JP5081176B2 - アクリル系繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、湿式紡糸にて得られるアクリル系繊維の製造方法に関する。さらに詳しくは、紡糸ノズルから紡出し、凝固浴中で凝固後、湿潤状態にあるアクリル系繊維の乾燥方法に関する。
アクリル系繊維を湿式紡糸にて得るには、紡糸ノズルから紡出し、凝固浴中で凝固後、湿潤状態にあるアクリル系繊維を乾燥し、脱溶剤および脱水を図る必要がある。
この乾燥方法としては、従来から特許文献1に示されるように、湿潤状態にある繊維を熱風乾燥機内に導入し、熱風(高温の低湿度空気)を吹き付ける方法が採用されている。しかし、この方法は、溶剤と水の両方を除去するには、乾燥時間を長く取る必要があり、その結果、乾燥設備のための広い設置スペースが必要で設備費が高くなる上、使用する空気量も多量になり変動費が高くなるという問題があった。
また、特許文献2には、溶剤を効率よく除去する方法として、スチーム処理によるアクリル系繊維からの脱溶剤方法が示されている。しかし、飽和水蒸気は水を蒸発させることができないため、本方法のみでは、繊維は多量の水を含んだままであり、別途、何らかの乾燥処理で脱水を行う必要がある。
一方、近年、非特許文献1に示されるように、沸点温度よりも高い温度の水蒸気である過熱水蒸気による乾燥技術が注目されている。過熱水蒸気は、上記の飽和水蒸気と異なり、水を蒸発させることができる。しかし、本技術は、水蒸気が乾燥体の表面で凝縮するという問題があり、脱水効果としては熱風乾燥に比べ必ずしも有利とはいえず、さらに通常の熱風乾燥に比べて初期投資やメンテナンスコストが嵩むため、表面をポーラスに制御する、貧酸素雰囲気下で乾燥するといった食品加工や汚泥処理等の限られた分野で使用されているだけであった。
特開昭62−223380号公報 特開2001−279518号公報
過熱水蒸気乾燥を用いた乾燥の特徴と利用技術、粉体と工業、VOL38、NO.11、pp.41〜49(2006)
本発明が解決しようとする課題は、上記のような従来のアクリル系繊維の製造工程における乾燥工程の問題に鑑み、乾燥時間を短縮することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、アクリル系重合体紡糸原液を紡糸ノズルから紡出し、凝固浴中で凝固した後、水と溶剤を含んで湿潤状態にあるアクリル系繊維を、水の沸点温度より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の40%以上の雰囲気下で乾燥することを特徴とするアクリル系繊維の製造方法に関する(請求項1)、
アクリル系重合体紡糸原液を紡糸ノズルから紡出し、凝固浴中で凝固した後、水と溶剤を含んで湿潤状態にあるアクリル系繊維を、水の沸点温度より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の80%以上の雰囲気下で乾燥することを特徴とするアクリル系繊維の製造方法に関する(請求項2)、
湿潤状態にあるアクリル系繊維が、アクリル系重合体の乾燥重量に対して、重量比で溶剤を1〜40%、水を20〜250%含むアクリル系繊維であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアクリル系繊維の製造方法に関する(請求項3)、
180℃以下の温度で乾燥することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のアクリル系繊維の製造方法に関する(請求項4)、
さらに80℃以上180℃以下の温度でかつ、水蒸気分圧が全圧の80%未満の雰囲気下で乾燥することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系繊維の製造方法に関する(請求項5)、
さらに80℃以上180℃以下の温度でかつ、水蒸気分圧が全圧の40%未満の雰囲気下で乾燥することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系繊維の製造方法に関する(請求項6)、
アクリル系繊維を形成するアクリル系重合体が、35〜80重量%のアクリロニトリル単位と15〜65重量%の塩化ビニル或いは塩化ビニリデン単位で構成され、さらにスルホン酸含有単量体を0〜5.0重量%を含むアクリル系重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアクリル系繊維の製造方法に関する(請求項7)、
