JP2009062950A - 2段ロータリ型膨張機およびそれを用いた冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Masaru Matsui
大 松井
Masanobu Wada
賢宣 和田
Hidetoshi Taguchi
英俊 田口
Shingo Oyagi
信吾 大八木
Fumiyori Sakuma
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Abstract

【課題】従来の2段ロータリ型膨張機では、1段目の作動室と2段目の作動室との連通が終わる瞬間、1段目の作動室には閉じ込められる作動流体が存在し、この作動流体の圧縮作用により、損失および騒音が発生していた。
【解決手段】第1シリンダ105の第1ベーン溝105aの近傍に高圧流体排出ポート120により第1吐出側空間115bと連通する高圧流体導入空間122を設け、高圧流体排出ポート120の高圧流体導入空間122側開口部に高圧流体排出制御バルブ121を設置する。第1吐出側空間115bに閉じ込められた作動流体が圧縮されて、高圧流体導入空間122の圧力を超えると、高圧流体排出制御バルブ121が開き、第1吐出側空間115b中の作動流体を高圧流体導入空間122に排出し、吸入管117に戻す。
【選択図】図3

Description

本発明は、2段ロータリ型膨張機およびそれを用いた冷凍サイクル装置に関する。
作動流体の膨張エネルギーを膨張機で回収し、その回収したエネルギーを圧縮機の仕事の一部として利用する動力回収式の冷凍サイクル装置が提案されている。上記冷凍サイクル装置に適用する膨張機として、例えば、特許文献1に示すような2段ロータリ型膨張機が検討されている。
図5(a)は、従来の2段ロータリ型膨張機1における膨張機構100の第1シリンダ105の横断面図である。図5(b)は、従来の2段ロータリ型膨張機1における膨張機構100の第2シリンダ106の横断面図である。
図5(a)、(b)に示すように、従来の2段ロータリ型膨張機1における膨張機構100は、密閉容器102、シャフト103、中板104、第1シリンダ105、第2シリンダ106、上軸受部材107(図示せず)、下軸受部材108(図示せず)、第1ピストン109、第2ピストン110、第1ベーン111、第2ベーン112、第1バネ113、第2バネ114、吸入管117、および吐出管118を備えている。
シャフト103は、径方向に突出する第1偏心部103aと第2偏心部103bとを有し、密閉容器102の中央部に配置されている。
第1シリンダ105には、第1ベーン溝105aが形成されている。第1ベーン溝105aには、第1ベーン111がスライド可能、言い換えれば、長手方向に進退可能に装着されている。第1ベーン111の背面側には、第1バネ113が配置されている。第1シリンダ105の内面には、吸入ポート105bが形成され、密閉容器102の内外を貫く吸入管117と連通している。第1シリンダ105の内部空間には、リング状の第1ピストン109が配置されている。第1ピストン109の外面は、第1バネ113により押し付けられた第1ベーン111の先端と接触し、第1ピストン109の内面は、シャフト103の第1偏心部103aと嵌合している。第1シリンダ105と第1ピストン109の上面には、上軸受部材107(図示せず)が設置され、シャフト103を回転可能に支持している。
第2シリンダ106には、第2ベーン溝106aが形成されている。第2ベーン溝106aには、第2ベーン112がスライド可能、言い換えれば、長手方向に進退可能に装着されている。第2ベーン112の背面側には、第2バネ114が配置されている。第2シリンダ106の内面には、吐出ポート106bが形成され、密閉容器102の内外を貫く吐出管118と連通している。第2シリンダ106の内部空間には、リング状の第2ピストン110が配置されている。第2ピストン110の外面は、第2バネ114により押し付けられた第2ベーン112の先端と接触し、第2ピストン110の内面は、シャフト103の第2偏心部103bと嵌合している。第2シリンダ106と第2ピストン110の下面には、下軸受部材108(図示せず)が設置され、シャフト103を回転可能に支持している。
