JP5095508B2 - 積層フィルム - Google Patents
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このため、包装用フィルムには単体フィルムが用いられることは比較的少なく、ヒートシール性を有するシーラントフィルムと二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリアミドフィルム等の基材フィルムとが積層された積層フィルムが多く用いられている。
例えば、特許文献1には少なくとも表面基材層、中間層及びシーラント層からなり中間層が直鎖状低密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンとの特定配合比の樹脂組成物からなり、層間接着強度が強く自動充填適応性を有する包装用フィルムの発明が開示されている。
然も、用途が包装であることから、安価で且つ効率的な生産が可能であることも必要とされる。
しかしながら、上記諸要件をすべて充足する多層シーラントフィルムは、本発明者等の知り得る限りに於いて未だ出現していない。
又、本発明の更なる目的は、基材フィルム接着剤塗布面にドライラミネーション法やサンドイッチラミネーション法により容易に貼合せ接着できて包装用多層積層フィルムとすることができ、安価で効率的な包装材生産が可能な積層フィルムを提供するにある。
本発明の積層フィルムに於いては、前記貼合せ層の基材と接するべき面がコロナ処理されていることが好ましい。
又、基材フィルム接着剤塗布面にドライラミネーション法やサンドイッチラミネーション法により容易に貼合せ接着できて包装用多層積層フィルムとすることができ、安価で効率的な包装材生産が可能である。
更に、得られた包装用多層積層フィルムはラミネート外観が良好で、耐熱性にも優れる。
従って、基材フィルム等に貼り合わせて多層フィルムとし、それから包装用成形体を容易に作製でき、例えば、食品、医薬品、化粧品、文具、日用雑貨、精密機械部品や電子製品等の工業用部品の包装用材製造に好適に用いられる。
既に述べたとおり本発明は、シール層、中間層、貼合せ層がこの順に積層された3層積層フィルムの発明であって、シール層がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーにアンチブロッキング剤とスリップ剤とを特定濃度で配合した組成物からなり、中間層がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体もしくはそのアイオノマーに前記シール層より低濃度で、且つ特定濃度範囲のスリップ剤を配合した組成物からなり、貼合せ層がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーにスリップ剤を配合せず、アンチブロッキング剤を特定範囲濃度で配合した組成物からなることが構成上の特徴である。
これらの内では、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体が好ましい。
これらの内ではアクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、イソブチルエステルが好ましい。
又、上記2元又は多元のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は2種以上が混合されていても良い。
上記金属イオンは2種以上混合されていても良い。
これら金属イオンによる中和度は0超〜85%、特に0.1〜85%が好ましい。
又、アイオノマーとしてのメルトフローレート(MFR)(JIS K7210−1999に準拠)は0.01〜100g/10分(2160g荷重、190℃)の範囲にあるものが好ましい。
これらの内では、合成ゼオライト、シリカ等が好ましい。
又、アンチブロッキング剤は2種以上を混合して又は層毎に異なっていても良い。
これらの内では、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、N−オレイルパルミトアミド等のアミド系ワックス類が好ましい。
スリップ剤は2種以上を混合して用いても良い。
シール層にアンチブロッキング剤とスリップ剤を組み合わせで配合することにより、本発明のシール層はヒートシール性を損なうことなく優れたアンチブロッキング性能を発揮する。
アンチブロッキング剤とスリップ剤の両方、或いはそれらの何れかが配合されない樹脂組成物では得られる積層フィルムの滑り摩擦性が充分でなく、アンチブロッキング性に欠けるため好ましくない。
シール層を構成する樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーとスリップ剤とアンチブロッキング剤の合計量に対して、スリップ剤0.4〜2.0重量%、好ましくは0.4〜1.0重量%、アンチブロッキング剤0.5〜10.0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%、及び必要に応じて酸化防止剤等各種添加剤の所定量が配合されたエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー組成物からなる。