アクリル系繊維が含む溶剤が、アセトンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル系繊維の製造方法に関する(請求項8)、ものである。
本発明によれば、従来の熱風(高温の低湿度空気)乾燥と比較して、脱溶剤速度が速くなり、乾燥時間を短縮することができる。
本発明に関わる、乾燥設備の一例である
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明におけるアクリル系繊維とは、特に限定はないが、アクリロニトリルの単独重合体、またはアクリロニトリルとの共重合が可能な1種類以上の塩化ビニル、塩化ビニリデンまたはアリル化合物との共重合体からなるものが好適に使用でき、これらの重合体をアセトン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等の有機溶剤で溶解した紡糸原液を用いて、湿式紡糸法により製造したものである。
特に本発明は、35〜80重量%のアクリロニトリル単位と15〜65重量%の塩化ビニル或いは塩化ビニリデン単位で構成され、さらにスルホン酸含有単量体0〜5.0重量%を含むアクリル系重合体を、前記、有機溶剤で溶解した後(この段階の物質をアクリル系重合体紡糸原液、または紡糸原液という)、紡糸ノズルから紡出し、凝固浴中で凝固後、湿潤状態にあるアクリル系繊維に対して有効である。ここで、湿潤状態とは、該アクリル系繊維が、繊維を形成するアクリル系重合体の乾燥重量に対して、重量比で溶剤を1〜40%(以下、含溶剤率という)、水を20〜250%(以下、含水率という)含んだ状態を言う。より好ましい含溶剤率は、2〜40重量%である。また、アクリル系繊維が含む有機溶剤とは、紡糸原液や凝固浴中の有機溶剤であるから、前記のアセトン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を指す。
本発明は、凝固後、湿潤状態にあるアクリル系繊維を水の沸点温度より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の40%以上の雰囲気下で乾燥する点に特徴を有する。この湿潤繊維は紡糸原液や凝固浴中の溶剤と水を含んでいるが、この湿潤繊維を従来の様に熱風(高温の低湿度空気)で乾燥すると、脱水速度に比べて、脱溶剤速度が遅いことがわかった。さらに、脱水が進行することにより、より一層溶剤が乾燥しにくくなり、乾燥時間が長くなっている事がわかった。
そこで、本発明者らは、脱水と同時に脱溶剤を効率よく行うために鋭意検討を重ねた結果、湿潤繊維を水の沸点温度より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の40%以上の雰囲気下で乾燥すると、通常の飽和水蒸気では乾燥しなかった水が除去できるとともに、従来の熱風(高温の低湿度空気)乾燥と比較して、脱水速度は若干遅いものの、脱溶剤が急速に進行することにより、最終的な乾燥時間、すなわち脱溶剤と脱水がともに完了する時間は大幅に短縮されることを見出した。
ここで、水の沸点温度よりも高い温度で、水蒸気分圧が全圧の100%である状態を過熱水蒸気と言う。本発明の効果は、この過熱水蒸気の雰囲気で最大となるが、実用上、十分な効果を得るには、沸点温度より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の40%以上であればよく、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の雰囲気であればよい。すなわち、水蒸気分圧が上記範囲であれば、空気や繊維から蒸発した有機溶剤などの水蒸気以外の気体を含んでいても構わない。
また、ここでいう全圧とは、後述の図1に示すような乾燥機内の圧力を意味するが、本発明の効果に何ら影響を及ぼすものではないので、大気圧に限定することなく、減圧もしくは加圧雰囲気でも適用が可能である。
一方、温度については、後述の図1に示すような乾燥機内の雰囲気温度を以下の様に設定するのが望ましい。雰囲気温度が、乾燥を行う圧力下での水の沸点温度と等しい場合は、飽和状態であり、水を蒸発させることができない。すなわち、前記、特許文献2(特開2001−279518)の状態である。十分な乾燥速度を得るためには、雰囲気温度は、沸点温度より高い必要があり、好ましくは、沸点温度の2.5℃以上、特に好ましくは沸点温度の5℃以上である。一方、雰囲気温度は高くすればするほど、脱溶剤速度とともに、脱水速度も上昇し、乾燥速度が上昇していくので望ましいのであるが、180℃を超えてしまうと得られた繊維が着色する等の問題があり好ましくない。したがって、雰囲気温度は、180℃以下が好ましく、さらに好ましくは、165℃以下、特に好ましくは、155℃以下である。
