JP5095570B2 - 濃度制御系の故障検知方法及びそれを用いた基板処理装置 - Google Patents
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Description
すなわち、従来の装置は、処理液の基準濃度値をユーザが予めメモリに設定しておく必要があるが、例えば、比較的大きな変動を伴う値に対して上限と下限との絶対値を設定する必要があって煩雑である上に、変動を考慮して広めに上下限の範囲を設定する必要があるので、濃度制御系の故障を検知する精度が低くなるという問題がある。
すなわち、請求項1に記載の発明は、純水や薬液を含む液体からなる処理液の濃度を制御する濃度制御系の故障検知方法において、基板に対する処理が適正であった際における処理液への液体の補充履歴を、処理液が生成されてからの供給流量の積算により基準補充履歴とし、この基準補充履歴を近似化して作成した近似化基準補充履歴に対して、正常に濃度制御系が動作したことを表す範囲として上限及び下限を設定する過程と、処理液の生成が完了した時点から、処理液に対して液体の補充が行われるごとに、その補充量が、前記近似化基準補充履歴における上限及び下限の範囲内であるか否かに基づき補充が適切であるか否かを判断する過程と、を備えていることを特徴とするものである。
図1は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。なお、ここでは、処理液として、SC−1(Standard Clean 1)またはAMP(Ammonia hydroxide/hydrogen Peroxide Mixture)と呼ばれる、アンモニア(NH3)と、過酸化水素水(H2O2)と、純水との三種の液体からなる混合溶液を例にとって説明する。
まず、上下限の設定を行う際の流れについて説明する。
補充量情報を収集する。ここでいう補充量情報の収集とは、制御部55が基板Wを処理するにあたり、処理を行った際における液体の供給流量の積算量を収集して、補充履歴として履歴メモリ61に記憶させておくことである。この収集元は、例えば、他の記憶手段(例えば、ハードディスク装置)に処理中に逐次に記憶されていた補充履歴を対象として実施されることもある。そして、補充履歴の中から、基板Wに対する処理を適切に行うことができたものを代表として選択し、例えば、それを基準補充履歴とする。この際の選択は、各基板Wに対する処理結果に基づき、そのときの補充履歴を指定することで行えばよい。このときに指定された補充履歴は、図2の模式図に示す基準補充履歴shとして、例えば、第1履歴メモリ69に記憶される。ここでは、例えば、アンモニア及び過酸化水素水並びに純水のうちアンモニアについての収集がされたものとする。
演算部63は、第1履歴メモリ69に記憶されている、アンモニアに関する基準補充履歴shを参照して、上述したように近似化して、図3に示すような近似化基準補充履歴ashを第1近似化メモリ73に格納する。
装置のオペレータは、設定部57を操作して、近似化基準補充履歴ashについて上限L1及び下限L2を設定する。なお、予め基準補充履歴にashに対する上下限L1,L2の割合(例えば、基準補充履歴ashに対して10%の上下限L1,L2)を指定しておき、濃度制御系の正常動作範囲を制御部55で自動的に設定できるようにしてもよい。
上述したステップS3で手動あるいは自動で設定された正常動作範囲を表す上下限L1,L2を保存する。この場合、保存先は、液体に対応させて第1近似化メモリ73とすればよい。このようにして設定された上下限L1,L2は、制御部55によって適宜に参照される。
処理装置において使用する全ての液体について上述した上下限L1,L2の設定が完了したか否かにより処理を分岐する。処理が完了している場合には、上下限設定処理を終了する。完了していない場合には、ステップS1に戻って補充量情報の収集から実施する。上述した説明では、アンモニアに関する上下限L1,L2が設定されただけであるので、例えば、次に過酸化水素水について上述したステップS1〜S4を経て上下限L1,L2を設定し、さらに純水について上下限L1,L2を設定するとともに、各上下限L1,L2を第2近似化メモリ74,第3近似化メモリ75に格納しておく。
上述したようにして各液体(アンモニア、過酸化水素水、純水)について上下限L1,L2を設定した後、基板Wに対して処理を実際に行う。その場合の処理の流れについて以下に説明する。
制御部55は、処理槽1及び循環配管13内に貯留している処理液を全て排出するとともに、処理槽1に新たな処理液を生成する全液交換を行う。具体的には、ポンプ15を作動させつつ開閉弁53を開放させて、内槽3及び外槽5並びに循環配管13内に貯留している処理液を全て排出させる。そして、開閉弁53を閉止させるとともに、制御弁25,35,43を適宜に開放して各液体(アンモニア、過酸化水素水、純水)を供給して、濃度計47からの出力信号を参照しつつ、各制御弁25,35,43の開度を調整しながら所定濃度の処理液を生成させる。さらに、制御部55は、インラインヒータ17を所定の温度に制御して、循環配管13を流通する処理液の温度が処理条件にあった処理温度となるように温調を行う。その際には、図示しない温度計からの出力信号を参照しつつ、制御部55は温度調整を行う。
制御部55は、流量計29,39,45からの流量値の積算値を初期化する。具体的には、制御部55が各流量計29,39,45の流量値を初期化するとともに、タイマ59を初期化する。これにより、各流量計29,39,45の積算流量値がゼロにされるとともに、タイマ59の時間がゼロにされて計時が開始される。
制御部55は、各流量計29,39,45からの流量値の積算値を取得する。
