JP5095320B2 - ロータリ流体機械および冷凍サイクル装置 - Google Patents

ロータリ流体機械および冷凍サイクル装置 Download PDF

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Description

本発明は、ロータリ流体機械およびそれを用いた冷凍サイクル装置に関するものである。
従来の膨張機として、特開2005−106046号公報に開示されているロータリ膨張機が知られている。
図9、図10および図11を参照しながら、従来のロータリ膨張機の構成について説明する。図9は、スクロール圧縮機構50とロータリ膨張機構60とがシャフト40で連結された流体機械30(いわゆる膨張機一体型圧縮機)の縦断面図である。ロータリ膨張機構60は、図中左から右に向かって積層された、第2閉塞部材61、第2シリンダ81、中間閉塞部材63、第1シリンダ71および第1閉塞部材62を含む。
第2シリンダ81は、左端面が第2閉塞部材61によって、右端面が中間閉塞部材63によって閉塞されている。第1シリンダ71は、左端面が中間閉塞部材63によって、右端面が第1閉塞部材62によって閉塞されている。
また、シャフト40が、積層された状態の第2閉塞部材61、第2シリンダ81、中間閉塞部材63、第1シリンダ71および第1閉塞部材62を貫通している。また、シャフト40の第1偏心部41が第1シリンダ71内に位置し、シャフト40の第2偏心部42が第2シリンダ81内に位置している。
図10および図11に示すように、第1シリンダ71内には第1ピストン75が、第2シリンダ81内には第2ピストン85がそれぞれ設けられている。第1閉塞部材62と、中間閉塞部材63と、第1ピストン75と、第1シリンダ71とにより第1作動室72が、第2閉塞部材61と、中間閉塞部材63と、第2ピストン85と、第2シリンダ81とにより第2作動室82が形成される。第1作動室72および第2作動室82内には、それぞれ第1ブレード76、第2ブレード86が設けられている。それぞれの作動室72,82が各ブレード76,86によって上流側作動室と下流側作動室とに仕切られている。
第1シリンダ71には吸入口34が形成され、第2シリンダ81には吐出口35が形成されている。また、中間閉塞部材63を貫通するように、連通孔64が設けられている。
このように構成されたロータリ膨張機構60において、高圧の作動流体が吸入口34から第1作動室72に流入し、中間閉塞部材63に設けられた連通孔64を通って第2作動室82に流入しながら膨張し、低圧となって吐出孔35から流出する。
特開2005−106046号公報
上記ロータリ膨張機構60では、中間閉塞部材63を挟んで、左右に(または上下に)2つの作動室72,82が形成される。この2つの作動室72,82は、ロータリ膨張機構60の運転時には、それぞれ異なる圧力の冷媒が存在する膨張室となる。そのため、ロータリ膨張機構60の運転時において、中間閉塞部材63は、高圧冷媒と低圧冷媒の圧力差による力を受け、低圧冷媒が存在する側へ変形する。このときの変形量は、中間閉塞部材63の肉厚にもよるが、おおよそμmオーダとなる。
また、中間閉塞部材63は、低圧膨張室を形成する第1シリンダ71と、高圧膨張室を形成する第2シリンダ81とに挟まれている外周部が固定端となり、シャフト40が貫通する中心部が自由端となる。そのため、中間閉塞部材63の高圧冷媒と低圧冷媒の圧力差による力による変形量は、中心部で最も大きくなる。
中間閉塞部材63の最も大きく変形する部分には、低圧膨張室を形成する第2ピストン85が位置する。中間閉塞部材63と第2ピストン85との間には、両者が直接接触することを避け、かつ両者の摺動面に潤滑油の油膜を形成するために、μmオーダのクリアランスが設けられる。
しかし、前記圧力差によって働く力による中間閉塞部材63の変形量が、予め定められたクリアランスよりも大きくなると、中間閉塞部材63と第2ピストン85とが強く接触し、摺動損失が増加する。さらには、強い摺動が原因で、中間閉塞部材63や第2ピストン85の摩耗が進み、運転不能に陥る恐れもある。
中間閉塞部材63の厚さを増加すればよいとも考えられるが、中間閉塞部材63の連通孔64の内部は、作動室72と作動室78とが連通して容積が大きくなる膨張過程において、膨張に寄与しないデッドスペースになる。このデッドスペースの増加を避けるため、中間閉塞部材63を厚くするべきでない。また、中間閉塞部材63の厚さの増加は、ロータリ膨張機構60の重量増や寸法拡大に直結するのでなるべく避けたい。
本発明は、こうした課題を解決するもので、ピストン(ローラ)と中間閉塞部材との摺動による機械損失を低減し、また、運転不能に繋がる強い接触を回避することで、高効率で高信頼性を有するロータリ流体機械を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
同心状に配置された第1シリンダおよび第2シリンダと、
前記第1シリンダおよび前記第2シリンダのそれぞれの内側で偏心回転する第1ローラおよび第2ローラと、
前記第1シリンダと前記第1ローラとの間に形成される、作動流体が吸入される第1作動室と、
前記第2シリンダと前記第2ローラとの間に形成される、前記第1作動室と共に膨張室を構成する第2作動室と、
前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に配置された中間閉塞部材と、
前記第1ローラおよび前記第2ローラが軸方向に沿って取り付けられたシャフトとを備え、
前記作動流体は、膨張時に前記第1作動室から前記第2作動室へと移動し、
前記中間閉塞部材と前記第2ローラとの軸方向についてのクリアランスが、径方向の中心へ向かうほど大きくなっている、ロータリ流体機械を提供する。
上記本発明のロータリ流体機械では、中間閉塞部材と第2ローラ(ピストン)との軸方向についてのクリアランスが、径方向の中心へ向かうほど大きくなっている。このようなクリアランスがあるため、流体機械の運転時において、その中間閉塞部材が、高圧の作動流体と低圧の作動流体との圧力差による力を受け、低圧の作動流体が存在する側へ変形したとしても、中間閉塞部材と低圧側ローラ(第2ローラ)とが強く接触することを防止できる。ゆえに、摺動損失が小さく高効率なロータリ流体機械を提供することができる。また、本発明によれば、流体機械の運転時には、中間閉塞部材と高圧側ローラ(第1ローラ)とのクリアランスと、中間閉塞部材と低圧側ローラとのクリアランスとを、均一な広さかつ僅少とすることができるので、それらのクリアランスからの作動流体の漏れも低減できる。作動流体の漏れを低減することにより、ロータリ流体機械の効率が向上する。
なお、本発明のロータリ流体機械は、(i)中間閉塞部材と第2ローラとの軸方向についてのクリアランスが、径方向の中心へ向かうほど大きくなっている、という特徴に代えて、下記(ii)または(iii)の特徴を有していてもよいし、これら全ての特徴を有していてもよい。(ii)中間閉塞部材が厚さ一定の板状部品で構成されるとともに、その中間閉塞部材における第1シリンダの内周面よりも内側の部分が、径方向の中心に向かうほど第2ローラから遠ざかるように撓んでいる。(iii)第2ローラの中間閉塞部材に接する側の面が、径方向に平行な基準面に対して傾斜している。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の流体機械の縦断面図である。図2Aは、図1に示す流体機械のIIA-IIA横断面図である。図2Bは、図1に示す流体機械のIIB-IIB横断面図である。
図1に示すように、流体機械100は、密閉容器101と、密閉容器101の内部中央に配置された電動機132と、電動機132の上方に配置された圧縮機構120と、電動機132の下方に配置された膨張機構102と、圧縮機構120が有する圧縮機構シャフト126と膨張機構102が有する膨張機構シャフト105との連結部131と、膨張機構102の下方に配置されたオイルポンプ136とを備えている。密閉容器101の底部は、オイルが溜められるオイル溜り130として利用されている。