第1シリンダ105と第2シリンダ106、および、第1ピストン109と第2ピストン110は、中板104(図示せず)を挟んで、それぞれ上下に配置されている。中板104には、厚さ方向に貫通するように、連通孔104aが形成されている。
第1シリンダ105、第1ピストン109、上軸受部材107、および中板104により形成される三日月形状の空間(作動室)は、仕切り部材である第1ベーン111により、第1吸入側空間115aと第1吐出側空間115bとに仕切られる。第2シリンダ106、第2ピストン110、下軸受部材108、および中板104により形成される三日月形状の空間(作動室)は、仕切り部材である第2ベーン112により、第2吸入側空間116aと第2吐出側空間116bとに仕切られる。連通孔104aが、第1吐出側空間115bと第2吸入側空間116aとを連通することで、1つの膨張室が形成される。
第1ピストン109と第2ピストン110が、反時計周りに回転することで、作動流体は、吸入管117より第1シリンダ105の吸入ポート105bを通じて、第1吸入側空間115aに吸入される。吸入された作動流体は、上記膨張室で膨張し、第2吐出側空間116bから第2シリンダ106の吐出ポート106bを通じて、吐出管118より吐出される。
上述したように、第1シリンダ105と第2シリンダ106とは、連通孔104aが形成された中板104(図示せず)によって仕切られている。このような構造を採用すると、作動流体が吸入される作動室と、作動流体が膨張する作動室と、作動流体が吐出される作動室とを簡単に仕切ることができると同時に、吸入側の作動室では360°連続吸入が可能となり、吸入脈動の低減を図ることができる。
特開2005−106046号公報
図6は、図5(a)の第1ピストン109が連通孔104aの開口部104a1を塞いだ瞬間における、連通孔104a付近の拡大図である。また、第1ピストン109が、第1ピストン109が連通孔104aの開口部104a1を塞いだ時点から上死点に達するまでの回転角度をθ1とする。なお、ここで上死点とは、第1ベーン111が、シャフト103から最も遠ざかった状態、下死点とは、第1ベーン111が、シャフト103に最も近い状態を示す。
図6に示すように、第1ピストン109が連通孔104aの開口部104a1を塞ぎ、第1吐出側空間115bと第2吸入側空間116aとの連通が終わる瞬間には、第1吐出側空間115bは密閉状態となり、第1吐出側空間115b内の作動流体は行き場を失う。この密閉状態は、図6に示す瞬間から上死点まで続くが、その間、第1吐出側空間115bの容積は徐々に小さくなり、上死点に達した時には、第1吐出側空間115bの容積は最も小さくなる。
従来の2段ロータリ型膨張機1が、二酸化炭素を作動流体とする冷凍サイクルに用いられた場合、図6の瞬間では、第1吐出側空間115b内の二酸化炭素は、十分に膨張減圧した後であり、液相の比率が高い気液二相状態となっている。したがって、第1吐出側空間115b内に閉じ込められた作動流体の大部分は、液相状態の二酸化炭素と潤滑油とで構成される非圧縮性流体とみなされる。閉じ込められた作動流体は、第1ピストン109が角度θ1回転して、第1吐出側空間115bの容積が小さくなるのに従って圧縮されるが、作動流体が非圧縮性であるために、第1吐出側空間115bの容積が少し小さくなっただけでも、その圧力は急激に上昇する。その結果、著しく高圧となった非圧縮性流体は、第1シリンダ105と第1ベーン111との間、第1ピストン109や第1シリンダ105と上軸受部材107との間、もしくは、第1ピストン109や第1シリンダ105と中板104との間にある隙間を通って、第1吐出側空間115bの外に漏れ出すか、第1ベーン111を跳ね上げることで、第1ベーン111と第1ピストン109との接合部に生じた隙間から、第1吸入側空間115a側に漏れ出すと考えられる。
2段ロータリ型膨張機1が閉じ込められた作動流体を圧縮する間、シャフト103には回転方向とは逆向きにブレーキトルクが作用する。また、高圧流体が第1吸入側空間115a側に漏れた後、一度跳ね上がった第1ベーン111が衝撃を伴って再度、第1ピストン109と接合するため、騒音が発生する。さらに、この衝撃によって、シャフト103の第1偏心部103aと第1ピストン109との接合部において、シャフト103の回転方向とは逆向きに働く摩擦抗力が瞬間的に異常増大し、シャフト103の円滑な回転を妨げる。
