JP5092325B2 - 厚膜保護用ガラス組成物およびガラスペースト - Google Patents

厚膜保護用ガラス組成物およびガラスペースト Download PDF

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Description

本発明は、チップ抵抗器、ハイブリットIC、または、抵抗ネットワーク等の電子部品の製造において厚膜抵抗体等を保護する、保護ガラス層の材料として用いられる厚膜保護用ガラス組成物およびガラスペーストに関する。さらには、該厚膜保護用ガラスペーストを用いて形成した厚膜保護ガラス層を有する厚膜抵抗体に関する。
一般のチップ抵抗器、ハイブリットIC、または、抵抗ネットワーク等の製造工程では、アルミナ基板にAgまたはAuを主成分とする厚膜導体ペーストを印刷して焼成することにより電極を形成し、得られた電極間に抵抗ペーストを印刷して焼成することにより厚膜抵抗体を形成している。このように印刷されて焼成された状態の厚膜抵抗体は、抵抗値分布が大きいために、目的とする範囲の抵抗値とするには、歩留まりが悪いという問題がある。
このような問題を解決するため、一般にレーザトリミングにより厚膜抵抗体の抵抗値を上昇させて調整する。さらに、レーザトリミングの精度を向上させる目的や、得られる厚膜抵抗体を用いた製品である電子部品としての信頼性を向上させる目的で、レーザトリミングの前に、厚膜抵抗体の上に保護ガラスペーストを印刷して焼成することにより、保護ガラス層(プリコート)を形成し、得られた保護ガラス層を通してレーザトリミングを行っている。
保護ガラス層は、レーザトリミングにより生じる飛散物が、厚膜抵抗体の上に付着することを防ぐとともに、保護ガラス層により、レーザ光が厚膜抵抗体に直接、当たらなくなる。このように、保護ガラス層には、レーザトリミングの間に厚膜抵抗体が受けるダメージを軽減させる働きがある。
レーザトリミングの後は、オーバーコートとして、厚膜抵抗体と保護ガラス層の表面を覆うように、保護ガラス層と同一の保護ガラスペーストか、あるいは、保護ガラス層とは異なる保護ガラスペーストを印刷して焼成することにより、厚膜抵抗体を外部の環境から保護している。あるいは、レーザトリミングの後に、熱硬化型の保護樹脂ペーストを印刷して熱硬化させることにより、厚膜抵抗体を外部の環境から保護している。
しかし、レーザトリミングの後に、さらに保護ガラスペーストを印刷して焼成した場合、得られる厚膜抵抗体の抵抗値が変動する。このため、近年では、オーバーコートとして、熱硬化型の保護樹脂ペーストを使用する方法が多くなっているが、熱硬化型の保護樹脂ペーストを使用する方法は、保護ガラスペーストを使用する方法に比べ、一般に信頼性が低いとされている。この理由としては、熱硬化型の保護樹脂ペーストを使用して得られるオーバーコート樹脂層が、保護ガラスペーストを印刷して焼成して得られるオーバーコートガラスに比べて、吸湿性および透湿性が高いことも原因の一つであるが、保護ガラス層とオーバーコート樹脂層との密着が十分でなく、これらの隙間から水分等が浸入することにより、抵抗器の信頼性を低下させることも原因であると予想される。特に、製造工程の途中や完成した後に、抵抗器に熱サイクル等がかかった場合、熱膨張係数の違いから、応力が掛かり、保護ガラス層とオーバーコート樹脂層との密着性が低下しやすい。このため、オーバーコート材料として保護樹脂ペーストを使用する方法では、得られる電子部品の高湿度下での信頼性が特に劣るという問題がある。