特に、沸点温度については、圧力によって変動するため、本発明の具体的な適用範囲を例示すると、大気圧下で乾燥する場合は、水の沸点が100℃であるから、100℃を超えて、180℃以下が好ましく、2気圧の加圧下で乾燥する場合は、水の沸点が約120℃であるから、120℃を超えて、180℃以下が望ましい。一方、減圧雰囲気下、例えば、0.69気圧で乾燥する場合、水の沸点が約90℃であるから、90℃を超えて、180℃以下が好ましい。
図1に本発明を具体化する乾燥機の一例を示す。また、この図1の説明においては、沸点温度より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の40%以上の気体を、便宜上、過熱水蒸気とする。
湿潤繊維は、入口1から乾燥室2内へ導入され、上部ロール3及び下部ロール4を経由して、出口5へと搬送される間に乾燥される。
一方、過熱水蒸気は、乾燥室2内と熱交換器6の間で循環ライン7によって循環させる。この時、乾燥室内の温度が、上記の様に沸点温度より高く180℃以下となるように、熱交換器6によって制御する。
過熱水蒸気は、装置起動時に、供給ライン8より供給し、循環ライン7で循環させる。もちろん飽和水蒸気を供給し、熱交換器6と接触させて昇温し過熱水蒸気にしてもよい。定常状態では、乾燥室2内へ供給される湿潤繊維が乾燥した分だけ、繊維から溶剤を含んだ過熱水蒸気が新たに発生するので排気ライン9から排気すればよい。
なお、本発明では、過熱水蒸気と湿潤繊維が効率よく接触することが重要である。乾燥機の形式について図1で例示しているが、これ以外にも、ジェット乾燥機の様に過熱水蒸気を湿潤繊維に吹き付けたり、サクションドラム型の乾燥機を模して、過熱水蒸気を吸い込む形式など、本発明の目的を達する事ができれば他の方法を用いても構わない。また、乾燥室に設置される湿潤繊維を搬送するためのロールの径やロールの形状は特に限定されない。
沸点温度より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の40%以上の雰囲気下で乾燥する時間は、処理室に導かれる湿潤繊維の束の厚み、処理量等によりあらかじめ設定するが、生産性と処理効率の観点から通常は0.5〜10分、好ましくは0.5〜5分の範囲で設定する。0.5分未満であれば、十分な乾燥効果が得られないことが多く、10分を超えると処理室が大きくなりすぎ不経済である。
次に、本発明では上記、沸点温度より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の40%以上の高温高湿度の雰囲気下で乾燥した後、さらに80℃以上180℃以下の温度でかつ水蒸気分圧が全圧の40%未満の高温低湿度の雰囲気下で乾燥してもよい。
また、本発明では、沸点より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の80%以上の高温高湿度の雰囲気下で乾燥した後、さらに80℃以上180℃以下の温度でかつ水蒸気分圧が全圧の80%未満の高温低湿度の雰囲気下で乾燥してもよい。
これは、上記の様に高温高湿度の雰囲気下で脱溶剤速度が早くなることを利用して短時間に脱溶剤を行い、その後高温低湿度の雰囲気下で残存する溶剤と水を乾燥させても最終的な乾燥時間、すなわち脱溶剤と脱水がともに完了する時間は、高温高湿度の雰囲気下のみで乾燥する場合とほとんど変わらないからである。すなわち、高価な高温高湿度乾燥設備(過熱水蒸気乾燥設備)と安価な高温低湿度乾燥設備(従来の熱風乾燥機)の組合せ処理とすることによって、設備投資を抑えながら、乾燥時間の短縮を図ることが可能となる。
ここで、高温高湿度の雰囲気下で乾燥した後に行う高温低湿度乾燥時の水蒸気分圧は、先に行う高温高湿度乾燥時の水蒸気分圧よりも低ければ低いほど脱水時間が短縮されるので好ましい。後に行う高温低湿度乾燥時の水蒸気分圧の好ましい条件としては、例えば、先に行う高温高湿度乾燥を水蒸気分圧が全圧の40%以上の雰囲気で行う場合は、全圧の40%未満、より好ましくは25%未満、特に好ましくは15%未満であり、先に行う高温高湿度乾燥を水蒸気分圧が全圧の80%以上の雰囲気で行う場合は、全圧の80%未満、より好ましくは50%未満、特に好ましくは30%未満である。
