JP5087046B2 - 固体高分子型燃料電池スタック - Google Patents
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Description
また、セパレータ32には、反応ガスを各単位電池に供給するための供給マニホールド35aと呼ばれる貫通孔、各単位電池から排出するための排出マニホールド35bと呼ばれる貫通孔、およびそれらのマニホールド35a,35bを結ぶ多数の燃料ガス流路36aおよび酸化剤ガス流路36bが形成されている。このようなセパレータ32のマニホールド35a,35bおよびガス流路36a,36bは、前述した固体高分子膜28のマニホールド31と共に、燃料極29aおよび酸化剤極29bに電池反応に必要な燃料ガスおよび酸化剤ガスを供給するガス流路を形成している。
このように構成されたスタック37には、積層された全ての単位電池34において、積層方向の反応ガス配流や温度・湿度等の様々な条件を限りなく均等にすることが要求される。
また、セパレータ32の両面にそれぞれパッキン33が設けられる場合、通常は、隣り合うセパレータ32間にあるパッキン33同士の少なくとも一部が直接重なり合うか、または固体高分子膜28を介して重なり合い、それらの重なった2つのパッキンの弾性力でシールされる。
また、ガス流路36a,36b上をまたがるように位置するシール部分に関しては、パッキン33が燃料極29a側もしくは酸化剤極29b側のどちらか片方しか存在しないために、片方のパッキン33の弾性力のみでシール性が要求される。
まず、従来のシート状パッキンでは、例えば、フッ素ゴムシートパッキンを用いた場合、パッキン1枚当りの潰れ代が十分に取れないために、構成部品の厚さのバラツキを十分に吸収しきれずに、結果としてシール不良を招くといった問題があった。
そしてまた、図14に示すように、独立気泡を有するゴムシートパッキンを用いた場合には、パッキン1枚当りの潰れ代は十分に取れるが、応力緩和もしくは圧縮永久歪が大きいために、スタックを締め付けて発電を開始した際に短時間でシール不良を招くといった問題があった。
さらに、パッキンの断面形状や材料がセパレータの両面で異なる場合、もしくは隣り合うセパレータの対向面のパッキンを共有化して単位電池に対し1枚のパッキンしか用いない場合には、セパレータ内のガス流路の上をまたがるように位置するシール部分において、セパレータ両面の少なくともどちらか一方でパッキンの弾性力不足によりシール不良を招く危険性もあった。
加えて、従来ではパッキンの製造や積層作業に時間を要するために、結果的にコストアップにつながっていた。
図1および図2は、本発明による実施例1に係る固体高分子型燃料電池スタックの構成を示す断面図である。また、図3は、スタックを構成するパッキンを示す平面図であり、図4は、隣り合う一対のパッキンを示す拡大断面図である。さらに、図5は、スタックを構成するセパレータを示す平面図である。ここで、図1は、図3および図5のA−A線断面に対応する断面図であり、図2は、図3および図5のB−B線断面に対応する断面図である。
これに対して、例えば、図3および図5のA−A線部分に対応する図1に示すように、積層時に何れかのガス流路4a,4bの上をまたがるように位置するシール部分においては、そのシール部分は片方のパッキン10の弾性力のみでシールされることになる。本実施例においては、そのようなガス流路4a,4b上をまたがるように位置するシール部分に、補強板9aが配置されている。
また、例えば膜電極複合体9の外周のように、パッキン10同士の間に固体高分子膜7が介在する個所もある。
以上のような構成を有する本実施例においては、次のような作用が得られる。
まず、図6に示すように、パッキン10の断面凸状部である等脚台形においては、パッキン10の側面積が増大するので、パッキンの逃げ代が十分に確保でき、所定の位置までの締付においてパッキンの反力による荷重の激増を防止できる。その結果、十分なシール性が得られ、また、セパレータ6やガス拡散電極8a,8b等のスタック構成部品の破損を生じることがなくなる。
また、本実施例においては、図1に示すように、ガス流路4a、4b上をまたがるシール部分に補強板9aが配置されているため、この部分のシール性をさらに補強することができる。
したがって、本実施例によれば、スタックのすべての単位電池11において、スタック構成部品の破損や短絡等を生じることなく、構成部品の厚さのバラツキを十分に吸収可能で、十分なシール性を有するパッキン構造を実現できるため、安定した発電が可能となる。しかも、本実施例に係るスタックは、安価に製造可能である。
