本発明の一実施の形態のキャリア形状測定機について図面を用いて説明する。
本発明の第1の実施の形態のキャリア形状測定機は、図3のように、測定機本体110、画像処理部111、コントローラ112、ホストコンピュータ113、入出力部114を備えている。まず、測定機本体110について説明する。図1、図2、図3、図4に示すように、測定機本体110は、測定対象であるキャリア18を搭載するステージ12と、測定ヘッド10とを有している。本実施の形態では、ステージ12は台座21に対して固定されており、測定ヘッド10がXYZ軸移動部15,16,17によりキャリア18に対して3次元に移動してキャリア18の形状を測定する構成である。そのため、台座21上には測定ヘッド10を収容する筐体11が搭載され、台座21と筐体11の間には筐体11をX軸方向に移動するためのX軸移動部15が配置されている。
X軸移動部15は、台座21の上面に形成されたX軸方向に長手方向を有するレール15aと、筐体11の底面に固定されレール15aに沿って摺動可能な摺動部15bと、モータ15cと、モータ15cの回転軸に連結された送りネジ15dと、筐体11の底面に固定され送りネジ15dと嵌合するナット15eとを含む。モータ15cの回転軸が回転することにより、送りネジ15dも回転し、ナット15eがX軸方向に移動することにより、摺動部15bもレール15aに沿ってX軸方向に移動し、ナット、摺動部15bが固定されている筐体11がX軸方向に移動する。
Y軸移動部16は、筐体11内の、測定ヘッド10とZ軸可動プレート501との間に配置されている。Y軸移動部16は、Z軸プレート501の前面に形成されたY軸方向に長手方向を有するレール16aと、測定ヘッド10の背面に形成されレール16aに沿って摺動可動な不図示の摺動部と、モータ16cと、モータ16cの回転軸に連結された送りネジ16dと、測定ヘッド10の背面に固定され送りネジ16dと嵌合する不図示のナットを含む。モータ16cの回転軸が回転することにより、送りネジ16dも回転し、ナットがY軸方向に移動することにより、摺動部もレール16aに沿ってY軸方向に移動し、測定ヘッド10がY軸方向に移動する。
Z軸移動部17は、筐体11内に設けられ、支柱502の前面に形成されたZ軸方向に長手方向を有するレール17aと、Z軸可動プレート501の背面に形成されレール17aに沿って移動可能な不図示の摺動部と、モータ17cと、モータ17cの回転軸に連結された送りネジ17dと、Z軸可動プレート501の背面に固定され送りネジ17dと嵌合する不図示のナットとを含む。モータ17cの回転軸が回転することにより、送りネジ17dも回転し、ナットがZ軸方向に移動することにより、摺動部もレール17aに沿ってZ軸方向に移動し、Z軸可動プレート501がZ軸方向に移動する。その結果、測定ヘッド10がZ軸方向に移動する。
これらの構成により、測定ヘッド10のXYZ軸方向への移動を可能にしている。なお、XYZ軸移動部15,16,17のレール15a,16a、17aは、いずれもねじにより固定されており、このねじをゆるめて調整することにより、レールの軸方向を調整することができる構成となっている。また、XYZ軸移動部15,16,17には、XYZ軸についての実際の駆動量を測定するためのXYZ軸測長部36,37,38(図1,図2,図3)が取り付けられている。
なお、ステージ18の上には、SEMI規格でFOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれるキャリア18を搭載するために、キネマティックプレート20が搭載されている。キネマティックプレート20は、3本のピン20a、20b、20cを上面に有している。3本のピン20a、20b、20cの形状および配置は、SEMI規格(SEMI E57-1296)で定められた形状および配置である。
3本のピン20a,20b,20cは、前記FOUP型キャリア18の底面に設けられているV溝状の凹部と嵌合することにより、SEMI規格で規定されるキャリア搭載用位置決め機構のキネマティックカップリングを実現する。これにより、前記FOUP型キャリア18をステージ12上に正確に支持および位置決めする。したがって、本実施の形態の形状測定装置では、実際の半導体デバイスの製造ラインでキャリア18が支持されるのと同じキネマティックカップリングによりをキャリア18を支持しながら、キャリア18の形状測定を行うことができるため、キャリア18および収容されるウエハの形状および姿勢をキャリア18の使用時と同じ状態で精密に測定することができる。
また、本実施の形態では、高精度にFOUP型キャリア18の測定を行うために、FOUP型キャリア18の形状に基づいてFOUP型キャリア18に定められている基準面もしくはそれに平行な面を基準として測定を行う。FOUP型キャリア18の基準面には、図14のように、SEMI規格で規定される水平基準面(horizontal datum plane)141とフェイシャル基準面(facial datum plane)142とバイラテラル基準面(bilateral datum plane)143がある。水平基準面141は、キネマティックカップリングピン20a,20b,20cによりキャリア18が設置されている水平面である。フェイシャル基準面142は、キャリア18中のウエハを二等分し、キャリア18の前面に平行な垂直面である。バイラテラル基準面143は、キャリア18中のウエハを二等分し、水平基準面141に対して直角に交わる垂直面である。水平基準面141は、キャリア18の構造上キャリア底面とは必ずしも平行ではない。
本実施の形態では、これら基準面141,142,143を基準としてキャリア18およびウエハの形状および姿勢を測定できるようにする。このために、本実施の形態では、キネマティックプレート20を図15に示したような形状とし、キネマティックプレート20の上面151が、ステージ12に固定された状態で、水平基準面141に一致する面、もしくは、水平基準面141に平行な面となるようにしている。同様にキネマティックプレート20の前側側面152(筐体11と対向する面)は、フェイシャル基準面142と平行な面にし、横側側面153はバイラテラル基準面143と平行な面にしている。また、キネマティックプレート20の四方の側面152,153等には、図15のように突起154,155,156,157が設けられており、突起の側面154a,156aはバイラテラル基準面143に一致する面となるように構成している。側面155a,157aはフェイシャル基準面142に一致する面となるように構成している。
このキネマティックプレート20の上面151や側面152,153を用いて、後述する位置合わせ工程によりXYZ軸移動部15,16,17の移動方向を上記基準面141,142,143と平行にする調整を行う。これにより、FOUP型キャリア18の基準面141,142、143を基準にして、FOUP型キャリア18の高精度に形状測定することができる。これにより、前側側面152や横側側面153を基準としてキャリア前面18aや側面を測定することにより、キャリア形状の良否が容易に検知できる。
また、本実施の形態では、キネマティックプレート20の大きさを、図16のようにFOUP型キャリア18の大きさに合わせるように設計している。すなわち、キネマティックプレート20の前側側面152が、FOUP型キャリア18の設計上の前面18aと一致するようにし、横側側面153がFOUP型キャリア18の設計上の側面18bと一致するように大きさを定めている。
また、本実施の形態では、キネマティックプレート20にFOUP型キャリア18を搭載する際に、ピン20a,20b,20cとFOUP型キャリア18の底面のV溝状凹部とを確実に嵌合させてキネマティックカップリングを実現するため、キネマティックプレート20のピン20a,20b,20cを揺動させる構成としている。というのは、従来キネマティックプレート20にFOUP型キャリア18を搭載する際には、ピン20a,20b,20cの直上までキャリア18の底面のV溝状凹部191を持っていき、キャリア18とウエハの自重によって、V溝状凹部191とピン20a,20b,20cとを嵌合させていた。しかしながら、従来、ピン20a,20b,20cは金属製であり、FOUP型キャリア18は樹脂製であるため、搭載動作を繰り返すことによりV溝状凹部19の斜面にピン20a、20b、20cの打痕がつきやすい。V溝状凹部19の斜面に打痕が生じると、ピン20a、20b、20cとV溝状凹部19の斜面との摩擦力が大きくなり、円滑な嵌合を行うことができない。嵌合が不十分な場合、図19(b)のようにピン20aとV溝状凹部191との間に隙間192が生じて、キャリア18の底面が傾斜する。すなわち、キネマティックカップリングによるキャリア18の支持を実現することができない。