特開平09−169543号公報には、軟化点が700℃以下の主ガラス粉末75〜96質量%と、主ガラス粉末より軟化点が50〜250℃低い低軟化点ガラス粉末2〜10質量%と、低誘電率耐火性フィラー粉末とからなるオーバーコート用ガラス組成物を、800〜820℃で焼成し、低軟化点ガラス層を表面に形成することにより、1種類のガラス粉末を使用した場合と同等の表面平滑性を維持しつつ、高い絶縁耐圧特性を有するオーバーコートガラス膜が得られることが記載されている。このようなオーバーコートガラス膜は、2種類のガラス粉末を用いているが、あくまでも表面平滑性を得るためのものであって、保護樹脂膜との密着性は考慮されていない。
一方、特開平11−150009号公報には、レーザトリミングの後に、軟化点が350〜550℃であるガラスフリットを主原料としたガラスペーストを抵抗体に印刷した後、400〜550℃のピーク温度で焼成することにより、オーバーコートガラスを形成し、さらに、樹脂ペーストを覆うように印刷し硬化させて、オーバーコート樹脂を形成する厚膜抵抗体の形成方法が記載され、周期的な通電をしつつ、40℃、相対湿度95%、200時間という条件で、十分な耐湿性を得ている。しかしながら、オーバーコートガラスの表面は平滑であり、オーバーコートガラスとオーバーコート樹脂の間の密着性については考慮されていない。
特開平09−169543号公報 特開平11−150009号公報
本発明の目的は、レーザ光の吸収や透過が良好であり、かつ、オーバーコート樹脂層との密着強度が良好であり、さらに、環境保護に適した、プリコート用の保護ガラス層材料として用いられる厚膜保護用ガラス組成物およびガラスペーストを提供することである。
本発明の厚膜保護用ガラス組成物は、軟化点の異なる2種類のガラス粉末を混合してなり、一方のガラス粉末Aの軟化点SPa(℃)が、670℃以下の温度であり、かつ、他方のガラス粉末Bの軟化点SPb(℃)が、ガラス粉末Aの軟化点SPa(℃)に対して50℃以上高い温度、すなわち、SPa≦670、SPb≧SPa+50である。
ガラス粉末Aに対する、ガラス粉末Bの質量比Mb/Maが、0.05〜0.2の範囲内にあることが必要である。
具体的には、ガラス粉末Aの組成が、鉛を含有せず、SiO2:5〜20質量%、B23:5〜20質量%、Al23:2〜20質量%、Bi23:40〜80質量%であり、かつ、ガラス粉末Bの組成が、鉛を含有しないことが必要である。すなわち、鉛は、実質的に含有しない。ただし、本明細書における「実質的に含有しない」という文言は、鉛を「不可避的不純物として含有することは容認される」ことを意味している。また、これらのガラス粉末の組成に、アルカリ金属酸化物等の添加物が含まれていてもよい。
本発明の厚膜抵抗体の製造方法は、厚膜保護用ガラスペーストを抵抗体の上に印刷した後、焼成することにより厚膜保護ガラス層を得る工程を有し、前記厚膜用ガラスペーストに、軟化点の異なる2種類のガラス粉末を混合してなり、一方のガラス粉末Aの軟化点SPa(℃)が前記焼成における焼成温度TC(℃)より20℃高い温度よりも低い温度であり、他方のガラス粉末Bの軟化点SPb(℃)が前記ガラス粉末Aの軟化点SPa(℃)よりも50℃以上高い温度で、かつ、前記焼成における焼成温度TC(℃)より20℃を超えて高い温度である厚膜保護用ガラス組成物を含むガラスペーストを用いることを特徴とする。すなわち、SPa<TC+20、SPb≧SPa+50、かつ、SPb>TC+20である。
前記焼成温度TC(℃)を650℃以下とすること(TC≦650)が好ましい。
本発明の厚膜抵抗体は、前記厚膜保護用ペーストにより形成される厚膜保護ガラス層と、該保護ガラス層の上に形成されるオーバコート樹脂層とにより、厚膜抵抗体を被覆している。該厚膜保護ガラスラス層の表面におけるJISB0601:2001による二乗平均粗さRqが2.0μm以上6.0μm以下である。
本発明により、オーバーコート樹脂層との密着強度が良好である厚膜抵抗体用の厚膜保護ガラス層を提供することができる。また、該厚膜保護ガラス層の成形材料である本発明の厚膜保護ガラスペーストは、厚膜抵抗体の抵抗値変動を小さく抑えることができる650℃以下の温度で、焼成することができる。
