JP5083071B2 - 一方向クラッチ - Google Patents
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Description
このプーリユニットには、設定トルクを超えた過大トルクが加わることによるプーリユニット自体、補機又はベルト等の破損を未然に防ぐために、過大トルクの伝達を遮断するトルクリミッタ機能を有する一方向クラッチを備えたものがある。
特許文献1記載の装置では、上記トルクリミッタ機能を有する一方向クラッチを備えたプーリユニットが、補機である圧縮機に取り付けられている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、内輪の凹部に入ったころの浮き上がりを抑制して、内輪と外輪との再ロックを防止することができる一方向クラッチを提供することを目的としている。
この場合、凹部の開口幅がころの直径よりも小さい間隔に構成されているが、ころを凹部に押し込むことによって、挟持部を変形させて当該凹部内にころを収容することができる。そして、凹部の深さが、ころの半径よりも大きい構成であることから、凹部内にころの半分以上を収容することができ、ころが凹部から外部に抜け出すのを一層確実に防止することができる。
なお、以下の説明では、自動車エンジンの側部に取り付けられるエアコンディショナ用の圧縮機に利用した場合を例示して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る一方向クラッチ20を備えたプーリユニット10の構成を示す断面図である。
また、プーリユニット10は、図示しない自動車エンジンのクランクシャフトによりVリブドベルト50を介して回転駆動されるプーリ5と、このプーリ5の内周側に挿通された中空軸6と、プーリ5と中空軸6との間に介装された複列転がり軸受7とを有しており、中空軸6の内周側に、前記圧縮機60の回転軸61が一体回転可能に取り付けられている。
一方向クラッチ20は、詳しくは後述するが、径方向においては、円筒部8aと前記複列転がり軸受7との間に配置され、且つ、軸方向においては、複列転がり軸受7に対し圧縮機60の逆側に位置ずれして配置されている。
複列転がり軸受7には、内部のグリースなどの潤滑剤が漏洩することを防止するシール16が取り付けられている。また、中空軸6と圧縮機60の回転軸61との間には、圧縮機60の内部を密封するためのシール18が取り付けられている。
図1に示されるように、一方向クラッチ20は、内輪を構成する中間輪12と、この中間輪12と同心状に配置され且つ回転部材8の円筒部8aに内嵌された外輪13と、中間輪12と外輪13との間の環状空間に配置された複数の円筒状のころ21と、この複数のころ21を周方向に所定間隔で保持する保持器22とを備えている。この一方向クラッチ20には、一方向クラッチ20の内部に対する泥水などの侵入を防止するシール17が取り付けられている。
図2に示されるように、一方向クラッチ20において、内輪を構成する中間輪12の外周面12aには、その周方向に沿って複数の平坦なカム面23が所定間隔で形成されており、各カム面23と外輪13の内周面13aとの間にころ21が配置されている。
各凹部24の開口の縁部には、当該凹部24内に収容されたころ21を挟持し得る挟持部31が設けられている。この挟持部31は、凹部24の開口の縁部であって、当該縁部の周方向に突出して形成された形状を有する一対の挟持体32,32で構成されている。
この場合、各カム面23からさらに噛み込み方向側へと移動するころ21は、外輪13からの径方向内方の押圧力を受けて、凹部24に押し込まれる。
図3は、凹部24に収容されたころ21の状態を示す要部断面説明図である。
図3に示されるように、ころ21は、その半分以上が凹部24内に収容されており、当該ころ21の外周が一対の挟持体32,32に挟持されている。
この保持器22の各カム面23に対応する各領域に、径方向内外に貫通するポケット25が形成されている。ころ21は、保持器22の各ポケット25に一つずつ収納されることにより、その周方向での転動範囲が規制されている。
まず、プーリ5と一体回転する中間輪12が回転し、この中間輪12の回転が、一方向クラッチ20を介して回転部材8に伝達される。そして、この回転部材8が回転することにより、回転部材8と一体回転する圧縮機60の回転軸61が回転する。
また、逆に、プーリ5の回転速度が、圧縮機60の回転軸61よりも相対的に遅くなれば、一方向クラッチ20において、中間輪12の回転速度が外輪13よりも相対的に遅くなり、一方向クラッチ20のころ21がくさび状空間30の広い側へ転動させられてフリー状態となるので、中間輪12から外輪13へ回転動力の伝達が遮断されることになって外輪13が回転慣性力のみで回転を継続するようになる。
この場合、凹部24の開口の縁部には、当該凹部24内に収容されたころ21を挟持し得る一対の挟持体32,32で構成された挟持部31が設けられており、且つ凹部24の開口幅w1は、ころ21の直径diよりも小さい間隔に構成されているが、ころ21に作用する押圧力により挟持体32,32が変形することで、凹部24内にころ21を押し込むことが可能となる。本実施の形態では、凹部24の深さdeが、ころ21の半径rよりも大きい構成であることから、凹部24内にころ21の半分以上を収容することができる。また、凹部24内に収容されたころ21は一対の挟持体32,32に挟持されているので、一旦凹部24内に収容されたころ21は、当該凹部24から外部に抜け出るのが規制される。
凹部24は、カム面23の端部に連接して配置されていてもよく、又、周方向において隣り合うカム面23との中間部分に配置されてもよい。また、凹部24の形状は、使用条件等に応じて、適宜変更することができる。
12a 外周面
13 外輪
13a 内周面
20 一方向クラッチ
21 ころ
23 カム面
24 凹部
30 くさび状空間
31 挟持部
32 挟持体
de 凹部の深さ
di ころの直径
r ころの半径
w1 凹部の開口幅
Claims (2)
- 内輪と外輪との間に複数のころが周方向に所定間隔で配置され、
前記内輪は、前記ころに対応し、その外周の周方向に所定間隔に配置された複数のカム面を有し、
前記カム面と前記外輪内周面との間で前記ころを噛み込み前記内外輪を一体回転させるロック状態と、前記ころの噛み込みを解消して前記内外輪を相対回転させるフリー状態とを切り換える一方向クラッチであって、
前記カム面と前記外輪内周面との間には、周方向の前記ころの噛み込み方向側ほど当該カム面と前記外輪の内周面との間の間隔が漸次狭くなるくさび状空間が形成され、
前記内輪の外周面における前記カム面の周方向の前記噛み込み方向の端部に近接する位置に、前記ころの一部を収容可能な断面C字状に形成された凹部が設けられ、
この凹部の開口の縁部には当該凹部内に収容されたころを挟持し得る挟持部が周方向に突出して形成されていることを特徴とする一方向クラッチ。 - 前記凹部は、前記ころの半径よりも大きい深さ及び前記ころの直径よりも小さい開口幅を有している請求項1に記載の一方向クラッチ。
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