本実施の形態では、圧縮機構120と膨張機構102とがシャフト126,105で連結された流体機械100を例示するが、この流体機械100から圧縮機構120の部分を除けば、電動機132が発電機として機能するロータリ膨張機を提供できる。
図1において、圧縮機構シャフト126の回転方向と膨張機構シャフト105の回転方向は同じであり、膨張機構102で発生した動力が、これらのシャフト126,105により圧縮機構120に伝達される。シャフト126,105の内部には、オイルポンプ136の働きによって、オイル溜まり130のオイルを圧縮機構120および膨張機構102に送るための給油路126a,105cが形成されている。オイルポンプ136は、例えば、一般的なトロコイド型ポンプである。
圧縮機構120は、圧縮機構シャフト126と、圧縮機構シャフト126を軸支する圧縮機構軸受127と、この圧縮機構軸受127上に配置された固定スクロール123と、圧縮機構軸受127と固定スクロール123との間に固定スクロール123と噛み合うように配置された旋回スクロール124とを含む。旋回スクロール124と圧縮機構軸受127との間に、旋回スクロール124の自転を防止して円軌道運動するように案内するオルダムリングなどによる自転規制機構125を設けている。なお、圧縮機構120は、スクロール型に限定されず、他の容積型、例えばロータリ型であってもよい。
図1、図2Aおよび図2Bに示すように、膨張機構102は、第1シリンダ103、第2シリンダ104、膨張機構シャフト105、第1ローラ106、第2ローラ107、第1ベーン108、第2ベーン109、第1ばね110、第2ばね111、上軸受112、下軸受113、中板118(中間閉塞部材)、下軸受カバー119、吸入管115および吐出管114を備えている。
図1に示すように、第1シリンダ103、中板118および第2シリンダ104は、中板118を第1シリンダ103と第2シリンダ104で挟むように、軸方向に沿ってこの順番で配置されている。中板118は、第1シリンダ103と第2シリンダ104とを仕切っている。膨張機構シャフト105は、中板118を上下に貫くように配置されており、軸方向に沿って、第1偏心部105aおよび第2偏心部105bを有する。第1ローラ106は、第1偏心部105aに嵌合され第1シリンダ103の内部で偏心回転運動する。同様に、第2ローラ107は、第2偏心部105bに嵌合され第2シリンダ104の内部で偏心回転運動する。
図2Aに示すように、第1ベーン108は、第1シリンダ103に形成された第1ベーン溝103aに往復動可能に装着されている。図2Bに示すように、第2ベーン109は、第2シリンダ104に形成された第2ベーン溝104aに往復動可能に装着されている。第1ばね110は、第1ベーン108と第1ベーン溝103aによって形成された背面空間に配置され、第1ベーン108を第1ローラ106に向けて押す。同様に、第2ばね111は、第2ベーン109と第2ベーン溝104aによって形成された背面空間に配置され、第2ベーン109を第2ローラ107に向けて押す。上軸受112は、中板118が位置する側とは反対側における第2シリンダ104の端面を閉塞する。下軸受113は、中板118が位置する側とは反対側における第1シリンダ103の端面を閉塞する。各軸受112,113が膨張機構シャフト105を支える。吸入管115から吸入された作動流体は、下軸受カバー119の内部を経由して第1シリンダ103に送られる。第2シリンダ104から吐出された作動流体は、吐出管114へと送られる。
なお、本明細書中では、単に軸方向といえば膨張機構シャフト105の軸方向を意味し、単に径方向といえば膨張機構シャフト105の径方向を意味するものとする。
第1シリンダ103と、第1ローラ106と、下軸受113と、中板118とにより、作動流体が仕事をする第1作動室116が形成されている。第1作動室116は、第1ベーン108によって上流側作動室と下流側作動室とに仕切られている。同様に、第2シリンダ104と、第2ローラ107と、中板118と、上軸受112とにより、作動流体が仕事をする第2作動室117が形成され、その第2作動室117が第2ベーン109によって上流側作動室と下流側作動室とに仕切られている。第1シリンダ103における下流側作動室と、第2シリンダ104における上流側作動室とは、中板118に形成されている連通孔118aによって1つにつながっており、この1つにつながった作動室(膨張室)で作動流体が膨張する。
シリンダ103,104およびローラ106,107は、それぞれ、第2作動室117の容積が第1作動室116の容積よりも大きくなるように寸法が調整されている。本実施の形態では、第1シリンダ103の内径と第2シリンダ104の内径とが等しく、第1ローラ106の外径と第2ローラ107の外径とが等しく、第2シリンダ104の軸方向についての高さが、第1シリンダ103の軸方向についての高さよりも大きくなっている。ただし、シリンダの内径が相違していたり、ローラの外径が相違していたりする場合であっても、シリンダの高さを適切に調整することで作動室の容積差を作り出すことが可能である。
下軸受113には、第1作動室116へ作動流体を吸入させるための吸入ポート113aが形成されている。中板118には、第1シリンダ103の下流側作動室から、第2シリンダ104の上流側作動室への作動流体の移動を許容する連通孔118aが形成されている。上軸受112には、第2作動室117から作動流体を吐出させる吐出ポート112aが形成されている。
さらに、下軸受113、第1シリンダ103、中板118および第2シリンダ104には、それぞれ、上軸受112に形成された吸入ポート112bから下軸受内空間113cへと作動流体を順次導く通路113b,104b,118b,103bが形成されている。
図1を参照しつつ、流体機械100の動作を簡単に説明する。
作動流体(例えば二酸化炭素やHFCなどの冷媒)は、吸入管121から圧縮機構120に吸入される。このとき、冷凍サイクル中を作動流体と同伴し流れているオイルも同時に吸入される。作動流体は、圧縮機構120で圧縮された後、吐出ポート123aからマフラー128の内部に吐出され、続いて、固定スクロール123および軸受127に形成された通路123b,127aを通り、圧縮機構カバー129の内側および電動機132の回転子通路133を通って密閉容器101の下部に導かれる。このときオイルも作動流体と同伴し、同経路をたどる。
密閉容器101の下部に導かれた作動流体とオイルは、流れの向きを変え、固定子通路134を通って密閉容器101の上部へとターンする。オイルは、流れのターンの影響と重力の影響で、上軸受112に形成されたオイル戻し通路112cを通ってオイル溜り130へ戻る。作動流体は、固定子通路134および密閉容器101内の通路135を経て、吐出管122から冷凍サイクルへと吐出される。
一方、膨張機構102には、吸入管115から作動流体が吸入される。吸入された作動流体は、吸入ポート112b、通路113b,104b,118b,103b、下軸受内空間113c、吸入ポート113a、第1作動室116、連通孔118a、第2作動室117および吐出ポート112aを順次経て、吐出管114から冷凍サイクルへと吐出される。
また、オイル溜り130のオイルは、オイルポンプ136の働きにより、膨張機構シャフト105に形成された給油路105cに汲み上げられ、膨張機構102の潤滑およびシールに用いられる。オイルは、さらに、給油路105cから連結部131を経て圧縮機構シャフト126に形成された給油路126aに送られ、圧縮機構120の潤滑およびシールに用いられる。
図3Aは、図1に示すロータリ膨張機構の非運転時の拡大縦断面であり、図3Bは、図1に示すロータリ膨張機構の運転時の拡大縦断面である。
まず、図3Aに示すように、非運転時において、中板118の第2作動室117側の面118dは、第2シリンダ104の内周面よりも内側の部分が径方向に平行な基準面に対して傾斜しており、中板118と第2ローラ107との軸方向についてのクリアランスSHは、径方向の中心へ向かうほど大きくなっている。さらに、中板118の第1作動室116側の面118cは、径方向に平行な基準面に対して傾斜しており、中板118と第1ローラ106との軸方向についてのクリアランスTHが、径方向の中心へ向かうほど小さくなっている。第1ローラ106と中板118とは、第1ローラ106の内周縁においてほぼクリアランス無く接し、中板118から第1ローラ106に向かって荷重がかかっている。
