手段1.少なくとも第1図柄列及び第2図柄列を表示するための表示装置と、遊技者の操作に応じて変化する遊技状況を検出する遊技状況検出手段と、前記遊技状況検出手段の検出結果に応じて抽選を行う抽選手段と、前記抽選手段の抽選結果に基づき、少なくとも前記両図柄列を前記表示装置に変動表示させる変動表示実行手段と、前記変動表示実行手段による前記両図柄列の変動表示を、互いに同一の図柄で同時に停止させる変動表示停止手段と、前記変動表示停止手段による変動停止に応じてリーチ遊技状態を発生させるリーチ遊技状態発生手段とを備える遊技機において、前記変動表示実行手段は、前記変動表示停止手段による変動停止に先立つ所定期間に、前記第1図柄列及び前記第2図柄列を互いに異なる速度で変動表示させるものであることを特徴とする遊技機。
前記手段1によると、遊技機では、遊技者の操作に応じて変化する遊技状況が遊技状況検出手段によって検出される。所定の遊技状況が検出されると、抽選手段によって抽選が行われる。所定の抽選結果(例えば当り)であると、変動表示実行手段により、少なくとも第1図柄列及び第2図柄列が表示装置で変動表示される。変動表示実行手段による変動表示期間のうちの一部(所定期間)には、第1図柄列及び第2図柄列が互いに異なる速度で変動される。この所定期間の両図柄列の変動パターンは、両図柄列が同期して、すなわち、同一速度かつ同一図柄で変動すれば、その変動が必ず同時に同一図柄で停止されてリーチ遊技状態が発生するタイプ(従来技術に相当)の遊技機では見られない変動パターンである。そして、両図柄列は、前記所定期間の経過後に変動表示停止手段により、互いに同一の図柄で同時に停止される。引続き、リーチ遊技状態発生手段によりリーチ遊技状態が発生される。
このように、変動停止に先立つ所定期間には、両図柄列が異なる速度で変動する。そのため、前述した従来タイプの遊技機に慣れ親しんだ遊技者にしてみれば、少なくとも前記所定期間に、両図柄列の変動が同一図柄で同時に停止するであろうことを予測することが困難である。別の表現をすると、この予測は、前記所定期間が経過するまで、すなわち、両図柄列が変動を停止する直前まで困難である。また、慣れ親しんだ遊技機とは異なるパターンで両図柄列が変動されるにもかかわらず、同じ結果となる(同一図柄で同時に変動を停止する)。新たな変動パターンが加わることで、遊技の面白みが増す。
手段2.前記手段1において、前記変動表示実行手段による前記所定期間での一方の図柄列の変動速度は、図柄の識別容易な速度に設定され、他方の図柄列の変動速度は、前記一方の図柄列の変動速度よりも、図柄の識別困難な速度に設定されていることを特徴とする遊技機。
前記手段2によると、所定期間には、第1図柄列及び第2図柄列の一方は、図柄の識別容易な速度で変動表示され、他方は、前記一方の図柄列よりも図柄の識別困難な速度で変動表示される。この識別のしやすさの違いから、遊技者は、従来タイプの遊技機とは異なる新規なパターンで両図柄列が変動している印象を受ける。
手段3.前記手段1又は2において、前記変動表示実行手段による前記所定期間の終期は、前記変動表示停止手段による変動停止時の直前に設定されており、同変動表示実行段は、前記所定期間の経過後に前記第1図柄列及び前記第2図柄列を同一速度で変動表示させるものであることを特徴とする遊技機。
前記手段3によると、前記所定期間が経過すると、それまで互いに異なる速度で変動表示されていた第1図柄列及び第2図柄列が、一時的(瞬間的)に同一速度で変動表示される。この同一速度での変動表示が行われるのは、変動停止の直前である。この時点で、両図柄列の変動が同時に同一図柄で停止されてリーチ遊技状態が発生するであろうことが推測可能となる。
手段4.前記手段3において、前記同一速度は、前記所定期間での前記第1図柄列及び前記第2図柄列のいずれか一方の変動速度と同じに設定されていることを特徴とする遊技機。
前記手段4によると、前記所定期間の経過後、第1図柄列及び第2図柄列のいずれか一方は、前記所定期間と同じ速度で変動表示され続け、他方のみが前記一方の図柄列と同じ速度に切替えられる。
手段5.前記手段3又は4において、前記同一速度は、前記図柄の識別容易な速度に設定されていることを特徴とする遊技機。
前記手段5によると、所定期間が経過すると、第1図柄列及び第2図柄列は、図柄の識別容易な速度(低速)で変動表示され、その直後に停止される。従って、所定期間経過後の図柄を見ることで、変動停止時に表示される図柄(停止図柄)を予測可能である。
手段6.前記手段1〜5のいずれか1つにおいて、前記変動表示実行手段は、前記所定期間中、前記第1図柄列及び前記第2図柄列をそれぞれ単一の速度で変動表示させるものであることを特徴とする遊技機。
前記手段6によると、所定期間中には、第1図柄列は所定の速度で変動表示され続ける。また、第2図柄列は、前記第1図柄列とは異なる速度で変動表示され続ける。いずれの図柄列の変動速度も前記所定期間の途中で切替えられることはない。
手段7.前記手段1〜6のいずれか1つにおいて、前記変動表示実行手段による変動表示期間は、両図柄列が図柄の識別困難な速度で、かつ互いに異なる図柄で変動する高速変動期間を含んでおり、前記所定期間は、この高速変動期間の経過後に設定されていることを特徴とする遊技機。
前記手段7によると、変動表示期間の一部を構成する高速変動期間では、第1図柄列及び第2図柄列がともに、図柄の識別困難なほど高速で、かつ互いに異なる図柄で、すなわち同期せずに変動する。従って、この高速変動期間に、両図柄列がやがて同一の図柄で停止するかどうかを推定することは困難である。そして、高速変動期間が過ぎると、前記所定期間となり、それまで同じ速度(高速)で変動表示されていた両図柄列が互いに異なる速度で変動表示される。
手段8.前記手段7において、前記高速変動期間は、前記変動表示期間の少なくとも初期に設定されていることを特徴とする遊技機。