図7〜図9は、本発明による実施例2に係る固体高分子型燃料電池スタックのパッキンを示す図であり、図7および図8は、燃料極側と酸化剤極側にそれぞれ配置されるパッキンを示す平面図であり、図9は、隣り合う燃料極側と酸化剤極側の一対のパッキンを示す拡大断面図である。なお、本実施例は、前述した実施例1に係るスタックのうち、パッキンのみを変更したものであり、パッキン以外の部分は実施例1と同様であるため、以下には、スタック構造の説明を省略し、パッキンの特徴について説明する。
また、図8に示している酸化剤極側のパッキン13bは、図7に示す燃料極側のパッキン13bと材料、形状、製造方法は同じであるが、ポリエーテルイミドフィルム14だけを除去した点が異なるものである。
また、例えば膜電極複合体9の外周のように、パッキン13a,13b同士の間に固体高分子膜7が介在する個所もある。
以上のような構成を有する本実施例においては、前述した実施例1と同様の作用が得られることに加えて、さらに、次のような作用が得られる。
まず、燃料極側のパッキン13aが有するポリエーテルイミドフィルム14により、隣り合うセパレータ6同士が絶縁され、パッキン13a,13bの形状も維持されやすい。また、パッキン13a,13bは、若干内側に湾曲したテーパ面を有しているため、実施例1におけるパッキン10に比べて、パッキン13a,13bの側面に相当する自由面積がさらに大きく、より潰れやすい形状となっており、十分な逃げ代を確保できる。
したがって、本実施例においても、前述した実施例1と同様の効果が得られる。
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例が実施可能である。例えば、パッキンの具体的な材質や断面形状、パッキンを配置するための有底溝の断面形状、セパレータの材質や具体的な形状等は、適宜選択可能である。また、本発明は、パッキンの構成およびその配置に特徴を有するものであるため、それ以外の構成については、何ら限定されるものではなく、膜電極複合体とセパレータおよびパッキンとを交互に積層してなる固体高分子型燃料電池スタック一般に広く適用可能であり、同様に優れた効果が得られるものである。
2,16…酸化剤ガスマニホールド
3,17…冷却水マニホールド
4a,4b,18a,18b…ガス流路
5…有底溝
6…セパレータ
7,21…固体高分子膜
8a,22a…燃料極
8b,22b…酸化剤極
9,23…膜電極複合体
9a,23a…補強板
10,13a,13b,19,26…パッキン
11,24…単位電池
12…ラバー層
14…ポリエーテルイミドフィルム(エンプラフィルム)
20,25…(パッキン一体型)セパレータ
27…シリコン層
Claims (2)
- 高分子膜をガス拡散電極で挟持した膜電極複合体の両側に、反応ガスを前記ガス拡散電極にそれぞれ供給するためのガス流路を少なくとも片面に設けたセパレータと、反応ガスおよび水分をシールするためのパッキンが配置されるようにして、膜電極複合体とセパレータおよびパッキンとを交互に積層してなる固体高分子型燃料電池スタックにおいて、
積層状態において対向する一対のセパレータのそれぞれは、各セパレータの対向面に積層されるパッキンを備え、
前記パッキンは、断面略台形状の凸状部を有し、その略台形状の細くなった部分が前記セパレータと接触するパッキンの基部であると共に、略台形状の広くなった部分が他のパッキンと対向するパッキンの先端部であって、このパッキンの先端部に設けられた他のパッキンとの対向面がスタックの積層方向に対して直角平面に形成され、
前記対向する一対のセパレータのそれぞれには、他のセパレータとの対向面に前記パッキンの基部を装着する有底溝が設けられ、この有底溝内に前記パッキンの基部である断面略台形状の凸状部の細くなった部分が、パッキンの側面と有底溝の側面との間にパッキンの膨張用の空間を保って配置され、
これら各セパレータの対向面に積層されたパッキン同士を介して対向する一対のセパレータが積層され、対向するセパレータのパッキン同士がその先端同士を直接又は前記高分子膜を介して接触した状態において、セパレータの有底溝内に配置された断面略台形状の凸状部が前記有底溝内において圧縮変形されることを特徴とする固体高分子型燃料電池スタック。 - 隣り合う前記セパレータの対向面にそれぞれ接する前記パッキンの前記断面凸状部の断面形状およびパッキン材料は同一であり、
前記セパレータの両面にそれぞれ設けられた前記有底溝の断面形状は同一であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池スタック。
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