一方、運転時には、第1作動室116へは膨張前の高圧の作動流体が吸入され、第2作動室117からは膨張後の低圧の作動流体が吐出される。そのため、中板118の一方の面118cには高圧が作用し、他方の面118dには低圧が作用する。この圧力差により、第1作動室116側から第2作動室117側に中板118を押す力が働く。中板118は、シリンダ103,104に挟まれた外周部が固定端であり、シリンダ103,104の内周面よりも内側の部分、つまり、シャフト105を通すために形成された開口の周縁部118f(以下、中心部118fともいう)が自由端となっているので、上記力により変形(弾性変形)を起こす。その変形量は、通常、径方向の中心に向かうほど大きくなる。
本実施の形態において、中板118は、その中心部118fが予め第1作動室116側に撓んでいる(曲がっている)ので、運転開始とともに第2作動室117側への変形が起こったとしても、その変形は、中心部118fに予め付与されている撓みによって相殺される。図3Bに示すように、中板118は、好ましくは両面118c,118dが軸方向に直交する形状に変形する。こうして、運転中は、中板118と第2ローラ107とのクリアランスが適切な広さとなるので、摺動損失の増大を抑制できるとともに、シール長(シール面の広さ)を十分に確保することができ、ロータリ膨張機構102の効率が高まる。なお、運転を停止すると、中板118は、再び図3Aの状態に復帰する。
また、本実施の形態によれば、運転中において、中板118の中心部118fが第1作動室116および第2作動室117のいずれか一方に偏りにくい。つまり、中板118と第1ローラ106とのクリアランスが広がりすぎることがない。言いかえれば、中板118と第1ローラ106とのクリアランス、および、中板118と第2ローラ107とのクリアランスを均一な広さにできるので、これらのクリアランスからの作動流体の漏れを抑制し、体積効率を高めることができる。
中板118は、厚さ一定かつ金属製の板状部品で構成されるとともに、第1シリンダ103の内周面よりも内側の部分である中心部118fを、径方向の中心に向かうほど第2ローラ107から遠ざかるように撓ませておくことができる。このようにすれば、非運転時において、径方向の中心へ向かうほどクリアランスSHを大きくすることができ、上述した有意な効果を得ることが可能となる。なお、予め付与されるべき中板118の撓みは、例えば、金型を用いた冷間加工または熱間加工にて形成することができる。
中板118の中心部118fには、軸方向に平行な断面において、シリンダ103,104の内周面からシャフト105を通すための開口の縁にかけて、面118c,118dが直線状となるように、予め撓みを付与することができる。ただし、中板118に働く力の大きさは場所によって異なる。具体的には、作動室116,117に露出する部分と、ローラ106,107に隠れる部分とでは、中板118に加わる圧力が異なる。したがって、面118c,118dの傾斜角度が、シリンダ103,104の内周面とシャフト105を通すための開口の縁との間で変化するように、中心部118fの撓み形状を適宜調整してもよい。例えば、面118c,118dが、シリンダ103,104の内周面とシャフト105を通すための開口の縁との間で曲面を呈するように、中心部118fを撓ませてもよい。
(実施の形態2)
図4Aは、実施の形態2のロータリ膨張機構の非運転時の拡大縦断面図であり、図4Bは、同じく運転時の拡大縦断面図である。
本実施の形態において、実施の形態1と共通部品については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。中板158とローラ146,147には異なる符号を用いているが、これらの機能は、実施の形態1で説明したものと相違ない。
図4Aに示すように、本実施の形態のロータリ膨張機構102Bは、非運転時において、中板158と第2ローラ147との軸方向についてのクリアランスSH1が、径方向の中心へ向かうほど大きくなっているという点で実施の形態1と一致する。ただし、そのクリアランスSH1は、中板158に付与された撓みではなく、ローラ146,147の端面146a,147aに付与された傾斜によって生じているという点で、実施の形態1と相違する。
図4Aに示すように、低圧側となる第2ローラ147は、中板158に接する側の端面147aが、径方向に平行な基準面に対して傾斜している。好ましくは、径方向の中心に向かうほど軸方向についての第2ローラ147の厚さが小さくなっていることである。また、高圧側となる第1ローラ146は、中板158に接する側の端面146aが、径方向に平行な基準面に対して傾斜している。好ましくは、径方向の中心に向かうほど軸方向についての第1ローラ146の厚さが大きくなっていることである。
上記の構成によれば、図4Bに示すように、作動流体の圧力差によって中板158の中心部158fが第2作動室117側へ変位することに応じて、中板158と第1ローラ146とのクリアランス、および、中板158と第2ローラ147とのクリアランスが一定の広さに近づく。好ましくは、中板158の両面158c,158dが、第1ローラ146の端面146aと第2ローラ147の端面147aとに平行となることである。この結果、運転中は、中板158と第2ローラ147とのクリアランスが適切な広さに保たれ、摺動損失の増大を抑制できるとともに、シール長を十分に確保することができ、ロータリ膨張機構102Bの効率が高まる。
また、運転中において、中板158は、中心部158fがすり鉢状に撓んで、第1ローラ146の端面146aおよび第2ローラ147の端面147aに沿う形状に弾性変形する。この結果、中板158と第1ローラ146とのクリアランスと、中板158と第2ローラ147とのクリアランスとが均一な広さになるので、これらのクリアランスからの作動流体の漏れを抑制し、体積効率を高めることができる。
第1ローラ146の端面146aおよび第2ローラ147の端面147aの傾斜角度は、各ローラ146,147の外周縁から内周縁にかけて一定であってもよいし、途中で変化していてもよい。例えば、実施の形態1でも説明したように、端面146a,147aが曲面を呈していてもよい。
また、実施の形態1と、実施の形態2とを組み合わせることも可能である。その組み合わせによれば、作動流体の圧力差に起因する問題を、中板の形状調整とローラの形状調整とで分担して解決することができる。つまり、中板118の中心部118fの撓みを実施の形態1よりも若干小さく設定するとともに、ローラ146,147の端面146a,147aの傾斜を実施の形態2よりも若干小さく設定する。このようにすれば、運転開始時や運転停止時において、中板やローラに強い摩擦力が加わることを回避でき、運転開始と停止とを繰り返すことによる各部品の摩耗が進みにくくなる。
(実施の形態3)
図5は、実施の形態3のロータリ膨張機構202の非運転時の拡大縦断面図である。本実施の形態は、実施の形態1にシリンダを1段追加したものであり、基本構造や作動流体が膨張する原理は2段の場合と同じである。
簡単に説明すると、下から順番に、第1シリンダ103、第1中板223、第2シリンダ104、第2中板224および第3シリンダ205が並んでいる。シャフト206には、3つの偏心部206a,206b,206cが形成されており、その各々にローラ106,107,209が嵌合している。第1中板223には第1連通孔223aが形成され、第2中板224には第2連通孔224aが形成されている。第1中板223および第2中板224は、厚さが一定の共通の板状部品で構成されている。各シリンダ103,104,205および各ローラ106,107,209は、それぞれ、第1作動室116、第2作動室117および第3作動室222の順番で容積が大きくなるように寸法が調整されている。第1連通孔223aを経由して第1作動室116から第2作動室117へと作動流体が移動することにより第1段階の膨張過程が進み、第2連通孔224aを経由して第2作動室117から第3作動室222へと作動流体が移動することにより、さらに第2段階の膨張過程が進む。
