JP5090056B2 - 核酸結合性磁性担体分散体およびそれを用いた核酸単離方法 - Google Patents

核酸結合性磁性担体分散体およびそれを用いた核酸単離方法 Download PDF

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Description

本発明は、核酸を含有すると考えられる試料から核酸を単離するための核酸結合性磁性担体分散体および核酸単離方法に関する。
近年の遺伝子工学および分子生物学などの分野の進歩により、感染症や遺伝子疾患などについてDNAまたはRNAレベルで分析することが可能になった。特に、PCR法(Polymerase Chain Reaction, Science 230:1350-1354, 1985) やNASBA法(Nucleic Acid Sequence Based Amplification, Nature 350:91-92, 1991 )に代表される核酸増幅方法の発明により、従来であれば、検出が非常に困難であった極微量の核酸の検出が可能となり、遺伝子解析が飛躍的に容易なものとなった。
しかし、生物試料中の核酸を必要により増幅し、検出するためには、試料中の核酸を選択的に取り出す必要がある。これは、通常の生物試料中には核酸以外の夾雑物質、例えばタンパク質、脂質、糖類などが大量に含まれており、これらが増幅や検出に悪影響を及ぼす可能性が少なくない。従ってあらかじめ試料中の夾雑物質を除き、核酸を単離する操作が必要となる。
この核酸の単離法としては、磁性酸化物を含む磁性シリカ粒子を核酸結合性磁性担体として用いる核酸単離方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。しかし、磁性担体と目的とする核酸との結合性が弱く、試料中の夾雑物質による吸着阻害への影響を受け、核酸の回収率が低下する現象が多く見られた。
特開平11−262387号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、生物試料、全血検体、電気泳動後のゲル担持体から核酸を効率よく、単離することが可能であり、さらに核酸単離の自動機械化が可能な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、生物試料から核酸を効率よく回収するために有効な分散体を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、4級アンモニウム基を構成する窒素原子を環の構成原子とする環状4級アンモニウム基(a)を有し、酸化鉄微粒子(P)の表面とSi−O−Fe結合で結合した活性剤(A)であって、該活性剤(A)で被覆された該酸化鉄微粒子(P)からなる核酸結合性磁性担体(C)が、水性分散媒(S)中に分散されてなることを特徴とする核酸結合性磁性担体分散体(L)、及び該核酸結合性磁性担体分散体(L)を用いた核酸単離方法である。
核酸結合性磁性担体は、核酸と結合し複合体を形成させることで、磁力による核酸の迅速な回収を可能とし、かつ核酸との吸着力が強いため、一回の操作で効率的に多くの核酸を回収することが可能である。
本発明の核酸結合性磁性担体(C)は、4級アンモニウム基を構成する窒素原子を環の構成原子とする環状4級アンモニウム基(a)を有し、酸化鉄微粒子(P)の表面とSi−O−Fe結合で結合した活性剤(A)であって、該活性剤(A)で被覆された該酸化鉄微粒子(P)からなることを特徴とする。
磁性担体(C)は、活性剤(A)が環状4級アンモニウム基(a)を有することにより、核酸結合性を有し、かつ、水性分散媒(S)中に分散することができる。
本発明の核酸結合性磁性担体(C)の数平均粒子径は、好ましくは回収性の観点から0.015〜20μm、より好ましくは0.02〜1μmである。
