JP5076571B2 - 廃棄物のセメント固化処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低レベル放射性廃棄物、特にセメント固化を遅くする硝酸塩などの遅延剤分子を含む廃棄物のセメント固化処理方法に関するものである。
低レベル放射性廃棄物には、セメント固化を遅くする硝酸塩などの遅延剤分子が含まれている。この低レベル放射性廃棄物の処理方法として、普通ポルトランドセメントを用いた固化処理が検討されている。
セメントと遅延剤分子を混ぜて水和反応を起こそうとしても、図10に示すように、セメント粒子101の表面に、硝酸塩とセメント粒子のカルシウムイオンとが反応して遅延剤分子錯塩(硝酸カルシウムなどの硝酸塩、ホウ酸塩など)102が形成されるため、セメント粒子101が水和反応を起こしくくなり、凝結が遅延したり(凝結に時間を要したり)、強度不足が発生した。
そこで、遅延剤分子(ホウ酸塩)に水酸化ナトリウムなどを加えてホウ砂を形成してから、そのホウ砂とセメントを混ぜて水和反応を起こし、セメント固化させる手段を取っていた(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−197690号公報
ところが、水酸化ナトリウムは高アルカリで、潮解性などがあるため、取り扱いが困難である。また、水酸化ナトリウムは材料単価が高いため、セメント固化に併用すると処理費用が高くなるという問題があった。さらに、水酸化ナトリウムの原料が固体であるため、水溶液にするためのプロセスを必要とし、工程数が多くなるという問題があった。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、遅延剤分子を含む廃棄物を短時間で、高強度にセメント固化処理できる廃棄物のセメント固化処理方法を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明は、セメント固化を遅くする硝酸塩などの遅延剤分子を含む廃棄物のセメント固化処理方法において、上記廃棄物に、普通ポルトランドセメントと共に硬化促進剤を添加し、セメント粒子表面に、上記遅延剤分子錯塩が形成されるよりも早く硬化物を形成させて、セメントペースト中のカルシウムイオンと遅延剤分子との接触、反応を防ぎつつセメントの水和反応を進行させて凝結、固化させるに際して、上記セメントペーストの水セメント比が30〜40%、硝酸塩含有率が35〜50wt%、及び硬化促進剤の添加率が1〜6wt%であり、かつ上記硬化促進剤が、炭酸ナトリウムの単独、リン酸二水素カリウムの単独、または、炭酸ナトリウムと硫酸アルミニウムの混合物、炭酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの混合物、炭酸ナトリウムとリン酸二水素カリウムの混合物、リン酸二水素カリウムと硫酸アルミニウムの混合物のいずれかである廃棄物のセメント固化処理方法である。
硬化促進剤として、セメントペースト全体に対して炭酸ナトリウムを1.25wt%の割合で、かつ、リン酸二水素カリウムを1.25wt%の割合で添加することが好ましい。
硬化促進剤として、セメントペースト全体に対してリン酸二水素カリウムを1.25wt%の割合で、かつ、硫酸アルミニウムを1.25wt%の割合で添加することが好ましい。
本発明によれば、遅延剤分子を含む廃棄物をセメント固化処理して一日以内で終結でき、かつ、10N/mm2以上の圧縮強度を有するセメント固化体を得ることができるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本実施の形態で用いるセメントは、普通ポルトランドセメントであり、通常的に最も使用されているセメントである。普通ポルトランドセメントを構成するクリンカの組成化合物(成分)とその特性を表1に示す。
Figure 0005076571
セメント中の組成化合物は水と反応して水和物を生成する。水和反応はセメントの細かさ、水量の多少、温度などの影響を受け、複雑な反応過程を示す。
