JP5092894B2 - ハイブリッド車およびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド車およびその制御方法に関し、詳しくは、内燃機関と動力を入出力する発電機と車軸に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段とを備えるハイブリッド車およびその制御方法に関する。
従来、この種のハイブリッド車としては、電動機のトルクが実質的にゼロに制御されている場合に、電動機からのトルクを増加させてプラネタリギヤにおける噛み合い部分同士の押し付け力を増すことにより異音の発生を低減するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、電動機の回転角変動に基づいてプラネタリギヤで異音が発生しているかどうかを判定し、異音が発生していると判定したときには電動機のトルクを徐々に増加させることにより過大なトルクを印加することなく異音の低減を図っている。
特開2005−318721号公報
上述のハイブリッド車では、エンジンを運転している最中に運転者の操作によってシステムオフされたときには、システムオフに伴って電動機の駆動を完全に停止したり電動機を制御している制御装置との通信が途絶えたりすることによって電動機を制御することができなくなり、エンジンが停止するときに車軸側に駆動力が作用し、予期せずに車両が移動する場合が生じる。
本発明のハイブリッド車およびその制御方法は、システムオフ時に内燃機関の運転を停止する際に車両が移動するのを抑止することを主目的とする。
本発明のハイブリッド車およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド車は、
内燃機関と、動力を入出力する発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、を備えるハイブリッド車であって、
運転者のブレーキ操作に基づく前記前後輪への制動力の付与と運転者のブレーキ操作なしに前記前後輪への制動力の付与とが可能な制動力付与手段と、
前記内燃機関を運転しながら停車している最中に運転者の操作によりシステムオフされたときには、前記内燃機関の停止に伴って前記駆動軸に作用する駆動力を打ち消す制動力以上の制動力が所定のタイミングで車両に作用するよう前記制動力付与手段を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明のハイブリッド車では、内燃機関を運転しながら停車している最中に運転者の操作によりシステムオフされたときには、内燃機関の停止に伴って駆動軸に作用する駆動力を打ち消す制動力以上の制動力が所定のタイミングで車両に作用するよう制動力付与手段を制御する。これにより、システムオフ時に電動機を制御することができない状態となっても、内燃機関の運転を停止する際に車両が移動するのを抑制することができる。ここで、「3軸式動力入出力手段」としては、シングルピニオン式またはダブルピニオン式の遊星歯車機構やデファレンシャルギヤなどが含まれる。
こうした本発明のハイブリッド車において、前記制御手段は、前記所定のタイミングからの経過時間に応じて予め定められた制動力が車両に作用するよう前記制動力付与手段を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、容易に車両に制動力を付与することができる。
また、本発明のハイブリッド車において、前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、前記制御手段と通信回線を介して接続され、前記制御手段からの制御信号に基づいて前記発電機と前記電動機とを駆動制御する駆動制御手段と、を備え、前記制御手段は、システムオフされたときには前記駆動制御手段との通信が途絶される手段であるものとすることもできる。
本発明のハイブリッド車の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力する発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、運転者のブレーキ操作に基づく前記前後輪への制動力の付与と運転者のブレーキ操作なしに前記前後輪への制動力の付与とが可能な制動力付与手段と、前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
前記内燃機関を運転しながら停車している最中に運転者の操作によりシステムオフされたときには、前記内燃機関の停止に伴って前記駆動軸に作用する駆動力を打ち消す制動力以上の制動力が所定のタイミングで車両に作用するよう前記制動力付与手段を制御する、
ことを特徴とする。
この本発明のハイブリッド車の制御方法では、内燃機関を運転しながら停車している最中に運転者の操作によりシステムオフされたときには、内燃機関の停止に伴って駆動軸に作用する駆動力を打ち消す制動力以上の制動力が所定のタイミングで車両に作用するよう制動力付与手段を制御する。これにより、システムオフ時に電動機を制御することができない状態となっても、内燃機関の運転を停止する際に車両が移動するのを抑制することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関として構成されたエンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26に図示しないダンパを介してキャリア34が接続されたシングルピニオン式の遊星歯車機構30と、遊星歯車機構30のサンギヤ31に回転子が接続された同期発電電動機としてのモータMG1と、遊星歯車機構30のリングギヤ32に接続されると共にデファレンシャルギヤ62を介して駆動輪63a,63bに接続されたリングギヤ軸32aに回転子が接続された同期発電電動機としてのモータMG2と、インバータ41,42を介してモータMG1,MG2に接続されたバッテリ50と、駆動輪63a,63bや図示しない従動輪のブレーキを制御するためのブレーキアクチュエータ92と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキペダル85の踏み込みに応じて生じるブレーキマスターシリンダ90の圧力(ブレーキ圧)と車速Vとにより車両に作用させる制動力におけるブレーキの分担分に応じた制動力が駆動輪63a,63bや図示しない従動輪に作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したり、ブレーキペダル85の踏み込みに無関係に、駆動輪63a,63bや従動輪に制動力が作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したりすることができるように構成されている。ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)94により制御されている。ブレーキECU94は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶する図示しないROMやデータを一時的に記憶するRAMと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備えている。ブレーキECU94は、図示しない信号ラインにより、駆動輪63a,63bや従動輪に取り付けられた図示しない車輪速センサからの車輪速や図示しない操舵角センサからの操舵角などの信号を入力して、運転者がブレーキペダル85を踏み込んだときに駆動輪63a,63bや従動輪のいずれかがロックによりスリップするのを防止するアンチロックブレーキシステム機能(ABS)や運転者がアクセルペダル83を踏み込んだときに駆動輪63a,63bのいずれかが空転によりスリップするのを防止するトラクションコントロール(TRC),車両が旋回走行しているときに姿勢を保持する姿勢保持制御(VSC)なども行なう。ブレーキECU94は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってブレーキアクチュエータ92を駆動制御したり、必要に応じてブレーキアクチュエータ92の状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジン22を運転制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24やモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40,バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52,ブレーキECU94と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と各種制御信号やデータのやりとりを行っている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70,エンジンECU24,モータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94の各電子制御用ユニット間の通信は、イグニッションスイッチ80がオフされると所定時間経過後に途絶されるものとする。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、車両が停車しているときにシステムオフするために運転者の操作によりイグニッションスイッチ80がオフされたときの動作について説明する。最初に、イグニッションスイッチ80がオフされたときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるフラグ送信処理ルーチンを図2を用いて説明し、続いて、フラグ送信処理ルーチンが実行された後にブレーキECUにより実行されるブレーキ制御ルーチンを図3を用いて説明する。
図2はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるフラグ送信処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、停車しているときにイグニッションスイッチ80がオフされたときに実行される。
フラグ送信処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、エンジン22の回転数Neを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてエンジンECU24が計算したものを通信により入力するものとした。
続いて、入力されたエンジン22の回転数Neを調べる(ステップS110)。エンジン回転数Neが値0であるとき、すなわち、エンジン22が運転を停止しているときには、駆動輪63a,63bや図示しない従動輪に制動力を付与する必要がないと判断して、駆動輪63a,63bや図示しない従動輪に制動力を付与すべきか否かを判定するための制動要求フラグFを値0に設定し(ステップS120)、エンジン回転数Neが値0でないとき、すなわち、エンジン22が運転中であるときには、イグニッションオフによるエンジン22の停止に伴ってエンジン22の回転数Neが低下する際に遊星歯車機構30を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに作用するトルク(以下、エンジン停止時作用トルクという)により車両が前進または後退するおそれがあると判断して、制動要求フラグFを値1に設定し(ステップS130)、設定した制動要求フラグFをブレーキECU94に送信し(ステップS140)、本ルーチンを終了する。こうして、エンジン22が運転を停止しているときには値0に設定した制動要求フラグFをブレーキECU94に送信し、エンジン22が運転しているときには値1に設定した制動要求フラグFをブレーキECU94に送信することになる。こうした制動要求フラグFの送信は、イグニッションスイッチ80がオフされたハイブリッド用電子制御ユニット70とブレーキECU94との通信が途絶される前に実行されるものとする。以上、フラグ送信処理ルーチンについて説明した。
次に、ブレーキ制御ルーチンについて説明する。図3は、ブレーキECU94が実行するブレーキ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ハイブリッド用電子制御ユニット70が送信した制動要求フラグFをブレーキECU94が受信したときに実行される。
ブレーキ制御ルーチンが実行されると、ブレーキECU94の図示しないCPUは、まず、ハイブリッド用電子制御ユニット70から受信した制動要求フラグFを入力し(ステップS200)、入力した制動要求フラグFの値を調べる処理を実行する(ステップS210)。制動要求フラグFが値0のときには、車両に制動力を作用させる必要はないと判断して、本ルーチンを終了する。