本発明で用いられる酸化鉄微粒子(P)としては、四三酸化鉄(Fe3 4 )および四三酸化鉄を徐々に酸化して得られるr型三二酸化鉄(rFe2 3 )などが用いられる。この四三酸化鉄は残留磁気が小さく、さらに好ましい表面構造 (ほぼ球形) を有するため、磁気分離および再分散のサイクルを反復することが可能である。また、四三酸化鉄を含有する核酸結合性磁性担体は、弱酸性の水溶液中で安定であり、2年以上も貯蔵可能であることから好ましい。
酸化鉄微粒子(P)の数平均粒子径は、好ましくは磁性の観点から0.005〜15μm、より好ましくは0.01〜1μmである。
核酸結合性磁性担体(C)は、酸化鉄微粒子(P)および活性剤(A)からなるが、他に(A)以外の活性剤を含有していてもよい。(C)に含まれる酸化鉄微粒子(P)の重量は、(C)の重量に基づいて磁極の強さにもよるが、10〜99重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%である。この好ましい範囲内では、磁性担体は市販の磁石を使用して迅速に分離できる。
活性剤(A)の重量は、(C)の重量に基づいて、1〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは20〜80重量%である。
他の成分(A)以外の活性剤は、(C)の重量に基づいて、0〜70重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜50重量%である。(A)以外の活性剤は、活性剤(A)と同じく、酸化鉄微粒子(P)の表面に、物理的または化学的な結合により吸着している。
次に、核酸結合性磁性担体分散体の製造方法について説明する。
まず、酸化鉄微粒子(P)のみからなる水性ゾルを調製する。この水性ゾルの調製法は、アルカリ共沈法やイオン交換樹脂法などを例示することができる。アルカリ共沈法では、例えば塩化鉄(III)と塩化鉄(II)とをモル比で1:3〜2:1程度の比率で含む約0.1〜2モルの水溶液と、NaOH,KOH,NH4OH等の塩基とをpHが約7〜12になるように混合し、必要に応じて加熱熟成し、酸化鉄微粒子(P)を得る。精製が必要な場合は、生成した酸化鉄微粒子(P)を分離、水洗した後、水性溶媒に再分散する。酸化鉄微粒子(P)、および活性剤(A)、必要により(A)以外の活性剤を水性分散媒(S)中で混合し、活性剤(A)と酸化鉄表面との反応を行うことで、活性剤(A)に被覆された酸化鉄微粒子を得る。この水性ゾルは、必要に応じて透析、限外ろ過、遠心分離などにより精製または濃縮してもよい。
酸化鉄微粒子(P)表面への活性剤(A)の被覆は、活性剤(A)の酸化鉄微粒子(P)表面への共有結合を利用するものがあげられる。
活性剤(A)は前述の観点から酸化鉄微粒子(P)表面の官能基と反応により共有結合を形成する官能基を分子内に1つ以上含有しているものである。酸化鉄微粒子(P)表面の官能基としては例えば水酸基等が挙げられる。
また、酸化鉄微粒子(P)の表面と反応する官能基として例えばエポキシ基、アミノ基、スルホン基、スルホニル基、ホスホリル基、アルコキシシラン基、カルボキシル基、イソシアネート基などが好ましい。これらの中で、エポキシ基、及びアルコキシシラン基がより好ましく、アルコキシシラン基がさらに好ましい。
活性剤(A)の分子量は、好ましくは50〜5000、さらに好ましくは100〜1000、より好ましくは200〜500である。
酸化鉄微粒子(P)表面への活性剤(A)の被覆は、通常これらを所定比で混合し、好ましくは加熱することにより行われる。酸化鉄微粒子(P)と活性剤(A)との割合は重量比で好ましくは1:0.01〜1:6、さらに好ましくは1:0.1〜1:1である。反応は、室温ないし120℃の温度で10分〜10時間行えばよく、通常は約1時間程度加熱還流すれば十分である。反応液中の核酸結合性磁性担体(C)の濃度は、通常、金属として0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲であるのが適当である。
被覆後、限外ろ過などの公知の手段を用いて、未反応の多糖類や低分子化合物を分離する精製操作を行い、所定の純度および濃度を有する水性ゾルを得る。これに、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトンなどの溶媒を添加し、核酸結合性磁性担体(C)を優先的に沈澱析出させ、これを分離し、ついで折出物を水に再溶解し、流水透析し、必要に応じて減圧濃縮し、上記核酸結合性磁性担体(C)の水性ゾルを得る。ついで、必要に応じて、遠心分離、ろ過、pH調整などを行ってもよい。
酸化鉄微粒子(P)の表面と結合する活性剤(A)は前述のような官能基を持つ分子が望ましいが、なかでもアルコキシシラン基をもつ分子は、水中での反応が容易に進行する、1分子当たりの酸化鉄表面との結合サイト数が多いなどの観点からより好ましい。アルコキシシラン基との反応で、酸化鉄表面と活性剤との間にFe−O−Si結合が形成され、この結合が水中でも比較的安定であるからである。
活性剤(A)は、酸化鉄微粒子(P)の表面との結合部位とともに、媒体中への分散性を向上させるため、活性剤の排除体積効果による影響だけでなく、静電反発の大きい官能基、4級アンモニウム基を構成する窒素原子を環の構成原子とする環状4級アンモニウム基(a)を分子内に有している。具体的には官能基(a)は、例えば、イミダゾリウム基、ピリジニウム基、イミダゾリニウム基、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセニウム−7基または、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネニウム−5基などを例示することができる。特にイミダゾリウム基は代表的な有機系の強塩基であるイミダゾールの塩であり、イミダゾリウム基は水への溶解性も高く、イミダゾリウム基を分子内に導入した活性剤は酸化鉄微粒子(P)の分散安定性を高められる観点から好ましい。
イミダゾリウム基は下記一般式(1)により表される構造であり、一般式(1)において、Rは炭素数1〜15のアルキル基またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が15以下のアルキル基を表わし、Qは炭素数1〜4のアルキル基または水素原子を表わし、Sは前述の酸化鉄微粒子(P)表面へ結合する部位に直接、またはアルキル鎖、ポリエーテル鎖などのスペーサーを介して結合する部位である。
Figure 0005090056
Rの炭素数1〜15のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。Qの炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。エーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が15以下のアルキル基としては、例えば−(CH2)n−(OCH2CH2)mOH(nは4以下の整数、mは7以下の整数)で示される基が挙げられる。
酸化鉄微粒子(P)と共有結合を形成する活性剤(A)の具体例としては以下のものが挙げられる。
(A)の具体例としては、アルコキシシラン基含有イミダゾリウム塩化合物(1−メチル−3−トリメトキシシランヘキシルイミダゾリウムクロライド等)、アルコキシシラン基含有ピリジニウム塩化合物(N−トリメトキシシランヘキシルピリジニウムクロライド等)、エポキシ基含有イミダゾリウム塩化合物(1−メチル−3−ヘキシルオキサイドイミダゾリウムクロライド等)、エポキシ基含有ピリジニウム塩化合物(N−ヘキシルオキサイドピリジニウムクロライド等)、イソシアネート基含有イミダゾリウム塩化合物、イソシアネート基含有ピリジニウム塩化合物、などが挙げられる。
以上活性剤(A)について具体的に例示したが、酸化鉄微粒子と反応させる前に塩であるものだけではなく、酸化鉄微粒子(P)の表面を被覆した後、塩にして例示したような分子になるものも含まれる。つまり塩基性分子の状態で酸化鉄微粒子(P)と核酸結合性磁性担体(C)を形成させた後、4級化剤により4級化させた塩の状態が、先に例示したような化合物であるものも含まれる。
水性分散媒(S)としては水のみ、または水に微量のアルコールを添加したものが挙げられる。
