JP5091830B2 - 可動堰 - Google Patents
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Description
そこで、ひとたび雨が降り出した場合、初期の雨水は、晴天時下水の汚物が入って水質が悪く、雨水沈砂池に初期の雨水が流入すると、放流時公共用水域の汚濁を招くことが知られている。つまり、降雨の初期、このゲート20,20…には、晴天時下水の汚物の他、紙やゴム、ビニール、プラスチック等のゴミのほか、小枝、流木等の浮遊物のファーストフラッシュ(初期雨水掃流負荷)が流入するため、このゲート20の近傍にて雨水沈砂池への流入を防止し、汚水沈砂池へ確実に導水できる可動堰10の設置が望まれている。
また、この可動堰10は、雨水沈砂池には雨水(Qr)だけの流入を可能とし、汚水(Qs)の流入を防止し、また、雨水が大量に汚水沈砂池に流入しないように、いかなる場合も流入管渠30内の所定以上の水位上昇を引き起さないきめ細かな運転管理ができる可動堰が望まれている。
図5は、従来の簡易な水防用の可動堰を示す斜視図である。図5に示すように、通路レベルに設置する下枠部材112と、その左右に立設する一対の側枠部材113,113間に、堰板111を揺動自在に設置されている。また、始端を一方の側枠部材113に固定した索条123の中間部を堰板111の上端縁111Eの左右端に振り分け配置する方向変換プーリP2,P2に掛け合せ、他方の側枠部材113に索条123を駆動する巻き胴装置121を取り付けられている。巻き胴装置121のハンドル122を手動で回し、索条123を巻き取ることによって、水平姿勢の堰板111を起立させ、下枠部材112と一対の側枠部材113,113とに密着させて、流水を堰き止める。
また、停電時、クラッチが切り離なされた場合、堰板の自重によって確実に開状態へ操作できる可動堰を提供することができる。また、汎用機器を使用しているため、補修部品等供給が容易であり、メンテナンスも容易である。さらに、自動運転が可能な電動のワイヤー巻取り方式のため、遠隔操作等が可能であり、管渠内の所定以上の水位上昇を引き起さないように、きめ細かな運転管理ができる。
堰板1は、図2の(b)に示すように、雨水沈砂池の管渠31の下面31bに、下端部1aが接続され、下端部1aを支点にして回動自在に配設されている。堰板1は、雨水沈砂池の管渠31のサイズに合わせた大きさになっており、例えば、横2m、縦3.6m、厚み0.8cmのステンレス製の鋼板が好適である。この質量は、約1000kgあり、手動ハンドルでは迅速な開閉操作ができないかなりの重さになっている。堰板1は、例えば、60度の傾斜にした場合、ちょうど3mの高さまで堰止めることができるステンレス鋼板のサイズになっている。
雨水沈砂池の管渠31の下面31bには、左右両端部に支持部材11,11が配設されている。この支持部材11,11は、例えば、ヒンジや蝶番に相当し、回動自在になっている。
堰板1の下端部1aは、この支持部材11,11を介して開口部31aの下面31bに固定されている。したがって、堰板1はこの支持部材11,11を中心にして回動自在になっている。
なお、図2の(b)に示す堰板1と開口部31aとの隙間を閉鎖するためには、開口部31aの堰板1の可動範囲にステンレス製の側板を設け、さらに、水密用の耐水性ゴム板を堰板1の左右の両端、および、下部(支持部材の取り付け方向)に固定し、水漏れを防止しても構わない。
ワイヤー2,2は、前記した堰板1の上端部1bの左右両端部の2箇所に連結されている。このワイヤー2,2を巻き取り、または、送り出しを行い、堰板1の開閉(以下、起伏、倒伏という)動作を回動自在に行う。このワイヤー2,2はドラム3,3に巻き回されて、一端が堰板1に固定され、他端がドラム3,3に固定されている。
<チェーン>
チェーン2a,2aは、ワイヤー2,2の代替品である。このチェーン2a,2aをドラム3,3に巻きつけても構わない。さらに、この他の部材であってもよい。
ドラム3,3は正転、逆転によってワイヤー2,2を巻き取り、または、送り出しをする。ドラム3,3はワイヤー2,2の巻き取りによって、堰板1を60度まで引き上げて開口部31aを閉鎖する。また、ドラム3,3はワイヤー2,2の送り出しによって、堰板1を倒伏させて開口部31aを開口する。
