JP5098057B2 - プロトン輸送材料、それを用いたイオン交換体、膜電極接合体、燃料電池 - Google Patents
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Description
燃料電池は、電解質の種類によって、アルカリ型、リン酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型等に分類される。固体高分子型燃料電池(PEFC)は、低温作動、高出力密度であり、小型化・軽量化が可能であることから、携帯用電源、家庭用電源、車載用動力源としての応用が期待されている。
そのため、フッ素を有しない炭化水素膜(特許文献1参照)が開発されている。このフッ素を有しない炭化水素膜中のスルホン酸基は、水素イオンを解離できることから、優れたプロトン伝導性を示す。
しかしながら、上記フッ素を有しない炭化水素膜の場合、図6に示すようにスルホン酸基(−SO3 H基)が、ランダムな位置に存在することから、低加湿条件下において、プロトン伝導性が低くなりやすいという問題がある。
このとき、固体状態で乱雑であった分子配列を、一旦液晶状態に相転移させ、乱雑な分子配列を整えることが必要となるが、この相転移温度が200℃以上となるとスルホン酸基が脱離し、分子の分解が起こってしまう。最悪の場合、分解がひどく液晶性を発現しないということが起こる。
本発明の第2の目的は、このプロトン輸送材料を用いたイオン交換体、膜電極接合体(MEA)、燃料電池を提供することである。
すなわち、スルホン酸型液晶モノマーを重合させてメソゲン基(芳香環などの環が二環以上連結した構造の剛直性に富むユニット)を持つ特定の分子構造を有するスルホン酸型液晶ポリマー材料を合成し、このスルホン酸型液晶ポリマー材料に、メソゲン基とともにホスホン酸基を有する特定の分子構造を有する材料を添加・混合することにより、両メソゲン基がスタックして、両メソゲン基間にスルホン酸基とホスホン酸基が存在するようになり、この結果、図1に示すように、液晶状態から固体状態に戻した際に生じる欠陥をホスホン酸基が補完し、しかもホスホン酸基を有する材料自体もプロトン輸送能を有するため、プロトン伝導性が向上するとともに、相転移温度が200℃以下に低くなり、低温で液晶相を発現できることを見い出し、本発明を成すに至った。
[前記一般式(4)中、n3 、n4 は1以上の整数を示す。]
スルホン酸型液晶モノマーを重合させてビフェニル基を有し液晶性をさらに示し易い前記一般式(2)で表される特定の分子構造を有するスルホン酸型液晶ポリマー材料を合成し、このスルホン酸型液晶ポリマー材料に、前記一般式(4)で表されるビフェニル基とともにホスホン酸基を有する特定の分子構造を有する材料を添加・混合することにより、図1に示すように、両メソゲン基がスタックして液晶性を示し易く、両メソゲン基間にスルホン酸基とホスホン酸基が密に連なって存在するようになり、この結果、液晶状態から固体状態に戻した際に生じる欠陥をホスホン酸基が補完し、しかも、ホスホン酸基を有する材料自体もプロトン輸送能を有するため、プロトン伝導性が向上するとともに、相転移温度が200℃以下に低くなり、低温で液晶相を発現でき、スルホン酸基の脱離によるプロトン伝導の低下を避けることができる上、このスルホン酸型液晶ポリマー材料とホスホン酸基を有する材料の混合物は、スルホン酸基とホスホン酸基が密に連なっているため、低加湿でプロトン伝導性が高く、燃料電池などの低温での作動も期待され、燃料電池のコストダウンも見込まれ、そして、スルホン酸型液晶モノマーを重合させて高分子量から超高分子量までのスルホン酸型液晶ポリマー材料が容易に得られるので、機械的特性により優れ、燃料電池の電解質膜としてより好適に使用することができるという顕著な効果を奏する。
前記一般式(2)で表される特定の分子構造を有するスルホン酸型液晶ポリマー材料にこの前記一般式(4)で表されるホスホン酸基を有する材料を添加・混合することで、液晶性をさらに示し易い。
前記一般式(2)中のR 1 がメチル基、Aが−CO−O(CH 2 )n2 −、Bが−(CH 2 )n3 −で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料であるので、液晶性をさらに示し易い。
前記一般式(2)中のR 1 がメチル基、n1が2以上の整数を示し、n2 が7〜18の整数を示し、n3が3〜10の整数であるので、疎水性が高まり過ぎず、耐水性を有しつつ、液晶性を示しやすい。
液晶状態の分子配列を保持した固体であるので、優れた機械的特性や優れたプロトン輸送能などを有する例えば燃料電池用の電解質膜に好適であるというさらなる顕著な効果を奏する。
優れたイオン交換特性を有するイオン交換体として利用できるという顕著な効果を奏する。
高い発電効率および低温での作動も期待され、燃料電池のコストダウンも図れるという顕著な効果を奏する。