本発明の核酸結合性磁性担体分散体(L)中の核酸結合性磁性担体(C)の濃度(重量%)は、分散体(L)の重量に基づいて、好ましくは0.1〜50、より好ましくは1〜10である。
本発明の核酸結合性磁性担体(C)を含む核酸結合性磁性担体分散体(L)には、核酸自体の溶解性維持のため、また核酸結合性磁性担体(C)の分散安定性維持の目的で緩衝剤を含有させることが好ましい。これは予め核酸結合性磁性担体分散体(L)に含まれていても、また、細胞を溶解した後に緩衝液として添加してもよい。この緩衝剤としては、一般に使用されるものであれば、特に限定されないが、中性付近、すなわち、pH5〜9において緩衝能を有するものが好ましい。例えば、トリス−塩酸塩、四ホウ酸ナトリウム−塩酸、リン酸二水素カリウム−四ホウ酸ナトリウム緩衝液等が挙げられ、その使用濃度としては1〜500mM、pHは7〜9の範囲が好適である。
また、核酸結合性磁性担体分散体(L)には、細胞膜の破壊あるいは細胞中に含まれるタンパク質を変性させる目的で界面活性剤を含有させてもよい。この界面活性剤としては、一般に細胞等からの核酸抽出に使用されるものであれば、特に限定されないが、具体的には、トリトン系界面活性剤およびツイーン系界面活性剤等の非イオン界面活性剤、N−ラウロイルサルコシンナトリウム等の陰イオン界面活性剤が挙げられる。本発明においては、特に非イオン界面活性剤を0.1〜2%の範囲で使用するのが好ましい。
さらに、核酸結合性磁性担体分散体(L)には試料中に含まれるタンパク質、特にリボヌクレアーゼを変性、失活させる目的で、2−メルカプトエタノールあるいはジチオスレイトール等の還元剤を含有させることが好ましい。
本発明では、このような核酸結合性磁性担体分散体(L)を、核酸を含有する試料に添加し、核酸結合性磁性担体−核酸複合体を形成する。本発明の核酸単離方法は、具体的には下記工程を含む。
(a)核酸結合性磁性担体分散体(L)を、核酸を含有する試料と混合して、核酸を核酸結合性磁性担体に結合させる工程(吸着工程)
(b)核酸が結合した核酸結合性磁性担体を液体から分離し、必要により洗浄する工程(分離工程)
および(c)核酸結合性磁性担体−核酸複合体から核酸を溶出する工程(溶出工程)
ここで、核酸を含有する試料とは、全血、血清、血漿、尿、唾液、体液などの動物由来の生物材料、その他、植物、微生物などの動物以外の生物材料を包含する。また、これらの生物から分離した細胞および培養細胞を含む。さらに、部分精製された核酸も包含する。核酸とは、DNAまたはRNAを意味し、DNAとしては、2本鎖DNA、1本鎖DNA、プラスミドDNA、ゲノムDNA、cDNAなどを含む。また、RNAとしては、ウイルス、細菌あるいは真菌等の外来性寄生生物由来のRNAに加えて、これらの生物材料を産する生物に由来する内在性のRNAを含み、t−RNA、m−RNA、r−RNAなどを含む。
本発明の(a)吸着工程では、核酸結合性磁性担体分散体、核酸を含有する試料を混合し、核酸を核酸結合性磁性担体に吸着させる。混合方法は、振動式攪拌機による攪拌、転倒混和、磁気攪拌などがあり、混合時間は約5〜60分間である。これらの物質を混合することにより、試料中の核酸、タンパク質、糖類などが核酸結合性磁性担体に物理的に吸着する。
(b)分離工程における液相と核酸結合性磁性担体との分離手段としては、核酸結合性磁性担体のコアに酸化鉄微粒子(P)を使用することから、磁石等を用いた簡便な磁気分離法が可能である。(b)分離工程では、必要により洗浄を行い、不要なタンパク質、糖類、脂質などを溶離する。洗浄は1回または2回以上行う。
(c)溶出工程は、上記(b)工程における核酸が吸着した核酸結合性磁性担体から該核酸を溶出する工程である。このとき回収した核酸は、透析やエタノール沈殿法等の脱塩、濃縮操作を施すことなく、制限酵素やDNAポリメラーゼ等を使用する酵素反応に直接使用することができる。また、必要により増幅した後、核酸プローブ試薬を使用して目的核酸を検出することもできる。
