JP5076449B2 - レンズアレイシートおよび透過型スクリーン - Google Patents
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Description
特許文献1では、光拡散性微粒子がその内部に分散された屈折率NSの実質的に透明なプラスチックからなるレンチキュラーレンズシートにおいて、光拡散性微粒子としてその屈折率がそれぞれNPA,NPB平均粒子径がそれぞれdA(μm),dB(μm)である実質的に透明な有機高分子微粒子Aおよび無機微粒子Bの二種類を用い、屈折率,平均粒子径,基体樹脂との波長別屈折率差を規定している。
図中、1はフレネルレンズアレイ面を表面に備えたフレネルレンズシートであって、このフレネルレンズシート1は、透光性の基材層1aの片面に、同心円状にフレネル凹凸が形成されたフレネルレンズ層1bが設けられて構成されている。
そして液晶プロジェクションテレビのテレビジョンプロジェクター(発散投影レンズ系)は基材層1a側に所定距離を置いて配置されていて、該プロジェクターからの投影映像光Lは、フレネルレンズシート1に投影入射した後、平行な投影映像光L1となってフレネルレンズシート1から出射するようになっている。
また、前記微粒子8を透明基材7に分散配合させることにより、レンチキュラーシート2のレンズアレイシートとしての外観不良や、成型精度の低下、強度不足などの問題も生じることになる。また微粒子8を配合する透明基材7には、十分に剛性を有する厚さを確保する必要があるため必要以上に薄くすることが困難であった。
光拡散層が粘着機能も併せ持つことで、その貼り合わせるための層を減らすことができ、材料面においてもプロセス面においてもコストダウンを図ることができる。
特許文献2に記載する透過型スクリーンのレンズアレイシートは、図2に示すレンチキュラーシート2であり、図1のレンチキュラーシート2と同一部材には同一符号を付して図示してあるが、最も顕著な相違点は、図2では、粘着剤層6内に微粒子8を含んでおり、板状の透光性基材7内には微粒子8を含んでいないことにある。
そのためバインダー粘着剤と、異なる屈折率の粒子からなる光拡散剤とを分散させた光拡散性粘着層は、温度の変化により、粘着剤のバインダーと光拡散剤である粒子との屈折率差が変動して、光拡散の具合(光拡散性能)が変動して、スクリーンの輝度や視野角が大きく変動してしまうという問題がある。
また、基体樹脂中に、屈折率,平均粒子径,基体樹脂との波長別屈折率差を規定した有機高分子微粒子Aおよび無機微粒子Bの2種類の光拡散性微粒子を分散混合してなる構成の光拡散層の提案においても、温度の変動に応じて基体樹脂が変性する点,及びそれに伴い光拡散性能が変化する温度依存性についての考慮は見られない。
本発明による第二のレンズシートは、単位レンズが配列されて視野角を制御するレンズアレイ層と、レンズアレイ層と反対側の表面に、ハードコート,帯電防止,反射防止,防眩から選択される少なくとも一種類以上の表面処理が施されてなる基材層とが、光拡散機能および粘着機能を有する光拡散性粘着剤層を介して積層一体化された構成のレンズアレイシートにおいて、前記光拡散性粘着剤層は、バインダーとなる粘着剤内に2種の光拡散性微粒子が分散混合した構成であり、前記バインダーの屈折率をn1とし、前記2種の光拡散性微粒子の屈折率を、各々、n2,n3とした場合、n2>n1且つn1>n3であり、前記レンズアレイシートを通した光線の輝度の温度変化が、19〜40℃において、±5%以内である、ことを特徴とする。
(第1の実施形態)
図2は、本発明の透過型スクリーンの第1の実施形態を模式的に示した垂直断面図である。
背景技術の説明にて、特許文献2によるレンズアレイシートを図示した際に図2を用いたが、本発明によるレンズアレイシートも概略構成は図2で示される。
特許文献2との相違は、本発明では、板状の透明基材7の内部に含まれる微粒子として2種類の微粒子(8,10)を含むことにある。
同図に示すように、本発明の透過型スクリーンは、一例として、映像光の入射側(同図左側)より、順次、フレネルレンズシート1と、レンズアレイシートの一例としてのレンチキュラーフィルム3を備えたレンチキュラーレンズシート2とを組み合わせた構成である。