図5に示すように、非運転時において、第1中板223と第2ローラ107との軸方向についてのクリアランスSh1が、径方向の中心へ向かうほど大きくなっている。また、第2中板224と第3ローラ209との軸方向についてのクリアランスSh2が、径方向の中心へ向かうほど大きくなっている。
第1中板223を挟んで第1作動室116と第2作動室117が形成され、第2中板224を挟んで第2作動室117と第3作動室222が形成されている。第1作動室116へは冷凍サイクルにおける高圧の作動流体が吸入されるので、第1作動室116は高圧の作動流体で満たされる。第1作動室116→第2作動室117→第3作動室222へと作動流体は膨張しながら移動し、最終的に第3作動室222から冷凍サイクルにおける低圧の作動流体が吐出される。そのため、第1作動室116、第2作動室117および第3作動室222の順番に、作動流体の圧力は低下する。
運転を開始すると、第1中板223には、第1作動室116の圧力と第2作動室117の圧力がかかる。両作動室116,117の圧力差により、第1中板223には第1作動室116側から第2作動室117側に向かって力が働き、第1中板223は第1作動室116側から第2作動室117側に変形する。また、第2中板224には、第2作動室117の圧力と第3作動室222の圧力がかかる。両作動室117,222の圧力差により、第2中板224には第2作動室117側から第3作動室222側に向かって力が働き、第2中板224は第2作動室117側から第3作動室222側に変形する。
したがって、図5に示すように、第1中板223および第2中板224の各中心部を、実施の形態1で説明したように予め撓ませておくことで、上記変形を相殺することができる。このときの効果は、既に説明した通りである。
ところで、第1中板223と第2中板224に働く力は、第1作動室116と第2作動室117との圧力差が、第2作動室117と第3作動室222との圧力差に等しい場合に限って等しくなるが、そのようなケースは稀である。
例えば、二酸化炭素のように冷凍サイクルの高圧で超臨界となる流体を作動流体として用いた場合、超臨界域での膨張と、気液二相域での膨張では、容積変化率に対する圧力変化率が大きく異なる。超臨界域での膨張では、わずかな容積変化に対して圧力は大きく変化する。それに対し、気液二相域での容積変化に対する圧力変化は超臨界域のそれ程ではない。つまり、超臨界域の膨張過程を主に担当する作動室と、二相域の膨張過程を主に担当する作動室では、その内部の圧力が大きく異なる。
本実施の形態のロータリ膨張機構202に作動流体として超臨界流体が吸入された場合、第1作動室116に流入する作動流体は超臨界域にある。第1作動室117から第2作動室117へと移動しながら膨張するとき、作動流体は、超臨界域での膨張過程にある。したがって、第1作動室116の圧力と第2作動室117の圧力とには大きな差がある。
一方、第2作動室117から第3作動室222へと移動しながら膨張するとき、作動流体は、ほぼ二相域での膨張過程にある。したがって、第2作動室117の圧力と第3作動室222の圧力との差は、第1作動室116の圧力と第2作動室117の圧力との差よりも小さい。
このような圧力差の違いがあるので、第1中板223に働く力は、第2中板224に働く力よりも大きくなる。第1中板223と第2中板224とが同一の材料で構成され、同一の厚さを有している場合、第1中板223の撓み量は、第2中板224の撓み量よりも大きくなる。
そこで、本実施の形態では、第1中板223と第2ローラ107との軸方向についてのクリアランスSh1の径方向に関する変化量と、第2中板224と第3ローラ209との軸方向についてのクリアランスSh2の径方向に関する変化量とを異ならせている。さらに、第1中板223と第1ローラ106との軸方向についてのクリアランスの径方向に関する変化量と、第2中板224と第2ローラ107との軸方向についてのクリアランスの径方向に関する変化量とが異なっている。
具体的には、第1中板223の第2作動室117側の面223dの傾斜角度と、第2中板224の第3作動室222側の面224dの傾斜角度とが異なっている。さらに具体的には、第1中板223の面223dの傾斜角度が、第2中板224の面224dの傾斜角度よりも大きくなっている。
また、第1中板223の第1作動室116側の面223cは、第1中板223と第1ローラ106との軸方向についてのクリアランスが、径方向の中心へ向かうほど小さくなるように傾斜している。また、第2中板224の第2作動室117側の面224cは、第2中板224と第2ローラ107との軸方向についてのクリアランスが、径方向の中心へ向かうほど小さくなるように傾斜している。第1中板223の面223cの傾斜角度と、第2中板224の面224cの傾斜角度は異なっている。より具体的には、第1中板223の面223cの傾斜角度の方が、第2中板224の面224cの傾斜角度より大きくなっている。なお、上記傾斜角度は、全て径方向に平行な基準面に対する傾斜角度を意味する。
このように、運転時に働く力の大小に合わせて中板223,224の撓みを設ける、つまり、大きい力が加わる第1中板223の撓みを大きく、小さい力が加わる第2中板224の撓みを小さく調整することにより、運転時における第1中板223と第2ローラ107とのクリアランス、および、第2中板224と第3ローラ209とのクリアランスがより適切な広さに保たれ、摺動損失の増大をいっそう効果的に抑制できる。
なお、実施の形態2のように各ローラ103,104,209の端面に傾斜を付与したり、付与する傾斜角度を異ならせたりすることで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。具体的には、第2ローラ104の一方の端面と他方の端面の傾斜角度を異ならせることにより、クリアランスSh1の径方向に関する変化量と、クリアランスSh2の径方向に関する変化量とを異ならせることができる。もちろん、実施の形態2の構成と実施の形態3の構成とを組み合わせてもよい。そのようにすれば、作動流体の圧力差に起因する問題を、中板の形状調整とローラの形状調整とで分担して解決することができる。これについては、先にも説明した通りである。
(実施の形態4)
図6は、実施の形態4のロータリ流体機械の縦断面図である。図7Aは、図6に示すロータリ流体機械のVIIA-VIIA横断面図であり、図7Bは、VIIB-VIIB横断面図である。図8は、図6のロータリ流体機械を用いた冷凍サイクル装置の構成図である。
まず、図8に示すように、冷凍サイクル装置300は、圧縮機301と、ガスクーラ302と、膨張機構303と、蒸発器304と、過給機構305と、を有する作動流体回路306を備えている。作動流体回路306には、圧縮機301からガスクーラ302を経て膨張機構303に至る高圧側部分において超臨界状態となる作動流体(冷媒)が充填されている。具体的に、作動流体回路306には二酸化炭素が充填されている。
圧縮機301は、作動流体回路306内を循環する作動流体を圧縮する。ガスクーラ(放熱器)302は、圧縮機301に接続されており、圧縮機301により圧縮された高温高圧の作動流体を放熱させる。言い換えれば、ガスクーラ302は、圧縮機301により圧縮された作動流体を冷却する。ガスクーラ302により冷却された作動流体は低温高圧になる。
作動流体から動力を回収する手段としての膨張機構303は、ガスクーラ302に接続されている。膨張機構303は、ガスクーラ302からの作動流体を吸入する行程と、その吸入した作動流体を吐出する行程と、を実質的に連続して行う。すなわち、膨張機構303は、ガスクーラ302で放熱して低温高圧となった作動流体を吸入し、その吸入した作動流体を実質的に体積変化させることなく蒸発器304側に吐出する。ここで、圧縮機301により、膨張機構303を挟んでガスクーラ302側が比較的高圧となっており、蒸発器304側が比較的低圧となっている。このため、膨張機構303に吸入された作動流体は、膨張機構303から吐出されるときに膨張し、低圧となる。蒸発器304は、膨張機構303に接続されている。蒸発器304は、膨張機構303からの作動流体を加熱して蒸発させる。
