JP5095786B2 - 半導体製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被処理体たる基板等にめっきなどの液処理を行う半導体製造方法に関する。
半導体デバイスの設計・製造においては、動作速度の向上と一層の高集積化が指向されている。その一方で、高速動作や配線の微細化による電流密度の増加により、エレクトロマイグレーション(EM)が発生しやすくなり、配線の断線を引き起こすことが指摘されている。このことは、信頼性の低下をもたらす原因となる。そのため、半導体デバイスの基板上に形成される配線の材料として、比抵抗の低いCu(銅)やAg(銀)などが用いられるようになってきている。特に銅の比抵抗は1.8μΩ・cmと低く、高いEM耐性が期待できるため、半導体デバイスの高速化のために有利な材料として期待されている。
一般に、Cu配線を基板上に形成するには、絶縁膜に配線を埋め込むためのビアおよびトレンチをエッチングにより形成し、それらの中にCu配線を埋め込むダマシン法が用いられている。さらには、Cu配線を有する基板の表面にCoWB(コバルト・タングステン・ホウ素)やCoWP(コバルト・タングステン・リン)などを含むめっき液を供給し、キャップメタルと称される金属膜を無電解めっきによりCu配線上に被覆して、半導体デバイスのEM耐性の向上を図る試みがなされている(例えば、特許文献1)。
キャップメタルは、Cu配線を有する基板の表面に無電解めっき液を供給することによって形成される。例えば、回転保持体に基板を固定し、回転保持体を回転させながら無電解めっき液を供給することで、基板表面上に均一な液流れを形成する。これにより、基板表面全域に均一なキャップメタルを形成することができる(例えば、特許文献2)。
しかし、無電解めっきは、めっき液の組成、温度などの反応条件によって金属の析出レートに大きな影響を与えることが知られている。また、めっき反応による副生成物(残渣)がスラリー状に発生して基板表面に滞留することで、均一なめっき液流れが阻害され、劣化した無電解めっき液を新しい無電解めっき液に置き換えることができないという問題も指摘されている。これは、基板上での反応条件が局所的に異なるために、基板面内で均一な膜厚を有するキャップメタルを形成することを難しくする。また、キャップメタルを施す基板表面は、形成される配線の粗密や表面材質の違い等に起因する局所的な親水性領域若しくは疎水性領域が生じ、基板全体において均一に無電解めっき液を供給することができず、基板面内で均一な膜厚を有するキャップメタルを形成することができないという問題を生じている。
特開2006−111938号公報 特開2001−073157号公報
このように、従来のめっき方法では、基板全体において均一に無電解めっき液を供給することができず、基板面内で均一な膜厚形成を行うことが難しいという問題がある。一方で、均一な膜厚形成を目指した場合、スループットの低下につながることが多く、連続処理が難しいという問題もあった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、無電解めっき液の使用量を減らすことができると共に、めっき反応で生じる反応副生成物の影響を抑制して基板の面内で均一な膜厚を有するキャップメタルを形成することができる半導体製造方法を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために、本発明の一つの態様に係る半導体製造方法は、複数の基板に連続してめっき処理を施す半導体製造方法であって、1枚の基板処理に必要なpH調整剤を含む所定量のめっき液を温度調節用容器に収容し、温度調節用容器に収容しためっき液を、めっき処理に必要なめっき成膜速度およびめっき液に含まれるpH調整剤の濃度に応じた所定の温度に調節し、基板を1枚ずつ所定位置に保持し、めっき処理に必要なめっき成膜速度およびめっき液に含まれるpH調整剤の濃度に応じたタイミングで、保持された基板1枚毎に温度調節用容器に収容され温度調節されためっき液全量を、保持された基板の処理面に吐出することを特徴とする。
本発明の他の態様に係る半導体製造方法は、温度調節用容器に収容しためっき液の温度を、さらにめっき処理に要する工程時間に基づいて調節することを特徴とする。また、本発明の他の態様に係る半導体製造方法は、温度調節用容器に収容され温度調節されためっき液全量を、さらにめっき処理に要する工程時間に基づいたタイミングで保持された基板の処理面へ吐出することを特徴とする。
本発明によれば、基板面内で均一な膜厚形成を実現する半導体製造方法を提供することができる。
本発明に係る一つの実施形態の半導体製造装置の構成を示す平面図である。 この実施形態の半導体製造装置における無電解めっきユニットを示す断面図である。 この実施形態の半導体製造装置における無電解めっきユニットを示す平面図である。 この実施形態の半導体装置における無電解めっきユニットのアーム部を透過的に示す模式図である。 この実施形態の第1のアームの構成を示す模式図である。 この実施形態に係る無電解めっきユニットの動作を示すフローチャートである。 この実施形態に係る無電解めっきユニットの全体プロセスを示す図である。 この実施形態に係る無電解めっきユニットのめっき処理工程のプロセスを示す図である。 ある組成に調合しためっき処理液の、加温時間に対するめっき液温度とめっき成膜速度との関係を示す図である。 pH調整剤として用いたTMAHの組成が互いに異なる複数のめっき処理液について、それぞれの加温時間に対するめっき液温度とめっき成膜速度との関係を示す図である。 図6に示すめっき処理工程が複数枚の基板Wに対して施される様子を示す図である。 図6に示すめっき処理工程が複数枚の基板Wに対して施される様子を示す図である。
一般的な無電解めっきプロセスは、前洗浄、めっき処理、後洗浄、裏面・端面洗浄、および乾燥の各工程を有している。ここで、前洗浄は、被処理対象たるウェハを親水化処理する工程である。めっき処理は、ウェハ上にめっき液を供給してめっき処理を行う工程である。後洗浄は、めっき析出反応により生成した残渣物等を除去する工程である。裏面・端面洗浄は、ウェハの裏面および端面におけるめっき処理に伴う残渣物を除去する工程である。乾燥は、ウェハを乾燥させる工程である。これらの各工程は、ウェハの回転、洗浄液やめっき液のウェハ上への供給などを組み合わせることで実現している。
ところで、めっき液などの処理液を基板上に供給するめっき処理工程では、処理液の供給ムラなどに起因して、めっき処理により生成される膜(めっき処理膜)の膜厚が不均一となることがある。特に、処理対象たる基板のサイズが大きい場合に膜厚の不均一が顕著となる。本発明の実施形態に係る半導体製造装置は、かかる無電解めっきプロセスの各工程のうち、特にめっき処理工程における膜厚ムラ・ばらつきの問題を改善し、併せてスループットの向上を図るものである。