前記手段8によると、抽選手段の抽選結果が所定条件を満たしていると、所定の変動表示期間にわたり、少なくとも第1図柄列及び第2図柄列が表示装置で変動表示される。この変動表示期間の少なくとも初期が高速変動期間となっていることから、変動表示の開始と略同時に、両図柄列が図柄の識別困難な速度(高速)で非同期で表示される。
手段9.前記手段7又は8において、前記高速変動期間及び前記所定期間は連続していることを特徴とする遊技機。
前記手段9によると、高速変動期間の終了と同時に所定期間になる。両期間の間には、同一図柄での停止を予測し得るような期間、例えば、両図柄列が図柄の識別容易な同一速度(低速)で変動する期間はない。このため、高速変動期間の開始から、所定期間の終期までに、両図柄列が同一の図柄で停止するであろうことを推測することは困難である。
手段10.前記手段9において、前記所定期間における前記両図柄列の変動速度の少なくとも一方は、前記高速変動期間における変動速度とは異なる値に設定されていることを特徴とする遊技機。
前記手段10によると、高速変動期間から所定期間へ移行する際、第1図柄列及び第2図柄列の少なくとも一方の変動速度は、図柄の識別困難な速度から、それとは異なる速度に切替えられる。この切替えにより、高速変動期間から所定期間への移行がわかる。
手段11.少なくとも第1図柄列及び第2図柄列を表示するための表示装置と、遊技者の操作に応じて変化する遊技状況を検出する遊技状況検出手段と、前記遊技状況検出手段の検出結果に応じて抽選を行う抽選手段と、前記抽選手段の抽選結果に基づき、少なくとも前記両図柄列を非同期で、かつ図柄の識別困難な速度で、前記表示装置にて変動表示させる高速変動表示実行手段と、前記高速変動表示実行手段による高速変動表示の後に、前記両図柄列の変動速度を低下させる減速変動表示実行手段と、前記減速変動表示実行手段により減速された前記両図柄列の変動表示を、互いに同一の図柄で同時に停止させる変動表示停止手段と、前記変動表示停止手段による変動停止に応じてリーチ遊技状態を発生させるリーチ遊技状態発生手段とを備える遊技機において、前記減速変動表示実行手段は、前記第1図柄列及び前記第2図柄列の各変動速度を、互いに異なる減速パターンで低下させるものであることを特徴とする遊技機。
前記手段11によると、遊技状況検出手段によって所定の遊技状況が検出されると、抽選手段によって抽選が行われる。所定の抽選結果(例えば当り)であると、高速変動表示実行手段により、少なくとも第1図柄列及び第2図柄列が表示装置で変動表示される。変動速度は図柄の識別困難なほど高速であり、しかも表示される図柄は図柄列間で異なっている。従って、この高速変動表示の期間(高速変動期間)に、両図柄列がやがて同一の図柄で停止するかどうかを推定することは困難である。
前記高速変動期間に引続き、両図柄列の変動速度が減速変動表示実行手段によって、互いに異なる減速パターンで低下される。この減速変動表示の期間(減速変動期間)における両図柄列の減速パターンは、両図柄列が同期して変動し始めれば、その変動が必ず同時に同一図柄で停止されてリーチ遊技状態が発生するタイプ(両図柄列が同じ減速パターンで減速する従来技術に相当)の遊技機では見られない変動パターンである。そして、変動速度が低下された両図柄列は、変動表示停止手段により、互いに同一の図柄で同時に停止される。引続き、リーチ遊技状態発生手段によりリーチ遊技状態が発生される。
このように、両図柄列は非同期で高速変動し、その後に異なる減速パターンで減速する。そのため、前述した従来タイプの遊技機に慣れ親しんだ遊技者にしてみれば、少なくとも前記高速変動期間及び減速変動期間に、両図柄列の変動が同一図柄で同時に停止するであろうことを予測することが困難である。別の表現をすると、この予測は、減速変動期間の終期、すなわち、両図柄列が図柄の識別容易な速度で変動するまで(変動を停止する直前まで)困難である。また、慣れ親しんだ遊技機とは異なるパターンで両図柄列が変動されるにもかかわらず、同じ結果となる(同一図柄で同時に変動を停止する)。新たな変動パターンが加わることで、遊技の面白みが増す。
手段12.前記手段11において、前記減速変動表示実行手段による前記両図柄列の変動速度として、前記高速変動表示実行手段による速度と、前記変動表示停止手段による停止との間の中間速度が複数種類設定されており、前記減速変動表示実行手段は、前記両図柄列の変動速度を、少なくとも1つの前記中間速度を経て段階的に減速させるものであることを特徴とする遊技機。
前記手段12によると、減速変動表示実行手段による減速変動表示に際しては両図柄列の変動速度は高速から段階的に低下してゆき、最終的に同時に零となる。
手段13.前記手段12において、前記減速変動表示実行手段は、前記両図柄列の減速パターンに関し、経由する中間速度の数を異ならせることを特徴とする遊技機。
前記手段13によると、減速変動表示実行手段による減速変動表示に際しては、第1図柄列と第2図柄列とでは経由する中間速度の数が異なることから、その減速変動期間の少なくとも一部において、両図柄列が互いに異なる中間速度で変動表示される。この異種中間速度での表示期間が高速変動期間に続いていれば、同表示期間が経過するまでは、両図柄列の変動が同一図柄で同時に停止するであろうことを予測することが困難である。
手段14.前記手段13において、前記両減速パターンの少なくとも初期の中間速度は、前記第1図柄列と前記第2図柄列とで互いに異なる値に設定されていることを特徴とする遊技機。
前記手段14によると、減速変動期間の少なくとも初期には、第1図柄列及び第2図柄列が互いに異なる中間速度で変動表示される。このため、前記異種中間速度での変動期間中には、両図柄列の変動が同一図柄で同時に停止するであろうことを予測することが困難である。
手段15.前記手段14において、前記減速パターンの終期直前の中間速度は、前記第1図柄列と前記第2図柄列とで同一の値に設定されていることを特徴とする遊技機。