ドラム3,3は円筒状に形成され、その外周面にはワイヤーの断面形状に合わせた丸溝が設けられ、巻き取り、または、送り出しをスムーズに行うとともに、ワイヤー2,2の損傷を防止している。
また、ドラム3,3には貫通孔が設けられ、この貫通孔には軸4が挿通されており、この軸4とは、図示しない固定手段、例えば、キーやシュパンリング(登録商標)等により固定されている。
軸4は長尺の丸棒であり、横向きに配置されている。軸4の中央に2つのドラム3,3が挿通されて固定され、両端に架設されたスタンド5,5によって雨水沈砂池の管渠31の上面31cに両端支持されている。
<スタンド>
スタンド5,5は、雨水沈砂池の管渠31の上面31cに架設され、軸4を回転可能に両端支持する。また、左端には、架台5aが配置されており、架台5aは、モータ6とクラッチ7を連続しているモータ軸6aとクラッチ7を支持している。
<モータ>
モータ6は、図2の(b)に示すように、軸4の左側の軸端部に連結され、架台5aに固定されている。また、モータ軸6aはクラッチ7を介して軸4に図示しない連結方法によって固定されている。モータ6は軸4を回転駆動する。この架台5aに固定するモータ6は、ここでは減速機付モータ6とするが、減速機を別置形とするモータ6としても構わない。減速機はサイクロ減速機が好適である。
電磁クラッチ7は、モータ6と軸4との間に設けられ、停電時、電源がOFFされると開放するクラッチ7である。この電磁クラッチ7は、減速機付モータ6のモータ軸6aと、軸4とを常時、電源ONで連結している。そして、非常時の停電時の際は、安全対策として、電源がOFFされると連結が開放(図示せず)され、堰板1の自重により、図2の(a)に示すように、堰板1が起伏の閉状態から倒伏の開状態へ速やかに変更される。
ブレーキ8は、軸4に設けられ、停電時、電源がOFFされると作動する電源OFFブレーキである。ブレーキ8は、雨水沈砂池の管渠31の上面31cに設けられ、ブレーキ8には軸4が通されている。このブレーキ8の目的は、停電により電磁クラッチ7が外れてモータ6との連結が開放されると、堰板1の自重降下により、一気に倒伏する倒伏速度を抑えるためのもの、開動作時の衝撃緩和用である。
ブレーキ8は、電源OFFで作動する仕様のブレーキであり、ブレーキライニングが軸4に取付けられたドラムの外周面を挟持して強力な制動力により軸4の回転速度を抑える。ブレーキ8は、これ以外のブレーキであっても構わない。
図3の(a)に示すように、雨水沈砂池入口に設けられる本発明の可動堰は、降雨前の晴天時は閉状態になっている。つまり、図1に示すように、3倍のQs(汚水量)の汚水沈砂池用水路の許容水量まで受け入れるために、予め可動堰10は上限の60度まで引き上げられて閉状態になっている。
図2の(a)に示すように、堰板1の上限の傾斜角θは、60度が好適であり、雨水沈砂池の管渠31を閉状態にする。なお、Qsとは、時間当りの晴天時最大汚水量であり、3Qsとは前記Qsの3倍量のことで汚水沈砂池の一般的な受入許容量の意味である。
<S1ステップ>
上流にて降雨が開始し、水位が上昇する。
<S2ステップ>
汚水の水位が可動堰10の高さである3Qsに達し、さらにα分超えると、α分は可動堰10を越流し、雨水沈砂池へ流入すると同時に汚水沈砂池へも導水されることになる。
そこで、前記したα分の汚水沈砂池への流入を回避するために、可動堰10の堰板1を倒伏(開方向)させる。
<S4ステップ>
液面計や流量計を配置して、汚水沈砂池への流入量が3Qs水位を維持するように適宜、堰板1の傾きを調整することが可能となる。
<S5ステップ>
可動堰10の堰板1を倒伏(開方向)の中間位置(60〜20度)で停止し、中間位置を保持する。
図3の(b)に示すように、モータ6との連結がクラッチ7によって開放されると、自動的に瞬時にブレーキ8が作動する。そして、ブレーキ8は堰板1の自重による倒伏速度を緩めて緩速にする。そして、可動堰10の堰板1を徐徐に全開する。
なお、1.可動堰10の開度は、流入(堰上流)水位により開度コントロールする。