本発明は、上記課題を解決するもので、第1ピストン109が、第1ピストン109が連通孔104aの開口部104a1を塞いだ時点から上死点に達するまで、第1吐出側空間115bが密閉状態となって、第1吐出側空間115b内の作動流体が行き場を失った時、閉じ込められた作動流体が圧縮されることにより発生する損失を低減し、高効率の2段ロータリ型膨張機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の2段ロータリ型膨張機は、第1シリンダと、前記第1シリンダの内外を貫くシャフトと、前記シャフトに取り付けられ前記第1シリンダ内で偏心回転する第1ピストンと、前記シャフトを共有する形で前記第1シリンダと同心状に配置された第2シリンダと、前記シャフトに取り付けられ前記第2シリンダ内で偏心回転する第2ピストンと、前記第1シリンダに形成された第1溝に進退可能に装着され前記第1シリンダと前記第1ピストンとの間の空間を第1吸入側空間と第1吐出側空間とに仕切る第1仕切り部材と、前記第2シリンダに形成された第2溝に進退可能に装着され前記第2シリンダと前記第2ピストンとの間の空間を第2吸入側空間と第2吐出側空間とに仕切る第2仕切り部材と、前記第1吐出側空間と前記第2吸入側空間とを連通して1つの作動室を形成する連通孔を有するとともに、前記第1シリンダと前記第2シリンダとを隔てる中板と、前記第1吸入側空間に作動流体を吸入するための吸入ポートと、前記第2吐出側空間から前記作動流体を吐出するための吐出ポートと、前記第1吐出側空間が前記連通孔との連通を終えた後に、前記第1吐出側空間に残った作動流体を前記吸入ポートと連通している空間に排出可能な弁とを備える構成とする。
本発明の2段ロータリ型膨張機によれば、第1吐出側空間が密閉状態となって、第1吐出側空間内の作動流体が行き場を失った時に、高圧の作動流体を第1吐出側空間から逃がすことで、閉じ込められた作動流体が圧縮されることにより発生する損失を低減し、高効率な冷凍サイクル装置を提供することが可能となる。
以下、本実施の形態について図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における2段ロータリ型膨張機2の構成を示す縦断面図である。図2(a)は、図1のX−X線における膨張機構200の横断面図、図2(b)は、図1のY−Y線における膨張機構200の横断面図である。
図1、図2(a)、(b)に示すように、本実施の形態1の2段ロータリ型膨張機2は、密閉容器102、発電機101、膨張機構200、およびシャフト103を備えている。発電機101は、密閉容器102内に固定されたステータ101aと、シャフト103に固定されたロータ101bとを含む。シャフト103は、発電機101と膨張機構200とを連結し、共用されている。なお、従来の2段ロータリ型膨張機1と同一構成要素については同一符号を用い、その説明を省略する。
図1、図2(a)、(b)に示すように、本実施の形態1における2段ロータリ型膨張機2の膨張機構200は、高圧流体排出ポート120、高圧流体排出制御バルブ121、高圧流体導入空間122、および高圧流体導入連通路123を有する。
図3に、本実施の形態1における膨張機構200の連通孔104a付近の拡大図を示す。図3に示すように、第1シリンダ105の上面側には、高圧流体導入空間122が形成されている。高圧流体導入空間122のシャフト103側内面には、高圧流体排出制御バルブ121が設置されている。第1シリンダ105の内面、詳細には、第1シリンダ105の内面と第1ベーン溝105aの第1吐出側空間115b側の側面とが交差する付近には、高圧流体排出ポート120が形成されている。なお、高圧流体排出ポート120の第1吐出側空間115b側の端は、なるべく第1ベーン111に近い方が望ましい。
高圧流体導入空間122は、高圧流体排出ポート120と高圧流体排出制御バルブ121を介して、第1吐出側空間115bに連通している。高圧流体排出制御バルブ121は、通常閉じているが、第1吐出側空間115bの圧力が、高圧流体導入空間122の圧力より高くなった時のみ開く逆止弁である。
上軸受部材107の下面側には、高圧流体導入連通路123が形成され、高圧流体導入空間122と吸入管117とを連通させている。これにより、第1吐出側空間115bから高圧流体導入空間122に吐出された作動流体が、高圧流体導入連通路123、吸入管117、および吸入ポート105bを通じて、再度、第1吸入側空間115aに戻ることができる。