スルホン酸型液晶モノマー材料を重合してポリマー化した従来のスルホン酸型液晶ポリマーが、図7に示すようにスルホン酸基(−SO3 H基)が欠落した欠陥箇所が生じて、プロトン伝導性が低くなってしまう可能性があるのに対して、図1に示す本発明のプロトン輸送材料は、スルホン酸型液晶ポリマー材料にホスホン酸基を有する材料を添加・混合することにより、液晶状態から固体状態に戻した際に生じる欠陥をホスホン酸基が補完するために、このような欠陥がなくなり、図1に示すようにプロトンが容易に伝導できるようになる。しかもホスホン酸基を有する材料自体もプロトン輸送能を有するため、プロトン伝導性がさらに向上するとともに、相転移温度が200℃以下に低くなり、低温で液晶相を発現できるので、スルホン酸基の脱離によるプロトン伝導の低下を避けることができる効果や、機械的特性に優れるなどの効果を得ることができる。
本発明のプロトン輸送材料は、スルホン酸型液晶ポリマー材料と、ホスホン酸基を有する材料とを必須成分として混合したプロトン輸送材料であり、好ましくは、例えば前記一般式(2)で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料と、前記一般式(4)で表されるホスホン酸基を有する材料を含有した混合物である。
かかる混合物は、前記一般式(4)で表されるホスホン酸基を有する材料を、前記一般式(2)で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料に対して、0.1〜60質量%、好ましくは3〜20質量%含有する。
0.1質量%未満では、前記一般式(4)で表されるホスホン酸基を有する材料の補完効果が低く、60質量%を超えると液晶性を発現しにくくなる恐れがある。
前記一般式(2)で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料は、下記一般式(5)で表されるスルホン酸型液晶モノマーを単独重合して得られるホモポリマーであってもよく、あるいは共重合成分として、アクリル酸、メタクリル酸又はスチレン等の共重合成分を共重合して誘導される繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。
前記一般式(2)で表される繰り返し単位は、共重合体中50モル%以上であることが好ましい。その中でもスルホン酸基のイオン伝導部位を密な状態で重ねられることから異成分のない100モル%のホモポリマーが特に好ましい。
ポリマーの分子量は、数平均分子量が1000〜数千万の範囲、好ましくは数万〜数百万の範囲である。数平均分子量が1000未満であると、機械特性が得られず、数千万を超えるとポリマーの製造が難しくなり、収率が悪くなる恐れがある。
前記一般式(2)中のn1は、2以上の整数であり、好ましくは2〜数万、さらに好ましくは20〜2000の範囲である。
例えば、スルホン酸型液晶モノマーである前記一般式(5)のホモポリマー、あるいは共重合体、あるいは架橋剤により架橋されている高分子量のスルホン酸型液晶ポリマー材料を製造するには、所望のスルホン酸型液晶モノマーまたは所望のスルホン酸型液晶モノマーと共重合成分や架橋剤とを重合開始剤の存在下に、公知の重合法、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法、光重合、熱重合、気相重合法などのラジカル重合法により重合反応を行うことにより製造することができる。中でも溶液重合法は操作し易いので好ましく使用できる。
環構造としては、ベンゼン環、ビフェニル環、シクロヘキサン環、ビシクロオクタン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環などの六員環、フラン環などの五員環が挙げられる。
一方、結合基は三重結合や二重結合などの直線性や分極性に寄与する場合のほか、形状にも極性にも影響の大きいエステル結合、アゾ結合、オキシアゾ結合、アゾメチレン結合、ジメチレンやオキシメチレンなども挙げられる。また、液晶の種類としては、液晶分子同士がより密につらなることができるスメクチック液晶が好ましい。
このアルキレン基としては、具体的には、炭素数1〜18のものが好ましく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、エチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクタデシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基等が挙げられ、この中、炭素数6〜10のアルキレン基がさらに好ましい。
また、−CO−O(CH2 )n2 −のn2 は1〜18のものが好ましく、n2 が7〜18のものは耐水性を有しつつ、液晶性が発現しやすく、特に好ましい。その理由は、n2 が7未満であると耐水性に乏しくなり、18を超える疎水性が強まるためである。