過給機構305は、蒸発器304と圧縮機301との間に配置されている。図6に示すように、膨張機構303と過給機構305とは、ひとつの流体機械307を構成している。過給機構305は、膨張機構303により回収された動力により駆動される。過給機構305は、蒸発器304からの作動流体を吸入する行程と、その吸入した作動流体を圧縮機301側に吐出する行程と、を実質的に連続して行う。過給機構305は、蒸発器304からの作動流体を吸入し、その吸入した作動流体を実質的に体積変化させることなく圧縮機301側に吐出する。蒸発器304からの作動流体は、過給機構305から吐出されることによって予備的に昇圧される。予備的に昇圧された作動流体は圧縮機301によって圧縮されて再び高温高圧となる。
図6に示すように、ロータリ流体機械307は、密閉容器308と、密閉容器308内に配置された膨張機構303と、膨張機構303と隣接するように密閉容器308内に配置された過給機構305と、膨張機構303と過給機構305とに共有されたシャフト309とを備えている。シャフト309により、膨張機構303と過給機構305とが1つに連結された形となっている。膨張機構303で発生した動力は、シャフト309を介して過給機構305に伝達される。密閉容器308の底部には、オイル溜まり314が形成されている。
図6および図7Aに示すように、膨張機構303は、シャフト309、第1シリンダ315、第1ローラ316、第1ベーン317、第1ばね318、下軸受319、中板320、第1吸入管310および第1吐出管311を備えている。中板320、第1シリンダ315および下軸受319は、第1シリンダ315を中板320と下軸受319とで挟むように、シャフト309の軸方向に沿ってこの順番で配置されている。
図6および図7Bに示すように、過給機構305は、シャフト309、第2シリンダ321、第2ローラ322、第2ベーン323、第2ばね324、上軸受325、中板320、第2吸入管312および第2吐出管313を備えている。上軸受325、第2シリンダ321および中板320は、第2シリンダ321を上軸受325と中板320とで挟むように、シャフト309の軸方向に沿ってこの順番で配置されている。
中板320は、膨張機構303と過給機構305とに共有された部材である。中板320により、第1シリンダ315と第2シリンダ321とが軸方向に仕切られている。シャフト309は、第1シリンダ315および第2シリンダ321を上下に貫くように配置されており、軸方向に沿って、第1偏心部309aおよび第2偏心部309bを有する。
膨張機構303について詳細に説明する。
図7Aに示すように、第1ローラ316は、第1シリンダ315の内部で偏心回転運動するように、第1偏心部309aに嵌合されている。第1ベーン317は、第1シリンダ315に形成された第1ベーン溝315aに往復動可能に装着されている。第1ばね318は、第1ベーン317と第1ベーン溝315aとによって形成された背面空間に配置され、第1ベーン317を第1ローラ316に向けて押す。下軸受319は、中板320が位置する側とは反対側における第1シリンダ315の端面を閉塞するとともに、シャフト309の下端を支える。
第1シリンダ315と、第1ローラ316と、下軸受319と、中板320とによって、作動流体が仕事をする第1作動室326が形成されている。下軸受319の内部には、密閉容器308の外部から作動室326に向かう作動流体の流路である第1吸入経路327と、第1作動室326から密閉容器308の外部に向かう作動流体の流路である第1吐出経路328とが形成されている。密閉容器308を貫通する形で第1吸入管310および第1吐出管311が下軸受319に直結されている。第1吸入管310を流通する作動流体が第1吸入経路327に直接流れ込む。第1吐出経路328を流通する作動流体が第1吐出管311に直接流れ込む。
図7Aに示すように、第1作動室326は、第1ベーン317によって上流側作動室326aと下流側作動室326bとに仕切られている。上流側作動室326aの第1ベーン317と隣接する部分には、第1吸入経路327が開口している。高圧の作動流体は、第1吸入管310および第1吸入経路327を通じて上流側作動室326aに吸入される。下流側作動室326bの第1ベーン323と隣接する部分には、第1吐出経路328が開口している。下流側作動室326bから吐出された作動流体は、第1吐出経路328および第1吐出管311を通じて密閉容器308の外部の冷媒回路へと送られる。
第1吸入経路327および第1吐出経路328を開口させる位置および開口形状を本実施形態のように定めると、第1ローラ316が上死点に位置する瞬間(第1ベーン317がベーン溝315aに最も押し込まれた瞬間)においてのみ第1吸入経路327と第1吐出経路328とが同時かつ完全に閉じられる。そして、第1ローラ316が上死点に位置する瞬間を除き、上流側作動室326aが常に第1吸入経路327と連通し、下流側作動室326bが常に第1吐出経路328と連通する。言い換えれば、膨張機構303は、固有の容積比(吸入容積と吐出容積との比)を有しておらず、作動流体を吸入する行程と、その吸入した作動流体を吐出する行程とを実質的に連続して行なう。
第1吸入経路327の上流側作動室326aに対する開口(吸入口)は、上流側作動室326aの第1ベーン317と隣接する部分から上流側作動室326aの広がる方向に円弧状に延びる略扇状に形成されている。第1吸入経路327の開口は、第1ローラ316が上死点に位置するときにおいてのみ、第1ローラ316によって完全に閉鎖される。そして、第1ローラ316が上死点に位置する瞬間を除いた全期間にわたって、第1吸入経路327の開口の少なくとも一部が上流側作動室326aに露出する。具体的には、平面視において、第1吸入経路327の開口の外側端辺327eが、上死点に位置する第1ローラ316の外周面に沿った円弧状に形成されている。言い換えれば、外側端辺327eは、第1ローラ316の外周面と略同一の半径の円弧状に形成されている。
同様に、第1吐出経路328の下流側作動室326bに対する開口(吐出口)は、下流側作動室326bの第1ベーン317と隣接する部分から下流側作動室326bの広がる方向に円弧状に延びる略扇状に形成されている。第1吐出経路328の開口は、第1ローラ316が上死点に位置するときにおいてのみ、第1ローラ316によって完全に閉鎖される。そして、第1ローラ316が上死点に位置する瞬間を除いた全期間にわたって、第1吐出経路328の開口の少なくとも一部が下流側作動室326bに露出する。具体的には、平面視において、第1吐出経路328の開口の外側端辺328eが、上死点に位置する第1ローラ316の外周面に沿った円弧状に形成されている。言い換えれば、外側端辺328eは、第1ローラ316の外周面と略同一の半径の円弧状に形成されている。
膨張機構303の動作原理について説明する。
上流側作動室326aに高圧の作動流体が吸入されることに応じて、上流側作動室326aの容積が増大していく。上流側作動室326aの容積増大に伴って、第1ローラ316に加わる回転トルクがシャフト309の回転駆動力の一部となる。上流側作動室326aに作動流体が吸入される行程(吸入行程)は、第1ローラ316が再び上死点に位置するまで行われる。第1ローラ316が再び上死点に位置した瞬間、第1ローラ316によって第1吸入経路327および第1吐出経路328が閉じられる。これにより、第1作動室326は第1吸入経路327および第1吐出経路328の両方から遮断され、孤立する。
第1ローラ316が上死点から回転すると、孤立していた第1作動室326が第1吐出経路328と連通し、下流側作動室326bが形成される。下流側作動室326b内の高圧の作動流体は低圧側に吸引され、直ちに膨張する。作動流体が下側作動室326bから吐出される行程(吐出行程)で、第1ローラ316に加わる回転トルクもシャフト309の回転駆動力の一部となる。このように、シャフト309は、上流側作動室326aに高圧の作動流体が流入することと、吐出行程において作動流体が低圧側に吸引されることによって回転する。そして、シャフト309の回転トルクは、過給機構305の動力として利用される。