以下、本発明の一つの実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一つの実施形態に係る半導体製造装置の構成を示す平面図、図2はこの実施形態の半導体製造装置の無電解めっきユニットを示す断面図、図3は同じく無電解めっきユニットを示す平面図、図4は、同じく無電解めっきユニットにおいてめっき液を供給するアーム部を透過的に示す模式図である。
図1に示すように、この実施形態の半導体製造装置は、搬出部1と、処理部2と、搬送部3と、制御装置5とを備えている。
搬出部1は、フープ(FOUP: Front Opening Unified Pod)Fを介して複数枚の基板Wを半導体製造装置内外に搬出入する機構である。図1に示すように、搬出入部1には、装置正面(図1のX方向の側面)に沿ってY方向に配列された3箇所の出入口ポート4が形成されている。出入口ポート4は、それぞれフープFを載置する載置台6を有している。出入口ポート4の背面には隔壁7が形成される。隔壁7には、フープFに対応する窓7Aが載置台6の上方にそれぞれ形成されている。窓7Aには、それぞれフープFの蓋を開閉するオープナ8が設けられており、オープナ8を介してフープFの蓋が開閉される。
処理部2は、前述した各工程を基板Wに一枚ずつ実行する処理ユニット群である。処理部2は、搬送部3との間で基板Wの受け渡しを行う受け渡しユニット(TRS)10と、基板Wに無電解めっきおよびその前後処理を実行する無電解めっきユニット(PW)11と、めっき処理前後において基板Wを加熱する加熱ユニット(HP)12と、加熱ユニット12で加熱された基板Wを冷却する冷却ユニット(COL)13と、これらのユニット群に囲まれて処理部2の略中央に配置され各ユニット間で基板Wを移動させる第2の基板搬送機構14とを備えている。
受け渡しユニット10は、例えば、上下二段に形成された基板受け渡し部(図示せず)を有している。上下段の基板受け渡し部は、例えば、下段を、出入口ポート4から搬入された基板Wの一時的な載置用、上段を、出入口ポート4へ搬出する基板Wの一時的な載置用のように目的別に使い分けることができる。
加熱ユニット12は、受け渡しユニット10のY方向に隣接した位置に2台配置されている。加熱ユニット12は、例えばそれぞれ上下4段に渡って配置された加熱プレートを有している。冷却ユニット13は、第2の基板搬送機構14のY方向に隣接した位置に2台配置されている。冷却ユニット13は、例えばそれぞれ上下4段に渡って形成された冷却プレートを有している。無電解めっきユニット11は、Y方向に隣接する位置に配置された冷却ユニット13および第2の基板搬送機構14に沿って2台配置されている。
第2の基板搬送機構14は、例えば上下に2段の搬送アーム14Aを有している。上下の搬送アーム14Aは、それぞれ上下方向に昇降可能であり、且つ水平方向に旋回可能に構成されている。これにより、第2の基板搬送機構14は、搬送アーム14Aを介して受け渡しユニット10、無電解めっきユニット11、加熱ユニット12および冷却ユニット13の間で基板Wを搬送する。
搬送部3は、搬出入部1と処理部2との間に位置し、基板Wを一枚ずつ搬送する搬送機構である。搬送部3には、基板Wを一枚ずつ搬送する第1の基板搬送機構9が配置されている。基板搬送機構9は、例えば、Y方向に移動可能な上下二段の搬送アーム9Aを有しており、搬出入部1と処理部2との間で基板Wの受け渡しを行う。同様に、搬送アーム9Aは、上下方向に昇降可能であり、且つ水平方向に旋回可能に構成されている。これにより、第1の基板搬送機構9は、搬送アーム9Aを介して任意のフープFと処理部2との間で基板Wを搬送する。
制御装置5は、マイクロプロセッサを有するプロセスコントローラ51、プロセスコントローラ51に接続されたユーザーインターフェース52、およびこの実施形態に係る半導体製造装置の動作を規定するコンピュータプログラムなどを格納する記憶部53を備え、処理部2や搬送部3などを制御する。制御装置5は、図示しないホストコンピュータとオンライン接続され、ホストコンピュータからの指令に基づいて半導体製造装置を制御する。ユーザーインターフェース52は、例えばキーボードやディスプレイなどを含むインタフェースであり、記憶部53は、例えばCD−ROM、ハードディスク、不揮発メモリなどを含んでいる。
ここで、この実施形態に係る半導体製造装置1の動作を説明する。処理対象である基板Wは、あらかじめフープF内に収納されている。まず、第1の基板搬送機構9は、窓7Aを介してフープFから基板Wを取り出し、受け渡しユニット10へ搬送する。基板Wが受け渡しユニット10に搬送されると、第2の基板搬送機構14は、搬送アーム14Aを用いて、基板Wを受け渡しユニット10から加熱ユニット12のホットプレートへ搬送する。
加熱ユニット12は、基板Wを所定の温度まで加熱(プレベーク)して基板W表面に付着した有機物を除去する。加熱処理の後、第2の基板搬送機構14は、基板Wを加熱ユニット12から冷却ユニット13へ搬送する。冷却ユニット13は、基板Wを冷却処理する。
冷却処理が終わると、第2の基板搬送機構14は、搬送アーム14Aを用いて、基板Wを無電解めっきユニット11へ搬送する。無電解めっきユニット11は、基板Wの表面に形成された配線などに無電解めっき処理等を施す。
無電解めっき処理等が終わると、第2の基板搬送機構14は、基板Wを無電解めっきユニット11から加熱ユニット12のホットプレートへ搬送する。加熱ユニット12は、基板Wにポストベーク処理を実行して、無電解めっきによるめっき(キャップメタル)に含有される有機物を除去するとともに、配線等とめっきとの密着性を高めさせる。ポストベーク処理が終わると、第2の基板搬送機構14は、基板Wを加熱ユニット12から冷却ユニット13へ搬送する。冷却ユニット13は、基板Wを再度冷却処理する。
冷却処理が終わると、第2の基板搬送機構14は、基板Wを受け渡しユニット10へ搬送する。その後、第1の基板搬送機構9は、搬送アーム9Aを用いて受け渡しユニット10に載置された基板WをフープFの所定の場所へ戻す。
以後、このような流れを複数の基板に対して行って連続処理をする。なお、初期状態としてダミーウエハを先行して処理させ、各ユニットのプロセス状態の安定状態を促す処理をしてもよい。これによりプロセス処理の再現性を高めることができる。
続いて、図2ないし図4を参照して、この実施形態の半導体製造装置における無電解めっきユニット11について詳細に説明する。図2に示すように、無電解めっきユニット11(以下「めっきユニット11」と称することがある。)は、アウターチャンバ110、インナーチャンバ120、スピンチャック130、第1・第2の流体供給部140・150、ガス供給部160、バックプレート165を備えている。
アウターチャンバ110は、ハウジング100の中に配設され、めっき処理を実行する処理容器である。アウターチャンバ110は、基板Wの収納位置を囲むような筒状に形成され、ハウジング100の底面に固定されている。アウターチャンバ110の側面には、基板Wを搬出入する窓115が設けられ、シャッター機構116により開閉可能とされている。また、アウターチャンバ110の窓115が形成された側と対向する側面には、第1・第2の流体供給部140・150の動作のためのシャッター機構119が開閉可能に形成されている。アウターチャンバ110の上面には、ガス供給部160が設けられている。アウターチャンバ110の下部には、ガスや処理液等を逃がすドレン抜き118が備えられている。