具体的には、炭素数1〜18のものが好ましく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、エチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクタデシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基等が挙げられ、この中、炭素数(n3)3〜10のアルキレン基が好ましい。この理由は、炭素数(n3)が3未満であると耐水性に乏しく、また液晶性を示しにくく、(n3)が10を超えると疎水性が高まるためである。AおよびBは同じアルキレン基であっても、異なるアルキレン基であってもよい。
本発明で用いるホスホン酸基を有する材料としては、前記一般式(4)で表されるホスホン酸基を有する材料が好ましく使用できる。前記一般式(4)中、前記一般式(2)と同様、Aはアルキレン基、−C6 H4 −CH2 −、−CO−O(CH2 )n2 −または−CO−で表される基を示し、アルキレン基は直鎖状または分岐状のどちらでもよい。n2 は1以上の整数を示し、1〜17が好ましい。
このアルキレン基[ −(CH2 )n4 −]としては、例えば、ヘキシレン基、オクタデシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基等が挙げられ、炭素数(n4)1〜17のものが好ましい。これは、スルホン酸型液晶ポリマーのビフェニル骨格とホスホン酸基を有する材料のビフェニル骨格がスタックしやすく、液晶相温度を低下させる効果が高まるためである。
具体的は、炭素数(n3)3〜10のものが好ましく、例えばトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、エチルメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクタデシレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基等が挙げられる。A及びBは同じアルキレン基であってもよいし、異なるアルキレン基であってもよい。
それは、耐水性を有しつつ、メソゲン基からスルホン酸基やホスホン酸基などのイオン伝導部位を密に連ねることができるからであり、前記ホスホン酸基を有する材料の添加量を増加させても液晶性を失わなく、且つ、プロトン伝導性を向上させることができるためである。この場合、ホスホン酸基を有する材料が液晶材料であると特に好ましい。
例えばスルホン酸型液晶ポリマー材料とホスホン酸基を有する材料の両者を溶解できる溶媒に溶かした後、溶媒を撹拌、混合しした後、例えば基材上に広げて加熱、減圧することにより溶媒を除去してフィルム、シート状の製品を調製できる。
本発明のプロトン輸送材料を用いて、MEAを製造する方法の一例としては、以下の方法を示すことができる。まず、本発明のプロトン輸送材料を支持体に積層し乾燥などを行う。次に液晶状態にして分子配列を整えた後、その分子配列を維持したまま固体状態にして電解質層を形成する。この時、分子配向膜やラビング等を行うと分子配列がさらに整然と並び、プロトン伝導性が向上することがある。
必要に応じて電解質層へ保護フィルムを積層して保存してもよい。使用時、この支持体、保護フィルムを剥離させた後、電解質層の両側にガス拡散層、触媒層を含有する電極層を形成し、これによりMEAが得られる。ここにセパーレタや補助的な装置(ガス供給装置、冷却装置など)を組み立て、単一あるいは積層することにより燃料電池を作製することができる。
また、本発明におけるプロトン輸送材料によって形成された電解質層の好適な厚さは、通常0.1〜500μm程度であるが、より好ましくは10μm〜150μmである。これは形成された抵抗素子が厚すぎると抵抗値が大きくなり、薄すぎると電解質層の機械特性が悪くなってしまうためである。
前記電解質膜1をその両面に常法により電極触媒層2、3を接合・積層して膜電極結合体12が形成される。
<一般式(1)で表されるスルホン酸化液晶ポリマー材料の合成>
50mlのなす型フラスコにジメチルホルムアミド(DMF)溶媒を5ml加え、一般式(5)で表されるスルホン化液晶型モノマー[一般式(5)中のR1 がメチル基、Aが−CO−O(CH2 )6 −、Bが−(CH2 )3 −であって、分子量476のスルホン化液晶モノマー]を500mg、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)を7mgを加え、窒素置換を行い、減圧状態にした。その後、オイルバスにて約60℃で96時間攪拌、反応させた。
反応後、アセトン100ml中に注ぎ、沈殿をろ過し、目的物を得た(収率:72.0%)。
(1)試料の調整
0.5質量%のスルホン酸型液晶ポリマー溶液(溶媒:DMF)を作成し、メンブレンフィルタ(孔径:0.2μm)でろ過する。次に、ろ液20μlをGPCに注入する。