さらに、環境保護の立場から望ましい鉛レスとすることができ、水や酸に対する耐性が良好な厚膜保護ガラス層を提供することができる。
オーバーコート樹脂を使用した場合でも、抵抗器の信頼性を向上させることを可能とするためには、厚膜保護ガラス層の表面を粗くして、オーバーコート樹脂層との接触面積を大きくすることにより、厚膜保護ガラス層とオーバーコート樹脂層との密着性を向上させることが考えられる。
このように厚膜保護ガラス層の表面を粗くするには、材料となる厚膜保護用ガラスペーストの軟化点をあげて、焼成時に、溶融度合いを少なくする方法が考えられる。しかし、この方法では厚膜保護用ガラスペーストが十分に溶融しないので、厚膜保護ガラス層の強度が不十分で、欠けやすくなり、また、オーバーコート樹脂層に欠陥が生じた場合に、厚膜抵抗体が外部の環境に直接曝されるという問題がある。
厚膜保護ガラス層の表面を粗くするもう一つの方法としては、厚膜保護ガラス層用のガラス組成物(ガラスフリット)に、焼成時に焼結しないAl23、ZrO2等のフィラーを添加する方法がある。しかし、厚膜保護ガラス層の表面を粗くするには、多量のフィラーの添加が必要であり、一般にフィラーはレーザ光の吸収や透過が悪く、必要以上のレーザ光のパワーが必要となる。そのため、高パワーで厚膜抵抗体をレーザトリミングすると、厚膜抵抗体が受けるダメージが大きく、厚膜抵抗体の特性を劣化させ、抵抗値の精度も低下するという問題がある。
本発明者は、原料として軟化点の異なる2種類以上のガラス粉末を混合することにより、レーザトリミングにより抵抗体特性や抵抗値精度を損なうことなく、オーバーコート樹脂層との密着性が良好な厚膜保護ガラス層が得られることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明の厚膜保護用ガラス組成物を、詳細に説明する。
本発明の厚膜保護用ガラス組成物は、原料として、軟化点の異なる2種類以上のガラス粉末を用いる。軟化点の異なる2種類以上のガラス粉末のうち、軟化点が低い方のガラス粉末は、焼成中に軟化し、厚膜抵抗体を保護する働きを有している。一方、軟化点が高い方のガラス粉末は、焼成時に十分軟化することなく、形成される厚膜保護ガラス層において、表面粗さを大きくする働きを有している。得られる厚膜保護ガラス層の表面粗さを大きくすることにより、その上に形成されるオーバーコート樹脂層との密着強度が向上する。この理由は、厚膜保護ガラス層の表面粗さが大きいことにより、オーバーコート樹脂層との接触面積が増えるためと考えられる。
厚膜保護用ガラスペーストを焼成し、厚膜保護ガラス層を形成するには、厚膜保護用ガラスペーストの原料であるガラス粉末の軟化点が、焼成温度よりも低くなければならない。ガラス粉末の軟化点は、粘度η(dPa・s)がlogη=7.6を満足する温度と定義され、変形させるのに必要な温度である。しかし、実際には、密度や表面張力あるいはガラス粉末の粒径の影響で、軟化点よりも20℃ほど低い温度でも、厚膜保護用ガラスペーストを焼成することができて、厚膜保護ガラス層の形成は可能である。
このことにより、厚膜保護用ガラスペーストに使用するガラス粉末の軟化点は、焼成温度よりおよそ20℃高い温度よりも低くなければならない。これに対して、焼成温度よりも20℃以上高い軟化点を有するガラス粉末は、焼成中に十分軟化せず、焼成後に得られる厚膜保護ガラス層は役割を果たさない。
以上のことから、本発明で使用する軟化点が低いガラス粉末Aの軟化点SPa(℃)は、焼成温度TC(℃)より20℃高い温度よりも、低いことが必要である。すなわち、TC+20>SPaである。