インナーチャンバ120は、基板Wから飛散する処理液を受ける容器であり、アウターチャンバ110の中に配設されている。インナーチャンバ120は、アウターチャンバ110と基板Wの収納位置の間の位置に筒状に形成され、排気、排液用のドレン抜き124を備えている。インナーチャンバ120は、例えばガスシリンダなどの図示しない昇降機構を用いてアウターチャンバ110の内側で昇降可能とされており、上端部122の端部が基板Wの収納位置よりもやや高い位置(処理位置)と、当該処理位置よりも下方の位置(退避位置)との間で昇降する。ここで処理位置とは、基板Wに無電解めっきを施す時の位置であり、退避位置とは、基板Wの搬出入時や基板Wの洗浄等を行う時の位置である。
スピンチャック130は、基板Wを実質的に水平に保持する基板固定機構である。スピンチャック130は、回転筒体131、回転筒体131の上端部から水平に広がる環状の回転プレート132、回転プレート132の外周端に周方向に等間隔を空けて設けられた基板Wの外周部を支持する支持ピン134a、同じく基板Wの外周面を押圧する複数の押圧ピン134bを有している。図3に示すように、支持ピン134aと押圧ピン134bは、互いに周方向にずらされ、例えば3つずつ配置されている。支持ピン134aは、基板Wを保持して所定の収容位置に固定する固定具であり、押圧ピン134bは、基板Wを下方に押圧する押圧機構である。回転筒体131の側方には、モータ135が設けられており、モータ135の駆動軸と回転筒体131との間には無端状ベルト136が掛け回されている。すなわち、モータ135によって回転筒体131が回転するように構成される。支持ピン134aおよび押圧ピン134bは水平方向(基板Wの面方向)に回転し、これらにより保持される基板Wも水平方向に回転する。
ガス供給部160は、アウターチャンバ110の中に窒素ガスまたはクリーンエアを供給して基板Wを乾燥させる。供給された窒素ガスやクリーンエアは、アウターチャンバ110の下端に設けられたドレン抜き118または124を介して回収される。
バックプレート165は、スピンチャック130が保持した基板Wの下面に対向し、スピンチャック130による基板Wの保持位置と回転プレート132との間に配設されている。バックプレート165は、ヒータを内蔵しており、回転筒体131の軸心を貫通するシャフト170と連結されている。バックプレート165の中には、その表面の複数個所で開口する流路166が形成されており、この流路166とシャフト170の軸心を貫通する流体供給路171とが連通している。流体供給路171には熱交換器175が配置されている。熱交換器175は、純水や乾燥ガス等の処理流体を所定の温度に調整する。すなわち、バックプレート165は、温度調整された処理流体を基板Wの下面に向けて供給する作用をする。シャフト170の下端部には連結部材180を介して、エアシリンダ等の昇降機構185が連結されている。すなわち、バックプレート165は、昇降機構185およびシャフト170により、スピンチャック130で保持された基板Wと回転プレート132との間を昇降するように構成されている。
図3に示すように、第1・第2の流体供給部140・150は、スピンチャック130により保持された基板Wの上面に処理液を供給する。第1・第2の流体供給部140・150は、処理液などの流体を貯留する流体供給装置200と、供給用ノズルを駆動するノズル駆動装置205とを備えている。第1・第2の流体供給部140・150は、ハウジング100の中でアウターチャンバ110を挟むようにしてそれぞれ配置されている。
第1の流体供給部140は、流体供給装置200と接続された第1の配管141と、第1の配管141を支持する第1のアーム142と、第1のアーム142の基部に備えられステッピングモータなどを用いて当該基部を軸に第1のアーム142を旋回させる第1の旋回駆動機構143とを備えている。第1の流体供給部140は、無電解めっき処理液などの処理流体を供給する機能を有する。第1の配管141は、三種の流体を個別に供給する配管141a・141b・141cを含み、それぞれ第1のアーム142の先端部においてノズル144a・144b・144cと接続されている。このうち、前述の前洗浄工程では処理液および純水がノズル144aから供給され、後洗浄工程では処理液および純水がノズル144bから供給され、めっき処理工程ではめっき液がノズル144cから供給される。
同様に、第2の流体供給部150は、流体供給装置200と接続された第2の配管151と、第2の配管151を支持する第2のアーム152と、第2のアーム152の基部に備えられ第2のアーム152を旋回させる第2の旋回駆動機構153とを備えている。第2の配管151は、第2のアーム152の先端部においてノズル154と接続されている。第2の流体供給部150は、基板Wの外周部(周縁部)の処理を行う処理流体を供給する機能を有する。第1および第2のアーム142および152は、アウターチャンバ110に設けられたシャッター機構119を介して、スピンチャック130に保持された基板Wの上方を旋回する。
ここで、図4を参照して流体供給装置200について詳細に説明する。流体供給装置200は、第1・第2の流体供給部140・150に処理流体を供給する。図4に示すように、流体供給装置200は、第1のタンク210、第2のタンク220、第3のタンク230、および、第4のタンク240を有している。
第1のタンク210は、基板Wの無電解めっき処理の前処理に使用される前洗浄処理液L1を貯留する。また、第2のタンク220は、基板Wの無電解めっき処理の後処理に使用される後洗浄処理液L2を貯留する。第1および第2のタンク210および220は、それぞれ処理液L1・L2を所定の温度に調整する温度調節機構(図示せず)を備えており、第1の配管141aと接続された配管211および第2の配管141bと接続された配管221が接続されている。配管211および221には、それぞれポンプ212および222と、バルブ213および223とが備えられており、所定温度に調節された処理液L1・L2が、それぞれ第1の配管141a・第2の配管141bに供給されるように構成されている。すなわち、ポンプ212および222とバルブ213および223とをそれぞれ動作させることで、処理液L1およびL2が第1の配管141aおよび第2の配管141bを通じてノズル144aおよびノズル144bに送り出される。
第3のタンク230は、基板Wを処理するめっき液L3を貯留する。第3のタンク230は、第1の配管141cと接続された配管231が接続されている。配管231には、ポンプ232、バルブ233、および、めっき液L3を加熱する加熱器(例えば、熱交換器)234が設けられている。すなわち、めっき液L3は、加熱器234により温度調節され、ポンプ232およびバルブ233の協働した動作により第1の配管141cを通じてノズル144cに送り出される。ポンプ232は、加圧機構や圧送機構などめっき液L3を送り出す送り出し機構として機能するものであればよい。