注水直後は、先ず、水和反応速度が非常に速いアルミン酸三カルシウム(C3A)が反応する。図2に示すように、セメントに含まれるC3Aが溶解して、同じくセメントに含まれる石膏(3[CaSO4・H2O])と反応し、エトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)を生成する。図3に示すように、その後しばらくは水和反応が停滞する。その後、けい酸三カルシウム(C3S)及びけい酸二カルシウム(C2S)の水和が活発に生起し、C-S-Hと呼称されるけい酸カルシウム水和物(mCaO・SiO2・mH2O)と水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が急激に生成される。水酸化カルシウムは、硬化体をアルカリ性に保つ。また、水酸化カルシウムは、水溶性で硫酸塩と反応し易いが、ポラゾンの可溶性シリカやアルミナと反応して安定な化合物を生成する。
その後しばらくすると、再び水和反応が緩やかなものとなって終結を向かえた後、モノサルフェート水和物(3CaO・Al2O3・CaSO4・12H2O)及びアルミン酸カルシウム水和物(3CaO・Al2O3・6H2O)が生成される。凝結は一般にC3Sの水和が活発に生起した時点より始まり、漸次水和物の増加に伴って強固な硬化体が形成される。セメントの水和反応の進行と共に、硬化体の毛細管空隙がゲルで満たされて緻密化し、強度が増進する。硬化体の強さは、空隙量又は固体部分の容積の関数で表される。
低レベル放射性廃棄物のセメント固化処理フローを図4に示すように、低レベル放射性廃棄物41と普通ポルトランドセメント42を容器44内で練り混ぜ、セメントペースト43が作製される。容器44としてはドラム缶やミキサーなどが挙げられる。その後、容器44を一時保管所45へと運んで一時保管し、その間にセメントペースト43が凝結される。その後、凝結したセメント固化体の移し替えを行い、地下の貯蔵所46でセメント固化体が半永久的に管理保管される。
ところが、低レベル放射性廃棄物41として硝酸塩(NO3 -)を多量に含む廃棄物(例えば、硝酸塩濃度が70〜75wt%)をセメント固化する場合、図10に示したように、注水直後に、硝酸塩(NO3 -)がセメント粒子101のカルシウムイオン(Ca2+)と反応し、硝酸カルシウム(遅延剤分子錯塩102)が形成される。この硝酸カルシウムがC3Sの水和反応を阻害し、安定した水和物であるC-S-HとCa(OH)2の形成が遅くなってしまう。その結果、セメントの終結までに3日を要してしまうという問題が起こる。
ここで、実際のセメント固化処理プラントを運転するにあたり、以下に示す3つの条件を満足する必要がある。
1)フロー値:セメント固化体は、ドラム缶又はミキサーなどの容器44内で練り混ぜられるが、施工性を判定する基準としてフロー値を用いる。フロー値が小さいと、型枠となる容器44内での硝酸塩廃棄物41とセメント42の練り混ぜが困難となり、施工性が悪くなる。目標値はフロー値が180mm以上(15打)で、ブリーディングが生じないこととする。
2)凝結時間:一時保管所45での保管期間は1日以内であるため、セメントペースト43は練り混ぜ後はなるべく速く凝結、固化することが望ましい。よって、終結時間は最長でも1日以内を目標とする。
3)圧縮強度:セメント固化体の目標圧縮強度は、材齢28日で10N/mm2以上とする。
本実施の形態に係る廃棄物のセメント固化処理方法は、硝酸塩などの遅延剤分子を含む廃棄物をセメント固化処理する際に、廃棄物に、普通ポルトランドセメント及び水と共に硬化促進剤を添加し、図1に示すように、セメント粒子12の表面に硝酸塩(NO3 -:遅延剤分子錯塩)13が形成されるよりも早くカルシウムアルミネート水和物14(硬化物)を形成させ、また、けい酸カルシウム(C3S及びC2S)の水和反応を促進させ、セメントペースト11中のカルシウムイオンと遅延剤分子との接触、反応を防ぎつつセメントの水和反応を進行させて凝結、固化させるものである。