前記手段15によると、減速パターンの終期直前になると、第1図柄列及び第2図柄列が互いに同じ中間速度で変動表示される。この時点になって、両図柄列の変動が同一図柄で同時に停止するであろうことが予測可能となる。
手段16.前記手段12において、一方の図柄列の減速パターンは、最も低い中間速度で図柄を変動表示させる期間を、減速変動期間の少なくとも後半部に有し、他方の図柄列の減速パターンは前記中間速度での変動表示期間を前記減速変動期間の終期直前にのみ有することを特徴とする遊技機。
前記手段16によると、第1図柄列の減速パターンにも第2図柄列の減速パターンにも、最も低い中間速度で変動表示される期間がある。しかし、両図柄列がともにこの期間になるのは、減速変動期間の終期直前である。従って、この終期直前までは、両図柄列の変動が同一図柄で同時に停止するであろうことが予測困難である。
手段17.前記手段12において、少なくとも一方の図柄列における減速パターンは複数の中間速度を経るものであり、各中間速度での変動表示期間は、略均等の長さに設定されていることを特徴とする遊技機。
前記手段17によると、減速変動表示実行手段による減速変動表示に際しては、少なくとも一方の図柄列は、一定の期間にわたり所定の中間速度で変動表示される。続いて、前記図柄列は、前記よりも低速の中間速度で、前記と略同じ期間にわたり変動表示される。このように、変動表示期間が中間速度毎に略均等の長さなので、変動速度が徐々に低下してゆくように見える。
以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した一実施形態を、図面に従って説明する。図1に示すように、パチンコ遊技機の遊技盤1には、誘導レール2によって遊技領域3が区画形成されている。誘導レール2は、遊技者の発射ハンドルの操作に対応して、発射装置(図示略)から発射された遊技媒体としての遊技球4を、遊技領域3の上部に導くためのものである。遊技領域3には、普通入賞口5、始動口6、特別図柄表示装置(以下単に「表示装置」という)7、及び変動入賞装置としての大入賞口8がそれぞれ設けられている。普通入賞口5、始動口6及び大入賞口8は、遊技盤1の裏側の払出し装置(図示略)に接続されている。払出し装置は、遊技球4の入賞口5,6,8への入賞にともない所定数の賞球を払出す払出しモータ9(図2参照)を備えている。
始動口6は、遊技球4の通路(図示略)と、その通路の入口を狭めたり拡げたりするための羽根6aとを備えている。表示装置7は液晶ディスプレイ(LCD)を備え、始動口6の上方に組付けられている。表示装置7としては、LCDに代えて、CRT、ドットマトリックス、発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネセンス(EL)、蛍光表示管等が用いられてもよい。
表示装置7の画面には多種類の画像が表示されるが、その一部として、少なくとも第1図柄列及び第2図柄列を含む複数の図柄列がある。両図柄列は、後述するリーチ遊技状態の発生に関与する図柄列である。複数の図柄列としては、例えば、互いに左右方向に配列された左図柄列11、中図柄列12及び右図柄列13が挙げられるが、それ以外の数(4列以上)の図柄列が表示されてもよい。ここで、左図柄列11が前記第1図柄列に相当し、右図柄列13が前記第2図柄列に相当する。また、複数の図柄列は、左右方向以外の方向、例えば上下方向に配列されたものであってもよい。各図柄列11〜13は、複数種類の図柄14からなる。これらの図柄14としては、数字、キャラクタのほか、それらを組合せたもの等がある。キャラクタは、人物、動物、文字、図形、記号等からなる。各図柄列11〜13において同時に表示される図柄14の数は、1つであっても複数であってもよい。1つの図柄列につき1つの図柄14が有効表示される場合は、大当りラインの数が1つであり、通常、1ラインと呼ばれている。
表示装置7では、各図柄列11〜13での図柄14の変動が、遊技球4の始動口6への入賞に基づき一斉に開始される。変動は、所定の停止順、例えば左図柄列11、右図柄列13、中図柄列12の順に停止される。全図柄列11〜13の変動が停止したとき、表示されている図柄(変動停止画像、以下「停止図柄」という)の組合せが、予め定められた大当りの組合せ(特定表示結果、以下「大当りの組合せ」という)、すなわち、同一種類の停止図柄が大当りラインに沿って並んでいるときの同停止図柄の組合せ(例えば、777)、となる場合がある。大当りの組合せが成立すると特別電動役物が作動し、遊技者にとって有利な特別遊技状態としての大当り遊技状態の到来、すなわち、より多くの賞球を獲得することが可能となる。なお、上記のように、表示装置7における図柄14の変動停止態様を必須要件として「大当り遊技状態の発生」の有無を決定することを、「抽選」ともいう。
さらに、パチンコ遊技機は、大当り遊技状態に先立ちリーチ遊技状態となる。ここで、リーチ遊技状態とは大当り遊技状態の直前の状態をいう。その一態様として、右図柄列13の変動が、大当りライン上において左図柄列11での停止図柄と同一種類の図柄14で停止し、かつ、その後に中図柄列12の変動が左右両図柄列11,13での停止図柄と同一種類の図柄14で停止すれば最終的に大当りの組合せとなる状態が、リーチ遊技状態に含まれる。また、変動が停止されると、大当りの組合せとなる態様で一体的に変動し、その図柄14で停止すれば最終的に大当り遊技状態となる場合において、その変動中の状態もリーチ遊技状態に含まれる。これは、通常、全回転(全図柄)リーチと呼ばれているものである。
リーチ遊技状態では、例えばαリーチ演出及びβリーチ演出のいずれかが表示装置7で表示される。各リーチ演出に際しては、前述した各図柄列11〜13の変動に加え、予め定められたリーチパターンに従ってキャラクタがリーチ動作(リーチアクションともいう)を行う様子が表示される。これらのリーチ演出では、その種類毎に表示内容が異なる。