本発明の核酸単離用試薬キットは、核酸結合性磁性担体分散体(L)、洗浄用緩衝液、核酸を核酸結合性磁性担体(C)から分離する溶離液(X)から構成される。これらに加え専用のエッペンドルフチューブ、マグネットなどの操作に使用する器具などを含んでもよい。溶出液(X)は、拡散結合性磁性担体(C)と結合した核酸を、(C)から分離できるものであれば、特に限定されないが、例えば、水溶性の無機化合物を溶解させた水溶液などが挙げられ、そのような無機化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
実施例
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、特に記載のないかぎり、「部」は「重量部」、%は重量%を意味する。
酸化鉄微粒子(P−1)の製造方法
酸化鉄(II)4水和物0.398gと酸化鉄(III)6水和物1.081gを150mlの蒸留水中に溶解させ、メカニカルスターラーで攪拌した。完全に溶解したところで、激しく攪拌(およそ1000rpm)しながら15mlの30%アンモニア水溶液を一気に加えた。攪拌スピードをやや緩めたのち、大気下40℃で30分攪拌した。攪拌を止めた後、生じた粒子を磁石で集めて上澄みを除去し、20mlの蒸留水で2回、20mlのエタノールで2回洗浄した。数平均粒子径は12.5nmであった。
活性剤(A−1)の製造方法
雰囲気下で以下の操作を行った。
1−メチルイミダゾールを60.4mmolと3−クロロプロピルトリメトキシシラン54.9mmolを混合し、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、53.1mmolの1−メチル−3−(3−トリメトキシシリル)プロピルイミダゾリウムクロライド(A−1)を得た。(A−1)は下記化学式(2)で示される。
Figure 0005090056
Figure 0005090056
活性剤(A−3)の製造方法
ピリジン(60.4mmol)と3−クロロプロピルトリメトキシシラン(54.9mmol)を混合し、90℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、53.1mmolの下記分子式(4)で示されるN−トリメトキシシランプロピルピリジニウムクロライド(A−3)を得た。
Figure 0005090056
活性剤(A−4)の製造方法
1−メチルイミダゾールを60.4mmolとエピクロロヒドリンを54.9mmolを混合し、50℃で72時間反応させた。酢酸エチルで数回洗浄した後、酢酸エチルを減圧で除去し、53.1mmolの下記分子式(5)で示される1−メチル−3−グリシジルイミダゾリウムクロライド(A−4)を得た。
Figure 0005090056
(活性剤(A−5’)の製造方法)
活性剤(A−5’)として、3−アミノプロピルトリメトキシシラン (ワコーケミカル品)を、そのまま使用した。(A−5’)は下記化学式(6)で示される。
Figure 0005090056
実施例1
作成した酸化鉄ナノ粒子(P−1)300mgを、エタノール150ml中に蒸留水1mlを加えた混合液に加え、メカニカルスターラーで攪拌した。その中に10mlの脱水エタノールに溶解させた(A−1)を加え、70℃で6時間攪拌した。スターラーを止めた後、溶液を室温に戻し、濃茶〜黒色の粒子を磁石で集め、上澄みを除去した。粒子は20mlのメタノールで5回洗浄した後室温、減圧下で乾燥させることで、核酸結合性磁性担体(C−1)を得た。速やかに(L−1)中の(C−1)の濃度が5重量%となるように蒸留水に分散させ、核酸結合性磁性担体分散体(L−1)を得た。(C−1)の数平均粒子径は21.0nmであった。
実施例2
核酸結合性磁性担体分散体(L−1)1mlに2mlの0.5M ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドカリウム水溶液を加え、超音波槽で分散させた。粒子を磁石で集めて上澄みを除去し、蒸留水2mlで6回洗浄し、速やかに5重量%となるように蒸留水に分散させ、減圧下で乾燥させた。これにより、核酸結合性磁性担体(C−1)のアニオン交換が起こり、上記化学式(3)で示される活性剤(A−2)が表面に吸着した核酸結合性磁性担体(C−2)を得た。速やかに(L−2)中の(C−2)の濃度が5重量%となるように蒸留水に分散させ、核酸結合性磁性担体分散体(L−2)を得た。(C−2)の数平均粒子径は28.5nmであった。