第4のタンク240は、基板Wの外周部の処理に用いる外周部処理液L4を貯留する。第4のタンク240は、第2の配管151と接続された配管241が接続されている。配管241には、ポンプ242およびバルブ243が設けられている。すなわち、外周部処理液L4は、ポンプ242およびバルブ243の協働した動作により第2の配管151を通じてノズル154に送り出される。
なお、第4のタンク240には、例えばフッ酸を供給する配管、過酸化水素水を供給する配管、および、純水L0を供給する配管も接続されている。すなわち、第4のタンク240は、これらの液を予め設定された所定の比率で混合し調整する作用をもすることになる。
なお、第1の配管141aおよび第2の配管141bには、それぞれ純水L0を供給する配管265aおよび265bが接続され、配管265aにはバルブ260aが設けられ、配管265bにはバルブ260bが設けられている。すなわち、ノズル144aおよび144bは、純粋L0をも供給することができる。
ここで、図5を参照して第1の流体供給部140の第1のアーム142について詳細に説明する。図5は、第1のアーム142の構成を示す模式図である。図5に示すように、第1のアーム142は、温度調節器145、供給機構146aと吸い戻し機構146bとカップリング機構146cとを有するポンプ機構146、および、保温器147を有している。すなわち、この実施形態に係るめっきユニット11は、図4に示す加熱器234を、第1のアーム142に配設された温度調節器145および保温器147により構成している。
温度調節器145は、めっき処理液などを当該処理に適した温度に加温するヒータ機構である。温度調節器145は、密閉された筐体内部に配管141cが貫通しており、温度調節用流体供給器450から供給される温度調節用の流体(たとえば温水)を導入する流体供給口451と、同じく流体を排出する流体排出口452を備えている。流体供給口451から供給された流体は、筐体内部の空間453を流れ配管141cと接触して配管141cを流れるめっき処理液を加温し、流体排出口452から排出される。温度調節器145の中での配管141cは、たとえばらせん状に形成され、温度調節用の流体との接触面積を大きくとることが望ましい。加温する温度はめっき処理液の成分や成膜条件などにより調製することができ、たとえば20〜90℃程度である。
供給機構146aは、前述のポンプ232およびバルブ233を備え、第3のタンク230に蓄えられためっき液L3を、配管141cを通じてノズル144cに送り出す送り出し機構として機能をする。なお、図4および図5に示す例では、送り出し機構としてのポンプ232およびバルブ233によりめっき処理液を送り出しているが、これには限定されない。ポンプ232として、たとえばダイアフランポンプなどの加圧機構や圧送機構により実現してもよい。吸い戻し機構146bは、めっき液の基板処理面への供給完了直後にノズル144cの先端に留まっためっき液を吸い戻す機能を有する。カップリング機構146cは、供給機構146aからの配管と吸い戻し機構146bへの配管と温度調節器145へ続く配管とを結合する。カップリング機構146cは、バルブ233と一体的に実現しても、別体として実現してもかまわない。供給機構146aは、プロセスコントローラ51からの処理液供給指示に基づいて、所定量の処理液を所定の速度やタイミングでノズル144cに向けて送り出す。
保温器147は、温度調節器145とノズル144cとの間に配設され、めっき処理液がノズル144cから送り出されるまで、温度調節器145により加温されためっき処理液の温度を維持する機能を有する。保温器147は、温度調節器145と独立して、密閉された筐体内部に配管141cが貫通しており、温度調節用流体供給器450から送られる温度調節用の流体を導入する流体供給口471と、同じく流体を排出する流体排出口472を備えている。温度調節用流体供給器450から送られる流体は、温度調節器145へ供給される流体と共通でもよいし、別個独立した流体でもよい。保温器147の内部では、流体供給口471と接続された保温パイプ473が配管141cと接触されており、配管141c内のめっき処理液が所定の温度に維持される。保温パイプ473は、保温器147の配管141cに沿ってノズル144cの直近まで伸びており、処理液がノズル144cから送り出される直前まで処理液を保温可能に構成されている。保温パイプ473は、ノズル144cを収納するノズル筐体440の内部で開放され、保温器147内の空間474と通じている。すなわち、保温器147は、その断面中心に位置する配管141c、配管141cの外周に熱的に接触させて配設された保温パイプ473、および、保温パイプ473の外周に位置する空間474からなる三重構造(三重配管の構造)を有している。流体供給口471から供給された保温用の流体は、ノズル筐体440に至るまで保温パイプ473を通ってめっき処理液を保温し、保温器147内の空間474を流れて流体排出口472から排出される。空間474を流れる流体は、保温パイプ473を流れる流体(およびその内側の配管141cを流れるめっき処理液)と保温器147の外側の雰囲気とを熱的に遮断する作用をする。したがって、保温パイプ473を流れる流体の熱損失を抑えるとともに、保温パイプ473を流れる流体から配管141cを流れるめっき処理液への熱伝達を効率的に行うことができる。保温器147は、ノズル駆動装置205により駆動される第1のアーム142に備えられるため、蛇腹状など動きに対応可能な筐体とすることが望ましい。471へ供給される温度調整用の流体(温水)は、451に供給される流体と共通であってもよいし、温度差をもった別の流体であってもよい。
配管141cのうち温度調節器145および保温器147によりめっき処理液が加温・保温される部分は、所定枚数の基板Wを処理する分量のめっき処理液が全量加温かつ保温されるように、当該部分の太さや長さが決定される。すなわち、温度調節器145・保温器147により加温・保温されためっき処理液は、ある枚数の基板Wに対するめっき処理において使い切り、次の処理対象の基板Wについては、温度調節器145により新たに加温され新たに保温器147により保温されためっき液が供給される。このようにして、新たに加温・保温されためっき処理液により続く基板に対するめっき処理が行われていく。
なお、温度調節器145および保温器147によりめっき処理液が加温・保温される部分は、1枚の基板Wを処理する分量のめっき処理液に対応する体積としてもよい。この場合、複数枚の基板Wを連続処理する場合でも均一なめっき処理が可能となる。例えば、温度調節器145および保温機147により一度に加温・保温されるめっき処理液の分量を複数枚の基板Wの処理に対応する量とすると、初回めっき処理でのめっき処理液加温時間と最終回めっき処理での同加温時間とに差が生ずる。通常、めっき処理液は加温されることで劣化が始まるので、複数枚分のめっき処理液を一度に加温すると均一なめっき処理が難しくなることがある。温度調節器145および保温器147が加温するめっき処理液の分量を基板W1枚の処理分として必要回数繰り返すことで、より均一なめっき処理が期待できる。保温器147により保温されるめっき処理液の体積の例としては、基板1枚を処理するとすると、例えば、温度調節器145により加温されるめっき処理液の体積の1/10程度であり、たとえば温度調節器145により加温されるめっき処理液の体積が115[ml]程度、保温器147により保温されるめっき処理液の体積が10[ml]程度である。
