の脱離と推測される立ち上がりが観察され、ピークが確認された。
スルホン酸型液晶モノマーを高分子量化することで耐熱性が向上するとともにスルホン酸基の脱離を起こしにくくなることが判る。
<スルホン酸型液晶ポリマー材料とホスホン酸基を有する材料を混合してなる本発明のプロトン輸送材料の調製>
前記スルホン酸型液晶ポリマー材料に対して10質量%の前記一般式(4)中のAが−(CH2 )n4 −、Bが−(CH2 )n3 −で表されるホスホン酸基を有する材料(n4 =9、n3 =3)を用い、両者を溶解できる溶媒(DMF)に溶解し、攪拌混合した後、加熱、減圧して混合した混合物からなるプロトン輸送材料を調整した。
次に、前記スルホン酸型液晶モノマー材料(AM )、得られた前記スルホン酸型液晶ポリマー材料(AP )、および本発明の前記プロトン輸送材料(AP +B)の液晶相への相転移温度(℃)を下記の方法で測定した。
測定した結果を図4に示す。
AM :スルホン酸型液晶モノマー材料
AP :スルホン酸型液晶ポリマー材料
B:ホスホン酸基を有する材料
AP +B:本発明のプロトン輸送材料
(相転移温度測定方法)
装置
1.偏光顕微鏡:オリンパス製BX51
2.ホットステージ:ジャパンハイテック(株)製LK−600FTIR
3.プレパラート:MATSUNAMI MICRO COVER GLASS
測定手順
1.試料をプレパラート2枚の間に入れる。
2.ホットステージに1つプレパラートをセットする。
3.偏光顕微鏡をクロスニコルにする(偏光板2枚を直交にして光が通らないようにする)。
4.ホットステージを5℃/min.で昇温する。
5.試料が固体状態では暗いが、液晶転移温度になると、流動性がでるとともに暗かった映像が明るくなる。そのときが、相転移温度である。
6.さらに昇温して均一に溶融した液体状態になると暗くなる。
図4に示した結果から、スルホン酸型液晶モノマーを熱重合により高分子量化すると、液晶への相転移温度が、スルホン酸型液晶モノマー(AM )が100℃以下であるのに対して、スルホン酸型液晶ポリマー材料(AP)の場合は300℃以上に上昇することがわかった。スルホン酸基が脱離する温度は100℃であるので、スルホン酸型液晶ポリマー材料(AP )の場合は液晶にして分子配向する前に、スルホン酸基が脱離してしまい、耐熱性が不足することがわかった。
しかし、図4に示した結果から、スルホン酸化液晶ポリマー材料(AP )にホスホン酸基を有する材料(B)を加えた本発明のプロトン輸送材料(Ap+B)は、液晶相温度が大きく低下し、スルホン酸基が脱離しない100℃付近から液晶相を発現することがわかった。
一方、本発明の前記プロトン輸送材料は、図10に示す液晶状態におけるX線回折と図5に示す偏光顕微鏡から得られるテクスチャーから、スメクチック液晶を示すことを確認した。
(液晶状態におけるX線回折測定方法)
本発明の前記プロトン輸送材料の液晶状態におけるX線回折測定結果を、図10[縦軸:cps、横軸:2θ/deg.]に示す。
プロトン輸送能の評価は下記の測定方法で行った。
装置
NF ELECTRONIC INSTRUMENTS Frequency Response
Analyzer50580
1.試料をDMF溶媒に80℃で溶解する。
2.この溶液を濃縮する。
3.ガラス上に濃縮した液を流し、乾燥して膜にする。
4.5mm間隔に4本配置された白金ワイヤーとこの膜を貼り合わせ、測定する。
得られたCole−Coleプロットから抵抗値を読み取り、プロトン伝導度を算出した。測定は、室温にて加湿をしない条件で行った。
得られた結果を表1に示す。
表1中のAp はスルホン酸型液晶ポリマー材料、Bはホスホン酸基を有する材料を示す。
表1から、スルホン酸型液晶ポリマー材料AP にホスホン酸基を有する材料Bを添加することにより、本発明のプロトン輸送材料(AP +B)はプロトン伝導性も向上することが確認された。これはホスホン酸を有する材料(B)が図1に示されるように欠陥を埋めたためと推察される。
<スルホン酸型液晶ポリマー材料の耐水性評価>
前記一般式(2)中のR1 がメチル基、Aが−CO−O(CH2 )6 −(n2 =6)、Bが−(CH2 )3 −のスルホン酸型液晶ポリマー材料(試料1)と前記一般式(2)中のR1 がメチル基、Aが−CO−O(CH2 )10−(n2 =10)、Bが−(CH2 )3 −のスルホン酸型液晶ポリマー材料(試料2)を合成し、下記の方法で室温および80℃における耐水性を評価した。
得られた試料1、試料2を室温において十分量の純水中に浸漬することにより耐水性評価をおこなった結果、n2=6の試料1のスルホン酸型液晶ポリマー材料とn2=10の試料2のスルホン酸型液晶ポリマー材料はともにある程度の耐水性を示すことが確認された。さらに、n2=10の試料2のスルホン酸型液晶ポリマー材料にあっては、室温及び80℃の十分量の純水中で30分浸漬しても全く溶解せず、非常に高い耐水性を有していることが確認された。n2=10の試料2のスルホン酸型液晶ポリマー材料は、n2=6の試料1のスルホン酸型液晶ポリマー材料と比較して高い耐水性を示すことが確認された。
本発明のプロトン輸送材料は、スルホン酸型液晶ポリマー材料と、ホスホン酸基を有する材料とを必須成分として混合してなるプロトン輸送材料であって、前記スルホン酸型液晶ポリマー材料が、前記一般式(2)で表され、前記ホスホン酸基を有する材料が、前記一般式(4)で表されることを特徴とするものであり、