そこで本実施の形態では、図20のように、ピン20a,20b,20cが、基部にピエゾ素子からなる振動素子204を含む構成としている。ただし、ピン20a,20b,20cの外形は、振動素子204が振動していない状態でSEMI規格(SEMI E57-1296)のキネマティックカップリングピンの形状を満たす。
振動素子204の振動方向は、ピン20a,20b,20cの軸を横方向(プレート20の主平面に平行な方向)に振動させる方向である。また、プレート20には、予め定めた間隔をあけて、キャリア18の底面を検出する光電スイッチ205a,205bが配置されている。光電スイッチ205a,205は、キャリア18の底面に向けて光を出射する発光素子195と、その反射光を検出する受光素子196とを有している。受光素子196は、V溝状凹部191がピン20a、20b、20bと正常に嵌合している場合には、キャリア18の底面からの反射光が入射するが、V溝状凹部191がピン20a、20b、20bと図19(b)のように不完全に嵌合し、キャリア18の底面が浮き上がっている場合には、反射光が入射しないように位置および向きが定められている。また、ステージ12には、プレート20の荷重を検出するために、ロードセルからなる荷重センサ206が備えられている。
ステージ12内には、振動素子204、光電スイッチ205a,205b、荷重センサ206に接続された図20のような回路が配置されている。振動素子204を構成するピエゾ素子の電極は、振動素子ドライバ202に接続され、振動素子ドライバ202には制御部201により制御信号が出力される。また、振動素子ドライバ202は、振動素子204の振動の位相変化を検出する機能を有し、検出結果を制御部201に出力する。光電スイッチ205a,205bの出力は、オア論理回路208およびアンド論理回路209に入力され、オア論理回路208およびアンド論理回路209の出力は制御部201に入力される。また、荷重センサ206の出力は、アンプ207を介して制御部201に入力される。この他、タイマ回路203およびオペレータから振動開始指示を受け付ける開始スイッチ194の出力が、制御部201に入力される。また、制御部201には、本実施の形態の形状測定機に対してキャリア18を搭載するキャリア搬送機193の出力も入力される。
制御部は、荷重センサ206の出力が予め定めた荷重よりも大きい場合、もしくは、オア論理回路208の出力から光電スイッチ205a、205bのうちの少なくとも一方がキャリア18の底面を検出したことを検知した場合、もしくは、キャリア搬送機193からキャリア18搭載完了信号を受け取った場合、もしくは、開始スイッチ194がオペレータから振動開始の指示を受け付けた場合には、キャリア18が搭載されたと判断し、振動素子ドライバ202に振動を指示する信号を出力する。振動素子ドライバ202は、振動素子204を構成するピエゾ素子の電極に電圧信号を出力し、振動素子204を予め定めた周期で振動させる。これにより、ピン20a,20b,20cが横方向に振動するため、ピン20a,20b,20cの先端曲面とV溝状凹部191の斜面との摩擦力が低減する。よって、キャリア18の自重のみでは、図19(b)のようにV溝状凹部191との嵌合が不完全になっていた場合であっても、これを解消して図19(a)のように完全な嵌合状態にすることができる。
制御部201は、振動素子ドライバ202がピン20a,20b,20cの振動の位相が変化したことを検出した場合、あるいは、アンド論理回路209の出力により光電スイッチ205a、205bの両方がキャリア18の底面を検出したことを検知した場合には、ピン20a,20b,20cがV溝状凹部191に完全に嵌合したと判断して、振動素子ドライバ202に振動停止信号を出力する。これにより、ピン20a,20b,20cの振動を停止させる。また、制御部201は、振動開始から予め定めた時間が経過したことをタイマ回路203の出力から検知した場合にも、振動を停止させる。また、制御部201は、振動を停止させた後、後述のホストコンピュータ113にキャリア18の搭載完了を知らせる信号を出力する。
このように、本実施の形態ではキネマティックプレート20を図20のような構成にしたことにより、キネマティックプレート20のピン20a、20b、20cとFOUP型キャリア18にV溝状凹部191との不完全な嵌合を解消することができ、FOUP型キャリア18をキネマティックカップリングにより支持および位置決めすることができる。また、図20の構成では、ピン20a、20b、20cとV溝状凹部191との嵌合が完全かどうかを、光電スイッチ205a,205bの出力や振動素子ドライバ202の検出する位相変化により検知することができるため、目視で確認することの困難な嵌合状態を容易に検出できる。
なお、図20の構成では、振動により不完全な嵌合を解消したが、振動に代えて、ピン20a,20b,20cの先端から、V溝状凹部191の斜面に向けて空気を噴出する構成にすることもできる。これを実現するためには、例えば、図21(a)のようにピン20a,20b,20cの先端部211を多孔質材料により形成し、基部には外部の供給管212から先端部211まで圧縮空気を導く流路214を設ける。これにより、先端部211の多孔質材料の孔から空気を噴出させることができる。また、図21(b)あるいは図21(c)のように流路214に分岐路213を設け、分岐路213の先端から空気を噴出させる構成にすることもできる。さらに、図21(d)のように流路214を延長して、ピン20a,20b,20cの先端から空気を噴出させる構成とすることもできる。そして、供給管212には、図22のように圧縮空気源221を接続し、途中に電磁弁222と流量計223と圧力計224を配置する。制御部201は、図20と同様の方法でキャリア18が搭載されたことを検知し、これをトリガとして電磁弁222を開状態にして、圧縮空気をピン20a,20b,20cの先端からV溝状凹部191の斜面に向かって噴出させる。また、流量計223の流量が予め定めた値よりも小さくなった場合もしくは供給管212内の圧力が予め定めた値よりも大きくなった場合には、ピン20a,20b,20cとV溝状凹部191との嵌合が完全となり、V溝状凹部191の斜面でピン20a,20b,20cの空気噴出孔が塞がれたと判断し、電磁弁222を閉じる。また、図20の構成と同様に、アンド論理回路209の出力またはタイマ回路203の出力によって嵌合が完全となったことを検知した場合にも電磁弁222を閉じる。なお、図21(a),(b),図22の構成の場合、ピン20a,20b,20cの先端の空気噴出孔は、V溝状凹部191の斜面を向いていることが望ましい。よって、V溝状凹部14の長手方向を向いている空気噴出孔は、塞ぐことも可能である。
つぎに、測定ヘッド10の構成について、図2および図4を用いて説明する。測定ヘッド10は、2種類の測定部を有する。1つは、撮像した画像により形状を測定するための撮像部25であり、もう一つは、レーザ光を用いてY軸方向の測長をするレーザAF部30である。
撮像部25は、鏡筒101内に、対物レンズ24、ズームレンズを含む光学系23、CCDカメラ22を光軸103に沿って順に配置した構成である。光学系23内のズームレンズは、図2,4では図示していないがズーム駆動部35(図3)によって光軸103の方向に駆動され、ズーム変倍が実現される。鏡筒101内には、台座21に配置された照明ユニット34(図3)が発した照明光を伝搬する光ファイバ(不図示)が引き込まれており、光ファイバから出射された照明光は、対物レンズ24を通して測定対象に照射される。
また、鏡筒101の径は、図4のように先端の対物レンズ24の部分で狭められており、この先端の鏡筒101の周りに、リング状の鏡筒102が取り付けられている。鏡筒101とリング状の鏡筒102の間には、ベアリング33が配置され、リング状の鏡筒102は鏡筒101に対して回転可能である。リング状の鏡筒102には、レーザAF部30を構成する半導体レーザ26、集光レンズ28、29、および受光素子27が光軸104に沿って配置される。半導体レーザ26と集光レンズ28は、図4のように、撮像部25の光軸103を挟んで受光素子27と集光レンズ29に対して対称な位置に配置する。ここでは、受光素子27としてCCDラインセンサを用いる。また、リング状の鏡筒102には、半導体レーザ26と受光素子27が配置される位置にそれぞれ、半導体レーザ26から出射されるレーザ光を透過する窓39,40が配置されている。
撮像部25とレーザAF部30は、撮像部25の焦点位置105とレーザAF部30の検出範囲中央位置とが一致するように構成されている。よって、光軸103と光軸104とは焦点位置105で交差している。