また、上記樹脂をエクストルーダによる溶融押出成形にて、溶融状態で押し出される基材表面にエンボスロール金型を用いて型押しする方法で鋸刃状レンズ部を設けることもできる。
さらには、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂を用いて、例えば、その樹脂組成物をレンズの逆形状を有するエンボスロール金型の成型面に塗布し、基材をエンボスロール金型に供給して、その基材を介して紫外線または電離放射線の照射により、前記樹脂を硬化させると同時にその樹脂硬化成型物からなる鋸刃状レンズ部を基材に重合接着せしめ、転写して形成することもできる。
レンチキュラーレンズフィルム3の基材3bは、特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂からなるフィルム基材が好適に用いられる。
レンチキュラーレンズフィルム3の基材3b上に凸状レンズ3 aを形成する方法は、特に限定されるものではないが、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂を用いて、その硬化物からなるレンズ部を形成する方法が、生産性やレンズの成形精度等の点から好適に用いられる。
この遮光層5は、基材3bの光束射出面の非集光部の領域(映像光が透過しない領域)に形成されている。
また、光拡散剤は2種類以上を使用することが好ましい。
一種類目の光拡散剤8は、前記アクリル系粘着剤の屈折率より高い屈折率を持つフィラーが好ましく、アクリル樹脂やスチレン樹脂等の有機ビーズや、シリコーン樹脂、シリカ、炭酸カルシウム等の無機フィラーまたはガラスビーズなどの微粉末をフィラーとして適量混入することができる。
二種類目の光拡散剤10は、前記アクリル系粘着剤の屈折率より低い屈折率を持つフィラーが好ましく、アクリル樹脂やスチレン樹脂等の有機ビーズやシリコーン樹脂、シリカ、炭酸カルシウム等の無機フィラーまたはガラスビーズなどの微粉末をフィラーとして適量混入することができる。
光拡散性粘着剤層に混入する光拡散剤の好ましい混入量としては、1〜50%の範囲で適宜選択できる。
混入量が1%より少ない場合は、拡散効果が十分に得られない。
また、50%より多い場合は、粘着層の膜としての凝集力が不足して、十分な接着力が得られない。
また、75〜250μmの厚みさで、薄型化を図ることが出来る基材として、PC(ポリカーボネート)やPET等のプラスチックシートやフィルムを用いることができる。
同図に示す様に、10℃,20℃,40℃と温度が高くなるにつれて、屈折率は1.481,1.478,1.472と変動(低下)する。
上記アクリル系粘着剤中に各種配合の光拡散剤を混合してなる光拡散性粘着剤層の実施例および比較例は、以下の通りである。
実施例1−4の光拡散性粘着層は、図3の表に示されるアクリル系粘着剤に、アクリル系粘着剤の屈折率より高い(n=1.51)屈折率の光拡散剤(高屈折率フィラー種)と、アクリル系粘着剤の屈折率より低い(n=1.45)屈折率の光拡散剤(低屈折率フィラー種)とを、高屈折率フィラー種の平均粒径や添加比率を変化させて混入している。
高屈折率の光拡散剤はメタクリルスチレン共重合フィラーで、低屈折率光拡散剤はフッ素付加メタクリルスチレン共重合フィラーであり、光拡散性粘着層の膜厚は45〜55μmとした。
混入した光拡散剤であるフィラーの屈折率や平均粒径によって拡散度合いが異なるため、光拡散性粘着層の拡散度合いをそろえるために、フィラーの合計添加量を調節し、膜厚がほぼ同じになるように調整した。
図4の表に実施例1−4,比較例1の配合を示す。
同図の表(下)に記す様に、実施例1−4における高屈折率フィラー種と低屈折率フィラー種の合計添加量は、室温時の輝度値が揃う様に調整した。
比較例1の光拡散性粘着層は、アクリル系粘着剤に、アクリル系粘着剤の屈折率より高い(n=1.51)屈折率の光拡散剤(高屈折率フィラー種)のみを混入している。
上記実施例同様、光拡散剤はメタクリルスチレン共重合フィラーであり、光拡散性粘着層の膜厚は45〜55μmとした。
図5の表に、環境温度を変化させたときの、環境温度28℃における輝度の値を基準とした場合に、19℃,40℃の各測定環境温度における輝度の値を変化率として示している。
図5の表によれば、アクリル系粘着剤に、高屈折率フィラー種と低屈折率フィラー種の双方を混入した光拡散性粘着層(実施例1−4)は、環境温度の変化に対して輝度の変化が少なく(最大変化が2.3%)、温度変化に対する安定性が確保され目標を満たしている。