なお、図7Aから理解できるように、シャフト309の回転軸を含む任意の縦断面図に、第1吸入経路327および第1吐出経路328が同時に現れることはないが、発明の理解を容易にするために、図6の断面図では、第1吸入経路327、第1吐出経路328、第1吸入管310および第1吐出管311をあえて示している。このことは、過給機構305についても同様である。
次に、過給機構305について詳細に説明する。
図7Bに示すように、第2ローラ322は、第2シリンダ321の内部で偏心回転運動するように、第2偏心部309bに嵌合されている。第2ベーン323は、第2シリンダ321に形成された第2ベーン溝321aに往復動可能に装着されている。第2ばね324は、第2ベーン323と第2ベーン溝321aによって形成された背面空間に配置され、第2ベーン323を第2ローラ322に向けて押す。上軸受325は、中板320が位置する側とは反対側における第2シリンダ321の端面を閉塞するとともに、シャフト309の上端を支える。
過給機構305の基本的な構成は、上述の膨張機構303と略同一である。第2シリンダ321と、第2ローラ322と、上軸受325と、中板320とにより、作動流体に仕事をする第2作動室329(過給室)が形成されている。上軸受325の内部には、密閉容器308の外部から第2作動室329に向かう作動流体の流路である第2吸入経路330と、第2作動室329から密閉容器308の外部へと向かう作動流体の流路である第2吐出経路331とが形成されている。密閉容器308を貫通する形で第2吸入管312および第2吐出管313が上軸受325に直結されている。第2吸入管312を流通する作動流体が第2吸入経路330に直接流れ込む。第2吐出経路331を流通する作動流体が第2吐出管313に直接流れ込む。
図7Bに示すように、第2作動室329は、第2ベーン323によって上流側作動室329aと下流側作動室329bとに仕切られている。上流側作動室329aの第2ベーン323と隣接する部分には、第2吸入経路330が開口している。低圧の作動流体は、第2吸入管330および第2吸入経路312を通じて上流側作動室329aに吸入される。下流側作動室329bの第2ベーン323と隣接する部分には、第2吐出経路331が開口している。下流側作動室329bから吐出された作動流体は、第2吐出経路331および第2吐出管313を通じて密閉容器308の外部の冷媒回路へと送られる。
第2吸入経路330および第2吐出経路331を開口させる位置および開口形状を本実施形態のように定めると、第2ローラ322が上死点に位置する瞬間(第2ベーン323がベーン溝321aに最も押し込まれた瞬間)においてのみ第2吸入経路330と第2吐出経路321とが同時かつ完全に閉じられる。そして、第2ローラ322が上死点に位置する瞬間を除き、上流側作動室329aが常に第2吸入経路330と連通し、下流側作動室329bが常に第2吐出経路331と連通する。言い換えれば、過給機構305は、固有の容積比(吸入容積と吐出容積との比)を有しておらず、作動流体を吸入する行程と、その吸入した作動流体を吐出する行程とを実質的に連続して行なう。
すなわち、第2吸入経路330の開口の外側端辺330eが、上死点に位置する第2ローラ322の外周面に沿った円弧状に形成されている。言い換えれば、外側端辺330eは、第2ローラ322の外周面と略同一の半径の円弧状に形成されている。同様に、第2吐出経路331の開口の外側端辺331eが、上死点に位置する第2ローラ322の外周面に沿った円弧状に形成されている。言い換えれば、外側端辺322eは、第2ローラ322の外周面と略同一の半径の円弧状に形成されている。こうした特徴は、膨張機構303と過給機構305とで共通である。
次に、過給機構305の動作原理について説明する。
シャフト309は、膨張機構303によって回収された動力によって回転する。シャフト309の回転に応じて第2ローラ322が回転し、過給機構305が駆動される。第2ローラ322が上死点に位置する瞬間、第2吸入経路330および第2吐出経路331が、第2ローラ322によって閉じられる。第2作動室329は第2吸入経路330および第2吐出経路331の両方から遮断され、孤立する。
第2ローラ322が上死点から回転すると、孤立していた第2作動室329が第2吐出経路331と連通し、下流側作動室329bが形成される。第2ローラ322がさらに回転すると、下流側作動室329bの容積が縮小し、下流側作動室329bから第2吐出経路331に向けて作動流体が吐出される。第2ローラ322が再び上死点に位置した瞬間に、下流側作動室329bは消滅する。そして、この吐出行程と同期して、上流側作動室329aが再び形成され、次の吸入行程が行われる。
上述のように、第2ローラ322が上死点に位置する瞬間を除き、上流側作動室329aが第2吸入経路330と常に連通し、下流側作動室329bが第2吐出経路331と常に連通している。このため、過給機構305の第2作動室329内においては、作動流体は圧縮も膨張もしないが、過給機構305を通過した作動流体は、僅かに昇圧される。
なお、本実施の形態において、シャフト309の回転軸に対する第2偏心部309bの偏心方向は、第1偏心部309aの偏心方向と一致している。したがって、第1ローラ316の偏心方向と第2ローラ322の偏心方向とが一致している。また、膨張機構303の第1ローラ316が上死点に位置するタイミングと、過給機構305の第2ローラ322が上死点に位置するタイミングとが一致している。
図6に示すように、中板320の第1作動室326側の面320aは、第1シリンダ315の内周面よりも内側の部分が径方向に平行な基準面に対して傾斜しており、中板320と第2ローラ322との軸方向についてのクリアランスSHは、径方向の中心へ向かうほど大きくなっている。さらに、中板320の第2作動室329側の面320bは、径方向に平行な基準面に対して傾斜しており、中板320と第1ローラ316との軸方向についてのクリアランスTHが、径方向の中心へ向かうほど小さくなっている。第1ローラ316と中板320とは、第1ローラ316の内周縁においてほぼクリアランス無く接し、中板320から第1ローラ316に向かって荷重がかかっている。
運転時において、膨張機構303の第1作動室326には膨張前の高圧の作動流体が吸入され、過給機構305の第2作動室329には膨張後の低圧の作動流体が吸入される。そのため、中板320の一方の面320aには高圧が作用し、他方の面320bには低圧が作用する。この圧力差により、第1作動室326側から第2作動室329側に中板320を押す力が働く。中板320は、第1シリンダ315、第2シリンダ321に挟まれた外周部が固定端であり、第1シリンダ315、第2シリンダ321の内周面よりも内側の部分、つまり、シャフト309を通すために形成された開口の周縁部320c(中心部320c)が自由端となっているので、上記力により変形(弾性変形)を起こす。その変形量は、通常、径方向の中心に向かうほど大きくなる。
本実施の形態において、中板320は、その中心部320cが予め膨張機構303側に撓んでいる(曲がっている)ので、運転開始とともに過給機構305側への変形が起こったとしても、その変形は、中心部320cに予め付与されている撓みによって相殺される。こうして、運転中は、中板320と第2ローラ322とのクリアランスが適切な広さとなるので、摺動損失の増大を抑制できるとともに、シール長を十分に確保することができ、流体機械307の効率が高まる。なお、運転を停止すると、中板320は、再び図6の状態に復帰する。
また、本実施の形態によれば、運転中において、中板320の中心部320cが第1作動室326および第2作動室329のいずれか一方に偏りにくい。つまり、中板320と第1ローラ316とのクリアランスが広がりすぎることがない。言いかえれば、中板320と第1ローラ316とのクリアランス、および、中板320と第2ローラ322とのクリアランスを均一な広さにできるので、これらのクリアランスからの作動流体の漏れを抑制し、体積効率を高めることができる。