実施例3
作製した酸化鉄ナノ粒子(P)300mgを、エタノール150ml中に蒸留水1mlを加えた混合液に加え、メカニカルスターラーで攪拌した。その中に10mlの脱水エタノールに溶解させた(A−3)を加え、70℃で6時間攪拌した。スターラーを止めた後、溶液を室温に戻し、濃茶〜黒色の粒子を磁石で集め、上澄みを除去した。粒子は20mlのメタノールで5回洗浄した後室温、減圧下で乾燥させることで、核酸結合性磁性担体(C−3)を得た。速やかに(L−3)中の(C−3)の濃度が5重量%となるように蒸留水に分散させ、核酸結合性磁性担体分散体(L−3)を得た。(C−3)の数平均粒子径は20.0nmであった。
実施例4
作製した酸化鉄ナノ粒子(P)300mgを、エタノール150ml中に蒸留水1mlを加えた混合液に加え、メカニカルスターラーで攪拌した。その中に10mlの脱水エタノールに溶解させた(A−4)を加え、70℃で6時間攪拌した。スターラーを止めた後、溶液を室温に戻し、濃茶〜黒色の粒子を磁石で集め、上澄みを除去した。粒子は20mlのメタノールで5回洗浄した後室温、減圧下で乾燥させることで、核酸結合性磁性担体(C−4)を得た。速やかに(L−4)中の(C−4)の濃度が5重量%となるように蒸留水に分散させ、核酸結合性磁性担体分散体(L−4)を得た。(C−4)の数平均粒子径は18.5nmであった。
比較例1
活性剤(A−1)200mgの代わりに活性剤(A−5’)200mgを使用した以外は、実施例1と同様にして比較の核酸結合性磁性担体分散体(L−1’)を得た。(C−1’)の数平均粒子径は15nmであった。
比較例2
100gの硫酸第一鉄 (FeSO・7HO)を1000ccの純水に溶解した。この硫酸第一鉄 と等倍モルになるように、28.8gの水酸化 ナトリウムを500ccの純水に溶解して、硫酸第一鉄 水溶液を調製した。次に、上記硫酸第一鉄 水溶液を攪拌しながら、1時間かけて水酸化 ナトリウム水溶液を滴下し、水酸化 第一鉄 の沈殿物を生成させた。滴下終了後、攪拌しながら、水酸化第一鉄 の沈殿物を含む懸濁液の温度を85℃まで昇温した。懸濁液の温度が85℃に達した後、200L/hrの速度で、エアーポンプを使用して空気を吹き込みながら、8時間酸化 して、酸化鉄微粒子を生成させた。さらに、酸化鉄微粒子懸濁液を、純水を用いて十分に水洗した後、乾燥させることなくこの懸濁液の全重量が468gになるように純水を加えた。この分散液に、70gのケイ酸ナトリウムを溶解した。ケイ酸ナトリウム溶解酸化鉄微粒子分散液とは別に、界面活性剤として22.5gのソルビタンモノラウレートを溶解した1500ccのヘキサン溶液を、上記懸濁液へ投入して混合液とした。この混合液をホモミキサ(特殊機化工業社製)を使用して、10分間攪拌分散し、エマルジョン分散液を作製した。次に、1000gの硫酸アンモニウムを4500ccの純水に溶解した。この硫酸アンモニウム溶解液を攪拌しながら、上記エマルジョン分散液を、約1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌することで中和反応を行った。この硫酸アンモニウムによる中和反応により、シリカに表面を被覆された比較の核酸結合性磁性担体(C−2’)を得た。速やかに(L−2’)中の(C−2’)の濃度が5重量%となるように蒸留水に分散させ、比較の核酸結合性磁性担体分散体(L−2’)を得た。(C−2’)の数平均粒子径は120μmであった。
数平均粒子径の測定
透過型電子顕微鏡(日立製作所、H−7100)で観察を行い100個の粒子の粒子径を測定した結果から計算により算出した。測定サンプルはコロジオン膜処理した銅メッシュ上に、酸化鉄微粒子(P)または核酸結合性磁性担体(C)を含有する分散液をスポイトで一滴垂らし、そのまま風乾することで調製した。