(2)分析条件
カラム:SHIMAZU GPC−P(ガードカラム)、GPC−80MD(8mm×300mm)
移動相:ジメチルホルムアミド(DMF)
流量:1.0ml/min
検出器:アライアンスGPC2695・2414(RI) Water製
上記分析条件で分析した結果を、図2[縦軸:信号強度、横軸:保持時間(分)]に示す。
図2はスルホン酸型液晶ポリマー材料を示差屈折率検出器で検出したクロマトグラフである。60℃で96時間熱重合することにより、分子量約161万という高分子量のポリマーが得られたことが確認できた。これは液晶モノマーを使うことで、効率的に重合ができたからだと考えられる。
(1)熱分析条件
試料:約5mg
熱分析装置:EXSTAR6000 Tg/DTA6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー製)
窒素流量:200ml/min
[Tg:熱重量測定、 Thermo−Gravimetry]、[示差熱重量分析:DTA:Differntial Thermal Analysis]、[微分熱重量:DTg:Differential Thermo−Gravimetry]
(2)スルホン酸型液晶モノマー材料とスルホン酸型液晶ポリマー材料のDTG
上記の条件で分析した結果を図3[縦軸:重量変化を単位時間で微分した値(μg/min)、横軸:試料温度(℃)]に示す。
スルホン酸型液晶モノマー材料では150℃付近からスルホン酸基の脱離と推測される立ち上がりが観察され、スルホン酸型液晶ポリマー材料では、200℃付近からスルホン酸基の脱離と推測される立ち上がりが観察され、ピークが確認された。
スルホン酸型液晶モノマーを高分子量化することで耐熱性が向上するとともにスルホン酸基の脱離を起こしにくくなることが判る。
前記スルホン酸型液晶ポリマー材料に対して10質量%の前記一般式(4)中のAが−(CH2 )n4 −、Bが−(CH2 )n3 −で表されるホスホン酸基を有する材料(n4 =9、n3 =3)を用い、両者を溶解できる溶媒(DMF)に溶解し、攪拌混合した後、加熱、減圧して混合した混合物からなるプロトン輸送材料を調整した。
次に、前記スルホン酸型液晶モノマー材料(AM )、得られた前記スルホン酸型液晶ポリマー材料(AP )、および本発明の前記プロトン輸送材料(AP +B)の液晶相への相転移温度(℃)を下記の方法で測定した。
測定した結果を図4に示す。
AM :スルホン酸型液晶モノマー材料
AP :スルホン酸型液晶ポリマー材料
B:ホスホン酸基を有する材料
AP +B:本発明のプロトン輸送材料
装置
1.偏光顕微鏡:オリンパス製BX51
2.ホットステージ:ジャパンハイテック(株)製LK−600FTIR
3.プレパラート:MATSUNAMI MICRO COVER GLASS
測定手順
1.試料をプレパラート2枚の間に入れる。
2.ホットステージに1つプレパラートをセットする。
3.偏光顕微鏡をクロスニコルにする(偏光板2枚を直交にして光が通らないようにする)。
4.ホットステージを5℃/min.で昇温する。
5.試料が固体状態では暗いが、液晶転移温度になると、流動性がでるとともに暗かった映像が明るくなる。そのときが、相転移温度である。
6.さらに昇温して均一に溶融した液体状態になると暗くなる。
しかし、図4に示した結果から、スルホン酸化液晶ポリマー材料(AP )にホスホン酸基を有する材料(B)を加えた本発明のプロトン輸送材料(Ap+B)は、液晶相温度が大きく低下し、スルホン酸基が脱離しない100℃付近から液晶相を発現することがわかった。
本発明の前記プロトン輸送材料の液晶状態におけるX線回折測定結果を、図10[縦軸:cps、横軸:2θ/deg.]に示す。
装置
NF ELECTRONIC INSTRUMENTS Frequency Response
Analyzer50580
1.試料をDMF溶媒に80℃で溶解する。
2.この溶液を濃縮する。
3.ガラス上に濃縮した液を流し、乾燥して膜にする。
4.5mm間隔に4本配置された白金ワイヤーとこの膜を貼り合わせ、測定する。
得られたCole−Coleプロットから抵抗値を読み取り、プロトン伝導度を算出した。測定は、室温にて加湿をしない条件で行った。
得られた結果を表1に示す。
表1から、スルホン酸型液晶ポリマー材料AP にホスホン酸基を有する材料Bを添加することにより、本発明のプロトン輸送材料(AP +B)はプロトン伝導性も向上することが確認された。これはホスホン酸を有する材料(B)が図1に示されるように欠陥を埋めたためと推察される。
前記一般式(2)中のR1 がメチル基、Aが−CO−O(CH2 )6 −(n2 =6)、Bが−(CH2 )3 −のスルホン酸型液晶ポリマー材料(試料1)と前記一般式(2)中のR1 がメチル基、Aが−CO−O(CH2 )10−(n2 =10)、Bが−(CH2 )3 −のスルホン酸型液晶ポリマー材料(試料2)を合成し、下記の方法で室温および80℃における耐水性を評価した。