リング状の鏡筒102の外周には、ギア41が配置されている。また、鏡筒101には、固定具42によりモータ31が固定され、モータ31の回転軸にはギア32が取り付けられている。ギア32は、前述のギア41と噛み合っており、モータ31が回転することにより、リング状の鏡筒102が鏡筒101の周りで回転する。これらギア41、32およびモータ31は、AF回転部43を構成している。よって、モータ31の回転量を制御することにより、レーザAF部30の配置を、光軸104が含まれる面が鉛直方向となる縦配置(図5(a))、および、水平方向となる横配置(図5(b))に切り替えることができる。なお、モータ31とリング状の鏡筒102の基部は、カバー145により覆われている。
なお、本実施の形態では、ギアを利用して鏡筒102を回転させる構成としたが、モータ31の回転軸と鏡筒102との間にベルトを渡して鏡筒102を回転させる構成としてもよい。
また、筐体11には、測定ヘッド10がY軸移動部16により移動される範囲でZ軸方向に長い長方形の開口13が設けられている(図1)。開口13の幅は、測定ヘッド10の幅と同じ大きさである。開口13からは測定ヘッド10の先端部が外部に突出している。また、筐体11内で発生する塵や埃が開口13から外部に漏れるのを防止するために、開口13の測定ヘッド10の上下には防塵シート14が配置されている。防塵シート14は、幅が開口13の幅よりも若干大きい帯状のシートであり、柔軟性に富み、表面の摩擦係数が低く、耐摩耗性が高い材質からなる。この帯状の防塵シート14の両端は、図2のように治具44によりZ軸可動プレート501に固定され、これにより防塵シート14は筐体11内を一周する輪になっている(図2)。なお、治具44は、測定ヘッド10のY軸方向の移動を妨げず、かつ、治具44と測定ヘッド10との間から塵や埃が外部に漏れるのを防ぐために、治具44と測定ヘッド10との隙間は、微小な幅となるように設定されている。
また、筐体11内の角部には、図2のように4カ所にローラー45が配置され、このローラ45により防塵シート14がガイドされている。このローラー45のガイドにより、防塵シート14は、筐体11の前面部では内壁に沿う形状となって開口13に密着してこれを塞ぎ、筐体11の上下面および背面部では、内壁と間隔をあけて内壁に沿う配置となっている。また、輪状の防塵シート14の途中にはバネ部材46が配置されている。バネ部材46は、防塵シート14を長手方向に対して引っ張り、たるみが生じるのを防止している。
このように防塵シート14は、両端がZ軸可動プレート501に固定された輪になっているため、Z軸移動部17の動作により測定ヘッド10がZ軸方向に移動した場合には、防塵シート14も測定ヘッド10とともに移動する。このとき、防塵シート14の輪が、ローラー45によってガイドされながら送られることにより、測定ヘッド10の上下の開口13は、常に防塵シート14によって覆われ、筐体11内の塵や埃が外部に漏れるのを防止する。また、防塵シート14の両端は、測定ヘッド10のY軸方向への移動を妨げないようにZ軸可動プレート501に固定されているため、測定ヘッド10は開口13からY軸方向に出没することができる。
筐体11の下部には排気口47が開けられ、内部に減圧用ファン48が配置されている。減圧用ファン48は、本実施の形態のキャリア形状測定機が稼働状態のときに動作するように設定される。減圧用ファン48の動作により、筐体11内部を負圧にする。これにより、防塵シート14は、開口13の部分で内側に引っ張られて撓み、図8のように筐体11と防塵シート14との間にわずかな隙間49が生じる。この隙間49を通して、図7、図8のように外部から筐体11の内部へと空気が流れ込む。よって、稼働時は筐体11内部のXYZ軸移動部15,16,17等の可動部で発生した塵や埃が外部へ漏れるのを、いっそう効果的に防止することができる。なお、バネ部材46が防塵シート14を引っ張る応力の大きさは、減圧用ファン48の排気力を考慮して隙間49の発生を妨げず、しかも、開口13部分以外の防塵シート14にたるみが生じない程度となるように設定しておく。
また、筐体11の外側は、測定対象であるキャリア18に対する面を除いて安全カバー50で覆われている。安全カバー50の大きさは、筐体11のX軸方向への可動範囲を考慮して定められている。また、ステージ12の上部空間は、測定ヘッド10に向く面を除き、安全カバー51で覆われている。安全カバー51の大きさは、搭載するキャリア18の大きさを考慮して定められている。また、安全カバー51の材質は、測定部10のレーザAF部30から出射されるレーザ光が透過できない光学的特性をもつ材質である。
また、安全カバー50の上部には、本実施の形態のキャリア形状測定装置の稼働状態を報知するための3色のシグナルタワー52が取り付けられている。
つぎに、画像処理部111、コントローラ112、ホストコンピュータ113および入出力部114について図3を用いて説明する。コントローラ112は、CPU53、ズーム駆動制御部54、XYZ駆動制御部55、XYZカウンタ56、レーザ制御部57、回転駆動制御部58、調光制御部59、ファン制御部60、状態監視/制御部61、および、ジョイスティック制御部62を含んでいる。
ズーム駆動制御部54は、ホストコンピュータ113の寸法測定演算処理部64から受け取った撮像倍率に応じて、測定機本体100のズーム駆動部35に駆動量の指示を出力する。これにより、撮像部25の光学系のズームレンズの移動量が制御され、CCDカメラ22の撮像倍率が制御される。よって、キャリア18の大きさや求められる測定精度により撮像倍率を変化させ、スループットを向上させることができる。
XYZ駆動制御部55は、ホストコンピュータ113の寸法測定演算処理部64から移動指示を受け取り、測定機本体110のXYZ軸移動部15、16,17のモータ15c、16c、17cに対して駆動を指示する。また、XYZカウンタ56は、XYZ軸移動部15、16,17のXYZ軸測長部36,37,38の測長結果を受けることにより、XYZ軸移動部15、16,17が移動した座標を検出する。ホストコンピュータ113の寸法測定演算処理部64は、この検出座標を受け取って移動量をフィードバック制御することにより、寸法測定に必要な座標まで測定ヘッド10を移動させると共に、画像処理部111の出力結果を用いてY軸方向の微調整を行い、測定ヘッド10の焦点位置105を測定対象に一致させる。
レーザ制御部57は、ホストコンピュータ113からレーザAF部30を用いる測定の指示を受け取った場合に、レーザAF部30の半導体レーザ26に発光を指示する信号を出力すると共に、CCDラインセンサからなる受光素子27の受光信号を受け取り、CCDラインセンサのどの位置でレーザ光が受光されているかを検出することにより測定対象の焦点位置105からのずれ量を求める。また、回転駆動制御部58は、ホストコンピュータ113からレーザAF部30の配置を縦配置および横配置(図5(a),(b))のいずれかに変換するように指示を受けた場合には、AF回転部43のモータ31に所定の回転量だけ回転するよう指示する信号を出力する。これにより、レーザAF部30の配置を、縦配置もしくは横配置に切り替えることができる。
調光制御部59は、入出力部114が受け付けたオペレータからの照明光量の調整指示をホストコンピュータ113から受け取り、照明ユニット34の発光する光量を増光または減光させる信号を出力する。これにより、撮像部25の対物レンズ24を通して測定対象に出射される照明光が調光され、CCDカメラ22の撮像する画像の明るさが変化する。状態監視/制御部61は、ホストコンピュータ113が稼働していること示す信号を受け取った場合にはシグナルタワー52に青信号を点灯させ、ホストコンピュータ113の寸法測定演算処理部64がレーザAF部30の測長結果を処理する演算を行っている場合には、シグナルタワー52に黄色信号を点灯させる。また、状態監視/制御部61は、ホストコンピュータ113がレーザ制御部57にレーザAF部30を用いる測定を指示している場合には、半導体レーザ26が発光していると判断して、シグナルタワー52の黄色信号を点滅させる。状態監視/制御部61は、ホストコンピュータ113の出力するエラー信号を受け取った場合には、シグナルタワー52の赤信号を点灯させる。
また、ジョイスティック制御部62は、入出力部71のジョイスティックユニット71のジョイスティックがオペレータにより操作された場合、直接XYZ軸移動部15,16,17に駆動を指示し、ジョイスティックの操作量だけ測定ヘッド10をXYZ方向に移動させる制御を行う。
コントローラ53のCPU53は、上述したコントローラ112内の各部の動作を全体制御を行う。
一方、画像処理部111は、撮像部25のCCDカメラ22の出力する画像情報を受け取り、2値化処理等の画像処理を行い、ホストコンピュータ113に出力する。