実施例1〜4の核酸結合性磁性担体分散体(L−1)〜(L−4)、比較例1〜2の核酸結合性磁性担体分散体(L−1’)および(L−2’)について、以下の評価方法で核酸結合性磁性担体としての評価を行った。
<DNAの回収性能の評価>
(1)回収速度
DNA(pBR322, 2.84×106 Da)の1 mg / ml TE8溶液を、0.05mlを、核酸結合性磁性担体分散体(L−1)〜(L−4)、及び(L−1‘)、(L−2‘)それぞれと混合後、ネオジム磁石により、核酸結合性磁性担体が沈殿し、上澄み液が透明になる時間を計測した結果、(L−1)〜(L−4)、及び(L−1‘)、(L−2‘)いずれも、1分以内で沈降し、回収することができた。
(2)回収効率
DNA(pBR322, 2.84×106 Da)の1 mg / ml TE8溶液を、0.05ml / ml となるように蒸留水で希釈した溶液100μlに5 mg / ml の核酸結合性磁性担体分散体(L−1)〜(L−4)、及び(L−1‘)、(L−2‘)を30, 20, 10, 5 μl づつ加え、蒸留水ですべてを同じ量にした後に攪拌した。攪拌後すぐに核酸結合性磁性担体(C)を磁石で回収し、上澄み液のアガロースゲル電気泳動を行った。
核酸結合性磁性担体(C)回収後の上澄み液でアガロースゲル電気泳動を行い、上澄み液中に残存したDNAの量の相対量を画像分析により比較した。電気泳動後のゲルをエチジウムブロマイドで染色し、紫外線ランプを照射することで、DNAを可視化した。可視化した映像を取り込み、DNAのないブランク部分と、DNAがいる蛍光部分を、下記式で表されるコントラスト比で評価した。結果を表1に記載した。
コントラスト比=蛍光部分明度/ブランク部分明度
コントラスト比が1に近いほど、上澄み液中のDNAの量が少ない。
Figure 0005090056
以上の結果から本発明の核酸結合性磁性担体は、核酸の1種であるDNAと結合し複合体を形成させることで、磁力によるDNAの迅速な回収を可能とし、かつDNAとの吸着力が強いため、一回の操作で効率的に多くのDNAを回収することが可能である。
本発明の核酸結合性磁性担体は、生物試料、全血検体、電気泳動後のゲル担持体から核酸を効率よく、単離することが可能であり、磁力で回収が可能であることから、核酸単離の自動機械化への応用により生化学、遺伝子工学などの分野での研究効率の向上が期待できる。
核酸結合性磁性担体(C)回収後の上澄み液でアガロースゲル電気泳動を行ったところ。(一例)

Claims (6)

  1. 4級アンモニウム基を構成する窒素原子を環の構成原子とする環状4級アンモニウム基(a)を有し、酸化鉄微粒子(P)の表面と共有結合(c)で結合した活性剤(A)を有する核酸結合性磁性担体分散体(L)であって、該活性剤(A)で被覆された該酸化鉄微粒子(P)からなる核酸結合性磁性担体(C)が、水性分散媒(S)中に分散されてなることを特徴とする核酸結合性磁性担体分散体(L)。
  2. 共有結合(c)がSi−O−Fe結合である請求項1に記載の核酸結合性磁性担体分散体(L)。
  3. 環状4級アンモニウム基(a)が、イミダゾリウム基である請求項1または2に記載の核酸結合性磁性担体分散体(L)。
  4. 酸化鉄微粒子(P)が0.005〜15μmの数平均粒子径を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸結合性磁性担体分散体(L)。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載される核酸結合性磁性担体分散体(L)、洗浄用緩衝液、および核酸を核酸結合性磁性担体(C)から分離する溶離液を含む核酸単離用試薬キット。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載される核酸結合性磁性担体分散体(L)を、核酸を含有する試料と混合し、該混合物から核酸と核酸結合性磁性担体(C)の複合体を磁力により回収する工程を含む核酸単離方法。
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