セメントペースト11の水セメント比は30〜40%、硝酸塩充填率(含有率)は35〜50wt%、及び硬化促進剤の添加率は1〜6wt%、好ましくは2.0〜5.5wt%とされる。
硬化促進剤としては、炭酸ナトリウムの単独、リン酸二水素カリウムの単独、または、炭酸ナトリウムと硫酸アルミニウムの混合物、炭酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの混合物、炭酸ナトリウムとリン酸二水素カリウムの混合物、リン酸二水素カリウムと硫酸アルミニウムの混合物のいずれかよい。これら硬化促進剤は、工業的に比較的安価に入手可能であり、またハンドリングも良好である。
特に、硬化促進剤として、セメントペースト11全体に対し、炭酸ナトリウムを2.5wt%の割合で添加すること、炭酸ナトリウムを1.25wt%の割合で、かつ、リン酸二水素カリウムを1.25wt%の割合で添加すること、又はリン酸二水素カリウムを1.25wt%の割合で、かつ、硫酸アルミニウムを1.25wt%の割合で添加することが好ましい。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
硬化促進剤として挙げられる成分は、カルシウムイオンの動きを活発化させ、凝結を促進するものである。硬化促進剤の硬化メカニズムを以下に示す。
(a)硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3),硫酸ナトリウム(Na2SO4
急結剤として市販されているメイコSA163(登録商標、deggusa.製)の主成分である。アルミニウムイオンがセメント中のCa(OH)2と反応してアルミン酸カルシウム水和物(C3AH6)を急速に生成する。
(b)炭酸ナトリウム(Na2CO3
Na2CO3がセメント中のCa(OH)2と反応すると、
Na2CO3+Ca(OH)2→2NaOH+CaCO3
といった反応が生じ、難溶性のCaCO3を生成する方向に反応が進行する。したがって、C3Sやβ-C2Sの水和反応によって生成する液相のCa(OH)2が難溶性のCaCO3として除去されるために、C3S及びβ-C2Sの水和反応が促進される。一方、Na2CO3とCa(OH)2の反応によって生成するNaOHにより、C3Sやβ-C2Sの水和反応初期に生成する低分子のC-S-Hが可溶する。すなわち、NaOHはC-S-Hゾル膜を除去するため、水和反応が進行すると考えられる。また、NaOH及びNa2CO3などは、C3A及び鉄アルミン酸四カルシウム(C4AF)の水和反応を促進するため、セメントが急結する。
(c)アルミン酸ナトリウム(NaAlO2
セメントペースト全体に対してNaAlO2を1〜3wt%の割合で添加すると、1〜2分の可使時間の後にセメントが急結する。NaAlO2の方がNa2CO3より、急結作用が大きい。実用上、NaAlO2はNa2CO3と混合して用いられている。その作用機構は、NaAlO2が水中で加水分解してNaOHとAl(CO)3ゾルとなり、この両者が急結を促進することになるので、反応機構はNaOHに近い。
(d)リン酸二水素カリウム(KH2PO4
リン酸自身は、Ca(OH)2を溶解する働きを示すが、KOHはNaOHと同様にCa2+イオンの溶解を促進し、C4AFの水和反応を促進すると考えられている。
(e)水酸化アルミニウム(Al(OH)3
Al2O3やAl(OH)3をセメントに1%添加して凝結試験を行うと、セメント中のCa(OH)2と反応してC3AH6が急速に生成され、瞬結する。モルタルやコンクリートに対しては急結剤的な働きをするが、柔軟性が無くなり、かつW/C(水セメント比)を増加させるのであまり実用には向いていない。