ホストコンピュータ113は、ティーチング管理部63、寸法測定演算処理部64、測定結果管理部65、マンマシンインタフェース66、メモリ67を含んでいる。メモリ67には、測定対象であるキャリア18について、オペレータが所望する箇所の寸法を測定するための複数の測定用プログラムが予め格納されている。ティーチング管理部63は、マンマシンインタフェース66を介してキーボード68またはマウス69からオペレータが測定したい箇所や測定方法の指示を受け取り、それを実現するためのメモリ67内のプログラムを選択する。そして、寸法測定演算処理部64に該当プログラムの実行を指示するとともに、その進行を確認する。
寸法測定演算処理部64は、ティーチング管理部63に指示されたプログラムをメモリから読み込んで実行することにより、コントローラ112の各部に対して、上述のような指示を行い、測定ヘッド10を所望の座標に移動させて、測定ヘッド10の撮像部25およびレーザAF部30による測定を行う。具体的には、画像処理部111の出力画像上の中心座標を、この中心座標に対応するXYZカウンタ56の出力座標(XYZ軸移動部15,16,17の座標系XYZ)に対応させる演算を行うことにより、出力画像の各画素の座標をXYZ座標に変換し、画像処理部111上の出力画像中の所望箇所間の寸法を求める処理を行う。また、寸法測定演算処理部64は、レーザAF部30により焦点位置105から測定対象のY軸方向のずれ量を求めることにより、測定対象のY軸方向(奥行き方向)の寸法の分布を高精度に測長する演算処理等を行う。なお、レーザAF部30による測定時の焦点位置105のXYZ座標は、画像処理部111の出力画像の中心座標を用いる。
寸法測定演算処理部64の演算した各箇所の寸法データは、測定結果管理部65内のメモリに格納される。測定結果管理部65は、メモリ内の寸法データをそのままCRT70に表示させるか、もしくは、オペレータの指示に応じて寸法データの統計データや、寸法誤差データ等を求める演算を行い、その結果をCRT70に表示させる。
ここで、本実施の形態のキャリア形状測定機で測定対象となるFOUP型キャリア18の構造について図9を用いてさらに詳しく説明する。FOUP(Front Opening Unified Pod)は、SEMI規格で定められたキャリアの形状であり、直径300mmのウエハを収容する密閉タイプのキャリアである。具体的には、FOUP型キャリア18は、前面にのみ開口を有する本体91と、その開口を塞ぐためのドア92からなる。本体91の内側の両側面には、ティース93と呼ばれる突起が一定の間隔で複数個配置されている。このティース93により直径300mmのウエハの両端が図11のように支持される。また、本体91の底面には、3つの凹部(不図示)が設けられている。これら3つの凹部は、ステージ12のキネマティックプレート20のピン20a,20b,20cと嵌合することにより、SEMI規格のキネマティックカップリングを実現する。
また、FOUP型キャリア18のドア92は、ドア92を位置決めするためのレジストレーションピン穴96と、ドア92を開状態または閉状態にするためのラッチキー穴95とを有する。ドア92を開く場合には、まず、ロードポートのレジストレーションピンをレジストレーションピン穴96に差し込んでドア92の位置決めを行い、さらに、ラッチキーをラッチキー穴95に差し込んで回転させることにより、ドア92を開状態とした後、ロードポートがドア92を手前に引き出すことにより、図9のようにドア92を本体91から分離する。
なお、ステージ12上のキネマティックプレート20の向きは、キャリア18の開口面がXZ平面と平行になるように向けられている。
本実施の形態のキャリア形状測定装置は、上述のように測定ヘッド10がXYZ方向に移動して測定を行う構成であり、キャリア18は移動しない。よって、キャリア18に移動による振動や衝撃等が加わらないため、キャリア18に半導体ウエハ97を収容した状態で高精度に測定を行うことができる。測定箇所は、オペレータが所望した箇所を測定することができるが、例えば、測定ヘッド10の撮像部25により図11の点e、g、hの各箇所を含む画像と、点fを含む画像を取得し、画像処理部111が各画像内での点e,f,g,hに相当するエッジ部分を検出し、寸法測定演算処理部64が点e、f、g、hの座標を演算し、さらに点eと点fとの座標の距離を演算することにより、キャリア18の開口の内側の幅Eを求めることができる。また、点gと点hとの距離を演算することにより、開口の縁の幅Gを求めることができる。なお、同様の測定をキャリア18の複数箇所について行うことにより、開口の内側の幅Eや開口の縁の幅Gを複数箇所について求めることができる。これにより前記幅Eや幅Gの分布を求めることが可能である。これらの測定は、キャリア18のドア92を開けた状態の本体91について行う。
また、同様に、図11のようにウエハ97の中央部の点i,j,k,l,m,nを含む画像を撮像部25により撮像し、画像処理部111が各画像内での点i,j,k,l,m,nに相当するエッジ部分を検出し、寸法測定演算処理部64が点i,j,k,l,m,nの座標を演算し、点i,j,k,l,m,nの間隔をそれぞれ求めることにより、ウエハ97の前縁中央部の間隔Iを測定することができる。このとき、点i,j,k,l,m,nのX座標としては、先に求めた開口の内壁の幅Eから、ウエハ97の間隔Iを求めたい所望の位置のX座標を用いることにより、ウエハ97の端部や中央部等の任意の位置でのウエハ間隔Iを測定することができる。
また、測定ヘッド10の撮像部25による撮像に加えて、レーザAF部30を用いることにより、Y軸方向の座標を高精度に求めることができる。このときレーザAF部30は、図5(a),(b)で説明したようにレーザ光の発光方向を縦配置と横配置に変換できるため、測定対象の手前に突出した構造でレーザ光が蹴られやすい狭い部分についてもレーザAF部30による測定を行うことができる。ここでレーザAF部30を用いた測定の一例として、開口の縁のドア突きあて面98の平面度を測定する動作について図10および図12を用いて説明する。寸法測定演算処理部64は、メモリ67に格納された図12のフローに示した内容のプログラムを読み込んで、これを実行することにより、測定を行う。図12のフローでは、図10のa,b,c,d点の座標が用いられるが、この座標は、この測定よりも前に寸法測定演算処理部64が撮像部25による撮像により測定した座標か、もしくはオペレータから入出力部114を介して指定された座標を用いる。
まず、寸法測定演算処理部64は、回転駆動制御部58に指示を出力し、レーザAF部30のAF回転部43を回転させることにより、レーザAFの配置を図5(b)の横配置に設定する(ステップ121)。つぎに、寸法測定演算処理部64は、XYZ駆動制御部55に移動を指示するとともに、XYZカウンタ56から検出結果を受け取って移動量のフィードバック処理をすることにより、測定ヘッド10の焦点位置105を、突きあて面98のa点まで移動させる(ステップ122)。つぎに、寸法測定演算処理部64は、レーザ制御部57に指示して、半導体レーザ26を出射させ(ステップ123)、この状態でXYZ駆動制御部55に指示して予め定めた速度で測定ヘッド10をX軸方向に移動させながら(ステップ124)、焦点位置105からの対象物のY軸方向のずれ量をレーザ制御部57から受け取る(ステップ125)。寸法測定演算処理部64は、レーザ制御部57から受け取ったY軸方向のずれ量からY軸座標を正確に演算する。また、各地点のXZ座標は、XYZ軸測長部36,37,38の検出信号をXYZカウンタ56で読み取り、設定する。これらステップ124,125を測定ヘッド10の座標がb点まで達するまで続ける。ただし、その途中で、ステップ125において受光素子27で受光ができなくなったことが、レーザ制御部57の出力から判明した場合には、レーザ光が開口の縁で蹴られていると判断し、ステップ127に進む。
ステップ127では、突きあて面98の縦方向の面精度を測定するため、寸法測定演算処理部64は、点cの座標まで測定ヘッド10を移動させる。移動に際しては、ステップ122と同様に、XYZ駆動制御部55に移動を指示するとともに、XYZカウンタ56から検出結果を受け取ってフィードバック処理をする。つぎに、寸法測定演算処理部64は、回転駆動制御部58に指示を出力し、レーザAF部30のAF回転部43を回転させることにより、レーザAFの配置を図5(a)の縦配置に設定する(ステップ128)。そして、XYZ駆動制御部55に指示して予め定めた速度で測定ヘッド10をZ軸方向に移動させながら(ステップ129)、対象物の焦点位置105からのY軸方向のずれ量をレーザ制御部57から受け取る(ステップ130)。寸法測定演算処理部64は、レーザ制御部57から受け取ったY軸方向のずれ量からY軸座標を正確に演算する。また、各時点のXZ座標は、XYZ軸測長部36,37,38の検出信号をXYZカウンタ56で読み取り、設定する。これらステップ129,130を測定ヘッド10の座標がd点まで達するまで続け、測定を終了する。ただし、その途中で、ステップ130において、受光素子27で受光ができなくなったことがレーザ制御部57の出力から判明した場合には、レーザ光が開口の縁で蹴られていると判断し、測定を終了する。