また、高温高湿度の雰囲気下で乾燥した後に行う高温低湿度乾燥時の乾燥温度は、好ましくは80〜180℃、より好ましくは、100〜170℃、特に好ましくは、115〜160℃の範囲で設定する。これは、実用上、最低限の乾燥速度を発揮するためには80℃以上が必要で、温度上昇とともに乾燥速度は上昇するものの、180℃を超えると得られた繊維が着色してしまうからである。
さらに、乾燥時間は、乾燥室内に導かれる繊維の束の厚み等によりあらかじめ設定するのが好ましいが、生産性と乾燥効率の観点から通常は0.5〜10分、好ましくは、0.5分〜5分の範囲で設定する。0.5分未満であれば、十分な乾燥効果が得られないことが多く、10分を超えると乾燥室が大きくなりすぎ不経済である。
この高温低湿度乾燥の方法は、通常の繊維乾燥工程で用いられるようなジェット乾燥機のように熱風(高温の低湿度空気)を吹き付ける方式やサクションドラム乾燥機の用に熱風(高温の低湿度空気)を吸い込む方式で乾燥させる方式等、熱風(高温の低湿度空気)を用いて水分を蒸発させる方式であれば、いかなる方式でも良い。
以下に、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例の記載に先立ち、繊維の含水率と含溶剤率の測定方法について説明する。
まず、測定する繊維を2分割し繊維A、繊維Bとする。繊維Aは、重量を測定(重量1)した後、溶剤もしくは水の沸点のどちらか高い方の温度以上で2hr乾燥させ、再び重量を測定(重量2)する。繊維Aの乾燥後重量に対する乾燥前重量と乾燥後の重量の差の割合を含液率とする。すなわち、含液率は、次式で表され、含溶剤率と含水率の和である。
含液率(%)=(重量1-重量2)÷重量2×100=含溶剤率(%)+含水率(%)
次に、繊維Bは、溶媒として、繊維を溶解する事ができるアセトン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)の内でいずれか一種および内標準としてイソブタノールを入れたサンプル瓶に入れて溶解する。ここで、溶剤は、測定する溶剤とは異なる種類のものを選ぶ必要がある。具体的には、繊維中のアセトンを定量したい場合は、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)の中からいずれか一種を選択する。
次に、サンプル瓶は予め重量を測定しておき(重量3)、溶解後、再び瓶の重量を測定(重量4)し、溶解前後の重量差から、溶解した繊維重量(重量5)を計算する。この溶解液をガスクロマトグラフィ等で分析し、繊維B中の溶剤量(重量6)を測定し、次式にて含溶剤率を計算する。
含溶剤率(%)=重量6÷重量5×100÷(100+含液率)
最後に、含水率は、含液率から含溶剤率を差し引いて計算する。
(実施例1)
50%のアクリロニトリルと49.5%の塩化ビニルと0.5%のスルホン酸含有単量体よりなるアクリル系共重合体をアセトンにて溶解し、樹脂濃度が29%の紡糸原液を作成した。これを、湿式紡糸し、含水率65%、含溶剤率14%の湿潤繊維とした。この湿潤繊維を大気圧下で125℃、水蒸気分圧が全圧101.3KPaの40、70、90、100%となる雰囲気下でそれぞれ乾燥した結果を表1に示す。なお、乾燥終了の目安は、含水率0%かつ含溶剤率(樹脂乾燥重量に対するアセトンの割合)が2.0%未満となった時点である。
Figure 0005081176
表1より、大気圧下125℃、水蒸気分圧が全圧の40、70、90、100%の雰囲気下での乾燥所要時間はそれぞれ9分、8分、8分、8分であった。
(実施例2)
実施例1と同様の含水率65%、含溶剤率14%の湿潤繊維を、大気圧下で150℃、水蒸気分圧が全圧の100%となる雰囲気下で乾燥した結果を表2に示す。
Figure 0005081176
表2より、大気圧下150℃、水蒸気分圧が全圧の100%の雰囲気下での乾燥所要時間は6分であった。
(実施例3)
実施例1と同様の含水率65%、含溶剤率14%の湿潤繊維を、大気圧下で150℃、水蒸気分圧が全圧の100%となる雰囲気下で1分間乾燥した後、大気圧下125℃で、水蒸気分圧が全圧の15%の雰囲気下で乾燥した結果を表3に示す。
Figure 0005081176
表3より、大気圧下150℃、水蒸気分圧が全圧の100%の雰囲気下で1分間乾燥した後、125℃、水蒸気分圧が全圧の15%の雰囲気下で乾燥した場合の所要時間は6分であった。
(比較例1)