続いて、図5を参照して第1のアーム145の動作を説明する。プロセスコントローラ51が流体供給装置200にめっき処理液L3の供給を指示すると、流体供給装置200は、ポンプ232を駆動させバルブ233を開く。めっき処理液L3の細かい供給タイミングの制御は、バルブ233を制御することにより行う。一方、プロセスコントローラ51が流体供給装置200にめっき処理液L3の供給停止を指示すると、流体供給装置200は、バルブ233を閉じ、ポンプ232を停止させると共に、吸い戻し機構146bを動作させて配管141cに残っためっき処理液L3を吸い戻す。これにより、ノズル144cからめっき処理液L3が基板Wへ垂れることを防ぐことができる。なお、温度調節用流体供給装置450は、めっき処理プロセス中は常に流体を温度調節器145および保温器147へ供給している。めっき処理液L3の加温時間は、後述するプロセス時間等の調節によって可能だからである。
この実施形態のめっきユニット11における加熱器234は、第1のアーム142に設けられた温度調節器145および保温器147により、めっき処理液L3を所定のめっき処理温度に加熱・調節する。これは、めっき処理液のライフタイムの影響を考慮したものである。複数枚の基板Wを連続してめっき処理する場合、使用するめっき処理液L3を一括して加熱することで所定の温度に到達させることも可能である。この場合、早い段階でのめっき処理に用いられためっき液と、遅い段階でのめっき処理に用いられためっき液との間で、所定の温度に達してから実際にめっき処理に用いられるまでの時間に差が生じる。しかし本願発明者は、めっき処理液を温度調節後長時間保存ができない(めっき処理液が所定温度に達した後、時間の経過により特性が変化する)という知見を得た。本実施形態における加熱器234を、必要最小限のめっき液を加熱するものとして第1のアーム内に配設したのは、めっき処理時におけるめっき処理液の特性を均質化するためである。特に、複数枚の基板を処理する場合、基板ごとに用いるめっき処理液の特性を均質化することが可能となる。併せて、装置のコンパクト化を図り、めっき処理液の液温低下を抑えることができる。
次に、図1ないし図8を参照して、この実施形態に係る無電解めっきユニット11の動作を説明する。図6は、この実施形態に係る無電解めっきユニット11の動作、特に、めっき処理動作について説明するフローチャート、図7は、この実施形態に係る無電解めっきユニット11の全体プロセスを示す図、図8は、この実施形態に係る無電解めっきユニット11のめっき処理工程のプロセスを示す図である。図6に示すように、この実施形態のめっきユニット11は、前洗浄工程(図中「A」)、めっき処理工程(同「B」)、後洗浄工程(同「C」)、裏面・端面洗浄工程(同「D」)、および乾燥工程(同「E」)の5つの工程を実現する。また、図7に示すように、この実施形態のめっきユニット11は、基板裏面に加温された純水を供給する裏面純水供給a、基板端面を洗浄する端面洗浄b、基板裏面を洗浄する裏面洗浄c、めっき処理に続いて基板を洗浄する後洗浄d、めっき処理e、めっき処理に先立って基板を洗浄する前洗浄f、および基板の親水度を調整する純水供給gの7つの処理液供給プロセスを実行する。図8は、図7に示すめっき処理eのプロセスをより詳細に示している。
第1の基板搬送機構9は、搬出入部1のフープFから基板Wを一枚ずつ搬出し、処理部2の受け渡しユニット10に基板Wを搬入する。基板Wが搬入されると、第2の基板搬送機構14は、基板Wを加熱ユニット12および冷却ユニット13に搬送し、基板Wは所定の熱処理が行われる。熱処理が終了すると、第2の基板搬送機構14は、無電解めっきユニット11内へ基板Wを搬入する。
ます、プロセスコントローラ51は、前洗浄工程Aを実行する。前洗浄工程Aは、親水化処理、前洗浄処理、純水処理を含んでいる。
プロセスコントローラ51は、モータ135を駆動してスピンチャック130に保持された基板Wを回転させる。スピンチャック130が回転すると、プロセスコントローラ51は、ノズル駆動装置205に第1の流体供給部140の駆動を指示する。ノズル駆動装置205は、第1の旋回駆動機構143を動作させて第1のアーム142を基板Wの上の所定位置(例えばノズル144aが基板Wの中心部となる位置)に移動させる。併せて、ノズル駆動装置205は、第2の旋回駆動機構153を動作させて第2のアーム152を基板Wの上の周縁部に移動させる。それぞれ所定位置に達すると、プロセスコントローラ51は、流体供給装置200に親水化処理を指示する(S301)。流体供給装置200は、バルブ260aを開いて所定量の純水L0をノズル144aに送る(図7中供給プロセスg)。このとき、ノズル144aは、例えば基板Wの上方0.1〜20mm程度の位置としておく。同様に、流体供給装置200は、バルブ243を開いて処理液L4をノズル154に送る。この処理での処理液L4は、純水L0との関係で異なる親水化効果が得られるものを用いる。この親水化処理は、続く前洗浄液が基板W表面ではじかれることを防ぐとともに、めっき液が基板W表面から落ちにくくする作用をする。
続いて、プロセスコントローラ51は、流体供給装置200に前洗浄処理(図7中供給プロセスf)および裏面温純水供給(同a)を指示する。流体供給装置200は、バルブ260aを閉じて純水L0の供給を止めるとともにバルブ243を閉じて処理液L4の供給を止め、ポンプ212およびバルブ213を駆動させて前洗浄処理液L1をノズル144aに供給する(S303)。ここで、ノズル144aは基板Wの略中央部に移動した状態であるから、ノズル144aは、基板Wの略中央部に前洗浄処理液L1を供給することになる。前洗浄処理液は有機酸などを用いるから、ガルバニックコロージョンを発生させることなく、銅配線上から酸化銅を除去し、めっき処理の際の核形成密度を上昇させることができる。
次いで、流体供給装置200は、流体供給路171に純水を供給する。熱交換器175は、流体供給路171に送られる純水を温度調節し、バックプレート165に設けられた流路166を介して温度調節された純水を基板Wの下面に供給する。これにより、基板Wの温度がめっき処理に適した温度に維持される。なお、流体供給路171への純水の供給は、前述のステップ300と同時に開始しても同様の効果を得ることができる。
前洗浄処理が終了すると、プロセスコントローラ51は、流体供給装置200に純水処理(図7中供給プロセスg)を指示する(S305)。流体供給装置200は、ポンプ212およびバルブ213を動作させて前洗浄処理液L1の供給を止めるとともに、バルブ260を開いて所定量の純水L0をノズル144aに送る。ノズル144aからの純水L0の供給により、前洗浄処理液を純水に置換することになる。これは、酸性である前洗浄処理液L1とアルカリ性のめっき処理液とが混合してプロセス不良が発生することを防ぐものである。