得られた試料1、試料2を室温において十分量の純水中に浸漬することにより耐水性評価をおこなった結果、n2=6の試料1のスルホン酸型液晶ポリマー材料とn2=10の試料2のスルホン酸型液晶ポリマー材料はともにある程度の耐水性を示すことが確認された。さらに、n2=10の試料2のスルホン酸型液晶ポリマー材料にあっては、室温及び80℃の十分量の純水中で30分浸漬しても全く溶解せず、非常に高い耐水性を有していることが確認された。n2=10の試料2のスルホン酸型液晶ポリマー材料は、n2=6の試料1のスルホン酸型液晶ポリマー材料と比較して高い耐水性を示すことが確認された。
スルホン酸型液晶モノマーを重合させてビフェニル基を有し液晶性をさらに示し易い前記一般式(2)で表される特定の分子構造を有するスルホン酸型液晶ポリマー材料を合成し、このスルホン酸型液晶ポリマー材料に、前記一般式(4)で表されるビフェニル基とともにホスホン酸基を有する特定の分子構造を有する材料を添加・混合することにより、図1に示すように、両メソゲン基がスタックして液晶性を示し易く、両メソゲン基間にスルホン酸基とホスホン酸基が密に連なって存在するようになり、この結果、液晶状態から固体状態に戻した際に生じる欠陥をホスホン酸基が補完し、しかも、ホスホン酸基を有する材料自体もプロトン輸送能を有するため、プロトン伝導性が向上するとともに、相転移温度が200℃以下に低くなり、低温で液晶相を発現でき、スルホン酸基の脱離によるプロトン伝導の低下を避けることができる上、このスルホン酸型液晶ポリマー材料とホスホン酸基を有する材料の混合物は、スルホン酸基とホスホン酸基が密に連なっているため、低加湿でプロトン伝導性が高く、燃料電池などの低温での作動も期待され、燃料電池のコストダウンも見込まれ、そして、スルホン酸型液晶モノマーを重合させて高分子量から超高分子量までのスルホン酸型液晶ポリマー材料が容易に得られるので、機械的特性により優れるのでイオン交換体として利用可能であり、特に燃料電池の電解質膜としてより好適に使用することができるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
2、3 電極触媒層
4 空気極側ガス拡散層
5 燃料極側ガス拡散層
6 空気極
7 燃料極
8 ガス流路
9 冷却水流路
10 セパレータ
11 単セル
12 膜電極結合体
Claims (10)
- スルホン酸型液晶ポリマー材料と、ホスホン酸基を有する材料とを必須成分として混合してなるプロトン輸送材料であって、前記スルホン酸型液晶ポリマー材料が、下記一般式(2)で表され、前記ホスホン酸基を有する材料が、下記一般式(4)で表されることを特徴とするプロトン輸送材料。
- 前記ホスホン酸基を有する材料が、前記一般式(4)中のAが−(CH2 )n4 −、Bが−(CH2 )n3 −で表されるホスホン酸基を有する材料であることを特徴とする請求項1記載のプロトン輸送材料。
[前記一般式(4)中、n3 、n4 は1以上の整数を示す。] - 前記ホスホン酸基を有する材料が、前記一般式(4)中のn4 が1〜17、n3 が3〜10で表されるホスホン酸基を有する材料であることを特徴とする請求項2記載のプロトン輸送材料。
- 前記スルホン酸型液晶ポリマー材料に対して0.1〜60質量%の前記ホスホン酸基を有する材料を混合したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料。
- 前記一般式(2)で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料と、前記一般式(4)で表されるホスホン酸基を有する材料との混合物の液晶状態の分子配列を、液晶状態で利用することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料。
- 前記一般式(2)で表されるスルホン酸型液晶ポリマー材料と、前記一般式(4)で表されるホスホン酸基を有する材料の混合物との液晶状態の分子配列を、固体状態で利用することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料。
- 液晶状態がスメクチックであることを特徴とする請求項5あるいは請求項6に記載のプロトン輸送材料。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とするイオン交換体。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とする膜電極接合体(MEA)。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプロトン輸送材料を用いたことを特徴とする燃料電池。
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