前記アンチブロッキング剤やスリップ剤の配合が少な過ぎるとアンチブロッキング性が充分でなく、配合が多過ぎるとヒートシール性に影響する。
中間層の樹脂成分として用いられるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は前記シール、中間、貼合せ各層に用いられるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーのベース樹脂として記載したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を用いることができる。
中間層が本発明で規定したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体もしくはそのアイオノマー以外の樹脂から構成されるものはシール層や貼合せ層との層間接着性が充分でなく、両層間の諸物性差異緩衝作用も充分でなくなる。
又、貼合せ層に移行したスリップ剤は該層の基材接着面の濡れ張力の低下を招来する。
又、アイオノマーにスリップ剤が全く配合されない樹脂組成物では、逆に前記シール層からのスリップ剤拡散移行を充分に阻止できずシール層のスリップ剤濃度が徐々に低下し、該層のアンチブロッキング性の経時低下を招来する危険がある。
又、中間層には、シール層や貼合せ層との間の物性緩衝性を高める観点から、両層と同様にアンチブロッキング剤を配合しても良く、この場合その配合量は、0〜10.0重量%、より好ましくは0〜5.0重量%である。
又、中間層の樹脂成分は、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体もしくはそのアイオノマーに更に少量の他の樹脂成分、例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体もしくはそのアイオノマー100重量部に対し、20重量部未満のエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂が配合されたものでも良く、このようなポリオレフィン樹脂成分としてはポリプロピレンが好ましい。
アンチブロッキング剤が配合されない樹脂組成物では、例えシール層がアンチブロッキング剤やスリップ剤を配合した組成物からなったものであっても、得られた積層フィルムは必ずしも充分なアンチブロッキング性を有さない。
又、アンチブロッキング剤に替えて、又は、それに加えてスリップ剤を配合した物は層の表面濡れ張力が低下し、基材との接着性に劣るものとなるため好ましくない。
アンチブロッキング剤の配合量が少なすぎると、得られる積層フィルムのアンチブロッキング性が必ずしも充分でなく、配合量が多すぎるとシール性が低下する傾向がある。
又、貼合せ層の樹脂成分は、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーに更に少量の他樹脂成分、例えば、アイオノマー100重量部に対し、20重量部未満のエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂が配合された物でも良く、このようなポリオレフィン樹脂としてはポリプロピレンが好ましい。
又、積層フイルム全体の厚さは通常15〜150μm程度が好ましい。
このような本発明の積層フィルムは、その貼合せ層の基材フィルム接着側面での濡れ張力が52mN/m以上、シール層表面での滑り摩擦係数が0.4以下で、且つ、支持基材フィルムを積層し、該積層した多層積層フィルムをヒートシールした後の剥離試験で層間剥離が見られない。
これらの層を構成するフィルムは、必要に応じて延伸が施されていてもよい。延伸は一軸延伸又は二軸延伸のいずれでもよい。
具体例としてシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
更に、上記熱可塑性樹脂フィルム以外にも各種紙、アルミニウム箔等の金属箔を支持基材として用いてもよい。
又、上記支持フィルムと本発明の積層フィルムとの間にポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン中間層を挟み込んだものでも良い。
具体的には、上記支持基材フィルムのコロナ処理面にエポキシ系、ポリウレタン系、アクリル系等の接着剤を塗布等により施しドライラミネーターで上記熱可塑性樹脂フィルムをドライラミネーションする方法や、支持基材にアンカーコート剤を塗布した後に、その支持基材アンカーコート剤塗布面と上記熱可塑性樹脂フィルム間にエチレン・アクリル酸共重合体又はエチレン・メタクリル酸共重合体等接着樹脂の押出しラミネートをするサンドイッチラミネーションにより積層体とする方法等を例示出来る。
支持基材層/ポリエチレン(PE)層等の中間層/本発明の積層(シーラント)フィルム層、
支持基材層/ポリエチレン層(中間層)/Al箔又はAl蒸着膜層(中間層)/本発明の積層(シーラント)フィルム層、