寸法測定演算処理部64は、これらの測定で得られた突きあて面98上の各点のY座標から平面度を求め、その結果を測定結果管理部65に格納するとともに、CRT70に表示させる。
このように、本実施の形態では、測定ヘッド10にレーザAF部30を備えているため、Y軸方向の座標を高精度に測定することができる。したがって、キャリア18の平面度を精度良く測定することができる。また、上述の突きあて面98の測定では、レーザAF部30の配置を縦方向と横方向に変換しながら測定を行うことができるため、縦方向と横方向のどちらか一方の配置では縁で光が蹴られて測定することができないような突きあて面98の測定を、周方向に沿って行うことが可能である。
つぎに、レーザAF部30を用いる別の測定の例として、FOUP型キャリア18の前面18aの開口の縁の面について、フェイシャル基準面142からの距離と平行度を測定する例について説明する。この測定は、キネマティックプレート20の前側側面152が、フェイシャル基準面142と平行であり、しかもキャリア18の前面18aと一致していることを利用して行う。測定は、メモリ67に予め格納されている図18に示したようなフローのプログラムを寸法演算処理部64が実行することにより行う。図18のフローでは、図17のa〜j点についてY座標がレーザAF部30により精密測定されるが、測定ヘッド10の焦点位置105をa〜j点の移動するために必要なXYZ座標は、この測定よりも前に寸法測定演算処理部64が撮像部25による撮像により測定した座標か、もしくはオペレータから入出力部114を介して指定された座標を用いる。
図18のように、寸法測定演算処理部64は、キネマティックプレート20上にFOUP型キャリア18が配置されていることを前述の図20や図21の制御部201の出力により確認する(ステップ171)。そして、寸法測定演算処理部64は、XYZ駆動制御部55に移動を指示するとともに、XYZカウンタ56から検出結果を受け取って移動量のフィードバック処理をすることにより、測定ヘッド10の焦点位置105を、キネマティックプレート20の前側側面152のa点とb点に移動させ、レーザAF部30によりa点とb点のY軸座標をそれぞれ測定する(ステップ172)。測定値は測定結果管理部65に格納する。つぎに、このa点とb点のY軸座標の位置で、XYZカウンタ56のYカウンタを0にリセットする。なお、X軸移動部15のX軸方向は、図23〜図27を用い後で説明するXYZ軸の軸方向の調整により前側側面152と平行に正確に調整されているので、a点とb点のY軸座標は一致している。
寸法測定演算処理部64は、測定ヘッド10をc点〜j点に順に移動させ、レーザAF部30によりY軸座標をそれぞれ測定する(ステップ174〜177)。これにより、リセットした前側側面152からのc点〜j点のY軸方向の位置が測定される。測定結果と予め定めた位置許容値(±0.5mm)とを比較し(ステップ178)、許容値以内であれば合格、許容値外であれば不合格であると判定する(ステップ180,181)。また測定したc点〜j点のY軸方向の位置およびc点〜j点のXY座標を用いて、最小二乗平面を算出し、この算出した平面とフェイシャル基準面142との平行度を算出する(ステップ182,183)。上記c点〜j点のY軸方向の位置、判定結果、および平行度は、測定結果管理部65に格納するとともに、CRT70に表示する。
このように、本実施の形態の形状測定機は、キネマティックプレート20の前側側面152を、キャリア18のフェイシャル基準面142と平行な面としているため、キャリア18の前面18aの平面度をキャリア18のフェイシャル基準面142を基準として測定することができる。これにより、ピン20a,20b,20cの配置を検出することなく、フェイシャル基準面142を基準とする測定を行うことができる。したがって、実際にキャリア18が用いられている半導体デバイスの製造工程でのキャリア姿勢をフェイシャル基準面142を基準として正確に把握することができるという効果が得られる。さらに、キネマティックプレート20の前側側面152の位置が、キャリア18の前面18aの設計上の目標位置と一致している場合には、前側側面152に対する前面18aの偏差を測定するという簡単な方法で、前面18aの測定を行うことが可能である。図16で示したキャリア18の左側側面18bを測定する際にも、左側側面18bの設計上の目標位置を表す左側側面153を用意すれば、同様に両者の偏差を測定する方法によって、左側側面18bの測定を行うことも可能である。このようにキネマティックプレート20に、設計上の目標値を表す形状を形成することにより、キャリア18の基準面を意識することなく測定を行うことが可能である。
また、キネマティックプレート20は、フェイシャル基準面142のみならず水平基準面141およびバイラテラル基準面143と平行な面も有する構成であるので、同様に、これらを基準面として、キャリア18の形状を測定することにより、水平基準面141やバイラテラル基準面143に基づいた測定を容易に行える。したがって、実際にキャリア18が用いられる半導体デバイスの製造工程で、キャリアに収納されたウエハのロボットアームによるローディングおよびアンローディングの信頼性の保証や、FOUP型キャリア18のドア92の開閉の信頼性の保証や、キャリア18の縁の面18aを密着させるロードポートとのシール性の保証が可能になる。
つぎに、レーザAF部30を用いるさらに別の測定の例として、FOUP型キャリア18に収納されたウエハ97の前縁形状から、収納状態のウエハ97の中心のXY座標を求める測定について説明する。この測定も、メモリ67に予め格納されている図29のフローのようなプログラムを寸法測定演算処理部64が実行することにより行う。図29のフローでは、測定点としてa,b,cの3点が用いられるが、a〜c点に測定ヘッド10を移動させるために必要なXYZ座標は、この測定よりも前に寸法測定演算処理部64が撮像部25による撮像で測定した座標か、もしくはオペレータから入出力部114を介して指定された座標を用いる。まず、測定ヘッド10をa点に移動させ、レーザAF部30によりY座標を高精度に測定することにより、a点の座標値(X1,Y1,Z1)を得る(ステップ291、292)。同様にb点、c点についてもレーザAF部30を用いて測定したb点の座標値(X2,Y2,Z2)、c点の座標値(X3,Y3,Z3)を測定する。測定したa〜c点座標値のうち、X座標値とY座標値を円の公式(Xi−X0)2+(Yi−Y0)2=R2(ただし、i=1,2,3)に代
入し、中心座標値(X0,Y0)を算出する(ステップ295)。これにより、キャリア18に収容された状態のウエハ97の中心のXY座標(X0,Y0)を算出することができる。
また、ウエハ97の中心座標の高さ(Z座標Z0)は、図30(a)のように左右のティース93について直接測定した座標値からウエハ97に自重撓みが無いとした場合の収納ウエハの想定高さTcを求め、これにウエハ97の自重撓みを加えることにより求めることができる。ウエハ97の自重撓みとは、ウエハ97の直径、厚さ、材質により定まる撓み量であり、計算により求めることができる。想定高さTcは、図31のようにフェイシャル基準面142位置で左右のティース93の端部について測定した高さ(Z座標)TL、TRを数式Tc=(TR+TL)/2に代入することにより算出することができる。また、収容ウエハ97の想定傾きθは、θ=tan-1((TR−TL)/W)(ただし、Wは、左右のティース93の間隔である)により算出することができる。想定高さTc、想定傾きθは、多段に配置されたティース93の各段毎に求めることができる。これにより、収納されているウエハ97ごとに中心座標の高さを求めることができる。
また、キャリア18がFOUP型ではなくオープンタイプの場合には、図32のようにティース93の前縁の高さTFと後縁の高さTBとを測定することができる。これを数式Tc’=(TF+TB)/2に代入することにより、ティース93の前後方向中央の想定高さTc’を算出することができる。同様にティース93の想定傾きθ’は、θ’=tan-1((TR−TL)/L)(ただし、Lは、ティース93の前後の長さである)により算出することができる。また、ティース93上のウエハ97の中心高さは、図30(b)のように、ウエハ97がティース93に沿って自重で撓むことを考慮することにより求めることができる。