2.最高水位は、3Qs水位+α(安全水位)以内のとし、開度は60度とする。
なお、安全水位とは、3Qsを超えた場合の汚水沈砂池受入の余裕率を含んだ水位のことで、この水位にするための開度調節はなく、あくまでも増水によりこの水位を超えるようであれば、堰板1を倒して開放し、雨水沈砂池へ汚水・雨水を流すことになる。
3.ブレーキ8により停電時自重開速度を制御、衝撃緩和をし、ブレーキ8による停止はない。
このように、堰板1を自動起伏、自動倒伏できることから、図示しない降雨探知センサ、監視カメラや水位センサ、等を備えたシステムにすることにより、汚水沈砂池の管渠32内の想定外の水位上昇を引き起さないように、きめ細かな運転管理ができる。また、遠距離からの遠隔操作ができる。
また、増水によって水位が上昇した場合は、水流の勢いで押し流されて斜めに傾くようになっており、水流を堰き止めることがないようになっている。
臭気遮断板9が堰板1の上部の開口部31aに設けられたことによって、開口部31aが全て遮蔽されるので、臭気の流れを遮断することができる。また、臭気遮断板9は、フラップ式を基本とするが、動力で開閉する方式であっても構わない。
1)可動堰1は、鋼板製の堰板1に接続したワイヤー2を巻き回したドラム3,3を減速機付モータ6で回転駆動する。回転駆動したドラム3,3にワイヤー2,2を巻き取ることにより、堰板1を起伏と、倒伏をさせて、可動堰10の堰板1の高さ調整の開閉動作を行うものである。雨水沈砂池の管渠31、水路本体、堰本体等、幅広く対応可能である。また、可動堰1は、減速機付モータ6、ドラム3の他、減速機付モータ6とドラム3を切り離すクラッチ7及びドラム回転を規制するブレーキ8等で構成される機器であり、開閉かつ任意の開度(位置)での停止も可能な可動堰1である。
2)可動堰1は、汚水が雨水時沈砂池に流入することを防止し、雨水沈砂池からの臭気漏れ防止と、降雨の初期のファーストフラッシュ(初期雨水掃流負荷)の流入による放流雨水質の悪化を防止する。また、晴天時は閉使用とする。通常、沈砂池の流入部には、流入ゲート20が設置されているが、流入ゲート20は常時開状態であるため、流入ゲート20に代わって停電時の電源OFFになった場合は、クラッチ7により減速機付モータ6の駆動装置から切り離され、可動堰10は自重開(倒伏)動作を行う。そのため、自重開時の衝撃緩和用として電源OFFブレーキを備えている。このように、停電時確実な開動作(倒伏)と開時の衝撃を緩和し、堰本体及び躯体をその衝撃から保護する機能を合わせもっている。
1a 下端部
1b 上端部
2 ワイヤー
2a チェーン
3 ドラム
4 軸
5 スタンド
5a 架台
6 モータ(減速機付モータ)
7 クラッチ(電磁クラッチ)
8 ブレーキ(電源OFFブレーキ)
9 臭気遮断板
10 可動堰
11,12 支持部材
20 流入ゲート(ゲート)
30 流入管渠
31,32 管渠
31a 開口部
31b 下面
31c 上面
Claims (2)
- 管渠(31)の下面(31b)に下端部(1a)が接続され、前記下端部(1a)を支点にして回動自在に配設された堰板(1)と、
前記堰板(1)の上端部(1b)に連結されたワイヤー(2,2)、または、チェーン(2a,2a)と、
前記ワイヤー(2,2)または、チェーン(2a,2a)の巻き取り、および、送り出しを行うドラム(3,3)と、
前記ドラム(3,3)に挿通されて固定された横向きの軸(4)と、
前記管渠(31)の上面(31c)に架設され、前記軸(4)を回転可能に両端支持するスタンド(5,5)と、
前記軸(4)を回転駆動させるモータ(6)と、
前記モータ(6)と前記軸(4)との間に設けられ、停電時、電源がOFFされると開放する電磁クラッチ(7)と、
前記軸(4)に、停電時、電源がOFFされると作動するブレーキ(8)と、
を備えたことを特徴とする可動堰(10)。 - 前記堰板(1)の上部に臭気遮断板(9)を配置し、前記臭気遮断板(9)の上端部(9b)に回動自在の支持部材(12,12)が配設されたことを特徴とする請求項1に記載の可動堰(10)。
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