JP5078602B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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溝(エンボス)加工とは吸収体を熱圧縮処理し、表面に熱圧縮部と非圧縮部とを設ける加工法である。この技術により、吸収性物品の表面部分の液体吸収性を変化させたり、液滲みやヨレを防止したり、液体の流動性を制御したりすることなどが試みられてきた(特許文献1〜3参照)。しかしながら、溝加工に代表される熱圧縮加工は、表面シートを吸収体深さ方向に引き伸ばす分、表面材との密着度を高めて吸収速度をある程度高める効果はあるものの、短時間で大量の液体を瞬時に身体から引き離すことができるような吸収性能と上述の表面特性の両立については未だ満足できるものは開発されていない。
図1は本発明の吸収性物品の2辺を断面で示した斜視図である。本実施形態の吸収性物品は肌当接面側に液透過性の表面シート1と、非肌当接面側に裏面シート2と、及び該両シートの間に配された吸収体3とを有する。表面シート1と吸収体3は重ね合わされ、重ね合わされた表面シート1と吸収体3が共に、図1では上方側の肌当接面側に隆起して、凹凸形状を有している。具体的には、裏面シート2側から肌当接面側に突出する凸部4と底部となる凹部が形成されている。
ただし、繊維表面は親水性とされていることが必要であり、ポリエチレン、ポリプロピレンやポリエステル等の合成樹脂による繊維を使用する場合には、界面活性剤等を用いて繊維の表面に親水化処理を施しておくことが好ましい。親水化処理に用いる界面活性剤としては、親水基と親油基を持つ親水性の界面活性剤であれば特に制限されないが、アニオン系界面活性剤、及び、エチレンオキサイド系の付加モル数の高いノニオン系界面活性剤が好ましい。具体的には、スルホコハク酸エステル、アルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステルなどが好ましい。
表面シート1の坪量は10〜50g/m2であることが好ましく、15〜40g/m2であることがより好ましい。吸収性、装着感、経済性の観点から好ましい範囲といえるものである。
凸部4の間隔は特に限定されないが、単位面積当りの凸部の個数でいうと、1cm2当り1〜9個であることが好ましく、1〜5個であることがより好ましい。特に1cm2当り9個を超えると、吸収性物品全体が硬くなり、装着感を損なう可能性がある。
第1樹脂成分は該繊維の熱伸長性を発現する成分であることが好ましく、第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分であることが好ましい。第1樹脂成分はその配向指数が30〜60%になっていることが好ましく、35〜55%になっていることがより好ましい。一方、第2樹脂成分はその配向指数が40%以上になっていることが好ましく、50%以上になっていることがより好ましい。第2樹脂成分の配向指数の上限値は特に限定されず高いほど好ましいが、通常70%程度であればよい。配向指数は、繊維を構成する樹脂の高分子鎖の配向の程度の指標となるものである。そして、第1樹脂成分及び第2樹脂成分の配向指数がそれぞれ前記の値であることによって、熱伸長性複合繊維に良好な加熱伸長性を与えることができる。
(1)ポリプロピレンとして、そのメルトフローレート(以下、MFRともいう)が10〜35g/10minで、そのQ値が2.5〜4.0のものを用い、ポリエチレンとして、そのMFRが8〜30g/10minで、そのQ値が4.0〜7.0のものを用いる組み合わせ。
(2)ポリプロピレンとして、そのMFRが12〜30g/10minで、そのQ値が3.0〜3.5のものを用い、ポリエチレンとして、そのMFRが10〜25g/10minで、そのQ値が4.5〜6.0のものを用いる組み合わせ。
製)を用い、細かく裁断した繊維試料(サンプル質量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定し、その融解ピーク温度で定義される。
第2樹脂成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合は、第2樹脂成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に第2樹脂成分が融着する温度を軟化点とする。
熱伸長性繊維については、例えば、特願2005−353780号明細書に記載されたものを用いることができる。
