JP5095630B2 - ベアリングレース - Google Patents

Description

本発明は、転動エレメントベアリング（転動体軸受、又はころがり接触軸受けとも言う）に関し、詳細にはこのようなベアリング用の外レースの設計に関する。

転動エレメントベアリング（特に高速でしかし低負荷で作動するベアリング）に関する既知の問題点は、スキッドである。転動エレメント（ころがり要素）は、ベアリングの内軌道上で転動する代りに、この軌道に沿って摺動する。これによって転動エレメントが接触点のところで加熱される。摺動しているエレメントが潤滑膜を破ると、転動エレメント又は軌道が損傷する。この現象は、スキッドとして周知である。

軽負荷ベアリングでスキッドを減少するための既知の方法は、外レースを意図的に非円形にし、ベアリング全体のうち二つ又はそれ以上の箇所で干渉を生じることである。使用では、その場合、この干渉により、力が均衡するまで外レースが湾曲し、その結果、ベアリング全体のうち二つ又はそれ以上の箇所に荷重が作用する。力の大きさは、ベアリングでスキッドが起らないように（非円形の程度の大きさを適当に選択することによって）制御できる。

このようなベアリングの欠点は、スクイズフィルムハウジング又は外レースが湾曲できるのに十分な隙間を持つ何らかの他の種類のハウジングを必要とするということである。このようなハウジングを組み込むことができない場合（例えば空間又は重量に関する制限のため、又はオイル供給上の問題のため）には、クリアハウジング又はフランジ付き外レースを使用する必要がある。高速の用途では、クリアハウジングは、微動磨耗(fretting)を生じ易く、そのため、フランジ付き外レースが好ましい。フランジ付き外レースが好ましい別の理由は、このようなレースにより、ベアリングが支持するシャフトの整合を精密に制御できるということである。

問題点は、フランジ付き外レースが、通常は、その他の種類の外レースよりも遥かに剛性であるということである。非円形の外レースを使用する場合、上述のスキッドの問題点に対する解決策は、外レースの可撓性で決まり、及び従って、この場合にフランジ付き外レースを使用することは満足のいくものではない。

本発明は、フランジ付き外レースを必要とする高速ベアリングに適した軽負荷ベアリングでのスキッドの問題点に対する別の解決策を提供する。本発明を、転動エレメントベアリングのこの他の形体に適用してもよい。

本発明によれば、転動エレメントベアリング用のレースにおいて、レースは、レースの残りの領域と比較して剛性が低い、少なくとも一つの周方向に延びる領域を含む、ことを特徴とする。

周方向に延びる領域又は各周方向に延びる領域は、レースの残りの領域よりも薄くてもよく、更に、穴又はスロットを含んでもよい。
好ましくは、このような周方向に延びる領域が二つ設けられている。各領域は、周方向に約６０°の円弧に亘って延びている。

レースは外レースであってもよく、フランジが設けられていてもよい。
レースは、転動エレメントベアリング（転動体軸受、又はころがり接触軸受け）の一部であってもよい。このようなベアリングの転動エレメントはローラーであってもよい。

次に、本発明の一実施例を添付図面を参照して例として説明する。

図１を参照すると、ガスタービンエンジンの転動エレメントベアリング（転動体軸受、又はころがり接触軸受け）用のベアリングレースの全体が、参照番号１１で示されている。外レース１３は、フランジ１５と、外レースをエンジンの他の構造（図示せず）に固定する複数のボルト１７（全部は示してない）とを有する。

外レース１３の半径方向内面には、周方向に延びる軌道１９が設けられている。ケージ２３に保持された複数のローラー２１が、この軌道上を走行する。ケージの半径方向内方には、内レース（図示せず）が設けられる。図１のＩＩ−ＩＩ線での断面図である図２は、これらの特徴の関係を更に明瞭に示す。

外レース１３の周囲の二つの箇所に薄肉領域２５及び切欠き２７が設けられている。これらの特徴部分２５、２７の各々は、周囲の約６０°に亘って延びている。これらには、周囲のその場所での外レース１３の剛性を、非薄肉領域２９と比較して、低下する効果がある。このように剛性を局所的に減少することにより、使用時に外レースを変形して非円形形状にする。変形の大部分は、薄肉領域２５及び切欠き２７と一致し、非薄肉領域２９の部分では変形は顕著でない。この変形により、特徴部分２５、２７の位置でローラー２１との干渉を生じ、その結果、ローラー２１に力が作用し、スキッドを生じる摺動が起らないようにする。しかしながら、これにも拘わらず、フランジ１５の領域での外レース１３の剛性及び寸法精度に、影響を与えることはない。これは、変形が、薄肉領域２５及び切欠き領域２７に実質的に限定されるためである。

本発明の概念から逸脱することなく、本明細書中に説明した実施例に特定の変更を行ってもよいということは理解されよう。例えば、薄肉領域及び切欠き領域は、各々、上述の実施例の６０°よりも小さくてもよいし大きくてもよい。このような領域が二つ以上設けられていてもよい。このような変更により、レースの周囲に亘る剛性の変化を特定の用途について注文通りに設定できる。

高速軽負荷ローラーベアリングにフランジ付き外レースを設ける必要がある用途に特に適しているけれども、有利には、他の種類のベアリングに適用でき、又は様々な速度条件又は負荷条件で作動するベアリングに適用できる。

図１は、本発明による転動エレメントベアリング用のレースの斜視図である。 図２は、図１のレースのＩＩ−ＩＩ線での断面図である。

符号の説明

１１ 転動エレメントベアリング用のベアリングレース
１３ 外レース
１５ フランジ
１７ ボルト
１９ 軌道
２１ ローラー
２３ ケージ
２５ 薄肉領域
２７ 切欠き
２９ 非薄肉領域

Claims (7)

1. 転動エレメントベアリング用のレース（１１）であって、
   前記レースは、少なくとも一つの周方向に延びる領域を備え、
   前記周方向に延びる領域は、前記レースの残りの領域と比較して剛性が低くなっており、
   前記周方向に延びる領域（２５）又は各周方向に延びる領域（２５）は、前記レースの残りの領域よりも薄く、
   前記周方向に延びる領域又は各周方向に延びる領域は、更に、穴又はスロット（２７）を含む、レース。
2. 請求項１に記載のレースにおいて、
   このような周方向に延びる領域が二つ設けられている、レース。
3. 請求項１又は２に記載のレースにおいて、
   各領域は、周方向に約６０°の円弧に亘って延びている、レース。
4. 請求項１乃至３のうちのいずれか一項に記載のレースにおいて、
   前記レースは、外レースである、レース。
5. 請求項１乃至４のうちのいずれか一項に記載のレースにおいて、
   前記レースにはフランジが設けられている、レース。
6. 請求項１乃至５のうちのいずれか一項に記載のレースを含む、転動エレメントベアリング。
7. 請求項１乃至６のうちのいずれか一項に記載のレースを含む、転動エレメントベアリングにおいて、
   前記転動エレメントは、ローラーである、転動エレメントベアリング。

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