図1に示すように、本実施の形態1の2段ロータリ型膨張機2においては、第1シリンダ105の内径と第2シリンダ106の内径、および、第1ピストン109の外径と第2ピストン110の外径とがそれぞれ等しく、第1シリンダ105の高さと第2シリンダ106の高さとが相違、具体的には、第2シリンダ106の方が高い構成となっている。したがって、第2吸入側空間116aと第2吐出側空間116bの合計体積は、第1吸入側空間115aと第1吐出側空間115bの合計体積よりも大きく、第1シリンダ105側よりも第2シリンダ106側の方が、押しのけ容積が大きい。なお、押しのけ容積の大小関係が、本実施の形態1と同様ならば、シリンダの内径、シリンダの高さ、およびピストンの外径のうち、少なくとも1つが相違していればよい。
第1シリンダ105と第2シリンダ106とは、同心状の配置となっているが、第1ベーン111と第2ベーン112、および、第1ベーン溝105aと第2ベーン溝106aとは、シャフト103の中心軸Zのまわりに、互いに所定角度ずれた配置となっている。第1ベーン111と第2ベーン112、および、第1ベーン溝105aと第2ベーン溝106aとが成す角度は、例えば数10度である。また、シャフト103の第1偏心部103aと第2偏心部103bとは、シャフト103の中心軸Zに対して、突出する向き(偏心方向)が相違しており、第1ベーン111と第2ベーン112、および、第1ベーン溝105aと第2ベーン溝106aとが成す角度と一致している。つまり、第1ピストン109が上死点に達するタイミングと、第2ピストン110が上死点に達するタイミングとが一致する。上記構成によれば、連通孔104aを介して、第1吐出側空間115bと第2吸入側空間116aとで形成される膨張室の体積を円滑に増加させることができ、本実施の形態1の2段ロータリ型膨張機2の回収動力を最大化させることができる。
また、連通孔104aは、第1ベーン111と第2ベーン112、および、第1ベーン溝105aと第2ベーン溝106aとが成す角度の領域内において、第1吐出側空間115bから第2吸入側空間116aに向かって貫通するよう、中板104に形成されている。上記構成とすることにより、シャフト103の中心軸Zと平行な方向(軸方向)において、連通孔104aの長さを最小とすることができ、作動流体が連通孔104aを通過する際の圧力損失の低減を図ることができる。
次に、本実施の形態1の2段ロータリ型膨張機2の動作について説明する。
高圧の作動流体は、吸入管117から吸入ポート105bを経て、第1吸入側空間115aに吸入される。シャフト103の回転に伴って、第1吸入側空間115aの容積は拡大し、第1吐出側空間115bへと移行する。そして、吸入ポート105bが第1ピストン109によって閉塞されると同時に、吸入行程が終了する。
高圧の作動流体は、第1吐出側空間115bから、連通孔104aを通じて第2吸入側空間116aに移動する。これに伴い、連通孔104aで連通した膨張室全体の容積が増加、すなわち、第1吐出側空間115bの容積が減少し、第2吸入側空間116aの容積が増加する。このように作動流体が膨張室で膨張することで、シャフト103が回転し、発電機101を駆動する。
シャフト103の回転に伴って、第1吐出側空間115bは消滅し、第2吸入側空間116aは、吐出ポート106bと連通する第2吐出空間116bへと移行する。低圧となった作動流体は、吐出ポート106bから吐出管118に吐出される。そして、吐出ポート106bが第2ピストン110によって閉塞されると同時に、膨張行程が終了する。
本実施の形態1では、連通孔104aの第1シリンダ105側に表れる開口部104a1の形状を円としている。
従来の2段ロータリ型膨張機1では、上記膨張行程の途中において、第1吐出側空間115bと第2吸入側空間116aとの連通が終わる瞬間、すなわち、第1ピストン109が連通孔104aの開口部104a1を塞ぐ瞬間、第1吐出側空間115b内の作動流体は、行き場を失って閉じ込められる。第1吐出側空間115bが密閉状態になると、シャフト103の回転に従って、第1吐出側空間115bの容積が減少するため、第1吐出側空間115bの内の圧力が急激に上昇する。その結果、一旦減圧した第1吐出側空間115b内の作動流体が、瞬間的に吸入圧力よりも高い圧力にまで圧縮されるため、2段ロータリ型膨張機に損失が発生する。