前洗浄工程Aに続いて、プロセスコントローラ51は、めっき処理工程Bを実行する。めっき処理工程Bは、めっき液置換処理、めっき液盛り付け処理、めっき液処理、純水処理を含んでいる。
プロセスコントローラ51は、流体供給装置200およびノズル駆動装置205にめっき液置換処理を指示する(図7中供給プロセスe)。流体供給装置200は、バルブ260aを閉じて純水L0の供給を止めるとともに、ポンプ232とバルブ233を動作させてめっき液L3をノズル144cに供給する。一方、ノズル駆動装置205は、第1の旋回駆動機構143を動作させて、ノズル144cが基板Wの中央部〜周縁部〜中央部と移動(スキャン)するように第1のアーム142を旋回させる(S312)。めっき液置換処理では、めっき液供給ノズルが中央部〜周縁部〜中央部を移動し、基板Wが比較的高い回転数で回転する(図8中「置換X」プロセス)。この動作により、めっき液L3が基板W上を拡散して、基板Wの表面上の純水を迅速にめっき液に置換することができる。
めっき液置換処理が終わると、プロセスコントローラ51は、スピンチャック130に保持された基板Wの回転速度を減速させ、流体供給装置200およびノズル駆動装置205にめっき液盛り付け処理を指示する。流体供給装置200は、継続してめっき液L3を供給し、ノズル駆動装置205は、第1の旋回駆動機構143を動作させて、ノズル144cが基板Wの中央部から周縁部に向けて徐々に移動させる(S314)。めっき液置換処理された基板Wの表面は、十分な量のめっき液L3が盛り付けられる。さらに、ノズル144cが基板Wの周縁部近傍に近づいた段階で、プロセスコントローラ51は、基板Wの回転速度をさらに減速させる(図8中「液盛Y」プロセス)。
続いて、プロセスコントローラ51は、流体供給装置200およびノズル駆動装置205にめっき処理を指示する。ノズル駆動装置205は、第1の旋回駆動機構143を動作させて、ノズル144cが基板Wの中央部と周縁部の略中間位置に位置するように第1のアーム142を旋回させる。
次いで、流体供給装置200は、ポンプ232とバルブ233を動作させてめっき液L3をノズル144cに断続的・間欠的に供給する(S317)。すなわち図7および図8の「めっきZ」プロセスに示すように、ノズルが所定位置に配置されてめっき液が断続的・間欠的に供給される。基板Wは回転しているから、めっきL3を断続的(間欠的)に供給しても基板Wの全域にまんべんなくめっき液L3を行き渡らせることができる。なお、上記ステップ312・314・317の処理は、繰り返して行ってもよい。めっき液L3を供給して所定時間経過後、流体供給装置200は、めっき液L3の供給を停止し、プロセスコントローラ51は、基板Wの裏面への温純水の供給を停止する。
めっき処理工程Bは、プロセスコントローラ51の指示を受けて、流体供給装置200が供給機構146aを動作させてめっき液L3をノズル144cに供給する。供給機構146aは、めっき液が温度調節器145および保温器147の内部の配管141cがめっき液で満たされ、かつ、ノズル144cからめっき液が垂れないようにめっき液の送り出し制御を行う。吸い戻し機構146bは、供給が終わっためっき液がノズル144cから垂れないよう吸い戻す作用をする。
さらに、プロセスコントローラ51は、流体供給装置200およびノズル駆動装置205に純水処理を指示する(図7中供給プロセスg)。プロセスコントローラ51は、スピンチャック130に保持された基板Wの回転速度を増速させ、ノズル駆動装置205は、第1の旋回駆動機構143を動作させてノズル144cが基板Wの中央部に位置するように第1のアーム142を旋回させる。その後、流体供給装置200は、バルブ260aを開いて純水L0を供給する(S321)。これにより、基板W表面に残っためっき液を除去して後処理液とめっき液とが混ざることを防ぐことができる。
めっき処理工程Bに続いて、プロセスコントローラ51は、後洗浄工程Cを実行する。後洗浄工程Cは、後薬液処理および純水処理を含んでいる。
プロセスコントローラ51は、流体供給装置200に後薬液処理を指示する(図7中供給プロセスd)。流体供給装置200は、バルブ260aを閉じて純水L0の供給を停止させるとともに、ポンプ222およびバルブ223を動作させて後洗浄処理液L2をノズル144bに供給する(S330)。後洗浄処理液L2は、基板Wの表面の残渣物や異常析出しためっき膜を除去する作用をする。
後薬液処理に続いて、プロセスコントローラ51は、流体供給装置200に純水処理を指示する(図7中供給プロセスg)。流体供給装置200は、ポンプ222およびバルブ223を動作させて後洗浄処理液L2の供給を停止させるとともに、バルブ260bを開いて純水L0を供給する(S331)。
後洗浄工程Cに続いて、プロセスコントローラ51は、裏面・端面洗浄工程Dを実行する。裏面・端面洗浄工程Dは、液除去処理、裏面洗浄処理、端面洗浄処理を含んでいる。
プロセスコントローラ51は、流体供給装置200に液除去処理を指示する。流体供給装置200は、バルブ260bを閉じて純水L0の供給を停止し、プロセスコントローラ51は、スピンチャック130に保持された基板Wの回転速度を増速する。この処理は、基板Wの表面を乾燥させて基板Wの表面の液除去を目的としている。
液除去処理が終わると、プロセスコントローラ51は、流体供給装置200に裏面洗浄処理を指示する。まず、プロセスコントローラ51は、まずスピンチャック130に保持された基板Wの回転速度を減速させる。続いて、流体供給装置200は、流体供給路171に純水を供給する(図7中供給プロセスa)。熱交換器175は、流体供給路171に送られる純水を温度調節し、バックプレート165に設けられた流路を介して温度調節された純水を基板Wの裏面に供給する(S342)。純水は、基板Wの裏面側を親水化する作用をする。次いで、流体供給装置200は、流体供給路171への純水供給を停止させ、代わりに裏面洗浄液を流体供給路171へ供給する(S343)。裏面洗浄液は、めっき処理における基板Wの裏面側の残渣物を洗浄除去する作用をする(図7中供給プロセスc)。
その後、プロセスコントローラ51は、流体供給装置200およびノズル駆動装置205に端面洗浄処理を指示する。流体供給装置200は、基板Wの裏面へ裏面洗浄液の供給を停止し、替わりに熱交換器175により温度調節された純水を流体供給路171へ供給する(S344)(図7中供給プロセスa)。
続いて、ノズル駆動装置205は、第2の旋回駆動機構153を動作させてノズル154が基板Wの端部に位置するように第2のアーム152を旋回させ、プロセスコントローラ51は、基板Wの回転数を150〜300rpm程度に増速させる。同様に、ノズル駆動装置205は、第1の旋回駆動機構143を動作させてノズル144bが基板Wの中央部に位置するように第1のアーム142を旋回させる。流体供給装置200は、ノズル260bを開いて純水L0をノズル144bに供給するとともに、ポンプ242およびノズル243を動作させて外周部処理液L4をノズル154に供給する(図7中供給プロセスa・g)。すなわち、この状態では、基板Wの中央部に純粋L0、同じく端部に外周部処理液L4が供給され、基板Wの裏面に温度調節された純水が供給されていることになる(S346)。