遊技球4の始動口6への入賞に基づき、全図柄列11〜13の変動が開始されて抽選が行われることについては既に説明したが、この抽選中や大当り遊技状態の発生中に、さらに遊技球4が始動口6に入賞した場合には、その分の抽選は、そのときに行われている変動の終了後に、より正確には、大当り遊技状態が発生すればその終了後に、大当り遊技状態が発生しなければ変動の停止後に、行われる。このことを、「抽選が保留(待機)される」という。この保留の上限値は機種毎に決められており、本実施形態では「4」である。表示装置7の上方には、LED、電球等からなる保留ランプ15が組込まれている。保留ランプ15の数は、前述した上限値と同じ(この場合4個)である。保留ランプ15は、抽選が保留される毎に点灯し、その保留に対応した抽選が行われる毎に消灯する。
大入賞口8は始動口6の下方に位置しており、横長空間である入賞領域16と、開閉部材としてのシャッタ17と、アクチュエータとしての大入賞口用ソレノイド(以下単に「ソレノイド」という)18とを備えている。ソレノイド18はシャッタ17に駆動連結されており、通電にともなう励磁によりシャッタ17を前方へ倒して入賞領域16を開放し、通電停止にともなう消磁によりシャッタ17を起立させて入賞領域16を閉鎖する。そして、大入賞口8は、前述した大当り遊技状態の発生にともない、閉鎖状態から開放状態に切替えられる。開放状態から閉鎖状態への切替え(復帰)は、以下の2条件のいずれかが満たされた場合に行われる。その条件とは、遊技球4が入賞領域16に所定個数入賞することと、開放の開始から所定時間が経過することである。
入賞領域16の中央部分には1つの特定領域(以下「Vゾーン」という)19が開口し、左右両側には一対の一般領域21が開口している。入賞領域16に入賞した遊技球4は、これらのVゾーン19及び両一般領域21のいずれかを通過する。ここで、遊技球4がVゾーン19を通過することは、入賞領域16を再度開放するための条件(継続条件)である。従って、入賞領域16の開放中に入賞した遊技球4がVゾーン19を通過すれば、入賞領域16は閉鎖された後に、再度開放される。入賞領域16が繰返し開放されることになる。ただし、この繰返し回数には制限が設けられており、予め定められた回数だけ繰返された後には、原則として入賞領域16が開放されず、大当り遊技状態が終了する。
なお、前記のように繰返される開放状態を区別するために、入賞領域16の開放開始から終了(閉鎖)までの期間を「ラウンド」と呼ぶ。また、ラウンドと次のラウンドとの間(閉鎖状態の期間)を「インターバル」と呼ぶことにする。
そのほかにも、パチンコ遊技機には、遊技効果を高めることを目的として、スピーカ22(図2参照)と、装飾用発光素子としてのランプ23とが組込まれている。スピーカ22は、遊技の進行状況に合わせて効果音を発したり、その効果音の種類を変えたりする。ランプ23としては、例えば風車ランプ、飾りランプ、袖ランプ、サイドランプ等の既存のものが挙げられ、これらは、遊技の進行状況に合わせて光放射の態様を変える。この態様としては、個々のランプ23の点灯状態、消灯状態、点滅状態等が代表的である。各状態において、光の色、明るさ等を変えたものや、点滅状態において点灯時間及び消灯時間の比を変えたものも光放射の態様に含まれる。ランプ23としては、前述した保留ランプ15と同様に、LED、電球等が用いられる。また、ランプ23としては、単一色で発光するタイプのほかにも、発光色を切替えることのできる特別なタイプ(例えば、複数色発光タイプのLED)を用いることができる。
遊技者の操作に応じて変化する遊技状況を検出するために、遊技盤1には始動口用スイッチ24、Vゾーン用スイッチ25及びカウントスイッチ26がそれぞれ取付けられている。始動口用スイッチ24は遊技状況検出手段に相当するものであり、遊技球4の始動口6への入賞を検出する。また、Vゾーン用スイッチ25は遊技球4のVゾーン通過を検出し、カウントスイッチ26は遊技球4の一般領域通過を検出する。
図2に示すように、パチンコ遊技機には主制御基板31が組込まれ、これに各スイッチ24〜26、保留ランプ15及びソレノイド18がそれぞれ接続されている。また、主制御基板31には、表示制御基板32を介して表示装置7が接続され、音声制御基板33を介してスピーカ22が接続されている。さらに、主制御基板31には、ランプ制御基板34を介してランプ23が接続され、払出し制御基板35を介して払出しモータ9が接続されている。
各制御基板31〜35は、所定の制御プログラムや初期データを予め記憶した読出し専用メモリ(ROM)、ROMの制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する中央処理装置(CPU)、CPUによる演算結果を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。
主制御基板31は、その制御の1つとして、表示制御指令としての表示コマンドと、確定制御指令としての確定コマンドとを送信する。表示コマンドには複数種類のパターンコードが含まれている。パターンコードは、図柄14の変動パターンに対応して設定されている。確定コマンドは、表示コマンドの送信後、そのコマンドに含まれている時間情報としての図柄変動時間が経過したときに送信される。表示制御基板32は、主制御基板31からの上記各種表示コマンドを受信すると、予め定められた制御プログラムに従って各種演算処理を実行し、その演算結果に基づき表示装置7を制御する。
また、主制御基板31は、音声制御基板33に対しては、前記各種表示コマンドに対応する音声コマンドを送信する。音声制御基板33は、各音声コマンドに応じ、前記表示装置7での図柄14の変動開始や停止のタイミングに同期して、スピーカ22から効果音を発生させるための指令信号を出力する。同様に、主制御基板31は、ランプ制御基板34に対しては、前記各種表示コマンドに対応する点灯コマンドを送信する。ランプ制御基板34は、各点灯コマンドに応じ、前記表示装置7での図柄14の変動開始や停止のタイミングに同期して、ランプ23から複数種類の態様の光を放射させるための指令信号を出力する。主制御基板31は、払出し制御基板35に対しては、払出し要求コマンド及び払出し要求個数を送信する。払出し制御基板35は、これらのコマンド等に応じて、払出しモータ9に賞球を払出させるための指令信号を出力する。
