JP5093179B2 - 鋼管の連結構造および鋼管構造体 - Google Patents
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ネジ方式の連結構造は、連結する鋼管の一方に雄ネジを形成し、他方に雌ネジを形成しておき、現場において一方および他方の鋼管を相対回転させて雄ネジと雌ネジとを螺合させることで、鋼管同士が連結されるようになっている。このようなネジ方式の連結構造は、比較的小径かつ軽量な鋼管に対しては適用しやすいものの、鋼管柱や鋼管杭などの構造体を構成するような鋼管では、雄ネジや雌ネジを高い精度で加工するために加工手間が多大になるとともに、現場における回転施工が大掛かりで施工手間も多大になり、さらに施工誤差を吸収できないという不都合がある。
また、溶接方式の連結構造は、現場にて鋼管同士を溶接によって接合するものであるが、現場における溶接作業に多大な手間を要することから工期の長期化を招いてしまうとともに、溶接接合部の品質を確保するために高度な施工管理が要求され、さらに手間と時間とが掛かってしまうという不都合がある。
特許文献1に記載された外ダイヤフラム形式の連結構造は、鋼管の端縁に円環状のダイヤフラムを溶接接合しておき、鋼管の外側に突出したダイヤフラム同士をボルトおよびナットで接続することで、鋼管同士が連結されるようになっている。
一方、特許文献2に記載の添接板形式の連結構造では、一対の鋼管の端部に渡って内側および外側の添接板を配置し、これら内外の添接板および鋼管にボルトを貫通させるとともに、このボルトとナットとを螺合させることで、添接板と鋼管との摩擦接合によって鋼管同士が連結されるようになっている。
また、特許文献2記載の添接板形式の連結構造では、鋼管の内面側にも添接板を設置する必要があることから、現場での連結作業の作業性が低下してしまうという問題がある。さらに、添接板と鋼管との摩擦接合によって鋼管同士が連結されることから、鋼管に作用する圧縮および引っ張りの軸力を伝達するためには、ボルト本数が多くなるとともに添接板も大きくなってしまい、コストおよび施工手間の増大を招くという問題がある。
このような構成によれば、外側突出部および内側突出部に一体に形成された傾斜面、または伝達部材に形成された傾斜面によって、連結部材と外側突出部および内側突出部とを確実に当接させて連結力を伝達することができ、鋼管同士のがたつきを防止しつつ連結することができる。さらには、外側挿通孔または内側挿通孔の内径を予め連結部材の軸部外径より大きくすることにより、連結構造の製作誤差および施工誤差を容易に吸収することができるために、施工効率を向上することができる。
また、前記外側突出部には、前記他方の鋼管に向かって突出して当該他方の鋼管における鋼管本体の外面に係合可能な外側係合突部が形成されていることが好ましい。
さらに、前記内側突出部には、前記一方の鋼管に向かって突出して当該一方の鋼管における鋼管本体の内面に係合可能な内側係合突部が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、内側突出部に予めナットを固定しておき、外側挿通孔から挿通したボルトをナットに螺合することで、連結作業を鋼管の外側から実施することができ、鋼管の内側において作業を行う必要がないことから、作業性をより一層向上させることができる。
このような構成によれば、鋼管構造体としての鋼管柱や鋼管杭において、前述したように、高い製作精度を必要とせず、連結部材の本数が少なくても鋼管同士の応力伝達が確実にできて低コスト化を図ることができるとともに、鋼管外側への突出寸法が小さくでき、さらには施工誤差を容易に吸収できるために連結作業の作業性を向上させることができる。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
図1は、本実施形態の鋼管構造体としての鋼管杭1を示す断面図および側面図であって、図1(A)は、図1(B)に矢視A−A線で示す断面図である。また、図2は、鋼管杭1を構成する上下一対の鋼管2,3の連結構造を示す断面図であって、図1(A)に矢視II−II線で示す断面図である。
図1および図2において、鋼管杭1は、一方の鋼管である上側鋼管2と、他方の鋼管である下側鋼管3とが、鋼管杭1の外周に沿って等間隔で設けられる連結部材4で連結されることによって構成されている。
図4において、外側突出部22および内側突出部32には、前記傾斜面25,35が一体に形成されておらず、外側突出部22と鋼管本体21との交差部、および内側突出部32と鋼管本体31との交差部には、それぞれボルト41およびナット42の締め付け力を伝達する伝達部材である傾斜座金43が別体で設けられ、これらの傾斜座金43に傾斜面44が形成されている。ここで、下側鋼管3に設けられる傾斜座金43は、内側突出部32と鋼管本体31との交差部に溶接固定されており、この傾斜座金43にナット42が固定されている。なお、下側鋼管3において、ナット42および傾斜座金43が一体的に形成されて下側鋼管3に溶接固定されていてもよい。