また、厚膜抵抗体に厚膜保護用ガラスペーストを印刷して焼成し、厚膜保護ガラス層を形成する場合、焼成温度TC(℃)が高いと、厚膜抵抗体の抵抗値の変動が大きくなり、通常の厚膜抵抗体では、650℃を超える焼成温度TC(℃)で厚膜保護用ガラスペーストを焼成すると、厚膜抵抗体の抵抗値の変動が大きくなりすぎる。このため、厚膜保護ガラスペーストの焼成温度TC(℃)は、650℃以下が望ましい。すなわち、TC≦650である。なお、焼成温度TC(℃)の下限は、有機バインダの分解温度との関係から400℃である。
以上から、軟化点が低いガラス粉末Aの軟化点SPa(℃)は、670℃未満である。
さらに、チップ抵抗器などは、厚膜保護ガラス層およびオーバーコート樹脂層を形成した後、電極部にメッキが施される。使用するメッキは、ニッケルやスズの湿式電解メッキが一般的である。このように、外部の環境から、軟化点が低いガラス粉末Aは、厚膜抵抗体を保護する目的も必要であり、ガラス粉末Aは、メッキ工程における水や酸に対して耐性が大きいことが必要である。また、近年、環境保護の立場から電子部品の鉛フリー化が望まれている。
従って、ガラス粉末Aの組成として、鉛を実質的に含有せず、SiO2:5〜20質量%、B23:5〜20質量%、Al23:2〜20質量%、Bi23:40〜80質量%とすることがあげられる。Biを含有するガラスは、低軟化点の鉛フリーガラスとして広く知られおり、Bi23は、PbOに代わる成分として、低軟化点ガラスとして注目されている。
SiO2が、5質量%未満では、得られる厚膜保護ガラス層の耐水性および耐酸性が低下する。SiO2が、20質量%を超えると、軟化点SPa(℃)が高くなりすぎる。
23が、5質量%未満では、軟化点SPa(℃)が高くなり、得られる厚膜保護ガラス層の機械的強度が低下する。B23が、20質量%を超えると、得られる厚膜保護ガラス層の耐水性および耐酸性が低下する。
Al23が、2質量%未満では、得られる厚膜保護ガラス層が結晶化しやすく、また、得られる厚膜保護ガラス層の耐水性および耐酸性が低下する。Al23が、20質量%を超えると、軟化点SPa(℃)が高くなりすぎる。
Bi23が、40質量%未満では、軟化点SPa(℃)が高くなりすぎる。Bi23が、80質量%を超えると、得られる厚膜保護ガラス層の耐水性および耐酸性が低下する。
また、ガラス粉末Aは、SiO2、B23、Al23、およびBi23以外の成分を含有していてもよい。他の成分の例としては、BaO、CaO、SrO、TiO2、ZrO2、ZnO、SnO2、または、MgO等と、Li2O、Na2O、または、K2Oのアルカリ金属酸化物があげられる。アルカリ金属酸化物は、軟化点SPa(℃)を下げる効果が大きいが、多量に含有させると、厚膜抵抗体の電圧負荷による抵抗値変動を増大させるおそれがある。従って、これらの含有量は、全体で3質量%以下とすることが好ましい。
一方、軟化点が高いガラス粉末Bは、焼成時に完全には軟化せず、厚膜保護ガラス層の表面粗さを大きくする働きを有するように、ガラス粉末Bの軟化点SPb(℃)が、ガラス粉末Aの軟化点SPa(℃)に対して50℃以上高くなるようにする。すなわち、SPb≧SPa+50である。さらに、ガラス粉末Bの軟化点は、焼成温度TCよりも、20℃を超えて高い温度であることが必要である。すなわち、SPb>TC+20である。
軟化点が高いガラス粉末Bの軟化点SPb(℃)が、軟化点が低いガラス粉末Aの軟化点SPa(℃)より50℃高い温度よりも低くなる場合、ガラス粉末Bも軟化してしまい、厚膜保護ガラス層の表面粗さを大きくする効果が小さくなる。厚膜保護ガラス層の表面粗さを大きくするという点で、軟化点が高いガラス粉末Bの添加により、焼成時に焼結しないAl23、またはZrO2等のフィラーを添加した場合と同様な効果が得られる。しかし、Al23、またはZrO2等のフィラーは、厚膜抵抗体をレーザトリミングする際のレーザ光の吸収や透過を阻害する。これに対して、軟化点が最も高いガラス粉末Bを用いることにより、レーザ光の吸収および透過を阻害することなく、厚膜抵抗体にレーザ光を達することが可能となり、厚膜抵抗体の特性の劣化や、抵抗値の精度の低下を引き起こすことなく、レーザトリミングをすることが可能になる。