実施例1と同様の含水率65%、含溶剤率14%の湿潤繊維を、大気圧下で125℃、水蒸気分圧が全圧の25%、15%の雰囲気下で乾燥した結果を表4に示す。
Figure 0005081176
表4より、大気圧下125℃、水蒸気分圧が全圧の25、15%の雰囲気下での乾燥所要時間は、10分であった。
(比較例2)
実施例1と同様の含水率65%、含溶剤率14%の湿潤繊維を、大気圧下で100℃の飽和水蒸気(水蒸気分圧100%)の雰囲気下で乾燥した結果を表5に示す。
Figure 0005081176
表5より、100℃の飽和水蒸気乾燥では、脱溶剤は進行するものの、脱水が行われなかった。
以上より、実施例1、2、3と比較例1、2の乾燥所要時間を表6にまとめる。
Figure 0005081176
表6より、比較例1に対して、実施例1、2、3では、脱溶剤速度が上昇し、最終的な乾燥所要時間が短縮できることが分かる。また、比較例2から、飽和水蒸気では脱水が進行せず、乾燥しないことが分かる。
次に、実施例1と2を比較すると、本発明は高温の方が乾燥速度が早くなり、効果が大きくなることが示された。
また、実施例2と3を比較する。実施例2では、含水率が0%となるのは3分後、含溶剤率が2%未満となるのは6分後であり、最終的な乾燥時間としては、6分であった。一方、実施例3では、1分以降、熱風乾燥を行うことにより、実施例2と比較して脱溶剤速度は低下するものの、1分間、高湿度雰囲気で脱溶剤が行われた効果で、最終的な乾燥時間は6分となり、実施例2と同等の効果を得た。すなわち、高温高湿度の条件で短時間に脱溶剤を行ってしまえば、その後、高温低湿度の雰囲気で乾燥を行っても、総乾燥時間としては、ほとんど変化がなく、湿潤繊維を高湿度の雰囲気だけで完全に乾燥させる必要はない。したがって、高温高湿度乾燥と高温低湿度乾燥の組合せ処理を行う事により、設備投資を抑えながら、乾燥時間の短縮が可能である事が示された。
1.入口
2.乾燥室
3.上部ロール
4.下部ロール
5.出口
6.熱交換器
7.循環ライン
8.供給ライン
9.排気ライン

Claims (8)

  1. アクリル系重合体紡糸原液を紡糸ノズルから紡出し、凝固浴中で凝固した後、水と溶剤を含んで湿潤状態にあるアクリル系繊維を、水の沸点温度より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の40%以上の雰囲気下で乾燥することを特徴とするアクリル系繊維の製造方法。
  2. アクリル系重合体紡糸原液を紡糸ノズルから紡出し、凝固浴中で凝固した後、水と溶剤を含んで湿潤状態にあるアクリル系繊維を、水の沸点温度より高い温度でかつ水蒸気分圧が全圧の80%以上の雰囲気下で乾燥することを特徴とするアクリル系繊維の製造方法。
  3. 湿潤状態にあるアクリル系繊維が、アクリル系重合体の乾燥重量に対して、重量比で溶剤を1〜40%、水を20〜250%含むアクリル系繊維であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアクリル系繊維の製造方法。
  4. 180℃以下の温度で乾燥することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のアクリル系繊維の製造方法。
  5. さらに80℃以上180℃以下の温度でかつ、水蒸気分圧が全圧の80%未満の雰囲気下で乾燥することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系繊維の製造方法。
  6. さらに80℃以上180℃以下の温度でかつ、水蒸気分圧が全圧の40%未満の雰囲気下で乾燥することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系繊維の製造方法。
  7. アクリル系繊維を形成するアクリル系重合体が、35〜80重量%のアクリロニトリル単位と15〜65重量%の塩化ビニル或いは塩化ビニリデン単位で構成され、さらにスルホン酸含有単量体を0〜5.0重量%を含むアクリル系重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアクリル系繊維の製造方法。
  8. アクリル系繊維が含む溶剤が、アセトンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のアクリル系繊維の製造方法。
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