制御部55は、各液体の流量計29,39,45からの流量値の積算値と、近似化メモリ65に記憶されている各液体の上下限L1,L2とを比較する。そして、積算補充量が上下限L1,L2の範囲内にあるか否かによって処理を分岐する。範囲内であれば、濃度計47の出力信号に基づいて目標濃度を維持するように各液体の補充処理を行うとともに(ステップT5)、保持アーム7を「処理位置」にまで下降させて、内槽3に貯留している処理液に所定時間だけ基板Wを浸漬させて、基板Wに対して処理液による処理を行わせる(ステップT6)。
制御部55は、処理すべき全ての基板Wに対して処理が完了したか否かに応じて処理を分岐する。全ての基板Wに対する処理が完了した場合には、処理を終了する一方、まだ処理すべき基板Wが残っている場合には、ステップT3に戻って積算流量値の取得を行う。但し、処理液が、その寿命である使用規定時間(ライフタイム)や使用制限回数(ライフカウント)に達した場合には、ステップT1の全液交換に戻る。
制御部55が各液体の流量積算値について、対応する液体の上下限L1,L2と比較した結果、範囲外である場合には異常発生を報知する。具体的には、制御部55が報知部67を操作し、装置のオペレータに対して液体の補充に係る異常が発生したことを知らせる。装置のオペレータは、報知部67の作動を受けて復旧処理を行う(ステップT9)。復旧処理としては、例えば、濃度計47の修理交換や、開閉弁25,35,43の修理交換、流量計29,39,45の修理交換、または制御部55の修理交換などの対応が挙げられる。つまり、濃度制御に係る系統の修理交換を行う。復旧処理が完了した後には、故障の事象に応じてステップT1やステップT3に戻る。
1 … 処理槽
3 … 内槽
5 … 外槽
7 … 保持アーム
15 … ポンプ
17 … インラインヒータ
25,35,43 … 制御弁
27,37,42 … 供給ノズル
29,39,45 … 流量計
55 … 制御部
57 … 設定部
61 … 履歴メモリ
63 … 演算部
65 … 近似化メモリ
67 … 報知部
69〜71 … 第1〜第3履歴メモリ
73〜75 … 第1〜第3近似化メモリ
sh … 基準補充履歴
ash … 近似基準補充履歴
L1 … 上限
L2 … 下限
Claims (6)
- 純水や薬液を含む液体からなる処理液の濃度を制御する濃度制御系の故障検知方法において、
基板に対する処理が適正であった際における処理液への液体の補充履歴を、処理液が生成されてからの供給流量の積算により基準補充履歴とし、この基準補充履歴を近似化して作成した近似化基準補充履歴に対して、正常に濃度制御系が動作したことを表す範囲として上限及び下限を設定する過程と、
処理液の生成が完了した時点から、処理液に対して液体の補充が行われるごとに、その補充量が、前記近似化基準補充履歴における上限及び下限の範囲内であるか否かに基づき補充が適切であるか否かを判断する過程と、
を備えていることを特徴とする濃度制御系の故障検知方法。 - 請求項1に記載の濃度制御系の故障検知方法において、
前記基準補充履歴は、処理液の生成が完了した時点から時系列的に記録されたものであり、
前記補充が適切であるか否かを判断する過程は、その判断時点が、処理液の生成が完了した時点からの経過時点であって、前記近似化基準補充履歴における経過時点と一致していることを特徴とする濃度制御系の故障検知方法。 - 請求項1または2に記載の濃度制御系の故障検知方法において、
前記補充が適切であるか否かを判断する過程は、処理液の生成を開始した時点から所定時間だけ不実施とすることを特徴とする濃度制御系の故障検知方法。 - 純水や薬液を含む液体からなる処理液で基板を処理する基板処理装置において、
基板を収容する処理槽と、
前記処理槽に対して液体を供給する供給系と、
前記供給系からの供給流量を計測する流量計と、
処理液の濃度を測定する濃度計と、
前記濃度計の濃度値に基づいて、前記供給系を操作して目標濃度の処理液を前記処理槽内に生成させるとともに、前記目標濃度を維持するように前記供給系を操作して液体の補充を行う濃度制御手段と、
基板に対する処理が適正であった際における処理液への前記供給系からの液体の補充履歴を、処理液が生成されてからの供給流量の積算により基準補充履歴として予め記憶する基準補充履歴記憶手段と、
前記基準補充履歴を近似化する近似化手段と、
近似化された基準補充履歴を近似化基準補充履歴として予め記憶する近似化基準補充履歴記憶手段と、
前記近似化基準補充履歴に対して上限及び下限を設定するための設定手段と、
処理液の生成が完了した時点から、前記供給系を介して供給された液体の補充量の積算値と、前記上限及び下限とに基づいて液体の供給が適切であるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断が不適切である場合に、そのことを報知する報知手段と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項4に記載の基板処理装置において、
前記近似化基準補充履歴記憶手段は、液体ごとに備えられていることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項4または5に記載の基板処理装置において、
前記基準補充履歴は、処理液の生成が完了した時点から時系列的に記録されたものであり、
前記判断手段は、補充が適切であるか否かの判断時点を、処理液の生成が完了した時点からの経過時点であって、前記近似化基準補充履歴における経過時点と一致させていることを特徴とする基板処理装置。
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