また、このように厚膜保護ガラス層の表面粗さが大きい場合、レーザトリミング時に、レーザ光が当たっている部分が認識しやすくなる。厚膜抵抗体のレーザトリミングでは、レーザトリミングする箇所やレーザトリミングの開始点を、実際にレーザ光を当ててテレビモニターを通して映像化することにより、確認しているため、厚膜保護ガラス層の表面粗さが大きいことは利点となる。これに対して、保護ガラス層の表面粗さが小さく、平滑な場合、レーザ光の反射が多く、レーザ光が当たっている部分の特定が困難になるという問題がある。従って、レーザ光が当たっている部分が特定しやすいことは、電子部品の小型化に伴ってレーザトリミングする位置精度を高める必要があるという事情から、厚膜抵抗器の歩留まりや信頼性の向上につながるという効果を得ることができる。
軟化点が高いガラス粉末Bも、軟化点が低いガラス粉末Aと同様に、メッキ工程における水や酸に対して耐性が大きいことが必要である。また、電子部品の鉛フリー化が望まれている点から、鉛を実質的に含有しないことが好ましい。
さらに、ガラス粉末Bは、軟化点を低くする制約がないため、広い組成範囲から選択することができ、軟化点が低いガラス粉末Aと同様のBi含有ガラスや、SiO2−B23−Al23のガラス、あるいは、これらにBaO、CaO、SrO、TiO2、ZrO2、ZnO、SnO2、またはMgO等や、Li2O、Na2O、またはK2Oのアルカリ金属酸化物を加えた組成があげられる。軟化点が高いガラス粉末Bは、軟化点が低いガラス粉末Aと同様に、アルカリ金属酸化物を多量に含有させると、厚膜抵抗体の電圧負荷による抵抗値変動を増大させるおそれがある。
軟化点が低いガラス粉末Aに対する軟化点が高いガラス粉末Bの質量比Mb/Maが、0.05〜0.2であることが必要である。0.05より小さいと、焼成された厚膜保護ガラス層の表面粗さが小さく、オーバーコート樹脂層との密着が十分に図れない。また、0.2より大きいと、厚膜保護ガラス層が十分に軟化せず、厚膜保護ガラス層が脆くなって、厚膜抵抗体を十分に保護できなくなる。なお、Mb/Ma、0.07〜0.15の範囲内にあることが好ましい。
軟化点が低いガラス粉末Aの粒径と、軟化点が高いガラス粉末Bの粒径とは、それぞれ10μm以下が望ましい。10μmより大きいと、緻密な厚膜保護ガラス膜が形成しにくくなる。さらに、近年の電子部品の小型化により、厚膜保護ガラス層の厚さも薄くなる傾向があり、その見地からすると、厚膜保護ガラス層の原料であるガラス粉末の粒径をさらに小さくし、5μm以下とすることが望ましい。
本発明の厚膜保護ガラス組成物には、2種類以上のガラス粉末の他に、必要に応じて、添加物を含有させることができる。添加物の例としては、着色を目的とした顔料あるいは染料や、熱膨張係数を調整するための無機粉末などが挙げられる。着色を目的とした顔料の例としては、Cu−Cr−Mn系、Fe−Cr−Mn系、Co−Fe−Cr系の黒色顔料や、Cr23等の緑色顔料が、代表的なものとして挙げられる。特に、緑色顔料は、レーザトリミング時のレーザ光の吸収が大きいとされ、一般的に用いられている。染料は、厚膜保護ガラスペーストを印刷した時の視認性を目的として含有させ、厚膜保護ガラスペーストの焼成後には、色が残らない代表的なものとして、青色のフタロシアニンブルー等がある。