支持基材層/アルミナ蒸着膜層(中間層)/本発明の積層(シーラント)フィルム層、
表面コート支持基材層/本発明の積層(シーラント)フィルム層、
本発明の積層(シーラント)フィルム層/PE(中間層)/支持基材層/PE(中間層)/本発明の積層(シーラント)フィルム層、
等を挙げることができる。
エチレン・メタクリル酸・アクリル酸イソブチル共重合体[メタクリル酸含量9.7重量%、アクリル酸イソブチル含量8.3重量%、]の亜鉛アイオノマー[中和度32.2%、MFR4.0g/10分](IO)85重量部と、アンチブロッキング剤とスリップ剤を配合したマスターバッチ[アンチブロッキング剤(合成ゼオライト)20重量部、スリップ剤A(Nーオレイルパルミトアミド)4重量部、スリップ剤B(ベヘン酸アミド;)2重量部、エチレン・メタクリル酸共重合体74重量部からなるマスターバッチ;MFR=17.0g/10分](MB−1)15重量部とを混練(ドライブレンド)してシール層用の組成物を調製した。
そしてこれら積層フィルムの貼合せ層表面の濡れ張力(測定方法JIS K6768準拠)とシール層表面の滑り摩擦係数(測定方法JIS K7125準拠)をそれぞれ測定した。
結果を表1に示した。
そして得られた多層積層フィルムのシール層面同士を重ね、面々ヒートシール(180℃、実圧0.2MPa、時間0.5秒)した後、手で剥離させ、貼合せ層/中間層及び中間層/シール層の層間剥離の有無を目視で評価した(貼合せ層/中間層、中間層/シール層の層間接着力が充分強いとシール部で切断が起こり、弱いと層間剥離が起こる)。
結果を表1に併せて示した。
実施例1の貼合せ層用組成物に替えて、メタロセン触媒重合線状低密度ポリエチレン[MFR1.9g/分;三井化学社製;SP2520]95重量部に該ポリエチレン用のアンチブロッキング剤配合マスターバッチ[アンチブロッキング剤10重量%含有;プライムポリマー社製](MB−4)5重量部を配合した組成物を用いた以外は実施例1と同様にして積層シーラントフィルムを作製し、貼合せ層表面の濡れ張力とシール層表面の滑り摩擦係数をそれぞれ測定し、又、実施例1と同様に層間剥離の有無を同様に評価した。
結果を表1に併せて示した。
実施例1のシール層用組成物に於けるマスターバッチ(MB−1)替えて(MB−2)を20重量部配合した組成物(IO:80重量部:スリップ剤含量0.2重量%)をシール層用組成物として用いた以外は実施例1と同様にして積層シーラントフィルムを作製し、貼合せ層表面の濡れ張力とシール層表面の滑り摩擦係数をそれぞれ測定し、又、実施例1と同様に層間剥離の有無を評価した。
結果を表1に併せて示した。
Claims (5)
- シール層、中間層、貼合せ層の3層からなる積層フィルムであって、前記シール層が、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーとスリップ剤とアンチブロッキング剤の合計量に対して、0.4〜2.0重量%のスリップ剤と0.5〜10.0重量%のアンチブロッキング剤とを配合したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー組成物の層からなり、前記中間層が、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体もしくはそのアイオノマーとスリップ剤との合計量に対して0.01〜0.5重量%の範囲のスリップ剤を配合したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体もしくはそのアイオノマーの組成物の層(但し中間層の組成物中のスリップ剤濃度は前記シール層のアイオノマー組成物中のスリップ剤の含有濃度より低濃度である)からなり、前記貼合せ層が、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーとアンチブロッキング剤の合計量に対して0.5〜10.0重量%のアンチブロッキング剤を配合し且つスリップ剤を含有しないエチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー組成物の層からなることを特徴とする積層フィルム。
- 積層フィルムがシーラントフィルムである請求項1記載の積層フィルム。
- 前記貼合せ層の基材と接するべき面がコロナ処理されている請求項1又は2に記載のフィルム。
- 前記シール層、中間層又は貼合せ層を構成する組成物に更にポリオレフィン樹脂が前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体もしくはアイオノマー100重量部に対し20重量部以下の割合で配合されている請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
- ドライラミネーション又はサンドイッチラミネーションに用いられる請求項1〜4の何れかに記載のフィルム。
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