なお、主制御基板31と、それ以外の制御基板32〜35との間では、信号の流れる方向が一方向に制限されており、前述したように主制御基板31から他の制御基板32〜35へはコマンド等の信号が送信されるが、その逆(制御基板32〜35→主制御基板31)には信号が送信されない。
パチンコ遊技機には、バックアップ電源36を有する電源基板37が設けられ、この電源基板37が電源に接続されている。また、電源基板37は前述した主制御基板31、表示制御基板32及び払出し制御基板35に接続されており、これらに駆動電力を供給している。加えて、主制御基板31は、音声制御基板33及びランプ制御基板34に駆動電力を供給している。バックアップ電源36は、例えば、通常時には電荷を蓄え、停電等により電源からの電力供給が絶たれたときに電荷を放出するコンデンサを構成部品として含んでおり、この放電により主制御基板31のRAMに電力を供給し、記憶したデータが消去されるのを防止する。なお、バックアップ機能のために、バックアップ電源36に代えて、主制御基板31等に不揮発性メモリを組込んでもよい。
次に、前記のように構成された本実施形態の作用及び効果について説明する。図3〜6は、主制御基板31によって実行される各処理のフローチャートである。図3は、遊技球4が始動口6に入賞する毎に各種カウンタの値をRAMに格納するためのルーチンを示している。図4,5は、各種コマンドを送信するとともに、特別電動役物の作動を制御するためのルーチンを示している。図6は、特別電動役物制御ルーチンにおいて実行されるサブルーチンを示している。また、図7,8は、表示制御基板32によって実行される各処理のフローチャートである。図7は、主制御基板31からの表示コマンドに基づき表示装置7を制御するためのルーチンを示している。図8は、画像表示処理ルーチンにおいて実行されるサブルーチンを示している。
前述した各種ルーチンの処理は、カウンタ群及び通過判定フラグFtに基づいて実行される。カウンタ群には、保留カウンタCh、ラウンドカウンタCr、入賞カウンタCe、内部乱数カウンタ、外れリーチ乱数カウンタ、左・中・右の各図柄カウンタ等が含まれている。
保留カウンタChは抽選の保留数をカウントするためのものであり、「0」,「1」,「2」,「3」,「4」の値を順に採る。Ch=0は、保留されていない状態又は抽選中を意味する。ラウンドカウンタCrはラウンド数をカウントするためのものであり、入賞カウンタCeはVゾーン用スイッチ25及びカウントスイッチ26の検出結果に基づき、入賞領域16への遊技球4の入賞個数をカウントするためのものである。内部乱数カウンタは大当り遊技状態の発生を決定するためのものであり、外れリーチ乱数カウンタは外れリーチ等を決定するためのものである。ここで、外れリーチとは、前述したリーチ遊技状態を経た後に最終的に大当りの組合せとならない状態をいう。左・中・右の各図柄カウンタは、各図柄列11〜13での停止図柄等を決定するためのものである。
通過判定フラグFtは、遊技球4のVゾーン通過の有無を判定するために用いられるものであり、Vゾーン用スイッチ25によって通過が検出されない場合に「0」に設定され、通過が検出されると「1」に設定される。なお、カウンタCr,Ce、フラグFtの各初期値(パチンコ遊技機への電源投入時の値)はいずれも「0」である。
図3の格納ルーチンでは、主制御基板31は、まずステップS10において、始動口用スイッチ24の検出結果に基づき、遊技球4が始動口6に入賞したか否かを判定する。この判定条件が満たされていない(入賞なし)と、格納ルーチンを終了し、満たされている(入賞有り)と、ステップS20において、保留カウンタChの値が上限値(この場合「4」)より小さいか否かを判定する。この判定条件が満たされていない(Ch≧4)と、格納ルーチンを終了し、満たされている(Ch<4)と、ステップS30において、保留カウンタChに「1」を加算する。このように、遊技球4が始動口6に入賞する毎に、保留カウンタChの値が上限値を限度として「1」ずつ加算されてゆく。上限値以上の入賞があっても、保留は記憶されない。
ステップS40において、複数(ここでは4つ)の保留ランプ15のうち、保留カウンタChの値に対応するものを点灯させる。ステップS50において、内部乱数カウンタ、外れリーチ乱数カウンタの各値を取得するとともに、各図柄カウンタの値に基づき図柄列11〜13毎に外れ図柄を取得した後、格納ルーチンを終了する。ここでの取得とは、各カウンタの値を読取り、その値をRAMに記憶する処理をいう。また、外れ図柄とは、リーチ遊技状態を経ず、かつ大当り遊技状態ともならない外れ状態を発生させるための図柄である。
図4の特別電動役物制御ルーチンでは、主制御基板31は、まずステップP10において、保留カウンタChの値が「0」でないか否かを判定する。この判定条件が満たされていない(Ch=0)と、特別電動役物制御ルーチンを終了し、満たされている(Ch=1,2,3,4)と、ステップP20において、保留ランプ15のうち前記保留カウンタChの値に対応するものを消灯させ、ステップP30において、保留カウンタChから「1」を減算する。
次に、ステップP40において、表示コマンド決定処理を実行する。詳しくは、図6のステップP41において、前記ステップS50で取得した内部乱数カウンタの値が、予め定められた大当り値と同一であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップP42において、大当り値に対応する図柄(以下「大当り図柄」という)14を停止図柄としてRAMに記憶し、ステップP45へ移行する。