一方、制動要求フラグFが値1のとき、すなわち、エンジン22が運転中にイグニッションスイッチ80がオフされたため、エンジン停止時作用トルクによって車両が移動するおそれがあるため、車両に制動力を作用させる必要があるときには、経過時間tの計測を開始し(ステップS220)、経過時間tが所定時間trefを経過するまで経過時間tに基づいて駆動輪63a,63bや従動輪に作用させる制動力の目標値としてのブレーキトルクTb*を設定すると共に設定されたブレーキトルクTb*が駆動輪63a,63bや従動輪に付与するようブレーキアクチュエータ92を制御し(ステップS230〜S250)、経過時間tが所定時間trefを経過したら(ステップS250)、本ルーチンを終了する。ここで、ブレーキトルクTb*は、エンジン停止時作用トルクを打ち消すトルク以上のトルクをリングギヤ軸32aに作用させるトルクとして設定されており、実施例では、経過時間tとブレーキトルクTb*との関係を予め定めてブレーキトルク設定用マップとしてブレーキECU94の図示しないRAMに記憶しておき、経過時間tに基づいてブレーキトルク設定用マップを用いて設定するものとした。図4は、ブレーキトルク設定用マップの一例を示す説明図である。図中、参考のため、エンジン22の回転数Neの時間変化の一例も記載している。ブレーキトルクTb*は、経過時間tの計測が開始されたとき(時刻t0)から徐々に増加して所定トルクT1に至り、エンジン22の回転数Neがエンジン停止時作用トルクが十分小さくなる閾値Nerefに至ると予測される時刻t1から所定トルクT1から徐々に減少して、時刻t0から所定時間trefが経過した時刻t2に値0になるよう設定されている。ここで、所定トルクT1は、エンジン停止時作用トルクを打ち消すトルクより大きいトルクをリングギヤ軸32aに作用させるトルクとして予め実験により定められたいるものとした。また、所定時間trefは、イグニッションスイッチ80がオフされてからエンジン22の回転数Neが値0になるのに要する時間として実験などにより導出して設定されているものとした。こうしたブレーキトルクTb*を駆動輪63a,63bや従動輪に付与することにより、ハイブリッド用電子制御ユニット70とモータECU40との間の通信が途絶されてモータMG1,MG2の駆動制御ができない状態となっても、エンジン22の運転が停止する際にエンジン22の回転数Neの低下に伴って駆動軸としてのリングギヤ軸32aに作用するトルクにより車両が移動するのを抑制することができる。
以上説明したハイブリッド自動車20によれば、エンジン22を運転しながら停車している最中に運転者の操作によりイグニッションスイッチ80がオフされてシステムオフされたときには、エンジン22の停止に伴って駆動軸としてのリングギヤ軸32aに作用するトルク(エンジン停止時作用トルク)を打ち消すトルク以上のトルクをリングギヤ軸32aに作用させる制動力を駆動輪63a,63bや従動輪に付与するから、システムオフされてモータMG1,MG2を制御することができない状態となっても、エンジン22の運転を停止する際に車両が移動するのを抑制することができる。また、経過時間tに応じて予め定められたブレーキトルクTb*が車両に作用するようブレーキアクチュエータ92をを制御するから、容易に車両に制動力を付与することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の回転数Neが値0でないときに車両が移動するおそれがあると判断して制動力が駆動輪63a,63bや従動輪に付与されるようブレーキアクチュエータ92を制御するものとしたが、エンジン22の回転数Neがエンジン22の停止に伴って遊星歯車機構30を介して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに作用するトルクにより車両が移動するおそれが生じる閾値Nerefよりも大きいときに制動力が駆動輪63a,63bや従動輪に出力されるようブレーキアクチュエータ92を制御するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、経過時間tに基づいて設定されたブレーキトルクTb*が駆動輪63a,63bや従動輪に付与されるようブレーキアクチュエータ92を制御するものとしたが、経過時間tに拘わらず所定トルクT1をブレーキトルクTb*として設定すると共に設定されたブレーキトルクTb*が駆動輪63a,63bや従動輪に付与されるようブレーキアクチュエータ92を制御するものとしてもよい。また、ブレーキトルクTb*を駆動輪63a,63bや従動輪に付与するタイミングは、制動要求フラグFが入力されたタイミングに限定されるものではなく、車両の前進または後退が許容できる範囲内であれば、制動要求フラグFが入力されてから多少時間が経過したタイミングでブレーキトルクTb*を駆動輪63a,63bや従動輪に付与するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の駆動力はリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図5の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の駆動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図5における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、遊星歯車機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、ブレーキマスターシリンダ90とブレーキアクチュエータ92とブレーキホイールシリンダ96a〜96dとにより構成されるものが「制動力付与手段」に相当し、停車しているときにイグニッションスイッチ80がオフされたときに、エンジン22の回転数が値0でないときには制動要求フラグFを値1に設定すると共に設定した制動要求フラグFをブレーキECU94に送信する処理を行なう図2のフラグ送信処理ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70とハイブリッド用電子制御ユニット70から受信した制動要求フラグFが値1のときには経過時間tに基づいてブレーキトルクTb*を設定すると共に経過時間tの計測を開始してから所定時間trefが経過するまで設定されたブレーキトルクTb*に基づく制動力が駆動輪63a,63bや従動輪に付与されるようブレーキアクチュエータ92を制御する図3のブレーキ制御ルーチンを実行するブレーキECU94とが「制御手段」に相当する。