アクリル系粘着剤に、高屈折率フィラー種1種類のみを混入した光拡散性粘着層(比較例1)は、環境温度の変化に対して輝度が大きく(10%以上)変動し目標を満たさない。
前記粘着剤に混入されるフィラーの屈折率は、温度変化に対して安定して変化しない性質を示すため、粘着剤とフィラーの間の屈折率差(Δn)は、高屈折率フィラー種のみを混入した比較例1の場合には、0.032→0.038(0.006増加)である。
対して、高屈折率フィラー種に加え低屈折率フィラー種を混入した実施例1−4の場合には、20℃→40℃の変化に応じて、高屈折率フィラー種でのΔnは0.032→0.038(0.006増加)であるが、低屈折率フィラー種でのΔnは0.028→0.022(0.006低下)であり、一方のフィラー種におけるΔnが大の場合には、他方のフィラー種におけるΔnが小となり、粘着剤とフィラーの間のΔnに応じて拡散性が変化する(Δnが大きいほど、フィラー界面での反射が大きいため、結果的に光拡散性が向上する。Δnが0であれば、同屈折率の媒質であり、界面反射は起こらない。)光拡散性粘着層の光拡散特性が、温度変化に依存せず安定した特性を示すことになる。
同グラフに示す様に、温度変化に依存して屈折率の変動するバインダー樹脂(アクリル系粘着剤)と、温度変化に依存しない(屈折率の変動しない)高屈折率フィラー,低屈折率フィラーとの屈折率差(Δn)は、それぞれ|n高−n樹脂|,|n低−n樹脂|で示され、光拡散性粘着層の光拡散特性が、温度変化に依存せず安定した特性を示すことは、
|n高−n樹脂|+|n低−n樹脂|=一定
により表わしている。
実施例5の光拡散性粘着層は、実施例1−4と同様のアクリル系粘着剤に、低屈折率フィラー種として屈折率1.43〜1.44のシリコーンフィラーを用いた以外は、実施例1−4と同様に設計した。
図6の表に実施例5,比較例1(上述と同じ)の配合を示す。
図7の表では、実施例5,比較例1の光拡散性粘着剤層について、環境温度25℃における輝度の値を基準とした場合に、12℃,39℃の各測定環境温度における輝度の値を変化率として示している。
図5の表と同様に、実施例5は、比較例1に対して、光拡散特性が温度変化に依存せず安定した特性を示すことが分かるが、原理は上記と同様である。
1a…基材層
1b…フレネルレンズ層
2…レンチキュラーレンズシート
3…レンチキュラーレンズフィルム
3a…凸状レンズ
3b…基材フィルム
4…感光性樹脂層
5…遮光層
6…粘着剤層,光拡散性粘着剤層
7…透光性基材
8,10…光拡散剤
Claims (3)
- レンズアレイ層と、粘着剤層と、基材層とを有するレンズアレイシートであって、
前記粘着剤層は、バインダー中に、2種以上の光拡散性微粒子が分散混合されており、
前記バインダーの屈折率をn1、前記光拡散性微粒子の屈折率をnFとした場合、前記2種以上の光拡散性微粒子の少なくとも1種はnF>n1の条件を満たし、前記2種以上の光拡散性微粒子の他の少なくとも1種はnF<n1の条件を満たし、
温度を19〜40℃に変化させたときの、前記レンズアレイシートを通した光線の輝度の変化率が、±5%以内である、ことを特徴とするレンズアレイシート。 - 単位レンズが配列されて視野角を制御するレンズアレイ層と、
レンズアレイ層と反対側の表面に、ハードコート,帯電防止,反射防止,防眩から選択される少なくとも一種類以上の表面処理が施されてなる基材層とが、
光拡散機能および粘着機能を有する光拡散性粘着剤層を介して積層一体化された構成のレンズアレイシートにおいて、
前記光拡散性粘着剤層は、バインダーとなる粘着剤内に2種の光拡散性微粒子が分散混合した構成であり、
前記バインダーの屈折率をn1とし、前記2種の光拡散性微粒子の屈折率を、各々、n2,n3とした場合、n2>n1且つn1>n3であり、
温度を19〜40℃に変化させたときの、前記レンズアレイシートを通した光線の輝度の変化率が、±5%以内である、ことを特徴とするレンズアレイシート。 - 請求項1または2に記載のレンズアレイシートを、フレネルレンズと組み合わせてなることを特徴とする透過型スクリーン。
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