つぎに、XYZ軸移動部15,16,17のXYZ移動軸を、FOUP型キャリア18のxyz軸と平行にする調整について説明する。FOUP型キャリア18のxyz軸は、図14に示したように、キャリア18の前面の左隅を原点とし、水平基準面141、フェイシャル基準面142、バイラテラル基準面143に基づいて定められる軸である。x軸は、フェイシャル基準面142と水平基準面141との交線に平行であり、y軸は、バイラテラル基準面143と水平基準面141との交線に平行であり、z軸は、フェイシャル基準面142とバイラテラル基準面143の交線に平行である。XYZ軸移動部15,16,17のXYZ移動軸をキャリア18のxyz軸に平行に調整しておくことにより、キャリア18および収容されているウエハの形状および姿勢を、xyz軸に基づいて正確に把握することができる。また、キャリア18の形状は、xyz軸に平行な部分が多いため、XYZ軸移動部15,16,17の1軸または2軸を移動するだけで、測定ポイントを撮像部25とレーザAFの焦点深度内に測定ポイントを収めることが可能になり、測定時間を短縮することも可能になる。
XYZ軸移動部15,16,17のXYZ移動軸を、キャリア18のxyz軸と平行にする調整動作について、図23〜図27を用いて説明する。ホストコンピュータ113のメモリ67には、予め図26および図27のフローに示したプログラムが格納されている。寸法測定演算処理部64は、このプログラムを読み込んで実行することにより、上記調整をおこなう。まず、寸法測定演算処理部64は、測定ヘッド10の先端に変位計231を取り付けるようオペレータに促す表示をCRT70に表示する(ステップ261)。オペレータは、図23のように変位計231を取り付ける。このとき、変位計231のセンサの軸が、測定ヘッド10の光軸103と一致するように取り付ける。変位計231の出力は、変位計表示器232に表示されるとともに、寸法測定演算処理部64に入力される。オペレータは、ジョイスティックユニット71のジョイスティックを操作して、変位計231のセンサの先端をプレート20の前側側面152まで移動させる。寸法測定演算処理部64は、X軸移動部15を動作させて測定ヘッド10をX方向に移動させながら、そのときの変位計231の出力を取り込む(ステップ263)。プレート20の前側側面152はすでに述べたようにフェイシャル基準面142と平行であるため、これによりX軸のY軸方向への傾斜量を検出できる。つぎにオペレータは、ジョイスティックを操作して、変位計231のセンサの先端をプレート20の上面151まで移動させる。寸法測定演算処理部64は、X軸移動部15を動作させて測定ヘッド10をX方向に移動させながら、そのときの変位計231の出力を取り込む。プレート20の上面152は水平基準面141と平行であるため、これによりX軸のZ軸方向への傾斜量を検出できる。
寸法測定演算処理部64は、取り込んだ変位の値からX軸移動部15のX軸について前側側面152および上面151に対する平行度を求め、平行であれば、補正値0としてステップ265へ進み、平行でなければX軸のY軸およびZ軸方向への傾斜量をキャンセルするための補正値(傾斜量)をそれぞれ作成してからステップ265cへ進む(ステップ264,265a,265b)。寸法測定演算処理部64は、作成した補正値を内蔵するメモリに格納し、それ以降の調整および寸法測定動作のためにXYZ軸移動部15,16,17を移動する際には、常にこの補正値を考慮して、移動量を制御することにより、X方向の移動をFOUP型キャリア18のx軸と平行に調整することができる。
つぎに、ステップ265cでは、オペレータが変位計231のセンサの先端をプレート20の横側側面153と上面152とにそれぞれ移動させ、寸法測定演算処理部64は、その都度Y軸移動部16を動作させて測定ヘッド10をY方向に移動させながら、変位計231の出力を取り込む。これにより、Y軸のX軸方向への傾斜量とZ軸方向への傾斜量とを検出できる。寸法測定演算処理部64は、取り込んだ変位の値からY軸移動部16のY軸の横側側面153および前側側面152に対する平行度を求め、平行であれば、補正値0とし、平行でなければY軸のX軸およびZ軸方向への傾斜量をキャンセルするための補正値(傾斜量)を作成する。寸法測定演算処理部64は、作成した補正値を内蔵するメモリに格納し、これ以降にXYZ軸移動部15,16,17を移動する際にはこの補正値を考慮して、移動量を制御することにより、Y方向の移動をFOUP型キャリア18のy軸と平行に調整することができる。
つぎに、ステップ270、271では、オペレータに直角治具250をプレート20の上面に搭載するように促す表示を行う。オペレータは、図24のように、直角治具250の互いに直角な側面251,252が、バイラテラル基準面143とフェイシャル基準面142に一致するようにプレート20上に載置する。直角治具250は、図25(a)、(b)、(c)のような形状であり、上面253および下面254は、側面251,252に対して直角であり、しかも、側面251と側面252は互いに直角である。そして、オペレータのジョイスティック操作により、変位計231の先端が直角治具250の前側側面252を測定する位置まで測定ヘッド10を移動させる(ステップ272)。寸法測定演算処理部64は、この状態でZ軸移動部17を動作させて測定ヘッド10をZ方向に移動させながら、変位計231の出力を取り込む(ステップ273)。これにより、Z軸のY軸方向への傾斜量を検出する(ステップ274)。そして、傾斜量を補正するためにZ軸移動部17のレール17aをY軸方向に傾斜させるべき量をCRT70に表示して、オペレータに調整を促す(ステップ275)。オペレータは、レール17aのねじを調整して、レール17aの軸方向をY軸方向に傾斜させ調整する。
同様にステップ276〜279では、変位計231の先端が直角治具250の横側側面251を測定するようにし、Z軸移動部17を動作させて測定ヘッド10をZ方向に移動させながら、変位計231の出力を取り込む。そして、Z軸のX軸方向への傾斜量を検出し、傾斜量を補正するためにZ軸移動部17のレール17aをX軸方向に傾斜させるべき量をCRT70に表示して、オペレータに調整を促す。オペレータは、レール17aのねじを調整してレール17aの軸方向をX軸方向に傾斜させ調整する。これによりZ軸移動部17のZ方向をFOUP型キャリア18のz軸に平行に機械的に調整することができる。
以上の動作により、XYZ軸移動部16,17,18のXYZ軸を、FOUP型キャリア18のxyz軸に平行に調整することができる。なお、ここでは、X軸Y軸の調整を寸法測定演算処理部64のソフト上の補正により調整し、Z軸を機械的に調整しているが、XYZ軸をすべてソフト上の補正により調整することも可能であるし、XYZ軸をすべてレール15a,16a,17aの軸調整により機械的に調整することも可能である。
つぎに、本発明の第2の実施の形態のキャリア形状測定機について説明する。第2の実施の形態では、測定ヘッド10の焦点位置105と測定ヘッド10の先端との距離、すなわち作動距離が、図33(a)のようにキャリア18の前面18aとティース93の前端との距離よりも長くなるように設計されている。他の構成は、第1の実施の形態と同じにする。測定ヘッド10の先端とは、最も測定対象側の端部をいう。図4の構成の場合、リング状鏡筒102の窓39、40が測定ヘッド10の先端となる。作動距離は、対物レンズ24、集光レンズ28、29等のレンズ系の焦点距離およびレーザAF部30の光軸104の向きを設計することにより、長くすることができる。作動距離をキャリア18の前面18aとティース93の前端との距離よりも長くすることにより、キャリア18の前面18a付近に測定ヘッド10を配置しながら、ティース93の前端を直接測定できるため、キャリア18の前面18aとティース93との距離等を精度良く測定することができる。
また、図33(b)のように測定ヘッド10の作動距離をさらに長くする設計を行い、作動距離をロボティックハンドル94の基部と前面18aとの距離よりも長くすることもできる。この場合、キャリア18の前面18aとロボティックハンドル94の基部との距離等を精度良く測定することができる。
このように、測定ヘッド10の作動距離を長く設計することにより、直径300mmのウエハ97を収納するキャリア18のように大型のキャリアについても、形状や大きさを光学的手法で測定できるため、精度の良い測定を行うことができる。
つぎに、本発明の第3の実施の形態の形状測定機について説明する。第1の実施の形態では、キネマティックプレート20は、キャリア18の開口を測定ヘッド10に対向させる向きに固定されていたが、第3の実施の形態では、キネマティックプレート20の向きを回転させて取り付けることができる構成とする。この他の構成は、第1の実施の形態と同じにする。具体的には、図34(a)のようにキネマティックプレート20に、キネマティックプレート20の中心に対して回転対称な位置に配置された4つのボルト通し穴346を設ける。また、キネマティックプレート20の角の一箇所に突起347を設ける。一方、ステージ12には、図34(e)のように4つのボルト通し穴346に対応する位置にねじ穴を設けている。これにより、固定ボルト348をボルト通し穴346に通してねじ穴345に固定することにより、キネマティックプレート20を図34(a)〜(d)のうちのいずれの向きであっても、ステージ12に固定することができる。ステージ12の側面には、突起347を検出するためのスイッチ341〜344が四方に配置されている。