硬化促進剤は、図1に示すように、セメント粒子12の周りにカルシウムアルミネート(アルミン酸カルシウム)水和物14が形成されるのを促進し、遅延剤分子(硝酸塩(NO3 -))13とセメント粒子12の反応を阻害し、安定したセメント水和反応を生じさせる。また、硬化促進剤は、カルシウムイオンの動きを活発化、活性化させて、けい酸カルシウム(C3S及びC2S)の水和反応を促進させる。これらによって、硝酸塩を含む廃棄物をセメント固化する際、硬化促進剤が無添加の場合は硬化に3日程度かかっていたのが、硬化促進剤を添加することで1日以内で硬化させることが可能となる。
また、これらの硬化促進剤は、セメントペースト11の全重量に対して2.5wt%程度の添加で十分に効果があることから、硬化促進剤を添加することによるコストアップはそれほど大きくなく(セメント固化体1トンあたりのコストアップ分は2500円程度)、ほぼ無視できる範囲である。
また、遅延剤分子のようにセメントの凝結を阻害する物質に対して硬化促進剤を使用すれば、大量の廃棄物を非常に低コストで、かつ、歩留まり良くセメント固化することが可能となる。硬化促進剤の配合比を調整すれば、廃棄物が全体の60wt%程度を占めるセメント固化体であっても、材齢28日の圧縮強度を10N/mm2以上の高強度にすることが可能である。この強度であれば、ドラム缶に入れたセメント固化体を地中にて貯蔵することができる。また、硬化促進剤の量を調整することにより、硬化時間を所望の時間に調整することができる。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
セメント固化体を、コンクリート標準示方書規準編「モルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験用供試体の作り方」(JSCE−F 506−1999)に従って作製した。
セメント固化体の作製用原料として、
セメント:普通ポルトランドセメント(比重:3.16)、
水:水道水、
模擬硝酸塩廃棄物:硝酸ナトリウム(純度:98.0%)、
硬化促進剤:硫酸アルミニウム(RA),硫酸ナトリウム(RN),炭酸ナトリウム(TN),アルミン酸ナトリウム(AN),リン酸二水素カリウム(RK),水酸化アルミニウム(SA)、
を用いた。
各材料の配合比を変えて22種類のセメントペーストを作製した。各セメントペーストの配合比を表2に示す。ここで、全てのセメントペーストにおいて、硝酸塩充填率(含有率)は40wt%と一定にした。配合の詳細は、微少練りを実施後(セメントペーストの作製後)に決定した。
Figure 0005076571
各セメントペーストは、図5に示すフローに従って作製した。先ず、硝酸ナトリウム51と水52の混合物を30秒間練り混ぜて硝酸塩溶液53を作製した。次に、この硝酸塩溶液53にセメント54及び硬化促進剤55を添加して1分間練り混ぜてセメントペースト56を作製した。得られた各セメントペースト56について、硬化確認、フロー試験、ブリーディング水確認、凝結試験、及び圧縮強度試験を行った。
硬化確認に関しては、練り混ぜ後1日経過したセメント硬化体を指触で確かめた。硬化が確認できた配合に関しては、ミキサー練り混ぜ後の、おおよその硬化時間を測定した。
フロー試験は、硬化が確認できた配合に対して行った。180mm以上のフロー値が確保できたかどうかを確認した。
ブリーディング水確認は、打設後5時間を目安に、ブリーディング水の有無を確認した。
凝結試験は、セメント物理試験方法(JIS R 5201)に基づいて行い、始発時間、終結時間を測定した。始発標準針の先端が底板の上面からおよそ1mmの所に止まる時を始発とし、練り混ぜ開始から始発までの所用時間を始発時間とした。また、終結標準針ではセメントペースト表面に針の跡が残るが、付属小片環では跡が残らない時を終結とし、練り混ぜ開始から終結までの所用時間を終結時間とした。
圧縮強度試験は、材齢が7日及び28日の両セメント固化体に対して行い、一軸圧縮強度を測定した。両セメント固化体の養生は、温度20℃、湿度60%の恒温恒湿環境の気中養生で行った。
一日後硬化確認及び打設5時間後におけるブリーディングの有無の結果を表3に示す。硬化促進剤無添加のPL以外、全てのセメントペーストにおいて硬化促進剤は2.5〜5.0wt%の割合で添加されている。