図6において、上側鋼管2および下側鋼管3の外側挿通孔24および内側挿通孔34は、鋼管杭1の材軸に対して略45°程度に傾斜して形成され、従って、連結部材4のボルト41も、当接端面23,33に対して略45°程度の傾斜角度で交差して配置されるようになっている。
次に、本発明の第2実施形態に係る鋼管杭1Aにおける鋼管の連結構造を図7〜図9に基づいて説明する。
図7において、上側鋼管2の外側突出部22には、当接端面23よりも下方に突出し、外側突出部22に沿って連続した円環状の外側係合突部26が形成されている。この外側係合突部26は、下側鋼管3の鋼管本体31の外周面に沿って係合可能に構成されている。一方、下側鋼管3の内側突出部32には、当接端面33よりも上方に突出し、内側突出部32に沿って連続した円環状の内側係合突部36が形成されている。この内側係合突部36は、上側鋼管2の鋼管本体21の内周面に沿って係合可能に構成されている。なお、ここでは、外側係合突部26または内側係合突部36のいずれかが形成されていればよく、さらには外側係合突部26や内側係合突部36は、連続した円環状でなく、円環の一部に形成されていてもよい。
例えば、前記実施形態では、円形の鋼管杭1,1Aを例示したが、本発明の鋼管構造体は、鋼管杭に限らず、鋼管柱でもよく、また鋼管の断面形状は円形に限らず、上下の鋼管断面が類似であれば矩形断面などの任意形状でもよく、さらには鋼管を組み合わせて構成されるトラス構造体などであってもよい。
また、前記実施形態では、上側鋼管2と下側鋼管3との連結構造を説明したが、本発明の連結構造は、2本の鋼管同士を連結するものに限らず、3本以上の鋼管を連結してもよいし、また鋼管を上下に連結するものに限らず、水平方向や斜め方向など任意の方向に連結するものでもよい。
また、前記実施形態では、外側係合突部26、内側係合突部36および突条37は、鋼管本体21,31または当接端面23,33に一体で形成されているが、必要に応じてボルトなどにより機械的に鋼管本体や当接端面に接続されていてもよい。
また、前記実施形態では、連結部材4としてボルト41およびナット42を例示したが、連結部材としては、互いに螺合することによって対象物を緊結するものに限らず、互いに機械的に係合するものや、嵌着するものや溶着するものなど、任意の固着形式の連結部材が採用可能である。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (7)
- 材軸方向に直列して一対の鋼管同士を連結する鋼管の連結構造であって、
前記一対の鋼管は、材軸方向に延びる鋼管本体と、この鋼管本体の端部にて材軸に交差して互いに当接する当接端面とを各々有して形成され、
前記一対の鋼管のうちの一方の鋼管には、前記当接端面と並んで鋼管本体よりも外側に突出する外側突出部と、この外側突出部から前記当接端面まで貫通する外側挿通孔とが設けられ、
前記一対の鋼管のうちの他方の鋼管には、前記当接端面と並んで鋼管本体よりも内側に突出する内側突出部と、この内側突出部から前記当接端面まで貫通する内側挿通孔とが設けられ、
前記外側挿通孔から前記内側挿通孔に渡って挿通されるとともに前記当接端面と所定の傾斜角度で交差する連結部材によって前記一対の鋼管同士が連結されることを特徴とする鋼管の連結構造。 - 請求項1に記載の鋼管の連結構造において、
前記外側突出部および内側突出部には、前記連結部材の挿通方向に直交する傾斜面が一体に形成されるか、または前記連結部材の挿通方向に直交する傾斜面を有した伝達部材が別体で設けられることを特徴とする鋼管の連結構造。 - 請求項1または請求項2に記載の鋼管の連結構造において、
前記一対の鋼管における一方および他方の当接端面には、互いに凹凸嵌合可能な突条および凹溝が形成されていることを特徴とする鋼管の連結構造。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の鋼管の連結構造において、
前記外側突出部には、前記他方の鋼管に向かって突出して当該他方の鋼管における鋼管本体の外面に係合可能な外側係合突部が形成されていることを特徴とする鋼管の連結構造。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の鋼管の連結構造において、
前記内側突出部には、前記一方の鋼管に向かって突出して当該一方の鋼管における鋼管本体の内面に係合可能な内側係合突部が形成されていることを特徴とする鋼管の連結構造。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の鋼管の連結構造において、
前記連結部材は、前記外側挿通孔から前記内側挿通孔に向かって挿入されるボルトと、前記内側突出部に予め固定されて前記ボルトと螺合可能なナットとで構成されていることを特徴とする鋼管の連結構造。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の鋼管の連結構造を備えた鋼管構造体。
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