表面シート1は、吸収体3の凸頂部3a、凸部の側壁部3b、及び凹部底面3cのいずれの位置においても吸収体3に接合された状態で配置されており、吸収体3の凸頂部3aにおいて、表面シート1は押圧されており、更に吸収体3の凸部の側壁部3bから底部3cにかけて、接合された表面シート1の厚み漸次高くなっている。条件によっては、吸収体3の凸頂部3a、凸部の側壁部3b、及び凹部底面3cの内、凹部底面では一部のみ接合された状態となるが、一体化による効果は損なわれず、シートの柔軟性がより良好となる。
凸領域14の表面シート1の面積率は55〜90%が好ましく、55〜70%がさらに好ましい。また、凹領域13の面積率は10〜45%が好ましく、20〜45%がさらに好ましい。
吸収体における裏面シート側から見た凸領域14の面積率は55〜90%が好ましく、55〜70%がさらに好ましい。また、凹領域13の面積率は10〜45%が好ましく、20〜45%がさらに好ましい。
このとき、吸収体3として表面シート1より吸収保持力の高いパルプ繊維を用いることで、表面シート1を通過してきた液体を取り込み、逆戻りさせずに確実に保持することができる。
また、表面シート1は、凸領域14より凹領域13の面積率を小さくすることで、液体を引き込む力の大きい密度の高い凸領域と肌との面積率を高くすることができるため、素早く肌側の液体を吸収し吸収体3へ液を移行できる。
まず、原反ロールから表面シートとなる不織布シート21をくりだす。これとは別の原反ロールから主成分が天然系繊維を解繊して得られたパルプ繊維で形成された吸収体22の方向にくりだす。そして、くりだされた不織布シート31と吸収体32重ね合わせ、図4の模式的な断面図に示されるように、所定のパターンで凹凸成型された、凸部33と凹部34からなる噛み込み方式のエンボスロール上で一体変形し、同時にエンボスロールの凸部33にて不織布シート31と吸収体32を部分的に圧着させる。このとき凸部33のピン状部材が、上方から吸収体32を押し下げるようにして、不織布シート31と吸収体32を部分的に圧着させる。このエンボス加工により吸収体32に圧着された部分の不織布シート31は押厚されて薄くなり、厚密化された状態になる。一方、凸部23のピン状部材に押されなかった部分の不織布シート21は疎な空間を維持できる。
本発明の複合シートにおいては、熱処理を行うことで、複合素材凹部の圧縮を解き嵩高く柔らかな状態にすることができる。このとき不織布シートに前記熱伸長性繊維を用いれば(例えば、特願2005−353780号明細書に開示されたものを用いれば)、より効果的に熱処理による嵩高さを得ることができる。このようにして、吸収性物品に用いられる複合素材(吸収シート)に、優れた液体吸収機能と、柔らかなふんわり感とを与えることができる。なお、上記のようにフィルム状に厚密化された不織布シート21は、このような熱処理により伸長することはなく、密度は高いままである。
1a 表面シートの凸部の頂点
2 液不透過性シート
3 吸収体
3a 吸収体の凸頂部
3b 吸収体の凸部の側壁部
3c 吸収体の凹部底面
3d 吸収体の裏面
4 凸部
11 凸頂部の領域
12 凸部の側壁部の領域
13 凹領域
14 凸領域
20 吸収性物品
21 複合素材
22 防漏溝
31 不織布シート
32 吸収体
33 噛み込み方式のエンボスロールの凸部
34 噛み込み方式のエンボスロールの凹部
Claims (2)
- 肌当接面側に液透過性の表面シートと、非肌当接面側に裏面シートと、該両シートの間に吸収体が配された吸収性物品において、
前記表面シートは不織布からなり、
前記吸収体は、パルプ繊維を主成分として含有し、
前記表面シートと前記吸収体が重ね合わされて、該重ね合わされた表面シートと吸収体とが共に裏面シート側から肌当接面側に突出する凸部と底面となる凹部とが形成されており、
前記凸部は頂点を有し、該頂点を通る凸部断面形状は、前記重ね合わされた表面シートと吸収体とが共に前記裏面シートに対してアーチ状をなし、
前記表面シート及び前記吸収体は、前記凸部の頂点を含めた凸頂部及び前記凸部の側壁部において接合されており、更に、前記凸部の側壁部から凹部底面にかけて、表面シートの厚みが漸次高くなっており、
前記凸頂部から凹部底面に至る前記吸収体の密度は、前記凹部底面より前記凸頂部の方が繊維が密である吸収性物品。 - 前記液透過性表面シートが、熱によって伸長する繊維から構成された不織布であることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
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