Figure 0005076571
表3に示すように、RN5P、SA5P、PL、及びRK1.25AN1.25Pのセメントペーストについては、1日では完全に硬化しなかった。ブリーディングに関しては、RK1.25AN1.25Pのセメントペーストを除いて、特に問題はなかった。
フロー試験の結果を表4に、また、表4のグラフを図6に示す。
Figure 0005076571
表4及び図6に示すように、RK5Pのセメントペーストについては、フロー値が平均で135mmと目標値(180mm以上)よりも小さいことから、硬化時間が早すぎてフロー試験中に硬化が始まった。その他のセメントペーストは、いずれもフロー値が180mm以上であり、特に問題はなかった。
凝結試験の結果を表5に、また、表5のグラフを図7に示す。
Figure 0005076571
表5及び図7に示すように、PL及びRK1.25AN1.25Pのセメントペーストについては、1日で終結しなかった。一方、TN5P、AN5P、RK5P、RK2.5P、TN1.25RA1.25P、及びTN1.25AN1.25Pのセメントペーストは始発時間が20分以内であり、練り混ぜ開始直後から硬化が始まるため、施工性があまり良好でなかった。一方、RA5P、TN2.5P、TN1.25RK1.25P、及びRK1.25RA1.25Pのセメントペーストは始発時間が20分以上、かつ、終結時間が1日以内であるため、施工性について全く問題はなかった。
材齢7日の圧縮強度試験の結果を表6に、また、表6のグラフを図8に示す。また、材齢28日の圧縮強度試験の結果を表7に、また、表7のグラフを図9に示す。なお、PL、RA5P、TN5P、AN5P、及びRK5Pのセメント固化体に関しては、時間の関係上、材齢7日圧縮強度試験しか実施していない。各セメント固化体の密度はいずれも2g/cm3程度であるため、圧縮強度試験の強度値は試験体製作上において問題は無いと言える。
Figure 0005076571
表6及び図8に示すように、RA5P及びAN5Pのセメント固化体は、材齢7日の圧縮強度が5N/mm2を下回っているので、材齢28日の圧縮強度が目標値(10N/mm2)を上回らないと予想される。
Figure 0005076571
一方、表7及び図9に示すように、TN2.5P、RK2.5P、TN1.25RA1.25P、TN1.25AN1.25P、TN1.25RK1.25P、RK1.25RA1.25P、RK1.25AN1.25Pのセメント固化体は、材齢28日の圧縮強度が目標値(10N/mm2)を上回っており、全く問題はなかった。
セメント固化試験の総合評価を表8に示す。フロー試験、凝結試験、及び圧縮強度試験の全てが良好であったものを◎(特に良好)、フロー試験及び圧縮強度試験は良好で、かつ、凝結試験のみがやや良好であったものを○(良好)、フロー試験、凝結試験又は圧縮強度試験のいずれかが不十分のものを×(不可)と評価した。凝結試験の「やや良好」とは始発が20分内のものをいう。
Figure 0005076571
表8に示すように、TN5P、RK5P、TN2.5P、RK2.5P、TN1.25RA1.25P、TN1.25AN1.25P、TN1.25RK1.25P、及びRK1.25RA1.25Pのセメントペーストは、いずれも総合評価が良好であり、特に、TN2.5P、TN1.25RK1.25P、及びRK1.25RA1.25Pのセメントペーストは、総合評価が特に良好であった。
一方、PL及びRK1.25AN1.25Pのセメントペーストは、凝結試験において終結までに1日以上を要したため、総合評価は不可であった。また、RA5P及びAN5Pのセメントペーストは、圧縮強度試験において強度が不足していたため、総合評価は不可であった。
ここで、遅延剤分子がセメント固化体の硬化を遅延させる理由は、以下の4つに分類できる。
(1)沈殿説:遅延剤分子がセメント粒子表面に不活性物質からなる被膜を形成し、この被膜がセメント粒子と水の接触を妨害して水和反応を遅延させる。