一方、ステップP41の判定条件が満たされていないと、ステップP43において、前記ステップS50で取得した外れリーチ乱数カウンタの値が、予め定められた外れリーチ値と同一であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップP44において、外れリーチ値に対応する図柄(以下「外れリーチ図柄」という)14を停止図柄としてRAMに記憶し、ステップP45へ移行する。ステップP45では、リーチ演出を含む変動パターンに対応したパターンコードを設定する。例えば、αリーチ演出を含む変動パターンの場合にはパターンコード「01」を設定し、βリーチ演出を含む変動パターンの場合には、パターンコード「02」を設定する。また、前記ステップP43の判定条件が満たされていないと、ステップP46において、前記ステップS50で取得した外れ図柄を停止図柄としてRAMに記憶する。そして、ステップP45又はP46の処理を行った後、表示コマンド決定処理ルーチンを終了する。
次に、図4のステップP60へ移行し、前記パターンコードを含む表示コマンドを表示制御基板32へ送信する。ステップP70において、前記表示コマンドの送信後、そのコマンドが示唆する図柄変動時間が経過したか否か、すなわち、停止図柄に対応する図柄変動停止予定時期が到来したか否か、を判定する。この判定条件が満たされていないと、ステップP70の処理を繰返し、満たされていると、ステップP80へ移行し、今回の制御周期における全図柄列11〜13の変動が終了したことを意味する確定コマンドを表示制御基板32へ送信する。
次に、ステップP90において、前記ステップS50での内部乱数カウンタの値が、予め定められた大当り値と同一であるか否かを判定する。なお、この処理に代えて、図柄列11〜13毎の停止図柄の組合せが大当りの組合せであるか否かを判定してもよい。前記判定条件が満たされていない(抽選結果が外れ)と、特別電動役物制御ルーチンを終了し、満たされていると、ステップP100でラウンドカウンタCrをリセットする。ステップP110において、入賞カウンタCeをリセットするとともに通過判定フラグFtを「0」に設定する。
続いて、図5のステップP120において、ソレノイド18に通電して励磁させる。すると、シャッタ17が倒れて大入賞口8の入賞領域16が開放され、同入賞領域16への遊技球4の入賞が可能(容易)となる。次に、ステップP130において、ラウンドカウンタCrに「1」を加算する。ステップP140において、入賞カウンタCeの値が所定値Cemax以下であるか否かを判定し、満たされている(Ce≦Cemax)と、ステップP150において大入賞口8の閉鎖予定時期がまだか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、前述したステップP140へ戻る。その結果、入賞領域16の開放開始後にCemax個よりも多くの遊技球4が入賞するか、又は閉鎖予定時期が到来するという条件が満たされない限りは、入賞領域16が開放され続ける。
これに対し、ステップP140,P150の条件のいずれか一方が満たされなくなると、ステップP160においてソレノイド18への通電を止めて消磁させる。すると、シャッタ17が起こされて入賞領域16が閉鎖され、入賞領域16への遊技球4の入賞が不可能となる。ステップP170において、ラウンドカウンタCrの値が所定値Crmax以下であるか否かを判定する。この判定条件が満たされている(Cr≦Crmax)と、ステップP180において通過判定フラグFtが「1」であるか否かを判定する。満たされている(Ft=1)と、図4のステップP110へ戻る。
従って、一旦大当り遊技状態が発生すると、遊技球4がVゾーン19に最大でCrmax回入るまで、入賞領域16が開閉のサイクルを繰返す。例えば、所定値Cemaxが「10」に設定され、入賞領域16の開放時間が「約29.5秒」に設定され、所定値Crmaxが「16」に設定されている場合には、入賞領域16の開放開始後、(1)遊技球4が入賞領域16へ10個入賞すること、(2)約29.5秒が経過すること、の一方の条件が満たされた時点で入賞領域16が閉鎖される。この入賞領域16の開閉のサイクルが、遊技球4のVゾーン通過を条件に、最大で16回繰返されることとなる。そして、ステップP170,P180の判定条件のいずれか一方が満たされなくなると、特別電動役物制御ルーチンを終了する。
次に、図7の画像表示処理ルーチンについて、図9のタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、図9の下部において、3つで1組をなす枠は左・中・右の図柄列11〜13を意味し、その中の数字は停止図柄を示し、空白部分は図柄14が変動していることを示している。また、図9中、変動速度として高(高速)、中(中速)、低(低速)の3種類が設定されている。これらのうち、中速及び低速は、図柄変動開始時の速度(高速)と、変動終了時の速度(停止)との間に設定された速度(中間速度)に相当する。これらの変動速度は、図柄14の識別のしやすさに対応している。高速では、複数の図柄14が、それらの種類を識別することが困難なほど速く、上から下へ向けて移動する。低速では、複数の図柄14が、それらの種類を識別することが容易なほどゆっくりと、上から下へ移動する。中速は、前記高速と低速の中間の速度で図柄14が移動する。従って、図柄14の識別のしやすさも中程度である。
表示制御基板32は、まず図7のステップD10において、表示コマンドを受信したか否かを判定し、満たされていない(受信なし)と、画像表示処理ルーチンを終了し、満たされている(受信有り)と、ステップD20において全図柄列11〜13の高速での変動表示を開始する。この表示により、遊技者には左・中・右の3つのリールが縦方向にあたかも高速回転しているように見える。高速で変動表示される期間(以下「高速変動期間」という)中には、左右両図柄列11,13において表示される図柄14を互いに異ならせる。すなわち、左右両図柄列11,13を非同期で変動させる。また、この高速変動期間中には、後述するタイミングt3での左右両図柄列11,13の変動停止時に互いに同一の図柄14が表示されるように、図柄の差替えを行う。この差替えは、図柄14が識別困難なほどに高速で変動しているときに行われるため、遊技者に気付かれる心配はない。