しかしながら、本実施の形態1の2段ロータリ型膨張機2では、高圧流体排出ポート120、高圧流体排出制御バルブ121、高圧流体導入空間122、および高圧流体導入連通路123を備えることで、上記損失を回避することができる。すなわち、本実施の形態1の2段ロータリ型膨張機2では、膨張行程開始から作業流体が閉じ込められる瞬間まで、第1吐出側空間115b内の圧力が一貫して吸入時の圧力から下がり続けるため、高圧流体排出制御バルブ121が開くことはない。その後、第1吐出側空間115bが密閉された瞬間には、第1吐出側空間115b内の作動流体の圧力が、高圧流体導入空間122の雰囲気圧力、すなわち、吸入圧力よりも高くなり、高圧流体排出制御バルブ121を押し開ける。これにより、第1吐出側空間115b内の高圧作動流体は、高圧流体導入空間122に排出される。
上記排出過程においては、閉じ込められる作動流体の大部分が、液冷媒と潤滑油であると考えられ、作動流体が第1吐出側空間115b内に閉じ込められてから吸入圧力よりも高く昇圧するまでに、シャフト103が回転する角度は微小であり、損失は軽微である。また、第1吐出側空間115bから高圧流体導入空間122に排出された作動流体は、高圧流体導入連通路123を経由して、再び吸入管117に戻るので、本実施の形態1の2段ロータリ型膨張機2においては、体積効率が低下することもない。
以上の説明から明らかなように、本実施の形態1の2段ロータリ型膨張機2の構成、すなわち、高圧流体排出ポート120、高圧流体排出制御バルブ121、高圧流体導入空間122、高圧流体導入連通路123からなる構成を採ることにより、第1吐出側空間115b内に閉じ込められた作動流体が圧縮されることによる2段ロータリ型膨張機の損失を低減することが可能となる。
(その他の実施の形態)
シャフト103側に寄った位置に連通孔104aを配置した2段ロータリ型膨張機に、本発明の2段ロータリ型膨張機2を適用した場合について説明する。
図4(a)は、吸入完了時における連通孔104a付近の拡大図、図4(b)は、第1吐出側空間115bと第2吸入側空間116aとの連通終了時における連通孔104a付近の拡大図である。図4(a)に示すように、連通孔104aの容積が、吸入完了時に吸入容積に含まれることを避けるためなどの理由で、第1ピストン109が連通孔104aの開口部104a1を塞ぐよう、シャフト103側に寄った位置に、連通孔104aを配置することがある。この場合、図4(b)に示すように、第1吐出側空間115bと第2吸入側空間116aとの連通が終わる瞬間、第1吐出側空間115bに閉じ込められた作動流体の体積は大きくなり、吸入容積に比べて数%オーダーの規模となる。このため、閉じ込められた作動流体は、図4(b)の瞬間から図4(a)の上死点に達するまでの角度θ2に渡って圧縮されることになり、発生する損失は相対的に大きくなる。よって、図4(a)に示すような2段ロータリ型膨張機に本発明を適用した場合、さらに顕著な効果を得ることができる。
なお、実施の形態においては、高圧流体排出ポート120、高圧流体排出制御バルブ121、および高圧流体導入空間122を第1シリンダ105に形成したが、これに限られることはなく、上軸受部材107に形成してもよい。
また、吸入ポート105bを第1シリンダ105に形成したが、これに限られることはなく、上軸受部材107に形成してもよい。同様に、吐出ポート106bを第2シリンダ106に形成したが、これに限られることはなく、下軸受部材108に形成してもよい。
また、実施の形態においては、2段ロータリ型膨張機2を用いたが、同じロータリ型でもスイング方式の場合には、第1ベーン111と第2ベーン112、第1ピストン109と第2ピストン110とを一つの部品で構成することができる。この場合、第1ベーン111と第2ベーン112に相当する部分が、第1ピストン109と第2ピストン110に相当する部分とともに、前後左右に揺動する。
また、本発明の2段ロータリ型膨張機は、作動流体を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された作動流体を放熱させる放熱器と、放熱器で放熱した作動流体を膨張させる膨張機と、膨張機で膨張した作動流体を蒸発させる蒸発器と、を備え、二酸化炭素を作動流体とする冷凍サイクル装置に適用することができる。