中板320の中心部320cには、軸方向に平行な断面において、第1シリンダ315、第2シリンダ321の内周面からシャフト309を通すための開口の縁にかけて、面320a,320bが直線状となるように、予め撓みを付与することができる。ただし、中板320に働く力の大きさは場所によって異なる。具体的には、第1作動室326および第2作動室329に露出する部分と、第1ローラ316および第2ローラ322に隠れる部分とでは、中板320に加わる圧力が異なる。したがって、面320a,320bの傾斜角度が、シリンダ315,321の内周面とシャフト309を通すための開口の縁との間で変化するように、中心部320cの撓み形状を適宜調整してもよい。例えば、面320a,320bが、シリンダ315,321の内周面とシャフト309を通すための開口の縁との間で曲面を呈するように、中心部320cを撓ませてもよい。
なお、実施の形態2のように各ローラ316,322の端面に傾斜を付与したり、付与する傾斜角度を異ならせたりすることで、上記と同様の効果を得ることができる。もちろん、実施の形態2の構成と実施の形態4の構成とを組み合わせてもよい。そのようにすれば、作動流体の圧力差に起因する問題を、中板320の形状調整とローラ316,322の形状調整とで分担して解決することができる。
本発明の流体機械は、空気や水などの対象を加熱または冷却する冷凍サイクル装置に有用である。
本発明の実施の形態1における流体機械の縦断面図 図1に示す流体機械のIIA-IIA横断面図 図1に示す流体機械のIIB-IIB横断面図 図1に示すロータリ膨張機構の非運転時の拡大縦断面図 図1に示すロータリ膨張機構の運転時の拡大縦断面図 本発明の実施の形態2におけるロータリ膨張機構の非運転時の拡大縦断面図 本発明の実施の形態2におけるロータリ膨張機構の運転時の拡大縦断面図 本発明の実施の形態3におけるロータリ膨張機構の非運転時の拡大縦断面図 本発明の実施の形態4におけるロータリ流体機械の非運転時の拡大縦断面図 図6に示すロータリ流体機械のVIIA-VIIA横断面図 図6に示すロータリ流体機械のVIIB-VIIB横断面図 図6のロータリ流体機械を用いた冷凍サイクル装置の構成図 従来のロータリ膨張機の縦断面図 従来のロータリ膨張機構の横断面図 従来のロータリ膨張機構におけるシャフト回転角90度毎の各作動室の状態を示す横断面図
符号の説明
100,307 流体機械
101,308 密閉容器
102,102B,202,303 ロータリ膨張機構
103,315 第1シリンダ
104,321 第2シリンダ
205 第3シリンダ
105,206 膨張機構シャフト
106,146,316 第1ローラ
146a 第1ローラの端面
107,147,322 第2ローラ
147a 第2ローラの端面
209 第3ローラ
116,326 第1作動室
117,329 第2作動室
222 第3作動室
118,158,320 中板
223 第1中板
224 第2中板
118a,223a,224a 連通孔
300 冷凍サイクル装置
301 圧縮機
302 放熱器
304 蒸発器
305 過給機構
309 シャフト

Claims (23)

  1. 同心状に配置された第1シリンダおよび第2シリンダと、
    前記第1シリンダおよび前記第2シリンダのそれぞれの内側で偏心回転する第1ローラおよび第2ローラと、
    前記第1シリンダと前記第1ローラとの間に形成される、作動流体が吸入される第1作動室と、
    前記第2シリンダと前記第2ローラとの間に形成される、前記第1作動室と共に膨張室を構成する第2作動室と、
    前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に配置された中間閉塞部材と、
    前記第1ローラおよび前記第2ローラが軸方向に沿って取り付けられたシャフトとを備え、
    前記作動流体は、膨張時に前記第1作動室から前記第2作動室へと移動し、
    前記中間閉塞部材と前記第2ローラとの軸方向についてのクリアランスが、径方向の中心へ向かうほど大きくなっている、ロータリ流体機械。
  2. 前記中間閉塞部材と前記第1ローラとの軸方向についてのクリアランスが、径方向の中心へ向かうほど小さくなっている、請求項1に記載のロータリ流体機械。
  3. 前記中間閉塞部材は、厚さ一定の板状部品で構成されるとともに、前記第1シリンダの内周面よりも内側の部分が、径方向の中心に向かうほど前記第2ローラから遠ざかるように撓んでいる、請求項1または請求項2に記載のロータリ流体機械。
  4. 前記第2ローラは、前記中間閉塞部材に接する側の面が径方向に平行な基準面に対して傾斜している、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のロータリ流体機械。
  5. 前記第2ローラは、径方向の中心に向かうほど軸方向についての厚さが小さくなっている、請求項4に記載のロータリ流体機械。
  6. 前記第1ローラは、前記中間閉塞部材に接する側の面が径方向に平行な基準面に対して
    傾斜している、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のロータリ流体機械。
  7. 前記第1ローラは、径方向の中心に向かうほど軸方向についての厚さが大きくなっている、請求項6に記載のロータリ流体機械。
  8. 前記第1作動室および前記第2作動室が、それぞれ、上流側作動室と下流側作動室とに仕切られ、
    前記第1シリンダ、前記第2シリンダ、前記第1ローラおよび前記第2ローラは、それぞれ、前記第2作動室の容積が前記第1作動室の容積よりも大きくなるように寸法が調整されており、
    前記中間閉塞部材には、前記第1シリンダの前記下流側作動室から、前記第2シリンダの前記上流側作動室への前記作動流体の移動を許容する連通孔が形成され、
    前記連通孔を経由した移動にともなって前記作動流体が膨張する膨張機として構成された、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のロータリ流体機械。
  9. 前記第1シリンダおよび前記第2シリンダと同心状に配置された第3シリンダと、
    前記第3シリンダの内側で偏心回転するように前記シャフトに取り付けられた第3ローラと、
    前記第2シリンダと前記第3シリンダとの間に配置された第2中間閉塞部材とをさらに備え、
    前記第3シリンダと前記第3ローラとの間に形成される第3作動室が、上流側作動室と下流側作動室とに仕切られ、
    前記第2シリンダ、前記第3シリンダ、前記第2ローラおよび前記第3ローラは、それぞれ、前記3作動室の容積が前記第2作動室の容積よりも大きくなるように寸法が調整されており、
    前記第2中間閉塞部材には、前記第2シリンダの前記下流側作動室から、前記第3シリンダの前記上流側作動室への前記作動流体の移動を許容する第2連通孔が形成され、
    前記第1作動室および前記第2作動室で膨張した前記作動流体が、前記第2連通孔を経由した前記移動にともなってさらに膨張するように構成され、
    前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に配置された前記中間閉塞部材と前記第2ローラとの軸方向についてのクリアランスの径方向に関する変化量と、
    前記第2中間閉塞部材と前記第3ローラとの軸方向についてのクリアランスの径方向に関する変化量とが異なる、請求項8に記載のロータリ流体機械。
  10. 前記第1シリンダおよび前記第2シリンダと同心状に配置された第3シリンダと、
    前記第3シリンダの内側で偏心回転するように前記シャフトに取り付けられた第3ローラと、
    前記第2シリンダと前記第3シリンダとの間に配置された第2中間閉塞部材とをさらに備え、
    前記第3シリンダと前記第3ローラとの間に形成される第3作動室が、上流側作動室と下流側作動室とに仕切られ、
    前記第2シリンダ、前記第3シリンダ、前記第2ローラおよび前記第3ローラは、それぞれ、前記3作動室の容積が前記第2作動室の容積よりも大きくなるように寸法が調整されており、