裏面・端面洗浄工程Dに続いて、プロセスコントローラ51は、乾燥工程Eを実行する。乾燥工程Eは、乾燥処理を含んでいる。
プロセスコントローラ51は、流体供給装置200およびノズル駆動装置205に乾燥処理を指示する。流体供給装置200は、全ての処理液供給を停止させ、ノズル駆動装置205は、第1のアーム142および第2のアーム152を基板Wの上方から退避させる。また、プロセスコントローラ51は、基板Wの回転速度を800〜1000rpm程度まで増速して基板Wを乾燥させる(S351)。乾燥処理が終わると、プロセスコントローラ51は、基板Wの回転を停止させる。めっき処理工程が終了すると、第2の基板搬送機構14の搬送アーム14Aは、窓115を介して基板Wをスピンチャック130から取り出す。
なお、前洗浄工程、めっき処理工程、後洗浄工程、裏面・端面洗浄工程)、および乾燥工程のプロセス手順や、流体供給装置200、ノズル駆動装置205、温度調節用流体供給器450などによる供給・駆動動作、さらには各種バルブやポンプの動作シーケンスなどは、すべて記憶部53に記憶され、プロセスコントローラ51が当該記憶内容に基づいて各部に動作・制御の指示を行う。
ここで、温度調節器145および保温器147が1回のめっき処理に対応するめっき処理液を処理の都度加温・保温する場合における、めっき処理プロセス全体における温度調節器145の作用について説明する。温度調節器145は、配管141cを流れるめっき液を所定の温度まで加温する。具体的には、図6に示すように、初期状態(1枚目の基板を処理する状態)では、温度調節器145は、ステップ301からステップ312までの間にめっき処理液を所定の温度まで加温し、保温器147は、配管141cを流れる温度調節器145が加温しためっき液を当該所定の温度に保温する(図6中(1)波線の期間)。このとき、めっき液はノズル144cから垂れないように保持されているから、めっき液は所定の温度まで加温されかつ温度が維持される。めっき処理工程Bの間は、めっき液置換処理・めっき液盛り付け処理・めっき処理の各処理によりめっき処理液が供給状態となるから、めっき処理液は配管中を移動しほとんど加温されない(されにくい)状態となる。
1枚目の基板の処理が終わり、ステップ321の純水処理が行われると、めっき処理液の供給が止まるから、温度調節器145は、めっき処理液の加温を再開可能となる。2枚目の基板を処理するめっき処理液の加温期間は、1枚目の基板のめっき処理工程Bが終わったステップ321から、2枚目の基板のめっき処理工程Bが始まるステップ312までの間となる(図6中(2)一点鎖線の期間)。同様に、3枚目の基板を処理するめっき処理液の加温期間は、図6中(3)の二点鎖線の期間となる。すなわち、図6に示す(1)〜(3)の期間は、基板を処理するめっき処理液を加温する期間である。後述するように、めっき処理液はめっき処理時の液温に加えて、どれだけの時間処理液を加温したかによって処理条件が変わってくるから、均一なめっき処理を実現するためには(1)〜(3)のどの期間も同じ時間であることが望ましい。なお、めっき処理プロセス全体の中において、ダミー基板(ダミーウエハ)を用いた安定化処理工程を含めてもよい。これにより、基板Wを複数枚処理する場合に均一な膜厚を得ることができる。
めっき液の送り出しは、プロセスコントローラ51が指示する時間およびタイミングに対応して行われるが、1回のめっき処理において温度調節器145および保温器147内の配管141cに保持されためっき液が全量供給されるように制御される。すなわち、1回のめっき処理が終わると、温度調節器145および保温器147内の配管141cに、加熱・保温処理を施していない新たなめっき液が満たされる。
ここで、めっき処理液の液温とめっき成膜温度との関係について説明する。図9は、ある組成に調合しためっき処理液の、加温時間に対するめっき液温度とめっき成膜速度との関係を示す図である。図10は、pH調整剤として用いたTMAHの組成が互いに異なる複数のめっき処理液について、それぞれの加温時間に対するめっき液温度とめっき成膜速度との関係を示す図である。これらの図においては、めっき処理液の液量は温度調節器145および保温器147の容量に相当するものとする。
一般にめっき処理液の組成は、コバルトを含む溶液、錯化剤、pH調整剤および還元剤から成り立っている。安定しためっき処理のためには、めっき処理液を加温・保温して、反応温度が適正に維持される必要がある。一方、めっき処理液の保温時間が長時間にわたるとめっき処理液中にコバルト金属の析出が始まり、この析出物が基板の処理面に供給された場合、異物がめっき成膜に含有されてしまう。一般的な保温条件(60℃)においては、めっき処理液加温開始後30分程度でかかる析出が発生することがわかっている。
さらに、かかる組成を有するめっき処理液を用いる場合、pH濃度を調整することにより、めっき処理液の還元剤としての反応を促進または抑制することができると考えられる。このことは、めっき処理液の還元反応の結果であるめっき成膜の状態、具体的には成膜速度の調整が、pH濃度の調整により可能となることを意味している。
図9の破線にて示されるように、めっき処理液の温度を目標値である60℃に昇温させる際に要する時間(加温時間)は、およそ50秒程度である。その後、保温時間の経過に伴い、実線で示すめっき成膜速度は急激な増加を示すが、加温時間が300秒を越えると微増に留まっている。そして、前述の通り1800秒(30分)程度でめっき処理液中の金属イオンの析出が発生する。このことは、めっき処理液の液温が設定温度に到達した直後(約50秒加温後)のめっき処理液を用いるよりも、加温・保温状態をある程度維持しためっき処理液を用いる方が、安定かつ成膜速度の高いめっき処理を実現することができることを示している。言い換えれば、めっき処理液をめっき処理に適した温度に調整するためには、液温を昇温させる時間だけでなく液温を適温で維持する加温時間をも必要とすることになる。
図10は、望ましい成膜速度の得られるめっき液の加温時間(成膜速度が安定するのに必要な加温時間)が、pH調整剤(TMAH)の組成比に依存することを示している。すなわち、高い成膜速度を必要とするめっき処理の場合には、高濃度のTMAHを添加しためっき処理液を用いればよく、他方、加温時間を短くする必要がある場合には、低濃度のTMAHを添加しためっき処理液を用いればよいことがわかる。
複数の基板を連続めっき処理するにあたって、一枚の基板処理に要する基板処理時間が、めっき処理液の適切な加温時間よりも短い場合も長い場合も考えられる。めっき処理液の加温時間よりも基板処理時間が短い場合、pH調整剤(TMAH)の濃度を低く調整すれば、めっき処理液の加温時間が短くて済むようになる。ただし、この場合は、必要な膜厚に達するのに要するめっき処理時間が長くなるから、引き続き行われる新しい基板の処理の開始時間を遅らせることが必要になる。このように、めっき処理液の加温時間と基板処理時間を調整することで、所望のめっき処理プロセスを実現することが可能となる。