スルホン酸型液晶モノマーを重合させてビフェニル基を有し液晶性をさらに示し易い前記一般式(2)で表される特定の分子構造を有するスルホン酸型液晶ポリマー材料を合成し、このスルホン酸型液晶ポリマー材料に、前記一般式(4)で表されるビフェニル基とともにホスホン酸基を有する特定の分子構造を有する材料を添加・混合することにより、図1に示すように、両メソゲン基がスタックして液晶性を示し易く、両メソゲン基間にスルホン酸基とホスホン酸基が密に連なって存在するようになり、この結果、液晶状態から固体状態に戻した際に生じる欠陥をホスホン酸基が補完し、しかも、ホスホン酸基を有する材料自体もプロトン輸送能を有するため、プロトン伝導性が向上するとともに、相転移温度が200℃以下に低くなり、低温で液晶相を発現でき、スルホン酸基の脱離によるプロトン伝導の低下を避けることができる上、このスルホン酸型液晶ポリマー材料とホスホン酸基を有する材料の混合物は、スルホン酸基とホスホン酸基が密に連なっているため、低加湿でプロトン伝導性が高く、燃料電池などの低温での作動も期待され、燃料電池のコストダウンも見込まれ、そして、スルホン酸型液晶モノマーを重合させて高分子量から超高分子量までのスルホン酸型液晶ポリマー材料が容易に得られるので、機械的特性により優れるのでイオン交換体として利用可能であり、特に燃料電池の電解質膜としてより好適に使用することができるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
液晶状態の分子配列を有する本発明のプロトン輸送材料のプロトン輸送の状態を模式的に説明する説明図である。 本発明のプロトン輸送材料のGPC測定結果を示すグラフである。 スルホン酸型液晶モノマー材料とスルホン酸型液晶ポリマー材料のDTG測定結果を示すグラフである。 スルホン酸型液晶モノマー材料、スルホン酸型液晶ポリマー材料、本発明のプロトン輸送材料の相転移温度の測定結果を説明する説明図である。 本発明のプロトン輸送材料がスメクチック液晶を示すことを示す偏光顕微鏡写真である。 従来のフッ素を有しない炭化水素膜のプロトン輸送の状態を模式的に説明する説明図である。 スルホン酸型液晶ポリマー材料のみからなる材料のプロトン輸送の状態を模式的に説明する説明図である。 電解質膜の両面に電極触媒層を形成した膜電極結合体の一実施態様の断面説明図である。 図8に示した膜電極結合体を装着した固体高分子型燃料電池の単セルの構成を示す分解断面図である。 本発明のプロトン輸送材料の液晶状態におけるX線回折図である。
1 電解質膜
2、3 電極触媒層
4 空気極側ガス拡散層
5 燃料極側ガス拡散層
6 空気極
7 燃料極
8 ガス流路
9 冷却水流路
10 セパレータ
11 単セル
12 膜電極結合体

Claims (10)

  1. スルホン酸型液晶ポリマー材料と、ホスホン酸基を有する材料とを必須成分として混合してなるプロトン輸送材料であって、前記スルホン酸型液晶ポリマー材料が、下記一般式(2)で表され、前記ホスホン酸基を有する材料が、下記一般式(4)で表されることを特徴とするプロトン輸送材料。
    前記一般式(2)中、R はメチル基、Aは−CO−O(CH )n2、Bは−(CH )n3 −を示し、n1は2以上の整数を示し、n2 は7〜18の整数を示し、n3は3〜10の整数を示す。
    前記一般式(4)中、Aはアルキレン基、−C −CH −、−CO−O(CH )n2 −または−CO−、Bはアルキレン基を示し、n2 は1以上の整数を示す。
  2. 前記ホスホン酸基を有する材料が、前記一般式(4)中のAが−(CH2 )n4 −、Bが−(CH2 )n3 −で表されるホスホン酸基を有する材料であることを特徴とする請求項1記載のプロトン輸送材料。
    [前記一般式(4)中、n3 、n4 は1以上の整数を示す。]
  3. 前記ホスホン酸基を有する材料が、前記一般式(4)中のn4 が1〜17、n3 が3〜10で表されるホスホン酸基を有する材料であることを特徴とする請求項記載のプロトン輸送材料。
  4. 前記スルホン酸型液晶ポリマー材料に対して0.1〜60質量%の前記ホスホン酸基を有する材料を混合したことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料。
  5. 前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料と、前記一般式()で表されるホスホン酸基を有する材料との混合物の液晶状態の分子配列を、液晶状態で利用することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料。
  6. 前記一般式()で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料と、前記一般式()で表されるホスホン酸基を有する材料の混合物との液晶状態の分子配列を、固体状態で利用することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料。
  7. 液晶状態がスメクチックであることを特徴とする請求項あるいは請求項に記載のプロトン輸送材料。
  8. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とするイオン交換体。
  9. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とする膜電極接合体(MEA)。
  10. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とする燃料電池。
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