本発明の厚膜保護用ガラス組成物は、有機ビヒクルまたは溶剤と供に、混合および分散してペースト化することにより、厚膜保護用ガラスペーストとすることができる。有機ビヒクルとしては、エチルセルロース、アルキッド樹脂、またはアクリル樹脂等を、ターピネオール、またはブチルカルビトール等の溶剤に溶解したしたものが、一般的に用いられる。溶剤としては、ターピネオール、またはブチルカルビトール等が挙げられ、必要に応じて添加する。本発明の厚膜保護用ガラス組成物と、有機ビヒクルまたは溶剤を、混合および分散するには、3本ロールミルやボールミル等を用いるのが、一般的である。
かかる厚膜保護用ガラスペーストを、厚膜抵抗体の上に印刷した後、焼成することにより得られる厚膜保護ガラス層は、その表面におけるJISB0601:2001による二乗平均粗さRqが2.0μm以上6.0μm以下である。
(実施例1)
SiO2:10質量%、B23:12質量%、Al23:10質量%、およびBi23:68質量%の組成で、軟化点SPa(℃)が560℃であるガラス粉末Aと、SiO2:35質量%、B23:15質量%、Al23:10質量%、BaO:25質量%、ZnO:15質量%の組成で、軟化点SPb(℃)が750℃であるガラス粉末Bとを、ガラス粉末Aに対するガラス粉末Bの質量比Mb/Maが0.05となるように配合し、厚膜保護用ガラス組成物を得た。ガラス粉末Aの粒径は、5μm以下で、ガラス粉末Bの粒径は、5μm以下であった。
得られたガラス粉末(ガラス組成物)100質量部に対し、有機ビヒクルとしてエチルセルロース4%のターピネオール溶液30質量部を加え、3本ロールミルで混合および分散し、厚膜保護用ガラスペーストを得た。
得られた厚膜保護用ガラスペーストを、96%アルミナ基板に20mm×20mmの正方パターンでスクリーン印刷し、乾燥後、ピーク温度TC(℃)を600℃として、ピーク時間5分で焼成し、厚膜保護ガラス層を得た。
従って、SPb≧SPa+50であり、TC>SPa−20、TC<SPb−20、かつ、TC≦650である。
得られた厚膜保護ガラス層の表面の二乗平均粗さRqを、粗さ深さ計(株式会社東京精密製、E−RC−S01AおよびE−MD−S39A)で測定した。
その後、ビスフェノールAグリシジルエーテル90質量%、ジシアンジアミド8質量%、不定形シリカ2質量%を混合して、オーバコート用樹脂ペーストを得た。得られたオーバコート用樹脂ペーストを、前述のように得られた厚膜保護ガラス層の上に、2mm×2mmの正方パターンでスクリーン印刷し、200℃、30分で硬化して、オーバーコート樹脂層を得た。
厚膜保護ガラス層とオーバーコート樹脂層との密着強度を評価するため、オーバーコート樹脂層に直径0.6mmの銅線をエポキシ系接着剤で接着し、銅線をプッシュプルゲージを用いて引っ張り、剥離した時の強度を測定した。
初期の密着強度は、20箇所でこのような強度の測定を行った結果の平均値である。測定結果を表1に示す。
熱衝撃後の密着強度については、270℃に加熱した半田に10秒間浸漬した後、常温の水中で急冷し、前述と同様の引っ張り試験により、20箇所で、このような強度の測定を行った結果の平均値である。測定結果を表1に示す。
(実施例2)
ガラス粉末Aに対するガラス粉末Bの質量比Mb/Maが0.1となるように配合した以外は、実施例1と同様に保護ガラス層およびオーバーコート樹脂層を形成し、評価した。測定結果を表1に示す。
(実施例3)
ガラス粉末Aに対するガラス粉末Bの質量比Mb/Maが0.2となるように配合した以外は、実施例1と同様に保護ガラス層およびオーバーコート樹脂層を形成し、評価した。測定結果を表1に示す。
参考例4)
ガラス粉末Aに対するガラス粉末Bの質量比Mb/Maが0.5となるように配合した以外は、実施例1と同様に保護ガラス層およびオーバーコート樹脂層を形成し、評価した。測定結果を表1に示す。
(比較例1)