ステップD30において、表示コマンド中のパターンコードが「01」であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップD40において、αリーチ変動処理を行う。詳しくは、図8,9に示すように、タイミングt0で全図柄列11〜13が高速変動を開始した場合、それから時間Δt1が経過したタイミングt1以降、さらに時間Δt2,Δt3が経過したタイミングt3までの期間(以下「減速変動期間」という)にわたり、左右両図柄列11,13の変動速度を、少なくとも1つの中間速度を経て段階的に低下させ、最終的に同時(タイミングt3)に同一の図柄14で変動を停止させる。具体的には、タイミングt1では、ステップD41において左図柄列11の変動速度を高速から低速に切替え、右図柄列13の変動速度を高速から中速に切替える。これらの切替え後の変動速度を、タイミングt1から時間Δt2経過後のタイミングt2までの期間(以下「所定期間P」という)にわたり維持する。時間Δt2は比較的短い時間であり、例えば、低速変動している左図柄列11において、図柄14が2.5コマほど表示されるのに要する時間であり、1秒程度である。このように、所定期間Pでは、左右両図柄列11,13が互いに異なる速度で変動する。
タイミングt2では、ステップD42において、左図柄列11の変動速度を低速に保ったまま、右図柄列13の変動速度を中速から低速に切替える。このときには、左右両図柄列11,13の変動速度が略合致し、しかも表示コマンド中に情報として含まれている停止図柄と同一の図柄(例えば「7」)の下半分が略同期して表示される。そして、タイミングt2から時間Δt3が経過したタイミングt3では、ステップD43において、左右両図柄列11,13の変動を同時に図柄14で停止する。時間Δt3は前記時間Δt2よりも短い時間であり、例えば、低速変動している左右両図柄列11,13において、図柄14が1/2ほど変動表示されるのに要する時間である。停止時に表示される図柄14は、左右両図柄列11,13で同一(例えば「7」)である。このように、減速変動期間において、左図柄列11の変動が1つの中間速度(低速)を経て減速されるのに対し、右図柄列13では2つの中間速度(中速及び低速)を経て減速される。ステップD44において、所定時間にわたりαリーチ演出を行い、その後、αリーチ変動処理ルーチンを終了して、画像表示処理ルーチンのステップD80へ移行する。
前記ステップD30の判定条件が満たされていないと、ステップD50において、パターンコードが「02」であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップD60でβリーチ変動処理を行う。この変動処理の内容としては、例えば、全図柄列11〜13の高速変動開始後、左図柄列11の変動速度を、高速→中速→低速の順に切替え、その後、変動を停止する。右図柄列13の変動速度を、高速→中速→低速の順に切替え、左図柄列11の変動停止後、少し遅れて変動を停止する。停止時に表示される図柄14は、左図柄列11での停止図柄と同一である。そして、所定秒間にわたり、前記αリーチ演出とは異なるβリーチ演出による変動を行った後、ステップD80へ移行する。
前記ステップD50の判定条件が満たされていないと、ステップD70で通常変動処理を行う。例えば、全図柄列11〜13の高速変動開始から所定時間(例えば5秒)が経過すると、左図柄列11の変動を停止する。それから数秒(例えば1秒)が経過すると、右図柄列13の変動を停止する。停止時に表示される図柄14は、左図柄列11の停止図柄とは異なる。右図柄列13の変動停止から所定秒(例えば1秒)後に、リーチ演出を行うことなくステップD80へ移行する。
ステップD80では中図柄列12の変動を停止し、画像表示処理ルーチンを終了する。中図柄列12の変動停止時に表示される図柄14は、表示コマンド中に内容情報として含まれている停止図柄と同一である。
なお、前述した本実施形態での処理手順は一例であり、適宜変更可能である。例えば、1つの乱数カウンタを用い、その値に基づき大当り遊技状態の発生を決定したり、外れリーチを決定したりしてもよい。
本実施形態では、主制御基板31による格納ルーチンにおけるステップS10,S50の処理と、表示コマンド決定処理ルーチンにおけるステップP41〜P46の処理とが「抽選手段」に相当する。特別電動役物制御ルーチンにおけるステップP60の処理と、画像表示処理ルーチンにおけるステップD10〜D60の処理(ただし、ステップD40に関しては、その詳細を示すαリーチ変動処理ルーチンのステップD41,D42の処理)とが変動表示実行手段に相当する。このうち、ステップD10の処理が高速変動表示実行手段に相当し、ステップD41,D42の処理が減速変動表示実行手段に相当する。αリーチ変動処理ルーチンにおけるステップD43の処理が変動表示停止手段に相当し、ステップD44の処理がリーチ遊技状態発生手段に相当する。
上記のように、本実施形態のパチンコ遊技機では、左右両図柄列11,13の変動表示期間(t0〜t3)の初期(高速変動期間:t0〜t1)において、同図柄列11,13がともに図柄14の識別困難な高速で変動表示される。しかも、左右両図柄列11,13で表示される図柄14は互いに異なっている。このように、従来タイプのパチンコ遊技機とは異なり、左右両図柄列11,13は、高速かつ非同期で変動表示される。従って、この高速変動期間中に、左右両図柄列11,13がやがて同一の図柄14で停止するかどうかを推定することは困難である。