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号に基づいてモータMG1,MG2を駆動制御するモータECU40が「駆動制御手段」に相当する。ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素を燃料として動力を出力する内燃機関など、如何なる内燃機関としてもよい。「発電機」としては、同期発電電動機に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機であっても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、シングルピニオン式の遊星歯車機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、駆動軸と出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、二次電池などのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど発電手段や電動機と電力のやり取りが可能であれば、如何なるものとしても構わない。「制動力付与手段」としては、ブレーキマスターシリンダ90とブレーキアクチュエータ92とブレーキホイールシリンダ96a〜96dとにより構成されるものに限定されるものではなく、運転者のブレーキ操作に基づく前後輪への制動力の付与と運転者のブレーキ操作なしに前後輪への制動力の付与とが可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とブレーキECU94との組み合わせに限定されるものではなく、単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、停車しているときにイグニッションスイッチ80がオフされたときに、エンジン22の回転数が値0でないときには制動要求フラグFを値1に設定すると共に設定した制動要求フラグFをブレーキECU94に送信して経過時間tに基づいて設定されるブレーキトルクTb*に基づく制動力が駆動輪63a,63bや従動輪に付与されるようブレーキアクチュエータ92を制御するものに限定されるものではなく、内燃機関を運転しながら停車している最中に運転者の操作によりシステムオフされたときには、内燃機関の停止に伴って駆動軸に作用する駆動力を打ち消す制動力以上の制動力が所定のタイミングで車両に作用するよう制動力付与手段を制御するものであれば、如何なるものとしても構わない。また、「駆動制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号に基づいてモータMG1,MG2を駆動制御するモータECU40に限定されるものではなく、制御手段と通信回線を介して接続され、制御手段からの制御信号に基づいて発電機と電動機とを駆動制御するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド車の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッドECU70により実行されるフラグ送信処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 実施例のブレーキECU94により実行されるブレーキ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 ブレーキトルク設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 遊星歯車機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 ブレーキマスターシリンダ、92 ブレーキアクチュエータ、94 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、96a〜96d ブレーキホイールシリンダ、MG1,MG2 モータ。

Claims (3)

  1. 内燃機関と、動力を入出力する発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、を備えるハイブリッド車であって、
    運転者のブレーキ操作に基づく前記前後輪への制動力の付与と運転者のブレーキ操作なしに前記前後輪への制動力の付与とが可能な制動力付与手段と、
    前記内燃機関を運転しながら停車している最中に運転者の操作によりシステムオフされたときには、前記内燃機関の停止に伴って前記駆動軸に作用する駆動力を打ち消す制動力以上の制動力が所定のタイミングで車両に作用するよう前記制動力付与手段を制御する制御手段と、
    前記制御手段と通信回線を介して接続され、前記制御手段からの制御信号に基づいて前記発電機と前記電動機とを駆動制御し、システムオフされたときには前記制御手段との通信が途絶される駆動制御手段と、
    を備えるハイブリッド車。
  2. 前記制御手段は、前記所定のタイミングからの経過時間に応じて予め定められた制動力が車両に作用するよう前記制動力付与手段を制御する手段である請求項1記載のハイブリッド車。
  3. 内燃機関と、動力を入出力する発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、運転者のブレーキ操作に基づく前記前後輪への制動力の付与と運転者のブレーキ操作なしに前記前後輪への制動力の付与とが可能な制動力付与手段と、前記制動力付与手段を制御する制御手段と、前記制御手段と通信回線を介して接続され前記制御手段からの制御信号に基づいて前記発電機と前記電動機とを駆動制御すると共にシステムオフされたときには前記制御手段との通信が途絶される駆動制御手段と、を備えるハイブリッド車の制御方法であって、
    前記内燃機関を運転しながら停車している最中に運転者の操作によりシステムオフされたときには、前記内燃機関の停止に伴って前記駆動軸に作用する駆動力を打ち消す制動力以上の制動力が所定のタイミングで車両に作用するよう前記制御手段で前記制動力付与手段を制御する、
    ことを特徴とするハイブリッド車の制御方法。

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