    前記第2中間閉塞部材には、前記第2シリンダの前記下流側作動室から、前記第3シリンダの前記上流側作動室への前記作動流体の移動を許容する第2連通孔が形成され、
    前記第1作動室および前記第2作動室で膨張した前記作動流体が、前記第2連通孔を経由した前記移動にともなってさらに膨張するように構成され、
    前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に配置された前記中間閉塞部材と前記第1ローラとの軸方向についてのクリアランスの径方向に関する変化量と、
    前記第2中間閉塞部材と前記第2ローラとの軸方向についてのクリアランスの径方向に関する変化量とが異なる、請求項8に記載のロータリ流体機械。
  11. 同心状に配置された第1シリンダおよび第2シリンダと、
    前記第1シリンダおよび前記第2シリンダのそれぞれの内側で偏心回転する第1ローラおよび第2ローラと、
    前記第1シリンダと前記第1ローラとの間に形成される、作動流体が吸入される第1作動室と、
    前記第2シリンダと前記第2ローラとの間に形成される、前記第1作動室と共に膨張室を構成する第2作動室と、
    前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に配置された中間閉塞部材と、
    前記第1ローラおよび前記第2ローラが軸方向に沿って取り付けられたシャフトとを備え、
    前記作動流体は、膨張時に前記第1作動室から前記第2作動室へと移動し、
    前記中間閉塞部材は、厚さ一定の板状部品で構成されるとともに、前記第1シリンダの内周面よりも内側の部分が、径方向の中心に向かうほど前記第2ローラから遠ざかるように撓んでいる、ロータリ流体機械。
  12. 同心状に配置された第1シリンダおよび第2シリンダと、
    前記第1シリンダおよび前記第2シリンダのそれぞれの内側で偏心回転する第1ローラおよび第2ローラと、
    前記第1シリンダと前記第1ローラとの間に形成される、作動流体が吸入される第1作動室と、
    前記第2シリンダと前記第2ローラとの間に形成される、前記第1作動室と共に膨張室を構成する第2作動室と、
    前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に配置された中間閉塞部材と、
    前記第1ローラおよび前記第2ローラが軸方向に沿って取り付けられたシャフトとを備え、
    前記作動流体は、膨張時に前記第1作動室から前記第2作動室へと移動し、
    前記第2ローラの前記中間閉塞部材に接する側の面が径方向に平行な基準面に対して傾斜している、ロータリ流体機械。
  13. 冷媒を膨張させる膨張機として請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のロータリ流体機械を含む、冷凍サイクル装置。
  14. 同心状に配置された第1シリンダおよび第2シリンダと、
    前記第1シリンダおよび前記第2シリンダのそれぞれの内側で偏心回転する第1ローラおよび第2ローラと、
    前記第1シリンダと前記第1ローラとの間に形成される、作動流体が吸入される第1作動室と、
    前記第2シリンダと前記第2ローラとの間に形成される、前記第1作動室と独立し、かつ、前記第1作動室に吸入される作動流体よりも低圧の作動流体が吸入される第2作動室と、
    前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に配置された中間閉塞部材と、
    前記第1ローラおよび前記第2ローラが軸方向に沿って取り付けられたシャフトとを備え、
    前記中間閉塞部材と前記第2ローラとの軸方向についてのクリアランスが、径方向の中心へ向かうほど大きくなっている、ロータリ流体機械。
  15. 前記中間閉塞部材と前記第1ローラとの軸方向についてのクリアランスが、径方向の中
    心へ向かうほど小さくなっている、請求項14に記載のロータリ流体機械。
  16. 前記中間閉塞部材は、厚さ一定の板状部品で構成されるとともに、前記第1シリンダの内周面よりも内側の部分が、径方向の中心に向かうほど前記第2ローラから遠ざかるように撓んでいる、請求項14または請求項15に記載のロータリ流体機械。
  17. 前記第2ローラは、前記中間閉塞部材に接する側の面が径方向に平行な基準面に対して傾斜している、請求項14ないし請求項16のいずれか1項に記載のロータリ流体機械。
  18. 前記第2ローラは、径方向の中心に向かうほど軸方向についての厚さが小さくなっている、請求項17に記載のロータリ流体機械。
  19. 前記第1ローラは、前記中間閉塞部材に接する側の面が径方向に平行な基準面に対して傾斜している、請求項14ないし請求項18のいずれか1項に記載のロータリ流体機械。
  20. 前記第1ローラは、径方向の中心に向かうほど軸方向についての厚さが大きくなっている、請求項19に記載のロータリ流体機械。
  21. 同心状に配置された第1シリンダおよび第2シリンダと、
    前記第1シリンダおよび前記第2シリンダのそれぞれの内側で偏心回転する第1ローラおよび第2ローラと、
    前記第1シリンダと前記第1ローラとの間に形成される、作動流体が吸入される第1作動室と、
    前記第2シリンダと前記第2ローラとの間に形成される、前記第1作動室と独立し、かつ、前記第1作動室に吸入される作動流体よりも低圧の作動流体が吸入される第2作動室と、
    前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に配置された中間閉塞部材と、
    前記第1ローラおよび前記第2ローラが軸方向に沿って取り付けられたシャフトとを備え、
    前記中間閉塞部材は、厚さ一定の板状部品で構成されるとともに、前記第1シリンダの内周面よりも内側の部分が、径方向の中心に向かうほど前記第2ローラから遠ざかるように撓んでいる、ロータリ流体機械。
  22. 同心状に配置された第1シリンダおよび第2シリンダと、
    前記第1シリンダおよび前記第2シリンダのそれぞれの内側で偏心回転する第1ローラおよび第2ローラと、
    前記第1シリンダと前記第1ローラとの間に形成される、作動流体が吸入される第1作動室と、
    前記第2シリンダと前記第2ローラとの間に形成される、前記第1作動室と独立し、かつ、前記第1作動室に吸入される作動流体よりも低圧の作動流体が吸入される第2作動室と、
    前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に配置された中間閉塞部材と、
    前記第1ローラおよび前記第2ローラが軸方向に沿って取り付けられたシャフトとを備え、
    前記第2ローラの前記中間閉塞部材に接する側の面が径方向に平行な基準面に対して傾斜している、ロータリ流体機械。
  23. 冷媒が循環する冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、
    前記冷媒回路は、
    前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機により圧縮された冷媒を放熱させる放熱器と、
    前記放熱器からの冷媒を吸入する行程と、その吸入した冷媒を吐出する行程と、を実質的に連続して行う動力回収手段と、
    前記動力回収手段により吐出された冷媒を蒸発させる蒸発器と、
    前記動力回収手段により回収された動力によって駆動され、前記蒸発器からの冷媒を吸入する行程と、前記吸入した冷媒を前記圧縮機側に吐出する行程と、を実質的に連続して行う過給機と、
    を有し、
    前記動力回収手段が前記第1シリンダおよび第1ローラを含み、前記過給機が前記第2シリンダおよび前記第2ローラを含むものとして、前記動力回収手段および前記過給機が請求項14ないし請求項22のいずれか1項に記載のロータリ流体機械によって構成されている、冷凍サイクル装置。
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