したがって、キャリア18の前面、すなわち図14のFOUP型キャリア18のxz面を測定したい場合には、図34(a)の向きでキネマティックプレート20をステージ12に固定することにより、搭載されるキャリア18の前面を筐体11側に向けることができる。図34(a)の向きのキネマティックプレート20の突起347は、スイッチ341で検出される。よって、スイッチ341が突起348を検出した場合には、キネマティックプレート20がキャリア18の前面測定の向きであることが検知される。スイッチ341の出力信号は、後述する座標変換器351で座標変換に用いられる。同様に、キャリア18の左側面(キャリア18のxyz座標系(図14)で−yz面)を測定したい場合には図34(b)の向きに、背面(−xz面)を測定したい場合には図34(c)の向きに、キャリアの右側面(yz面)を測定したい場合には図34(d)の向きにキネマティックプレート20をステージ12に搭載する。
このようにキネマティックプレート20の向きを回転させて取り付けることにより、ピン20a,20b,20cにキャリア18を搭載するだけで、正確にキャリア18の向きを所望の向きに向けて、その向きから形状測定することができる。したがって、キャリア18の全体の形状を高精度に測定することが可能となる。これにより、人力搬送が困難で自動搬送が必要な大型のキャリア18について、全体形状を精度良く測定できるため、自動搬送の動作信頼性を保証することができる。
また、キネマティックプレート20の向きの回転は、キャリア18の搭載前に行う。これにより、回転によりキャリア18や収納されたウエハに衝撃を与えるおそれはなく、キャリア16やウエハの姿勢が崩れることはない。よって、どの向きでもキネマティックカップリングにより位置決めされた状態のキャリア18の姿勢を高精度に測定できるという効果が得られる。
なお、図34(a)〜(d)のようにキネマティックプレート20を回転させて配置した場合には、CCDカメラ22の画像上の座標系(xM、yM)(図36(b)参照)が、キャリア18のxyz座標系では図34(a)の配置の場合はxz平面に対応し、図34(b)の配置の場合−yz面に対応し、図34(c)の配置の場合−xz面に対応し、図34(d)の配置の場合yz面に対応する。このため、寸歩測定演算処理部64が、CCDカメラ22の画像の中心座標と、その中心座標を示すXYZカウンタ56の座標XYZ(XYZ軸移動部15,16,17の機械座標XYZ)とを重ね合わせて画像上の各画素の座標を求める前に、座標軸を変換しなければならない。本実施の形態では、図35のように画像処理部111とホストコンピュータ113との間に、座標軸変換器351を配置している。座標軸変換器351は、スイッチ341〜344の出力が入力され、この出力によりキネマティックプレート20が図34(a)〜(d)のどの向きであるかを検出し、その結果に応じて、画像処理部111の出力画像の座標とXYZカウンタ56の出力座標とを座標変換して寸法測定演算処理部64に受け渡す。
具体的には、座標軸変換器351がスイッチ341から出力信号を受け取った場合には、xz面(開口面)がCCDカメラ22により撮影される向きに搭載されているので、CCDカメラ22の画像上の座標軸xM、yMを、座標軸x、zに変換する(図36(a))。例えば、図35の画像351のような画像がCCDカメラ22により撮像された場合、画像351上の点はCCDカメラ22の出力画像上の座標軸xM、yMにより2次元で表され、これにzを付加して3次元とすると、p03という点の座標は(xM,yM,z)=(5,24,z)である。このxMyM面がキャリア18の軸ではxz平面に対応するからxMをxに、yMをzに対応させる座標変換を座標軸変換器351が行い、p03の座標を(5,y,24)に変換する(図35の画像352を参照)。
また、座標軸変換器351がスイッチ342から出力信号を受け取った場合には、−yz面(左側面)がCCDカメラ22により撮影されている向きに搭載されているので、CCDカメラ22の画像上の座標軸xM、yMのxMを−yに、yMをzに変換する(図36(a))。よって例えば、変換前の(5,24,z)という座標は(x、−5,24)に変換される。同様に、座標軸変換器351がスイッチ343から出力信号を受け取った場合には、−xz面(背面)がCCDカメラ22により撮影されているので、CCDカメラ22の画像上の座標軸xM、
yMのxMを−xに、yMをzに変換する。よって例えば、変換前の(5,24,
z)という座標は(−5,y,24)に変換される。また、座標軸変換器351がスイッチ344から出力信号を受け取った場合には、yz面(右側面)がCCDカメラ22により撮影されているので、CCDカメラ22の画像上の座標軸xM、yMのxMをyに、yMをzに変換する。よって例えば、変換前の(5,24,z)という座標は(x,5,24)に変換される。
一方、座標軸変換器351は、XYZカウンタ56の出力座標も変換する。測定ヘッド10に対向する面をXYZカウンタ56の軸で表すとXZ面であるが、実際に測定ヘッド10に対向している面は、スイッチ341が出力しているときにキャリア18のxyz軸ではxz面、スイッチ342が出力しているときには、−yz面、スイッチ343が出力しているときには−xz面、スイッチ344が出力しているときにはyz面である(図36(a)参照)。よって、座標軸変換器351は、CCDカメラ22の画像の中心位置を示すXYZカウンタ56の座標を、キャリア18の座標軸に変換して寸法測定演算処理部64に受け渡す。スイッチ341が出力している場合には、変換前のXZ面をキャリア18のxz面の座標の画像354に変換する(図35の画像353,354参照)。よってこの場合は、実質的な座標系の変更はなく、CCDカメラ22の画像の中心位置を示すXYZカウンタ56の座標(130,Y,210)を(130,y,210)に変換して寸法測定演算処理64に受け渡す。同様に、スイッチ342が出力している場合には、座標変換器351は、XYZカウンタ56の座標(130,Y,210)を(x,−130,210)に変換し、スイッチ343が出力している場合には(−130,y,210)に変換し、スイッチ343が出力している場合には(x,130,210)に変換する。
寸法測定演算処理部64では、座標軸変換器351から受け取った座標軸変換後のCCDカメラ22の出力画像352上の中心座標(0,y,0)が、その位置を表すXYZカウンタ56の座標を変換した座標(130,y,210)に重ね合わせる演算を行い、画像352の各画素の座標を算出する。算出後の座標は図35の画像355のようになる。寸法測定演算処理部64は、画像355上の各点の座標を用いて、画像355に示される形状の横幅や縦幅の計算を図35のように行う。
このように、第3の実施の形態では、座標軸変換器351を配置したことにより、キネマティックプレート20を回転させた場合にも、キャリア18の向きの座標に合わせて、形状を測定することができる。
なお、第3の実施の形態では、座標軸変換器351により変換した座標を用いて寸法演算を行う構成であったが、寸法を求めたい部分が、CCDカメラ22の一つの画像、すなわち一画面内に収まっている場合には、座標変換することなく、CCDカメラ22の出力する画像上での座標を用いて寸法演算することができる。例えば、図35の計算式354に示したように計算を行うことにより、CCDカメラ22の一画面内の測定対象物の縦幅および横幅を求めることができる。
つぎに、本発明の第4の実施の形態の形状測定機について説明する。第4の実施の形態の形状測定機は、第3の実施の形態と同様にキネマティックプレート20を回転可能な構成である。第3の実施の形態では固定ボルト348を締め直して回転させる構成であったのに対し、第4の実施の形態では、図37のようにステージ12が回転テーブル372と回転テーブルを回転させる駆動部373とを含む構成とする。回転テーブル372には、キネマティックプレート20をねじ止めするための4つのねじ穴374が設けられている。このねじ止めにより、キネマティックプレート20の3つのピン20a,20b,20cの中心(すなわち、フェイシャル基準面142とバイラテラル基準面143との交点)が回転テーブル372の回転中心375と位置合わせされ、キネマティックプレート20が回転テーブル372上に固定される。駆動部373には、回転駆動制御部371が接続される。また、駆動部373には、回転テーブル372の回転角度を検出する検出部を備えられている。回転駆動制御部371は、オペレータの指示を入出力部114およびホストコンピュータ113を介して受け取り、駆動部373に回転指示を出力し、90度ごとに回転テーブル372を回転させる。これにより、図34(a)〜(d)と同様にキャリア18の前面測定用、左側面測定用、背面測定用、右側面測定用の4つの向きにキネマティックプレート20を向けることができる。よって、キャリア18をキネマティックプレート20に搭載する前に、オペレータが所望する向きにキネマティックプレート20を向けておくことにより、第3の実施の形態と同様にキャリア18を所望の向きに搭載して、キャリア18の全体形状を測定することができる。