(2)錯塩説:遅延剤分子がカルシウムイオンと錯塩を形成し、この錯塩がCa(OH)2の結晶の析出を抑制する。
(3)吸着説:セメント粒子表面に遅延剤分子が吸着され、この吸着された遅延剤分子がセメント粒子と水の接触を抑制する。
(4)核生成抑制説:水和反応の誘導期から加速期にかけて液相から析出するCa(OH)2結晶核の生成を阻害する。硝酸ナトリウムは溶液にすると、ナトリウムイオン(Na+)と硝酸イオン(NH3 -)に解離する。ナトリウムイオンはC3Aの誘発を助けるが、硝酸イオンがCa(OH)2の生成を阻害していると考えられる。硫酸ナトリウムは、硫酸イオンが阻害物質になったと考えられる。RK1.25AN1.25PのセメントペーストについてはAl(OH)3のゾル化をリン酸イオンが妨げたと考えられる。
低レベル放射性廃棄物の固化処理にセメントを用いるのは、安価であるということが主な理由であるため、セメント固化処理プラントにおいて実際に硬化促進剤を使用する場合、コストを考える必要がある。本実施の形態において使用する硬化促進剤は全て、重量1トン以上の使用においては100円/kg程度と非常に安価なものである。これらの硬化促進剤は、セメントペースト全体に対する添加量が2.5wt%程度で十分な効果が得られることが判明しているので、仮に1m3のセメント固化体を作ると、密度は2トン/m3となり、硬化促進剤の添加量は50kg程度である。よって、硬化促進剤添加によるコストアップは5000円程度/m3であり、この程度のコストアップなら全然問題がないと言える。
本発明の好適一実施の形態に係る廃棄物のセメント固化処理方法を説明するための図であり、セメントペーストにおけるセメント粒子の水和反応モデル図である。 普通ポルトランドセメントの水和反応を示す図である。 普通ポルトランドセメントの模式的な水和過程を示す図である。横軸が時間を、縦軸が水和発熱速度を示している。 低レベル放射性廃棄物のセメント固化処理フローを示す図である。 [実施例]における試験実施フローを示す図である。 表4のグラフである。 表5のグラフである。 表6のグラフである。 表7のグラフである。 従来のセメントペーストにおけるセメント粒子の水和反応モデル図である。
符号の説明
11 セメントペースト
12 セメント粒子
13 硝酸塩(遅延剤分子)
14 カルシウムアルミネート水和物(硬化物)

Claims (3)

  1. セメント固化を遅くする硝酸塩などの遅延剤分子を含む廃棄物のセメント固化処理方法において、上記廃棄物に、普通ポルトランドセメントと共に硬化促進剤を添加し、セメント粒子表面に、上記遅延剤分子錯塩が形成されるよりも早く硬化物を形成させて、セメントペースト中のカルシウムイオンと遅延剤分子との接触、反応を防ぎつつセメントの水和反応を進行させて凝結、固化させるに際して、
    上記セメントペーストの水セメント比が30〜40%、硝酸塩含有率が35〜50wt%、及び硬化促進剤の添加率が1〜6wt%であり、
    かつ上記硬化促進剤が、炭酸ナトリウムの単独、リン酸二水素カリウムの単独、または、炭酸ナトリウムと硫酸アルミニウムの混合物、炭酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの混合物、炭酸ナトリウムとリン酸二水素カリウムの混合物、リン酸二水素カリウムと硫酸アルミニウムの混合物のいずれかであることを特徴とする廃棄物のセメント固化処理方法。
  2. 上記硬化促進剤として、上記セメントペースト全体に対して炭酸ナトリウムを1.25wt%の割合で、かつ、リン酸二水素カリウムを1.25wt%の割合で添加する請求項記載の廃棄物のセメント固化処理方法。
  3. 上記硬化促進剤として、上記セメントペースト全体に対してリン酸二水素カリウムを1.25wt%の割合で、かつ、硫酸アルミニウムを1.25wt%の割合で添加する請求項記載の廃棄物のセメント固化処理方法。
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