SiO2:10質量%、B23:12質量%、Al23:10質量%、およびBi23:68質量%の組成で、軟化点SP(℃)が560℃である1種類のガラス粉末100質量部に対し、有機ビヒクルとしてエチルセルロース4%のターピネオール溶液30質量部を加え、3本ロールミルで混合および分散し、厚膜保護用ガラスペーストを得たこと以外は、実施例1と同様に厚膜保護ガラス層およびオーバコート樹脂層を形成し、評価した。測定結果を表1に示す。
(比較例2)
ガラス粉末Bのみで配合した以外は、実施例1と同様に保護ガラス層およびオーバーコート樹脂層を形成し、評価した。測定結果を表1に示す。
Figure 0005092325
本発明の実施例1〜3および参考例4では、厚膜保護ガラス層表面の二乗平均粗さが2.2〜6.0μmとなり、大きい値であった。これに伴い、初期密着強度も2.1N以上と良好であった。また、熱衝撃を与えたことによる密着強度の低下も小さかった。
これらに対し、比較例1は、低軟化点のガラス粉末Aのみを使用したため、保護ガラス層の表面は、平滑で、二乗平均粗さは測定不能であった。初期密着強度は1.2Nであり、実施例1〜3および参考例4に比べて、低い値であった。さらに、熱衝撃を与えたことによる密着強度の低下も大きかった。

比較例2は、高軟化点のガラス粉末Bのみを使用したため、焼成時に十分軟化せず、厚膜保護ガラス層が脆くなってしまい、樹脂との密着強度は極度に低くなった。

Claims (5)

  1. 軟化点の異なる2種類のガラス粉末を混合してなり、一方のガラス粉末の軟化点が670℃未満の温度であり、かつ、他方のガラス粉末の軟化点が前記一方のガラス粉末の軟化点よりも50℃以上高い温度であって、
    前記一方のガラス粉末に対する前記他方のガラス粉末の質量比が、0.05〜0.2の範囲内にあり、
    前記一方のガラス粉末の組成が、鉛を含有せず、SiO 2 :5〜20質量%、B 2 3 :5〜20質量%、Al 2 3 :2〜20質量%、Bi 2 3 :40〜80質量%であり、かつ、前記他方のガラス粉末の組成が、鉛を含有しないことを特徴とする厚膜保護用ガラス組成物。
  2. 請求項に記載の厚膜保護用ガラス組成物と、有機ビヒクルと、溶剤とからなる厚膜保護用ガラスペースト。
  3. 厚膜保護用ガラスペーストを抵抗体の上に印刷した後、焼成することにより厚膜保護ガラス層を得る工程を有する厚膜抵抗体の製造方法であって、軟化点の異なる2種類のガラス粉末を混合してなり、一方のガラス粉末の軟化点が前記焼成における焼成温度より20℃高い温度よりも低い温度であり、他方のガラス粉末の軟化点が前記一方のガラス粉末の軟化点よりも50℃以上高い温度で、かつ、前記焼成における焼成温度より20℃を超えて高い温度である厚膜保護用ガラス組成物を含むガラスペーストを前記厚膜用ガラスペーストに用いる厚膜抵抗体の製造方法であって、
    前記一方のガラス粉末に対する前記他方のガラス粉末の質量比が、0.05〜0.2の範囲内にあり、
    前記一方のガラス粉末の組成が、鉛を含有せず、SiO 2 :5〜20質量%、B 2 3 :5〜20質量%、Al 2 3 :2〜20質量%、Bi 2 3 :40〜80質量%であり、かつ、前記他方のガラス粉末の組成が、鉛を含有しないことを特徴とする厚膜抵抗体の製造方法。
  4. 前記焼成温度を650℃以下とすることを特徴とする請求項に記載の厚膜抵抗体の製造方法。
  5. 厚膜抵抗体と、請求項に記載の厚膜保護用ガラスペーストを前記厚膜抵抗体の上に印刷した後、焼成することにより得られる厚膜保護ガラス層とを有し、該厚膜保護ガラス層の表面におけるJISB0601:2001による二乗平均粗さRqが2.0μm以上6.0μm以下であることを特徴とする厚膜抵抗体。
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