なお、回転駆動制御部371からは、回転テーブル372の回転角度情報が座標軸変換器351に入力される。座標軸変換器351は、回転角度情報からキネマティックプレート20の向きを検知し、第3の実施の形態と同様に座標軸の変換を行う。
つぎに、第5の実施の形態の形状測定機について説明する。第5の実施の形態の形状測定機も第3,第4の実施の形態と同様にキャリア18の搭載向きを四方向に変換可能な構成であるが、本実施の形態では、キネマティックプレート20の向きを回転させることなく、複数のキネマティックカップリングピンのうちの一つを選択的に突出させることにより、キネマティックカップリングピンの向きを変更し、キャリア18の搭載向きを変換する。すなわち図38に示すように、キネマティックプレート20には4組のキネマティックカップリングピン20a〜20iが配置されている。このうちピン20a,20b、20cは、図34(a)と同じくキャリア18の前面測定用のキネマティックカップリングピンである。また、ピン20d,20e,20fは、図34(b)と同じくキャリア18の左側面測定用のキネマティックカップリングピンである。ピン20g,20h,20iは、図34(c)と同じくキャリア18の背面測定用のキネマティックカップリングピンである。ピン20j、20k、20lは、図34(d)と同じくキャリア18の右側面測定用のキネマティックカップリングピンである。
これらピン20a〜20lは、いずれもプレート20から出没可能な構成となっている。具体的には、図39(a),(b)に示すように、ピン20a〜20lはプレート20に設けられた貫通孔394内に配置されている。貫通孔394のプレート20の裏面側の開口には、ピン20a〜20lを押し上げるための突き出し棒392と突き出し棒392を出没させる駆動源393が配置されている。駆動源393としては、ソレノイドやエアシリンダ等を用いることができる。また、ピン20a〜20lには、戻しバネ391が巻かれている。駆動源393は、図38のピン上下駆動制御部381に接続されている。
この構成では、ピン上下駆動制御部381が突出させたいキネマティックカップリングピン(例えばピン20a,20b,20c)の駆動源393に突出を指示する信号を出力すると、駆動源393は突き出し棒392を突出させ、図39(b)の状態とする。これにより、そのピン20a,20b,20cは、プレート20の貫通孔394から主平面上に突き出される。また、突出しているピン20a,20b,20cを収納する際には、ピン上下駆動制御部381が駆動源393に収納を指示する信号を出力する。これにより、突き出し棒392は、駆動源393に引き込まれ、戻しバネ391のバネ力により図39(a)のようにピン20a,20b,20cが貫通孔394内に収納される。
ピン上下駆動制御部381は、オペレータからキャリア18の搭載向きを指定する指示を入出力部114およびホストコンピュータ113を介して受け取り、その向きに応じて4組のキネマティックカップリングピンのうちの1組のみを突出させ、他の3組のキネマティックカップリングピンはプレート20内に収納する。オペレータの指示した搭載向きが、キャリア18の前面測定用の向きである場合には、4組のピンのうちピン20a,20b、20cの組を突出させる。また、オペレータの指示した搭載向きが、キャリア18の左側面測定用の向きである場合には、ピン20d,20e,20fの組を突出させる。オペレータの指示した搭載向きが、キャリア18の背面測定用の向きである場合には、ピン20g,20h,20iの組を突出させる。オペレータの指示した搭載向きが、キャリア18の右側面測定用の向きである場合には、ピン20j、20k、20lの組を突出させる。
これにより、図34(a)〜(d)と同様にキャリア18の前面測定用、左側面測定用、背面測定用、右側面測定用の4種類の配置でピン20a〜20lを突出させることができる。よって、キャリア18をキネマティックプレート20に搭載する前に、オペレータが所望する搭載配置に応じたピン20a〜20lの組を突出させておくことにより、第3、第4の実施の形態と同様にキャリア18を所望の向きに搭載でき、キャリア18の全体形状を測定することができる。
なお、ピン上下駆動制御部381からは、ピン20a〜20lのうちどの組のピンを突出させたかが座標軸変換器351に入力される。座標軸変換器351は、突出させたピンの組からキャリア18が搭載される向きを検知し、第3、第4の実施の形態と同様に座標軸の変換を行う。
上述した第1の実施の形態では、キネマティックプレート20が図15のように水平基準面141、フェイシャル基準面142,バイラテラル基準面143に平行な面151,152,153等を有する構成とし、これらの面151,152,153を利用してXYZ軸移動部15,16,17の軸方向の調整をした(図26,図27)。しかしながら、キネマティックプレート20を基準面141,142,143に平行な面を有さない構成にすることもできる。この場合も、図42,図43に示すような直角治具410を用いることにより、XYZ軸移動部15,16,17の軸方向の調整を行うことができる。
直角治具410は、プレート部411とプレート部411の上面に固定された直角柱部412とを有する。プレート部411の裏面には、プレート20に搭載された際にピン20a,20b,20cのキネマティックカップリングするV溝状凹部421a,421b,421cが設けられている。また、プレート部411の上面416は、キネマティックカップリングよりプレート20に搭載された状態で、水平基準面141と平行な面になるように形成されている。また、プレート部411の前側(筐体11側)の側面415は、フェイシャル基準面142と平行となるように形成され、横側側面417は、バイラテラル基準面143と平行となるように形成されている。直角柱部412は、互いに直角な側面413,414が、フェイシャル基準面142とバイラテラル基準面143に対して一致するように配置されている。
この直角治具410を用いて、XYZ軸移動部15,16,17のXYZ軸を軸調整する手順を図40、図41のフローを用いて簡単に説明する。軸調整の手順は、第1の実施の形態の図26,図27のフローと基本的には同じであるが、ステップ261の次に直角治具410をキネマティックプレート20の上に搭載するという点が異なる。というのは、キネマティックプレート20が基準面141,142,143に平行な面を有していないため、最初に直角治具410を搭載し、直角治具410の面415,416、417を用いてXY軸の軸調整を行う必要があるためである。よって、図40のステップ462〜469までの各ステップは、図26のステップ262〜269までの各ステップの動作と基本的には同じであるが、図26のフローではプレート20の前側側面152,上面151,横側側面153を用いたステップで、図40のフローでは直角治具410の前側側面415,上面416,横側側面417を用いる点が異なっている。これら図40の各ステップによりXY軸移動部15,16のX軸、Y軸の調整を補正値によりソフト的に行うことができる。同様に図41のフローのステップ472〜479は、図27のフローのステップ272〜279と基本的に同じであるが、図27のフローではプレート20の前側側面252、横側側面413を用いているステップで、図40のフローでは直角治具410の前側側面414,横側側面413を用いる点が異なっている。これら図41の各ステップによりZ軸移動部17のZ軸の調整を機械的に行うことができる。
また、第1の実施の形態の形状測定機では、キネマティックカップリングによりキャリア18を支持するために、ステージ12の上にキネマティックプレート20を搭載しているが、にステージ12の上面に直接キネマティックカップリングピン20a,20b,20cを設ける構成することも可能である。
上述してきたように、本発明の第1〜第5の実施の形態の形状測定機は、ステキネマティックプレート20により、キネマティックカップリングによりキャリア18を支持および位置決めした状態でキャリア形状を測定することができるため、半導体デバイス製造ラインでのキャリア姿勢を再現して、キャリアとウエハの形状および姿勢を精度良く測定できる。