本発明の2段ロータリ型膨張機は、作動流体の膨張エネルギーを動力回収して、冷凍サイクル装置を用いた空調機や給湯機などの用途に適用できる。
本発明の実施の形態1における2段ロータリ型膨張機の構成を示す縦断面図 (a)図1のX−X線における膨張機構の横断面図(b)図1のY−Y線における膨張機構の横断面図 本発明の実施の形態1における連通孔付近の拡大図 (a)その他の実施の形態における吸入完了時の連通孔付近の拡大図(b)その他の実施の形態における第1吐出側空間と第2吸入側空間との連通終了時の連通孔付近の拡大図 (a)従来の2段ロータリ型膨張機における膨張機構の第1シリンダの横断面図(b)従来の2段ロータリ型膨張機における膨張機構の第2シリンダの横断面図 図5(a)の上死点における連通孔付近の拡大図
符号の説明
1,2 2段ロータリ型膨張機
100,200 膨張機構
101 発電機
101a ステータ
101b ロータ
102 密閉容器
103 シャフト
103a 第1偏心部
103b 第2偏心部
104 中板
104a 連通孔
104a1 開口部
105 第1シリンダ
105a 第1ベーン溝
105b 吸入ポート
106 第2シリンダ
106a 第2ベーン溝
106b 吐出ポート
107 上軸受部材
108 下軸受部材
109 第1ピストン
110 第2ピストン
111 第1ベーン
112 第2ベーン
113 第1バネ
114 第2バネ
115a 第1吸入側空間
115b 第1吐出側空間
116a 第2吸入側空間
116b 第2吐出側空間
117 吸入管
118 吐出管
120 高圧流体排出ポート
121 高圧流体排出制御バルブ
122 高圧流体導入空間
123 高圧流体導入連通路

Claims (5)

  1. 第1シリンダと、
    前記第1シリンダの内外を貫くシャフトと、
    前記シャフトに取り付けられ前記第1シリンダ内で偏心回転する第1ピストンと、
    前記シャフトを共有する形で前記第1シリンダと同心状に配置された第2シリンダと、
    前記シャフトに取り付けられ前記第2シリンダ内で偏心回転する第2ピストンと、
    前記第1シリンダに形成された第1溝に進退可能に装着され前記第1シリンダと前記第1ピストンとの間の空間を第1吸入側空間と第1吐出側空間とに仕切る第1仕切り部材と、
    前記第2シリンダに形成された第2溝に進退可能に装着され前記第2シリンダと前記第2ピストンとの間の空間を第2吸入側空間と第2吐出側空間とに仕切る第2仕切り部材と、
    前記第1吐出側空間と前記第2吸入側空間とを連通して1つの作動室を形成する連通孔を有するとともに、前記第1シリンダと前記第2シリンダとを隔てる中板と、
    前記第1吸入側空間に作動流体を吸入するための吸入ポートと、
    前記第2吐出側空間から前記作動流体を吐出するための吐出ポートと、
    前記第1吐出側空間と前記連通孔との連通が終了した後に、前記第1吐出側空間に閉じこめられた作動流体を前記吸入ポートと連通している空間に排出可能な弁と、
    を備える2段ロータリ型膨張機。
  2. 前記弁は、前記第1吐出側空間の圧力が前記吸入ポートの圧力よりも高くなると開く逆止弁である、請求項1に記載の2段ロータリ型膨張機。
  3. 前記弁の前記第1吐出側空間に面する開口は、前記第1シリンダと前記第1溝との前記第1吐出側空間側の交点の近傍に位置することを特徴とする、請求項1に記載の2段ロータリ型膨張機。
  4. 作動流体を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機で圧縮された作動流体を放熱させる放熱器と、
    前記放熱器で放熱した作動流体を膨張させる膨張機と、
    前記膨張機で膨張した作動流体を蒸発させる蒸発器と、を備え、
    前記膨張機が、請求項1に記載の2段ロータリ型膨張機からなる、冷凍サイクル装置。
  5. 二酸化炭素を作動流体とすることを特徴とする、請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
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