ところで、複数の基板の連続めっき処理においては、一枚の基板処理に要する基板処理時間は、めっき液供給以外の工程の時間(図7に示す例では工程A・C・D・Eの各プロセス時間)が含まれるため、めっき液のpH調整剤の調整だけで、めっき処理液の加温時間と基板処理時間との調整を図ることが難しいことも考えられる。かかる場合は、めっき処理液の加温の開始もしくは基板処理の開始(めっき液供給の開始)のタイミングを意図的に調整することで実現が可能となる。
以下、図11および図12を参照して、複数の基板の連続めっき処理の際の、加熱時間の開始もしくは基板処理の開始(めっき液供給の開始)のタイミングを意図的に調整するシーケンスの設定方法について説明する。図11および図12は、図6に示すめっき処理工程が複数枚の基板Wに対して施される図である。
図11に示すように、基板Wを1枚めっき処理する場合に、図6および図7に示す前洗浄工程A、めっき処理工程B、後洗浄工程C、裏面・端面洗浄工程Dおよび乾燥工程Eを経るものとする。この場合、n回目の処理の乾燥工程Eの後、n+1回目の前洗浄工程Aが開始されるまでに、処理の終わった基板Wが排出され、新しい処理基板Wが搬入される。
ここで、めっき処理工程Bにおいて所定の温度かつ所定の成膜速度のめっき処理液を得るためには、めっき処理工程Bが開始されるまでにめっき処理液が所定の温度まで加温され、かつ所定の時間加温され続けることが必要である。そのため、図11の(1)に示す通常の加温タイミングでは、後洗浄工程Cが開始してからめっき処理液の加温も開始され、前洗浄工程Aが終了するまで加温が維持される。めっき処理工程Bの間は、加温されためっき処理液がノズル144Cから吐出されるとともに新しいめっき処理液が温度調節器145および保温器147に供給されるため、事実上加温されない状態にある。
仮に、めっき処理に必要な成膜速度を得るために必要なめっき処理液加温時間が短い場合、例えば、後洗浄工程Cの開始から前洗浄工程Aの終了までに要する時間よりも短い加温時間が必要な場合を考える(図11中(2))。この場合、各行程AないしEの処理時間を調整することもできるが、めっき処理のための他のパラメータも変更になり望ましくない場合がある。かかる場合は、後洗浄工程Cが開始されてからΔt11・Δt12・Δt13…分遅らせてから温度調節器145および保温器147による加温・保温を開始すればよい。この制御は、プロセスコントローラ51から温度調節器145および保温器147へ指示させることで実現することができる。このように、n回目、n+1回目、n+2回目…のように、基板Wを1枚処理する度にΔt11・Δt12・Δt13…分の遅延時間を与えてからめっき処理液の加温・保温処理を開始させることで、前洗浄工程A等プロセスの所要時間を変更することなく所定の成膜速度によるめっき処理を実現することができる。なお、処理する基板ごとの遅延時間Δt11・Δt12・Δt13…は、必ずしも同一である必要はない。基板ごとに異なる条件のめっき処理を行う等の場合、それぞれの条件に応じた遅延時間を設定することができる。
一方、めっき処理に必要な成膜速度を得るために必要なめっき処理液加温時間が長い場合、例えば、後洗浄工程Cの開始から前洗浄工程Aの終了までに要する時間よりも長い加温時間が必要な場合を考える(図12中(3)。この場合、図11の(2)とは逆に、乾燥工程Eが終わってからプロセス待機時間Δt21・Δt22…の待機時間を設けて前洗浄工程Aの開始をΔt21・Δt22…分遅らせ、結果的に加温時間・保温時間を延ばすように制御すればよい。この制御もプロセスコントローラ51からの指示により実現することができる。このように、n回目、n+1回目、n+2回目…のように、基板Wを1枚処理する度にΔt21・Δt22…分の待機時間を与えて加温時間・保温時間を延長させることで、前洗浄工程A等プロセスの所要時間を変更することなく所定の成膜速度によるめっき処理を実現することができる。なお、処理する基板ごとの待機時間Δt21・Δt22…は、前述の遅延時間と同様に、必ずしも同一である必要はない。基板ごとに異なる条件のめっき処理を行う場合には、それぞれの条件に応じた待機時間を設定することができる。
図1ないし図4に示す実施形態の無電解めっきユニットによれば、めっき処理直前に加温するとともに所定時間保温し、かつ加温・保温しためっき液を1回のめっき処理で使い切るように動作するので、めっき処理液の温度と加温時間を正確に制御することができ、めっき液の蒸着能力と基板処理速度とのバランスに優れた処理を実現することができる。
なお、本発明は上記実施形態およびその変形例のみに限定されるものではない。本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明は、半導体製造業に適用することができる。
1…搬出部、2…処理部、3…搬送部、5…制御装置、11…無電解めっきユニット、51…プロセスコントローラ、110…アウターチャンバ、120…インナーチャンバ、130…スピンチャック、132…回転プレート、134a…支持ピン、134b…押圧ピン、140…第1の流体供給部、142…第1のアーム、143…第1の旋回駆動機構、144a・144b・144c…ノズル、150…第2の流体供給部、152…第2のアーム、153…第2の旋回駆動機構、154…ノズル、160…ガス供給部、165…バックプレート、166…流路、170…シャフト、171…流体供給路、175…熱交換器、200…流体供給装置、205…ノズル駆動装置。

Claims (3)

  1. 複数の基板に連続してめっき処理を施す半導体製造方法であって、
    1枚の基板処理に必要なpH調整剤を含む所定量のめっき液を温度調節用容器に収容し、
    前記温度調節用容器に収容した前記めっき液を、前記めっき処理に必要なめっき成膜速度および前記めっき液に含まれるpH調整剤の濃度に応じた所定の温度に調節し、
    前記基板を1枚ずつ所定位置に保持し、
    前記めっき処理に必要なめっき成膜速度および前記めっき液に含まれるpH調整剤の濃度に応じたタイミングで、前記保持された基板1枚毎に前記温度調節用容器に収容され温度調節された前記めっき液全量を、前記保持された基板の処理面に吐出すること
    を特徴とする半導体製造方法。
  2. 前記温度調節用容器に収容した前記めっき液の温度を、さらに前記めっき処理に要する工程時間に基づいて調節することを特徴とする請求項1記載の半導体製造方法。
  3. 前記温度調節用容器に収容され温度調節された前記めっき液全量を、さらに前記めっき処理に要する工程時間に基づいたタイミングで前記保持された基板の処理面へ吐出することを特徴とする請求項1または2記載の半導体製造方法。
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