減速変動期間では、左右両図柄列11,13の変動速度が、互いに異なる減速パターンで低下される。特に、高速変動期間に続く所定期間Pでは、それまで同じ速度(高速)で変動表示されていた左右両図柄列11,13が互いに異なる速度で変動表示される。しかも、所定期間Pでは、左右両図柄列11,13がいずれも高速変動期間とは異なる速度(より低い速度)で変動表示される。左右両図柄列11,13の変動速度が切替るため、高速変動期間から所定期間Pへの移行がわかる。前述した高速変動期間及び所定期間Pでの左右両図柄列11,13の変動パターンは、高速変動期間の序盤で両図柄列が同期して変動し始めれば、その変動が必ず同時に同一図柄で停止されて、リーチ遊技状態が発生する従来タイプのパチンコ遊技機では見られない新規な変動パターンである。
なお、高速変動期間の終了と同時に所定期間Pになる。両期間の間には、同一図柄での停止を予測し得るような期間、例えば、左右両図柄列11,13が図柄14の識別容易な低速で変動する期間はない。このため、高速変動期間から所定期間Pへの移行時に、左右両図柄列11,13が同一の図柄14で停止するであろうことを推測することは困難である。
そして、右図柄列13の変動速度は、タイミングt2に中速から低速に切替えられ、タイミングt3に低速から零に切替えられる。これに対し、左図柄列11の変動速度は、タイミングt3に低速から零に切替えられる。このように左右両図柄列11,13の変動は、最終的に、同時(タイミングt3)に互いに同じ図柄14で停止される。この停止に引続きαリーチ演出が行われる。
所定期間Pの終期は、左右両図柄列11,13が変動を停止するタイミングt3の直前である。そのため、前述した従来タイプのパチンコ遊技機に慣れ親しんだ遊技者にしてみれば、所定期間Pに、左右両図柄列11,13の変動が同一図柄で同時に停止するであろうことを予測することが困難である。
予測が容易になるのは、右図柄列13の変動速度(中速)が切替えられて、左図柄列11の変動速度(低速)と同じになったタイミングt2以降、すなわち、左右両図柄列11,13が変動を停止する直前である。このタイミングt2で表示されている図柄14が約1/2変動した後に、左右両図柄列11,13の変動が停止されることを知っている遊技者にすれば、その表示されている図柄14で変動が停止されることを予測できる。このように、本実施形態によれば、リーチ遊技状態の発生に関与する左右両図柄列11,13が、変動表示を同時に停止するかどうか、ひいてはリーチ遊技状態が発生するかどうかを遅くまで(変動停止の直前まで)わかりにくくすることができる。
また、慣れ親しんだ従来タイプのパチンコ遊技機とは異なるパターンで左右両図柄列11,13が変動されるにもかかわらず、同じ結果となる(同一図柄で同時に変動を停止する)。このように新たな変動パターンが加わることで、表示のバリエーションが増え、遊技の面白みが増す。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
(1)各図柄列11〜13の中間速度として、前記実施形態とは異なる速度を設定してもよい。例えば、高速と中速の中間の速度(中高速)や、中速と低速の中間の速度(中低速)が挙げられる。
(2)前記実施形態では、所定期間Pの終期を、左右両図柄列11,13の変動停止時(タイミングt3)の直前(タイミングt2)としたが、同終期を変動停止時に合致させてもよい。
(3)左図柄列11の高速変動から低速変動への切替えタイミングと、右図柄列13の高速変動から中速変動へのタイミングを互いに異ならせてもよい。前者の切替えタイミングを後者の切替えタイミングよりも速める場合と、遅らせる場合とがあるが、いずれにしても両切替えタイミング間では左右両図柄列11,13の変動速度が互いに異なる。速い方の切替えタイミングが所定期間Pの始期となる。
(4)所定期間Pにおける左右両図柄列11,13の変動速度を変更してもよい。例えば、前記実施形態とは逆の関係に変更してもよい。すなわち、左図柄列11の変動速度を中速とし、右図柄列13の変動速度を低速としてもよい。なお、変更される変動速度に高速が含まれてもよく、左右両図柄列11,13の一方が高速で変動表示されてもよい。また、所定期間Pの長さにもよるが、所定期間Pの途中で各図柄列11,13の変動速度を切替えてもよい。要は、所定期間Pにおいて、左右両図柄列11,13の変動速度が互いに異なっていればよい。
(5)所定期間Pの終期(タイミングt2)から変動停止(タイミングt3)までの期間における左右両図柄列11,13の変動速度を変更してもよい。前記実施形態では、右図柄列13の変動速度(中速)を左図柄列11の変動速度(低速)に合わせているが、その逆にしてもよい。すなわち、左図柄列11の変動速度を右図柄列13の変動速度に合わせるために、低速から中速に切替えてもよい。また、低速とも中速とも異なる別の速度を設定し、左右両図柄列11,13の変動速度をこの設定速度に切替えてもよい。
(6)タイミングt1〜t3の期間(減速期間)における左右各図柄列11,13の変動速度の減速パターンを、前記実施形態と異ならせてもよい。例えば、図9において、二点鎖線で示すように、右図柄列13に関しては、中速変動の期間と、低速変動の期間を同程度の長さにする。こうすると、高速(タイミングt1)から停止(タイミングt3)にかけて、右図柄列13が時間の経過に従い徐々に減速するように見える。また、上記(1)にも関連するが、中間速度の種類を増やし、時間の経過に従い階段状に変動速度を切替えてゆけば、右図柄列13の変動がよりスムーズに減速してゆくように見える。
(7)本発明の適用対象となる遊技機は、表示装置を備えたものであればよく、前記実施形態とは異なるタイプのパチンコ遊技機、例えば第3種(権利物)パチンコ遊技機、複数回の抽選を行った後に大当り遊技状態を発生させるようにしたパチンコ遊技機、大当りとなる確率が所定の条件成立により高確率となる、いわゆる確率変動タイプのパチンコ遊技機であってもよい。また、表示装置を備えたものであれば、パチンコ遊技機以外の遊技機、例えば、アレパチ、アレンジボール等であってもよい。